説明

自動販売機の商品搬出装置

【課題】売切検出スイッチの商品検知レバーを商品収容通路に進出するように付勢する付勢手段により商品が停滞することを抑制した自動販売機の商品搬出装置を提供する。
【解決手段】基板50の開口部から商品収容通路43に出没自在に軸支されるとともに前記商品収容通路43に進出するように付勢された商品検知レバー582を有し、前記商品検知レバー582におけるレバー片5821の側面断面形状を凹形に屈曲形成し、当該凹形の屈曲部5822が基板50に近接する態様で一端を基板50に軸支(係合軸582A)するとともに他端を商品Gとの当接点P0とし、前記商品検知レバー582のレバー片5821における凹形の屈曲部5822は商品Gとの当接を回避するように形成したことにより、商品検知レバー582の軸支点(係合軸582A)から商品Gに当接する当接点までの距離を長くして商品検知レバー582を商品収容通路43に向けて付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路の商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収納ラックから商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機の商品搬出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機は、本体キャビネットの庫内に複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路(商品コラムともいう)を備えた商品収容棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラックを備え、この商品収容ラックが左右方向に複数列並設されている。前記商品収納ラックは、商品収容通路の商品搬出口が低くなるように所定の勾配をもって傾斜して構築されている。このような商品収納ラックは、スラントラックとも称される。前記商品収納ラックにおける商品収容通路の商品搬出口には当該商品収容通路に横倒し姿勢で収容された商品を一個ずつ切り出す商品搬出装置が設けられおり、この商品搬出装置として図31に示すものが知られている(例えば、特許文献1の図11)。
【0003】
図31は従来の商品搬出装置の側面図であり、図において、100は商品収納ラックを構築する商品収容棚である。この商品収容棚100は、底板部110と左右の側面部120(図では左右の側面部が重なっており、一方の側面部のみが見えている)とから断面U字状に形成され、その内部空間が商品収容通路200として構成されている。前記商品収容棚100は商品収容通路200の商品搬出口210が低くなるように傾斜して配設され、前記商品搬出口210に商品搬出装置300が設けられている。前記商品搬出装置300は、商品収容棚100の底板部110に沿って配設される基板310に回動自在に軸支された第1ストッパ320および第2ストッパ330を商品収容通路200に交互に出没(図示実線状態と点線状態)させるように構成されている。前記商品搬出装置300は、サーペンタイン式商品収納ラック(上下方向に蛇行する商品収容通路に商品を横倒し姿勢で上下一列に積み重ねて収容するラック)に用いられている商品搬出装置として良く知られており、前記第1ストッパ320および第2ストッパ330を連動して作動させる不図示の電磁ソレノイドおよび作動機構を備えている。前記商品搬出装置300に対向して商品収容通路200の通路幅を設定する通路幅調整板400が設けられ、この通路幅調整板400は前後一対のピン410,420を側面部120に形成した一組のガイド溝121,122に沿って移動させることにより上下方向にスライドして商品収容通路幅を太幅および細幅の2段階に切換え可能となっている。
【0004】
前記商品搬出装置300は、販売待機状態において第1ストッパ320が商品収容通路200に突出する一方、第2ストッパ330が商品収容通路200から退避している(図示実線状態)。この販売待機状態において商品収容棚100に商品Sがローディングされると最初に投入された商品G(G1とも言う)が第1ストッパ320に係止され、後続の商品G2,G3が第1ストッパ320に係止された商品G1に続いて整列して収容される。自動販売機の商品選択ボタンが操作されると商品搬出装置300は、不図示の電磁ソレノイドが通電されて第1ストッパ320および第2ストッパ330が連動して回動し、図示点線状態に移行する。第1ストッパ320が商品収容通路200から退避することにより販売順位一番の商品G1(以下、販売商品ともいう)を、商品搬出口210を介して搬出する一方、第2ストッパ330が商品収容通路200に突出してその先端で販売商品G1に続く販売順位2番の商品G2(以下、次販売商品ともいう)を係止する。販売商品G1の搬出後、電磁ソレノイドへの通電が遮断されると第1ストッパ320および第2ストッパ330が実線で示す位置に復帰し、第1ストッパ320により次販売商品G2を係止して販売待機状態となる。前記商品収容棚100に商品径の異なる商品を収容する場合には通路幅調整板400を上下方向に移動させて商品収容通路幅を調整する。なお、第2ストッパ330の先端で次販売商品G2を係止するのは、商品荷重を第2ストッパ330の回動支点(第2ストッパ330の回動軸)で受け止めるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3508902号公報(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種のスラントラックにおける商品搬出装置300は、図31に鎖線で示すような商品検知レバー500を有する売切検出スイッチを備え、前記商品検知レバー500が次販売商品G2に当接して商品Gの有無を検出するように構成されている。前記商品検知レバー500は、略直線状に形成されるとともに軸501を支点として基板310に回動自在に軸支され、前記軸501に巻回された不図示の捻りコイルばねにより商品収容通路200に向けて進出するように付勢されており、通常(商品収容通路200に複数の商品Gが収容されている場合)、次販売商品G2に押圧されることによって基板310側に後退しており、販売が進行して商品Gがなくなった場合には捻りコイルばねの付勢力により商品収容通路200に進出してマイクロスイッチのアクチュエータを押圧するように構成されている。前述したように、商品検知レバー500は、捻りコイルばねにより商品収容通路200に向けて進出するように付勢されているので、次販売商品G2が商品搬出口45に向けて商品収容棚100の底板部110の上を滑る際の抵抗(負荷)となる。ここで、商品収容通路43に複数の商品Gが収容されている場合、すなわち、次販売商品G2に続いて後続の商品Gがある場合、販売商品G1の搬出時に次販売商品G2には後続の商品Gの荷重も加わって大きなモーメントが発生する一方、販売が進行して次販売商品G2が最後の商品となった場合、販売商品G1の搬出時に次販売商品G2には自己の荷重のみに基づくモーメントが発生するにすぎない。このため、次販売商品G2が最後の商品となった場合、次販売商品G2は自己の商品荷重のみに基づき捻りコイルばねの付勢力に抗して滑動せねばならないので、比較的軽量の商品Gの場合には当該商品Gが捻りコイルばねの付勢力により商品搬出口45に向けて滑動することなく停滞してしまうおそれがある。この場合、次販売商品G2が滑動する際の抵抗となる捻りコイルばねの付勢力は、商品検知レバー500の軸501から次販売商品G2との当接点までの距離に反比例して当該距離が短い場合には大きく、当該距離が長いほど小さくなるので、商品検知レバー500の軸501を商品投入口側に移動させることが考えられる。しかしながら、商品検知レバー500の軸501を商品投入口側に移動させる場合には基板310内において軸501を移動させねばならないので限界があるとともに商品搬出装置300自体を設計変更せねばならないという課題を有する。なお、商品収容棚100の勾配(傾斜角度)を大きくすることにより商品検知レバー500の捻りコイルばねによる付勢力の影響を小さくすることができるが、この場合には庫内に収納設置される商品収納棚の段数が低減してしまうという問題を有するので得策ではない。
【0007】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、商品搬出装置を大幅に設計変更することなく売切検出スイッチの商品検知レバーを商品収容通路に進出するように付勢する付勢手段により商品が停滞することを抑制した自動販売機の商品搬出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、左右一対のラック側板と、この左右一対のラック側板に上下方向に多段に架設され、商品投入口から投入された複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路を形成し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容棚と、この商品収容棚における商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置とを有する商品収納ラックを備え、前記商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支されるとともに前記商品収容通路に進出するように付勢され、かつ、前記商品収容通路の販売順位二番の商品(次販売商品)に当接する態様で前記基板側に後退する後退位置に向けて移動し、販売が進行して次販売商品がなくなった場合に前記商品収容通路に進出する進出位置に移動可能に設けた商品検知レバーを有する売切検出手段を備えた自動販売機の商品搬出装置において、前記売切検出手段の商品検知レバーは、その側面断面形状が凹状に屈曲形成され、当該凹状の屈曲部が基板に近接する態様で一端を基板に軸支されるとともに他端を商品との当接点とし、前記商品検知レバーの凹状の屈曲部は商品との当接を回避するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機の商品搬出装置において、売切検出手段は商品検知レバーの一端を軸支する枠状の取付台を備え、前記商品検知レバーの他端は前記取付台の枠を超えて延在してなることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機の商品搬出装置において、前記商品搬出装置は、更に、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の販売商品に続く販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記商品搬出装置を上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパ,第2ストッパおよび売切検出手段の商品検知レバーが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の自動販売機の商品搬出装置において、商品検知レバーの他端は前記商品収容通路の販売順位二番の商品(次販売商品)に当接して基板側の後退位置に後退した際、第2ストッパと重なり合う程に長く形成され、第2ストッパには商品検知レバーとの干渉を回避する切欠きを形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る自動販売機の商品搬出装置によれば、左右一対のラック側板と、この左右一対のラック側板に上下方向に多段に架設され、商品投入口から投入された複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路を形成し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容棚と、この商品収容棚における商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置とを有する商品収納ラックを備え、前記商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支されるとともに前記商品収容通路に進出するように付勢され、かつ、前記商品収容通路の販売順位二番の商品(次販売商品)に当接する態様で前記基板内に後退する後退位置に向けて移動し、販売が進行して次販売商品がなくなった場合に前記商品収容通路に進出する進出位置に移動可能に設けた商品検知レバーを有する売切検出手段を備えた自動販売機の商品搬出装置において、前記売切検出手段の商品検知レバーは、その側面断面形状が凹形に屈曲形成され、当該凹形の屈曲部が基板に近接する態様で一端を基板に軸支されるとともに他端を商品との当接点とし、前記商品検知レバーの凹形の屈曲部は商品との当接を回避するように形成されていることにより、商品検知レバーの軸支点から商品に当接する当接点までの距離を長くすることができるので、商品検知レバーを商品収容通路に向けて付勢する付勢力によって商品が停滞することを防止することができるという効果を有する。
【0013】
また、請求項2に係る自動販売機によれば、請求項1に記載の自動販売機の商品搬出装置において、売切検出手段は商品検知レバーの一端を軸支する枠状の取付台を備え、前記商品検知レバーの他端は前記取付台の枠を超えて延在してなることにより、商品検知レバーの軸支点から商品に当接する当接点までの距離をさらに長くすることができるので、商品検知レバーを商品収容通路に向けて付勢する付勢力によって商品が停滞することを防止することができるという効果を有する。
【0014】
また、請求項3に係る自動販売機によれば、請求項1に記載の自動販売機の商品搬出装置において、前記商品搬出装置は、更に、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の販売商品に続く販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記商品搬出装置を上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパ,第2ストッパおよび売切検出手段の商品検知レバーが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことにより、商品収容通路に収容された商品と商品搬出装置とが離隔しているので、商品検知レバーの軸支点から商品との当接点までの距離を長くすることができ、これにより商品検知レバーを商品収容通路に向けて付勢する付勢力が商品の滑動に与える影響を小さくできることが可能となる利点を有する。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の自動販売機の商品搬出装置において、商品検知レバーは前記商品収容通路の販売順位二番の商品(次販売商品)に当接して基板側の後退位置に後退した際、第2ストッパと重なり合う程に長く形成され、第2ストッパは商品検知レバーとの干渉を回避する切欠きを形成したことにより、商品搬出装置の外形寸法を大きくしたり、商品搬出装置を大幅に設計変更することなく商品検知レバーの軸支点から商品に当接する当接点までの距離を長くすることができるので、商品検知レバーを商品収容通路に向けて付勢する付勢力によって商品が停滞することを防止することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自動販売機の一実施例を示す側面図である。
【図2】図1の商品収納庫内を示す斜視図である。
【図3】図2の商品収納庫内に配設されたダクト構成を示す斜視図である。
【図4】図2の商品収納室A2に収納設置された2個の商品収納ラックのうち、正面視左側の商品収納ラックを示し、(a)は商品収納ラックをレール部材に吊下げた状態の斜視図、(b)は(a)の分解斜視図である。
【図5】図4の商品収納ラックにおける左右一対のラック側板を示す斜視図である。
【図6】図5の左右一対のラック側板のうちの正面視右側のラック側板の一部切欠き拡大図である。
【図7】レール部材とラック側板の関係を示す側面図である。
【図8】位置決めガイドの斜視図である。
【図9】第1商品収容棚,第2商品収容棚とトップガイドを示す斜視図である。
【図10】図9の第1商品収容棚および第2商品収容棚を示す斜視図である。
【図11】図9のトップガイドのうち、右サイドのトップガイドを示し、(a)は左斜め上方から見た斜視図、(b)は左斜め下方から見た斜視図である。
【図12】図9のトップガイドのうち、左サイドのトップガイドを示し、(a)は右斜め上方から見た斜視図、(b)は右斜め下方から見た斜視図である。
【図13】図2の商品収納室A2に収納設置された2個の商品収納ラックのうち、正面視右側の商品収納ラックにおける第1商品収容棚,第2商品収容棚とトップガイドを示し、(a)は第1商品収容棚,第2商品収容棚にトップガイドを組付けた状態の左斜め上方から見た斜視図、(b)は(a)からトップガイドを取外した状態の第1商品収容棚,第2商品収容棚を左斜め上方から見た斜視図である。
【図14】図10の第2商品収容棚の後方端に配備された姿勢制御板を示し、(a)は姿勢制御板を第2商品収容棚へ取付けた状態の斜視図、(b)は姿勢制御板を分解した状態の斜視図である。
【図15】図13の第2商品収容棚の後方端に姿勢制御板を取付けた状態の斜視図である。
【図16】図1の搬出通路形成部材を示す斜視図である。
【図17】図16の搬出通路形成部材の下部に装備されたガイド部材の分解図である。
【図18】図1の自動販売機の商品搬出装置を商品収容通路外側(背面側)から見た斜視図である。
【図19】図1の商品搬出装置を商品収容通路内側から見た斜視図である。
【図20】商品搬出装置の基板を示す背面斜視図である。
【図21】商品搬出装置のリンク部材を示す斜視図である。
【図22】商品搬出装置の第1ストッパを示す斜視図である。
【図23】商品搬出装置の第2ストッパを示す斜視図である。
【図24】商品搬出装置から売切検出スイッチを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図25】商品搬出装置の第2商品収容棚への組付け方法を示し、(a)は平面(上面)側から見た斜視図、(b)は(a)の背面(下面)側から見た斜視図である。
【図26】商品搬出装置の動作説明図である。
【図27】売切検出スイッチの商品検知レバーの作用説明図である。
【図28】本発明の実施の形態1に係る自動販売機の商品搬出装置を商品収容通路内側から見た斜視図である。
【図29】図28の商品搬出装置を商品収容通路外側(背面側)から見た斜視図である。
【図30】商品搬出装置の第2ストッパを示す斜視図である。
【図31】従来装置に係る自動販売機の商品搬出装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態1に係る自動販売機について添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明が対象とする自動販売機の一例である缶入り飲料,ペットボトル入り飲料を販売する自動販売機の側面図、図2は商品収納庫内を示す斜視図である。図に示すように、この自動販売機は、前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面に開閉可能に支持された外扉2とからなる。本体キャビネット1の商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉3によって閉塞されている。前記本体キャビネット1は鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁1a,左右側壁1b,背壁1cおよび底壁1dにウレタンフォームからなる断熱パネルを配設して断熱筐体として構成されている。前記本体キャビネット1の断熱パネルで囲まれた商品収納庫内は断熱仕切板100(図2参照)により左右方向に複数の商品収納室A1,A2に区画され、当該商品収納室A1,A2には図2に示すように、左右方向に複数配列されるとともに上下方向に多段に配設された商品収容棚42を備えた商品収納ラック4がそれぞれ収納設置されている。この実施の形態では、商品収納室A1に1個の商品収納ラック4が収納設置され、商品収納室A2に2個の商品収納ラック4が収納設置されている。なお、図2では本体キャビネット1の上壁1aおよび後述する本体キャビネット1の下部に設けられた機械室8を省略している。
【0019】
前記商品収納ラック4は、商品収容棚42が架設される左右のラック側板41を備えている。この左右のラック側板41は、矩形平板状の薄板鋼板製になり、この実施の形態では前後に分離された前方側ラック側板41F(以下、第1ラック側板41Fという)と後方側ラック側板41R(以下、第2ラック側板41Rという)からなる。この第1ラック側板41Fおよび第2ラック側板41Rに対応して前記商品収容棚42も後述する図9に示すように前後に分離されているが、ここでは総称して商品収納棚42という。そして、前後の商品収容棚42は前後に連なると共に、商品投入口44となる前方側が高く、商品搬出口45となる後方側が低くなるように所定の勾配をもって傾斜する態様で第1ラック側板41Fおよび第2ラック側板41Rに架設されている。また、前後の商品収容棚42に跨って前後方向に延在する左右一対のトップガイド40(図2では左サイドのトップガイド40が示され、右サイドのトップガイドはラック側板41に隠れて見えない)が配設されている。前後の商品収容棚42と左右一対のトップガイド40に囲まれた内部空間が複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路43(商品コラム)として構成され、この商品収容通路43(商品コラム)が上下多段(この実施の形態では10個の商品コラム)に形成されている。このように構成された商品収納ラック4が商品収納庫内に左右方向に複数並設されている。前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍であって各商品収容通路43の上部、この実施の形態においては上段側の商品収容棚42の下面には当該商品収容通路43に収容された商品Gを一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置5が配設されている。そして、各段における商品収容棚42の後端部には、前記搬出通路46に突出する突出位置と、落下する商品Gにより押し開かれて搬出通路46から退避する退避位置との間を回動する姿勢制御板47が配備されている。この姿勢制御板47は、後述するコイルばね474(図14参照)により搬出通路46に向けて突出するように付勢されており、搬出通路46を落下する商品Gにより押し開かれて搬出通路46から退避する際、当該商品Gの姿勢を横倒し姿勢に矯正するとともに当該商品Gの落下エネルギーを吸収してその落下速度を低減させる機能を有している。なお、商品収納ラック4は左右のラック側板41の上端を外側に向けて鋭角に折り曲げて形成されたフック片41F2,41R2(後述する図6参照)を、本体キャビネット1における商品収容庫の天井面に配設した前後方向に延在するレール部材Rに引っ掛けることにより商品収納庫内に設置されているものである。
【0020】
前記各商品収納ラック4に上下多段に配設された商品収容通路43の商品搬出口45は同一の鉛直線上に位置しており、前記商品搬出口45と商品収納庫背面(本体キャビネット1の背壁1c)との間には第2ラック側板41Rに係止固定された横断面コ字状の搬出通路形成部材10が配設されており、当該搬出通路形成部材10の内部空間が商品Gの落下する搬出通路46として形成されている。
【0021】
前記搬出通路形成部材10の下部には、搬出通路46と商品収納ラック4の下部に配された商品搬出シュート6とを連係するガイド部材20が係止されている。このガイド部材20は搬出通路46を略鉛直方向に落下する商品Gが商品搬出シュート6に向けて円滑に方向転換するようにガイドするとともに落下する商品Gの落下衝撃を緩和する機能を有している。前記商品搬出シュート6は商品収納ラック4の下部に前下がりの姿勢に配されるとともにその板面に複数の通気孔が穿孔されている。この商品搬出シュート6は前記搬出通路46と断熱内扉3に設けたフラッパ付きの商品搬出口31を介して外扉2の商品取出口21とを連係する。また、前記商品搬出シュート6の下部には、商品収納庫内を冷却若しくは加熱して商品収納ラック4に収容した商品Gをコールド若しくはホット状態に保存する冷却/加熱ユニット7が配設され、この冷却/加熱ユニット7の風洞7aに連ねて背面ダクト13が設けられている。さらに、本体キャビネット1の下部の機械室8には、冷却/加熱ユニット7の冷却ユニットと冷凍サイクルを形成する冷凍機コンデンシングユニット9が配設されている。
【0022】
なお、外扉2の前面には、図示は省略するが、本体キャビネット1の庫内に収納した商品Gに対応した複数の商品見本を展示した商品展示室、購入する商品Gを指定する商品選択ボタン、代価としての硬貨を投入する硬貨投入口、代価としての紙幣を挿入する紙幣挿入口、釣銭硬貨若しくは返却指令により返却される硬貨を取り出すための硬貨返却口、釣銭若しくは投入硬貨の返却を指示する返却レバーなど、貨幣の投入により商品Gの自動販売に必要な部品が配設され、さらに、外扉2を本体キャビネット1に閉止鎖錠する扉ロック機構のハンドルなどが設けられている。
【0023】
前記本体キャビネット1の商品収納庫の背壁1cの上部には吸込みダクト14が設けられ、この実施の形態では商品収納ラック4ごとに吸込みダクト14が配設されている。この吸込みダクト14は商品収納室内の空気を吸い込み、次の図3で説明する側面ダクト15を介して背面ダクト13(冷却/加熱ユニット7)に戻すためのものである。以下、前記冷却/加熱ユニット7から吹き出された加熱若しくは冷却された空気の循環経路を形成するダクト構成について図3を用いて説明する。なお、図3は、図2から商品収納ラック4、商品搬出シュータ6、および風洞7a(冷却/加熱ユニット7)を除去した状態を示すものである。
【0024】
図3において、13および14で再び背面ダクトおよび吸込みダクトを示し、15は側面ダクトである。前記背面ダクト13の前面(庫内側)には風洞7a(冷却/加熱ユニット7)に連通する開口131が形成され、背面ダクト14の下面には庫内に通じる吸込み口(不図示)が形成されている。前記側面ダクト15は、本体キャビネット1の左右側壁1b,1bおよび断熱仕切板100の商品収納室A2側の側面に沿わせて庫内底部から上部に向けて立上がるように敷設されている。側面ダクト15は庫内底部側においては背面ダクト13と連通し、上部側においては吸込みダクト14と連通するように構成されている。ここで、1個の商品収納ラック4が収納設置される比較的狭い商品収納室A1には側面ダクト15が一方の側面、この実施の形態では正面視左側の側壁1bに敷設され、2個の商品収納ラック4が収納設置される比較的広い商品収納室A2には側面ダクト15が左右側面、この実施の形態では正面視右側の側壁1bと断熱仕切板100の商品収納室A2側の側面に敷設されている。比較的広い商品収納室A2において側面ダクト15を左右側面に敷設しているのは、2個の商品収納ラック4に対応して庫内空気の循環経路を二つに分散させ、2個の商品収納ラック4に庫内空気を十分に循環させることができるようにするとともに2個の商品収納ラック4に収容された商品Gを効率良く冷却若しくは加熱するためである。このように、商品収納室A1には側面ダクト15に連通する一つの吸込みダクト14、商品収納室A2には左右の側面ダクト15,15にそれぞれ連通する二つの吸込みダクト14,14が敷設されている。なお、図3において、101〜104はそれぞれ板金により形成され、ウレタンフォームの断熱パネルからなる左右側壁1b,1b、背壁1c、断熱仕切板100の表面を覆って保護する保護部材であり、この保護部材101〜104に背面ダクト13、吸込みダクト14をねじで固着するように構成されている。
【0025】
図3に示すダクト構成において、吸込みダクト14は、スラントラックの宿命である商品収納庫の背面側上部に形成されるデッドスペース(空きスペース)に敷設されている。すなわち、図1に示すように、商品収納庫に収納設置される商品収納ラック4には、商品投入口44となる前方側が高く、商品搬出口45となる後方側が低くなるように所定の勾配をもって傾斜する態様の商品収容棚42が架設されることから、商品収納庫の背面側上部には空きスペースが生じることとなるが、この実施の形態では前記空きスペースに吸込みダクト14が敷設されている。そして、側面ダクト15は庫内の左右サイドに配設されている。この構成により、従来装置では庫内背面に配設していた空気循環用ダクトを除去して庫内の前後方向領域を大きくすることが可能、つまり、商品収容通路43を長くすることが可能となるので、商品収容数を増やすことができるものである。
【0026】
次に、商品収納ラック4の構成ついて図4を用いて説明する。図4は商品収納室A2(図2参照)に収納設置された正面視左側の商品収納ラック4を示している。この商品収納ラック4は、前後に分離された第1ラック側板41Fと第2ラック側板41Rからなる左右のラック側板41、前記第1ラック側板41Fと第2ラック側板41Rにそれぞれ架設される前方側商品収容棚42F(以下、これを第1商品収容棚42Fという)と後方側商品収容棚42R(以下、第2商品収容棚42Rという)、この第1商品収容棚42Fおよび第2商品収容棚42Rに跨って配設されるとともに第1商品収容棚42Fおよび第2商品収容棚42Rに連結された左右一対のトップガイド40(右サイドのトップガイドを40R、左サイドのトップガイドを40Lと称し、これらを総称する場合にはトップガイド40という)、前記第2ラック側板41Rに係止固定された横断面コ字状の搬出通路形成部材10、この搬出通路形成部材10の下端に係止されたガイド部材20などからなる。
【0027】
前記左右のラック側板41は、図5に示すように、矩形平板状の薄板鋼板製の第1ラック側板41Fと第2ラック側板41Rからなる。第1ラック側板41Fに対して第2ラック側板41Rが長く形成されている点を除けば両者の構成は略同一であるので、第1ラック側板41Fについて説明し、第2ラック側板41Rについては参照符号を併記して説明は省略する。なお、図6に正面視右側のラック側板41を拡大して示し、図6も参照しつつ第1ラック側板41Fについて説明する。
【0028】
第1ラック側板41Fは矩形平板状の薄板鋼板の前後および下縁を外方に折り曲げて補強フランジ41F1(41R1)が形成され、上縁には外方に鋭角に折り曲げた係合フック41F2(41R2)が形成されている。また、第1ラック側板41Fの板面には前後で対をなす係止孔41F3(41R3)が上下多段に形成され、前後一対の係止孔41F3(41R3)はそれぞれ段差を有している。前記係止孔41F3(41R3)は各段ごとに上下方向に離隔してそれぞれ2個形成されている。前記係止孔41F3(41R3)は商品収容棚42を架設するためのものであり、第1ラック側板41Fと第2ラック側板41Rを接近して配置した場合(奥行きの短い自動販売機の場合)には上段側の係止孔41F3(41R3)を利用し、第1ラック側板41Fと第2ラック側板41Rを離隔して配置した場合(奥行きの長い自動販売機の場合)には下段側の係止孔41F3(41R3)を利用するように構成されている。これは、第1ラック側板41Fと第2ラック側板41Rを接近或いは離隔して配置した場合にも当該第1ラック側板41Fと第2ラック側板41Rに架設される商品収容棚42の傾斜角度を一定に保つためである。なお、第2ラック側板41Rにおける後方側の係止孔41R3は、図6に示すように、前方側の係止孔41R3が円形であるのに対してL字状鉤形に形成されている。また、第2ラック側板41Rの後縁に形成された補強フランジ41R1には上下方向に複数のねじ穴(雌ねじ)41R4が形成されるとともに上部側に嵌合穴41R5が形成されている。
【0029】
第1ラック側板41Fの上縁に形成された係合フック41F2(41R2)は本体キャビネット1における商品収容庫の天井面に敷設したレール部材R,R(図4参照)に係合するものである。前記レール部材R,Rは左右対称に形成されており、図4の(a)に拡大して示すように、水平部R1、およびこの水平部R1の長手方向に沿って鉛直に折り曲げられた垂下部R2からなり、垂下部R2の下端から内側方向に鋭角に折り返したフック部R3を備えている。前記レール部材R,Rは商品収納庫の天井面に設けたフレーム部材(不図示)に水平部R1がねじ止めされて前後方向に延在するように配設される。前記レール部材Rのフック部R3の先端は、前記係合フック41F2(41R2)が係合して摺動(スライド移動)する摺動面として形成され、この摺動面には、図7に示すように、ストッパ部R31,R32が形成されている。図7は正面視左側のレール部材Rを他方(右側)のレール部材R側から見た側面図である。前記ストッパ部R31,R32はレール部材Rの摺動面より一段高い凸状に形成されるとともにストッパ部R31,R32の間には係合フック41R2が丁度嵌まり込む寸法に定められている。前記レール部材Rのストッパ部R31,R32は、レール部材Rのフック部R3にラック側板41の係合フック41F2(41R2)を係合させた場合、商品収容庫内の所定位置に商品収納ラック4を収納設置する機能に加えて前後に分離された第1ラック側板41Fおよび第2ラック側板41Rが前後方向にずれて相互間の間隔がずれるのを防止する機能を有する。
【0030】
また、第1ラック側板41Fの下端後方側には板金により形成された位置決めガイド41G(図5参照)が固着されている。この位置決めガイド41Gは、図8に示すように、短冊状の基板部41G1の左右両端を上方に向けて折り曲げてなる橋渡し部41G2の前端を互いに内方をむくように折り曲げた係止片41G3にねじ穴(雌ねじ)41G31が形成されている。前記基板部41G1の後端側は左右端縁を切欠いて左右の橋渡し部41G2間の寸法よりも短く形成されるとともにその後端縁には中空円筒形状(カール状)に丸めたカール状補強部41G11が形成されている。このカール状補強部41G11の左右方向の長さは左右に対向配置される第2ラック側板41Rの間の寸法より僅かに短く、左右に対向配置される第2ラック側板41Rの間に丁度嵌まり込む長さに形成されている。前記位置決めガイド41Gは、図6に示すように、左右の係止片41G3を第1ラック側板41Fの後縁に形成した補強フランジ41F1に沿わせた上で基板41G1の後端縁に形成したカール状補強部41G11を第2ラック側板41Rの間に嵌め込む。この際、基板41G1の後端側の左右の切欠きが第2ラック側板41Rの前端縁に形成した補強フランジ41R1の外壁と第2ラック側板41Rの内壁に沿うようになる。このように、位置決めガイド41Gを第1ラック側板41Fおよび第2ラック側板41Rに跨るように配設した状態で第1ラック側板41Fの後縁に形成した補強フランジ41F1を介して係止片41G3のねじ穴(雌ねじ)41G31にねじS1(図6参照)を螺合させると、位置決めガイド41Gは第1ラック側板41Fおよび第2ラック側板41Rに跨って両者を連結する。したがって、この位置決めガイド41Gは、左右に対向配置されるラック側板41F,41Rの間隔を所定の間隔に維持するとともに前後に分離された第1ラック側板41Fおよび第2ラック側板41Rが左右方向にずれるのを防止する機能を有する。
【0031】
次に、図9は、前記第1ラック側板41F,第2ラック側板41Rにそれぞれ架設される第1商品収容棚42F,第2商品収容棚42Rと、この第1商品収容棚42F,第2商品収容棚42Rに左右一対のトップガイド40を組み付けた状態を示している。前記左右一対のトップガイド40は右サイドに位置するトップガイド40Rと左サイドに位置するトップガイド40Lとからなり、それぞれ第1商品収容棚42F,第2商品収容棚42Rに跨って配設されるとともに前後方向に延在する態様で商品収容通路43を形成する。ここで、殆どの場合、右サイドに位置するトップガイド40Rに対して左サイドに位置するトップガイド40Lを接近・離隔させることにより商品収容通路43を商品の長さ(幅)に応じた通路幅に設定するように構成されており、以下では右サイドに位置するトップガイド40Rを固定トップガイド40R、左サイドに位置するトップガイド40Lを可動トップガイド40Lという。なお、図9では第2商品収容棚42Rの後端部に配備される姿勢制御板47は取外されている。
【0032】
前記第1商品収容棚42Fと第2商品収容棚42Rについて図10をも参照しつつ説明する。第1商品収容棚42Fと第2商品収容棚42Rはそれぞれ矩形鋼板製になり、第1商品収容棚42Fと第2商品収容棚42Rと共通の部分は第1商品収容棚42Fについて説明し、第2商品収容棚42Rについては参照符号を併記してその説明は省略する。
【0033】
前記第1商品収容棚42F(42R)は、図10に示すように、その左右側縁から下方に折り曲げられたフランジ42FA,42FB(42RA,42RB)を形成して強度アップが図られている(図10では左側縁に形成されたフランジ42FA(42RA)は隠れて見えない)。前記フランジ42FA,42FB(42RA,42RB)にはねじ穴(雌ねじ)42FA1,42FB1(42RA1,42RB1)がそれぞれ形成されている。第1商品収容棚42F(42R)の前端には中空円筒形状(カール状)に丸めた支持軸42F1(42R1)が形成され、支持軸42F1(42R1)の左右両端はそれぞれフランジ42FA,42FB(42RA,42RB)よりも外方に突出するように形成されている。また、第1商品収容棚42Fの後端には中空円筒形状(カール状)に丸めた支持軸42F2が形成され、支持軸42F2の左右両端はそれぞれフランジ42FA,42FBよりも外方に突出するように形成されている。さらに、第1商品収容棚42Fの板面の前方寄りには左右方向に延在する太幅の操作孔42F3および太幅のスリットの後方端に細幅のスリットが連通したスライド係合孔42F4が穿設され、第1商品収容棚42Fの板面の後方寄りには太幅のスリットの前方端に細幅のスリットが連通したスライド係合孔42F5が穿設されている。
【0034】
前記第2商品収容棚42Rの後端には折り曲げにより形成された溝状の保持部42R2(後述する図25も参照)が設けられている。この保持部42R2は後述する商品搬出装置5を保持するものである。前記保持部42R2の左右両端はそれぞれフランジ42RA,42RBよりも外方に突出するL字状の支持片42R21,42R21として形成されている。また、第2商品収容棚42Rの板面には前後方向に延在するスリット状の設定溝42RHが左右方向に複数穿設されている。このスリット状の設定溝42RHは前後に対をなすように形成されている。さらに、第2商品収容棚42Rの板面の前方寄りには、背面に向けて押し出し形成されたアーチ状の嵌合突起42R3,42R4が形成されている。この嵌合突起42R3,42R4は中央部分(アーチ部分)が第2商品収容棚42Rの背面から浮き上がり、後述する商品搬出装置5の基板50の係止爪501,502の先端が通過可能な貫通穴として形成されている。そして、第2商品収容棚42Rの板面の後端には、後述する図22に示す商品搬出装置5の第1ストッパ56のロック部材566における弓状の突起567および左右のガイド突起568,568が貫通する3つの逃げ穴42R5が形成されている。
【0035】
前記第1商品収容棚42Fは、第1ラック側板41Fに次のように架設される。すなわち、第1商品収容棚42Fにおける左右に突出する前後の支持軸42F1,42F2を第1ラック側板41Fの板面に形成した前後で対をなす係止孔41F3,41F3にそれぞれ嵌め込む。これにより第1商品収容棚42Fが第1ラック側板41Fに架設される。同様に第2商品収容棚42Rは支持軸42R1および支持片42R21を、第2ラック側板41Rの係止孔41R3,41R3にそれぞれ嵌め込む。これにより第2商品収容棚42Rが第2ラック側板41Rに架設される。そして、第1商品収容棚42Fおよび第2商品収容棚42Rのそれぞれのフランジ42FA,42FB(42RA,42RB)に形成されたねじ穴(雌ねじ)42FA1,42FB1(42RA1,42RB1)に第1ラック側板41F,第2ラック側板41Rを介してねじが螺合される。この場合、この実施の形態においては、上下多段の第1商品収容棚42F,第2商品収納棚42Rのうちの上段,中段,下段に位置する第1商品収容棚42F,第2商品収納棚42Rのみをねじ止めするように構成されている。これにより上下方向に多段の第1商品収容棚42F,第2商品収納棚42Rの全てをねじ止めする場合に対して組立工数を削減することができる。
【0036】
次に、図11は固定トップガイド40Rを示し、(a)は左斜め上方から見た斜視図、(b)は左斜め下方から見た斜視図である。この固定トップガイド40Rは、L字状に折り曲げた薄板鋼板になり、第1商品収容棚42F,第2商品収納棚42Rの板面に平行な商品載置部40R1と、第1商品収容棚42F,第2商品収納棚42Rの板面に鉛直な側壁部40R2からなる。前記商品載置部40R1の前端(図示状態では右斜め前方端)には第1商品収容棚42Fの中空円筒形状(カール状)の支持軸42F1よりも一回り大きなカール状の嵌合部40R3が形成されている。この嵌合部40R3は第1商品収容棚42Fの中空円筒形状(カール状)の支持軸42F1の外周の4分の3を包み込むような4分の3円環状に形成され、前記支持軸42F1に嵌合した状態で当該支持軸42F1に遊嵌されて左右にスライド移動自在である。また、商品載置部40R1の板面における前方寄りには背面側に向けて突出するフック片40R11が切り起こしにより形成されている。さらに、商品載置部40R1の板面における後方寄りには背面側に向けて突出する前後一対の係合爪40R12,40R12が切り起こしにより形成されている。この係合爪40R12,40R12は、側面から見た場合略V字状に形成されている。この前後一対の係合爪40R12,40R12は前述した第2商品収容棚42Rの板面に形成した前後一対の設定溝42RH,42RHに係合・離脱可能である。
【0037】
次に、図12は可動トップガイド40Lを示し、(a)は右斜め上方から見た斜視図、(b)は右斜め下方から見た斜視図である。この可動トップガイド40Lは、L字状に折り曲げた薄板鋼板になり、第1商品収容棚42F,第2商品収納棚42Rの板面に平行な商品載置部40L1と、第1商品収容棚42F,第2商品収納棚42Rの板面に鉛直な規制部40L2からなる。前記商品載置部40L1の前端(図示状態では左斜め前方端)には第1商品収容棚42Fの中空円筒形状(カール状)の支持軸42F1よりも二段階大きく、かつ、前述した固定トップガイド40Rのカール状の嵌合部40R3よりも一回り大きなカール状の嵌合部40L3が形成されている。この嵌合部40L3は第1商品収容棚42Fの中空円筒形状(カール状)の支持軸42F1の外周の4分の3を包み込むような4分の3円環状に形成され、前記支持軸42F1に嵌合した状態で当該支持軸42F1に遊嵌されて左右にスライド移動自在であり、さらに前述した固定トップガイド40Rのカール状の嵌合部40R3に遊嵌されるように形成されている。また、商品載置部40L1の板面における中間部より前方側には背面側に向けて突出するフック片40L11が切り起こしにより形成されるともに後方寄りには背面側に向けて突出する前後一対の係合爪40L12,40L12が切り起こしにより形成されている。この係合爪40L12,40L12は、側面から見た場合略V字状に形成されている。この前後一対の係合爪40L12,40L12は前述した第2商品収容棚42Rの板面に形成した前後一対の設定溝42RH,42RHに係合・離脱可能である。
【0038】
前記固定トップガイド40Rは、第1商品収容棚42Fおよび後側商品収納棚42Rに次のようにして組付けられる。すなわち、第1商品収容棚42Fおよび後側商品収納棚42Rの上方から固定トップガイド40Rの商品載置部40R1に形成したフック片40R11を第1商品収容棚42Fの板面に形成したスライド係合孔42F4の太幅スリットに対峙させて挿通させる。この状態では固定トップガイド40Rの嵌合部40R3は第1商品収容棚42Fの支持軸42F1よりも前方に位置している。この後、固定トップガイド40Rを後方側に移動させると、固定トップガイド40Rの嵌合部40R3が第1商品収容棚42Fの支持軸42F1の外周を包み込むように嵌合する。このとき、フック片40R11の鉛直部分はスライド係合孔42F4の太幅スリット内を後方に移動した後、細幅スリットの開放面に合致する位置に達し、フック片40R11の水平部分が太幅スリットの後方側に位置している。この状態で固定トップガイド40Rから手を離すと固定トップガイド40Rは、係合爪40R12が第2商品収容棚42Rの板面に当接して第1商品収容棚42F,第2商品収容棚42Rから浮き上がった状態となり、また、フック片40R11の水平部分は第1商品収容棚42Fの背面から離隔している。
【0039】
前述した状態から第1商品収容棚42Fの背面側に手を回し、手の平を上にした状態で親指を嵌合部40R3の前方側に押し当てる一方、人差し指若しくは中指を第1商品収容棚42Fの操作孔42F3から覗く固定トップガイド40Rの商品載置部40R1若しくはフック片40R11の水平部分に当てて押し上げる。そうすると、固定トップガイド40Rはその嵌合部40R3を支点として上方に回動し、係合爪40R12が第2商品収容棚42Rの板面から離隔する。固定トップガイド40Rの上方への回動はフック片40R11の水平部分が第1商品収容棚42Fの背面に当接することにより制限される。固定トップガイド40Rを上方に回動させた状態で固定トップガイド40Rを右側にスライドさせると、嵌合部40R3が第1商品収容棚42Fの支持軸42F1上を摺動する一方、フック片40R11の鉛直部分がスライド係合孔42F4の細幅スリット内に入り込む。そして、フック片40R11の鉛直部分がスライド係合孔42F4の細幅スリットの右端近傍に位置するまで固定トップガイド40Rを右側にスライドさせた上で係合爪40R12,係合爪40R12が第2商品収容棚42Rの設定溝42RH,42RHのうちの右端側の設定溝42RH,42RHに嵌合するように、固定トップガイド40Rを嵌合部40R3を支点として下方に回動させる。これにより固定トップガイド40Rの商品載置部40R1が第1商品収容棚42F,第2商品収容棚42Rの板面に密着した状態で第1商品収容棚42F,第2商品収容棚42Rに連結され、第1商品収容棚42F,第2商品収容棚42Rの最も右端側の位置(固定位置)にセットされる。
【0040】
前記可動トップガイド40Lの第1商品収容棚42Fおよび第2商品収納棚42Rへの組付けは、前記固定トップガイド40Rの第1商品収容棚42Fおよび第2商品収納棚42Rへの組付けに対し、可動トップガイド40Lのフック片40L11を第1商品収容棚42Fの板面の後方寄りのスライド係合孔42F5に係合させる点以外は同一であるので、ここでは重複する説明を省略する。この可動トップガイド40Lは、第1商品収容棚42Fにおけるスライド係合孔42F5の左右方向の長さ分だけ左右にスライド移動させることができ、左右にスライド移動させることにより前記固定位置にセットされた固定トップガイド40Rに接近・離隔する。したがって、固定トップガイド40R(の側壁部40R2)を基準位置とし、当該固定トップガイド40R(の側壁部40R2)から販売する商品の長さ(幅)に対応する幅だけ離隔した位置に可動トップガイド40L(の規制部40L2)をスライド移動させた上で係合爪40L2,40L2を第2商品収容棚42Rの設定溝42RH,42RHに嵌合させてセットすることにより、固定トップガイド40R(の側壁部40R2)と可動トップガイド40L(の規制部40L2)との間に販売する商品の幅に対応する通路幅を有する商品収容通路43が前後方向に延在する態様で形成される。なお、可動トップガイド40Lを固定トップガイド40Rに接近させた場合には可動トップガイド40Lの嵌合部40L3が固定トップガイド40Rの嵌合部40R3の周囲を覆う一方、可動トップガイド40Lの商品載置部40L1が固定トップガイド40Rの商品載置部40R1の上部に乗り上げて両者の商品載置部40L1および商品載置部40R1が上下に重なるようになるものである。
【0041】
ここで、図2における商品収納室A2に収納設置された2個の商品収納ラック4のうち、正面視右側の商品収納ラック4(以下、この商品収納ラックを4Rと呼称する)は、ロングサイズの商品、および前記ロングサイズの商品の半分の長さのハーフサイズ以下の商品(以下、単にハーフサイズの商品という)の販売に共用されるものであり、次の図13を用いてこれを説明する。図13の(a)は、前記商品収納ラック4Rにおける第1商品収容棚42FF,第2商品収容棚42RRと、この第1商品収容棚42FF,第2商品収容棚42RRにトップガイド40を組み付けた状態を示し、図13の(b)は、トップガイド40を取外した第1商品収容棚42FF,第2商品収容棚42RRを示す。なお、図13では図10に示したものと同一の機能を有するものには同一の符号を付している。
【0042】
図13の(a)に示すように、トップガイド40は、商品収容通路43にハーフサイズの商品を左右に分離して収容することができるように、右コース用の固定トップガイド40RR、および前記固定トップガイド40RRと対をなす可動トップガイド40MR、左コース用の固定トップガイド40ML、および前記固定トップガイド40MLと対をなす可動トップガイド40LLからなる。一方、図13の(b)に示すように、第1商品収容棚42FF,第2商品収容棚42RRは、図10に示した第1商品収容棚42F,第2商品収容棚42Rをそれぞれ左右方向に2個並設した形態に相当するものである。すなわち、第1商品収容棚42FFの板面の前方寄りには操作孔42F3とスライド係合孔42F4が右コース用と左コース用に分けてそれぞれ穿設され、また、第1商品収容棚42FFの板面の後方寄りには太幅のスリットの前方端に細幅のスリットが連通したスライド係合孔42F5が右コース用と左コース用に分けてそれぞれ穿設されている。そして、第2商品収容棚42RRの板面には前後に対をなすスリット状の設定溝42RHが右コース用と左コース用に分けてそれぞれ穿設されている。
【0043】
前記商品収納ラック4Rでハーフサイズの商品を販売する際のトップガイド40のセット状態は、図13の(a)の通りである。すなわち、右コース用の固定トップガイド40RRは、第1商品収容棚42FF,第2商品収容棚42RRの右端位置にセットされる一方、前記固定トップガイド40RRと対をなす可動トップガイド40MRが第1商品収容棚42FF,第2商品収容棚42RRの略中央位置にセットされる。また、左コース用の固定トップガイド40MLは、第1商品収容棚42FF,第2商品収容棚42RRの略中央位置であって右コース用の可動トップガイド40MRの左側に並べてセットされる一方、前記固定トップガイド40MLと対をなす可動トップガイド40LLが第1商品収容棚42FF,第2商品収容棚42RRの左端位置にセットされる。これにより、固定トップガイド40RRと可動トップガイド40MRとの間、および固定トップガイド40MLと可動トップガイド40LLとの間にそれぞれハーフサイズの商品の幅に対応する通路幅を有する商品収容通路43が2列前後方向に延在する態様で形成される。なお、ハーフサイズよりも短い商品を販売する場合には、可動トップガイド40MR若しくは可動トップガイド40LLを右方向にスライドさせてセットする。
【0044】
前記商品収納ラック4Rでロングサイズの商品を販売する際には、図13の(a)の位置にセットされたトップガイド40を次のように調整する。すなわち、右コース用の可動トップガイド40MRを右方向にスライドさせて固定トップガイド40RRに近接させる。この場合、可動トップガイド40MRの商品載置部40MR1は固定トップガイド40RRの商品載置部40RR1に乗り上げて上下に重なるようになる。このように可動トップガイド40MRの商品載置部40MR1が固定トップガイド40RRの商品載置部40RR1に乗り上げた場合にも可動トップガイド40MRの係合爪40MR12が第2商品収容棚42RRのスリット状の設定溝42RH,42RHに係合可能なように、当該係合爪40MR12は商品載置部40MR1の右端から固定トップガイド40RRの商品載置部40RR1の横幅(左右方向の寸法)だけ左側にずれた位置に形成されている。前述したように、右コース用の可動トップガイド40MRを、図13の(a)のセット位置から右方向にスライドさせて固定トップガイド40RRに近接した位置にセットする一方、左コース用の固定トップガイド40MLを左方向にスライドさせて可動トップガイド40LLに近接した位置にセットする。この場合、固定トップガイド40MLの商品載置部40ML1は固定トップガイド40LLの商品載置部40LL1の下に潜り込んで上下に重なるようになる。これにより右コース用の可動トップガイド40MRと左コース用の固定トップガイド40MLとの間にロングサイズの商品の幅に対応する通路幅を有する商品収容通路43が前後方向に延在する態様で形成される。
【0045】
なお、前記商品収納ラック4Rにおける第2商品収容棚42RRには商品搬出装置5(図1参照)が2個左右に並べて配設され、ハーフサイズの商品を販売する場合には2個の商品搬出装置5を個別に動作するように制御される一方、ロングサイズの商品を販売する場合には2個の商品搬出装置5が同時に動作するように同期制御されるものである。
【0046】
次に、図14は第2商品収容棚42Rの後方端に配備された姿勢制御板47を示し、(a)は姿勢制御板47を第2商品収容棚42Rへ取付けた状態、(b)は姿勢制御板47を分解した状態を示している。姿勢制御板47は矩形横長の薄板鋼板の加工品になり、下方に凸状に湾曲した姿勢制御板47の板面には押し出しにより複数条のリブ471が形成されている。姿勢制御板47の基端側には中空円筒形状(カール状)に丸めて形成された軸受472,472が設けられている。これらの軸受472,472には丸棒状の軸473が挿通される。また、前記一対の軸受472,472の間にはコイルばね474が設置され、このコイルばね474の中空部に前記軸473が挿通される。したがって、前記コイルばね474は軸473により保持されるものである。
【0047】
一方、第2商品収容棚42Rの後端縁の稜を切欠いて3個の開口部42Ra,42Rb,42Rcが形成されている。また、開口部42Ra,42Rb,42Rcの両隣には第2商品収容棚42Rの通路面から背面側(第2商品収容棚42Rの通路面とは反対側)に切り起されるとともに後方に向いたフック片42Rd,42Reが形成されている。さらに、フック片42Reの側方には前方に向いて切り起されたストッパ片42Rfが形成されている。前記開口部42Rb,42Rcは姿勢制御板47の左右一対の軸受472,472に対応して設けられ、当該軸受472,472を受け入れ可能な大きさに形成されている。また、前記開口部42Raはコイルばね474を受け入れ可能な大きさに形成されている。さらに、フック片42Rd,42Reは商品収容棚42の板面との間に軸473が貫通する貫通穴を形成するとともに当該軸473を保持するものであり、ストッパ片42Rfは軸473の抜け止めをなすものである。なお、第2商品収容棚42Rの板面の前方寄りに形成したところの、背面に向けて押し出し形成されたアーチ状の嵌合突起42R3,42R4は後述する商品搬出装置5を取付けるためのものである。
【0048】
前記姿勢制御板47の第2商品収容棚42Rへの取付けは次のとおりである。すなわち、作業台の上に置いた第2商品収容棚42の後方側(図14では右斜め前方側)から姿勢制御板47の左右一対の軸受472,472を開口部42Rb,42Rcに嵌め込んだ状態で、軸473を第2商品収容棚42Rの側面から第2商品収容棚42Rの後端の稜の背面に沿わせて差し込む。ここで、軸473が一方のフック片42Rd(図では左側)により形成された貫通穴を通り、姿勢制御板47の一方の軸受472(図では左側)を貫通して開口部42Raに到達した時点で軸473の差込みを一旦停止する。この状態で前記開口部42Raにコイルばね474を装着する。この場合、コイルばね474は付勢力を蓄積した状態で一方の端部を第2商品収容棚42Rの背面に引っ掛ける一方、他方の端部を姿勢制御板47の背面に引っ掛ける。このように、開口部42Raにコイルばね474を装着した後、軸473の差込みを再開する。そして、前記軸473を、コイルばね474,姿勢制御板47の他方の軸受472(図では右側),他方のフック片42Re(図では右側)により形成された貫通穴を貫通させた後、ストッパ片42Rfに当接させるまで差込む。これにより、コイルばね474に付勢された姿勢制御板47が第2商品収容棚42Rの後端部に軸473を中心に回動自在に軸支される。
【0049】
なお、姿勢制御板47はコイルばね474により搬出通路46(図1参照)に向けて突出するように付勢されており、商品Gが当接していない状態では図14の(a)に示すように第2商品収容棚42Rの通路面の延長線上の突出位置に保持される。これは姿勢制御板47の軸受472,472が形成されている基端側の端面が第2商品収納棚42Rの後端から下方に折り曲げられた板面に当接するように定められていることによる。
【0050】
ここで、図2における商品収納室A2に収納設置された2個の商品収納ラック4のうち、正面視右側の商品収納ラック4Rに係る第2商品収容棚42RRの後方端に配備された姿勢制御板47を図15に示す。図15において、図14と同一若しくは同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明は省略する。
【0051】
図15に示すように、第2商品収容棚42RRは、図14に示した第2商品収容棚42Rをそれぞれ左右方向に2個並設した形態に相当するものである。すなわち、第2商品収容棚42RRの後端縁には、左サイドと右サイドにそれぞれ3個の開口部42Ra,42Rb,42Rcが形成され、この開口部42Ra,42Rb,42Rcの両隣にはフック片42Rd,42Reがそれぞれ形成され、さらに、右サイドのフック片42Reの側方にはストッパ片42Rfがそれぞれ形成されている。左サイドにストッパ片42Rfが形成されていないのは、姿勢制御板47,47の軸473(図14参照)を両者に共通の長い軸を用いるためである。そして、姿勢制御板47,47の構成は両者に共通の長い軸473を除けば図14に示したものと同一である。したがって、その取付けは、図14で示した取付け方法に対して軸473により左右の姿勢制御板47,47を軸支する点以外は図14の取付け方法と同一であるので、ここでは重複する説明は省略する。
【0052】
次に、図16は搬出通路46(図1参照)を形成する搬出通路形成部材10の斜視図である。この搬出通路形成部材10は板金の折り曲げにより横断面コ字状に形成され、基板101の左右両端から基板101の面に対して垂直に折り曲げられた脚片102,102を備えている。この脚片102,102の間の間隔は左右一対の第2ラック側板41Rの間隔に一致している。前記脚片102,102の前端縁にはそれぞれ外方を向くフランジ103,103がそれぞれ形成され、これらのフランジ103,103の上下両端部にはそれぞれねじ挿通穴104が設けられている。また、前記脚片102,102の前端縁上部にはフック状の係止爪105が設けられている。前記搬出通路形成部材10は、第2ラック側板41Rの後縁に形成された補強フランジ41R1の嵌合穴41R5(図6参照)に前記係止爪105を貫通させつつ左右のフランジ103,103を第2ラック側板41Rの後縁に形成された補強フランジ41R1(図6参照)に当接させた上で下方にスライドさせると前記係止爪105が前記嵌合穴41R5に係合する。この状態で、左右のフランジ103,103のねじ挿通穴104を介してねじ(不図示)を前記補強フランジ41R1に形成したねじ穴(雌ねじ)41R4に螺合させる。これにより前記搬出通路形成部材10は商品収納ラック4に係止固定されて一体的に取付けられる。
【0053】
さて、前記搬出通路形成部材10における基板101の下部に配備されたガイド部材20について図17をも参照しながら以下に説明する。図17は搬出通路形成部材10からガイド部材20を分解した分解図である。図17において、20で再びガイド部材20を示し、21は板金製の取付金具、22は丸棒状の軸である。前記ガイド部材20は板金製になり、搬出通路形成部材10の左右脚片102,102の間の寸法よりも僅かに短い左右幅を有する基板部201が背面側に凸状に湾曲して形成され、基板部201の上端には中空円筒形状(カール状)に丸めて形成された軸受202が左右方向に分散して設けられている。前記取付金具21は縦断面L字状に折り曲げられてなり、上方を向く基板部211の上端に中空円筒形状(カール状)に丸めて形成された軸受210が前記ガイド部材20の軸受202と噛み合うように分散して設けられている。前記取付金具21の前方を向く支持部212には複数のねじ穴(雌ねじ)2121が設けられている。一方、搬出通路形成部材10における基板101の下端には前方を向くフランジ1011が形成されている。このフランジ1011は取付金具21の台座となるものであり、複数のねじ挿通孔1012が形成されている。また、フランジ1011の上方域にはガイド片1013が基板101の切り起こしにより形成されている。このガイド片1013は上方から下方に向うにしたがって前方側に突出するように傾斜している。
【0054】
前記ガイド部材20の搬出通路形成部材10への組付けについて説明すると、まず、ガイド部材20に取付金具21を組付ける。この場合、ガイド部材20の軸受202と取付金具21の軸受210が交互に並ぶように両者をかみ合わせた上でガイド部材20の軸受202の一方端から軸22を挿入し、ガイド部材20と取付金具21とを一体化する。この後、取付金具21の支持部212を搬出通路形成部材10のフランジ1011の上に載置する。ここで、取付金具21の支持部212を、その台座となるフランジ1011に載置する際、取付金具21の基板部211の上端を搬出通路形成部材10のガイド片1013の後方側に差し込む。そして、フランジ1011の下方からねじ挿通孔1012を介してねじS2を支持部212のねじ穴(雌ねじ)2121に螺合させる。これにより、ガイド部材20は、ガイド片1013により商品の落下通路となる搬出通路46に対して隠れた位置に配設される軸22を支点として揺動自在に配備される。このように、ガイド部材20は軸22を支点として揺動自在であるので、商品収納ラック4の下部に配設される商品搬出シュート6(図1参照)との位置関係がずれたとしてもガイド部材20の下端(自由端)が商品搬出シュート6に接するようになり、両者の連係が良好に保たれる。
【0055】
次に、前記商品搬出装置5は、図1に示すように、前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍であって各商品収容通路43の上部、この実施の形態においては上段側の第2商品収容棚42Rの下面に配設されている。この商品搬出装置5の第2商品収容棚42Rへの組付けについては後述することとし、先ず、商品搬出装置5の構成について説明する。
【0056】
前記商品搬出装置5は、図18および図19に示すように、鋼板製の基板50を備えている。この基板50の平板状の矩形板面は商品収容通路43の通路面を形成するものである。前記基板50は、図20も参照すると分かるように、平板状の矩形周縁を商品収容通路43と反対側(基板50の背面側)に折り曲げた上下左右のフランジ50A〜50Dにより背面側が開口した薄い箱形に形成されている。また、前記基板50の下半領域には、商品収容通路43に通じる矩形の大きな開口部51が設けられ、基板50の上半領域には、その左右中央位置の開口部52Aと、その左右一方側に片寄せた位置に押出し成形された凹部52Bが設けられている。前記開口部51における左右の縁部には基板50の背面側に鉛直に立上がるフランジ51A,51Bが設けてある。ここで、商品搬出装置5における上下とは商品の進行方向に対する前後方向の前側(商品投入口44側)および後側(商品搬出口45側)を指し、左右とは自動販売機の正面から見た場合の左側および右側を指している。
【0057】
前記基板50の背面(商品収容通路43とは反対側の面)には、軸受部材53、電磁ソレノイド54、リンク機構55、第1ストッパ56、第2ストッパ57、売切検出スイッチ(売切検出手段)58が配設されてなる。
【0058】
前記軸受部材53は基板50における開口部51を形成する際に、その開口部51を左右に分断するように基板50の板面の一部を残して形成されたものであり、背面側への押し出しによって前記開口部51における上下縁部に跨って架設された橋梁状に形成されている。この軸受部材53は橋桁部分が基板50の平板面により背面側に浮き上がるように形成されており、その左右両側を背面側にフランジ状に折り曲げて軸受部530,530が形成されている。前記軸受部材53は、リンク機構55、第1ストッパ56および第2ストッパ57に関わる各リンクピン(後述)の一方端を支持し、各リンクピンの他方端は基板50の開口部51の右縁に形成されたフランジ51B(図20参照)により支持している。なお、軸受部材53とフランジ51Bとにおける上記各リンクピンを支持する構成はほぼ対称の構成であるので、以下の説明では、軸受部材53を代表として説明する。
【0059】
前記軸受部材53の構成について、図20をも参照しながら説明すると、橋梁の橋脚に相当する結合腕53A,53Bを介して基板50に形成された開口部51における上下縁部に一体的に連結され、橋桁部分が基板50の平板面により背面側に浮き上がるように形成されている。また、橋桁部分は、その左右両側を背面側にフランジ状に折り曲げて断面コ字状に形成され、コ字状の両脚片を軸受部530,530となしている。前記軸受部530,530にそれぞれ上下方向に延在する長溝531および長溝532を設けている。長溝531は軸受部材53の上方側に設けてあり、長溝532は軸受部材53の下方側に設けている。長溝531は、リンク機構55に関わる上部リンクピン55A(図18参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。長溝532は、リンク機構55に関わる下部リンクピン55B(図18参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。前記上部リンクピン55Aおよび前記下部リンクピン55Bは、互いに平行に設けてある。また、軸受部530,530には上下方向のほぼ中央位置に支軸穴533を設けている。そして、基板50の開口部51の右縁に形成されたフランジ51Bにも軸受部材53の長溝531および長溝532と対称に上下方向に延在する一対の長溝51B1,51B2が形成されるとともに上下方向のほぼ中央の位置に支軸穴51B0を設けている。前記開口部51の左縁に形成されたフランジ51Aの上下方向のほぼ中央の位置には、前記フランジフランジ51Bの支軸穴51B0と同様に支軸穴51A0を設けている。これらの支軸穴51A0,51B0は、第1ストッパ56および第2ストッパ57に共通のストッパ軸500(図18参照)を支持している。このストッパ軸500は、上部リンクピン55Aおよび下部リンクピン55Bと平行に配置してあって、基板50の開口部51における上下方向のほぼ中央部を横切る態様で配設され、その左右端部が前記フランジ51A,51Bの支軸穴51A0,51B0に支持され、その中央部が軸受部材53の支軸穴533に支持されている。前記軸受部材53の長溝531,532と、前記フランジ51Bの長溝51B1,51B2とにはヘミング加工により溝周縁がダブルホールドされ、また、前記軸受部材53の支軸穴533と、フランジ51Aの支軸穴51A0およびフランジ51Bの支軸穴51B0にはバーリング加工が施されており、リンクピン55A,55Bやストッパ軸500との摩擦を低減するように構成されている。
【0060】
前記電磁ソレノイド54は、基板50の凹部52B(図20参照)の位置に配設されている。この電磁ソレノイド54は前記凹部52Bの上縁に切り起しにより形成された固定片52B1,52B1にねじにより固定されている。電磁ソレノイド54は通電により励磁されてプランジャー540を吸引するとともに当該プランジャー540を吸引した状態で拘束し、通電が断たれることにより釈放してプランジャー540の拘束を解除するものである。電磁ソレノイド54は、所定時間幅の販売指令(通電)に基づいて作動し、後述するリンク機構55を介して第1ストッパ56および第2ストッパ57を商品収容通路43に出没させるものであり、リンク機構55の駆動手段を構成する。
【0061】
前記リンク機構55は、リンク部材550からなり、図18に示すように駆動手段としての電磁ソレノイド54のプランジャー540に連結されている。このリンク機構55は電磁ソレノイド54とともに基板50の背面側の左右一方側に片寄せた位置に配設されている。
【0062】
前記リンク部材550は鋼板製になり、その上端には、図21に示すように連結部551が形成されている。この連結部551を前記電磁ソレノイド54のプランジャー540の係合穴に係止させることによりリンク部材550が電磁ソレノイド54と連結される。また、リンク部材550には、上記上部リンクピン55Aが貫通する係合穴553を有する左右一対の上部係合部552を設けている。この上部係合部552はリンク部材550の上下動作に連動して上部リンクピン55Aを上下方向にスライド移動させるものである。さらに、リンク部材550の下端には、上記下部リンクピン55Bが貫通する係合穴555を有する左右一対の下部係合部554を設けている。この下部係合部554はリンク部材550の上下動作に連動して下部リンクピン55Bを上下方向にスライド移動させるものである。前記下部係合部554の中間位置には切欠556が形成されている。この切欠556は捻りコイルばねからなる復帰ばね59(図18参照)の一方を下部リンクピン55Bに係合させる際の逃げ穴として構成されている。前記復帰ばね59の他方(下方)は基板50における下縁の壁面に係止されている。この復帰ばね59は電磁ソレノイド54のプランジャー540を復帰させるものである。
【0063】
前記第1ストッパ56は、図18に示すように、基板50の開口部51の左右両側フランジ51A,51B間に架設されたストッパ軸500に回動可能に支持されている。第1ストッパ56は、ストッパ軸500を中心として回動して、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、開口部51を閉塞する態様で商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能である。
【0064】
前記第1ストッパ56は、図22に示すように、金属板560の背面に樹脂製(たとえば、ポリアセタール)のロック部材566を備えて構成されている。
【0065】
前記第1ストッパ56の金属板560は、左右方向が長辺となる長方形の平板からなり、ロック部材566が固着される背面と反対側の面が商品の保持面となる。この金属板560の先端側(図22では右斜め下方側)から左右側面に跨る先端部外周には、端部を背面側に折り返して二つ折りして重ね合わせたダブルホールド561が施されて機械的強度を高められている。また、金属板560の左右側面部には、前記ダブルホールド561に連ねて背面側に直角に折り曲げられた側壁部562,562が形成されており、この側壁部562,562の基端側には軸穴563,563が形成されている。前記側壁部562,562がダブルホールド561に連ねて連続していることにより金属板560の左右側面部に鋭利なエッジが現れることがない。すなわち、側壁部562,562とダブルホールド561との間に切れ目を入れて側壁部562,562を係止面に対して直角に折り曲げた場合、ダブルホールド561との間の切れ目部分が峭立し、この峭立した箇所が鋭利なエッジとして側壁部562の前端に現れることとなる。この鋭利なエッジに商品(容器)が当接すると商品が傷ついたり、破損するおそれがある。これは、第1ストッパ56が商品サイズに対して小さく、また、容器形態が軟弱なペットボトル容器入りの商品の場合には容器の変形量が大きく、さらには商品の転動姿勢が傾いている場合には商品が第1ストッパ56に衝突した際に第1ストッパ56の左右側面部の背面にまで回り込むように変形してその左右側壁部562のエッジに当接してしまうおそれがあるからである。また、前記側壁部562のエッジは商品搬出装置5の組立工程や、自動販売機のメンテナンスを行う場合に誤って手を触れるおそれがある。したがって、前記側壁部562,562をダブルホールド561に連ねて連続して形成することにより左右側壁部562,562に鋭利なエッジが形成されることがなく、商品の破損や手に怪我をするおそれをなくすことができる。
【0066】
前記金属板560に切り起しにより形成された係止爪564はロック部材566を係止するためのものである。前記ロック部材566は金属板560に次のようにして組み付けられている。すなわち、前記金属板560の基端側には、金属板560の機械的強度を上げるためにフランジが形成され、このフランジの先端を折り曲げて溝部565が形成されている。前記ロック部材566は前記溝部565に一端を嵌合するとともに他端を前記係止爪564に係止されることにより金属板560に一体的に係止されている。
【0067】
前記金属板560に係止爪564により係止されたロック部材566は弓状の突起567を挟んで左右にガイド突起568,568が並設されている。前記弓状の突起567と右側のガイド突起568(図22では左側のガイド突起568)との間には前記リンク部材550が位置し、前記弓状の突起567と左側のガイド突起568(図22では右側のガイド突起568)との間には軸受部材53が位置するものである。前記ガイド突起568,568にはそれぞれ異形溝56A,56Aが形成されている。各異形溝56A,56Aは、前記リンク部材550における下部リンクピン55Bの左右両端をガイドするものであって左右対称に形成されており、円弧状のガイド溝56Bの端部にロック溝56Cと遊び溝56Dが形成されている。前記異形溝56Aの内周壁は下部リンクピン55Bが摺動するカム面として形成されている。前記弓状の突起567における円弧状の内壁面は異形溝56Aにおけるガイド溝56Bの円弧の曲率と略同一の曲率に形成されている。前記弓状の突起567の先端は、各異形溝56A,56Aのロック溝56C,56Cにおけるガイド溝56B,56B寄りの縁部を結ぶ線上に位置しており、前記リンク部材550における下部リンクピン55Bに当接するものである。また、ロック部材566には軸挿通部569が形成されており、この軸挿通部569と対峙してそれぞれのガイド突起568,568の基端側には軸穴(不図示)が形成されているものである。前記軸挿通部569およびガイド突起568,568の軸穴と、前記金属板560の側壁部562,562に形成された軸穴563,563は前記ストッパ軸500を挿通するためのものである。前記軸挿通部569に形成した突部569Aは軸挿通部569の左右端部にそれぞれ設けられており(図22では一方のみが見えている)、この左右一対の突部569Aの間に前記リンク部材550を配設することによりリンク部材550を位置決めするものである。
【0068】
第1ストッパ56が商品収容通路43に突出した状態(電磁ソレノイド54が釈放された販売待機状態)では、弓状の突起567の先端がリンク部材550の下部リンクピン55Bと対峙し、下部リンクピン55Bが異形溝56Aにおけるロック溝56Cに位置する一方、電磁ソレノイド54が励磁された販売状態では、リンク部材550の下部リンクピン55Bが上昇する際に異形溝56A,56Aのガイド溝56B,56Bを摺動することにより第1ストッパ56が商品収容通路43から退避する退避位置に向けて移行した後、下部リンクピン55Bが異形溝56Aにおける遊び溝56Cに位置する。このように、異形溝56Aの内周壁は下部リンクピン55Bが摺動するカム面として作用し、第1ストッパ56を商品収容通路43に突出した突出位置と商品収容通路43から退避した退避位置とに移動させる機能を備えている。なお、ガイド突起568,568に弓状の突起567を投影させると弓状の突起567の内壁面が異形溝56Aにおけるガイド溝56Bに沿うとともに弓状の突起567の先端が異形溝56Aにおけるロック溝56Cに沿うことから、異形溝56Aが形成されたガイド突起568,568を弓状の突起として用いることもできるものである。
【0069】
図18に戻り、前記第2ストッパ57は、樹脂製(たとえば、ポリアセタール)になり、基板50の開口部51の左右両側フランジ51A,51Bの間に介在してあり、上記ストッパ軸500に回動可能に支持してある。第2ストッパ57は、ストッパ軸500を中心として回動して、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、開口部51を閉塞する態様で商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能である。ストッパ軸500には、捻りコイルばねからなる第2付勢ばね(不図示)が巻装してある。この第2付勢ばねは第2ストッパ57を退避位置に向けて常に付勢するものである。
【0070】
前記第2ストッパ57は、図23に示すように、左右方向が長辺となる矩形状の基台570の先端側(図23では上側)に形成した商品係止部571と、基台570の背面側に張り出した3個のストッパ部572と、基台570の基端側に形成した複数の軸穴573と、基台570の左端(図23では右端側)から突出して形成された回動規制板574が一体成形されている。基台570の基端側に形成した複数の軸穴573は、前記ストッパ軸500を挿通するためのものである。前記3個のストッパ部572のうちの中央のストッパ部572と右側(図23では左側)のストッパ部572との間にはリンク部材550が位置する一方、中央のストッパ部572と左側(図23では右側)のストッパ部572との間には軸受部材53が位置するものである。前記リンク部材550と軸受部材53とを配置するために商品係止部571にはリンク部材550と軸受部材53とを受け入れる切欠が形成されている。なお、商品係止部571の幅は箱形に形成された基板50の開口部51を介して当該箱内に格納される大きさに形成されている。
【0071】
また、前記ストッパ部572には頂上に向けて開放する凹状の摺動溝57Aが形成され、この摺動溝57Aはリンク部材550における上部リンクピン55Aが摺動可能なものであり、第2ストッパ57の退避位置において上部リンクピン55Aを凹状最深部に受け入れるものである。前記ストッパ部572における摺動溝57Aの開放端部に設けたストッパ面57Bは、第2ストッパ57の商品収容通路43への突出時に上部リンクピン55Aと当接して第2ストッパ57にかかる商品荷重を受け、当該第2ストッパ57を突出位置でロックするものである。また、回動規制板574は、第2ストッパ57が商品収容通路43へ突出した際に基板50に当接して第2ストッパ57の商品収容通路43への突出量を制限、言い換えれば第2ストッパ57の突出位置を定めるものである。
【0072】
前記売切検出スイッチ(売切検出手段)58は、基板50の開口部52A(図20参照)の位置に配設されている。この売切検出スイッチ58は、図24に分解して示すように、マイクロスイッチ581と商品収容通路43に突出する商品検知レバー582とを有し、これらのマイクロスイッチ581および商品検知レバー582を、合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなる額縁状の取付台583に組付けたものである。前記商品検知レバー582は左右に突出する係合軸582A,582Aを取付台583に形成した係合穴5830,5830に係合させることにより回動自在に軸支されている。また、前記商品検知レバー582の内方に向けて突出する左右一対の軸582B,582Bには、一端が取付台583に係止され、他端が商品検知レバー582に係止される捻りコイルばね584が組付けられるものである。前記捻りコイルばね584は、商品検知レバー582のレバー片5821を商品収容通路43に向けて進出するように付勢する。前記レバー片5821は、図19も参照すると理解できるように、その側面断面形状が凹状に屈曲形成され、当該凹状の屈曲部5822が基板50に近接する態様で一端を基板50に軸支(係合軸582A)するとともに他端を商品との当接点としてなり、前記レバー片5821の凹状の屈曲部5822は商品との当接を回避するように形成されてなるものである。前記商品検知レバー582の操作片5820はマイクロスイッチ581のアクチュエータ5810に対峙しており、商品収容通路43に商品がある状態においてレバー片5821が商品に押されて基板50の平面に沿うように後退している場合にはアクチュエータ5810から離れており、商品収容通路43に商品がない状態(売切れ状態)になって捻りコイルばね584によりばね付勢されたレバー片5821が商品収容通路43に進出した場合にアクチュエータ5810を押圧してマイクロスイッチ581を作動させるように構成されている。
【0073】
前記取付台583の上辺および左右側辺には突部583A,583A、583B,583Bがそれぞれ形成されるとともに下辺にはΩ状に形成された可撓性部583Cが形成されている。この可撓性部583Cは左右側辺の外側から左右側辺が接近するような外力が加えられることにより撓んで左右側辺の接近を許容し、前記外力が除去されると左右側辺を元の位置に復帰させるものである。一方、図19にも示すように、基板50の上壁には係止穴52A1,52A1が形成されるとともに開口部52Aの左右側縁に形成されたフック状の係合片52A2および係合穴付きの係合突起52A3(図20参照)が形成されている。
【0074】
前記取付台583は基板50に対して次のように取付けられる。すなわち、前記取付台583の上辺に形成した突部583A,583Aを基板50の上壁に形成した係止穴52A1,52A1に差し込むと同時に左右側辺を内側に向けて撓ませた後、左右側辺に形成した突部583B,583Bを基板50の開口部52Aの左右に形成した係合片52A2のフックおよび係合突起52A3の係合穴に対峙させた上で左右側辺に加えた外力を解く。これにより取付台583の左右側辺が可撓性部583Cの作用により復帰してその突部583Bが基板50の開口部52Aの左右側縁に形成した係合片52A2のフックおよび係合突起52A3の係合穴に嵌合する。なお、マイクロスイッチ581には配線接続用コネクタ585が接続される。前記配線接続用コネクタ585の配線は、基板50の左端に形成された配線溝50E、すなわち、基板50のフランジ50Dと開口部51における右側のフランジ51Bとの間に形成された配線溝50Eを介して引き出される。前記配線溝50Eには電磁ソレノイド54の配線も合わせて敷設されている。
【0075】
さて、図20に示すように商品搬出装置5の基板50には、矩形周縁を商品収容通路43と反対側(基板50の背面側)に折り曲げた上側のフランジ50Aおよび右側(図20では左側)のフランジ50Dの端部から基板50の板面に平行に延在された係止爪501,502が形成されている。この係止爪501,502は商品搬出装置5を第2商品収容棚42Rに組付けるためのものであり、次の図25を参照して商品搬出装置5の第2商品収容棚42Rへの組付けについて説明する。なお、図25では第2商品収容棚42Rから姿勢制御板47を取外した状態を示している。
【0076】
図25は、第2商品収容棚42Rから商品搬出装置5を取外した分解図であり、(a)は平面(上面)側から見た分解斜視図、(b)は(a)の背面(下面)側から見た分解斜視図である。なお、第2商品収容棚42Rは図10を用いて説明したものと同一であるので、ここでは商品搬出装置5の取付けに関係する箇所のみを説明する。
【0077】
前記第2商品収容棚42Rの後端には折り曲げにより形成された溝状の保持部42R2が設けられ、また、第2商品収容棚42Rの板面の前方寄りには、背面に向けて押し出し形成されたアーチ状の嵌合突起42R3,42R4が形成されており、その板面の後端には、第1ストッパ56のロック部材566における弓状の突起567および左右のガイド突起568,568が貫通する3つの逃げ穴42R5が形成されている。前記嵌合突起42R3,42R4は中央部分(アーチ部分)が第2商品収容棚42Rの背面から浮き上がり、前述した基板50の係止爪501,502の先端が通過可能な貫通穴(不図示)として形成されている。
【0078】
前述した第2商品収容棚42RRの下面に商品搬出装置5が組付けられる。この場合、商品搬出装置5における基板50の上下左右のフランジ50A〜50Dの先端部を第2商品収容棚42Rの板面に当接させつつ、基板50に設けた係止爪501,502の先端を第2商品収容棚42Rに形成した嵌合突起42R3,42R4の貫通穴に差し込む。これと同時に、前記基板50の後端を第2商品収容棚42Rのコ字状の保持部42R2に差し込む。これにより商品搬出装置5が第2商品収容棚42Rにねじを使用することなく組付けられる。
【0079】
次に、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品搬出装置5の動作について図26も参照しつつ説明する。なお、図26では商品搬出装置5の動作を理解し易くするため概略構成を示し、姿勢制御板47についても割愛している。また、図26においては上下2段の商品収容通路43(商品コラム)を示しており、上段側の商品収容通路43(商品コラム)に係る商品搬出装置5については販売待機状態、下段側の商品収容通路43(商品コラム)に係る商品搬出装置5については販売途中の状態を実線で示している。
【0080】
販売待機状態における商品搬出装置5は、図26の上段側の商品収容通路43に配設した商品搬出装置5のように、電磁ソレノイド54が通電されていない状態であって、リンク部材550が復帰ばね59(図18参照)によって下降位置に復帰している状態である。この販売待機状態においては、上部リンクピン55Aが軸受部材53の長溝531(図20参照)と、基板50の開口部51の右縁側のフランジ51Bの長溝51B1とに沿って下方に移動し、下部リンクピン55Bが軸受部材53の長溝532(図20参照)と基板50の開口部51の右縁側のフランジ51Bの長溝51B2に沿って下方に移動している。そして、第1ストッパ56は、商品収容通路43に突出しており、次のように突出位置にロックされている。すなわち、下降している下部リンクピン55Bが、第1ストッパ56の金属板560の背面に設けた弓状の突起567の先端に対峙しているとともに弓状の突起567の左右に設けたガイド突起568,568の異形溝56A,56Aのロック溝56C,56Cに係合していることにより、第1ストッパ56は退避位置への移動が阻止されて商品収容通路43に突出した突出位置にロックされている。このロック状態で第1ストッパ56の保持面には販売商品G1が係止され、後続の商品G2,G3が第1ストッパ56に係止された販売商品G1に続いて商品収容通路43に整列して収容される。一方、第2ストッパ57は、不図示の第2付勢ばねの弾性付勢力によって退避位置に復帰しており、この状態で上部リンクピン55Aがストッパ部572の摺動溝57Aの最深部に位置している。なお、販売待機状態では第1ストッパ56の弓状の突起567およびガイド突起568,568は上段側の商品収容通路43に突出することなく下段側の商品収容通路43内に位置しており、また、第2ストッパ57は商品収容通路43から退避して商品搬出装置5の基板50内に格納されているものであり、他の商品収容通路43における商品の搬出に支障を来すことはない。
【0081】
また、図26に示した販売待機状態(上段側の商品収容通路43の商品搬出装置5の状態)において、売切検出スイッチ58の商品検知レバー582のレバー片5821は、次販売商品G2に当接して押されることにより基板50側に後退した後退位置に位置している。この場合、前記商品検知レバー582のレバー片5821は図27に拡大して示すように、その側面断面形状が凹状に屈曲形成され、当該凹状の屈曲部5822が基板50に近接する態様で一端(係合軸582A)を基板50に軸支するとともに他端を商品との当接点P0としてなる。前記レバー片5821の凹状の屈曲部5822が商品G2と当接しないように形成されてなるものであることから、前記当接点P0は商品検知レバー582の軸支点(係合軸582A)から比較的離れた箇所とされている。すなわち、図27に一点鎖線で示すように、レバー片5821が直線状である場合には次販売商品G2との当接点P1が前記当接点P0よりも商品検知レバー582の軸支点(係合軸582A)側に位置することとなる。したがって、本発明に係る商品検知レバー582によれば次販売商品G2に加わる捻りコイルばね584の付勢力の影響を小さくすることができる。
【0082】
さて、図26に示した販売待機状態(上段側の商品収容通路43の商品搬出装置5の状態)から所定時間幅の販売指令により電磁ソレノイド54が通電されると、電磁ソレノイド54が復帰ばね59の弾性付勢力に抗してプランジャー51を吸引してリンク部材550を上昇させる。すると、リンク部材550の下部リンクピン55Bが上昇して第1ストッパ56のガイド突起568,568における異形溝56A,56Aのロック溝56C,56Cから抜け出して当該ロック溝56C,56Cとの係合が解除されると同時に弓状の突起567の先端と対峙した位置から離隔して当該突起567の移動を許容する。前記リンク部材550が引き続いて上昇すると下部リンクピン55Bが異形溝56A,56Aのガイド溝56B,56Bを摺動しつつ上昇する。これにより、第1ストッパ56はストッパ軸500を中心として、商品収容通路43に突出した突出状態から退避位置に向けて回動を開始する。この場合、弓状の突起567およびガイド突起568,568は、第2商品収容棚42Rに形成した3つの逃げ穴42R5(図25参照)を貫通して上段側の商品収容通路43に突出する。リンク部材550がプランジャー51のストロークにより定まる上限位置まで上昇すると下部リンクピン55Bは異形溝56A,56Aの遊び溝56D,56Dに到達し、第1ストッパ56を商品収容通路43から退避した退避位置に保持する。前記第1ストッパ56の商品収容通路43からの退避に伴って第1ストッパ56に係止されていた販売商品G1は商品荷重によって転動して第1ストッパ56を通り抜けて商品搬出口45から搬出される。
【0083】
これと同時、すなわち、電磁ソレノイド54が販売指令により通電されてリンク部材550が上昇して下部リンクピン55Bが上昇を開始すると同時に上部リンクピン55Aが上昇を開始する。上部リンクピン55Aは第2ストッパ57のストッパ部572における凹状の摺動溝57Aを摺動しつつ上昇する。これにより、不図示の第2付勢ばねにより退避状態に保持されていた第2ストッパ57がストッパ軸500を中心として突出位置に向けて回動する(図26の下段側の商品収容通路43に示す状態)。リンク部材550が上限位置まで上昇すると上部リンクピン55Aは第2ストッパ57のストッパ面57Bと係合して第2ストッパ57の退避方向への移動を阻止するようロックする。なお、第2ストッパ57の突出位置は回動規制板574(図23参照)が基板50に当接することにより規制されるものである。このように突出位置に至った第2ストッパ57の商品係止部571は次販売商品G2に当接して係止し、第2商品収容棚42Rとの間で次販売商品G2を保持する。この場合、次販売商品G2は、前述した第1ストッパ56の商品収容通路43からの退避に伴い販売商品G1が商品搬出口45に向けて滑動するとともに商品搬出口45に向けて滑動し始め、商品収容通路43に向けて進出するように捻りコイルばね584(図24参照)の付勢力を受けた商品検知レバー582のレバー片5821を押し退けて基板50に向けて後退させた上で商品搬出口45に向けて滑動した後、商品収容通路43に突出した第2ストッパ57の商品係止部571に係止されるものである。したがって、電磁ソレノイド54が販売指令により通電されると、第1ストッパ56が退避位置に移動すると同時に第2ストッパ57が突出位置に移動して次販売商品G2を係止するので、第1ストッパ56に係止されていた販売商品G1のみが搬出される。
【0084】
そして、所定時間幅の販売指令がオフして電磁ソレノイド54への通電がなくなると、リンク部材550は復帰ばね59の付勢力により下降する。これに伴い下降する上部リンクピン55Aによって第2ストッパ57のロックが解除されるので、第2ストッパ57は第2付勢ばね502の付勢力により待機位置に復帰する。また、前記リンク部材550の下降に伴い下部リンクピン55Bが第1ストッパ56の異形溝56Aを摺動しつつ下降するので、第1ストッパ56は突出位置へ向けて回動を開始する。リンク部材550が下限位置まで下降すると下部リンクピン55Bは異形溝56Aにおけるロック溝56Cに嵌合するとともに第1ストッパ56の弓状の突起567の先端に対峙して第1ストッパ56をロックする。これにより、第1ストッパ56が次販売商品G2を係止するように突出位置に復帰して販売待機状態となる。
【0085】
さて、販売が進行して次販売商品G2が最後の商品となった場合、販売指令により第1ストッパ56が商品収容通路43から退避して販売商品G1が商品搬出口45に向けて滑動するのに伴って次販売商品G2も商品搬出口45に向けて滑動を開始する。この場合、次販売商品G2は後続の商品G3がないので、自己の荷重のみのモーメントに基づいて滑動することとなる。一方、次販売商品G2には商品検知レバー582のレバー片5821を商品収容通路43に向けて進出するように付勢する捻りコイルばね584の付勢力が加えられており、この捻りコイルばね584の付勢力が次販売商品G2の滑動の抵抗(負荷)となり、その付勢力が大きい場合には次販売商品G2が滑動することなく停滞してしまうおそれがある。かかる点、本発明に係る商品検知レバー582によれば、図27に示すように、その側面断面形状が凹状に屈曲形成され、当該凹状の屈曲部5822が基板50に近接する態様で一端を基板50に軸支(係合軸582A)するとともに他端を次販売商品G2との当接点P0としてなるものであり、前記レバー片5821の凹状の屈曲部5822が商品G2と当接しないように形成されてなるものであることから、前記当接点P0は商品検知レバー582の軸支点(係合軸582A)から比較的離れた箇所とされている。この点は、比較例として図27に一点鎖線で示すように、レバー片5821が直線状である場合における次販売商品G2との当接点P1に対して商品検知レバー582の軸支点(係合軸582A)から離れていることが理解できる。このように、本発明に係る商品検知レバー582は、その側面断面形状が凹形に屈曲形成され、当該凹形の屈曲部5822は商品Gとの当接を回避するように形成されていることにより、商品検知レバー582の軸支点(係合軸582A)から商品Gに当接する当接点P0までの距離を長くすることができるので、商品検知レバー582を商品収容通路43に向けて付勢する付勢力によって商品Gが停滞することを防止することができる。
【0086】
前述したように、商品搬出装置5の販売動作過程において第1ストッパ56が商品収容通路43から退避した退避状態においては、第1ストッパ56の弓状の突起567およびガイド突起568,568が上段側の商品収容通路43に突出することとなる。しかしながら、図26の上段側の商品収容通路43に突出した第1ストッパ56の弓状の突起567およびガイド突起568,568の状態から理解できるように、上下多段の商品収容通路43の商品搬出口45が同一の鉛直線上に位置するように配設した場合にも、上段側の商品収容通路43における商品搬出装置5により係止された販売商品G1に対して下段側の商品搬出装置5における第1ストッパ56の弓状の突起567およびガイド突起568,568は商品搬出口45側に突出することとなり、上段側の商品収容通路43に収容された商品Gに悪影響を及ぼすことがない。なお、販売指令が複数の商品搬出装置5に同時に送出されることはない、つまり、上下に隣接した商品収容通路43から同時に販売商品G1が搬出されることはないものであり、下段の商品搬出装置5の第1ストッパ56のそれぞれの突起567,568が上段側の商品収容通路43に突出しても支障はないものである。
【0087】
また、電磁ソレノイド54への通電により上昇する下部リンクピン55Bが摺動する異形溝56A,56Aの内周壁はカム面として作用し、下部リンクピン55Bと協働して第1ストッパ56を突出位置から退避位置に向けて移動させた上で第1ストッパ56を退避状態に保持する。このように、第1ストッパ56が退避状態に保持されることから、第1ストッパ56が商品収容通路43に突出(垂れ下がる)して販売商品G1の搬出を妨げることがない。したがって、販売商品G1が第ストッパ56に引っ掛かって商品詰まりを惹起するおそれがなく安定した販売動作を行うことができる。
【0088】
さらに、下部リンクピン55Bと協働して第1ストッパ56を退避位置に保持する遊び溝56D,56Dは下部リンクピン55Bよりも大きく形成、つまり、下部リンクピン55Bが遊び溝56D,56Dに遊嵌されるように形成されている。これにより、下部リンクピン55Bが遊び溝56D,56Dに位置して第1ストッパ56を退避位置に保持している状態において、第1ストッパ56は下部リンクピン55Bと遊び溝56D,56Dとの寸法差分だけ回動可能であり、第1ストッパ56が退避位置にロックされることがない。したがって、商品搬出装置5の組立誤差や商品搬出装置5の第2商品収容棚42Rへの組付け誤差などにより第1ストッパ56が退避状態で商品収容通路43に出っ張るとともに商品収容通路43を転動する販売商品G1に当接するような場合にも、販売商品G1は第1ストッパ56を押し退けて転動することが可能となるので、販売商品G1が第1ストッパ56に当接して停止してしまうような商品詰まりを回避することができる。
【0089】
さて、図1に戻り、商品搬出装置5の動作により第2商品収容棚42Rの商品搬出口45から搬出された商品Gの挙動について以下に説明する。商品搬出口45から搬出通路46に搬出された商品Gは第2商品収容棚42Rの後端部から搬出通路46に向けて突出する姿勢制御板47の上に乗る。この場合、姿勢制御板47を搬出通路46に向けて突出するように付勢するコイルばね474(図14参照)の付勢力が商品Gの荷重よりも小さく定められているので、姿勢制御板47は商品Gにより軸473(図14参照)を支点として時計方向に回動するように押し開かれる。このとき、姿勢制御板47がコイルばね474の付勢力を受けているので、商品Gは姿勢制御板47により落下速度が低減されるとともに横倒しの姿勢に矯正されながら搬出通路形成部材10により形成された搬出通路46内を落下する。そして、搬出通路形成部材10の下端に到達した商品Gは、搬出通路形成部材10の下部に配備されガイド部材20の湾曲面に沿って商品搬出シュート6に送出される。この場合、ガイド部材20は商品Gの落下衝撃を緩和して商品搬出シュート6に送り出す。前記商品搬出シュータ6に送出された商品Gは、商品搬出口31を介して商品取出口21に送出される。
【0090】
上記の説明から理解できるように、商品搬出口45から搬出通路46に搬出された商品Gは、姿勢制御板47によって落下速度が低減されるとともに、搬出通路46と商品搬出シュータ6との連係位置に配備したガイド部材20により落下衝撃が緩和されるので、炭酸を含む飲料が蓋(キャップ)を開けた際に泡が噴出するようなフォーミングを抑制することができる。
【0091】
次に、本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品搬出装置について図28ないし図30を参照して説明する。図28は自動販売機の商品搬出装置を商品収容通路外側(背面側)から見た斜視図、図29は商品搬出装置を商品収容通路内側から見た斜視図、図30は商品搬出装置の第2ストッパを示す斜視図である。なお、図28ないし図30において、実施の形態1の商品搬出装置(図18,図19)および第2ストッパ(図23)と同一のものには同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0092】
本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品搬出装置5Aが実施の形態1の商品搬出装置5と相違する点は、売切検出スイッチ(売切検出手段)58aおよび第2ストッパ57aであり、その他の構成は同一であるので、以下、売切検出スイッチ58aおよび第2ストッパ57aについて説明する。
【0093】
前記売切検出スイッチ58aが実施の形態1の売切検出スイッチ58と相違する点は、次のとおりである。すなわち、実施の形態1の売切検出スイッチ58は、商品検知レバー582aのレバー片5821aを、額縁状の取付台583a(図29参照)の枠を越えて延在するとともに前記第2ストッパ57側に長く形成し点である。すなわち、実施の形態1の売切検出スイッチ58においては商品収容通路43(図26参照)に収納された商品G(次販売商品G2)に当接して商品検知レバー582のレバー片5821が基板50側の後退位置に後退した際、レバー片5821の先端部が第2ストッパ57の先端に形成された商品係止部571と干渉することがなく、商品検知レバー582を回動自在に軸支する額縁状の取付台583a(図26参照)の額縁状の枠内に収まるような長さに設定されている。一方、実施の形態2に係る売切検出スイッチ58aは、商品検知レバー582aのレバー片5821aの先端部が額縁状の取付台583a(図29参照)の枠を越えて延在するとともに第2ストッパ57aの先端に形成された商品係止部571と重なり合う程に長く形成されている。
【0094】
ここで、レバー片5821の先端部が取付台583(図26参照)の枠内に収まるように構成しているのは、次の理由による。すなわち、商品が逆流(例えば、商品のローディング時に勢いよく転動若しくは滑動した商品が第1ストッパ56に衝突した反動で投入口側に戻る)した場合、当該商品が商品収容通路43に進出したレバー片5821を商品搬出装置5の基板50とは反対側の商品収容通路43側に押し開くように作用する。このように、レバー片5821が押し開かれると商品検知レバー582が取付台583から脱落、若しくは商品検知レバー582の操作片5820によりマイクロスイッチ581が破損するおそれがある。このため、レバー片5821の先端部は商品搬出装置5の基板50側を向くように屈曲させている。これにより、逆流する商品が当接した場合にレバー片5821は後退位置に移動するとともに取付台583の枠内に退避させるように構成されている。
【0095】
かかる点、この実施の形態2においては、商品検知レバー582aのレバー片5821aが額縁状の取付台583a(図29参照)の枠を越えて延在するとともに第2ストッパ57aの先端に形成された商品係止部571と重なり合う程に長く形成されているので、前述した問題を回避する必要がある。この問題を回避するために第2ストッパ57aの商品係止部571には、前記商品検知レバー582aのレバー片5821aが後退位置に移動した際にレバー片5821aの先端が入り込む切欠き575を設けている。との干渉を回避するために切欠き575を設けている。この切欠き575は、前記商品検知レバー582aのレバー片5821aの先端部が基板50側の後退位置に移動した際、レバー片5821の先端部と対峙する位置であって、レバー片5821aの先端部を受け入れ可能な大きさに切り欠くことにより形成されている。これにより、商品検知レバー582aのレバー片5821aを第2ストッパ57aの商品係止部571と重なり合う程に長く形成した場合にも、レバー片5821aが後退位置に移動しても第2ストッパ57aの商品係止部571と干渉することがない。つまり、商品が逆流した場合にもレバー片5821aが後退位置に向けて移動することができ、レバー片5821aの先端部を切欠575に退避させることが可能である。なお、第2ストッパ57aの商品係止部571に設けられた凹部576,577は、軸受部材53,リンク部材550との干渉を避けるためのものである。
【0096】
また、商品検知レバー582aのレバー片5821aを長く形成することにより、商品検知レバー582aの軸支点(図24の係合軸582A)から商品Gに当接する当接点までの距離を長くすることができる。これにより、次販売商品G2が滑動する際の抵抗となる商品検知レバー582を商品収容通路43に向けて付勢する捻りコイルばね584(図24参照)の付勢力の影響を小さくすることができる。これにより、商品収容通路43に進出した商品検知レバー582を軽い力で後退位置に向けて移動させることが可能となるので、重量の軽い軽量の商品をも販売することができる。
【0097】
この実施の形態2の自動販売機の商品搬出装置においては、商品検知レバー582aのレバー片5821aが基板50側の後退位置に後退した際、第2ストッパ57aの商品係止部571と重なり合う程に長く形成され、第2ストッパ57aは商品検知レバー582aのレバー片5821aとの干渉を回避する切欠き575を形成したことにより、商品搬出装置5Aの外形寸法を大きくしたり、商品搬出装置5Aを大幅に設計変更することなく商品検知レバー582aの軸支点(図24の係合軸582A)から商品Gに当接する当接点までの距離を長くすることができるので、商品検知レバー582aを商品収容通路に向けて付勢する捻りコイルばね584(図24参照)付勢力によって商品が停滞することを防止することができるものである。
【0098】
なお、前述した実施の形態2においては、商品検知レバー582aのレバー片5821aが後退位置に移動した際に第2ストッパ57aの商品係止部571と重なり合う程に長く形成され、第2ストッパ57aの商品係止部571に切欠き575を設けた最適な実施の形態について説明したが、これに限るものではない。すなわち、第2ストッパ57aが退避位置に保持されている待機状態で、第2ストッパ57aの商品係止部571の先端と基板50の開口部51における上縁部との間にレバー片5821aの先端部が入り込むことのできる隙間が形成されている場合には、商品検知レバー582aのレバー片5821aを第2ストッパ57aの商品係止部571と干渉することはないので、商品係止部571に切欠き575を設ける必要はない。したがって、商品検知レバー582aのレバー片5821aの先端部が取付台583a(図29参照)の枠を越えて延在させた場合であって、第2ストッパ57aの商品係止部571と重なり合う程には長く形成されていない場合にも、レバー片5821aが後退位置に移動した際にレバー片5821aの先端部を退避させることができる。よって、この場合にも次販売商品G2が滑動する際の抵抗となる商品検知レバー582を商品収容通路43に向けて付勢する捻りコイルばね584(図24参照)の付勢力の影響を小さくすることができる。
【0099】
前述したように本発明の実施の形態に係る自動販売機によれば、左右一対のラック側板41と、この左右一対のラック側板41に上下方向に多段に架設され、商品投入口44から投入された複数の商品Gを横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路43を形成し、かつ、その商品搬出口45が低くなるように傾斜して配設された商品収容棚42と、この商品収容棚42における商品搬出口45の近傍に配設した商品搬出装置5とを有する商品収納ラック4を備え、前記商品搬出装置5により当該商品収容通路43に収容された商品Gを一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置5は、基板50の開口部52Aから商品収容通路43に出没自在に軸支されるとともに前記商品収容通路43に進出するように付勢(捻りコイルばね584)され、かつ、前記商品収容通路43の販売順位二番の商品(次販売商品G2)に当接する態様で前記基板50内に後退する後退位置に向けて移動し、販売が進行して次販売商品G2がなくなった場合に前記商品収容通路43に進出する進出位置に移動可能に設けた商品検知レバー582を有する売切検出手段(売切検出スイッチ58)を備えた自動販売機の商品搬出装置5において、前記売切検出手段(売切検出スイッチ58)の商品検知レバー582は、そのレバー片5821の側面断面形状が凹形に屈曲形成され、当該凹形の屈曲部5822が基板50に近接する態様で一端を基板50に軸支(係合軸582A)されるとともに他端を商品Gとの当接点とし、前記商品検知レバー582のレバー片5821における凹形の屈曲部5822は商品Gとの当接を回避するように形成されていることにより、商品検知レバー582の軸支点(係合軸582A)から商品Gに当接する当接点までの距離を長くすることができるので、商品検知レバー582を商品収容通路43に向けて付勢(捻りコイルばね584)する付勢力によって商品Gが停滞することを防止することができるという効果を有する。
【0100】
なお、前述した実施の形態に係る自動販売機においては、商品搬出装置5の第1ストッパ56が弓状の突起567を備えたものについて説明したが、これに限るものではない。例えば、第1ストッパ56のロック手段としてリンク機構やカム機構を用いた商品搬出装置を採用することもできる。また、商品搬出装置5を商品収容通路43の上方に配置して第1ストッパ56および第2ストッパ57が商品収容通路43に収容された商品Gの上側から商品収容通路43に出没するものについて説明したが、商品搬出装置5を商品収容通路43の下方に配置して第1ストッパ56および第2ストッパ57が商品収容通路43に収容された商品Gの下方から出没するようにしても良い。したがって、前述した実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0101】

1…本体キャビネット、2…外扉、4…商品収納ラック、5,5A…商品搬出装置、10…通路形成部材、20…ガイド部材、40…トップガイド、41…ラック側板、41F…第1ラック側板、41R…第2ラック側板、41G…位置決めガイド、42…商品収容棚、42F…第1商品収容棚、42R…第2商品収容棚、43…商品収容通路、45…商品搬出口、47…姿勢制御板、50…基板、51…開口部、53…軸受部材、54…電磁ソレノイド(駆動手段)、55…リンク機構、55A…上部リンクピン、55B…下部リンクピン(ロックピン)、56…第1ストッパ、56A…異形溝、56B…ガイド溝、56C…ロック溝、56D…遊び溝、57,57a…第2ストッパ、58,58a…売切検出スイッチ(売切検出手段)、59…復帰ばね、472…軸受、473…軸、474…コイルばね、550…リンク部材、560…金属板、561…ダブルホールド、562…側壁部、567…弓状の突起、568…ガイド突起、571…商品係止部、572…ストッパ部、575…切欠き、581…マイクロスイッチ、582,582a…商品検知レバー、584…捻りコイルばね、5821,5821aレバー片、5822…屈曲部、R…レール部材、R31,R32…ストッパ部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のラック側板と、この左右一対のラック側板に上下方向に多段に架設され、商品投入口から投入された複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路を形成し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容棚と、この商品収容棚における商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置とを有する商品収納ラックを備え、前記商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支されるとともに前記商品収容通路に進出するように付勢され、かつ、前記商品収容通路の販売順位二番の商品(次販売商品)に当接する態様で前記基板側に後退する後退位置に向けて移動し、販売が進行して次販売商品がなくなった場合に前記商品収容通路に進出する進出位置に移動可能に設けた商品検知レバーを有する売切検出手段を備えた自動販売機の商品搬出装置において、前記売切検出手段の商品検知レバーは、その側面断面形状が凹状に屈曲形成され、当該凹状の屈曲部が基板に近接する態様で一端を基板に軸支されるとともに他端を商品との当接点とし、前記商品検知レバーの凹状の屈曲部は商品との当接を回避するように形成されていることを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機の商品搬出装置において、売切検出手段は商品検知レバーの一端を軸支する枠状の取付台を備え、前記商品検知レバーの他端は前記取付台の枠を超えて延在してなることを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動販売機の商品搬出装置において、前記商品搬出装置は、更に、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の販売商品に続く販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記商品搬出装置を上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパ,第2ストッパおよび売切検出手段の商品検知レバーが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動販売機の商品搬出装置において、商品検知レバーの他端は前記商品収容通路の販売順位二番の商品(次販売商品)に当接して基板側の後退位置に後退した際、第2ストッパと重なり合う程に長く形成され、第2ストッパには商品検知レバーとの干渉を回避する切欠きを形成したことを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate