説明

自動車のドアトリム固定構造

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は自動車のドアトリム固定構造に係り、より詳しくは、ドアトリムとインナドアパネルの固定構造を改善した自動車のドアトリム固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、従来による自動車のドア構造は、図1に示すように、アウトドアパネル(8)とインナドアパネル(10)とからなり、相互に結合され、インナドアパネル(10)の内側(車室内側)にはドアトリム(12)が設けられ、該ドアトリム(12)の内側にはアームレスト(14)機能を果すグリップハンドルが設けられている。
【0003】この場合、前記アームレスト(14)の一側には、図2に示すように、通穴(14a)を穿設されているボス(14b)が一体に突設され、前記ボス(14b)の外側には、ボス(14b)を中心に、その内外側で相互に対応するスクリュー(16)がブラケット(20)の裏面に付着されたグロメット(18)に締結固定されている。
【0004】ここで、前記スクリュー(16)は、前記アームレスト(14)の内側で前記通穴(14a)内に挿入され、該通穴(14a)の開口部は、前記アームレスト(14)の内側で嵌合されるアームレストキャップ(26)によってカバーされるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のごとく構成された従来による自動車のドアトリム固定構造は、図2に示すように、アームレスト14とブラケット20を固定する際、アームレスト20の一側に穿設されているボス(14b)の通穴(14a)を通して挿入されるスクリュー(16)とブラケット(20)側で対応されるグロメットとの締結によって固定される構造になっている。かかる構造は、通穴(14a)がアームレスト(14)の外(車室内側)から見えないように隠すために、アームレストキャップ(26)で遮る必要があることから、アームレストキャップ(26)の使用によるコストアップ要因となることはもとより、作業性が低下し、さらには、アームレストキャップと通穴との組立てによるパッティングが生じることによって見かけがよくないという問題点があった。
【0006】この発明は上記様々な問題点を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、アームレストと第1のアームレストブラケットとの締結状態が外(車室内側)に露出しないようにしてパッティングをなくし、追加部材の使用に伴うコストアップの負担および作業性の低下を解消する自動車のドアトリム固定構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するためになされたこの発明による自動車のドアトリム固定構造は、インナドアパネルと、該インナドアパネルの内側(車室内)に位置するアームレストおよびドアトリムと、前記インナドアパネルとアームレストとを連結する第1および第2のアームレストブラケットを備えた自動車のドアトリム固定構造において、前記アームレストには、アームレストの外側で締付けられるスクリューによって、前記第1のアームレストブラケットとアームレストとが相互対応に固定されるように、その外側へボスを一体に形成したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明に従う一実施例について添付図に沿つて詳述する。ちなみに、図において、従来の構成と同一部分については同一名称および同一符号を付してそれについての説明は省略している。
【0009】この発明に従う自動車のドアトリム固定構造は、図3に示すように、アームレスト(50)の外側面の一側にネジ穴(50a)をもつボス(50b)を一体に突設せしめ、そのボス(50b)の終端に、第1のアームレストブラケット(53)の一側を密着させるとともに、スクリュー(52)にてネジ穴(50a)に締付けることにより、第1のアームレストブラケット(53)が固定されるように構成されている。
【0010】つまり、前記スクリュー(52)の螺旋面は、第1のアームレストブラケット(53)の一側に穿設されている通穴(符号、図示なし)を通して該ネジ穴(50a)内に挿入されて締付けられることにより、第1のアームレストブラケット(53)がボス(50b)の終端に固定される。さらに、第1のアームレストブラケット(53)の下端は、ドアインナパネル(10)に固定されている第2のアームレストブラケット(54)の内側に挿入されて、前記スクリュー(52)の締めつけによって密着固定されている。
【0011】かように構成されている自動車のドアトリム固定構造は、図3に示すように、アームレスト(50)の外側面に突設されているネジ穴(50a)およびボス(50b)が、アームレスト(50)の内側(車室内側)から見る場合、外部へ露出しないように隠されていることから、アームレスト(50)の内側面からの見かけを美しく装うことができるばかりか、スクリュー(52)とボス(50b)とによって第1のアームレストブラケット(53)が固定されるため、特別な追加部材(例えば、前記アームレストキャップとグロメットなど)が不要となり、コストアップを抑え、かつ、作業工程の単純化と作業時間の短縮化により、総体的な作業能率を高めることができる。
【0012】
【発明の効果】以上説明のように、この発明による自動車のドアトリム固定構造は、アームレストの外側面にネジ穴をもつボスを突設し、そのボスとスクリューによって第1のアームレストブラケットを固定する構造としたことから、アームレストと第1のアームレストブラケットの固定状態が露出することがなく、したがって、見かけを美しく装うことができるばかりか、余分な追加部材(例えば、従来において使用されていたアームレストキャップとグロメットなど)が不要となることからコストを抑えることかでき、また、作業工程の単純化と作業時間の短縮化が図られ、総体的な作業能率を高めることができる等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来における自動車のドアトリムとインナドアパネルとが切離されている状態を示す斜視図である。
【図2】従来における自動車のドアトリムとインナドアパネルの固定構造を示す側断面図である。
【図3】この発明における自動車のドアトリムとインナドアパネルの固定構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
10...インナドアパネル
12...ドアトリム
53...第1のアームレストブラケット
54...第2のアームレストブラケット
50...アームレスト
50a..ネジ穴
50b..ボス
52...スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 インナドアパネルと、該インナドアパネルの内側(車室内側)に位置するアームレストおよびドアトリムと、前記インナドアパネルとアームレストとを連結する第1および第2のアームレストブラケットとを備えた自動車のドアトリム固定構造において、前記アームレストには、アームレストの外側で締付けられるスクリューによって前記第1のアームレストブラケットとアームレストとが相互対応に固定されるように、その外側へボスを一体に形成したことを特徴とする自動車のドアトリム固定構造。
【請求項2】 前記ボスの中央には、前記スクリューの締結力を高めるように、その中央にネジ穴を穿設されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車のドアトリム固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3424097号(P3424097)
【登録日】平成15年5月2日(2003.5.2)
【発行日】平成15年7月7日(2003.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−379405(P2000−379405)
【出願日】平成12年12月13日(2000.12.13)
【公開番号】特開2001−180270(P2001−180270A)
【公開日】平成13年7月3日(2001.7.3)
【審査請求日】平成12年12月14日(2000.12.14)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【参考文献】
【文献】実開 平2−110713(JP,U)
【文献】実開 昭62−20914(JP,U)