説明

自動車の後付け電装品用電力供給装置

【課題】後付け電装品に対する電力供給を容易に行えるようにした自動車の後付け電装品用電力供給装置を提供する。
【解決手段】自動車本体に取り付けられる送電ユニットAと、ドア等に取り付けられる受電ユニットBとからなり、送電ユニットは、自動車本体に装備された直流電源に対するコネクタ3と、直流電圧を交流電圧に変換する高周波発生器4と、送電コイル5Aとを備え、電ユニットは、ドア等が閉じ姿勢にあるとき送電コイルと電磁結合することで交流電圧が誘起される受電コイル5Bと、少なくとも受電コイルに誘起された交流電圧を整流して直流電圧を出力する機能を有し且つ後付け電装品Cを接続するように構成された制御回路6とを備え、送電コイル及び受電コイルは平面渦巻き状に形成され、ドア等が閉じ姿勢にあるときそれらの平面が互いに対向するような部位に取付け可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のドア、ボンネット、トランクルームリッド等のように、自動車本体に対して開閉支持部を介して開閉自在に装着された自動車用外殻可動部に電装品を後付けする場合に好適な後付け電装品用電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用外殻可動部の一例である自動車のドアには、ドアミラー全体を起立倒伏させるモータ、ドアミラーの鏡面の反射角度を調整するモータ、曇り止めヒータ、ドアミラーと一体型のウインカー用LED、パワーウインド用モータやそのスイッチ、ドアロック用スイッチやそれらの照明器具など数多くの電装品が、自動車の生産時点で設けられており、これらは、何れも、特許文献1に記載されているようなワイヤーハーネスとコネクタを介して自動車本体に装備された電源と電気的に接続されている。
【0003】
しかし、自家用車のドレスアップ、個性化などを目的として、アフターマーケットにおいて購入した光るサイドバイザー、換気扇付きのサイドバイザー、光る縁材、電動カーテンなどの後付け電装品を自動車本体に対して開閉支持部を介して開閉自在に装着された自動車用外殻可動部に取り付ける場合、それらの後付け電装品と自動車本体側の電源との配線作業が難しく、これが後付け電装品の普及を妨げる大きな要因となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−170113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点を踏まえてなされたものであって、その目的とするところは、電磁誘導方式による非接触電力伝送技術を応用することにより、後付け電装品に対する電力供給を容易に行えるようにした自動車の後付け電装品用電力供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は、次の通りである。即ち、本発明による自動車の後付け電装品用電力供給装置は、自動車本体に取り付けられる送電ユニットと、この自動車本体に対して開閉支持部を介して開閉自在に装着された自動車用外殻可動部に取り付けられる受電ユニットとからなり、前記送電ユニットは、自動車本体に装備された12V又は24Vの直流電源に対するコネクタと、当該コネクタを経て前記直流電源から供給された直流電圧を交流電圧に変換する高周波発生器と、当該高周波発生器の出力側に接続された送電コイルとを備え、前記受電ユニットは、自動車用外殻可動部が閉じ姿勢にあるとき前記送電コイルと電磁結合することで交流電圧が誘起される受電コイルと、少なくとも受電コイルに誘起された交流電圧を整流して直流電圧を出力する機能を有し且つ出力側に自動車用外殻可動部に後付けされた電装品を接続するように構成された制御回路とを備え、前記送電コイル及び受電コイルは平面渦巻き状に形成され、且つ、自動車用外殻可動部が閉じ姿勢にあるときそれらの平面が互いに対向するような部位に取付け可能に構成されていることを特徴としている。
【0007】
尚、コネクタとしては、シガーライターに差し込む形式、バッテリ又は自動車本体側に配線された電源用電線に直接接続する形式などを採用できる。自動車用外殻可動部としては、ドア、ボンネット、トランクルームリッドの何れであってもよい(請求項2)。また、後付け電装品としては、光る縁材、光るサイドバイザー、換気扇付きサイドバイザー、
電動カーテン、光るボンネットプロテクタなど自動車用外殻可動部の種類(場所)に応じて種々のものを選択できる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明の構成によれば、自動車本体側に送電ユニットを、外殻可動部側には受電ユニットを、外殻可動部が閉じ姿勢にあるとき、平面渦巻き状に形成された送電コイル及び受電コイルの平面が互いに対向するように取り付けておくことにより、自動車本体に装備された12V又は24Vの直流電源から外殻可動部に後付けされた後付け電装品へと電磁誘導方式による非接触電力伝送が行われる。
【0009】
従って、送電ユニット及び受電ユニットのうち、送電コイル及び受電コイルを外殻可動部が自動車本体に対して閉じ姿勢にあるとき互いに対面する部位に取り付けさえすれば、その他のユニット構成部品(高周波発生器や制御回路)の取付けには、特に制約がなく、任意の位置を選択できることになり、自動車の生産時点で設けられているワイヤーハーネスやそのコネクタには全く手を加える必要がないので、後付け電装品への電力供給が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図3は、本発明に係る自動車の後付け電装品用電力供給装置の一例を示す。この後付け電装品用電力供給装置は、自動車本体1側に取り付けられる送電ユニットAと、自動車本体1に対してヒンジ等の開閉支持部を介して開閉自在に装着された自動車用外殻可動部の一例である前席側のドア2に取り付けられる受電ユニットBとから構成されている。
【0011】
送電ユニットAは、自動車本体1に装備された12V又は24Vの直流電源に対するコネクタ(図示の例では、シガーライターに差し込む形式であるが、自動車本体側に設けられたシガーライター以外の電源用コンセントに接続する形式でもよく、バッテリに直接接続する形式でもよい。)3と、当該コネクタ3を経て前記直流電源から供給された直流電圧を交流電圧に変換する高周波発生器4と、当該高周波発生器4の出力側に接続された送電コイル5Aとを備えている。
【0012】
受電ユニットBは、ドア2が閉じ姿勢にあるとき前記送電コイル5Aと電磁結合することで交流電圧が誘起される受電コイル5Bと、受電コイル5Bに誘起された交流電圧を整流して直流電圧を出力する機能及び昇圧する機能を有し且つ出力側にドア2に後付けされた後付け電装品Cを接続するように構成された制御回路6とを備えている。
【0013】
尚、後付け電装品Cとしては、例えば、ドア2の窓枠に沿って取り付けたエレクトロルミネッセンスを光源とする光る縁材、透明合成樹脂製のサイドバイザーの窓枠に対する取付け部に高輝度LED又はエレクトロルミネッセンスを取り付けた光るサイドバイザー、モータ駆動の小型換気扇など任意の電装品を選択できる。
【0014】
前記送電コイル5A及び受電コイル5Bは、何れも、コア無しの平面渦巻き状に形成され、且つ、ドア2が閉じ姿勢にあるときそれらの平面が互いに対向するような部位(この実施形態では、グローブボックス7の側面とそれに対向するドア2のインナーパネル8の表面)に取付け可能に構成されている。また、この実施形態では、送電コイル5A及び受電コイル5Bは、図3に示すように、何れも、平面渦巻き状に巻かれたエナメル被覆線9と、それらの表裏両面を被覆する防水シート10とを有しており、両面接着テープ11で自動車本体1及びドア2の所定位置に貼着して取り付けるように構成されている。送電コイル5A及び受電コイル5Bをコア無しの平面渦巻き状に形成する場合、図3に示すように、平面渦巻き状に巻かれたエナメル被覆線9の互いに対向する面とは反対側の面に、両
コイルの発生する磁界による不要輻射を抑える磁性シート12を積層して実施することが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、自動車本体1側に送電ユニットAを、ドア2側には受電ユニットBを、ドア2が閉じ姿勢にあるとき、平面渦巻き状に形成された送電コイル5A及び受電コイル5Bの平面が互いに対向するように取り付けておくことにより、自動車本体1に装備された12V又は24Vの直流電源からドア2に後付けされた後付け電装品Cへと電磁誘導方式による非接触電力伝送が行われる。
【0016】
従って、送電ユニットA及び受電ユニットBのうち、送電コイル5A及び受電コイル5Bをドア2が自動車本体1に対して閉じ姿勢にあるとき互いに対面する部位に取り付けさえすれば、その他のユニット構成部品(高周波発生器3や制御回路6)の取付けには、特に制約がなく、任意の位置を選択できることになり、自動車の生産時点で設けられているワイヤーハーネスやそのコネクタには全く手を加える必要がないので、後付け電装品Cへの電力供給が容易である。
【0017】
図4は他の実施形態を示し、前記送電コイル5A及び受電コイル5Bを、後席側のドア2が閉じ姿勢にあるときそれらの平面が互いに対向するような部位に取り付けるにあたり、送電コイル5Aを自動車本体1のサイドシル1aに取り付け、受電コイル5Bをそれに対向するドア2のインナーパネル8の後端面に取り付けた点に特徴がある。その他の構成、作用は、図1〜図3の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0018】
図5は他の実施形態を示し、送電ユニットAを自動車本体1に取り付け、受電ユニットBをハッチバックタイプの後部ドア(取り付ける自動車本体1に対してヒンジ等の開閉支持部13を介して開閉自在に装着された自動車用外殻可動部の一例)2aに取り付けた点に特徴がある。この実施形態では、後部ドア2aに取り付ける後付け電装品Cとして、後部ドア2aを開けたとき、点灯して足元を照らす高輝度LEDよりなる照明器具を用いている。そのため、制御回路6には、充電(蓄電)機能と、送電コイル5Aと受電コイル5Bが互いに離間することによって照明器具(後付け電装品C)に通電し、送電コイル5Aと受電コイル5Bが対面することによって照明器具(後付け電装品C)への通電を遮断するスイッチ機能を具備させてある。その他の構成、作用は、図1〜図3の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0019】
図示しないが、自動車本体1に対してヒンジ等の開閉支持部を介して開閉自在に装着された自動車用外殻可動部の一例であるボンネットやトランクルームリッドに受電ユニットBを取り付けるようにしてもよい。また、ボンネットやトランクルームリッドに取り付ける後付け電装品Cとして、ボンネットやトランクルームリッドを開けたときエンジンルームやトランクルームの内部を照射する照明器具を用いる場合、制御回路6には、図5の実施形態と同様に、充電(蓄電)機能と、送電コイル5Aと受電コイル5Bが互いに離間することによって照明器具に通電し、送電コイル5Aと受電コイル5Bが対面することによって照明器具への通電を遮断するスイッチ機能を具備させることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る自動車の後付け電装品用電力供給装置の説明図である。
【図2】本発明に係る自動車の後付け電装品用電力供給装置の取付け状態を例示する斜視図である。
【図3】取付け状態における要部の横断平面図である。
【図4】他の取付け状態を例示する斜視図である。
【図5】他の取付け状態を例示する斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
A 送電ユニット
B 受電ユニット
C 後付け電装品
1 自動車本体
2 ドア(自動車用外殻可動部の一例)
2a 後部ドア(自動車用外殻可動部の一例)
3 コネクタ
4 高周波発生器
5A 送電コイル
5B 受電コイル
6 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車本体に取り付けられる送電ユニットと、この自動車本体に対して開閉支持部を介して開閉自在に装着された自動車用外殻可動部に取り付けられる受電ユニットとからなり、前記送電ユニットは、自動車本体に装備された12V又は24Vの直流電源に対するコネクタと、当該コネクタを経て前記直流電源から供給された直流電圧を交流電圧に変換する高周波発生器と、当該高周波発生器の出力側に接続された送電コイルとを備え、前記受電ユニットは、自動車用外殻可動部が閉じ姿勢にあるとき前記送電コイルと電磁結合することで交流電圧が誘起される受電コイルと、少なくとも受電コイルに誘起された交流電圧を整流して直流電圧を出力する機能を有し且つ出力側に自動車用外殻可動部に後付けされた電装品を接続するように構成された制御回路とを備え、前記送電コイル及び受電コイルは平面渦巻き状に形成され、且つ、自動車用外殻可動部が閉じ姿勢にあるときそれらの平面が互いに対向するような部位に取付け可能に構成されていることを特徴とする自動車の後付け電装品用電力供給装置。
【請求項2】
自動車用外殻可動部が、ドア、ボンネット、トランクルームリッドのうちの何れか一つである請求項1に記載の自動車の後付け電装品用電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−1250(P2008−1250A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173384(P2006−173384)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000101961)イズミ工業株式会社 (4)