説明

自動販売機のセンサ取付装置

【課題】センサの検知角度の調整作業を簡単なものとすることができる自動販売機のセンサ取付装置を提供すること。
【解決手段】外扉10の第2センサS窓部17の後方域に配設され、水平面を構成する水平延在部411と、その後端部より上方に向けて延在して上下方向が長手方向となる長孔412aが形成された垂上部412とを有する支持板金部材41と、センサSに一体的に取り付けられ、前端部が水平延在部411に形成された係止孔411aに進入して支持板金部材41に係合する基部421と、その後端部の一部より上方に向けて延在してねじ孔423aが形成された取付片部423とを有する取付板金部材42と、長孔412a及びねじ孔423aを後方側より挿通して支持板金部材41と取付板金部材42とを締結させるねじ部材43とを備え、ねじ部材43が長孔412aを長手方向に沿って移動することで、センサSの検知角度を調整するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機のセンサ取付装置に関し、より詳細には、自動販売機本体の前面開口を開閉する外扉に形成された窓部を通じて所定範囲内における対象物を検知するセンサを、該センサの検知角度が調整可能となる態様で取り付ける自動販売機のセンサ取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機本体である本体キャビネットの前面開口を開閉する外扉に形成された窓部を通じて所定範囲内における対象物を検知するセンサを、該センサの検知角度が調整可能となる態様で該外扉に取り付ける自動販売機のセンサ取付装置として支持部材と取付部材とを備えたものが知られている。
【0003】
支持部材は、長尺状の基部に連結された左右一対の支持板を有し、各支持板には、ピン孔及び該ピン孔を中心とする適当半径の円周上に設けられた複数の係止孔が形成されている。取付部材は、センサに一体的に取り付けられた左右一対の取付板を有し、各取付板には、2つのねじ孔(第1ねじ孔及び第2ねじ孔)が形成されている。
【0004】
このような構成のセンサ取付装置では、一のねじ部材がピン孔及び第1ねじ孔を挿通し、他のねじ部材がいずれかの係止孔及び第2ねじ孔を挿通することで、センサの検知角度が調整できるようにしてある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3052664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したようなセンサ取付装置では、左右一対の支持板及び左右一対の取付板のそれぞれに形成された所定の孔部に各ねじ部材を挿通させることでセンサの検知角度を調整できるようにしているために、センサの検知角度を変更する場合には、該センサの左右方向から操作する必要があった。一方、自動販売機の外扉は、上下左右が筐体部分により閉塞されているのが一般的である。そのため、センサの検知角度を調整する場合には、センサ取付装置を外扉より一旦取り外し、所望の検知角度に調整した後に再度外扉に設置する必要があり、検知角度の調整作業が煩雑なものであった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、センサの検知角度の調整作業を簡単なものとすることができる自動販売機のセンサ取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機のセンサ取付装置は、自動販売機本体の前面開口を開閉する外扉に形成された窓部を通じて所定範囲内における対象物を検知するセンサを、該センサの検知角度が調整可能となる態様で該外扉に取り付ける自動販売機のセンサ取付装置において、前記外扉における窓部の後方域に配設されて成り、水平面を構成する水平延在部と、該水平延在部の後端部より上方に向けて延在し、かつ上下方向が長手方向となる長孔が形成された垂上部とを有する支持部材と、前記センサに一体的に取り付けられて成り、該センサの下方域において前端部が前記水平延在部に形成された係止孔に進入して前記支持部材に係合する基部と、該基部の後端部の一部より上方に向けて延在し、かつねじ孔が形成された取付片部とを有する取付部材と、前記長孔及び前記ねじ孔を後方側より挿通して前記支持部材と前記取付部材とを締結させるねじ部材とを備え、前記ねじ部材が前記長孔を長手方向に沿って移動することで、前記センサの検知角度を調整するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機のセンサ取付装置は、上述した請求項1において、前記取付部材は、前記基部に対する前記取付片部のなす角が常態においては鈍角となり、かつ該取付片部の後面が前記垂上部の前面に常時接することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機のセンサ取付装置は、上述した請求項1又は請求項2において、前記取付部材は、前記基部と前記取付片部との境界部分に孔部が形成されて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動販売機のセンサ取付装置によれば、外扉における窓部の後方域に配設されて成り、水平面を構成する水平延在部と、該水平延在部の後端部より上方に向けて延在し、かつ上下方向が長手方向となる長孔が形成された垂上部とを有する支持部材と、センサに一体的に取り付けられて成り、該センサの下方域において前端部が水平延在部に形成された係止孔に進入して支持部材に係合する基部と、該基部の後端部の一部より上方に向けて延在し、かつねじ孔が形成された取付片部とを有する取付部材と、長孔及びねじ孔を後方側より挿通して支持部材と取付部材とを締結させるねじ部材とを備え、ねじ部材が長孔を長手方向に沿って移動することで、センサの検知角度を調整するようにしたので、センサの検知角度を調整する場合には、外扉を開成移動させた後に支持部材を取り外すことなく、ねじ部材を移動させるだけでよい。従って、センサの検知角度の調整作業を簡単なものとすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるセンサ取付装置が適用された自動販売機を前方斜め上方より示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した外扉の筐体構造を後方から示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示した外扉の要部の縦断面を拡大して示す断面側面図である。
【図4】図4は、図3に示した特徴部分を更に拡大して示す断面側面図である。
【図5】図5は、センサ取付装置の要部を分解して示す分解斜視図である。
【図6】図6は、図3及び図4に示したセンサ取付装置を後方斜め上方より示す拡大斜視図である。
【図7】図7は、図3及び図4に示したセンサ取付装置の要部を拡大して示す断面側面図である。
【図8】図8は、センサの検知角度を調整した状態を拡大して示す断面側面図である。
【図9】図9は、図1に示した外扉の要部の横断面を拡大して示す断面平面図である。
【図10】図10は、図9に示した扉開閉装置を模式的に示す斜視図である。
【図11】図11は、図2に示したディスプレイ装置を模式的に示す説明図である。
【図12】図12は、ダクト構造を構成する給気導入部材及び排気導入部材を模式的に示す説明図である。
【図13】図13は、図2に示した補強部材を模式的に示す説明図である。
【図14】図14は、図1に示した本体キャビネットの機械室の要部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機のセンサ取付装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態であるセンサ取付装置が適用された自動販売機を前方斜め上方より示す斜視図である。ここで例示する自動販売機は、自動販売機本体である本体キャビネット1に収納した商品を販売するためのもので、本体キャビネット1の前面に外扉10を備えている。
【0015】
図2は、図1に示した外扉10の筐体構造を後方から示す斜視図である。かかる図2を適宜利用して外扉10の構成について説明する。外扉10は、本体キャビネット1の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1の左側縁部(一側縁部)に開閉可能に配設してある。この外扉10には、表示窓部11、商品取出口12、情報交信部13、紙幣投入口14、硬貨投入口15、第1センサ窓部16、第2センサ窓部17等、商品を販売する上で必要となる構成が設けてある。尚、本実施の形態においては、右側とは、自動販売機を正面から見た場合の右方を示し、左側とは、自動販売機を正面から見た場合の左方を示すものとして説明する。
【0016】
表示窓部11は、図2に示すように、外扉10に設置されたディスプレイ装置30の表示部31を前方側より視認させるとともに操作させるための開口である。このディスプレイ装置30の表示部31は、タッチパネル式画面となっており、販売対象となる商品及び商品価格を表示する表示手段としての機能を有するとともに、利用者により商品を表示する部分が押圧されると、当該商品が選択された旨の信号を図示せぬ制御装置に与える入力手段としての機能を有するものである。また、かかる表示部31は、後述するセンサSにより所定の範囲内に対象となる人を検知しない場合には、予め設定された広告等を表示する機能を有している。
【0017】
商品取出口12は、本体キャビネット1に収納された商品が払い出された場合に、これを外部に取り出すための開口である。情報交信部13は、携帯端末を翳すことによりイベント情報等の種々の情報を無線により該携帯端末に書き込むものである。
【0018】
紙幣投入口14は、利用者が紙幣を投入するための開口である。この紙幣投入口14を通じて投入された紙幣は、ビルバリデータと称される図示せぬ紙幣処理装置において処理されることになる。紙幣処理装置は、紙幣投入口14を通じて投入された紙幣が正規なものであるか否かを識別し、正規なものとして識別した紙幣を内部に取り込む一方、損傷や偽造等の理由により正規な紙幣として識別できなかった紙幣を返却するものである。また、紙幣処理装置は、紙幣が投入された直後に返却レバー18が操作された場合、これを返却するように機能する。尚、紙幣投入口14は、紙幣を返却する際の紙幣返却口としても機能するように構成してある。
【0019】
硬貨投入口15は、利用者が硬貨を投入するための開口である。この硬貨投入口15を通じて投入された硬貨は、コインメックと称される図示せぬ硬貨処理装置において処理されることになる。硬貨処理装置は、硬貨投入口15を通じて投入された硬貨が正規なものであるか否かを識別し、正規なものとして識別した硬貨を内部に取り込む一方、損傷や偽造等の理由により正規なものとして識別できなかった硬貨を返却するものである。また、硬貨処理装置は、硬貨が投入された直後に返却レバー18が操作された場合、これを返却するように機能する。尚、硬貨処理装置によって正規なものとして内部に取り込まれた硬貨は、硬貨処理装置に内蔵される金種別の釣銭筒にそれぞれ収容され、当該釣銭筒が満杯の場合には、図示していない硬貨回収箱に回収されることになる。また、硬貨投入口15から投入した硬貨を返却する場合には、外扉10の下部に設けた硬貨返却口19を通じて行われる。尚、図1中の符号20は、電子マネー等の金銭情報が格納されたICカード(記録媒体)が翳された場合に該ICカードとの間で通信を行い必要な情報の読み出し及び書き込みを行うためのリーダライタ部である。
【0020】
第1センサ窓部16は、表示窓部11の上方側中央に配設してある。この第1センサ窓部16は、詳細な説明は割愛するが、自動販売機の前面に立つ人物の性別や年齢等を予め設定された基準に従って判断するセンサ(図示せず)の観察用開口である。
【0021】
第2センサ窓部17は、複数(図示の例では3つ)あり、表示窓部11の下方側において左右方向に沿ってそれぞれが互いに離隔する態様で設けてある。
【0022】
このような外扉10は、上記構成の他に、センサ取付装置40及び扉開閉装置50を備えて構成してある。ここで図3は、図1に示した外扉10の要部の縦断面を拡大して示す断面側面図であり、図4は、図3に示した特徴部分を更に拡大して示す断面側面図であり、図5は、センサ取付装置40の要部を分解して示す分解斜視図である。これら図3〜図5を適宜利用しながらセンサ取付装置40について説明する。
【0023】
センサ取付装置40は、支持板金部材41及び取付板金部材42を備えて構成してある。支持板金部材41は、平板状の板金を屈曲加工して縦断面が略L字状を成すよう構成されるもので、左右方向が長手方向となる長尺状の部材である。この支持板金部材41は、第2センサ窓部17の後方域において自身の両端部41aがねじ41bにより外扉10の枠体(図示せず)に締結されて配設してある。このような支持板金部材41は、水平延在部411及び垂上部412を有している。
【0024】
水平延在部411は、水平面を構成する部位であり、外扉10の支持板金21に載置している。この水平延在部411の前端部は上方に屈曲しており、屈曲部位を含む個所には係止孔411aが形成してある。
【0025】
垂上部412は、水平延在部411の後端部より上方に向けて延在する部位であり、その上端延部は前方に向けて屈曲している。この垂上部412には上下方向が長手方向となる長孔412aが形成してある。また、垂上部412には、図5に示すように切欠412bが形成してある。かかる切欠412bは、センサSに接続された配線を通すためのものである。
【0026】
取付板金部材42は、平板状の板金を切削加工及び屈曲加工して構成されるもので、基部421と、支持片部422と、取付片部423とを有している。基部421は、平板状のものであり、前端部に前方に向けて突出する2つの進入部421aを有している。この基部421の後端部は分割されて3つの舌片状部位が形成してある。
【0027】
支持片部422は、基部421の後端部の3つの舌片状部位のうち左右の舌片状部位を上方に向けて直角に屈曲させて形成したものである。つまり、支持片部422は、基部421の後端部の一部より上方に向けて延在するものである。この支持片部422には貫通孔422aが形成してあり、この貫通孔422aを貫通する取付ねじ422bによりセンサSが取り付けられている。このように取付板金部材42は、取付ねじ422bを介してセンサSに一体的に取り付けられて成る部材である。ここでセンサSは、図には明示しないが、前面に発光部及び受光部を有しており、所定範囲内における人物等を検知することが可能な人感センサである。かかるセンサSは、人物等を検知した場合には検知信号を制御装置に与える。これによりディスプレイ装置30の表示部31は、広告等の表示から商品及び商品価格の表示に変更する。
【0028】
取付片部423は、基部421の後端部の3つの舌片状部位のうち中央の舌片状部位を上方に向けて屈曲させて形成したものである。つまり、取付片部423は、基部421の後端部の一部より上方に向けて延在するものである。この取付片部423にはねじ孔423aが形成してある。また、取付片部423は、基部421とのなす角θが常態においては鈍角となるように屈曲させてある。
【0029】
更に、この取付片部423と基部421との境界部分には複数の孔部423bが形成してある。このように複数の孔部423bが形成してあることにより、取付片部423は基部421との境界部分を支点として前後方向に沿って容易に変形することが可能である。
【0030】
このような取付板金部材42は、基部421の進入部421aをそれぞれ支持板金部材41を構成する水平延在部411の係止孔411aに進入させて基部421を支持板金部材41に係合させ、支持板金部材41の垂上部412に形成された長孔412aと、取付板金部材42の取付片部423に形成されたねじ孔423aとに後方側よりねじ部材43を挿通させることで、図6に示すように支持板金部材41に締結される。このとき取付板金部材42の取付片部423の後面423cが支持板金部材41の垂上部412の前面412cに常時接するようにする。
【0031】
これにより、図7に示すようにセンサSを傾斜した姿勢で第2センサ窓部17の後方域に配設することができる。このとき、センサSは水平面に対して下方に約6°傾いており、図6に示すようにねじ部材43は長孔412aの上端縁部に接した状態となっている。これによりセンサSは、第2センサ窓部17を通じて所定範囲内における対象物(人物)を検知することが可能になる。
【0032】
ところで、このようなセンサSの配設状態ではセンサSが本来の検知対象である人物ではなく柱等を検知してしまう等の不都合が生ずることがある。このような場合、センサSの傾斜角度を変更することにより検知角度を調整する必要がある。センサSの検知角度を調整する場合には、長孔412aから後方に突出するねじ部材43の頭部を下方に向けて押圧する。つまり、ねじ部材43を長孔412aの長手方向に沿って下方に向けて移動させる。これにより、該ねじ部材43に挿通されるねじ孔423aを有する取付板金部材42は、進入部421aと係止孔411aの開口縁部との当接個所を支点として下方に向けて移動することになる。このとき、取付板金部材42の取付片部423は、自身の後面423cが垂上部412の前面412cに摺接した状態で基部421との境界部分を支点として前方に向けて弾性変形する。つまり、垂上部412には取付片部423より弾性変形による反力が作用しており、これによりねじ部材43の下方への移動を停止させてもその時点でのセンサSの傾斜角度を保持することが可能になる。
【0033】
そして、ねじ部材43が長孔412aの下端縁部に接することで、取付板金部材42は、図8に示すように基部421の下面が水平延在部411の上面に接し、センサSを水平姿勢で第2センサ窓部17の後方域に配設することができる。このとき基部421に対する取付片部423のなす角θは略直角となる。つまり、上記センサ取付装置40においては、センサSの検知角度を水平面に対して0〜6°の間で調整することができる。
【0034】
図9は、図1に示した外扉10の要部の横断面を拡大して示す断面平面図である。ここで例示する扉開閉装置50は、操作カム部材51とスライダ部材52とを備えて構成してある。
【0035】
操作カム部材51は、外扉10の前面に設けられた操作ハンドルHの操作に応じて自身の軸心L回りに回動するものである。より詳細には、操作カム部材51は、基準位置と進出位置との間で軸心L回りに回動するものである。ここで基準位置は、操作ハンドルHを施錠操作した場合の操作カム部材51の位置であり、進出位置は、操作ハンドルHを解錠操作した場合の操作カム部材51の位置である。
【0036】
スライダ部材52は、図10に示すように横断面がコ字状を成す長尺状部材である。このスライダ部材52は、解錠位置と施錠位置との間で上下方向に沿ってスライド移動可能に配設してある。ここで解錠位置は、スライダ部材52の上限位置であり、外扉10が開閉移動することにより本体キャビネット1に設けられたロック爪部材2が該スライダ部材52の矩形状孔部521に相対的に進入及び離脱することを許容する位置である。施錠位置は、スライダ部材52の下限位置であり、矩形状孔部521に相対的に進入したロック爪部材2が該矩形状孔部521より離脱することを規制する位置である。
【0037】
このようなスライダ部材52は、当接片522を有している。当接片522は、上方から見た場合にL字状を成す板状体であり、スライダ部材52に設けられた貫通孔523を貫通する態様で基端部がねじにより該スライダ部材52に取り付けられている。この当接片522は、先端部が操作カム部材51の軸心Lに近接する態様で突出するよう設けてある。
【0038】
このような扉開閉装置50においては、操作ハンドルHを施錠操作することにより操作カム部材51が基準位置に位置する場合には、スライダ部材52を施錠位置に位置させる一方、操作ハンドルHを解錠操作することにより操作カム部材51が基準位置から進出位置に向けて回動する場合には、操作カム部材51が当接片522に当接することによりスライダ部材52を施錠位置から解錠位置にスライド移動させることになる。尚、スライダ部材52を施錠位置から解錠位置までスライド移動させた後に、操作ハンドルHを施錠操作することで操作カム部材51が進出位置から基準位置まで回動させると、スライダ部材52は、自身の自重により、あるいは図示せぬ操作カム部材51との連係手段を介して解錠位置から施錠位置までスライド移動するものである。
【0039】
以上説明した自動販売機は、ダクト構造60を更に有している。ダクト構造60は、給気ダクト61、第1排気ダクト62及び第2排気ダクト63(図14参照)を備えて構成してあり、外気をディスプレイ装置30に送出するとともに、ディスプレイ装置30からの排気を自動販売機の外部に排出するものである。
【0040】
ここでディスプレイ装置30について説明する。ディスプレイ装置30は、上述したように前面にタッチパネル式画面である表示部31を有するものであり、図11に示すように、左側面に吸気口32が形成してあり、右側面に排気口33が形成してある。このようなディスプレイ装置30においては、吸気口32よりも内方個所に図には明示しない吸気ファンが配設してあり、かかる吸気ファンが駆動することで吸気口32を通じての吸気が可能になる。また排気口33よりも内方個所に図には明示しない排気ファンが配設してあり、かかる排気ファンが駆動することで排気口33を通じての排気が可能になる。
【0041】
ダクト構造60を構成する給気ダクト61は、吸気ファンの駆動により、外扉10の下端に形成した外気入口(図示せず)から外気を吸気口32に送出するためのもので、図2に示すように、外扉10の背面において補強金22により主に構成されている。より詳細には、かかる補強金22と外扉10の左側部とにより主に構成されるものである。
【0042】
このような給気ダクト61は、給気導入部材611及び補強部材612を有している。給気導入部材611は、図12の(a)に示すように横断面がコ字状を成す長尺状部材である。この給気導入部材611は、ディスプレイ装置30を外扉10に取り付ける際に装着され、該ディスプレイ装置30を外扉10から取り出す際に取り外される着脱可能なものである。このような給気導入部材611は、外扉10に装着された場合にディスプレイ装置30の吸気口32に連通する導出口611aが形成してある。尚、図12の(a)中の符号611bは、給気ダクト61を構成する補強金22に形成された送出口(図示せず)から空気を流入する流入口である。
【0043】
補強部材612は、外扉10の背面において左下端部に配設してあり、外扉10の補強金22を補強する機能を有するものである。かかる補強部材612は、背面から見た場合に三角形状を有しており、図13に示すように下面及び左側面に第1通過口612a及び第2通過口612bが形成してある。このような補強部材612は、外気入口を通じて進入した外気を、第1通過口612aを通じて自身の内部に進入させ、第2通過口612bを通じて送出することで、自身の内部を通過させるものである。
【0044】
このような補強部材612を用いることで、空気の流路が直角となることを回避し、外気の流れを良好なものとすることができる。
【0045】
ダクト構造60を構成する第1排気ダクト62は、排気ファンの駆動により、排気口33から排出された排気を本体キャビネット1の機械室3に向けて送出するためのものである。ここで機械室3は、本体キャビネット1の下方、すなわち販売する商品を収納する商品収容庫の下方に区画された室であり、圧縮機4や凝縮器5等の種々の機器が配設されている(図14参照)。この第1排気ダクト62は、図2に示すように外扉10の背面において補強金23により主に構成されており、より詳細には、かかる補強金23と外扉10の右側部とにより主に構成されるものである。
【0046】
このような第1排気ダクト62は、排気導入部材621を有している。排気導入部材621は、図12の(b)に示すように横断面がコ字状を成す長尺状部材である。この排気導入部材621は、ディスプレイ装置30を外扉10に取り付ける際に装着され、該ディスプレイ装置30を外扉10から取り出す際に取り外される着脱可能なものである。このような排気導入部材621には、外扉10に装着された場合にディスプレイ装置30の排気口33に連通する導入口621aが形成してある。尚、図12の(b)中の符号621bは、第1排気ダクト62を構成する補強金23に形成された受入口23aに排気を流出する流出口である。
【0047】
第2排気ダクト63は、図14に示すように、機械室3において仕切壁6により圧縮機4等が配設された室と仕切られており、第1排気ダクト62に連通している。この第2排気ダクト63は、排気ファンの駆動により、第1排気ダクト62を通じて送出された排気を本体キャビネット1の外部に排出するものである。
【0048】
以上のような構成を有する自動販売機においては、次のような作用効果を奏することができる。
【0049】
自動販売機のセンサ取付装置40によれば、垂上部412(支持板金部材41)の長孔412a及び取付片部423(取付板金部材42)のねじ孔423aを後方側より挿通して支持板金部材41及び取付板金部材42を締結するねじ部材43を長孔412aの長手方向(上下方向)に沿って移動させることでセンサSの検知角度を調整できるので、センサSの検知角度を調整する場合には、外扉10を開成移動させた後に支持板金部材41を取り外すことなくねじ部材43を移動させるだけでよい。従って、センサSの検知角度の調整作業を簡単なものとすることができる。
【0050】
また、上記センサ取付装置40によれば、基部421に対する取付片部423のなす角θが常態においては鈍角とし、かつ該取付片部423の後面423cが垂上部412の前面412cに常時接するようにしているために、例えばねじ部材43が緩んで支持板金部材41と取付板金部材42との締結力が弱まったとしても、取付片部423は、自身の弾性復元力により基部421とのなす角θを鈍角に保持することで、センサSの検知角度を初期の角度に維持することができる。
【0051】
自動販売機の扉開閉装置50によれば、操作カム部材51の軸心Lに近接する態様で突出するよう設けられ、かつ基準位置から進出位置に向けて回動する操作カム部材51に当接可能な当接片522がスライダ部材52に設けられているので、操作カム部材51の延在長さを大きくする必要がない。よって、スライダ部材52と操作カム部材51との離間距離が大きくなってしまっても操作ハンドルHの操作力の増大を抑制することができる。
【0052】
上記自動販売機によれば、ディスプレイ装置30の右側面に排気口33が設けてあるので、ディスプレイ装置30の背面域に排気に要する専用のスペースが不要であり、これにより自動販売機自体の大型化や商品収納数の低減化を抑制することができる。しかもダクト構造60を構成する第1排気ダクト62及び第2排気ダクト63がディスプレイ装置30からの排気を外部に良好に排出することができるので、ディスプレイ装置30の排熱により自動販売機構成機器に悪影響を与える虞れがない。従って、自動販売機自体の大型化や商品収納数の低減化を抑制し、ディスプレイ装置30からの排気を外部に良好に排出することで排熱により自動販売機構成機器に悪影響を与えることを防止することができる。
【0053】
また、自動販売機によれば、ダクト構造60を構成する給気ダクト61及び第1排気ダクト62は、外扉10の補強金22,23により主に構成してあるので、スペースを有効活用することができ、これによっても自動販売機の大型化や商品収納数の低減化を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明に係る自動販売機のセンサ取付装置は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 本体キャビネット
2 ロック爪部材
3 機械室
4 圧縮機
5 凝縮器
6 仕切壁
10 外扉
17 第2センサ窓部
22 補強金
23 補強金
30 ディスプレイ装置
31 表示部
32 吸気口
33 排気口
40 センサ取付装置
41 支持板金部材
411 水平延在部
411a 係止孔
412a 長孔
412b 切欠
412c 前面
412 垂上部
42 取付板金部材
421 基部
421a 進入部
422 支持片部
422a 貫通孔
422b 取付ねじ
423 取付片部
423a ねじ孔
423b 孔部
423c 後面
43 ねじ部材
50 扉開閉装置
51 操作カム部材
52 スライダ部材
521 矩形状孔部
522 当接片
60 ダクト構造
61 給気ダクト
611 給気導入部材
612 補強部材
62 第1排気ダクト
621 排気導入部材
63 第2排気ダクト
H 操作ハンドル
L 軸心
S センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機本体の前面開口を開閉する外扉に形成された窓部を通じて所定範囲内における対象物を検知するセンサを、該センサの検知角度が調整可能となる態様で該外扉に取り付ける自動販売機のセンサ取付装置において、
前記外扉における窓部の後方域に配設されて成り、水平面を構成する水平延在部と、該水平延在部の後端部より上方に向けて延在し、かつ上下方向が長手方向となる長孔が形成された垂上部とを有する支持部材と、
前記センサに一体的に取り付けられて成り、該センサの下方域において前端部が前記水平延在部に形成された係止孔に進入して前記支持部材に係合する基部と、該基部の後端部の一部より上方に向けて延在し、かつねじ孔が形成された取付片部とを有する取付部材と、
前記長孔及び前記ねじ孔を後方側より挿通して前記支持部材と前記取付部材とを締結させるねじ部材と
を備え、前記ねじ部材が前記長孔を長手方向に沿って移動することで、前記センサの検知角度を調整するようにしたことを特徴とする自動販売機のセンサ取付装置。
【請求項2】
前記取付部材は、前記基部に対する前記取付片部のなす角が常態においては鈍角となり、かつ該取付片部の後面が前記垂上部の前面に常時接することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機のセンサ取付装置。
【請求項3】
前記取付部材は、前記基部と前記取付片部との境界部分に孔部が形成されて成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機のセンサ取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−103906(P2012−103906A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251878(P2010−251878)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】