説明

自動販売機のトレイから製品を送り出す方法

製品(2)がトレイ(7)上に配置され、閉鎖位置と開放位置との間を可動である放出手段(22)によって制御される出口(21)に向かって、コンベア装置(16)によってトレイ(7)に沿って移動可能である自動販売機(1)において、コンベア装置(16)が、1つの製品(2)を送り出した後、かつ放出手段(22)の閉鎖の前および最中に、残りの製品(2)を放出手段(22)から離すために逆方向に動かされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機のトレイから製品を送り出す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の自動販売機は、前側を扉によって閉じられて区画を定義するキャビネットまたは同様の容器(コンテナ)を備え、そのような区画に、いくつかの製品(例えば、瓶または缶)をそれぞれ支持するいくつかの固定のトレイが上下に重ねて収容されることが知られている。トレイは、区画の後部を占め、扉と扉に面するトレイの前端との間に、通常はキャビネットの下部に収容される取り出し室に連絡する落下用の立坑が画成される。
【0003】
各々のトレイ上の製品は、該当の動力コンベアベルト上に、扉に対して垂直な列をなして配置され、各々の動力コンベアが、製品の該当の列を、製品を一度に1つずつ立坑へ放出するためのそれぞれの放出装置に送るために、ユーザによって選択的に動かされる。
【0004】
放出装置は、通常は、1枚または2枚の回転フラップによって定義される動力ゲートを備え、動力ゲートが、ベルトが動くときに、フラップが動作中のコンベアによって製品がトレイから落とされることがないように阻止する閉鎖位置と、フラップが該当の列の1番目および2番目の製品の間に割り込んで、列の1番目の製品だけをトレイから落とすことができるようにする開放位置との間を移行するように駆動される。
【0005】
ゲートが閉鎖位置に戻った後でも、ベルトは、列の1番目の製品がゲートに触れる位置に移動して、次の放出動作に備えるまで、充分に長く動き続ける。
【0006】
ゲートを形成するフラップは、通常は、電磁アクチュエータによって開かれ、戻しばねによって閉じられる。
【0007】
上述の方法は、効果的かつ単刀直入であるが、電磁アクチュエータを動かすために比較的多くのエネルギーを必要とするという欠点を有する。すなわち、フラップが、ベルトによって前方へ押される該当の列による圧力に逆らって閉じられるため、かなり頑強な戻しばねが必要であり、したがってフラップを開くときに戻しばねの作用に打ち勝つために、比較的高出力の電磁アクチュエータが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、自動販売機のトレイから製品を送り出す方法であって、上述の欠点を取り除くように設計された方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、自動販売機のトレイから製品を送り出す方法であって、請求項1に記載のとおりの方法が提供され、好ましくは請求項1に直接的または間接的に従属する後続の請求項のいずれか一項に記載の方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施の形態(これに限られるわけではない)を、添付の図面を参照して、あくまでも例として説明する。
【0011】
【図1】本発明による方法を実施する自動販売機の概略斜視図である。
【図2−4】それぞれ異なる動作の状態にある図1の細部の平面図を示している。
【図5−6】それぞれ図2および3を拡大して詳しく示しているが、いくつかの部品は、分かりやすくするために取り除かれている。
【図7−8】それぞれ異なる動作の状態にある図1の細部の拡大図であり、いくつかの部品は、分かりやすくするために取り除かれている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1の番号1が、製品2のための自動販売機の全体を指し示している。自動販売機1は、キャビネット3を備え、キャビネット3が、内部区画5の前部を画成する壁4を有し、壁4の少なくとも一部分が、少なくとも一部が透明な材料で製作された扉6によって画成されている。
【0013】
自動販売機1は、扉6に面する区画5の内部に、製品2を支持するいくつかのトレイ7(図1には1つだけが示されている)を上下に重ねて収容している。トレイ7は、壁4に交差する実質的に水平なそれぞれの平面内を広がり、区画5の後部を占め、扉6と扉6に面するトレイ7のそれぞれの前端との間に、扉6の下方に位置する取り出し用の引き出し9に連絡する落下用の立坑(a drop shaft)8が画成される。詳しくは後述されるように、壁4の押しボタンパネル10においてあらかじめ選択されて、トレイ7のうちの1つから送り出された製品2を、引き出し9から取り出すことができる。
【0014】
図1を参照すると、各々のトレイ7が、実質的に水平なベース11と、ベース11および壁4に垂直ないくつかの仕切り12とによって画成されるフレームを備え、仕切り12によってトレイ7が、壁4に垂直なそれぞれの軸14に沿って延び、製品2(図示の例では、缶)を軸14に平行な列15に配置して収容している5つのチャネル13に分割されている。
【0015】
より具体的には、チャネル13の各々が、各々の幅に応じて、1つの列15を収容し(この場合、チャネル13を、以下では「1列」チャネルと称する)、あるいはトレイ7の容量を増やすために、2つの平行またはずらされた列15を収容している(この場合、チャネル13を、以下では「2列」チャネルと称する)。
【0016】
各々のチャネル13の底壁は、それぞれのベルトコンベア16によって画成されている。ベルトコンベア16が、2つのローラ18の周囲を巡るベルト17を備え、ローラ18が、該当のチャネル13の両端に配置され、仕切り12に交差するように延び、該当の製品2を支持して搬送するために、ベルト17上にそれぞれの軸14に平行な上部を定義する。
【0017】
各々のトレイ7のコンベア16は、それぞれのトレイ7の後端に配置され、中央制御ユニット(図示されていない)に接続された2つの逆転可能な電気モータ19によって駆動される。
【0018】
より具体的には、各々のトレイ7の2つのモータ19のうちの一方が、5つのコンベア16のうちの3つを駆動し、他方のモータ19が、残りの2つのコンベア16を駆動する。当然ながら、他の実施の形態(図示されていない)は、3つ以上のモータ19を備えてもよく、各々のコンベア16が、専用のモータ19を備えてもよい。同様に、他の実施の形態(図示されていない)においては、各々のトレイ7が、チャネル13の数および幅の両方に関して、図示の例のトレイ7とは異なってもよい。
【0019】
各々のチャネル13は、それぞれのベルト17が前方へ動くときや、自動販売機1が例えば破壊者によって乱暴に揺すられた場合に、製品2が倒れてしまうことがないよう、それぞれの列15の後部に公知の支持具20を有している。
【0020】
各々のチャネル13は、扉6に面する端部において、チャネル13を画成する仕切り12の自由端によって画成される開口21を介して、落下用の立坑8に連絡している。開口21は、製品2を選択的に放出すべくそれぞれの放出装置22によって制御され、使用時に、それぞれのコンベア16が動作するときに、製品2を一度に1つだけ落下用の立坑8に落とすことができるように駆動される。
【0021】
図2を参照すると、それぞれの開口21の近くにおいて、各々の2列チャネル13の仕切り12が、2つの列15を1つの列に減らして、製品2を一度に1つずつ開口21へ送るために、開口21に向かって先細りのじょうごをチャネル13に定義するそれぞれの厚肉部を有している。
【0022】
図1に示されるとおり、2列チャネル13の放出装置22の各々が、2枚のフラップ23を備え、各々のフラップ23が、ベース11に垂直なそれぞれの軸24を中心にして回転するように、それぞれの仕切り12に枢支されている。他方で、1列チャネル13の放出装置22は、2列チャネル13のフラップ23と同一の1枚のフラップ23を、ベース11に垂直な該当の軸24を中心にして回転するように、1列チャネル13を隣のチャネル13から隔てている仕切り12に枢支して備えている。
【0023】
2列チャネル13のうちの任意の1つに関する図2〜4に示されているとおり、各々のフラップ23は、湾曲した部材によって定義され、そのような湾曲した部材が、その凹面が軸14に面するように配置され、それぞれの軸24からチャネル13の外へ延びている前部25と、軸24から前部25とは反対の方向に延びている後部26とを備えている。
【0024】
フラップ23は、各々の前部25が軸14および他方の前部25に向かって傾き、開口21を部分的に閉じて、ベルト17上を前方へ送られる製品2を抑止する閉鎖位置(図2および5)と、前部25が実質的に互いに平行かつ軸14に平行になり、各々の後部26が軸14および他方の後部26に向かって傾き、開口21を部分的に閉じて、ベルト17上を前方へ送られる製品2を抑止する開放位置(図3および6)との間を、それぞれの軸24を中心にして回転するように取り付けられている。
【0025】
各々の放出装置22のフラップ23は、放出装置22の一部を形成し、前記中央制御ユニット(図示されていない)に接続されているそれぞれの駆動装置27によって、閉鎖位置へ、または閉鎖位置から動かされる。
【0026】
各々の2列チャネル13の駆動装置27(図5および6に示されているとおり)は、フラップ23の閉鎖位置に対応する常時の引き出された位置(図5)と、フラップ23の開放位置に対応する引き込まれた位置(図6)との間を、軸14に平行な方向に軸方向に可動である出力鉄心29を有している電磁石28を備えている。
【0027】
運動が、機械式の伝達機構によって、鉄心29とフラップ23との間で伝達される。機械式の伝達機構は、軸14に実質的に平行に延び、軸24に平行な軸を中心にして振れるように鉄心29に枢支された接続棒30と、軸24に平行な固定の軸を中心にして振れるようにトレイ7に枢支されたロッカーアーム31とを備え、ロッカーアーム31が、2つの反対向きのアームを、それぞれ軸24に平行なそれぞれのピンによって、接続棒30の自由端およびレバー32の一端に枢支して備えている。レバー32の反対側の自由端は、フラップ23を動かすためのブラケット33に枢支されている。
【0028】
より具体的には、ブラケット33が、ブラケット33を貫いて形成されたそれぞれのスロット35に係合するベース11と一体の3本のピン34によって、トレイ7に取り付けられている。スロット35は、軸14を横切る方向に延び、ピン34と協働して、ブラケット33をレバー32によって駆動されたときに軸14に垂直な方向に動かす直線ガイドを画成する。
【0029】
ブラケット33は、フラップ23に取り付けられた2本のピン36によってフラップ23に接続され、ピン36が、ブラケット33の両端に形成されたそれぞれのスロット37の内側において横方向に滑り、ブラケット33の平行移動をそれぞれの軸24を中心とするフラップ23の反対向きの回転に変換する。
【0030】
各々の1列チャネル13の駆動装置27(図7および8)は、電磁石28および鉄心29に加えて、機械式の伝達機構を備えている。機械式の伝達機構が、鉄心29に垂直な軸を中心にして振れるように鉄心29に枢支されて鉄心29から突き出しているバー29aと、軸24に平行な軸を中心にして振れるようにバー29aの自由端に枢支された接続棒38とを備えている。接続棒38の他端は、軸24に平行な可動ピンに枢支されている。可動ピンが、2つのレバー39aおよび39bの間の枢支点を画成し、レバー39aの自由端が、軸24に平行な固定のピンに枢支され、レバー39bの自由端が、使用時にフラップ23を軸24を中心にして回転させるべく、フラップ23の前部25に枢支されている。
【0031】
1列および2列の両方のチャネル13の場合において、電磁石28に電気が通されると、鉄心29が、フラップ23の閉鎖位置に対応する引き出された位置(図5および8)から、引き込まれた位置(図6および7)へ、鉄心29の周囲に巻かれたばね40に逆らって動かされ、結果としてフラップ23が上述の機械式の伝達機構によって開放位置へ動かされる。
【0032】
次に、製品2をそれぞれのトレイ7から送り出す方法を、2列チャネル13に関する図2〜4を参照して説明する。当然ながら、1列チャネル13の製品2についても、同じ方法が当てはまる。
【0033】
休止時、チャネル13のコンベア16は停止し、それぞれの放出装置22は、列15の1番目の製品2をフラップ23の間に配置し、それぞれの前部25に当接させた状態で、閉鎖位置にある。
【0034】
製品2がユーザによって選択されると、中央制御ユニット(図示されていない)がコンベア16に接続されたモータ19を作動させ、ベルト17が、軸14に平行かつ落下用の立坑8に向かう送出方向に、製品2の下方を滑り始める。
【0035】
ベルト17が動き始めるとすぐに、中央制御ユニット(図示されていない)が駆動装置27を動作させ、フラップ23を閉鎖位置から開放位置(図3)へ動かす。この動作の際に、列15の1番目の製品2が、ベルト17の前進移動によって開口21を通って放出され、列の次の製品2は、後部26によって止められて、ベルト17によって前方へ動かされる列15の残りの部分によって後部26に押し付けられる。
【0036】
ひとたび製品が送り出されると、中央制御ユニット(図示されていない)がモータ19を逆転させ、製品2をベルト17によって送出方向41とは反対の逆方向42に移動させる。
【0037】
ベルト17が後方へ動き始め、列16の1番目の製品2が後部26(図4の破線)から離れるとすぐに、中央制御ユニット(図示されていない)が電磁石28への電力を絶ち、結果としてフラップ23が、ばね40によって閉鎖位置(図4の実線)へ戻される。
【0038】
この時点で、モータ19の回転が即座に再び反転させられ、ベルト17が、1番目の製品2を前部25へ移動させるために充分長く送出方向41に動かされる(図2)。
【0039】
ベルト17を逆方向に動かし、列15によって開いているフラップ23の後部26に加えられる圧力を取り除くことで、フラップ23を比較的弱い戻しばねを使用して閉じることができ、したがってフラップ23をばね40に逆らって開くために電磁石28に供給されるエネルギーも、やはり少なくすることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品(2)が、閉鎖位置と開放位置との間を可動である放出手段(22)によって制御される出口(21)に向かって、搬送手段(16)によってトレイ(7)に沿って移動可能である自動販売機(1)のトレイ(7)から製品(2)を送り出す方法であって、
1つの製品(2)を送り出すステップの後、かつ前記放出手段(22)を閉鎖する後続のステップの前および最中に、前記搬送手段(16)を逆方向に動かして残りの製品(2)を前記放出手段(22)から離すステップを含む方法。
【請求項2】
製品(2)を前記トレイ(7)上に前記搬送手段(16)に係合させて配置するステップ、
前記搬送手段(16)を、製品(2)を前記出口(21)および前記閉鎖位置にある放出手段(22)に向かって送出方向(41)へ送るように駆動するステップ、
前記搬送手段(16)を動いている状態に保ちつつ、前記放出手段(22)を開放位置へ動かし、1つの製品(2)を前記搬送手段(16)によって前記トレイ(7)から送り出すとともに、残りの製品(2)を前記トレイ(7)に保つステップ、
前記放出手段(22)を再び閉鎖位置へ動かすステップ、および
前記送り出すステップの後、かつ前記放出手段(22)を閉鎖するステップの前および最中に、前記搬送手段(16)を逆方向に動かし、前記残りの製品(2)を前記放出手段(22)から離れるように逆方向(42)に動かすステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放出手段(22)を閉鎖するステップの後で、前記残りの製品(2)を閉鎖位置にある前記放出手段(22)に向かって送出方向(41)に動かすべく前記搬送手段(16)を駆動するさらなるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記搬送手段(16)が、逆転可能な電気式の駆動手段(19)によって動かされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記トレイ(7)が、前部が扉(6)によって閉じられる自動販売機(1)の区画(5)に収容され、前記送出方向(41)が、前記扉(6)に実質的に垂直かつ前記扉(6)に向かっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記搬送手段(16)が、少なくとも1つのコンベアベルト(17)を備え、前記トレイ(7)上の製品が、前記ベルト(17)に載せられ、該ベルト(17)によって前記送出方向(41)および前記逆方向(42)に動かされる、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
製品(2)が、送出方向(41)に実質的に平行な少なくとも1つの列(15)にて前記ベルト(17)上に配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記放出手段(22)が、電磁式の駆動装置(28)によって前記閉鎖位置から前記開放位置へ動かされ、戻しばね(40)によって前記閉鎖位置に戻される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−521346(P2011−521346A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509038(P2011−509038)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005598
【国際公開番号】WO2009/138865
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(509099992)エヌ アンド ダブリュ グローバル ヴェンディング ソシエタ ペル アチオニ (18)
【Fターム(参考)】