説明

自動洗髪機

【課題】自動洗髪機のランニングコストを低減する。
【解決手段】被洗髪者の頭部を収めるシンク2を備え、シンク2に収めた頭部を洗髪する自動洗髪機1において、シンク2に収めた頭部に沿って移動しつつ、洗浄水又は剤液のいずれかの液体を噴射可能な上ノズルリンク11と、シンク2に収めた頭部における高い場所に液体を噴射可能な位置に上ノズルリンク11が位置している場合に集中的に上ノズルリンク11から液体を噴射させるマイクロコンピューターと、を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクに収めた頭部を自動で洗髪する自動洗髪機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被洗髪者の頭部を収めるシンクの内側に、頭部に向けて洗浄水を噴射するノズルリンクを備え、このノズルリンクによって被洗髪者の頭部や髪に洗浄水を噴射することにより自動で洗髪を行えるようにした自動洗髪機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の自動洗髪機では、ノズルリンクからシャンプーやコンディショナー等の剤液で、頭部を洗髪し、また、頭部に付着した剤液を洗い流すための洗浄水を頭部に噴射することにより、頭部の洗髪を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−236511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した自動洗髪機のように、シャンプーやコンディショナー等の剤液を噴射するものでは、これらシャンプーやコンディショナー等の薬剤や、洗浄水の消費を押さえることによりランニングコストを抑制したいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ランニングコストを抑制した自動洗髪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、被洗髪者の頭部を収めるシンクを備え、前記シンクに収めた頭部を洗髪する自動洗髪機において、前記シンクに収めた頭部に沿って移動しつつ、洗浄水又は剤液のいずれかの液体を噴射可能なノズルリンクと、前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射可能な位置に前記ノズルリンクが位置している場合に集中的に前記ノズルリンクから液体を噴射させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
ここで、上記発明の自動洗髪機において、前記制御部は、前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した液体が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、前記ノズルリンクの移動、及び、前記ノズルリンクによる液体の噴射を制御するようにしてもよい。
【0007】
また、上記発明の自動洗髪機において、前記制御部は、前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した液体が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、当該頭部における液体の位置に対応する場所に洗浄水が噴射されるように、前記ノズルリンクの移動、及び、前記ノズルリンクによる液体の噴射を制御するようにしてもよい。
【0008】
また、上記発明の自動洗髪機において、前記制御部は、前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した液体が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、所定の範囲内で洗浄水が往復して噴射されるように前記ノズルリンクを制御しつつ、当該頭部における液体の位置に対応する場所に液体が噴射されるように、前記ノズルリンクの移動、及び、前記ノズルリンクによる液体の噴射を制御するようにしてもよい。
【0009】
また、上記発明の自動洗髪機において、前記制御部は前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した液体が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、前記ノズルリンクから噴射される液体の噴射圧力を制御するようにしてもよい。
【0010】
また、上記発明の自動洗髪機において、前記ノズルリンクを、前記シンクに収めた頭部の頭頂部に対応する頭頂位置から、後頭部に対応する後頭位置までの間を反復移動可能に構成し、前記制御部は、前記ノズルリンクが前記頭頂位置に位置したときに、集中的に液体を噴射させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動洗髪機のランニングコストが低減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態にかかる自動洗髪機の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】Aは、図1のシンク部分の拡大図であり、Bは、上ノズルリンクおよび下ノズルリンクの動きを説明するための図である。
【図3】自動洗髪機に使用する水の流れを示す水路図である。
【図4】頭部支えネットおよび首元用ノズルリンクの関係を示す図であり、Aは正面図、Bは平面図である。
【図5】頭部支えネットを示す図であり、Aは平面図、Bは端面図である。
【図6】自動洗髪機の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】自動洗髪機の自動洗髪時における基本的な動作を示すフローチャートである。
【図8】Aは、リラクゼーション工程を説明するための図であり、Bは、第1すすぎ工程を説明するための図であり、Cは、シャンプー工程を説明するための図である。
【図9】Aは、第2すすぎ工程を説明するための図であり、Bは、コンディショナー工程を説明するための図であり、Cは、第3すすぎ工程を説明するための図である。
【図10】Aは、メントール薬剤噴射工程を説明するための図であり、Bは、第4すすぎ工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、1は自動洗髪機を示している。
この自動洗髪機1は、被洗髪者の頭部を収容するためのシンク2と、シンク2を保持するシンク保持台3と、シンク保持台3の前方に配置され、被洗髪者が座るための椅子4と、椅子4を保持する椅子保持台5とを備えている。
【0014】
シンク2は、図2に示すように、その上面に開口を有する碗状の部材である。シンク2の前側には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元を、シンク2の内側に臨ませた状態にして、被洗髪者の後頭部を支える頭部支えネット70が配置されている。また、シンク2の前側の壁部2Aには、椅子4に座った状態で被洗髪者が仰向けで、頭部支えネット70に後頭部を載せた状態で、首を載せることができるネック台7が配置されている。シンク2の上面の開口は、カバー8により覆うことができる。カバー8は、その後端が連結部9を介してシンク2の後端に連結されていて、連結部9を中心にして鉛直面内で回動可能となっている。洗髪時などには、カバー8を開いた状態で、椅子4に座っている被洗髪者の首をネック台7に載せた後、カバー8を閉じることにより、被洗髪者に頭部をシンク2内に収容することができる。
【0015】
シンク2内には、被洗髪者の頭部および髪に向けて剤液、又は、洗浄水を噴射するための上ノズルリンク11および下ノズルリンク12が配置されている。なお、本実施形態において、剤液とはシャンプー液、又は、コンディショナー液が混入された液体のことを指し、洗浄水とはシャンプー液、及び、コンディショナー液を含む薬剤が何ら混入されていない液体(水)を差しており、これら剤液と洗浄水とは明確に区別される。
上ノズルリンク11は、被洗髪者の頭部に沿うように、図示位置で上に凸の略円弧状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が回動可能に片持ち支持されており、被洗髪者の頭部に向かって洗浄水を噴射する。
下ノズルリンク12は、被洗髪者の髪を囲うように、図示位置で左方に凸の略弓形状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が上ノズルリンク11よりも下方で回転可能に片持ち支持されている。この下ノズルリンク12は、後方に向かって洗浄水を噴射することにより、後方側に垂れ下がった被洗髪者の髪(想像線で示す。)を洗浄する。また、シンク2内には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンク80が配置されている。
【0016】
上下ノズルリンク11,12、および首元用ノズルリンク80には、それぞれ複数のノズルが備えられていて、洗髪時には、上下ノズルリンク11,12、および首元用ノズルリンク80内に送られてきた剤液や洗浄水が各ノズルから噴射される。上下ノズルリンク11,12は回動し、首元用ノズルリンク80は固定である。各ノズルから剤液や洗浄水を噴射することで、被洗髪者の頭部および髪の全体を洗浄できる。シンク2内の後側上部には、ハンドシャワー13が配置されている。オペレーター(美容院の従業員など)は、ハンドシャワー13の右方に配置されたコック14を回すことにより、ハンドシャワー13から放水する水量を調節して、手動で洗髪できる。
【0017】
自動洗髪機1で使用する水は、図3に示すように、機外の水道設備および給湯設備(図示せず)からミキシングバルブ15および給水管16を介して機内に供給される。ミキシングバルブ15には、水道設備から水供給部17を介して水が与えられるとともに、給湯設備から湯供給部18を介して湯が与えられる。ミキシングバルブ15は、水供給部17および湯供給部18から与えられる水および湯を混合し、温水にして給水管16に送り出すためのものである。給水管16内の途中部には、ミキシングバルブ15から送り出される温水の温度を検知するためのサーミスター19が配置されている。サーミスター19の検知結果に基づいてモーター20が駆動されることにより、ミキシングバルブ15が開閉されて水と湯との混合割合が調整され、設定温度の温水が生成される。ミキシングバルブ15は、モーター20で調整される電動タイプである。モーター20は、DCモーターまたは直流電動機であり、ブラシなどを備えている。
【0018】
また、シンク2の側方には、操作パネル60(図2)が設けられており、設定温度は、オペレーター(ユーザー)が操作パネル60を操作することにより決定される。給水管16は、途中部(サーミスター19よりも下流側)からハンドシャワー用給水管21と貯湯用給水管22とに分岐している。ハンドシャワー用給水管21は、コック14によって開閉可能なハンドシャワー用バルブ23を介してハンドシャワー13に連通している。一方、貯湯用給水管22は、給湯バルブとしての貯湯バルブ24を介して貯湯タンク25内に温水を供給することができる。
【0019】
貯湯タンク25の内部には、当該貯湯タンク25に貯められている温水の水位を検知するための第1水位センサー26および第2水位センサー27が、上下方向に一定間隔を空けて配置されている。貯湯タンク25内の温水が使用されて、所定の最低水位に達したことが第2水位センサー27により検知された場合には、貯湯バルブ24が開かれて、貯湯タンク25内に温水が供給される。その後、貯湯タンク25内の温水が所定の最高水位に達したことが第1水位センサー26により検知されると、貯湯バルブ24が閉じられて、温水の供給が停止する。このようにして、貯湯タンク25内には、最低水位と最高水位との間で、常に温水が貯められた状態となっている。
【0020】
貯湯タンク25の上部(第1水位センサー26よりも上方)には、第1水位センサー26の故障などに起因して貯湯タンク25内に最高水位以上の温水が供給された場合に、その余分な温水を貯湯タンク25の外部に溢れ出させるための溢水口28が形成されている。溢水口28から溢れ出した温水は、オーバーフロータンク29によって受けられ、このオーバーフロータンク29に連通する排水管30を通って機外に排出される。オーバーフロータンク29内にはオーバーフローセンサー31が配置され、たとえば排水管30が詰まってオーバーフロータンク29内の水位が最高水位に到達したことがオーバーフローセンサー31によって検知された場合には、自動洗髪機1の運転が停止される。
【0021】
貯湯タンク25の最下部には、一端がメインポンプ32に接続された吸込管33の他端が接続されている。メインポンプ32は、インバータ64(図6)から交流電流が供給されることにより駆動され、吸込管33を介して貯湯タンク25内の温水を吸い込むものである。吸込管33の途中には、シャンプー液が収容されたシャンプー容器34に至るシャンプー供給管35と、コンディショナー液が収容されたコンディショナー容器36に至るコンディショナー供給管37とが接続されている。なお、コンディショナー容器36には、トリートメント液が収容されていてもよい。シャンプー供給管35およびコンディショナー供給管37の途中部には、それぞれシャンプー用ポンプ38およびコンディショナー用ポンプ39が備えられていて、シャンプー用ポンプ38およびコンディショナー用ポンプ39の働きにより、吸込管33内を通る温水に、シャンプー液およびコンディショナー液の混入量を適度に調整することにより、メインポンプ32には、そのとき使用すべき洗浄水が汲み込まれることとなる。
【0022】
吸込管33からメインポンプ32内に吸い込まれた洗浄水は、複数(たとえば、4つ)の分路を有する送水管40に送り出される。送水管40内には、フィルター41が設けられていて、その下流側の4つの分路には、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44の4つのバルブが設けられている。上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74および排水バルブ44が設けられた4つの分路には、それぞれ、分岐路46,47,75,48が延設されている。上ノズルバルブ42から延設された分岐路46の終端は上ノズルリンク11に接続され、下ノズルバルブ43から延設された分岐路47の終端は下ノズルリンク12に接続され、首元用ノズルバルブ74から延設された分岐路75の終端は首元用ノズルリンク80に接続されている。
【0023】
シンク2の底面には、当該シンク2内に水を排出するための排出口50が形成されていて、この排出口50は、逆流を防止するための排水トラップ51を介して排水管30に連通している。これにより、シンク2の排出口50から排出された水は、排水管30を通って、機外に排水されるようになっている。排水バルブ44から延設された分岐路48の終端は、排水トラップ51に接続されている。
【0024】
本実施形態に係る自動洗髪機1は、図3に示すように、メントール系の薬剤をシンク2に収められた被洗髪者の頭部に噴射する薬剤噴射機構90を備えている。
薬剤噴射機構90は、メントール系の薬剤を収容する薬剤収容容器91と、この薬剤収容容器91に薬剤搬送管92を介して接続され、薬剤収容容器91に収容された薬剤を被洗髪者の頭部に噴射する薬剤噴射ノズル93とを備えている。薬剤搬送管92には、薬剤供給用ポンプ94と、薬剤ノズルバルブ95とが順次接続されている。メントール系の薬剤を被洗髪者の頭部に噴射する際は、薬剤ノズルバルブ95が開状態となるとともに、薬剤供給用ポンプ94が駆動し、薬剤収容容器91に収容されたメントール系の薬剤が薬剤搬送管92を介して薬剤噴射ノズル93に搬送され、薬剤噴射ノズル93から被洗髪者の頭部に向けて噴射される。
メントール系の薬剤が、頭部に噴射された場合、被洗髪者に、爽快感、清涼感を与えることができ、被洗髪者の快適性が向上する。
【0025】
図4は、頭部支えネット70および首元用ノズルリンク80の関係を示す図である。首元用ノズルリンク80は、図4Aに示すように、略M字状に曲げられた管状の部材であって、2つの隅部にブラケット81,81が溶接で固定され、このブラケット81,81を介してシンク2の前側の内壁に固定されている。首元用ノズルリンク80の水平部82は、被洗髪者の首元の形状に倣って下に凸に湾曲しており、上部の中央寄りには、適宜の間隔をあけて、3つのノズル83,83,83が取り付けられている。また、水平部82には、図4Bに示すように、該水平部82に直交して、シンク2の内側に向けてほぼ水平に延びる2つの支持棒84が溶接により固定されており、2つの支持棒84には、頭部支えネット70の両端の支持部71が支持されている。
【0026】
頭部支えネット70は樹脂成形部材であり、図5A,Bに示すように、その両端に、支持棒84が嵌る支持部71を有している。この頭部支えネット70は、被洗髪者の後頭部頂点に対応する中央部72寄りの網目72Aが大きく、両端の支持部71に近づくほど網目71Aが小さく形成されている。この頭部支えネット70は、図2を参照し、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動作に影響を与えない位置、すなわち各リンク11,12の軌跡を避けた位置に固定されている。
【0027】
上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、共に片持ち支持した状態で、同期して反復移動可能に構成されている。
具体的には、図2Bを参照して、上ノズルリンク11は、回転軸Aを中心に矢印C方向に回転を開始し、図2に示す頭頂位置T1から回転して、後頭位置T2に至り、そこから逆回転して頭頂位置T1に戻るという移動が可能である。ここで、上ノズルリンク11が頭頂位置T1にある場合、被洗髪者の頭頂部付近に洗浄水が噴射されることとなるため、頭頂位置T1は、被洗髪者の頭部の頭頂部に対応した位置である。また、上ノズルリンク11が後頭位置T2にある場合、被洗髪者の後頭部付近に洗浄水が噴射されることとなるため、後頭位置T2は、被洗髪者の頭部の後頭部に対応した位置である。
【0028】
一方、下ノズルリンク12は、回転軸Bを中心に矢印D方向に回転を開始し、図2に示す髪位置T3から回転して、下後頭位置T4に至り、そこから逆回転して髪位置T3に戻るという移動が可能である。ここで、下ノズルリンク12が髪位置T3にある場合、被洗髪者の下に垂れ下がった髪に洗浄水が噴射されることとなるため、髪位置T3は、シンク2に収められた頭部から垂れ下がる髪に対応する位置である。また、下ノズルリンク12が下後頭位置T4にある場合、被洗髪者の後頭部付近に洗浄水が噴射されることとなるため、下後頭位置T4は、被洗髪者の頭部の後頭部に対応した位置である。
【0029】
本実施形態では、図示せぬ駆動機構により、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、以下のように同期して同じ方向に移動する。
すなわち、図2Bを参照して、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に、下ノズルリンク12が髪位置T3にあるとして、上ノズルリンク11が矢印C方向に回転を開始すると、下ノズルリンク12も同期して矢印D方向に回転を開始し、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至ったときに同時に下ノズルリンク12が下後頭位置T4に至る。一方、上ノズルリンク11が後頭位置T2に、下ノズルリンク12が下後頭位置T4にあるとして、上ノズルリンク11が矢印Cと逆方向に回転を開始すると、下ノズルリンク12も同期して矢印Dと逆方向に回転を開始し、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に至ったときに同時に下ノズルリンク12が髪位置T3に至る。
【0030】
ここで、例えば、上ノズルリンク11が洗浄水を噴射しつつ髪の生える向きと同じ方向へ移動する一方、下ノズルリンク12が洗浄水を噴射しつつ髪の生える向きと逆方向へ移動する等、髪の生える向きに対する上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれの移動方向が異なる場合、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれが、髪の生える向きに対してそれぞれ異なる方向から被洗髪者の頭部および髪に対して洗浄水を噴射することになり、髪がからまるという事態が生じることがある。
しかしながら、上述したように、上ノズルリンク11と、下ノズルリンク12とが同期して同じ方向に動くよう構成されているため、髪の生える向きに対する上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれの移動方向が常に一致し、髪がからまるという事態が発生することを防止することができる。
さらに、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の移動中、これらノズルリンクが確実に接触しないようにすることができる。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、後述するマイクロコンピューター89の制御の下、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、同期しつつ速度を変えて移動をしたり、一定の範囲移動した後一時停止したり、所定の範囲を反復移動したりなど、複雑な移動が可能である。
【0031】
本実施形態では、上記構成により、シンク2内の頭部支えネット70に被洗髪者の頭部を位置させたときに、その首元がシンク2の内側に臨む。そして、この被洗髪者の首元に向けて、首元用ノズルリンク80から洗浄水が噴射されるため、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動作と相まって、首元を含めたほぼ完全な自動洗髪が可能になる。また、頭部支えネット70は、各ノズルリンク11,12の移動軌跡を避けるように配置したため、頭部支えネット70がノズルリンク11,12の動作の支障にならず、干渉が回避できる。また、頭部の支え部がネット70で形成されることで、各ノズルリンク11,12からの洗浄水が被洗髪者の後頭部に行き渡りやすくなる。また、頭部支えネット70の両端の支持部71が、首元用ノズルリンク80の支持棒84に連結されているため、頭部支えネット70を取り付けるために、わざわざシンク2に追加加工などをする必要がなく、簡易な取り付けが実現できる。
【0032】
さらに、首元用ノズルリンク80は両端がシンク2により支持されるため、首元用ノズルリンク80の周囲にはスペースが確保でき、ハンドシャワー13による洗髪を行う際に、首元用ノズルリンク80が邪魔にならず洗髪時の手の動きが阻害されない。また、頭部支えネット70と首元用ノズルリンク80は被洗髪者の首元下方で連結されているため、これによっても、左右の洗髪空間が確保できる。
また、頭部支えネット70は後頭部頂点に対応する中央部72の網目が大きいため、各ノズルリンク11,12からの洗浄水が後頭部頂点の近傍に行き渡りやすく、両端の支持部71に近づくほど網目が小さく形成されているため、支持部71寄りの強度が高まり、支持の強度が向上する。
【0033】
図6は、自動洗髪機1の電気的構成を示すブロック図である。
自動洗髪機1の動作は、マイクロコンピューター89により制御される。マイクロコンピューター89には、第1水位センサー26、第2水位センサー27、オーバーフローセンサー31、第1サーミスター19の他、当該自動洗髪機1の動作内容を設定操作するための操作パネル60からの信号が入力されるようになっている。
また、マイクロコンピューター89には、モーター20、貯湯バルブ24、シャンプー用ポンプ38、コンディショナー用ポンプ39、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44、薬剤供給用ポンプ94および薬剤ノズルバルブ95などが制御対象として接続されている。モーター20にはミキシングバルブ15が接続されていて、マイクロコンピューター89は、モーター20を駆動制御してミキシングバルブ15を開閉させることにより、給水管16へと送られる温水の温度を調節することができる。
【0034】
また、図6に示すように、マイクロコンピューター89には、メインポンプ32に交流電流を供給することにより、メインポンプ32から吐出される洗浄水の吐出圧力を制御するインバータ64が接続されている。図3に示すように、メインポンプ32から吐出された洗浄水は、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43を介して、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12のノズルから噴射される。従って、マイクロコンピューター89は、インバータ64を制御することにより、各ノズルリンクのノズルから噴射される洗浄水の噴射圧力を制御することができる。
また、マイクロコンピューター89には、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きを制御する駆動モーター98が接続されている。駆動モーター98は、ステッピングモーターによって構成され、マイクロコンピューター89から入力された駆動信号に基づいて、図示せぬ駆動機構を介して上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きを制御する。マイクロコンピューター89は、駆動モーター98を制御することにより、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の移動速度を変更したり、これら上下ノズルリンク11、12を一時停止したりするなど、これら上下ノズルリンク11、12に複雑な移動をさせることができる。自動洗髪機1の自動洗髪時における上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きの具体的な動作については、後述する。
【0035】
図7は、自動洗髪機1の自動洗髪時における基本的な動作を示すフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態に係る自動洗髪機1は、自動洗髪を行う際、リラクゼーション工程、第1すすぎ工程、シャンプー工程、第2すすぎ工程、コンディショナー工程、第3すすぎ工程、メントール薬剤噴射工程および第4すすぎ工程の各工程を順次実行する。以下、各工程における自動洗髪機1の動作を図8〜図10を用いて説明する。
なお、以下の説明では、便宜的に、頭部に沿って頭頂部から首元方向へ向かう方向を下方向といい、逆へ向かう方向を上方向というものとする。換言すれば、上ノズルリンク11について頭頂位置T1から後頭位置T2へ向かう方向が下方向であり、その逆へ向かう方向が上方向である。また、下ノズルリンク12について髪位置T3から下後頭位置T4へ向かう方向が下方向であり、その逆へ向かう方向が上方向である。被洗髪者の頭部では、下方向へ向かって髪が生えている。
また、上述したように上ノズルリンク11と下ノズルリンク12とは同期して動く構成となっているが、以下の説明では、説明の便宜のため、片方のノズルリンクの動きのみを説明する場合がある。
また、以下の説明において、マイクロコンピューター89は、制御部として機能する。
また、本実施形態では、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12から噴射される洗浄水の噴射圧力は、最も低いレベル1から最も高いレベル12までの12段階に変更可能となっている。
【0036】
図8Aは、リラクゼーション工程を説明するための図である。
このリラクゼーション工程は、被洗髪者の頭部に対し初めて洗浄水が噴射される工程であり、頭部に洗浄水が噴射されることについて被洗髪者に慣れてもらい、被洗髪者をリラックスさせることを主な目的としている。そして、この目的を達成するために、リラクゼーション工程においては、噴射圧力のレベルの平均値が、後述するシャンプー工程や、コンディショナー工程における噴射圧力の平均値より低くなるよう、噴射圧力が制御される。具体的には、本実施形態では、シャンプー工程における噴射圧力のレベルの平均値がレベル9であり、コンディショナー工程における噴射圧力のレベルの平均値がレベル8である一方、リラクゼーション工程における噴射圧力のレベルの平均値はレベル6程度である。
まず図A1を参照して、マイクロコンピューター89は、駆動モーター98などを制御して、ポイントPD1に洗浄水が噴射される位置まで下ノズルリンク12を移動した後、インバータ64などを制御して、下ノズルリンク12からポイントPD1に対し例えば3秒間洗浄水を噴射させる。
次いで、図A2を参照して、マイクロコンピューター89は、洗浄水を噴射させつつ、下後頭位置T4に至るまで下ノズルリンク12を移動させる。その際、マイクロコンピューター89は、非常に緩やかな速度で下ノズルリンク12を移動させる。これは、被洗髪者に対し、あたかも人手によってゆっくりと撫でられるかのような感覚を与え、被洗髪者に安心感を与えるためである。さらに、自動洗髪開始直後の工程であるリラクゼーション工程で、このように緩やかな速度で下ノズルリンク12を移動しつつ洗浄水を噴射させることにより、被洗髪者を驚かせることなく、機械で洗髪されているという感触を払拭し、高級感を出すためである。
【0037】
ここで、図A2において、マイクロコンピューター89は、下ノズルリンク12によって被洗髪者の後頭部付近に洗浄水を噴射させる場合(矢印Eおよび矢印Fに示す方向に洗浄水を噴射する場合)、そうでない場合と比較して噴射圧力を高くする。
これは、被洗髪者の後頭部付近に洗浄水を噴射させる場合、洗浄水を打ち上げる状態となるが、これに起因して被洗髪者の後頭部に到達する洗浄水の水圧が弱まることを防止するためである。また、被洗髪者の後頭部付近に洗浄水を噴射させる場合、後頭部から垂れ下がった髪によって、下ノズルリンク12から噴射された洗浄水が後頭部に到達することが阻害されることとなるが、これに起因して被洗髪者の後頭部に到達する洗浄水の水圧が弱まることを防止するためである。また、人間の頭部において、後頭部は、他の箇所よりも鈍感である傾向があるが、後頭部付近に噴射する洗浄水の噴射圧力を高くすることにより、被洗髪者に洗浄水の噴射によるマッサージ効果を確実に与えるためである。
【0038】
特に、本実施形態では、マイクロコンピューター89は、頭部支えネット70がある位置の頭部に噴射される洗浄水の噴射圧力(矢印Fが示す方向に噴射される洗浄水の噴射圧力)を、頭部支えネット70がない位置の頭部に噴射される洗浄水の噴射圧力よりも高くする。本実施形態では、マイクロコンピューター89は、頭部支えネット70がある位置の頭部に噴射される洗浄水の噴射圧力をレベル9に、それ以外の部分に噴射される洗浄水の噴射圧力をレベル7に、それぞれ制御する。
これは、ネットの存在に起因してネットがある位置の頭部に対して洗浄水が弱く噴射されるといった事態を防止するためである。さらに、本実施形態では、頭部支えネット70と後頭部とに挟まれて髪が動きにくくなり、これらに挟まれた髪によって下ノズルリンク12から噴射された洗浄水が後頭部に到達することが阻害されるが、これに起因して被洗髪者の後頭部に到達する洗浄水の水圧が弱まることを防止するためである。
本実施形態では、上ノズルリンク11についても上述した下ノズルリンク12に対する制御と同様の制御が行われるとともに、この制御は自動洗髪機1によって自動洗髪が実行されている間中、行われる。
なお、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12が後頭部付近に洗浄水を噴射しているか否かは、例えば、マイクロコンピューター89が駆動モーター98に出力した駆動信号に基づいて検出するようにしてもよく、また、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の位置を検出する位置検出センサーをマイクロコンピューター89に接続し、当該位置検出センサーの出力値に基づいて検出するようにしてもよい。
【0039】
次いで、図A3を参照して、マイクロコンピューター89は、首元用ノズルバルブ74などを制御して、被洗髪者の首元にあたるポイントPK1に対し首元用ノズルリンク80から洗浄水を噴射させる。ここで、噴射される洗浄水は温水とする。このように被洗髪者の首元に温水を噴射させることにより、首元の血流が良くなり、頭部全体の緊張がほぐれることとなり、マッサージ効果の向上を図ることができる。以後、この首元用ノズルリンク80からの温水の噴射は、リラクゼーション工程が終了するまで行われる。これにより、長時間に渡って被洗髪者の首元に温水が噴射されることとなり、効果的に上述した効果を奏することができる。なお、図A3において、波線矢印に示すように、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を頭頂位置T1へ、また、下ノズルリンク12を髪位置T3へ移動させる。
【0040】
次いで、図A4を参照して、マイクロコンピューター89は、洗浄水を噴射させつつ頭頂位置T1から後頭位置T2間を反復移動するよう上ノズルリンク11を駆動する。その際、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11が下方向へ移動しているときの噴射圧力を、上方向へ移動しているときの噴射圧力よりも高くする。本実施形態では、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11が下方向へ移動しているときの噴射圧力のレベルがレベル8に、そして、上ノズルリンク11が上方向へ移動しているときの噴射圧力のレベルがレベル5に、それぞれなるように、噴射圧力を制御する。
ここで、人手によって頭部を揉みマッサージする場合、髪の生える向きに応じた円滑なマッサージを実現するため、通常、髪の生える向きと逆方向に揉む場合よりも、髪の生える向きと同じ方向に揉む場合の方が、揉む力が強い。
そして、上述した制御では、下方向へ上ノズルリンク11を移動させる場合、すなわち、髪の生える向きと同じ向きに順次洗浄水を噴射させる場合の噴射圧力が、逆方向へ上ノズルリンク11を移動させる場合、すなわち、髪の生える向きと逆向きに順次洗浄水を噴射させる場合の噴射圧力と比較して、高くなる。このため、自動洗髪中、人手によってマッサージされているという感覚を被洗髪者に与えることができる。
さらに、上述した制御によれば、髪の生える向きと逆向きに順次洗浄水を噴射させる場合の噴射圧力が弱いため、逆毛状態が発生しにくく、髪が絡まるのを防止できるとともに、被洗髪者の快適性を向上することができる。
図A4では、上ノズルリンク11に、上述した移動を2回繰り返させる。
次いで、図A5を参照して、マイクロコンピューター89は、頭頂位置T1から後頭位置T2間を反復移動するよう上ノズルリンク11を移動させるとともに、髪位置T3から下後頭位置T4間を反復移動するよう下ノズルリンク12を移動させる。移動の間、マイクロコンピューター89は、両ノズルリンクから洗浄水を噴射させる。
【0041】
次いで、図A6を参照して、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を以下のように制御する。
すなわち、まず、上ノズルリンク11を頭頂位置T1に移動させ、上ノズルリンク11を一時停止させる。一時停止中、マイクロコンピューター89は、インバータ64などを制御し、噴射圧力の高低を0.5秒間隔で切り替えながら上ノズルリンク11からポイントPU1に対して洗浄水を噴射させる。高低の切り替えは、噴射圧力が高い状態および低い状態がそれぞれ2回ずつ来るように行われる。本実施形態では、マイクロコンピューター89は、噴射圧力が高い状態のときの噴射圧力のレベルがレベル8に、そして、噴射圧力が低い状態のときの噴射圧力のレベルがレベル5に、それぞれなるように、噴射圧力を制御する。その後さらに、マイクロコンピューター89は、噴射圧力の高低を1秒間隔で切り替えながら上ノズルリンク11から洗浄水を噴射させる。高低の切り替えは、高い状態および低い状態がそれぞれ1回ずつ来るように行われる。
このように、被洗髪者の頭部のある箇所に対し、噴射圧力の高低が所定の間隔で切り替わりつつ洗浄水が噴射された場合、当該箇所が人手によって強弱をつけて揉まれているという感覚を被洗髪者に与えることができる。
特に、本実施形態では、上ノズルリンク11の一時停止中に、噴射圧力の高低が切り替わるため、この一時停止中は、頭部の同一箇所に対して、噴射圧力の高低が切り替わりつつ洗浄水が噴射されることになる。このため、当該箇所が人手によって強弱をつけて揉まれているという感覚をより強く被洗髪者に与えることができる。
ここで、人手によって揉みマッサージする場合、通常、徐々に強弱をつける間隔をあけて揉みマッサージを行うという動作が行われる。そして、本実施形態では、洗浄水を噴射する時間が経過するほど、噴射圧力の高低を切り替える間隔が長くなる。これより、洗浄水が噴射されている箇所が人手によって揉まれているような感覚をより強く被洗髪者に与えることができる。
【0042】
さらに、マイクロコンピューター89は、ポイントPU1に対応する位置に上ノズルリンク11を一時停止させた後、一時停止を解除し、ポイントPU2に洗浄水が噴射される位置に至るまで上ノズルリンク11を下方向へ移動させた後、このポイントPU2に対応する位置において上ノズルリンク11を一時停止させ、ポイントPU1に対応する位置における場合と同様に、噴射圧力の高低を切り替えつつ洗浄水を噴射させる。このようにして、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11をPU1に対応する位置からPU5に対応する位置まで移動させるとともに、PU1〜PU5に対応する位置のそれぞれにおいて、上ノズルリンク11を一時停止させ、一時停止中に噴射圧力の高低を切り替えつつ洗浄水を噴射させる。
これによれば、被洗髪者の頭部の複数の部位について、人手によって強弱をつけて揉まれているという感覚を被洗髪者に与えることができる。
図A7では、図A3で説明した動作と同様の動作が行われる。
【0043】
図8Bは、第1すすぎ工程を説明するための図である。
この第1すすぎ工程は、次の工程であるシャンプー工程の前に、洗浄水(シャンプー液やコンディショナー液を含まない)によって、髪に付着した汚れを流すための工程である。
この第1すすぎ工程においては、リラクゼーション工程と同様、噴射圧力のレベルの平均値が、シャンプー工程における平均値や、コンディショナー工程における平均値より低くなるよう、噴射圧力が制御される。これにより、被洗髪者が、頭部に洗浄水が噴射されることに対し、より慣れるようにする。
【0044】
図B1では、図A1で説明した動作と同様の動作が行われる。
次いで、図B2を参照して、マイクロコンピューター89は、洗浄水を噴射させつつ、頭頂位置T1から後頭位置T2間を反復移動するよう上ノズルリンク11を移動させるとともに、髪位置T3から下後頭位置T4間を反復移動するよう下ノズルリンク12を移動させる。当該動作中、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11が下方向へ移動している場合における洗浄水の噴射圧力を、上方向へ移動している場合における洗浄水の噴射圧力よりも高くする。同様に、マイクロコンピューター89は、下ノズルリンク12が下方向へ移動指定場合における洗浄水の噴射圧力を、上方向へ移動している場合における洗浄水の噴射圧力よりも高くする。
【0045】
次いで、図B3を参照して、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を頭頂位置T1へ移動させた後、洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11を範囲H1に対応する部位に洗浄水が噴射されるような範囲(以下、単に「範囲H1」という。範囲H2〜H9についても同様とする。)内を4往復させる。その後、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を下方向へ移動させた後、洗浄水を噴射させつつ範囲H2内を4往復させる。このようにして、マイクロコンピューター89は、範囲H1〜H4のそれぞれの範囲において、洗浄水を噴射させつつ上ノズルリンク11を4往復させる。これにより、範囲H1〜H4のそれぞれの範囲において、集中的に洗浄水が噴射されることとなり、これら範囲のそれぞれにおいてより確実に髪に付着した汚れを流すことができる。
図B4では、図A4で説明した動作と同様の動作が行われる。
【0046】
図8(C)は、シャンプー工程を説明するための図である。
このシャンプー工程は、シャンプー液を含んだ剤液によって被洗髪者の髪を洗髪する工程である。マイクロコンピューター89は、シャンプー用ポンプ38を制御して、水にシャンプー液を混入して剤液を生成する。
なお、このシャンプー工程では、マイクロコンピューター89は、上述したリラクゼーション工程よりも、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12を速い速度で移動させる。これにより、被洗髪者に対し適切な刺激を与え、心地よさを感じさせることができるとともに、効率よく洗髪を行うことができる。
さらに、シャンプー工程では、リラクゼーション工程や、コンディショナー工程、すすぎ工程等と比較し、噴射圧力のレベルの平均値が高くなるよう、噴射圧力が制御される。このように、他の工程に比較して、被洗髪者に対し強い刺激を与えることにより、マッサージがされている間隔を際立たせ、マッサージのピークが来ていることを認識させるとともに、被洗髪者の快適性を向上する。本実施形態では、マイクロコンピューター89は、シャンプー工程における噴射圧力のレベルの平均値がレベル9となるよう、噴射圧力を制御する。
【0047】
図C1では、図A6で説明した動作と同様の動作が行われる。この図C1に示す動作は、「指圧洗い」と称される動作である。図C1に示す動作が実行されることにより、図A6の説明において述べた効果と同様の効果を奏することができる。さらに、ポイントPU1〜ポイントPU5に対し、集中的にシャンプー液を含んだ剤液が噴射されることとなり、頭部全体にシャンプー液を行き渡らせることができ、さらに、髪の根元に至るまでシャンプー液を浸透させることができる。
【0048】
図C2では、以下の動作が行われる。この図C2に示す動作は、「往復洗い」と称される動作である。
すなわち、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を頭頂位置T1まで移動させた後、所定の時間の間、頭頂位置T1において上ノズルリンク11の動きを停止し、上ノズルリンク11からシャンプー液を含んだ剤液をポイントPO1へ向かって噴射する。このポイントPO1は、「シンク2に収めた頭部における高い場所」に該当する。
次いで、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11からシャンプー液及びコンディショナー液のいずれも含まない洗浄水を噴射しつつ、上ノズルリンク11を下方向へ移動させる。その際、マイクロコンピューター89は、ポイントPO1に付着した剤液(シャンプー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(シャンプー液)の位置に洗浄水が噴射されるように上ノズルリンク11の動きを制御しつつ、上ノズルリンク11を下方向へ移動させる。ここで、事前の実験やシミュレーション等により、ポイントPO1に付着した剤液が頭部に沿って流れ落ちるときの速度や、噴射後の経過時間と当該経過時間が経過したときの頭部における洗浄液の位置との関係等が予め算出されており、かつ、流れ落ちる剤液にあわせて洗浄液が噴射されるように上ノズルリンク11を動かす場合に上ノズルリンク11をどう動かすべきかが判明しており、この動きを実現するためのプログラムが予めプログラミングされマイクロコンピューター89の記憶部に記憶されている。
【0049】
上ノズルリンク11が後頭位置T2に至るまで移動すると、マイクロコンピューター89は、洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11を上方向へ頭頂位置T1に至るまで移動させる。
次いで、マイクロコンピューター89は、再び頭頂位置T1において、ポイントPO1へ向かってシャンプー液を含む剤液を噴射し、さらに、ポイントPO1に付着した剤液(シャンプー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(シャンプー液)の位置に、シャンプー液及びコンディショナー液のいずれも含まない洗浄水が噴射されるように上ノズルリンク11の動きを制御しつつ、上ノズルリンク11を下方向へ移動させる。
マイクロコンピューター89は、上述したような上ノズルリンク11の往復移動を所定の回数繰り返し行う。
【0050】
このように本実施形態では、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11が頭頂部に位置しているときに、シャンプー液を含んだ剤液を噴射し、さらに、ポイントPO1に付着した剤液(シャンプー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(シャンプー液)の位置に洗浄液が噴射されるように上ノズルリンク11の動きを制御しつつ、上ノズルリンク11を下方向へ移動させる。これにより、以下の効果を奏することができる。
すなわち、ポイントPO1、換言すれば、上ノズルリンク11から剤液が噴射される範囲で最も高い位置において、シャンプー液を含んだ薬剤が噴射された上で、ポイントPO1に付着した剤液(シャンプー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(シャンプー液)の位置に洗浄液が噴射される構成としたため、流れ落ちる剤液の髪への浸透及び泡立ちが頭部の全域において促されることとなり、重力に従って流れ落ちる性質を最大限利用して頭部の全域に亘って好適にシャンプー液を含んだ剤液を行き渡らせることが可能となる。さらに、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置している間シャンプー液を含んだ剤液が噴射される構成のため、それ以外の間もシャンプー液を含んだ剤液を噴射する場合と比較して、シャンプー液の消費量を削減することができ、ランニングコストを抑制することができる。つまり、本実施形態によれば、シャンプー液を含んだ剤液が頭部の全域に行き渡る状態を維持した上で、ランニングコストの抑制を実現している。
なお、上記例では、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置しているときのみ、シャンプー液を含んだ剤液が噴射される構成であったが、例えば、頭頂位置T1と後頭位置T2との中間位置に上ノズルリンク11が至ったときにも剤液を噴射するようにしてもよい。すなわち、ポイントPO1等の、頭部における高い位置において集中的に剤液を噴射する限りにおいて、上述した効果を奏することができる。
【0051】
図C3では、以下の動作が行われる。なお、図C3に示す動作は、「もみ洗い」と称される動作である。また、図8Dにおいて、図C3を拡大した図を示している。
すなわち、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を頭頂位置T1まで移動させた後、所定の時間の間、頭頂位置T1において上ノズルリンク11の動きを停止し、上ノズルリンク11からシャンプー液を含んだ剤液をポイントPO1(図C2参照)へ向かって噴射する。
次いで、マイクロコンピューター89は、矢印G1に示すように、シャンプー液及びコンディショナー液を含まない洗浄水を噴射しながら、上ノズルリンク11を所定の距離だけ下方向へ移動させる。次いで、マイクロコンピューター89は、矢印Y1に示すように、シャンプー液及びコンディショナー液を含まない洗浄水を噴射しながら、上ノズルリンク11を当該所定の距離より短い距離だけ上方向へ移動させる。ここで、マイクロコンピューター89は、矢印Y1方向に移動している場合における洗浄水の噴射圧力よりも、矢印G1方向に移動している場合における洗浄水の噴射圧力を高くする。これにより、上述したように、髪のからまりを防止できる等の効果を奏する。その後、マイクロコンピューター89は、矢印G2、Y2、G3、Y3、G4が示すように、下方向への移動と、上方向への移動とを交互に繰り返しながら、上ノズルリンク11を後頭位置T2に至るまで移動させる。同様に、マイクロコンピューター89は、下ノズルリンク12を髪位置T3まで移動させた後、下後頭位置T4に至るまで、上述した上ノズルリンク11と同様の動作を下ノズルリンク12にさせる。
【0052】
上記動作に際し、マイクロコンピューター89は、ポイントPO1(図C2参照)に付着した剤液(シャンプー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(シャンプー液)の位置に洗浄水が噴射されるように上ノズルリンク11の動きを制御しつつ、上ノズルリンク11の下方向への移動と、上方向への移動とを交互に繰り返す。具体的には、図8Dを参照して、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H10に在圏している間に、矢印G1及び矢印Y1が示す一連の動作が行われ、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H11に在圏している間に、矢印G2及び矢印Y2が示す一連の動作が行われ、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H12に在圏している間に、矢印G3及び矢印Y3が示す一連の動作が行われ、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H13に在圏している間に、矢印G4が示す動作が行われる。なお、事前の実験、シミュレーション等により上述した動きとなるよう上ノズルリンク11の動きを制御するためのプログラムが開発され、このプログラムに基づいてマイクロコンピューター89により上ノズルリンク11の動きが制御される。
以上のような動作を行うことにより、図C2の説明で述べたのと同様の効果を得ることができる。すなわち、ポイントPO1、換言すれば、上ノズルリンク11から剤液が噴射される範囲で最も高い位置において、シャンプー液を含んだ薬剤が噴射された上で、ポイントPO1に付着した剤液(シャンプー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(シャンプー液)の位置に洗浄液が噴射される構成としたため、流れ落ちる剤液の髪への浸透及び泡立ちが頭部の全域において促されることとなり、重力に従って流れ落ちる性質を最大限利用して頭部の全域に亘って好適にシャンプー液を含んだ剤液を行き渡らせることが可能となる。特に、矢印Y1、Y2、Y3が示す動きにおいては、頭部に沿った剤液の流れに反して洗浄水が噴射されることとなり、シャンプー液を含む剤液をより頭部に浸透させることができ、かつ、当該剤液をより泡立たせることができる。
さらに、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置している間シャンプー液を含んだ剤液が噴射される構成のため、それ以外の間もシャンプー液を含んだ剤液を噴射する場合と比較して、シャンプー液の消費量を削減することができ、ランニングコストを抑制することができる。
なお、上記例では、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置しているときのみ、シャンプー液を含んだ剤液が噴射される構成であったが、例えば、矢印G3が示す動きの際に、上ノズルリンク11から剤液を噴射するようにしても良い。すなわち、ポイントPO1等の、頭部における高い位置において集中的に剤液を噴射すれば、上述した効果を奏することができる。
【0053】
図C4では以下の動作が行われる。この図C4に示す動作は「ごしごし洗い」と称される動作である。
マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を頭頂位置T1まで移動させた後、所定の時間の間、頭頂位置T1において上ノズルリンク11の動きを停止し、上ノズルリンク11からシャンプー液を含んだ剤液をポイントPO1(図C2参照)へ向かって噴射する。次いで、マイクロコンピューター89は、シャンプー液及びコンディショナー液を含まない洗浄水を噴射させつつ、被洗髪者の頭部における狭い範囲に対応する範囲H5内を複数回往復させる。ここで、被洗髪者の頭部における狭い範囲とは、上下方向における0.5cm以上3cm以下の範囲(本実施形態では約2cm)に規定されており、この範囲に、往復して洗浄水が噴射されることとなる。本実施形態では、マイクロコンピューター89は、頭部における約2cmの範囲に洗浄水が往復して噴射されるように、2秒間の間に、上ノズルリンク11に8往復させる。その際、マイクロコンピューター89は、洗浄水の噴射圧力を比較的高くするとともに、上ノズルリンク11の移動速度を比較的速くする。本実施形態では、マイクロコンピューター89は、噴射圧力のレベルをレベル8に制御する。
【0054】
このように、頭部における狭い範囲に対して、高速で往復移動する上ノズルリンク11から高い噴射圧力の洗浄水が噴射されることにより、当該部位に適度な刺激を与えることができ、被洗髪者に対し、当該部位が人手によって頭部がマッサージされているような感覚を与えることができる。さらに、頭部のかゆい部分を人手によってかいているような感触を実現することができ、被洗髪者の快適性を向上することができる。
さらに、リラクゼーション工程、第1すすぎ工程と比較し、強い噴射圧力で洗浄水が噴射されることとなり、リラクゼーション工程、第1すすぎ工程を通して頭部に洗浄水が噴射されることに慣れてきた被洗髪者に対し、適度な刺激を与えることができる。そして、被洗髪者は、適度な刺激を感じることにより、強いマッサージ感を得ることができる。
その後、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を所定距離だけ下方向へ移動させ、範囲H6において、範囲H5と同様の動作をさせる。このようにして、マイクロコンピューター89は、範囲H5〜H9のそれぞれの範囲において、洗浄水を噴射させつつ上ノズルリンク11を複数回往復させる。これにより、頭部における異なる複数の部位について上述した効果を奏することができる。
【0055】
さらに、上記動作に際して、マイクロコンピューター89は、ポイントPO1(図C2参照)に付着した剤液(シャンプー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(シャンプー液)の位置に洗浄水が噴射されるように上ノズルリンク11の動きを制御しつつ、上ノズルリンク11の往復移動を行う。具体的には、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H5に対応する場所に位置している間に範囲H5における上ノズルリンク11の往復移動が行われ、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H6に対応する場所に位置している間に範囲H6における上ノズルリンク11の往復移動が行われ、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H7に対応する場所に位置している間に範囲H7における上ノズルリンク11の往復移動が行われ、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H8に対応する場所に位置している間に範囲H8における上ノズルリンク11の往復移動が行われ、頭部に沿って流れ落ちる剤液が範囲H9に対応する場所に位置している間に範囲H9における上ノズルリンク11の往復移動が行われる。なお、事前の実験、シミュレーション等により上述した動きとなるよう上ノズルリンク11の動きを制御するためのプログラムが開発され、このプログラムに基づいてマイクロコンピューター89により上ノズルリンク11の動きが制御される。
【0056】
以上のような動作を行うことにより、図C2の説明で述べたのと同様の効果を得ることができる。すなわち、ポイントPO1、換言すれば、上ノズルリンク11から剤液が噴射される範囲で最も高い位置において、シャンプー液を含んだ薬剤が噴射された上で、ポイントPO1に付着した剤液(シャンプー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(シャンプー液)の位置に洗浄液が噴射される構成としたため、流れ落ちる剤液の髪への浸透及び泡立ちが頭部の全域において促されることとなり、重力に従って流れ落ちる性質を最大限利用して頭部の全域に亘って好適にシャンプー液を含んだ剤液を行き渡らせることが可能となる。特に、図C4が示す一連の動作においては、頭部に沿った剤液の流れに反して洗浄水が噴射される場合があり、シャンプー液を含む剤液をより頭部に浸透させることができ、かつ、当該剤液をより泡立たせることができる。
さらに、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置している間シャンプー液を含んだ剤液が噴射される構成のため、それ以外の間もシャンプー液を含んだ剤液を噴射する場合と比較して、シャンプー液の消費量を削減することができ、ランニングコストを抑制することができる。
なお、本実施形態では、範囲H5〜H9の5つの範囲が存在したが、範囲の数は5つに限らず、これ以上の範囲が存在していてもよい。
また、上記例では、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置しているときのみ、シャンプー液を含んだ剤液が噴射される構成であったが、例えば、範囲H7に対応する位置に上ノズルリンク11が位置している場合にも剤液を噴射するようにしても良い。すなわち、ポイントPO1等の、頭部における高い位置において集中的に剤液を噴射すれば、上述した効果を奏することができる。
【0057】
図C5では、図C2で説明した動作と同様の動作が行われる。
【0058】
図9Aは、第2すすぎ工程を説明するための図である。
この第2すすぎ工程は、シャンプー工程において頭部に噴射され、頭部および髪に残留するシャンプー液を含む剤液をすすぎ落とすための工程である。
この第2すすぎ工程においては、噴射圧力のレベルの平均値が、シャンプー工程における平均値より低くなるよう、噴射圧力が制御される。本実施形態では、第2すすぎ工程における噴射圧力のレベルの平均値がレベル8となるよう制御される。
【0059】
図D1では、図A3で説明した動作と同様の動作が行われ、図D2では、図B2で説明した動作と同様の動作が行われ、図D3では、図C3で説明した動作と同様の動作が行われる。
次いで、図D4を参照して、マイクロコンピューター89は、下ノズルリンク12を下後頭位置T4まで移動させた後、矢印Iに示すように、洗浄水を噴射しながら、所定の距離だけ上方向へ移動させる。その後、マイクロコンピューター89は、矢印Jに示すように、洗浄水を噴射しながら、下ノズルリンク12を当該所定の距離より短い距離だけ下方向へ移動させる。その際、マイクロコンピューター89は、下ノズルリンク12を下方向へ移動させる場合における洗浄水の噴射圧力を、上方向へ移動させる場合における洗浄水の噴射圧力より高くする。マイクロコンピューター89は、下ノズルリンク12が髪位置T3に至るまで上述した動作を繰り返し行わせる。
図D5では、図C3で説明した動作と同様の動作が行われる。図D6では、下ノズルリンク12は、図A5で説明した動作と同様動作をし、上ノズルリンク11は、洗浄水を噴射しない。図D7では、図A5で説明した動作と同様の動作が行われる。図D8では、上ノズルリンク11は、図A6で説明した動作と同様の動作をし、下ノズルリンク12は、図A6における上ノズルリンク11と略同様の動作をする。
【0060】
図9Bは、コンディショナー工程を説明するための図である。
コンディショナー工程とは、被洗髪者の頭部および髪にコンディショナー液を含む洗浄水を噴射し、いわゆるコンディショニングを行うための工程である。マイクロコンピューター89は、コンディショナー用ポンプ39を制御して、洗浄水にコンディショナー液を混入する。コンディショナー工程における、噴射圧力のレベルの平均値は、シャンプー工程における噴射圧力のレベルの平均値よりも低く、かつ、リラクゼーション工程における噴射圧力のレベルの平均値よりも高くなるよう制御される。本実施形態では、マイクロコンピューター89は、コンディショナー工程における噴射圧力のレベルの平均値がレベル8となるよう制御する。
図E1では、図A3で説明した動作と同様の動作が行われる。
【0061】
図E2では、図C2と同様の動作が行われる。図C2の動作について簡単に説明すると、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11を頭頂位置T1まで移動させた後、所定の時間の間、頭頂位置T1において上ノズルリンク11の動きを停止し、上ノズルリンク11からコンディショー液を含んだ剤液をポイントPO1へ向かって噴射する。このポイントPO1は、「シンク2に収めた頭部における高い場所」に該当する。
次いで、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11からシャンプー液及びコンディショナー液のいずれも含まない洗浄水を噴射しつつ、上ノズルリンク11を下方向へ移動させる。その際、マイクロコンピューター89は、ポイントPO1に付着した剤液(コンディショナー液)が頭部に沿って流れ落ちるのにあわせて、流れ落ちる剤液(コンディショナー液)の位置に洗浄水が噴射されるように上ノズルリンク11の動きを制御しつつ、上ノズルリンク11を下方向へ移動させる。これにより、図C2で説明した効果と同様、コンディショナー液を含んだ剤液が頭部の全域に行き渡る状態を維持した上で、ランニングコストの抑制を実現できる。
【0062】
図E3では、図C3で説明した動作と同様の動作が行われ、図E4では、図C2で説明した動作と同様の動作が行われる。これら図E3及び図E4が示す動作により、図C3及び図C2で説明したようにコンディショナー液を含んだ剤液が頭部の全域に行き渡る状態を維持した上で、ランニングコストの抑制を実現でき、さらに、コンディショー液が頭部により浸透することを促すことができる。
【0063】
図9Cは、第3すすぎ工程を説明するための図である。
この第3すすぎ工程は、コンディショナー工程において頭部に噴射され、頭部および髪に残留するコンディショナー液を含む洗浄水をすすぎ落とすための工程である。
この第3すすぎ工程においては、噴射圧力のレベルの平均値が、シャンプー工程における平均値より低くなるよう、噴射圧力が制御される。本実施形態では、第2すすぎ工程における噴射圧力のレベルの平均値がレベル8となるよう制御される。
図F1では、図A3で説明した動作と同様の動作が行われ、図F2では、図D8で説明した動作と同様の動作が行われ、図F3では、図B2で説明した動作と同様の動作が行われ、図F4では、図C3で説明した動作と同様の動作が行われ、図F5では、図B2で説明した動作と同様の動作が行われる。
【0064】
図10Aは、メントール薬剤噴射工程を説明するための図である。
このメントール薬剤噴射工程は、メントール系の薬剤を被洗髪者に対し噴射するための工程である。メントール薬剤噴射工程においては、被洗髪者に対し、メントール系の薬剤が穏やかに吹きかけられている、という感覚を与えるため、薬剤が噴射される際の噴射圧力が低くなるよう、噴射圧力が制御される。例えば、レベル6に相当する噴射圧力となるよう制御される。
図G1を参照して、図G1では、図A7で説明した動作と同様の動作が行われる。その際、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11の動きを緩やかなものとするとともに、上ノズルリンク11から噴射される洗浄水の噴射圧力を低くする。
次いで、図G2を参照して、図の矢印に示すように、マイクロコンピューター89は、薬剤供給用ポンプ94および薬剤ノズルバルブ95などを制御して、メントール系の薬剤を被洗髪者の頭部に噴射させる。
メントール系の薬剤が、頭部に噴射された場合、被洗髪者に、爽快感、清涼感を与えることができ、被洗髪者の快適性が向上する。
【0065】
図10Bは、第4すすぎ工程を説明するための図である。
この第4すすぎ工程は、メントール薬剤噴射工程において、被洗髪者に噴射され、被洗髪者の髪や頭部に残留するメントール系の薬剤をすすぎ落とすための工程である。
図H1を参照して、図H1では、図A4で説明した動作と同様の動作が行われる。その際、マイクロコンピューター89は、洗浄水の噴射水圧を徐々に低くしていく。これにより、被洗髪者に対し、自動洗髪に係る一連の動作が終了することを認識させる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る自動洗髪機1は、被洗髪者の頭部を収めるシンク2を備え、シンク2に収めた頭部を洗髪する。そして、自動洗髪機1は、シンク2に収めた頭部に沿って移動しつつ、洗浄水又は薬剤液のいずれかの液体を噴射可能な上ノズルリンク11と、シンク2に収めた頭部における高い場所に液体を噴射可能な位置に上ノズルリンク11が位置しているときに、他の位置に位置しているときよりも、集中的に剤液を噴射させるマイクロコンピューター89と、を備えている。
これによれば、頭部の高い場所に噴射された剤液が流れ落ちることにより、頭部全域に剤液が行き渡るため、重力に従って流れ落ちる性質を最大限利用して頭部の全域に亘って好適にシャンプー液を含んだ剤液を行き渡らせることが可能となる。
【0067】
また、本実施形態では、マイクロコンピューター89は、シンク2に収めた頭部における高い場所に薬剤液を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した薬剤液が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、上ノズルリンク11の移動、及び、上ノズルリンク11による液体の噴射を制御する。
これによれば、頭部に沿って流れ落ちる剤液を利用して、頭部の全域に好適に剤液を行き渡らせることができ、さらに、頭部の全域にシャンプーを噴射する場合と比較して、ランニングコストの抑制を実現できる。
【0068】
また、本実施形態では、マイクロコンピューター89は、シンク2に収めた頭部における高い場所に薬剤液を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した薬剤液が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、当該頭部における薬剤液の位置に対応する場所に洗浄水が噴射されるように、上ノズルリンク11の移動、及び、上ノズルリンク11による液体の噴射を制御する。
これによれば、流れ落ちる剤液の髪への浸透及び泡立ちが頭部の全域において促されることとなり、重力に従って流れ落ちる性質を最大限利用して頭部の全域に亘って好適にシャンプー液(又はコンディショナー液)を含んだ剤液を行き渡らせることが可能となる。特に、本実施形態では、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置している間シャンプー液を含んだ剤液が噴射される構成のため、それ以外の間もシャンプー液を含んだ剤液を噴射する場合と比較して、シャンプー液の消費量を削減することができ、ランニングコストを抑制することができる。つまり、本実施形態によれば、シャンプー液を含んだ剤液が頭部の全域に行き渡る状態を維持した上で、ランニングコストの抑制を実現している。
【0069】
また、本実施形態では、マイクロコンピューター89は、シンク2に収めた頭部における高い場所に薬剤液を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した薬剤液が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、所定の範囲内で洗浄水が往復して噴射されるように前記ノズルリンクを制御しつつ、当該頭部における薬剤液の位置に対応する場所に洗浄水が噴射されるように、上ノズルリンク11の移動、及び、上ノズルリンク11による液体の噴射を制御する。
これによれば、剤液(シャンプー液又はコンディショナー液)が頭部に沿って流れ落ちるのと対応させて、流れ落ちる剤液(シャンプー液又は)の位置に洗浄液が噴射される構成としたため、流れ落ちる剤液の髪への浸透及び泡立ちが頭部の全域において促されることとなり、重力に従って流れ落ちる性質を最大限利用して頭部の全域に亘って好適にシャンプー液を含んだ剤液を行き渡らせることが可能となる。特に、洗浄水が往復して噴射されることにより、頭部に沿った剤液の流れに反して洗浄水が噴射されることとなり、シャンプー液を含む剤液をより頭部に浸透させることができ、かつ、シャンプー液を含む剤液の場合、シャンプー液をより泡立たせることができる。
さらに、本実施形態では、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置している間シャンプー液を含んだ剤液が噴射される構成のため、それ以外の間もシャンプー液を含んだ剤液を噴射する場合と比較して、シャンプー液の消費量を削減することができ、ランニングコストを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、マイクロコンピューター89は、シンク2に収めた頭部における高い場所に薬剤液を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した薬剤液が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、前記ノズルリンクから噴射される液体の噴射圧力を制御することを特徴とする。
すなわち、本実施形態では、図C3で説明した「もみ洗い」においては、矢印Y1方向に移動している場合における洗浄水の噴射圧力よりも、矢印G1方向に移動している場合における洗浄水の噴射圧力を高くする。これにより、上述したように、髪の生える向きと同じ向きに順次洗浄水を噴射させる場合の噴射圧力が、逆方向へ上ノズルリンク11を移動させる場合、すなわち、髪の生える向きと逆向きに順次洗浄水を噴射させる場合の噴射圧力と比較して、高くなる。このため、自動洗髪中、人手によってマッサージされているという感覚を被洗髪者に与えることができる。さらに、髪の生える向きと逆向きに順次洗浄水を噴射させる場合の噴射圧力が弱いため、逆毛状態が発生しにくく、髪が絡まるのを防止できるとともに、被洗髪者の快適性を向上することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上ノズルリンク11を、シンク2に収めた頭部の頭頂部に対応する頭頂位置T1から、後頭部に対応する後頭位置T2までの間を反復移動可能に構成し、マイクロコンピューター89は、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置したときに、集中的に薬剤液を噴射させる。
これによれば、上ノズルリンク11から剤液が噴射される範囲で最も高い位置である頭頂位置T1において、頭部における高い位置である頭頂部に対して好適に剤液を噴射することができる。
【0072】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、図7〜図10を用いて自動洗髪機1による自動洗髪に係る動作の一例を説明したが、自動洗髪に係る動作は説明したものに限らない。例えば、各動作の順番が変わったり、また、各動作を繰り返し行うようにしたりしてもよい。
また、薬剤噴射機構90の構成は、上述した実施形態で説明した構成に限らず、例えば、メントール系の薬剤を上ノズルリンク11や、下ノズルリンク12から噴射する構成であってもよい。
また、すすぎ工程において、頭部の高い位置に集中的に洗浄水を噴射するようにしてもよい。この場合であっても、上述した理由と同様の理由により、頭部の全域に洗浄水が行き渡る状態を維持した上で、洗浄水の消費量を抑え、これにより、ランニングコストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 自動洗髪機
2 シンク
2A 壁部
T1 頭頂位置
T2 後頭位置
11 上ノズルリンク(ノズルリンク)
12 下ノズルリンク(ノズルリンク)
89 マイクロコンピューター(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗髪者の頭部を収めるシンクを備え、前記シンクに収めた頭部を洗髪する自動洗髪機において、
前記シンクに収めた頭部に沿って移動しつつ、洗浄水又は剤液のいずれかの液体を噴射可能なノズルリンクと、
前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射可能な位置に前記ノズルリンクが位置している場合に集中的に前記ノズルリンクから液体を噴射させる制御部と、を備えることを特徴とする自動洗髪機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した液体が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、前記ノズルリンクの移動、及び、前記ノズルリンクによる液体の噴射を制御することを特徴とする請求項1に記載の自動洗髪機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した液体が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、当該頭部における液体の位置に対応する場所に液体が噴射されるように、前記ノズルリンクの移動、及び、前記ノズルリンクによる液体の噴射を制御することを特徴とする請求項2に記載の自動洗髪機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した液体が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、所定の範囲内で洗浄水が往復して噴射されるように前記ノズルリンクを制御しつつ、当該頭部における液体の位置に対応する場所に液体が噴射されるように、前記ノズルリンクの移動、及び、前記ノズルリンクによる液体の噴射を制御することを特徴とする請求項2に記載の自動洗髪機。
【請求項5】
前記制御部は
前記シンクに収めた頭部における高い場所に液体を噴射した後、この噴射により当該頭部に付着した液体が当該頭部に沿って落下するのと対応させて、前記ノズルリンクから噴射される液体の噴射圧力を制御することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の自動洗髪機。
【請求項6】
前記ノズルリンクを、前記シンクに収めた頭部の頭頂部に対応する頭頂位置から、後頭部に対応する後頭位置までの間を反復移動可能に構成し、
前記制御部は、
前記ノズルリンクが前記頭頂位置に位置したときに、集中的に液体を噴射させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動洗髪機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−212249(P2011−212249A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83678(P2010−83678)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】