説明

自動販売機の商品収納装置

【課題】投入口幅調整部材の材料・製造コストが安価で、かつ、変形することなく設定操作がスムーズにすることができる自動販売機の商品収納装置を提供する。
【解決手段】投入口幅調整部材8の後部で通路幅調整板7を挟み込む係合部は、投入口幅調整部材8の本体部幅方向に一体形成した折返し爪18を下端曲げ部17で外側に折り曲げて本体と略密着する密着部25を備えているので、通路幅が大きくならないよう投入口幅調整部材8の折返し爪18が変形することなく維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶、瓶商品またはPET容器の商品を販売する自動販売機の商品収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動販売機の商品収納装置は、本体内部にサーペンタイン式の商品通路が前後方向に複数列設けられており、その商品通路には、缶、瓶またはPET容器などの商品が横になった状態で縦列に収納され、これらの商品は商品通路の下端に設けられた商品搬出装置によって、販売指令にもとづいて販売されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は特許文献1に記載された従来の自動販売機の商品収納装置の側面図。図8は特許文献1に記載された従来の自動販売機の商品収納装置の投入商品案内板部の平面図である。図9は特許文献1に記載された従来の自動販売機の商品収納装置の商品案内板部の側面図である。
【0004】
図7から図9に示すように、商品の側面を水平にして商品を上下方向に収納する商品通路101と、商品通路101を形成する左右に対向する2つの側板102と、側板102間に形成される商品通路101の下端に商品を1本ずつ払い出す商品搬出装置103と、商品通路101を挟んで通路規制板104と、商品通路101の上端に商品を入れる商品投入口105と、商品投入口105から入れられた商品を商品通路101に案内するために設けられた投入商品案内板106と、側板102間に配置され、一方の側板102との間で商品通路101の横幅を水平移動調整可能に設けられた通路幅調整板107と、通路幅調整板107の上端部と連結させて商品投入口105上に商品の大きさにより横幅を調整固定可能に設けた投入口幅調整部材108が配置されている。
【0005】
通路幅調整板107の上端部は投入口幅調整部材108の後端縁部から後方に向けて突出するように左右に分離して形成される二股状の係止め突起108a、108b間に挟まれることで投入口幅調整板108に係合し、商品投入口105部の投入口幅調整部材108を左右に移動固定させることで、通路幅調整板107が連動し商品通路101の幅を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−15731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の構成では、通路幅調整板107の上端部を係合している投入口幅調整部材108の係止め突起108a、108bが二股状に上下に分離し幅が小さく、通路幅調整板107が商品通路101に積み上げられた商品から受ける荷重を受けても通路幅が大きくならないよう維持するためには、投入口幅調整部材108を厚い鋼板で構成しなければならず、材料コストが高いという課題を有していた。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、投入口幅調整部材を薄い鋼板で構成しても、材料・製造コストが安価で、かつ、変形することなくスムーズに設定をすることができる自動販売機の商品収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機の商品収納装置は、商品の側面を略水平にして商品を上下方向に積み上げて収納する商品通路を形成する左右に対向した側板と、前記商品通路の下端に備えた商品搬出装置と、前記側板間で前記商品通路の幅を可変できる通路幅調整板と、投入口から前記商品通路の上端まで商品を案内する投入商品案内板と、前記投入商品案内板上で前記通路幅調整板と連動し商品の大きさによって商品案内幅を調整可能とした投入口幅調整部材とを備えた商品収納装置において、前記投入口幅調整部材の後部で前記通路幅調整板を挟み込む係合部は、前記投入口幅調整部材の本体部幅方向に一体形成した爪部を折り曲げて本体と略密着する密着部を備えたものである。
【0010】
これによって、通路幅調整板を挟み込み係止する係合部の幅を大きく設けることができ、また、局部的な強度低下もなく薄い鋼板で構成することができる。さらに、投入口幅調整部材の本体部と一体形成した爪部を折り曲げて構成したことにより、強度を確保した上で、不要な材料を減らせることで歩留りを良くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動販売機の商品収納装置によれば、投入口幅調整部材を薄い鋼板で構成しても、強度を確保した上で、材料、製造コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における自動販売機の商品収納装置の斜視図
【図2】同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入商品案内板部の上視平面図
【図3】同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入商品案内板部の側面図
【図4】同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入商品案内板部の要部側面図
【図5】同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入口幅調整部材の要部斜視図
【図6】同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入口幅調整部材の折り返す前の平面図
【図7】従来の自動販売機の商品収納装置の側面図
【図8】従来の自動販売機の商品収納装置の投入商品案内板部の平面図
【図9】従来の自動販売機の商品収納装置の商品案内板部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
請求項1に記載の発明は、商品の側面を略水平にして商品を上下方向に積み上げて収納する商品通路を形成する左右に対向した側板と、前記商品通路の下端に備えた商品搬出装置と、前記側板間で前記商品通路の幅を可変できる通路幅調整板と、投入口から前記商品通路の上端まで商品を案内する投入商品案内板と、前記投入商品案内板上で前記通路幅調整板と連動し商品の大きさによって商品案内幅を調整可能とした投入口幅調整部材とを備えた商品収納装置において、前記投入口幅調整部材の後部で前記通路幅調整板を挟み込む係合部は、前記投入口幅調整部材の本体部幅方向に一体形成した爪部を折り曲げて本体と略密着する密着部を備えたものであり、投入口幅調整部材を薄い鋼板で構成しても、強度を確保した上で、材料、製造コストを安価にすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記爪部は折り曲げた状態で本体と略密着する密着部と前記通路幅調整板を挟み込むための空間を形成する離間部を備えたものであり、強度を確保した上で、通路幅調整板を確実に係合することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記爪部の本体と略密着する密着部を、カシメ固定したものであり、より強度を確保した上で、材料、製造コストを安価にすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記投入口幅調整部材の側面後端から前方へビードを形成し、前記ビードは少なくとも前記係合部に跨って設けたものであり、さらに強度を確保した上で、材料、製造コストを安価にすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記投入口幅調整部材の側面上辺を折り曲げた折曲部を形成し、前記折曲部は少なくとも前記係合部に跨って設けたものであり、さらに強度を確保した上で、材料、製造コストを安価にすることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記爪部の前後方向にビードを設けたものであり、さらに爪部の強度を確保した上で、材料、製造コストを安価にすることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における自動販売機の商品収納装置の斜視図である。図2は、同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入商品案内板部の上視平面図である。図3は、同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入商品案内板部の側面図である。図4は、同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入商品案内板部の要部側面図である。図5は、同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入口幅調整部材の要部斜視図である。図6は、同実施の形態における自動販売機の商品収納装置の投入口幅調整部材の折り返す前の平面図である。
【0021】
図1から図6において、商品収納装置は、側板2間に上下方向に蛇行したサーペンタイン式の商品通路1を前後方向に複数列形成し、各商品通路1の下端には商品通路1を挟んで商品搬出装置3と通路規制板4が設けられている。
【0022】
商品通路1の上方には、前方から商品を入れる商品投入口5と、商品投入口5から入れられた商品を商品通路1に案内するために商品通路1に向かって傾斜し、側板2間に架設される投入商品案内板6を備えている。
【0023】
また、投入商品案内板6には、側板2間に配置され、一方の側板2との間で商品通路1の横幅を水平移動調整可能に設けられた通路幅調整板7の上端部と連結させて商品投入口5上に商品の大きさにより横幅を調整固定可能な投入口幅調整部材8を備えている。
【0024】
そして、投入口幅調整部材8は、通路幅調整板7との連結部以外の略前後方向全域をL字断面状に形成している。
【0025】
また、投入商品案内板6には前端部の側板2間略全域に下方に向いてカーリング9と、カーリング9の後方にカーリング9と平行で左右方向に長くなるよう長穴10と、長穴10の後方に前後方向に向かって長くなるよう設定穴11が左右方向に複数設けられている。 また、通路幅調整板7は上部を挿通するよう側板2間に略水平に設けられたピン12
にガイドされ、一方の側板2と通路幅調整板7間に設けられたリンク機構で水平移動可能に構成されている。
【0026】
また、投入口幅調整部材8は前端部を投入商品案内板6のカーリング9に回動可能に外嵌するよう形成したU字曲げ14と、投入商品案内板6の長穴10に前方上側から挿通され下に凸となるように長穴10と略平行に設けたZ曲げ15と、投入商品案内板6の設定穴11に挿入係止め可能に設けた切起し16とを備えている。
【0027】
また、図6に示すように、投入口幅調整部材8の後部で通路幅調整板7を挟み込む係合部は、投入口幅調整部材8の本体部幅方向に一体形成した折返し爪18を下端曲げ部17で外側に折り曲げて本体と略密着する密着部25を備えている。
【0028】
具体的には、通路幅調整板7を挟み込み、係止め可能になるよう後部を下端曲げ部17で商品通路1と反対側に略密着曲げになるよう密着部25を折返し、後方向に向いて商品通路1と反対側に凸となるよう離間部を設け、Z断面状に折返し爪18を形成している。
【0029】
そして、投入口幅調整部材8の折返し爪18と対向した下端曲げ部17上方の商品通路1側は、商品を左右方向にガイドするガイド面19を形成している。
【0030】
また、略密着曲げした密着部25には、商品通路1と反対側に凸となるように円形のカシメ固定20を施している。
【0031】
また、ガイド面19上に後端から前方に向かって、少なくとも折返し爪18、および密着部25を跨ぎ、投入口幅調整部材8の前後略中央部まで、商品通路1と反対側に凸となるよう前後方向に連続してビード21を形成している。
【0032】
また、投入口幅調整部材8のガイド面19上端でビード21の上方縁部に後端から少なくとも折返し爪18、および密着部25を跨ぎ、連続して商品通路1と反対側に折返し設けられた折曲部22を形成している。
【0033】
また、折返し爪18の前後方向全域に商品通路1と反対側に中央が凸となるよう設けられたビード23を全長に亘って設けている。
【0034】
また、折返し爪18のZ断面部根元には三角リブ24を設け補強を施している。
【0035】
以上のように構成された自動販売機の商品収納装置の投入口幅調整部材8について、以下その設定と動作を説明する。
【0036】
投入商品案内板6の幅調整をする際、投入口幅調整板8は、投入商品案内板6のカーリング9に外嵌する前端のU字曲げ14を回転軸にZ曲げ15を上方向に持上げることで投入商品案内板6上の設定穴11に挿入設定されていた切起し16が解除される。
【0037】
そして、後方の折返し爪18とガイド面19に挟み込まれた通路幅調整板7を連動させ、投入商品案内板6のカーリング9と長穴10に案内されるように左右方向にスムーズに移動設定できる。
【0038】
設定後は、商品投入口5から商品を投入し、通路幅調整板7が商品通路1に積み上げられた商品から荷重を受けるが、投入口幅調整部材8の後部で通路幅調整板7を挟み込む係合部は、投入口幅調整部材8の本体部幅方向に一体形成した折返し爪18を下端曲げ部17で外側に折り曲げて本体と略密着する密着部25を備えているので、通路幅が大きくな
らないよう投入口幅調整部材8の折返し爪18が変形することなく維持できる。
【0039】
また、投入口幅調整部材8の後方向に向いて商品通路1と反対側に凸となるよう離間部を設け、Z断面状に折返し爪18を形成しているので、強度を確保した上で、通路幅調整板7を確実に係合することができる。
【0040】
また、略密着曲げした密着部25には、商品通路1と反対側に凸となるように円形のカシメ固定20を施しているので、より強度を確保した上で、材料、製造コストを安価にすることができる。
【0041】
以上のように本実施の形態においては、通路幅調整板7を挟み込み、係り止め可能になるよう投入口幅調整部材8の後部を下端曲げ部17で商品通路1と反対側に折返し設けた折返し爪18と、折返し爪18と投入口幅調整部材8のガイド面19を開口することなく略密着にカシメ固定20を設けたことにより、通路幅調整板7を挟み込み係止めする折返し爪18の幅を大きく設けることができ、また、開口せずにカシメ固定20を設けることで局部的な強度低下もなく薄い鋼板で構成することができる。さらに、折返し爪18を下端で折り返し構成したことで、歩留りが良く、捨てる材料を増大させることなく強度確保ができ、変形することなくスムーズに設定することができる。
【0042】
なお、投入口幅調整部材8の折返し爪18を展開形状で四角形状になるよう下側から折り曲げて構成したことで、材料の歩留りが良くなるだけでなく、金型を小さくでき、投資抑制を図れる。
【0043】
また、本実施の形態において、ガイド面19上に後端から前方に向かって、少なくとも折返し爪18、および密着部25を跨ぎ、投入口幅調整部材8の前後略中央部まで、商品通路1と反対側に凸となるよう前後方向に連続してビード21を形成しているので、後方のL字断面となっていない投入口幅調整部材8のガイド面19における強度を上げることができ、さらに投入口幅調整部材8を薄い鋼板で構成しても変形することなくスムーズに設定することができる。
【0044】
また、投入口幅調整部材8のガイド面19上端でビード21の上方縁部に後端から少なくとも折返し爪18、および密着部25を跨ぎ、連続して商品通路1と反対側に折返し設けられた折曲部22を形成しているので、後方のL字断面となっていない投入口幅調整部材8のガイド面19の上端部における強度を上げることができ、さらに投入口幅調整部材8を薄い鋼板で構成しても変形することなくスムーズに設定することができる。
【0045】
また、折返し爪18の前後方向全域に商品通路1と反対側に中央が凸となるよう設けられたビード23を全長に亘って設けているので、折返し爪18の強度を上げることができ、通路幅調整板7が商品通路1に積み上げられた商品から受ける荷重を受けても通路幅が大きくならず、さらに投入口幅調整部材8を薄い鋼板で構成でき、変形することなくスムーズに設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる自動販売機の商品収納装置は、投入口幅調整部材を薄い鋼板で構成しても、強度を確保した上で、材料、製造コストを安価にすることができるので、投入口幅調整部材を備えたあらゆる自動販売機器の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 商品通路
2 側板
3 商品搬出装置
4 通路規制板
5 商品投入口
6 投入商品案内板
7 通路幅調整板
8 投入口幅調整部材
17 下端曲げ部
18 折返し爪
19 ガイド面
20 カシメ固定
21、23 ビード
22 折曲部
25 密着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の側面を略水平にして商品を上下方向に積み上げて収納する商品通路を形成する左右に対向した側板と、前記商品通路の下端に備えた商品搬出装置と、前記側板間で前記商品通路の幅を可変できる通路幅調整板と、投入口から前記商品通路の上端まで商品を案内する投入商品案内板と、前記投入商品案内板上で前記通路幅調整板と連動し商品の大きさによって商品案内幅を調整可能とした投入口幅調整部材とを備えた商品収納装置において、前記投入口幅調整部材の後部で前記通路幅調整板を挟み込む係合部は、前記投入口幅調整部材の本体部幅方向に一体形成した爪部を折り曲げて本体と略密着する密着部を備えたことを特徴とする自動販売機の商品収納装置。
【請求項2】
前記爪部は折り曲げた状態で本体と略密着する密着部と前記通路幅調整板を挟み込むための空間を形成する離間部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の商品収納装置。
【請求項3】
前記爪部の本体と略密着する密着部を、カシメ固定したことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機の商品収納装置。
【請求項4】
前記投入口幅調整部材の側面後端から前方へビードを形成し、前記ビードは少なくとも前記係合部に跨って設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自動販売機の商品収納装置。
【請求項5】
前記投入口幅調整部材の側面上辺を折り曲げた折曲部を形成し、前記折曲部は少なくとも前記係合部に跨って設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自動販売機の商品収納装置。
【請求項6】
前記爪部の前後方向にビードを設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の自動販売機の商品収納装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−133504(P2012−133504A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283991(P2010−283991)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】