説明

自動販売機

【課題】商品の補充作業を容易にして、商品の先入れ先出しを良好に実現することができる自動販売機を提供すること。
【解決手段】商品を前後方向に沿って一列に並べて収納する複数の商品保管コラム11を上下段、左右列に配列した商品保管庫10と、商品を前後方向に沿って一列に並べて収納する複数の商品収納コラム22を上下段、左右列に配列した商品収容庫20とを上下に区画して設けた本体キャビネット1を備え、商品収容庫20に収容した商品を販売する自動販売機において、商品補給指令に応じて、商品保管庫10の指定されたコラムの最後側の商品を取り出し、商品収容庫20の指定されたコラムの後端部まで搬送する第1搬送ユニット40と、商品販売指令に応じて、商品収容庫20の指定されたコラムの最前側の商品を取り出し、商品取出口6まで搬送する第2搬送ユニット50とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関し、より詳細には、缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度状態、すなわち冷却、もしくは加熱した状態に維持して収容する商品収容庫と、該商品を常温状態で保管する商品保管庫とを上下に区画して設けた自動販売機の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機として、次のようなものが知られている。
【0003】
例えば、自動販売機本体となるキャビネットの内部に、商品収容庫と商品保管庫とが上下に区画されて設けられた自動販売機である。
【0004】
商品収容庫は、キャビネット内部の上部側に配設され、断熱構造を有し、商品を収納するための商品収納ラックが内部に設けられている。この商品収容庫は、商品収容庫の内部雰囲気を冷却、もしくは加熱することによって商品収納ラックの商品を所望の温度状態(冷却、もしくは加熱した状態)に維持して収容するものである。このような商品収容庫では、商品収納ラックの上部域に前方から後方に向けて漸次高さが低くなる態様で傾斜した投入トレイが設けられており、該投入トレイの前方側から商品が投入されることにより、該投入トレイを通じて商品収納ラックに商品が収納されることになる。
【0005】
商品保管庫は、キャビネット内部の下部側に配設され、商品を常温状態で保管するためのものである。この商品保管庫は、商品を前後方向に沿って一列に並べて収納する商品保管棚(コラム)を上下段、左右列に配列して、商品を保管している。
【0006】
このような自動販売機には、商品補給指令に応じて、商品保管庫に保管してある商品を商品収納庫に搬送する搬送機構が設けられている。搬送機構は、キャビネット内部の前方側に設けてある。この搬送機構は、商品補給指令に応じて、商品保管庫の指定された商品保管棚の最前側に位置する商品を取り出し、商品収容庫の指定された投入トレイの投入口に搬送するものである。ここに、投入口まで搬送された商品は、投入トレイを通じて商品収納ラック内に進入し、該商品収納ラックの内部で収納されることになる。そして、商品販売指令に応じて、選択された商品を収納する商品収納ラックの下方部にある搬出機構が駆動して、該商品収納ラックの最下段にある商品を搬出する。搬出された商品は、キャビネットの前面開口を開閉するために設けられた扉体に形成された商品取出口まで搬送されて販売される(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−20536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、一般に商品保管庫に商品を補充する場合には、扉体を開成させた状態で、すなわち商品保管庫の前面を開放させた状態で、商品保管棚を前方に引き出し、該商品保管棚に商品を補充することになる。
【0009】
しかしながら、上述したような特許文献1に提案の自動販売機では、搬送機構が商品補給指令により指定された商品保管棚の最前に位置する商品を商品収容庫に搬送していたので、商品補充の際に、商品保管棚の前方側に以前より商品保管庫に保管されていた商品、あるいは賞味期限の日付が近い商品を配置し、新たに補充する商品を商品保管棚の後方側に配置させる必要があり、商品の先入れ先出しを実現するためには商品の補充作業(いわゆるローディング作業)が煩雑なものになっていた。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品の補充作業を容易にして、商品の先入れ先出しを良好に実現することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機は、商品を前後方向に沿って一列に並べて収納する複数のコラムを上下段、左右列に配列し、該商品を所望の温度状態に維持して収容する商品収容庫と、商品を前後方向に沿って一列に並べて収納する複数のコラムを上下段、左右列に配列し、該商品を常温状態で保管する商品保管庫とを上下に区画して設けた自動販売機本体と、前記自動販売機本体に形成された前面開口を開閉するための扉体とを備え、前記商品収容庫に収容した商品を販売する自動販売機において、商品補給指令に応じて、前記商品保管庫の指定されたコラムの最後側の商品を取り出し、前記商品収容庫の指定されたコラムの後端部まで搬送する第1搬送手段と、商品販売指令に応じて、前記商品収容庫の指定されたコラムの最前側の商品を取り出し、前記扉体の前面に開口する態様で形成された商品取出口まで搬送する第2搬送手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機は、上述した請求項1において、前記商品保管庫は、前記商品を横倒し姿勢で保管し、前記第1搬送手段は、前記商品保管庫に横倒し姿勢で保管されていた商品を起立させて前記商品収容庫に搬送し、前記商品収容庫は、前記商品を起立姿勢で収容し、前記第2搬送手段は、前記商品収容庫に起立姿勢で収容されていた商品を起立姿勢のまま前記商品取出口に搬送することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機は、上述した請求項1または請求項2において、前記商品保管庫は、前記自動販売機本体の区画された上部側に設けてある一方、前記商品収容庫は、前記自動販売機本体の区画された下部側に設けてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に係る自動販売機は、上述した請求項1において、前記商品保管庫は、前記自動販売機本体の区画された下部側に設けてあり、かつ前記商品を起立姿勢で保管し、前記商品収容庫は、前記自動販売機本体の区画された上部側に設けてあり、かつ前記商品を起立姿勢で収容し、前記扉体には、前記商品収容庫に収容された商品を外部から視認させるためのガラス扉を備えて成ることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に係る自動販売機は、上述した請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記自動販売機本体の背面に、メンテナンス用の開口と、該開口を開閉するための開閉扉とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自動販売機によれば、第1搬送手段が、商品補給指令に応じて、商品保管庫の指定されたコラムの最後側の商品を取り出し、商品収容庫の指定されたコラムの後端部まで搬送し、第2搬送手段が、商品販売指令に応じて、商品収容庫の指定されたコラムの最前側の商品を取り出し、扉体の前面に開口する態様で形成された商品取出口まで搬送するので、商品を補充する際には商品保管庫の前方から商品を投入するだけでよく、商品の補充作業を容易にして、商品の先入れ先出しを良好に実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
<実施の形態1>
図1および図2は、それぞれ本発明の実施の形態1における自動販売機を簡略的に示すものであり、図1は正面図、図2は断面側面図である。これら図1および図2において、自動販売機は、缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を冷却、もしくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体である本体キャビネット1を備えている。
【0019】
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成しており、その内部は、大きく上中下の3つに区画されており、機械室2、商品保管庫10および商品収容庫20が設けてある。
【0020】
機械室2は、最も下部に区画された室であり、種々の機械等が配設してある。特に本実施の形態1に関連するものとしては、図には明示しないが、圧縮機および凝縮器が配設してある。
【0021】
商品保管庫10は、最も上部に区画された室である。この商品保管庫10の内部には、複数の商品保管コラム11が上下段、左右列に配列して設けてある。商品保管コラム11は、それぞれ前後方向に沿って延在し、前方から後方に向けて漸次高さが低くなる態様で傾斜して設けてある。この商品保管コラム11は、それぞれ商品を横倒し姿勢で前後方向に沿って一列に並べて収納している。このような商品保管庫10は、各商品保管コラム11に収納される商品を常温にて保管するものである。
【0022】
また、商品保管コラム11のそれぞれの後端部には、収納商品を一つずつ搬出する搬出機構(図示せず)が設けてある。ここに、搬出機構は、駆動モータ、ソレノイド等の動力源から切り離した駆動部を有さないものであり、後述するバケットユニット41が指定の商品保管コラム11にアクセスした場合に該バケットユニット41を構成する電動式駆動機構41aからの動力が伝達されて駆動するものである。
【0023】
商品収容庫20は、中部に区画された室、すなわち機械室2と商品保管庫10との間に位置する室である。つまり、商品保管庫10は、区画された上部側に設けてある一方、商品収容庫20は、区画された下部側に設けてある。この商品収容庫20は、所定個所に断熱板を配設することにより断熱構造を有している。より詳細に説明すると、商品収容庫20は、上部断熱板20a、底部断熱板20b、後部断熱板20cおよび左右一対の側部断熱板(図示せず)を配設することにより形成された室である。
【0024】
また、商品収容庫20は、一対の側部断熱板間に設けた仕切断熱板20dにより2つの室が上下に画成してある。下側の室21aの内部には、上述した圧縮機および凝縮器と冷媒配管を通じて連結された蒸発器(図示せず)が設けてある。かかる蒸発器は、圧縮機および凝縮器とともに冷却ユニットを構成し、下側の室21aの内部雰囲気を冷却するものであり、これにより、下側の室21aは冷室である。上側の室21bの内部には、ヒータ(図示せず)が設けてある。かかるヒータが駆動する場合には、上側の室21bの内部雰囲気が加熱される。その一方、ヒータが駆動停止で、下側の室21aと連通状態になっている場合には、上側の室21bの内部雰囲気は冷却される。これにより、上側の室21bは、冷/温室である。
【0025】
このような商品収容庫20の内部には、複数の商品収納コラム22が上下段、左右列に配列してある。より詳細に説明すると、商品収容庫20を構成する各室には、複数の商品収納コラム22が左右列に配列してある。商品収納コラム22は、それぞれ前後方向に沿って延在する態様で設けてある。この商品収納コラム22は、前後に配設された一対のコラム用プーリ221間に無端状のベルトコンベア222が張設されて構成してあり、それぞれ商品を起立姿勢で前後方向に沿って一列に並べて収納している。ここに、図には明示しないが、一対のコラム用プーリ221は、その一方にモータ等のプーリ駆動機構22aが連結してあり、プーリ駆動機構22aによりコラム用プーリ221が回転駆動する結果、ベルトコンベア222は変位する。
【0026】
また、商品収容庫20の内部には、商品収納コラム22毎に商品検出センサS(図5参照)が設けてある。商品検出センサSは、対応する商品収納コラム22に空きがあるか否かを検出し、空きがある場合には、その旨の信号を後述する自販機制御部C1に出力するものである。
【0027】
このように商品収容庫20は、各商品収納コラム22に収納する商品を所望の温度状態、すなわち冷却、もしくは加熱した状態に維持するものである。
【0028】
一方、本体キャビネット1には、扉体が設けてある。扉体は、外扉3および内扉4を有して成るものである。外扉3は、本体キャビネット1の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能となる態様でヒンジ結合してある。この外扉3の前面側にはディスプレイウィンドウ5、商品取出口6が設けてある。ディスプレイウィンドウ5は、外扉3の内部に設けた商品サンプル7を視認させるための窓である。商品取出口6は、外扉3の前面側中央位置に設けてあり、利用者が商品を取り出すための開口となる。また、図1には明示していないが、この外扉3の前面には、商品を販売する際に必要となる商品選択ボタンB(図5参照)、紙幣挿入口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口が設けてある一方、後面側には貨幣処理部K(図5参照)が設けてある。
【0029】
内扉4は、上下に分割して形成してあり、上側の扉(以下、第1内扉ともいう)4aは商品保管庫10の前面を覆うためのものであり、下側の扉(以下、第2内扉ともいう)4bは商品収容庫20の前面を覆うためのもので、それぞれ外扉3よりも内方となる位置において本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に配設してある。第2内扉4bは断熱扉である。
【0030】
上記本体キャビネット1には、商品取出室30、第1搬送ユニット(第1搬送手段)40および第2搬送ユニット(第2搬送手段)50が設けてある。
【0031】
商品取出室30は、商品保管庫10の底部前方側であって左右方向における中央領域に画成された室である。この商品取出室30は、利用者が商品を取り出すためのものであり、商品取出口6を後方側より臨む位置に画成してあるとともに、商品保管庫10とは隔離してある。
【0032】
第1搬送ユニット40は、商品保管庫10および商品収容庫20の後方側に設けてあり、商品保管庫10に保管されている商品を商品収容庫20に搬送するものである。この第1搬送ユニット40は、X−Y搬送機構(図示せず)およびバケットユニット41を備えて構成してある。
【0033】
X−Y搬送機構は、図には明示していないが、バケットユニット41を搭載して、該バケットユニット41を上下方向および左右方向に移動させるものである。このX−Y搬送機構は、周知のものであり、左右方向に延在するX軸搬送部40a(図5参照)が、上下方向に延在し、かつ左右一対のY軸搬送部40b(図5参照)に連結されて構成してある。
【0034】
X軸搬送部40aは、搭載するバケットユニット41をX軸方向、すなわち左右方向に沿って移動可能に案内支持してある。このX軸搬送部40aの底部には、左右方向が長手方向となる第1長尺断熱板42(図2参照)が設けてある。この第1長尺断熱板42は、上述した上部断熱板20aと後部断熱板20cとにより形成される開口、並びに仕切断熱板20dと後部断熱板20cとにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0035】
Y軸搬送部40bは、X軸搬送部40aをY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。つまり、Y軸搬送部40bは、X軸搬送部40aに搭載されるバケットユニット41が上下方向に沿って移動することを案内するものである。
【0036】
また、このようなX−Y搬送機構には、上記バケットユニット41を指定したコラム(商品保管コラム11、商品収納コラム22)の位置に移動して停止させるために位置検知手段(図示せず)が備えてあり、与えられた商品補給指令により、指定された商品保管コラム11および商品収納コラム22の位置に移送するようにしてある。
【0037】
また、Y軸搬送部40bは、X軸搬送部40aとは別個であって該X軸搬送部40aの下方に、左右方向が長手方向となる第2長尺断熱板43(図2参照)をY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。この第2長尺断熱板43は、上述した第1長尺断熱板42と同様、仕切断熱板20dと後部断熱板20cとにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0038】
バケットユニット41は、図3に示すように、台座部411、受容部412、送出部413および電動式駆動機構41a(図5参照)を備えて構成してある。台座部411は、ガイドローラ414を介してX−Y搬送機構を構成するX軸搬送部40aに案内支持されている。
【0039】
受容部412は、図3に示した状態では前方および左方(送出部413側)が開放した箱体である。かかる受容部412は、商品を収納するのに十分な大きさを有している。この受容部412は、支持片415が設けてあり、該支持片415に形成された支持孔(図示せず)および台座部411に形成された貫通孔(図示せず)を挿通する支持ロッド416を介して台座部411に揺動可能に設けてある。支持ロッド416は、その端部がモータ等の揺動機構41b(図5参照)に連結してある。つまり、受容部412は、揺動機構41bにより支持ロッド416を介して揺動駆動することになる。このように受容部412が揺動駆動すると、該受容部412の内部で横倒し姿勢で載置されていた商品は、図4に示すように、送出部413に起立姿勢で載置することになる。
【0040】
送出部413は、前後一対の送出ローラ417間に無端状のベルトコンベア418が張設されて構成してある。かかる一対の送出ローラ417は、その一方にモータ等のローラ駆動機構41c(図5参照)が連結してあり、当該送出ローラ417が回転駆動する結果、ベルトコンベア418は変位する。
【0041】
電動式駆動機構41aは、上述したように、商品保管コラム11の搬出機構に駆動力を伝達して該搬出機構を駆動させるものである。
【0042】
そのような第1搬送ユニット40において、バケットユニット41は、常態においては、図2に示すように、商品保管庫10の底部後方位置、すなわち第1長尺断熱板42が上部断熱板20aと後部断熱板20cとにより形成される開口を閉塞する位置に待機している。また、第2長尺断熱板43は、仕切断熱板20dと後部断熱板20cとにより形成される開口を閉塞する位置に待機している。
【0043】
第2搬送ユニット50は、商品収容庫20の前方側に設けてあり、商品収容庫20に収容されている商品を商品取出口6(商品取出室30)に搬送するものである。この第2搬送ユニット50は、X−Y搬送機構(図示せず)および受部51を備えて構成してある。
【0044】
X−Y搬送機構は、図には明示していないが、受部51を搭載して、該受部51を上下方向および左右方向に移動させるものである。このX−Y搬送機構は、周知のものであり、左右方向に延在するX軸搬送部50a(図5参照)が、上下方向に延在し、かつ左右一対のY軸搬送部50b(図5参照)に連結されて構成してある。
【0045】
X軸搬送部50aは、搭載する受部51をX軸方向、すなわち左右方向に沿って移動可能に案内支持してある。このX軸搬送部50aの底部には、左右方向が長手方向となる第3長尺断熱板52(図2参照)が設けてある。この第3長尺断熱板52は、上述した上部断熱板20aと第2内扉4bとにより形成される開口、並びに仕切断熱板20dと第2内扉4bとにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0046】
Y軸搬送部50bは、X軸搬送部50aをY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。つまり、Y軸搬送部50bは、X軸搬送部50aに搭載される受部51が上下方向に沿って移動することを案内するものである。
【0047】
また、このようなX−Y搬送機構には、上記受部51を指定したコラム(商品収納コラム22、商品取出室30)の位置に移動して停止させるために位置検知手段(図示せず)が備えてあり、与えられた商品販売指令により、指定された商品収納コラム22および商品取出室30の位置に移送するようにしてある。
【0048】
また、Y軸搬送部50bは、図には明示しないが、X軸搬送部50aとは別個であって該X軸搬送部50aの上方に、左右方向が長手方向となる第4長尺断熱板および第5長尺断熱板をY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。第4長尺断熱板は、上部断熱板20aと第2内扉4bとにより形成される開口、すなわち商品収容庫20と商品取出室30との境界となる開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。第5長尺断熱板は、仕切断熱板20dと第2内扉4bとにより形成される開口、並びに上部断熱板20aと第2内扉4bとにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0049】
受部51は、前後一対の送出ローラ511間に無端状のベルトコンベア512が張設されて構成してある(図7参照)。かかる一対の送出ローラ511は、その一方にモータ等のローラ駆動機構51a(図5参照)が連結してあり、当該送出ローラ511が回転駆動する結果、ベルトコンベア512が、上面が前方に向けて移動する態様で変位する。このような受部51は、ガイドローラ(図示せず)を介してX−Y搬送機構を構成するX軸搬送部50aに案内支持されている。
【0050】
そのような第2搬送ユニット50において、受部51は、常態においては、商品収容庫20の最下段の商品収納コラム22の前方位置に待機している。また、第4長尺断熱板は、上部断熱板20aと第2内扉4bとにより形成される開口を閉塞する位置に待機しており、第5長尺断熱板は、仕切断熱板20dと第2内扉4bとにより形成される開口を閉塞する位置に待機している。
【0051】
図5は、本発明の実施の形態1における自動販売機の制御系を簡略的に示すブロック図である。この図5に示すように、自動販売機は、自販機制御部C1、商品補給制御部C2および商品販売制御部C3を備えている。
【0052】
自販機制御部C1は、自動販売機の動作を統括的に制御するものであり、特に本実施の形態1においては、商品補給制御部C2に対して商品補給指令を出力するとともに、商品販売制御部C3に対して商品販売指令を出力するものである。より具体的に説明すると、商品収容庫20の各商品収納コラム22に設けた商品検出センサSが信号を出力した場合には、自販機制御部C1は、商品補給制御部C2に対して商品補給指令を出力する。
【0053】
一方、自販機制御部C1は、紙幣挿入口および硬貨投入口を通じて貨幣が投入された場合、貨幣処理部Kを通じてその正偽を判定し、正貨であった場合にさらに投入金額の認識を行う。商品販売に必要となる金額の貨幣が投入された場合、自販機制御部C1は、商品選択ボタンBを有効化し、さらに有効化した商品選択ボタンBが押下された場合、商品販売指令を商品販売制御部C3に出力する。
【0054】
商品補給制御部C2は、自販機制御部C1から商品補給指令が出力された場合、予めメモリM1に格納してあるプログラムやデータにしたがって第1搬送ユニット各部の制御を行うものである。
【0055】
商品販売制御部C3は、自販機制御部C1から商品販売指令が出力された場合、予めメモリM2に格納してあるプログラムやデータにしたがって第2搬送ユニット各部の制御を行うものである。
【0056】
以上のような構成を有する自動販売機の商品補給動作、並びに商品販売動作について説明する。
【0057】
まず、外部から自動販売機に商品を補充する場合には外扉3および第1内扉4aを開成する。これにより、商品保管庫10は前面が開放した状態になる。かかる状態で商品を前方側から横倒し姿勢のままで投入する。投入された商品は、各商品保管コラム11の上面を後方に向けて転動する。これを補充する商品の種類毎に行う結果、図2に示すように、各商品保管コラム11には、商品が前後方向に沿って一列に収納されることになる。その後、第1内扉4aおよび外扉3を閉成して、商品の補充作業を終了する。
【0058】
このような状態で商品収容庫20の商品収納コラム22に空きがあれば、該商品収納コラム22に設けた商品検出センサSから信号が自販機制御部C1に出力される。そうすると、自販機制御部C1は、商品補給制御部C2に対して商品補給指令を出力する。
【0059】
商品補給指令が出力されると、商品補給制御部C2は、X−Y搬送機構を通じてバケットユニット41を指定された商品保管コラム11にアクセスさせる。すなわち、バケットユニット41を該商品保管コラム11の後方側に位置させる。バケットユニット41が指定された商品保管コラム11にアクセスすると、商品補給制御部C2は、電動式駆動機構41aを駆動させることにより該商品保管コラム11の搬出機構を駆動させて最後側に保管された商品、すなわち該商品保管コラム11において最も先に投入された商品を搬出させる。搬出された商品は、バケットユニット41の受容部412に横倒し姿勢のまま収容される。
【0060】
受容部412に商品が収容されると、商品補給制御部C2は、X−Y搬送機構を通じてバケットユニット41を指定された商品収納コラム22にアクセスさせる。すなわち、バケットユニット41を該商品収納コラム22の後方側に位置させる。その際、第2長尺断熱板43は、Y軸搬送部40bにより下方に向けて移動することになる。
【0061】
バケットユニット41が指定された商品収納コラム22にアクセスすると、商品補給制御部C2は、揺動機構41bを駆動させて受容部412を揺動駆動させる。これにより、図4に示したように、該受容部412に収容された商品は、送出部413の上面に起立姿勢で載置される。
【0062】
このように送出部413の上面に商品が起立姿勢で載置されると、商品補給制御部C2は、ローラ駆動機構41cを駆動させて一対の送出ローラ417を回転駆動させてベルトコンベア418を変位させるととともに、プーリ駆動機構22aを駆動させて一対のコラム用プーリ221を回転駆動させてベルトコンベア222を変位させる。これにより、図6に示すように、送出部413の上面に起立姿勢で載置された商品は、その姿勢を保持したままで商品収納コラム22に後方側から収納される。以下同様な商品補給動作を繰り返し行ってすべての商品収納コラム22に商品を起立姿勢の状態で装填する。
【0063】
このような商品補給動作を行うことにより、商品保管庫10にて常温状態で保管されていた商品は、商品収容庫20に搬送されることにより、該商品収容庫20の内部雰囲気が冷却、もしくは加熱される結果、冷却、もしくは加熱状態に維持される。つまり、所望の温度状態に維持される。
【0064】
一方、自販機制御部C1から商品販売指令が出力されると、商品販売制御部C3は、X−Y搬送機構を通じて、選択された商品に対応する商品収納コラム(指定された商品収納コラム)22に受部51をアクセスさせる。すなわち、受部51を該商品収納コラム22の前方側に位置させる。受部51が指定された商品収納コラム22にアクセスすると、商品販売制御部C3は、プーリ駆動機構22aを駆動させて一対のコラム用プーリ221を回転駆動させてベルトコンベア222を変位させるとともに、ローラ駆動機構51aを駆動させて一対の送出ローラ511を回転駆動させてベルトコンベア512を変位させる。これにより、図7に示すように、該商品収納コラム22の最前側に収納された商品、すなわち該商品収納コラム22において最も先に収納された商品を、起立姿勢を保持したまま受部51の上面に載置させる。
【0065】
受部51に商品が載置されると、商品販売制御部C3は、X−Y搬送機構を通じて受部51を商品取出室30にアクセスさせて商品販売動作を終了する。その際、第4長尺断熱扉および第5長尺断熱板は、Y軸搬送部50bにより上方に向けて移動することになる。
【0066】
受部51が商品取出室30にアクセスすると、商品取出口6を通じて利用者が該商品を取り出すことができる。
【0067】
以上説明したような本発明の実施の形態1における自動販売機においては、第1搬送ユニット40が、商品補給指令に応じて、商品保管庫10の指定された商品保管コラム11の最後側の商品、すなわち該商品保管コラム11において最も先に保管された商品を取り出し、商品収容庫20の指定された商品収納コラム22まで搬送し、第2搬送ユニット50が、商品販売指令に応じて、商品収容庫20の指定された商品収納コラム22の最前側の商品、すなわち該商品収納コラム22において最も先に収納された商品を取り出し、商品取出口6まで搬送するので、商品を補充する際には商品保管庫10の前方から商品を投入するだけでよく、商品の補充作業を容易にして、商品の先入れ先出しを良好に実現することができる。
【0068】
上記自動販売機によれば、商品を起立姿勢で商品取出口6に搬送するので、利用者は該商品を取り出しやすくなり、利便性を向上させることができる。特に、商品収容庫20で商品を起立姿勢で収容し、第2搬送ユニット50が選択された商品を起立姿勢を保持して搬送するので、商品販売時間を必要最小限にすることができる。
【0069】
また、自動販売機によれば、商品保管庫10で常温状態で商品を保管し、販売に必要な数量だけの商品を商品収容庫20で所望の温度状態に維持して収容するようにしたので、冷却、あるいは加熱に要するエネルギーの低減化を図ることができ、省エネルギーかを図ることができる。
【0070】
<実施の形態2>
図8および図9は、それぞれ本発明の実施の形態2における自動販売機を簡略的に示すものであり、図8は正面図、図9は断面側面図である。これら図8および図9において、自動販売機は、缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を冷却、もしくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体である本体キャビネット100を備えている。
【0071】
本体キャビネット100は、前面が開口した直方状の形態を成しており、その内部は、大きく2つに区画されており、商品保管庫60および商品収容庫70が設けてある。
【0072】
商品保管庫60は、下部に区画された室である。この商品保管庫60の内部には、複数の商品保管コラム61が上下段、左右列に配列して設けてある。商品保管コラム61は、それぞれ前後方向に沿って延在する態様で設けてある。この商品保管コラム61は、前後に配設された一対のコラム用プーリ611間に無端状のベルトコンベア612が張設されて構成してあり、それぞれ商品を起立姿勢で前後方向に沿って一列に並べて収納している。ここに、図には明示しないが、一対のコラム用プーリ611は、その一方にモータ等のプーリ駆動機構62aが連結してあり、プーリ駆動機構62aによりコラム用プーリ611が回転駆動する結果、ベルトコンベア612は変位する。このような商品保管庫60は、各商品保管コラム61に収納される商品を常温にて保管するものである。
【0073】
商品収容庫70は、上部に区画された室、すなわち商品保管庫60の上方に位置する室である。つまり、商品保管庫60は、区画された下部側に設けてある一方、商品収容庫70は、区画された上部側に設けてある。この商品収容庫70は、所定個所に断熱板を配設することにより断熱構造を有している。より詳細に説明すると、商品収容庫70は、上部断熱板70a、底部断熱板70b、後部断熱板70cおよび左右一対の側部断熱板(図示せず)を配設することにより形成された室である。
【0074】
また、商品収容庫70は、一対の側部断熱板間に設けた仕切断熱板70dにより2つの室が上下に画成してある。下側の室71aの内部には、冷却器(図示せず)が設けてある。かかる冷却器は、下側の室71aの内部雰囲気を冷却するものであり、これにより、下側の室71aは冷室である。上側の室71bの内部には、ヒータ(図示せず)が設けてある。かかるヒータが駆動する場合には、上側の室71bの内部雰囲気が加熱される。その一方、ヒータが駆動停止で、下側の室71aと連通状態になっている場合には、上側の室71bの内部雰囲気は冷却される。これにより、上側の室71bは、冷/温室である。
【0075】
このような商品収容庫70の内部には、複数の商品収納コラム72が上下段、左右列に配列してある。商品収納コラム72は、それぞれ前後方向に沿って延在する態様で設けてある。この商品収納コラム72は、前後に配設された一対のコラム用プーリ721間に無端状のベルトコンベア722が張設されて構成してあり、それぞれ商品を起立姿勢で前後方向に沿って一列に並べて収納している。ここに、図には明示しないが、一対のコラム用プーリ721は、その一方にモータ等のプーリ駆動機構72aが連結してあり、プーリ駆動機構72aによりコラム用プーリ721が回転駆動する結果、ベルトコンベア722は変位する。
【0076】
また、商品収容庫70の内部には、商品収納コラム72毎に商品検出センサS(図10参照)が設けてある。商品検出センサSは、対応する商品収納コラム72に空きがあるか否かを検出し、空きがある場合には、その旨の信号を後述する自販機制御部D1に出力するものである。
【0077】
このように商品収容庫70は、各商品収納コラム72に収納する商品を所望の温度状態、すなわち冷却、もしくは加熱した状態に維持するものである。
【0078】
一方、本体キャビネット100には、扉体が設けてある。扉体は、外扉103および内扉104を有して成るものである。外扉103は、本体キャビネット100の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット100の一側縁部に開閉可能となる態様でヒンジ結合してある。この外扉103の前面側には窓部105、商品取出口106が設けてある。窓部105は、商品収容庫70の大きさに対応した開口である。商品取出口106は、外扉103の前面側中央位置に設けてあり、利用者が商品を取り出すための開口となる。また、図8には明示していないが、この外扉103の前面、商品収容庫70に対応する位置の前面には、商品を販売する際に必要となる商品選択ボタンB(図10参照)、紙幣挿入口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口が設けてある一方、後面側には貨幣処理部K(図10参照)が設けてある。
【0079】
内扉104は、商品収容庫70の前面を覆うためのもので、外扉103よりも内方となる位置において本体キャビネット100の一側縁部に開閉可能に配設してある。この内扉104は断熱ガラス扉である。従って、当該自動販売機を正面から見た場合には、外扉103の窓部105および内扉104(断熱ガラス扉)を介して商品収容庫70が視認可能になっている。
【0080】
上記本体キャビネット100には、商品取出室31、第3搬送ユニット(第1搬送手段)80および第4搬送ユニット(第2搬送手段)90が設けてある。
【0081】
商品取出室31は、商品保管庫60の上部前方側であって左右方向における中央領域に画成された室である。この商品取出室31は、利用者が商品を取り出すためのものであり、商品取出口106を後方側より臨む位置に画成してあるとともに、商品保管庫60とは隔離してある。
【0082】
第3搬送ユニット80は、商品保管庫60および商品収容庫70の後方側に設けてあり、商品保管庫60に保管されている商品を商品収容庫70に搬送するものである。この第3搬送ユニット80は、X−Y搬送機構(図示せず)および受部81を備えて構成してある。
【0083】
X−Y搬送機構は、図には明示していないが、受部81を搭載して、該受部81を上下方向および左右方向に移動させるものである。このX−Y搬送機構は、周知のものであり、左右方向に延在するX軸搬送部80aが、上下方向に延在し、かつ左右一対のY軸搬送部80bに連結されて構成してある。
【0084】
X軸搬送部80aは、搭載する受部81をX軸方向、すなわち左右方向に沿って移動可能に案内支持してある。このX軸搬送部80aの底部には、左右方向が長手方向となる第6長尺断熱板82(図9参照)が設けてある。この第6長尺断熱板82は、上述した底部断熱板70bと後部断熱板70cとにより形成される開口、並びに仕切断熱板70dと後部断熱板70cとにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0085】
Y軸搬送部80bは、X軸搬送部80aをY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。つまり、Y軸搬送部80bは、X軸搬送部80aに搭載される受部81が上下方向に沿って移動することを案内するものである。
【0086】
また、このようなX−Y搬送機構には、上記受部81を指定したコラム(商品保管コラム61、商品収納コラム72)の位置に移動して停止させるために位置検知手段(図示せず)が備えてあり、与えられた商品補給指令により、指定された商品保管コラム61および商品収納コラム72の位置に移送するようにしてある。
【0087】
また、Y軸搬送部80bは、X軸搬送部80aとは別個であって該X軸搬送部80aの上方に、左右方向が長手方向となる第7長尺断熱板83(図9参照)をY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。この第7長尺断熱板83は、上述した第6長尺断熱板82と同様、仕切断熱板70dと後部断熱板70cとにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0088】
受部81は、前後一対の送出ローラ811間に無端状のベルトコンベア812が張設されて構成してある(図11および図12参照)。かかる一対の送出ローラ811は、その一方にモータ等のローラ駆動機構81aが連結してあり、当該送出ローラ811が回転駆動する結果、ベルトコンベア812が変位する。このような受部81は、ガイドローラ(図示せず)を介してX−Y搬送機構を構成するX軸搬送部80aに案内支持されている。
【0089】
そのような第3搬送ユニット80において、受部81は、常態においては、商品収容庫70の最下段の商品収納コラム72の後方位置、すなわち、第6長尺断熱板82が底部断熱板70bと後部断熱板70cとにより形成される開口を閉塞する位置に待機しており、第7長尺断熱板83は、仕切断熱板70dと後部断熱板70cとにより形成される開口を閉塞する位置に待機している。
【0090】
第4搬送ユニット90は、商品収容庫70の前方側に設けてあり、商品収容庫70に収容されている商品を商品取出口106(商品取出室31)に搬送するものである。この第4搬送ユニット90は、X−Y搬送機構(図示せず)および受部91を備えて構成してある。
【0091】
X−Y搬送機構は、図には明示していないが、受部91を搭載して、該受部91を上下方向および左右方向に移動させるものである。このX−Y搬送機構は、周知のものであり、左右方向に延在するX軸搬送部90aが、上下方向に延在し、かつ左右一対のY軸搬送部90bに連結されて構成してある。
【0092】
X軸搬送部90aは、搭載する受部91をX軸方向、すなわち左右方向に沿って移動可能に案内支持してある。このX軸搬送部90aの底部には、左右方向が長手方向となる第8長尺断熱板92(図9参照)が設けてある。この第8長尺断熱板92は、上述した底部断熱板70bと内扉104とにより形成される開口、すなわち商品収容庫70と商品取出室31との境界となる開口、並びに仕切断熱板70dと内扉104とにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0093】
Y軸搬送部90bは、X軸搬送部90aをY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。つまり、Y軸搬送部90bは、X軸搬送部90aに搭載される受部91が上下方向に沿って移動することを案内するものである。
【0094】
また、このようなX−Y搬送機構には、上記受部91を指定したコラム(商品収納コラム72、商品取出室31)の位置に移動して停止させるために位置検知手段(図示せず)が備えてあり、与えられた商品販売指令により、指定された商品収納コラム72および商品取出室31の位置に移送するようにしてある。
【0095】
また、Y軸搬送部90bは、X軸搬送部90aとは別個であって該X軸搬送部90aの上方に、左右方向が長手方向となる第9長尺断熱板93(図9参照)をY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。第9長尺断熱板93は、仕切断熱板70dと内扉104とにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0096】
受部91は、前後一対の送出ローラ911間に無端状のベルトコンベア912が張設されて構成してある(図13参照)。かかる一対の送出ローラ911は、その一方にモータ等のローラ駆動機構91aが連結してあり、当該送出ローラ911が回転駆動する結果、ベルトコンベア912が、上面が前方に向けて移動する態様で変位する。このような受部91は、ガイドローラ(図示せず)を介してX−Y搬送機構を構成するX軸搬送部90aに案内支持されている。
【0097】
そのような第4搬送ユニット90において、受部91は、常態においては、商品収容庫70の最下段の商品収納コラム72の前方位置に待機している。また、第9長尺断熱板93は、仕切断熱板70dと内扉104とにより形成される開口を閉塞する位置に待機している。
【0098】
図10は、本発明の実施の形態2における自動販売機の制御系を簡略的に示すブロック図である。この図10に示すように、自動販売機は、自販機制御部D1、商品補給制御部D2および商品販売制御部D3を備えている。
【0099】
自販機制御部D1は、自動販売機の動作を統括的に制御するものであり、特に本実施の形態2においては、商品補給制御部D2に対して商品補給指令を出力するとともに、商品販売制御部D3に対して商品販売指令を出力するものである。より具体的に説明すると、商品収容庫70の各商品収納コラム72に設けた商品検出センサSが信号を出力した場合には、自販機制御部D1は、商品補給制御部D2に対して商品補給指令を出力する。
【0100】
一方、自販機制御部D1は、紙幣挿入口および硬貨投入口を通じて貨幣が投入された場合、貨幣処理部Kを通じてその正偽を判定し、正貨であった場合にさらに投入金額の認識を行う。商品販売に必要となる金額の貨幣が投入された場合、自販機制御部D1は、商品選択ボタンBを有効化し、さらに有効化した商品選択ボタンBが押下された場合、商品販売指令を商品販売制御部D3に出力する。
【0101】
商品補給制御部D2は、自販機制御部D1から商品補給指令が出力された場合、予めメモリN1に格納してあるプログラムやデータにしたがって第3搬送ユニット各部の制御を行うものである。
【0102】
商品販売制御部D3は、自販機制御部D1から商品販売指令が出力された場合、予めメモリN2に格納してあるプログラムやデータにしたがって第4搬送ユニット各部の制御を行うものである。
【0103】
以上のような構成を有する自動販売機の商品補給動作、並びに商品販売動作について説明する。
【0104】
まず、外部から自動販売機に商品を補充する場合には外扉103を開成する。これにより、商品保管庫60は前面が開放した状態になる。かかる状態で商品を前方側から起立姿勢の状態で各商品保管コラム61の上面に載置する。これを補充する商品の種類毎に行う結果、図9に示すように、各商品保管コラム61には、商品が前後方向に沿って一列に収納されることになる。その後、外扉103を閉成して、商品の補充作業を終了する。
【0105】
このような状態で商品収容庫70の商品収納コラム72に空きがあれば、該商品収納コラム72に設けた商品検出センサSから信号が自販機制御部D1に出力される。そうすると、自販機制御部D1は、商品補給制御部D2に対して商品補給指令を出力する。
【0106】
商品補給指令が出力されると、商品補給制御部D2は、X−Y搬送機構を通じて受部81を指定された商品保管コラム61にアクセスさせる。すなわち、受部81を該商品保管コラム61の後方側に位置させる。受部81が指定された商品保管コラム61にアクセスすると、商品補給制御部D2は、プーリ駆動機構62aを駆動させて一対のコラム用プーリ611を回転駆動させてベルトコンベア612を変位させるとともに、ローラ駆動機構81aを駆動させて一対の送出ローラ811を回転駆動させてベルトコンベア812を変位させる。これにより、図11に示すように、該商品保管コラム61の最後側に保管された商品、すなわち該商品保管コラム61において最も先に保管された商品を、起立姿勢を保持したまま受部81の上面に載置させる。
【0107】
受部81に商品が載置されると、商品補給制御部D2は、X−Y搬送機構を通じて受部81を指定された商品収納コラム72にアクセスさせる。すなわち、受部81を該商品収納コラム72の後方側に位置させる。その際、第7長尺断熱板83は、Y軸搬送部80bにより上方に向けて移動することになる。
【0108】
受部81が指定された商品収納コラム72にアクセスすると、商品補給制御部D2は、プーリ駆動機構72aを駆動させて一対のコラム用プーリ721を回転駆動させてベルトコンベア722を変位させるとともに、ローラ駆動機構81aを駆動させて一対の送出ローラ811を回転駆動させてベルトコンベア812を変位させる。これにより、図12に示したように、該受部81に載置された商品は、その姿勢を保持したままで商品収納コラム72に後方側から収納される。以下同様な商品補給動作を繰り返し行ってすべての商品収納コラム72に商品を起立姿勢の状態で装填する。
【0109】
このような商品補給動作を行うことにより、商品保管庫60にて常温状態で保管されていた商品は、商品収容庫70に搬送されることにより、該商品収容庫70の内部雰囲気が冷却、もしくは加熱される結果、冷却、もしくは加熱状態に維持される。つまり、所望の温度状態に維持される。
【0110】
一方、自販機制御部D1から商品販売指令が出力されると、商品販売制御部D3は、X−Y搬送機構を通じて、選択された商品に対応する商品収納コラム72(指定された商品収納コラム72)に受部91をアクセスさせる。すなわち、受部91を該商品収納コラム72の前方側に位置させる。受部91が指定された商品収納コラム72にアクセスすると、商品販売制御部D3は、プーリ駆動機構72aを駆動させて一対のコラム用プーリ721を回転駆動させてベルトコンベア722を変位させるとともに、ローラ駆動機構91aを駆動させて一対の送出ローラ911を回転駆動させてベルトコンベア912を変位させる。これにより、図13に示すように、該商品収納コラム72の最前側に収納された商品、すなわち該商品収納コラム72において最も先に収納された商品を、起立姿勢を保持したまま受部91の上面に載置させる。
【0111】
受部91に商品が載置されると、商品販売制御部D3は、X−Y搬送機構を通じて受部91を商品取出室31にアクセスさせて商品販売動作を終了する。
【0112】
受部91が商品取出室31にアクセスすると、商品取出口106を通じて利用者が該商品を取り出すことができる。
【0113】
以上説明したような本発明の実施の形態2における自動販売機においては、第3搬送ユニット80が、商品補給指令に応じて、商品保管庫60の指定された商品保管コラム61の最後側の商品、すなわち該商品保管コラム61において最も先に保管された商品を取り出し、商品収容庫70の指定された商品収納コラム72まで搬送し、第4搬送ユニット90が、商品販売指令に応じて、商品収容庫70の指定された商品収納コラム72の最前側の商品、すなわち該商品収納コラム72において最も先に収納された商品を取り出し、商品取出口106まで搬送するので、商品を補充する際には商品保管庫60の前方から商品を載置するだけでよく、商品の補充作業を容易にして、商品の先入れ先出しを良好に実現することができる。
【0114】
上記自動販売機によれば、商品を起立姿勢で商品取出口106に搬送するので、利用者は該商品を取り出しやすくなり、利便性を向上させることができる。特に、商品収容庫70で商品を起立姿勢で収容し、第4搬送ユニット90が選択された商品を起立姿勢を保持して搬送するので、商品販売時間を必要最小限にすることができる。
【0115】
また、自動販売機によれば、商品保管庫60で常温状態で商品を保管し、販売に必要な数量だけの商品を商品収容庫70で所望の温度状態に維持して収容するようにしたので、冷却、あるいは加熱に要するエネルギーの低減化を図ることができ、省エネルギーかを図ることができる。
【0116】
更に、商品収容庫70の前面を開閉する内扉104を断熱ガラス扉としたことにより、該商品収容庫70の内部を視認することが可能になり、利用者は、商品販売時に、選択した商品が搬送される状態を目視することができ、集客力の向上を図ることができる。
【0117】
<実施の形態3>
図14および図15は、それぞれ本発明の実施の形態3における自動販売機を簡略的に示すもので、図14は背面図、図15は断面側面図である。尚、上述した実施の形態1における自動販売機と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を省略する。ここに例示する自動販売機は、上述した実施の形態1および実施の形態2における自動販売機と同様に、缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を冷却、もしくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体である本体キャビネット1′を備えている。
【0118】
本体キャビネット1′の背面には、開口8が設けてある。より詳細に説明すると、本体キャビネット1′の背面のうち、商品保管庫10の底部の所定個所に矩形状の開口8が設けてある。開口8は、サービス提供者の手の進入を許容するのに十分な大きさを有している。つまり、開口8は、該開口8を通じて第1搬送ユニット40のメンテナンスを行うのに十分な大きさを有したメンテナンス用のものである。
【0119】
上記開口8には、該開口8を開閉するための開閉扉9が設けてある。開閉扉9は、左右の扉から構成され、それぞれが本体キャビネット1′の開口8の側縁部にヒンジ結合されて開閉自在となっている。
【0120】
本体キャビネット1′のその他の構成は、上述した本体キャビネット1と同一である。つまり、本発明の実施の形態3における自動販売機は、上述した実施の形態1における自動販売機と、開口8および開閉扉9を有している点以外は同一の構成を有している。
【0121】
このような本発明の実施の形態3における自動販売機によれば、本体キャビネット1′の背面側にメンテナンス用の開口8が設けてあるので、本体キャビネット1′を前方に移動させて該本体キャビネット1′の後方のスペースを確保した後、開閉扉9を開成させて、該開口8を通じて本体キャビネット1′の内部の背面側にある第1搬送ユニット40のような機器のメンテナンスを行うことができる。つまり、従来のように本体キャビネット内部の背面側に配設された機器のメンテナンスを行う際に、扉体を開成させて本体キャビネット内部に配設されたラック等を取り外す必要がない。従って、上記自動販売機によれば、本体キャビネット1′の内部の背面側に配設された機器のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0122】
尚、本発明の実施の形態3では、開閉扉9の一例としてヒンジ結合されたものを示したが、本発明はこれに限定されず、開口8を開閉することができるものであればどのような仕様のものであっても構わない。
【0123】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、本発明の自動販売機では、第1搬送手段により商品保管庫から商品収容庫の冷/温室に商品が搬送され、当該冷/温室が温室として利用されているときには、該商品収容庫(冷/温室)に商品を搬送してから予め決められた時間内に当該商品が販売されていない場合に当該商品が収納された収納コラムを無効化しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0124】
以上のように、本発明に係る自動販売機は、缶入り飲料、瓶入り飲料およびペットボトル入り飲料等の商品を販売するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施の形態1における自動販売機を簡略的に示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における自動販売機を簡略的に示す断面側面図である。
【図3】図2におけるバケットユニットを示した斜視図である。
【図4】図2におけるバケットユニットを示した斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1における自動販売機の制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図6】第1搬送ユニットの搬送過程を拡大して示した説明図である。
【図7】第2搬送ユニットの搬送過程を拡大して示した説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2における自動販売機を簡略的に示す正面図である。
【図9】本発明の実施の形態2における自動販売機を簡略的に示す断面側面図である。
【図10】本発明の実施の形態2における自動販売機の制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図11】第3搬送ユニットの搬送過程を拡大して示した説明図である。
【図12】第3搬送ユニットの搬送過程を拡大して示した説明図である。
【図13】第4搬送ユニットの搬送過程を拡大して示した説明図である。
【図14】本発明の実施の形態3における自動販売機を簡略的に示す背面図である。
【図15】本発明の実施の形態3における自動販売機を簡略的に示す断面側面図である。
【符号の説明】
【0126】
1 本体キャビネット
6 商品取出口
8 開口
9 開閉扉
10 商品保管庫
11 商品保管コラム
20 商品収容庫
22 商品収納コラム
40 第1搬送ユニット
50 第2搬送ユニット
C2 商品補給制御部
C3 商品販売制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を前後方向に沿って一列に並べて収納する複数のコラムを上下段、左右列に配列し、該商品を常温状態で保管する商品保管庫と、商品を前後方向に沿って一列に並べて収納する複数のコラムを上下段、左右列に配列し、該商品を所望の温度状態に維持して収容する商品収容庫とを上下に区画して設けた自動販売機本体と、
前記自動販売機本体に形成された前面開口を開閉するための扉体と
を備え、
前記商品収容庫に収容した商品を販売する自動販売機において、
商品補給指令に応じて、前記商品保管庫の指定されたコラムの最後側の商品を取り出し、前記商品収容庫の指定されたコラムの後端部まで搬送する第1搬送手段と、
商品販売指令に応じて、前記商品収容庫の指定されたコラムの最前側の商品を取り出し、前記扉体の前面に開口する態様で形成された商品取出口まで搬送する第2搬送手段と
を備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記商品保管庫は、前記商品を横倒し姿勢で保管し、
前記第1搬送手段は、前記商品保管庫に横倒し姿勢で保管されていた商品を起立させて前記商品収容庫に搬送し、
前記商品収容庫は、前記商品を起立姿勢で収容し、
前記第2搬送手段は、前記商品収容庫に起立姿勢で収容されていた商品を起立姿勢のまま前記商品取出口に搬送することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記商品保管庫は、前記自動販売機本体の区画された上部側に設けてある一方、前記商品収容庫は、前記自動販売機本体の区画された下部側に設けてあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記商品保管庫は、前記自動販売機本体の区画された下部側に設けてあり、かつ前記商品を起立姿勢で保管し、
前記商品収容庫は、前記自動販売機本体の区画された上部側に設けてあり、かつ前記商品を起立姿勢で収容し、
前記扉体には、前記商品収容庫に収容された商品を外部から視認させるためのガラス扉を備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記自動販売機本体の背面に、メンテナンス用の開口と、該開口を開閉するための開閉扉とを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−287125(P2007−287125A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291099(P2006−291099)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】