説明

自動販売機

【課題】把持機構によって商品を把持する際の商品の損傷を防止することのできる自動販売機を提供する。
【解決手段】把持機構220によって商品Aを把持する際に、各フィンガーユニット221の所定位置への移動をフィンガー位置検知器227によって検知すると、把持機構220の把持動作を停止するようにしたので、検知部222fによって商品Aの把持を検知することなくフィンガーユニット221を所定の閉鎖位置で停止させることができ、例えば軟質の容器に入った食品等の柔らかい商品A等を把持する際に、損傷を生じることなく商品Aを把持することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品収納コラムに収納された商品を所定の商品搬出位置に搬出可能な自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動販売機としては、複数の商品を前後方向に並べて収納可能に設けられ、自動販売機本体内の上下方向及び幅方向に配置された複数の商品収納コラムと、各商品収納コラムの前端側に位置する商品を挟むことにより把持可能な把持機構と、自動販売機本体内の前面側に設けられ、把持機構を所定の商品収納コラムの前端側に移動させるとともに、商品を把持した把持機構を商品搬出位置に移動させる移動機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−154266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の自動販売機では、把持される商品に加わる把持機構の把持力が所定の把持力に設定されているために、軟質の容器に入った食品など、柔らかい商品を把持すると、把持機構の把持力によって商品を損傷するおそれがあることから、販売可能な商品の種類が限定されるという問題点があった。
【0004】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、把持機構によって商品を把持する際の商品の損傷を防止することのできる自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、複数の商品を前後方向に並べて収納可能に設けられた複数の商品収納コラムと、各商品収納コラムの前端側に位置する商品を幅方向両側から挟む把持機構とを備えた自動販売機において、前記把持機構を、幅方向に対をなすフィンガーと、フィンガーを開閉させるフィンガー駆動機構と、各フィンガーの位置を検知可能なフィンガー位置検知手段とから構成し、前記フィンガー駆動機構によって各フィンガーを閉鎖方向に移動させる際に、各フィンガーの所定位置への移動をフィンガー位置検知手段によって検知すると、フィンガー駆動機構を停止するフィンガー動作制御手段を備えている。
【0006】
これにより、各フィンガーが所定位置に移動すると、フィンガー駆動機構の駆動が停止されることから、各フィンガーを所定の閉鎖位置で停止させることが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各フィンガーを所定の閉鎖位置で停止させることができるので、例えば軟質の容器に入った食品等の柔らかい商品を把持する際、損傷を生じることなく商品を把持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図24は本発明の一実施形態を示すもので、図1は自動販売機の全体斜視図、図2は外扉を開放した状態を示す自動販売機の全体斜視図、図3は自動販売機の側面断面図、図4は商品把持ユニットの全体斜視図、図5は商品把持機を後方に移動させた状態を示す商品把持ユニットの全体斜視図、図6乃至図8は商品把持機の分解斜視図、図9は商品把持機の側面断面図、図10及び図11は商品把持機の平面断面図、図12は商品把持機の正面断面図、図13は基板の平面図、図14は基板及び接触子の位置関係を示す平面図、図15はフィンガー位置検知器の底面図、図16及び図17は把持機ホルダの分解斜視図、図18は制御系を示すブロック図、図19乃至図22は商品把持ユニットの動作を示す動作説明図、図23は商品を把持した状態を示す商品把持機の平面断面図、図24は把持動作制御に関するフローチャートである。
【0009】
この自動販売機は、前面に開口部を有する自動販売機本体10と、自動販売機本体10の開口部の幅方向一端側を開閉可能な外扉20と、自動販売機本体10の開口部の幅方向他端側を開閉可能な操作扉30とを備えている。
【0010】
自動販売機本体10は、断熱壁によって形成されるとともに、内部を断熱壁によって幅方向に仕切ることにより、販売用の商品Aを収納するための商品収納庫11と販売動作に関する機器を収納するための機器収納庫が形成されている。
【0011】
外扉20は、自動販売機本体10の幅方向一端側に回動自在に支持され、商品収納庫11の前面を開閉するようになっている。また、外扉20は、ガラスや樹脂等からなる透明板21と、透明板21の外周部に設けられた枠部材22とから構成され、外部から商品収納庫11の庫内が視認可能となっている。
【0012】
操作扉30は、自動販売機本体10の幅方向他端側に回動自在に支持され、機器収納庫の前面を開閉するようになっている。また、操作扉30の前面には、硬貨投入口31、返却レバー32、金額表示部33、紙幣投入口34、商品選択部35、コイン返却口36、商品取出口37が設けられている。
【0013】
また、商品収納庫11には、上下複数の棚板40にそれぞれ幅方向に並べて配置された複数の商品収納コラム50と、商品収納コラム50に収納された商品Aを把持するための商品把持ユニット100と、商品把持ユニット100を上下方向及び幅方向に移動させるための第2の移動機構としてのユニット移動機60が設けられている。また、商品収納庫11は、図示しない冷却器及び電気ヒータによって冷却または加熱されるようになっている。更に、商品収納庫11の下部には、図示しない圧縮機、凝縮器等の冷凍機器を収納するための機械室11aが設けられている。
【0014】
各商品収納コラム50は、前後方向に延びる側壁51により前後方向に延びる幅方向一対の商品通路52を有し、各商品通路52に複数の商品Aが前後方向に並べて収納されるようになっている。各商品通路52には、図示しない付勢手段によって商品通路52の前端側に向かって付勢された押出板53が設けられ、押出板53の前面側に商品Aが収納されるようになっている。また、各商品通路53には、前端側を開閉可能なゲート54が幅方向に延びるように設けられ、各商品通路53の間に位置する側壁51の前端側に前後方向移動自在に設けられたゲート開放部材54aに各ゲート54が連結されている。即ち、商品把持ユニット100の動作によってゲート開放部材54aを後方に移動させることにより、各ゲート54は下方に回動して各商品通路53の前端側が開放されるようになっている。また、ゲート開放部材54aは、前方に付勢されており、付勢力によって前方に移動することにより、各ゲート54は上方に回動して各商品通路53の前端側が閉鎖されるようになっている。
【0015】
商品把持ユニット100は、商品収納コラム50の前端側に位置する商品Aを把持するための商品把持機200と、商品把持機200を前後方向に移動自在に支持するための支持部材としての把持機ホルダ300とを備えている。
【0016】
商品把持機200は、背面側が開放された略箱形の部材からなるフレーム210の内部に設けられた把持機構220と、フレーム210の上部に設けられた移動機構230と、フレーム210の背面下部に設けられた幅方向一対のゲート開放板240と、フレーム210の幅方向両側面及び前面側を覆うフレームカバー250とを備えている。
【0017】
把持機構220は、上下に配置された幅方向二対のフィンガーユニット221と、上下に並ぶフィンガーユニット221の幅方向内側にそれぞれ設けられ、上下のフィンガーユニット221がそれぞれ幅方向に移動自在に係合する幅方向一対のユニットガイド222と、各ユニットガイド222からそれぞれ幅方向内側に延びるように設けられたラック223と、上下方向に延びる駆動軸224に連結されたピニオン225と、駆動軸224の下端側に連結され、駆動軸224に回転力を伝達するための駆動ユニット226と、駆動軸224の上端側が連結され、フィンガーユニット221の位置を検知するためのフィンガー位置検知器227とから構成されている。
【0018】
各フィンガーユニット221は、商品Aの側面に当接するフィンガー板221aと、フィンガー板221aの幅方向内側に位置するとともに、ユニットガイド222に係合するフィンガーベース221bと、フィンガーユニット221をユニットガイド222側に付勢するための引張バネ221cの一端側を取付けるためのバネ取付板221dとからなり、ネジ止めによって一体に設られている。フィンガー板221aは、可撓性を有する前後方向に延びる部材からなり、商品Aが当接する部分には、商品Aを確実に把持するためのシート状のゴム部材からなるグリップパッド221eが貼付けられている。フィンガーベース221bは、ユニットガイド222に形成された後述する凹部に幅方向に移動自在に嵌合するように形成されている。また、フィンガーベース221bの上下方向の一端面には、ユニットガイド222の凹部に形成された係合突起が係合する係合部221fが設けられている。更に、フィンガーベース221bの後端側には、ユニットガイド222よりも後方に延びるように延出部221gが形成され、延出部221gと共にフィンガー板221aをネジ固定することにより、延出部221gによってフィンガー板221aの所定以上の撓みを防止するようになっている。バネ取付板221dは、引張バネ221cのフックが係合可能な前後一対の係合部221hを有する薄い板状部材からなり、フィンガーユニット221に取付けるバネ取付板221dの枚数によって引張バネ221cの張力を調整可能となっている。また、各フィンガー板221a及び各フィンガーベース221bには、引張バネ221cが挿通されるようになっている。
【0019】
各ユニットガイド222は、幅方向外側の上下方向両側にフィンガーベース221bを幅方向に移動自在に嵌合する凹部222aが形成され、各凹部222aの幅方向内側には前述した引張バネ221cの他端側のフックを係合させる前後一対の係合部222bが形成されている。また、各凹部222a内の上下方向の一端面には、フィンガーベース221bの係合部221fと係合する係合突起222cが設けられ、ユニットガイド222に対するフィンガーユニット221の幅方向外側への所定距離以上の移動を規制するようになっている。幅方向一方のユニットガイド222には、幅方向内側の上下方向略中央部後端側にラック223が幅方向に延びるように設けられ、その前端側に他方のユニットガイド222に設けられたラック223が貫通可能なラック貫通孔222dが設けられている。幅方向他方のユニットガイド222には、幅方向内側の上下方向略中央部前端側にラック223が幅方向に延びるように設けられ、その後端側に一方のユニットガイド223に設けられたラック223が貫通可能なラック貫通孔222dが設けられている。また、一方のユニットガイド222には、そのユニットガイド222に一体に設けられたラック223を幅方向内側に付勢することによりラック223とピニオン225とのがたつきを防止するための圧縮バネ222eが幅方向外側の上下方向略中央部から幅方向外側に延びるように設けられている。他方のユニットガイド222には、フィンガーユニット221の移動を検知するための検知部222fが前面側の上下方向中央部に設けられ、他方のユニットガイド222に係合するそれぞれのフィンガーユニット221に設けられた被検知部材222gを検知するようになっている。ここで、検知部222fとしては、発光部及び受光部を有する透過型のフォトセンサが用いられる。被検知部材222gは、ユニットガイド222に対してフィンガーユニット221が幅方向外側に位置するときに、検知部222fの発光部と受光部との間に先端部が位置し、受光部に入光する発光部の光を遮るように設けられている。また、検知部222fには、電気配線用のケーブル222hが接続され、ケーブル222hの検知部222f側は、ケーブル222hの移動する空間を確保するために設けられ、フレーム210に固定されたケーブル保護部材211によって保護されている。ケーブル保護部材211は、断面矩形状に形成された上下方向に延びる管状に設けられ、その内部にケーブル222hが幅方向に移動自在に挿通されている。
【0020】
また、上側に位置する幅方向一対のフィンガーユニット221と、下側に位置する幅方向一対のフィンガーユニット221は、幅方向に延びるように設けられ、フレーム210に支持された前後一対のフィンガーガイドシャフト212によってそれぞれ幅方向に移動可能に支持されている。
【0021】
各ラック223は、それぞれの歯223aが互いに向かい合うように各ユニットガイド222に設けられ、各ラック223の間に位置する1つのピニオン225と噛合うようになっている。また、各ラック223の歯223aの上下両端には、幅方向に亘ってピニオン225側に延びる延出部223bが形成され、ピニオン225の歯の上下両端に設けられた後述する円筒部に当接するようになっている。即ち、ピニオン225の円筒部に各ラック223の延出部223bが当接することにより、各ラック223の中心とピニオン225との間の距離を適切な距離に保持するようになっている。更に、各ラック223は、フレーム210に支持された幅方向に延びる断面矩形状のラックガイドシャフト213によってそれぞれ幅方向に移動可能に支持されている。
【0022】
ピニオン225は、断面矩形状に形成された駆動軸224の断面形状とほぼ同じ断面形状を有する軸挿通孔225aが軸方向に延びるように設けられている。ピニオン225は、軸挿通孔225aに駆動軸224を挿通することにより、ピニオン225を駆動軸224に固定することなく駆動軸224と共に回転するようになっている。また、ピニオン225の上下両端には、歯車部225bの外径よりも小さく形成された円筒部225cが設けられ、円筒部225cに各ラック223の延出部223bが当接するようになっている。即ち、ピニオン225の円筒部225cに各ラック223の延出部223bが当接することにより、ピニオン225の中心と各ラック223との距離が適切な距離に保持され、ピニオン225と各ラック223の適正な噛合いを保持することが可能となる。また、ピニオン225の歯車部225bの軸方向両端部に各ラック223の延出部223bが位置することにより、ピニオン225を駆動軸224に固定することなく、ピニオン225が各ラック223によって上下方向に位置決めされるようになっている。
【0023】
駆動ユニット226は、把持用モータ226aとギヤボックス226bからなり、フレーム210の下部を補強するための下部補強板214に固定されている。把持用モータ226aは、正逆回転可能に設けられ、ギヤボックス226bを介して駆動軸224を正回転及び逆回転させるようになっている。また、ギヤボックス226bは、駆動軸224の下端が嵌合する連結部としての軸受226cが設けられ、軸受226cに駆動軸224を嵌合させることにより、固定部材を必要とすることなく把持用モータ226aの動力を駆動軸224に伝達することが可能となっている。
【0024】
フィンガー位置検知器227は、フレーム210の上部を補強するための上部補強板215に固定され、駆動軸224の回転位置を検知するようになっている。フィンガー位置検知器227は、駆動軸224の上端に軸受227aを介して連結され、駆動軸224と共に回転する接触子227bと、接触子227bの接触片227c,227d,227eが摺動する基板227fとを有している。接触子227bは、通電可能な金属製の部材からなり、基板227fに接触する3つの接触片227c,227d,227eがそれぞれ斜め下方に延びるように設けられている。接触子227bの接触片227c,227d,227eは、それぞれ駆動軸224の回転中心から径方向に並ぶように設けられ、駆動軸224の回転によって基板227f上を摺動するようになっている。基板227fには、それぞれ駆動軸224の回転中心を中心として異なる半径を有する円弧状の第1の配線227g、第2の配線227h及び第3の配線227iがプリントされている。第1の配線227gには、各フィンガーユニット221を完全に開放する位置に対応する駆動軸224の回転位置から各フィンガーユニット221を完全に閉鎖する位置に対応する駆動軸224の回転位置に亘って接触片227cが接触する接点227jが設けられている。また、第2の配線227hには、各フィンガーユニット221を完全に開放する位置に対応する駆動軸224の回転位置と、各フィンガーユニット221の所定の閉鎖位置に対応する駆動軸224の回転位置と、各フィンガーユニット221を完全に閉鎖する位置に対応する駆動軸224の回転位置とにそれぞれ接触片227dが接触する接点227kが設けられている。更に、第3の配線227iには、各フィンガーユニット221を完全に開放する位置に対応する駆動軸224の回転位置に接触片227eが接触する接点227lが設けられている。即ち、フィンガー位置検知器227は、図14(a)に示すように、各フィンガーユニット221を完全に開放する位置に対応する駆動軸224の回転位置において、接触子227bによって第2の配線227h及び第3の配線227iと第1の配線227gとが接続されることにより、各フィンガーユニット221が完全に開放された状態を示す検知信号を出力する回路を構成する。また、フィンガー位置検知器227は、図14(b)(c)に示すように、各フィンガーユニット221の所定の閉鎖位置に対応する駆動軸224の回転位置と、各フィンガーユニット221を完全に閉鎖する位置に対応する駆動軸224の回転位置とにおいて、接触子227bによって第2の配線227hと第1の配線227gとが接続されることにより、各フィンガーユニット221が完全に閉鎖した状態及び各フィンガーユニット221が所定の閉鎖位置に位置する状態を示す検知信号を出力する回路を構成する。また、フィンガー位置検知器227は、軸受227a、接触子227b及び基板227fを格納する上ケース227m及び下ケース227nを有している。軸受227aと下ケース227nには、図15に示すように、駆動軸224を軸受227aに組付ける際の基板227fに対する接触子227bの回転位置を示す目印227oがそれぞれ設けられている。
【0025】
移動機構230は、フレーム210の上部に取付けられた移動用モータ231と、移動用モータ231に連結され、把持機ホルダ300のレール上を回転移動する幅方向一対の駆動ローラ232と、各駆動ローラ232の前方に位置するフレーム210に回動自在に支持された幅方向一対の従動ローラ233とを備え、駆動ローラ232の回転によって商品把持機200を把持機ホルダ300に対して前後に移動させるようになっている。移動用モータ231は、正逆回転可能に設けられ、ギヤボックス231aを介して駆動ローラ232を正回転及び逆回転させるようになっている。各駆動ローラ232は、幅方向内側に歯車部232aが形成され、歯車部232aの幅方向外側には、歯車部232aの外径よりも大きく形成された円筒部232bが設けられている。従動ローラ233は、駆動ローラ232の円筒部232bと同一の軸方向及び径方向の寸法に形成され、駆動ローラ232の円筒部232bと前後に並ぶようにフレーム210に支持されている。また、各駆動ローラ232の下方には、フレーム210に回動自在に支持された姿勢保持部としてのガイドローラ234が設けられ、ガイドローラ234を把持機ホルダ300の後述するレールの下面に当接させることにより、把持機ホルダ300に対して商品把持機200が後方に移動した状態で商品把持機200の姿勢を保持するようになっている。
【0026】
また、把持機構220の動力源となる把持用モータ226aと移動機構230の動力源となる移動用モータ231には、駆動用の電力を供給するためのケーブル231bがユニット移動機60及び把持機ホルダ300を介して商品把持機200に接続されている。また、ケーブル222h,231bは、把持機ホルダ300から商品把持機200までの長さが把持機ホルダ300に対する商品把持機200の移動可能な長さよりも長く形成され、メンテナンス時などに商品把持機200を把持機ホルダ300に対して所定以上に後方に移動させることが可能となる。また、ケーブル222h,231bは、商品把持機200が前方に位置する場合に、折り重ねられて収納されるようになっている。
【0027】
各ゲート開放板240は、下側のフィンガー板221aの幅方向外側に位置するフレーム210に固定され、フィンガー板221aの後端よりも後方に突出するように設けられている。各ゲート開放板240は、商品把持機200の後方への移動により、先端が商品収納コラム50のゲート開放部材54aの前端側に当接するようになっている。
【0028】
フレームカバー250は、フレーム210の背面側開口部の上下方向中央部を補強する幅方向に延びる補強部材216と各ゲート開放板240と共にフレーム210に取付けられるようになっている。また、フレームカバー250は、フレーム210に支持された各フィンガーガイドシャフト212及び各ラックガイドシャフト213の両端側をフレーム210の外側からそれぞれ覆うことにより、各フィンガーガイドシャフト212及び各ラックガイドシャフト213を固定するようになっている。更に、フレームカバー250には、一方のユニットガイド222に設けられた圧縮バネ222eの端部がフレーム210に設けられたバネ挿通孔217を介して当接し、一方のユニットガイド222を幅方向他方に付勢することにより各ラック223とピニオン225との噛合いのがたつきを防止するようになっている。
【0029】
また、フレーム210の背面側には、把持される商品Aが把持機構220に引っ掛かることを防止するための商品ガイド板218が幅方向中央部を上下方向に亘って延びるように設けられている。商品ガイド板218は、幅方向両側から後方に延びる一対のフランジ218aが設けられ、その上端側及び下端側はそれぞれ後方に向かって傾斜するように切り欠かれている。
【0030】
把持機ホルダ300は、上部に位置するホルダ本体310と、ホルダ本体310から後方に向かって延びる幅方向一対のレール320と、幅方向両側面に位置する幅方向一対の側板330と、前面側に位置する前面板340とを備えている。
【0031】
ホルダ本体310は、上面に幅方向一対の前後方向に延びる係合部311を有し、ユニット移動機60に着脱自在に取付けられるようになっている。
【0032】
各レール320は、側壁部321と底面部322を有する断面L字状のレール本体323の底面部322上面にラック部324と溝部325が設けられ、ホルダ本体310からやや斜め上方に向かって後方に延びるように設けられている。ラック部324は、底面部322の幅方向内側を前後方向に延びるように連続して歯が設けられ、商品把持機200の駆動ローラ232の歯車部232aが回転移動するようになっている。溝部325は、ラック部324の幅方向外側を前後方向に延びるように設けられ、商品把持機200の駆動ローラ232の円筒部232bと従動ローラ233を前後に案内するようになっている。レール本体323の側壁部321の前端上部は、商品把持ユニット100の上下方向の寸法を小さくするために、切り欠き部321aが設けられている。
【0033】
各側板330は、前端側を上下方向に亘って幅方向内側に屈曲することにより屈曲部331が設けられ、屈曲部331の上端側及び下端側には、側板330に前面板340を取付けるための角穴332が設けられている。
【0034】
前面板340は、把持機ホルダ300の前面側全体を覆う矩形状に形成された板状部材からなり、側板330に着脱可能に構成されている。前面板340の背面側の幅方向両端側には、前面板340に対して各側板330の幅方向の位置決めを行うために設けられたガイド板341がそれぞれ上下方向に延びるように設けられている。各ガイド板341は、幅方向寸法が屈曲部331の幅方向寸法よりもやや大きく形成され、その両端部には、屈曲部331の幅方向両端を側方から覆うように延出部342がそれぞれ設けられている。また、各ガイド板341には、上端側及び下端側の幅方向中央部を切り起こすことにより下方に延びる係合片343が設けられ、係合片343を側板330の屈曲部331に設けられた各角穴332に係合させることにより前面板340が側板330に取付けられるようになっている。また、前面板340は、前面側に販売商品の情報や広告等を表示可能な表示面344を有し、前面板340を取り替えることにより表示する情報を切り換えることが可能となっている。表示面344には、表示する情報を印刷する他、LED等の電飾によって情報を表示するようにしてもよいし、液晶ディスプレイ等の表示装置を設けて情報を表示するようにしてもよい。
【0035】
ユニット移動機60は、商品収納庫11の前面側に設けられ、商品把持ユニット100を幅方向に移動させるための幅方向移動機構61と、商品把持ユニット100を上下方向に移動させるための上下方向移動機構62とを備え、それぞれベルトとプーリ、チェーンとスプロケットまたは送りネジ等の回転運動を直線運動に変換する図示しない機構によって構成されている。幅方向移動機構61及び上下方向移動機構62は、それぞれ幅方向移動用モータ61a及び上下方向移動用モータ62aによって駆動するようになっており、商品把持ユニット100を幅方向及び上下方向に移動させるようになっている。
【0036】
制御部70は、マイクロコンピュータによって構成され、そのメモリには商品Aの販売動作制御及び商品収納庫11の庫内温度制御に関するプログラムが記憶されている。また、制御部70には、図18に示すように、モータ駆動部71と信号検知部72が接続され、モータ駆動部71には、把持用モータ226aが接続されている。また、信号検知部72には、検知部222f及びフィンガー位置検知器227が接続され、検知部222f及びフィンガー位置検知器227の電流を検知し、制御部70に検知信号を出力するようになっている。
【0037】
以上のように構成された自動販売機において、利用者によって所定の金銭を硬貨投入口31または紙幣投入口34から投入され、商品選択部35によって商品収納コラム50の商品Aが選択されると、まず、所定の待機位置に位置する商品把持ユニット100は、図19に示すように、ユニット移動機60によって所定の商品収納コラム50の前端側に移動し、移動機構230を駆動させることによって商品把持機200を後方に移動させる。このとき、商品把持ユニット100は、図20に示すように、商品把持機200に設けられたゲート開放板240の一方によってゲート開放部材54aを後方に移動させ、ゲート54を下方に回動させて商品通路53の前端側を開放する。また、商品把持ユニット100は、各フィンガー板221aの間に商品Aが位置するところまで商品把持機200を把持機ホルダ300に対して後方に移動させる。次に、商品把持ユニット100は、把持機構220によって把持動作を行い、検知部222fによって商品Aの把持を検知すると、把持機構220の把持動作を停止する。把持動作を停止した後、商品把持ユニット100は、図21に示すように、ユニット移動機60によって商品Aを上方に持ち上げ、移動機構230によって商品把持機200を前方に移動させる。図22に示す商品把持機200が前方に移動した状態の商品把持ユニット100は、ユニット移動機60によって商品取出口37近傍の所定の商品搬出位置に移動した後に把持機構220によって商品Aの把持を解除し、所定の待機位置に移動して動作を終了する。
【0038】
商品Aを把持する際の把持機構220は、各ユニットガイド222と各フィンガーユニット221が共に幅方向内側に移動して商品Aの幅方向両側にフィンガー板221aが当接すると、各ユニットガイド222のみが幅方向内側に移動する。このとき、ユニットガイド222とフィンガーユニット221との間には、図23に示すように、引張バネ221cの張力が作用することから、引張バネ221cの張力による所定の力で商品Aが把持される。
【0039】
また、例えば袋状の容器に入った食品など、外面が軟らかい商品Aを把持する際の把持機構220は、フィンガー板221aが商品Aに当接しても、フィンガーユニット221がユニットガイド222に対して引張バネ221cの付勢力に抗して幅方向外側に移動することなく商品Aを潰してしまうため、フィンガーユニット221の所定の閉鎖位置をフィンガー位置検知器227によって検知して把持動作を停止する。このときの制御部の動作を図24のフローチャートを用いて説明する。まず、フィンガーユニット221を閉鎖する動作を開始し(ステップS1)、検知部222fによって商品Aの把持を検知することなく(ステップS2)、フィンガー位置検知器227によってフィンガーユニット221の所定の閉鎖位置を検知すると(ステップS3)、フィンガーユニット221を閉鎖する動作を停止する(ステップS4)。また、フィンガーユニット221を閉鎖する動作を開始し(ステップS1)、フィンガーユニット221が所定の閉鎖位置に移動するまでに検知部222fによって商品Aの把持を検知すると(ステップS2)、フィンガーユニット221を閉鎖する動作を停止する(ステップS4)。
【0040】
このように、本実施形態の自動販売機によれば、把持機構220によって商品Aを把持する際に、各フィンガーユニット221の所定位置への移動をフィンガー位置検知器227によって検知すると、把持機構220の把持動作を停止するようにしたので、検知部222fによって商品Aの把持を検知することなくフィンガーユニット221を所定の閉鎖位置で停止させることができ、例えば軟質の容器に入った食品等の柔らかい商品A等を把持する際に、フィンガーユニット221を所定位置で停止させることにより、損傷を生じることなく商品Aを把持することが可能となる。
【0041】
また、フィンガー位置検知器227を、各フィンガーユニット221の位置に対応する駆動軸224の回転位置を検知するように構成したので、駆動軸224の回転位置からフィンガーユニット221の位置を検知することができ、既存の回転位置を検知可能なセンサによって安価にフィンガー位置検知器227を構成することができる。
【0042】
また、上面に第1の配線227g、第2の配線227h及び第3の配線227iがプリントされた基板227fと、駆動軸224の所定の回転位置において第1の配線227g、第2の配線227h及び第3の配線227iを接続することにより検知信号としての電気を流通させる回路を構成可能な接触子227bとからフィンガー位置検知器227を構成したので、簡単な構成によってフィンガー位置検知器227を構成することができ、高価なセンサを用いる必要はなく製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】自動販売機の全体斜視図
【図2】外扉を開放した状態を示す自動販売機の全体斜視図
【図3】自動販売機の側面断面図
【図4】商品把持ユニットの全体斜視図
【図5】商品把持機を後方に移動させた状態を示す商品把持ユニットの全体斜視図
【図6】商品把持機の分解斜視図
【図7】商品把持機の分解斜視図
【図8】商品把持機の分解斜視図
【図9】商品把持機の側面断面図
【図10】商品把持機の平面断面図
【図11】商品把持機の平面断面図
【図12】商品把持機の正面断面図
【図13】基板の平面図
【図14】基板及び接触子の位置関係を示す平面図
【図15】フィンガー位置検知器の底面図
【図16】把持機ホルダの分解斜視図
【図17】把持機ホルダの分解斜視図
【図18】制御系を示すブロック図
【図19】商品把持ユニットの動作を示す動作説明図
【図20】商品把持ユニットの動作を示す動作説明図
【図21】商品把持ユニットの動作を示す動作説明図
【図22】商品把持ユニットの動作を示す動作説明図
【図23】商品を把持した状態を示す商品把持機の平面断面図
【図24】把持動作制御に関するフローチャート
【符号の説明】
【0044】
50…商品収納コラム、70…制御部、71…モータ駆動部、72…信号検知部、100…商品把持ユニット、200…商品把持機、220…把持機構、221…フィンガーユニット、222…ユニットガイド、223…ラック、224…駆動軸、225…ピニオン、226…駆動ユニット、226a…把持用モータ、226b…ギヤボックス、227…フィンガー位置検知器、227a…軸受、227b…接触子、227f…基板、227g…第1の配線、227h…第2の配線、227i…第3の配線、227o…目印、300…把持機ホルダ、A…商品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品を前後方向に並べて収納可能に設けられた複数の商品収納コラムと、各商品収納コラムの前端側に位置する商品を幅方向両側から挟む把持機構とを備えた自動販売機において、
前記把持機構を、幅方向に対をなすフィンガーと、フィンガーを開閉させるフィンガー駆動機構と、各フィンガーの位置を検知可能なフィンガー位置検知手段とから構成し、
前記フィンガー駆動機構によって各フィンガーを閉鎖方向に移動させる際に、各フィンガーの所定位置への移動をフィンガー位置検知手段によって検知すると、フィンガー駆動機構を停止するフィンガー動作制御手段を備えた
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記フィンガー駆動機構を、駆動源の動力によって回転する駆動軸と、駆動軸の回転力を各フィンガーの幅方向への移動に変換する動力変換機構とから構成し、
フィンガー位置検知手段として、各フィンガーの位置に対応する駆動軸の回転位置を検知可能な軸回転位置検知手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
前記軸回転位置検知手段を、上面に複数の配線がプリントされた基板と、駆動軸と共に回転するように設けられ、駆動軸の所定の回転位置において所定の配線同士を接続することにより検知信号としての電気を導通させる回路を構成可能な接触子とから構成した
ことを特徴とする請求項2記載の自動販売機。
【請求項4】
前記接触子側及び基板側に、接触子側に駆動軸を組付ける際の基板に対する接触子の回転位置を示す目印を設けた
ことを特徴とする請求項3記載の自動販売機。
【請求項5】
前記フィンガーによる商品の把持を検知可能な把持検知手段と、
把持検知手段によって商品の把持を検知すると、フィンガー駆動機構を停止するフィンガー動作停止手段とを備え、
フィンガー動作制御手段を、フィンガー駆動機構によって各フィンガーを閉鎖方向に移動させる際に、把持検知手段によって商品の把持を検知することなく、各フィンガーの所定位置への移動をフィンガー位置検知手段によって検知すると、フィンガー駆動機構を停止するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−148636(P2007−148636A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340386(P2005−340386)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】