説明

自動販売機

【課題】大幅な改造を行うことなく、利用者が希望する商品とは異なる商品を選択することを抑制することが可能な自動販売機を提供することにある。
【解決手段】本体キャビネット1の前面を開閉する片開き式の外扉2に画成された商品展示室3の任意の位置に複数の商品見本8を配列し、前記外扉2の商品展示室3の領域外に商品選択ボタン5a備えた自動販売機であって、前記商品展示室3の任意に位置にレイアウトされた商品見本8毎に設けられ、前記商品選択ボタン5aの操作により作動して当該商品見本8が選択されたことを表示する発光ダイオードランプLMP(選択商品表示手段)を設け、利用者が商品選択ボタン5aを操作した際、当該商品選択ボタン5aに対応する商品見本8の発光ダイオードランプLMPを点滅させて誤選択(押し間違い)を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の外扉前面に画成された商品展示室に商品見本を展示する自動販売機に係り、特に商品見本を商品展示室内の任意の位置にレイアウトすることができるようにした自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機として缶入り飲料,ペットボトル入り飲料等の商品を販売する一般的な自動販売機は断熱筐体としてなる本体ケースの前面に片開き式の外扉が設けられ、当該外扉には複数の商品見本を展示する商品展示室が形成されている。この商品展示室の前面は商品見本を外部から視認できるように透明パネルで覆われ、前記展示室内には当該商品展示室の左右方向に延在する横長の商品展示台が上下方向に複数段配設され、これらの商品展示台に商品見本が載置されている。前記商品見本は缶入り飲料,ペットボトル入り飲料等の意匠を施した本体部の底部に嵌合部が形成されている一方、横長の商品展示台の載置面には円形の開口部が複数穿孔されている。そして、前記商品見本の嵌合部を商品展示台の開口部に嵌合させることにより商品展示室に商品見本を横一列に並べて展示するように構成されている。そして、商品展示室の前面を構成する透明パネルの表面側に、前記商品展示台に載置した商品見本に対応してそれぞれ商品選択ボタンが配設されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このように商品展示室の左右方向に延在し上下方向に複数配設した商品展示台に商品見本を横一列に並べて展示する自動販売機の商品見本展示装置にあっては商品見本のレイアウトが画一的であるので差別化できない。このため、商品展示室内の任意の位置に商品見本をレイアウトすることにより差別化して衆目を集めるようにした自動販売機の商品見本展示装置として次記のものが知られている。その一つは、商品展示室の後面を画成する展示パネルに多数の係合穴(パンチング穴)を形成する一方、商品見本を個別に載置するホルダーに前記係合穴に着脱自在な一対のボスを設け、前記ホルダーのボスを係合穴に差し込んで商品見本を商品展示室の任意位置に展示するものである(例えば、特許文献2)。また、他の一つは、商品展示室の形状に一致させた額縁状の陳列フレームに左右方向に横架されるバーを上下方向多段に配設する一方、商品見本を個別に載置する商品見本陳列台に前記バーに係止するフックを設け、前記商品見本陳列台のフックをバーに係止させて商品見本を商品展示室の任意の位置に展示するものである(例えば、特許文献3)。上記特許文献2および特許文献3に開示された自動販売機においては商品展示室内の任意の位置に商品見本をレイアウトすることができる点で優れている。なお、これらの特許文献2および特許文献3に開示された自動販売機においては商品展示室の領域外に商品を選択する商品選択ボタンが集約して配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】

【特許文献1】特開平10−79079号公報
【特許文献2】特開2000−11244号公報
【特許文献3】特開2001−331860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の自動販売機は利用者が貨幣の投入、若しくは電子マネーカードをアンテナ部に翳したうえで商品選択ボタンが操作されることにより操作された商品選択ボタンに対応する商品を庫内から搬出して販売するように構成されている。このため、利用者が間違えて希望する商品とは異なる商品選択ボタンを操作した場合にも希望する商品とは異なる商品を販売することとなる。この場合、上記特許文献1に開示された自動販売機においては商品展示室の前面を構成する透明パネルに商品展示室内の商品展示台に載置された商品見本に一対一に対応して商品選択ボタンが配設され、かつ、隣接する商品選択ボタンの間の間隔は比較的広いので、利用者が間違って希望する商品とは異なる商品選択ボタンを操作する可能性は少ない。
【0006】
ところが、上記特許文献2および特許文献3に開示された自動販売機においては商品展示室の領域外に商品選択ボタンが集約して配設されていることから次記のような不具合がある。すなわち、特許文献2および特許文献3に開示された自動販売機においては商品展示室の任意の位置にレイアウトされた複数の商品見本にアドレス、例えば、商品見本を保持するホルダーに商品指定番号(例えば、1〜N)等を表示した商品情報表示体を掲示する一方、商品展示室の領域外に集約して配設された商品選択ボタンとしてテンキー方式を採用している。このため、利用者が商品を購入する際には商品展示室の任意の位置にレイアウトされた複数の商品見本の中から希望する商品を見つけて当該商品見本のアドレスを記憶したうえで、特許文献2においてはテンキーを操作してアドレスを入力するように構成されているが、テンキー入力する際に誤入力(アドレスの記憶違いやキーの押し間違い)のおそれがあり、この場合には利用者が希望する商品とは異なる商品が販売されてしまう。また、前記テンキー方式に代えて複数の商品見本に対応する個別の商品選択ボタンを上下左右に並べて配設し、当該商品選択ボタンに商品見本のアドレス(例えば、1〜N)に対応する商品指定番号(例えば、1〜N)を付すものが考えられる。しかしながら、この場合にも隣接する商品選択ボタンの間の間隔が比較的狭いので、希望する商品のアドレスとは異なるアドレスの商品選択ボタンを誤操作してしまうおそれがある。
【0007】
なお、商品展示室内の任意に位置に商品見本をレイアウトした場合にも特許文献1に記載された自動販売機のように商品展示室の領域に商品選択ボタンを設けることにより商品選択ボタンの誤操作を防止することができる。この場合、特許文献1に記載された自動販売機のように商品展示室の前面を構成する透明パネルに商品選択ボタンの取付穴を穿孔して商品選択ボタンを取付けることは極めて困難であることから、商品見本を保持するホルダーに非接触のセンサを配設することが考えられる。しかしながら、このように構成すると自動販売機の利用者が商品の選択に戸惑うとともに非接触センサの信頼性の確保、つまり、非接触センサの感度が最適でない場合には利用者が(例えば、音声ガイド等に基づいて)正規の操作を行ったにもかかわらず非接触センサが作動しない不具合が生じることから非接触センサの信頼性を確保することが困難であるので、これを採用することは困難である。
【0008】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、大幅な改造を行うことなく、利用者が希望する商品とは異なる商品を選択することを抑制することが可能な自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネットと、この本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備え、前記外扉に画成された商品展示室の任意の位置に複数の商品見本を配列し、前記外扉の商品展示室の領域外に商品選択ボタン部を備えた自動販売機において、前記商品展示室の任意の位置にレイアウトされた商品見本毎に設けられ、前記商品選択ボタンの操作により作動して当該商品見本が選択されたことを表示する選択商品表示手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、選択商品表示手段は発光ダイオードであり、商品選択ボタンが操作されることにより点灯または点滅することを特徴とする。

また、請求項3に係る発明は、前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネットと、この本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備え、前記外扉に画成された商品展示室の任意の位置に複数の商品見本を配列し、前記外扉の商品展示室の領域外に商品選択ボタン部を備えた自動販売機において、商品選択ボタン部は複数の商品見本に対応した個別の商品選択ボタンを並設してなり、当該個別の商品選択ボタンの近傍に該当する商品見本を示す表示が施された表示媒体を設けてなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の自動販売機において、表示媒体は表示見本を印刷したパネルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前述した請求項1に係る発明は、前面開口がした断熱筐体としてなる本体キャビネットと、この本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備え、前記外扉に画成された商品展示室の任意の位置に複数の商品見本を配列し、前記外扉の商品展示室の領域外に商品選択ボタン部を備えた自動販売機において、前記商品展示室の任意に位置にレイアウトされた商品見本毎に設けられ、前記商品選択ボタンの操作により作動して当該商品見本が選択されたことを表示する選択商品表示手段を設けたことにより、利用者が商品選択ボタンを操作した際、当該商品選択ボタンに対応する商品見本を商品選択表示手段により表示するので、利用者は商品選択表示手段により希望する商品を選択したことを確認することが可能となり、商品展示室の任意の位置にレイアウトされた商品見本と商品選択ボタンとがそれぞれ離隔した位置に配置されている場合にも商品選択ボタンの誤選択(押し間違い)を抑制することができるという効果を有する。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機の商品見本展示装置において、選択商品表示手段は発光ダイオードであり、商品選択ボタンが操作されることにより点灯または点滅することにより、利用者が外部から容易に視認することができるという効果を有する。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネットと、この本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備え、前記外扉に画成された商品展示室の任意の位置に複数の商品見本を配列し、前記外扉の商品展示室の領域外に商品選択ボタン部を備えた自動販売機において、商品選択ボタン部は複数の商品見本に対応した個別の商品選択ボタンを並設してなり、当該個別の商品選択ボタンの近傍に該当する商品見本を示す表示が施された表示媒体を設けてなることにより、利用者が商品選択ボタンを操作する際、当該商品選択ボタンの近傍に設けられたところの商品見本を示す表示の施された表示媒体が目に触れるので、希望する商品を選択しようとしているかを視認することが可能となり、商品選択ボタンの誤操作を抑制することができるという効果を有する。
【0015】
さらに、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の自動販売機の商品見本展示装置において、表示媒体を、表示見本を印刷したパネルとすることにより、商品展示室の任意の位置にレイアウトされた商品見本のミニチュアが商品選択ボタンの近傍に位置するので、複数の商品見本に対応して一対一で商品選択ボタンが設けられている態様となるので、より一層商品選択ボタンの誤操作を抑制することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1である自動販売機を示し、(a)はその全体構成を示す正面図、(b)は(a)の自動販売機の外扉、および中扉を開放した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の中扉を示す斜視図である。
【図3】図1のレイアウト部材を示す斜視図である。
【図4】図3のレイアウト部材を中扉への組付けを説明するための斜視図である。
【図5】図1のホルダーを示す分解斜視図である。
【図6】図5のホルダーをレイアウト部材に装着した状態を示す斜視図である。
【図7】図1のポスター部材を示し、(a)はその分解斜視図、(b)はその組立を示す斜視図である。
【図8】図1の照明光源として発光ダイオードモジュールを示す斜視図である。
【図9】発光ダイオードモジュールのパネル押え金具への組付け状態を示す斜視図である。
【図10】レイアウト部材に装着される照明光源として発光ダイオードモジュールユニットを示し、(a)はその分解斜視図、(b)はその組立図である。
【図11】図1の自動販売機の全体構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態2である自動販売機を示し、(a)はその全体構成を示す正面図、(b)は(a)の自動販売機の外扉、および中扉を開放した状態を示す斜視図である。
【図13】図12の自動販売機の全体構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態3の自動販売機を示し、(a)はその全体構成を示す正面図、(b)は(a)の自動販売機の外扉、および中扉を開放した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における実施の形態である自動販売機を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1である自動販売機の全体構成を示す。図において、1は前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネットである。この本体キャビネット1の庫内は断熱仕切壁により左右方向に複数の商品収納室に区分され、各商品収納室には缶入り飲料,ペットボトル飲料等の商品を収容するとともにその下端に後述する商品選択ボタンの操作により商品を搬出する商品払出機構を有する商品収納ラックが収設されている。また、各商品収納室の下部には当該各商品収納室を冷却もしくは加熱して商品収納ラックに収容した商品を冷却・加熱する冷却/加熱ユニットが配設されている。
【0018】
前記本体キャビネット1の前面には不図示のヒンジ機構により開閉自在な片開き式の外扉2が設けられ、この外扉2の前面の上部域には商品展示室3が設けられている。この商品展示室3はその前面側が透明パネル4で覆われ、背面側が中扉21により覆われている。前記透明パネル4の上下左右の周縁はその裏面側に配設された上下左右のパネル押え金具41〜44(図1の(b)参照)により保持され、これらのパネル押え金具41〜44が商品展示室3の周囲の側壁を形成している。詳細については後述するが、前記上下左右のパネル押え金具41〜44のうち、下側のパネル押え金具42を除く上側のパネル押え金具41と左右のパネル押え金具43,44には照明光源LED1(後述する発光ダイオードモジュールからなる)が配設されている。
【0019】
前記商品展示室3の背面壁を形成する中扉21は左端側をヒンジ21a(図1の(b)参照)により外扉2に開閉自在に取付けられている。この中扉21には左右方向に延在するレイアウト部材10が上下方向に複数段配設され、このレイアウト部材10の任意位置に商品見本8、ポスター部材9および照明光源LED2がレイアウトされるように構成されている。ここで、前記商品見本8は後述するホルダー12を介してレイアウト部材10に展示されるように構成されている。前記外扉2における商品展示室3の下方左側領域には商品選択ボタン部5が設けられている。この商品選択ボタン部5には商品展示室3に展示された複数の商品見本8を選択する個別の商品選択ボタン5aが集中して配置され、縦横に並置された商品選択ボタン5aに加えて取消しボタン5bが設けられている。この取消しボタン5bの機能については後述する。
【0020】
前記外扉2における商品展示室3の下方右側領域には接客部6が設けられ、この接客部6には硬貨投入口61、紙幣挿入口62、返却レバー63、投入金額,庫内温度,販売中,準備中等の各種情報をディスプレイに表示する販売情報表示部64が組付けられている。また、外扉2における高さ方向略中央であって右端側(反ヒンジ機構側)にはシリンダー錠付きの主ロック装置7が設けられている。そして、前記外扉2における下部領域には硬貨返却口2a、商品販売口2bが設けられている。
【0021】
前記中扉21は、図2に示すように、矩形形状の周囲を補強のために折り曲げられた薄板板金からなり、その表面には白色塗装が施されている。前記中扉21の板面には左右の端部側に矩形の係止穴211aが設けられ、この係止穴211a,211aの間に鉤形の係合穴211bと配線用開口211cが設けられている。この実施の形態では中央位置に穿孔された配線用開口211cを中心として左右対称に2個の係止穴211aと4個の係合穴211bがマトリックス状に設けられている。なお、配線用開口211cの下方にはナイロンリベットの挿通孔211dが穿孔されている。前記マトリックス状の行である左右方向に並ぶそれぞれの係止穴211a,211b,211c,211dが一つの段211を形成し、この段211が上下方向に均等ピッチで複数段211〜2nn形成されている。
【0022】
前記中扉21に固着されるレイアウト部材10は、図3に示すように、左右方向に細長い板金を縦断面鳥打帽状に折り曲げて形成されてなり、中扉21と同様に白色塗装が施されている。商品見本展示用ステージとなる天板10aには左右方向に複数の凸状係合穴11が均等ピッチで穿孔されている。また、天板10aの端縁には下方に折り曲げられた複数の固定片10cが設けられ、この実施の形態では中扉21の係合穴211bに対応して左右対称に4個の固定片10cが設けられている。また、レイアウト部材10の縦断面鳥打帽状の庇に対応する鍔部10bには中扉21の係止穴211aに対応して左右対称に2個の切起し片10dが形成され、それぞれの切起し片10d,10dはそれぞれ同一の方向(図では右方向)を向くように切起されている。前記鍔部10bの左右方向の中央位置にはナイロンリベットの挿通孔10eが穿孔されている。
【0023】
前記レイアウト部材10の中扉21への取付けを図4に示している。図に示すようにレイアウト部材10の4つの固定片10cと2つの切起し片10dを、中扉21の前方側から所定の段、例えば、段211の4つの係合穴211bと2つの係止穴211aに対峙させる。この場合、中扉21の4つの係合穴211bは上下方向に広幅の穴に細幅の穴を連通してなる鉤形に形成され、広幅の穴が固定片10cの上下方向の長さより大きく、細幅の穴が固定片10cの板厚よりも僅かに大きく形成され、また、中扉21の2つの係止穴211aが切起し片10dよりも大きく形成されている。したがって、レイアウト部材10のそれぞれの固定片10cを中扉21の係合穴211bの広幅の穴に対峙させ、また、切起し片10dを係止穴211aに対峙させた上でレイアウト部材10を後方に向けて押し込むとレイアウト部材10の固定片10cと切起し片10dが中扉21を貫通して背面側に突出する。この状態でレイアウト部材10をスライド、図4では右方向にスライドさせて固定片10cを係合穴211bの細幅の穴に嵌合させると、固定片10cおよび切起し片10dの先端が係合穴211b,211aの縁を跨いで中扉21の背面側に移動してレイアウト部材10の前方への移動を阻止するストッパとなる。そして、レイアウト部材10の鍔10bに形成したナイロンリベット挿通孔10eを介してナイロンリベット(不図示)を挿通させるとレイアウト部材10が中扉21に固着される。このようにして中扉21の各段211〜2nnに沿ってレイアウト部材10を固着することによってレイアウト部材10が上下方向に等間隔で複数段配設されることとなる。
【0024】
前記レイアウト部材10に着脱自在に装着されるホルダー12は、図5に示すように、短冊状の板金を断面Z字形に折り曲げて形成されてなり、その表面には白色塗装が施されている。ホルダー12の水平面をなす商品見本載置部121には商品見本8の嵌合穴121aが形成されている。ホルダー12の商品見本載置部121の後端から鉛直に立ち上がる固定部122の自由端側は後方に向けて直角に折り曲げるとともに再び鉛直方向に延在するように折り曲げられ、当該固定部122には切り起こしにより係止片122aが形成されている。前記係止片122aの自由端側は撞木鮫の頭部形状(或いはきのこ形状)のように左右方向に延在するストッパ122b,122bが形成されている。前記係止片122aの幅は図3に示したレイアウト部材10の天板10aに穿孔された凸状係合穴11における突部(細幅の穴)の幅よりも小さく形成されている一方、左右のストッパ122b,122bの両端の間の寸法は凸状係合穴11における突部(細幅の穴)の幅よりも大きく、かつ、凸状係合穴11における底部(広幅の穴)の幅よりも小さく定められている。
【0025】
前記ホルダー12の商品見本載置部121の前端から鉛直に垂下する掲示部123の自由端(下端)は前方に折り返して保持溝123aが形成されている。前記掲示部123の左端寄りの上下方向略中間位置には発光ダイオードランプLMP(選択商品表示手段)の貫通穴123bが形成され、この貫通穴123bを貫通するように発光ダイオードランプLMPが掲示部123の背面に取付けられている。前記発光ダイオードランプLMPの機能については後述することとし、ここではホルダー12について詳述する。前記掲示部123の左右の上部領域には商品見本載置部121の左右端部から前方に延在して内方に折り曲げられた保持爪121b,121bが配設されている。前記保持爪121b,121bと掲示部123の表面との間には次に示す商品情報表示体13の厚さよりも僅かに大きい隙間が形成されている。前記商品情報表示体13はホルダー12の掲示部123(の表面)と略同一の大きさに形成された合成樹脂製になり、その表面には商品見本8の商品情報としての商品指定番号(例えば、1〜N),商品価格(例えば、\120),冷温状態(例えば、寒色の背景色に白抜きの「COLD」、若しくは暖色の背景色に白抜きの「HOT」)が表示され、また、商品情報表示体13には前記発光ダイオードランプLMPの挿通穴13aが形成されている。この商品情報表示体13はホルダー12の掲示部123に上方から差し込んだ上で左右を摘んで前方に凸となるように撓ませることにより発光ダイオードランプLMPを乗り越えさせながら挿通穴13aが発光ダイオードランプLMPに対峙する位置まで下方へスライドさせると発光ダイオードランプLMPが挿通穴13aに嵌り込む。これにより商品情報表示体13は元の平らな状態に復元して前記保持溝123aと保持爪121b,121bとにより保持された状態で掲示部123に掲示される。
【0026】
前記ホルダー12をレイアウト部材10に装着した状態を図6に示している。図に示すようにホルダー12の係止片122aをレイアウト部材10の天板10aに形成した凸状係合穴11に挿入する。この場合、係止片122aの自由端側の左右方向に延在するストッパ122b,122bを凸状係合穴11の広幅の穴から挿入する。このように、ホルダー12の係止片122aをレイアウト部材10の凸状係合穴11に挿入した上で、ホルダー12を手前にスライドさせるとホルダー12の係止片122aがレイアウト部材10の凸状係合穴11における細幅の穴に移動し、係止片122aの自由端側の左右方向に延在するストッパ122b,122bがレイアウト部材10における天板10aの背面に係合する。このようにしてホルダー12の係止片122aをレイアウト部材10の凸状係合穴11に係合させると、ホルダー10がストッパ122b,122bを中心に反時計方向に重力によって回動し、その固定部122がホルダー10に当接して静止する。なお、ホルダー10の掲示部123に取付けられた発光ダイオードランプLMPの配線はレイアウト部材10の断面コ字形の空間を介して中扉21に穿孔された配線用開口211cを通して引き回される。前述したように、レイアウト部材10に装着されたホルダー12における商品見本載置部121の嵌合穴121aに商品見本8(図1参照)が取付けられる。前記商品見本8はこの実施の形態1においてペットボトル入り飲料の意匠を施した円筒状で薄肉の合成樹脂成形品としてなり、商品見本8の下縁を前記嵌合穴121aに嵌合させて取付けられるが、この取付け方法については周知であるのでここでは詳細な説明は省略する。
【0027】
前記レイアウト部材10に着脱自在に装着されるポスター部材9は、図7に示すように、板金製の基台91と、この基台91の前面を覆う硬質で透明のシート92からなる。前記基台91は用紙サイズが「A3」のポスター(不図示)よりも僅かに大きい矩形形状に形成され、その表面には白色塗装が施され、その上縁には左右2個の係止爪(係止部)91a,91aが背面側に向けて形成されている。前記係止爪91a,91aの形状は図5に示したホルダー12の係止片122aの形状と同一であり、基台91の上縁から背面側に向けて直角に折り曲げられ、その自由端側が下方に垂下するとともに撞木鮫の頭部形状(或いはきのこ形状)のように左右方向に延在するストッパ(不図示)を備えている。ここで、左右2個の係止爪91a,91aの間隔はレイアウト部材10の天板10aに形成された凸状係合穴11の間のピッチに整数倍となるように定められている。また、前記基台91の下部側には基台91を切起して形成された左右2個の係止爪91b,91bが設けられ、この係止爪91b,91bの形状および間隔は前述した係止爪91a,91aの形状および間隔と同一である。そして、前記基台91の下縁には前方に折り返して保持溝91cが形成されている。一方、シート92はナイロンリベットにより上端側を前記基台91に固着して取付けられ、下端側が基台91の保持溝91cに位置している。
【0028】
前述したように構成されたポスター部材9には次のようにしてポスターが装填される。すなわち、その上端側が基台91に固着されたシート92の下端側を前方側に引くとシート92が湾曲して基台91との間に隙間が生じるので、ポスター部材9の底面側から前記隙間にポスターを挿入する。ポスターを所定位置まで挿入した上でシート92から手を離すとシート92が復元してポスターの前面を覆う。なお、ポスターは基台91の保持溝91cにより脱落しないように保持されている。このポスター部材9のレイアウト部材10への装着方法は前述したホルダー12の装着方法に対して、上下の係止爪91a,91a、係止爪91b,91bをレイアウト部材10の対応する凸状係合穴11に同時に挿入する点を除けば同一である。つまり、上下の係止爪91a,91a、係止爪91b,91bをレイアウト部材10の対応する凸状係合穴11に同時に挿入した上で前方にスライドさせると上下の係止爪91a,91a、係止爪91b,91bがレイアウト部材10に係止することによってポスター部材9はレイアウト部材10に装着される。
【0029】
前記商品展示室3の周壁に配設される照明光源LED1はこの実施の形態では発光ダイオードモジュール70として形成され、この発光ダイオードモジュール70は、図8に示すように、遮光材からなる短冊状の台座71と拡散用レンズ72と取付金具73からなる。前記台座71には複数の発光ダイオード素子(不図示)を実装した回路基板が配設されており、当該回路基板に接続された配線接続用コネクタ74は拡散用レンズ73を貫通して引き出されている。前記発光ダイオードモジュール70の取付金具73の左右両端部はねじ固定部として形成されており、その一方の端部のねじ固定部には寸法誤差を吸収するために図示したように開放したねじ挿通穴として形成されている。
【0030】
前述した発光ダイオードモジュール70は図1に示した商品展示室3の周囲の側壁を形成するパネル押え金具に取付けられ、パネル押え金具への組付けを図9に示す。前述した図1において説明したように透明パネル4の上下左右の周縁はその裏面側に配設された上下左右のパネル押え金具41〜44によって保持されており、図9において、41で上側のパネル押え金具、43,44で左右のパネル押え金具を示し、45,46はそれぞれ発光ダイオードモジュール70の取付金具を示し、47,48はそれぞれ採光板を示している。なお、上下左右のパネル押え金具41〜44はその表面に白色塗装が施され、それぞれの前縁(図9では上側のパネル押え金具41と左右のパネル押え金具43,44の前縁41a,43a,44aが示されている)が透明パネル4の背面に当接し、その後縁41b,43b,44bが外扉2の扉枠に固定して取付けられている。
【0031】
前記上側のパネル押え金具41の板面(表面)には前記発光ダイオードモジュール70が直接固着されるように構成されている。すなわち、上側のパネル押え金具41には発光ダイオードモジュール70がその取付金具73(図8参照)の左右両端部のねじ固定部を介してねじにより固着されており、発光ダイオードモジュール70が商品展示室3に露出するように組付けられている。この実施の形態では上側のパネル押え金具41に3個の発光ダイオードモジュール70が取付けられており、それぞれの発光ダイオードモジュール70は配線接続用コネクタ74(図8参照)を介して直列接続されている。
【0032】
一方、商品展示室3の左右側壁側に配設される発光ダイオードモジュール70は左右のパネル押え金具43,44の背面側に配設されている。すなわち、左右のパネル押え金具43,44には商品展示室3の周壁となる板面にそれぞれ2個の開口43c,43c、44c,44cが設けられ、その開口43c,43c、44c,44cの大きさは前記発光ダイオードモジュール70の拡散用レンズ72の外形寸法より大きく形成されている。また、左右のパネル押え金具43,44の背面側には発光ダイオードモジュール70を保持する取付金具45,46が設けられている。前記取付金具45,46は薄板板金を適宜折り曲げて形成されてなるものであり、外扉2の扉枠に固着されてパネル押え金具43,44に覆われるように構成されている。前記取付金具45,46には発光ダイオードモジュール70がパネル押え金具43,44の開口43c,43c、44c,44cに臨むように取付けられており、それぞれの取付金具45,46に取付けられた発光ダイオードモジュール70は配線接続用コネクタ74(図8参照)を介して直列接続されている。そして、左右のパネル押え金具43,44の前面(表面)側には採光板47,48が取付けられる。
【0033】
このように商品展示室3の左右に配設される発光ダイードモジュール70は左右のパネル押え金具43,44の背後に位置するように組付けることにより、配線接続用コネクタ74に接続される電源線や制御信号線などの配線が隠れて見えないようにすることができる。なお、上側のパネル押え金具41に取付けられた発光ダイードモジュール70は商品展示室3内に露出しているが、この商品展示室3の上部領域にはロゴタイプなどを表示する表示部材100(図1の(b)参照)が吊下げられることから自動販売機の前面側から発光ダイードモジュール70が見えることはない。
【0034】
また、前記レイアウト部材10に装着することにより商品展示室3内に配設される照明光源LED2を図10に示している。前記照明光源LED2はこの実施の形態では発光ダイオードモジュールユニット700として構成され、この発光ダイオードモジュールユニット700は、図に示すように、発光ダイオードモジュール70と、この発光ダイオードモジュール70の取付金具710と、レイアウト部材10に係止される係止金具720、および目隠し板730とからなり、取付金具710,係止金具720、および目隠し板730はそれぞれ薄板板金製であって白色塗装が施されている。前記発光ダイオードモジュール70は図8に示したものと同一である。前記取付金具710は縦断面L字形に折り曲げられた底板711と前板712とからなり、底板711の左右両端には上方に向けて鉛直に折り曲げられるとともにねじ挿通穴を有する連結片713,713が形成されている。この取付金具710の底板711の下面に前記発光ダイオードモジュール70がねじにより固着される。前記係止金具720は縦断面逆L字形に折り曲げられた主板721と天板722からなり、天板722の左右両端には天板722から上方に向くように折り曲げられたタブ723,723が形成されるとともにタブ723,723の近傍に係止片724,724が形成されている。前記係止片724,724の形状は図5に示したホルダー12の係止片122aの形状と同一であり、その自由端側が下方に垂下するとともに撞木鮫の頭部形状(或いはきのこ形状)のように左右方向に延在するストッパ(不図示)を備えている。ここで、左右2個の係止爪724,724の間隔はレイアウト部材10の天板10aに形成された凸状係合穴11の間のピッチに整数倍となるように定められている。また、前記係止金具720における主板721の左右両端には前方に向けて折り曲げられるとともにねじ挿通穴を有する固定片725,725が形成されている。前記目隠し板730は上縁を後方に傾斜するように形成された庇731が形成されている。
【0035】
前述した構成からなる発光ダイオードモジュールユニット700として組立てた状態を図10の(b)に示しており、発光ダイオードモジュール70を底板711の下面に固着した取付金具710の左右の連結片713,713の外側に係止金具720の固定片725,725を重ね合わせて両者をねじS1により固着し、取付金具710の前板712の前方に目隠し板730を重ね合わせて両者をねじS2により固着することにより発光ダイオードモジュールユニット700が組立てられる。この発光ダイオードモジュールユニット700のレイアウト部材10への装着は前記ホルダー12の装着方法に対して、係止金具720に形成した左右の係止爪724,724をレイアウト部材10の対応する凸状係合穴11に同時に挿入する点を除けば同一である。つまり、左右の係止爪724,724をレイアウト部材10の対応する凸状係合穴11に同時に挿入した上で前方にスライドさせると左右の係止爪724,724がレイアウト部材10に係止することによって発光ダイオードモジュールユニット700がレイアウト部材10に装着される。ここで、発光ダイオードモジュールユニット700の配線はレイアウト部材10の断面コ字形の空間を介して中扉21に穿孔された配線用開口211cを通して引き回される。なお、ねじS1を緩めて係止金具720に対して取付金具710を回動させることにより発光ダイオードモジュール71からの照射方向を可変とすることができる。
【0036】
次に、図11はこの実施の形態にかかる自動販売機の全体構成を示すブロック図であり、以下、このブロック図を用いて本発明の自動販売機の動作を説明する。
図において80は自動販売機の全体の制御を司る主制御部であり、この主制御部80には各種の実行プログラムを記憶したROM,各種データを格納するRAM,次に示す従制御部からの入力信号により各種実行プログラムを実行するCPUなどを備えている。前記主制御部80には従制御部としての入力装置81、硬貨識別部82、紙幣識別部83、商品払出部84、冷却/加熱制御部85、照明灯制御部86、商品選択ボタン5a、取消しボタン5bおよび発光ダイオードランプLMPなどが接続されている。
【0037】
前記入力装置81は、商品設定価格,商品収納コラムの割付,商品選択ボタンの割付などの各種設定を行う入力デバイスであり、入力装置81により設定された各種設定データが主制御部のRAMに格納されて記憶される。硬貨識別部82は、図1の硬貨投入口61から投入された硬貨の真偽並びに金種を識別して正貨の場合には金種別にその枚数を計数するとともに合計金額を主制御部80に送信するものである。紙幣識別部83は、図1の紙幣挿入口62に挿入紙幣の真偽並びに金種を識別して正貨の場合に金種別にその枚数を計数するとともに合計金額を主制御部80に送信するものである。主制御部80は硬貨識別部82、紙幣識別部83から受信した合計金額に基づいて販売情報表示部64(図1参照)に投入金額を表示する。商品払出部84は、商品選択ボタン5aにより選択された商品を庫内の商品収納ラックから切り出して払い出すものである。冷却/加熱制御部85は、庫内に収納した商品の温度が所定の温度となるように温度制御する制御部であり、照明灯制御部86は、照明光源LED1,LED2の点灯・消灯を制御する制御部である。
【0038】
ここで、商品展示室3の任意の位置にレイアウト可能な複数の商品見本8を保持するホルダー12に取付けられた発光ダイオードランプLMP(選択商品表示手段)と個別の商品選択ボタン5aとの対応関係は入力装置81からの設定入力によって主制御部80のRAMに格納されている。また、商品選択ボタン5aには、図11に示すように対応する商品見本8のアドレスに対応する商品指定番号50が付されているとともに販売可能ランプ51、売り切れランプ52が内臓されている。そして、主制御部80のROMには、投入金額が商品設定価格に一致若しくは超過した場合に主制御部80から対応する商品選択ボタン5aに販売可能信号を送信して該当する商品選択ボタン5aの販売可能ランプ51を点灯制御し、また、庫内の商品収納ラックに収納された商品が売り切れた場合に主制御部80から対応する商品選択ボタン5aに売り切れ信号を送信して該当する商品選択ボタン5aの売り切れランプ52を点灯制御する実行プログラムが格納されている。また、主制御部80のROMには、前述したように販売可能ランプ51が点灯している商品選択ボタン5aが操作された際、その商品選択ボタン5aに対応する発光ダイオードランプLMPを点滅制御し、商品選択ボタン5aの選択操作から所定時間の間に取消しボタン5bが操作されない場合には販売開始信号を商品払出部85に送出し、前記所定時間の経過以前に取消しボタン5bが操作された際には発光ダイオードランプLMPを消灯したうえで商品選択ボタン5aの操作を待つ実行プログラムが格納されているものである。
【0039】
以下、図1に例示したように商品展示室3の任意の位置に商品見本8、ポスター部材9、照明光源LED2をレイアウトした自動販売機の動作について図1および図11を参照しつつ説明する。なお、図1に例示しているように、商品展示室3の任意の位置に装着されたポスター部材9の近傍、図の例ではポスター部材9の左右に装着された商品見本8を特定の商品見本とするのがよい。特定の商品見本とはポスター部材9に掲示されたポスターが新発売の商品の広告である場合には新発売の商品に対応する商品見本であり、また、ポスターがキャンペーン期間中のおすすめ商品の広告である場合にはそのおすすめ商品に対応する商品見本などである。このように、ポスター部材9の近傍に特定の商品見本8を配置してなることにより、目に留まり易いポスターの近傍に特定の商品見本が位置するので特定の商品見本を利用者にアピールすることができる。
【0040】
前述したように商品展示室3の任意の位置に商品見本8、ポスター部材9、および照明光源LED2(発光ダイオードモジュールユニット700)をレイアウトした状態で自動販売機に通電すると商品展示室3の上側のパネル押え金具41と、左右のパネル押え金具43,44に取り付けた照明光源LED1(発光ダイオードモジュール70)から照射される照明光により商品展示室3内が明るく照明され、また、照明光源LED2(発光ダイオードモジュールユニット700)によりポスター部材9に掲示されたポスターが際立つように照明される。ここで、利用者が商品を購入するために硬貨若しくは紙幣を投入すると、硬貨識別部82若しくは紙幣識別部83から主制御部80に合計金額が送信される。これに基づいて主制御部80は投入金額を演算し、投入金額と商品設定価格と比較して投入金額が商品設定価格に一致若しくは商品設定価格を超えた際に対応する商品選択ボタン5a販売可能信号を送信する。これにより該当する商品選択ボタン5aの販売可能ランプ51が点灯して利用者に販売が可能であることを表示する。そして、利用者が商品選択ボタン5aを操作すると対応する発光ダイオードランプLMPが点滅して選択された商品(商品見本8)を表示する。ここで、商品選択ボタン5aには商品見本8を保持するホルダー12に掲示された商品情報表示体13に表示された商品指定番号と一対一で対応する商品指定番号50が表示されるように構成されており、利用者は希望する商品見本8の商品指定番号に対応する商品選択ボタン5aを押すことになる。しかしながら、利用者が誤って異なる商品選択ボタン5aを操作するおそれがあることから、この自動販売機における主制御部80は前記商品選択ボタン5aの操作から所定時間の間、取消しボタン5bの操作を受付けるように構成されている。なお、所定時間の間に取消しボタン5bが操作されずに所定時間が経過すると商品払出部84に販売開始信号を送出して本体キャビネット1の庫内に収納された商品収納ラックから対応する商品を搬出する。
【0041】
前述したように、主制御部80は前記商品選択ボタン5aの操作から所定時間の間、取消しボタン5bの操作を受付けるようにプログラムされているので、発光ダイオードランプLMPの点滅により利用者が希望する商品ではないことに気付いて取消しボタン5bが操作されると前記主制御部8は点滅している発光ダイオードランプLMPを消灯した上で再度の商品選択ボタン5aの操作を待つ。このように、商品選択ボタン5aが操作されると発光ダイオードランプLMPを点滅させて選択した商品を表示するので、利用者は希望する商品を選択したかどうかを確認すことができる。したがって、商品見本8と商品選択ボタン5aが離隔している場合にも利用者が希望する商品とは異なる商品を選択するという誤選択を防止することが可能となる。
【0042】
なお、商品選択ボタン5aとして商品見本8と一対一で対応する例について説明したが、これに限るものではない。例えば、商品選択ボタンをテンキー方式とすることができる。また、発光ダイオードランプLMPはホルダー12の掲示部123に取付けるものに限らず、商品見本8の内部を照明するように構成し、商品選択ボタン5aの操作により対応する商品見本8を内部から照明して当該商品見本8を明るく発光させるようにすることもできる。
【0043】
前述したとおりこの実施の形態1の自動販売機によれば、前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネット1と、この本体キャビネット1の前面を開閉する片開き式の外扉2を備え、前記外扉2に画成された商品展示室3の任意の位置に複数の商品見本8を配列し、前記外扉2の商品展示室3の領域外に商品選択ボタン5a備えた自動販売機において、前記商品展示室3の任意に位置にレイアウトされた商品見本8毎に設けられ、前記商品選択ボタン5aの操作により作動して当該商品見本8が選択されたことを表示する選択商品表示手段(発光ダイオードランプLMP)を設けたことにより、利用者が商品選択ボタン5aを操作した際、当該商品選択ボタン5aに対応する商品見本8を商品選択表示手段(発光ダイオードランプLMP)により表示するので、利用者は商品選択表示手段(発光ダイオードランプLMP)により希望する商品を選択したことを確認することが可能となり、商品展示室3の任意の位置にレイアウトされた商品見本8と商品選択ボタン5aとがそれぞれ離隔した位置に配置されている場合にも商品選択ボタン5aの誤選択(押し間違い)を抑制することができるという効果を有する。
(実施の形態2)
図12は本発明の実施の形態2である自動販売機を示し、(a)はその全体構成を示す正面図、(b)は(a)の自動販売機の外扉、および中扉を開放した状態を示す斜視図であり、図13は図12に示す自動販売機の全体構成を示すブロック図である。図12および図13においては実施の形態1における図1および図11と同一のものには同一の符号を付してその説明は省略する。
【0044】
図12において、図1に示す実施の形態1の自動販売機と相違する点は商品選択ボタン部5に購入意思決定ボタン5cを設けた点であり、その他の構成は図1に示すものと同一である。前記購入意思決定ボタン5cは利用者が貨幣の投入に先立って商品選択ボタン5aとともに同時に操作するものであり、その機能は次の図13により説明する。
【0045】
図13において図11に示すブロック図と相違する点は主制御部80に購入意思決定ボタン5cが接続されるとともに次の実行プログラムが追加装備されている点である。すなわち、主制御部80のROMに追加装備された実行プログラムは、待機状態において商品選択ボタン5aと購入意思決定ボタン5cが同時に押圧操作されると、選択操作された商品選択ボタン5aを主制御部80のRAMに記憶するとともに商品選択ボタン5aに対応する発光ダイオードランプLMPを点滅制御し、この状態で貨幣の投入若しくは取消しボタン5bの入力を監視し、取消しボタン5bの入力があるとRAMに記憶された商品選択ボタン5aの記憶内容を削除するとともに点滅している発光ダイオードランプLMPを消灯させた上で商品選択ボタン5aと購入意思決定ボタン5cが同時に操作されるのを待って上述した制御を実行する。一方、発光ダイオードランプLMPを点滅制御した後に貨幣が投入された場合には、当該貨幣の投入金額とRAMに記憶された商品選択ボタンに対応する商品設定価格とを比較し、投入金額が商品設定価格に一致若しくは超過する場合に販売開始信号を送出するものである。
【0046】
図12および図13に示した自動販売機の動作について説明すると、その待機状態において利用者が貨幣の投入に先立って商品選択ボタン5aと購入意思決定ボタン5cを同時に押圧操作すると、当該商品選択ボタン5aに対応する発光ダイオードランプLMPが点滅するので、これにより利用者は希望する商品の商品選択ボタン5aを操作したかどうかを確認する。前記発光ダイオードランプLMPの点滅により希望する商品であることを利用者が確認した上で商品設定価格に一致若しくは超過する貨幣を投入すると本体キャビネット1の庫内に収納された商品収納ラックから希望する商品が搬出される。前記発光ダイオードランプLMPの点滅により希望する商品とは異なる商品選択ボタン5aを操作している場合には取消しボタン5bを操作した上で再度商品選択ボタン5aと購入意思決定ボタン5cを同時に押圧操作すればよい。
【0047】
この実施の形態2にかかる自動販売機においては商品選択ボタン5aを操作した後、貨幣を投入することにより商品の販売を開始することから、前述した実施の形態1の自動販売機にように商品選択ボタン5aの操作から所定時間経過後に商品の販売を開始するものでは商品の販売時間が長くなるのに対し、商品の販売時間を短縮することができる。なお、商品選択ボタン5aと購入意思決定ボタン5cが同時に押圧操作される状態とは両者が時間差をおいて操作される場合を含むものである。また、前記購入意思決定ボタン5cは悪戯を防止するために設けたものであり、悪戯が懸念されない場合には削除することができ、さらに、購入意思決定ボタン5cを取消しボタン5bで兼用させることもできる。
(実施の形態3)
図14は本発明の実施の形態3である自動販売機の全体構成を示し、(a)はその全体構成を示す正面図、(b)は(a)の自動販売機の外扉、および中扉を開放した状態を示す斜視図である。図14においては実施の形態1における図1と同一のものには同一の符号を付してその説明は省略する。
【0048】
図14において、図1に示す実施の形態1の自動販売機と相違する点は商品選択ボタン部5であり、この商品選択ボタン部5における縦横に並置された商品選択ボタン5aの近傍、この実施の形態では商品選択ボタン5aの上方位置に商品見本8を印刷したパネルPNLが貼着されている。このパネルPNLが、商品見本を示す表示が施された表示媒体を構成し、商品見本8のミニチュアに相当する。なお、実施の形態1の自動販売機における発光ダイオードランプLMPおよび取消しボタン5bは削除されている。
【0049】
この図14に示した自動販売機の動作について説明すると、利用者が商品を購入するために商品設定価格に一致若しくは商品設定価格を超過する貨幣を投入すると、対応する商品選択ボタン5aの販売可能ランプが点灯して利用者に販売が可能であることを表示する。ここで、利用者は希望する商品の商品選択ボタン5aの操作を行うこととなるが、それぞれの商品選択ボタン5aの上方位置に商品見本8を印刷したパネルPNLが貼着されているので利用者は商品見本8のミニチュアを確認した上で商品選択ボタン5aを操作することができる。このように、商品選択ボタン5aを操作する際に当該商品選択ボタン5aの近傍に設けた商品見本8のミニチュアを目視して希望する商品であるかを確認できることから希望する商品とは異なる商品が販売されることを抑制することができる。なお、パネルPNLに表示する表示情報は商品見本8の外観に限らず、商品見本8を印象付ける文字や記号であってもよいものである。
【0050】
前述した実施の形態3にかかる自動販売機によれば、前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネット1と、この本体キャビネット1の前面を開閉する片開き式の外扉2を備え、前記外扉2に画成された商品展示室3の任意の位置に複数の商品見本8を配列し、前記外扉2の商品展示室3の領域外に商品選択ボタン部5を備えた自動販売機において、商品選択ボタン部5は複数の商品見本に対応した個別の商品選択ボタン5aを並設してなり、当該個別の商品選択ボタン5aの近傍に該当する商品見本8を示す表示が施された表示媒体(パネルPNL)を設けてなることにより、利用者が商品選択ボタン5aを操作する際、当該商品選択ボタン5aの近傍に設けられたところの商品見本8を示す表示の施された表示媒体(パネルPNL)が視野に入って一目瞭然であるので、希望する商品を選択しようとしているかを視認することが可能となり、商品選択ボタン5aの誤選択を抑制することができるという効果を有する。
【符号の説明】
【0051】
1…本体キャビネット、2…外扉、3…商品展示室、4…透明パネル、5…商品選択ボタン部、5a…商品選択ボタン、5b…取消しボタン、5c…購入意思決定ボタン、8…商品見本、9…ポスター部材、10…レイアウト部材、11…凸状係合穴、12…ホルダー、13…商品情報表示体、21…中扉、41,42,43,44…パネル押え金具、70…発光ダイオードモジュール(照明光源)、700…発光ダイオードモジュールユニット(照明光源)、80…主制御部、81…入力装置、82…硬貨識別部、83…紙幣識別部、84…商品払出部、85…冷却/加熱制御部、86…照明灯制御部、LMP…発光ダイオードランプ(選択商品表示手段)、PNL…パネル(表示媒体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネットと、この本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備え、前記外扉に画成された商品展示室の任意の位置に複数の商品見本を配列し、前記外扉の商品展示室の領域外に商品選択ボタン部を備えた自動販売機において、前記商品展示室の任意の位置にレイアウトされた商品見本毎に設けられ、前記商品選択ボタンの操作により作動して当該商品見本が選択されたことを表示する選択商品表示手段を設けたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、選択商品表示手段は発光ダイオードであり、商品選択ボタンが操作されることにより点灯または点滅することを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネットと、この本体キャビネットの前面を開閉する片開き式の外扉を備え、前記外扉に画成された商品展示室の任意の位置に複数の商品見本を配列し、前記外扉の商品展示室の領域外に商品選択ボタン部を備えた自動販売機において、商品選択ボタン部は複数の商品見本に対応した個別の商品選択ボタンを並設してなり、当該個別の商品選択ボタンの近傍に該当する商品見本を示す表示が施された表示媒体を設けてなることを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項3に記載の自動販売機において、表示媒体は表示見本を印刷したパネルであることを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−170586(P2011−170586A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33327(P2010−33327)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】