説明

自動車の駐車プロセスを支援する方法および装置

【課題】 車道に交差する向きに配置されており、かつ少なくとも片側を側方境界によって画定されている駐車スペースへの自動車の駐車プロセスを、広い駐車スペースにおいても最適に支援するための方法および装置を提供する。
【解決手段】 駐車スペース(P)を測定ユニットによって測定し、自動車(1)の駐車位置(G)が、算定ユニットによって、駐車スペース(P)内に定められ、駐車位置(G)に至るまでの自動車(1)の駐車経路(B)が、算定ユニットによって決定される。非常に広い駐車スペース(P)において駐車プロセスを支援するために、少なくとも、駐車スペース(P)が、その、あらかじめ定められた最小幅(b−min)を超過しているときに、駐車位置(G)は、算定ユニットによって、駐車スペース(P)の長手方向中央軸(L)から、ある側方距離(d)だけ間隔を置いて定められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車道に交差する向きに配置されている駐車スペースへの自動車の駐車プロセスを支援するための、請求項1および8の上位概念部にそれぞれ特定されているタイプの方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、このような方法および関連装置が開示されている。駐車プロセスを支援するこの方法は、次のステップ、すなわち、駐車スペースの測定ユニットによって駐車スペースを測定するステップと、算定ユニットによって駐車スペースの内部に自動車の駐車位置を定めるステップと、算定ユニットによって駐車位置に至るまでの自動車の駐車経路を決定するステップとを含んでいる。この場合、単一操作または複数操作を要する、駐車位置に至るまでの適切な複数の駐車経路を、算定ユニットによって決定することができる。次いで、それらの駐車経路から、運転者が、算定ユニットを用いて所望の駐車経路を選択する。このとき、駐車位置は、駐車位置における自動車の長手方向中央軸が、駐車スペースの長手方向中央軸と実質的に一致するように、算定ユニットによって定められる。
【0003】
このような駐車位置の定め方は、駐車スペースが非常に広い場合には、最適駐車位置を得ることができず、また駐車スペースが、その片側でしか、障害物によって画定されていない場合には、駐車プロセスを支援することができないという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ国特許公開第102005037468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、車道に交差する向きに配置されている駐車スペースへの自動車の駐車プロセスを支援するための、請求項1および8の上位概念部にそれぞれ特定されているタイプの方法および装置を、広い駐車スペースにおける駐車プロセスの支援が改善されるように、さらに発展させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の方法、および請求項8に記載の装置によって達成される。本発明を有利に実施するためのさらなる形態が、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明によって得られる利点は、少なくとも、駐車スペースが、その、あらかじめ定められた最小幅を超過しているときに、駐車位置が、算定ユニットによって、駐車スペースの長手方向中央軸から、ある側方距離だけ間隔を置いて定められるから、非常に広い駐車スペースにおいてさえ、最適の駐車位置を得ることができるということである。駐車位置における自動車の中央をずらした配置によって、非常に広い駐車スペースにおいては、自動車の1つの側面に隣接して、広い距離幅部分が残され、この広い距離幅部分を、例えば運転者の非常に快適な降車のために、またはこの駐車スペースへの少なくとも1台のさらなる自動車の駐車のために用いることができる。
【0008】
駐車スペースの幅が最小幅以下である場合には、駐車位置は、ほぼ、駐車スペースの長手方向中央軸上に配置あることが好ましい。すなわち、駐車位置において、自動車の長手方向中央軸は、駐車スペースの長手方向中央軸と実質的に一致する。そのため、自動車の乗員の乗降車のための互いに対称的な空間が、自動車の両側面に隣接して利用可能になる。
【0009】
駐車スペースのあらかじめ定められた最小幅(この最小幅を超過すると、算定ユニットによって、中央がずれた駐車位置が定められる)は、駐車スペース内に、自動車の側方に隣り合わせに、標準的な幅の少なくとも1台のさらなる乗用車を駐車することができる大きさに定められることが好ましい。
【0010】
したがって、駐車スペースが、その、あらかじめ定められた最小幅を超過しておらず、かつ自動車を駐車するだけのためには十分な幅を有する標準的な状態にある場合には、自動車の乗員の降車のために、運転席側の側面と助手席側の側面とにおいて同一の距離幅を利用可能にするために、自動車は、駐車スペースのほぼ中央に配置される。駐車スペースが、その、あらかじめ定められた最小幅を超過している場合には、自動車の隣に標準的な幅のさらなる自動車を駐車することができるように、自動車は、その駐車位置に、駐車スペースの中央からずらして配置される。その結果、非常に広い幅を有する駐車スペースにおいても、標準的な幅を有する駐車スペースにおいても、最適な駐車位置を得ることができる。
【0011】
駐車位置において、自動車が、その1つの側面を、駐車スペースを横方向に画定している境界からあらかじめ定められた側方距離だけ隔てた状態で配置されるように、駐車位置と、駐車スペースの長手方向中央軸との間の側方距離を、算定ユニットによって非常に信頼性高く定めることができる。本発明の方法においては、測定ユニットによって、駐車スペースの一側でしか側方境界が検出されないほどに、駐車スペースの幅が広い場合に、適切な駐車位置を定めることができる。
【0012】
駐車スペースが、その両側部のそれぞれにおいて、対応する側方境界によって画定されている場合には、駐車位置において、自動車の助手席側の側面が、隣接する側方境界からあらかじめ定められた側方距離だけ隔たって配置されるように、駐車位置を算定ユニットによって定めることができる。その結果、自動車の助手席側には最小限の距離幅を設定し、運転席側には非常に快適な降車のために広い距離幅を残すことができる。
【0013】
それに替えて、駐車スペースが、両側部のそれぞれにおいて、対応する1つの側方境界によって画定されている場合には、駐車位置において、自動車が、駐車プロセスの開始時に自動車に最も近接している側方境界からあらかじめ定められた側方距離だけ隔たって配置されるように、駐車位置を定めることもできる。その結果、非常に単純かつ迅速な駐車プロセスを得ることができる。
【0014】
非常に信頼性が高く、かつ快適な駐車プロセスを可能にするために、駐車プロセス中の自動車の操舵を、算定ユニットによって、駐車経路どおりに行うことができる。
【0015】
駐車プロセスを支援するために、駐車経路に沿った、自動車の案内に関する情報を、出力装置を介して運転者に伝えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】車道に交差する向きに配置されている駐車スペースへの自動車の駐車プロセスを示す図である。
【図2】車道に交差する方向に配置されている駐車スペースへの自動車の別の駐車プロセスを示す図である。
【図3】車道に交差する方向に配置されている駐車スペースへの自動車のさらに別の駐車プロセスを示す図である。
【図4】車道に交差する方向に配置されている駐車スペースへの自動車のさらになお別の駐車プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を、より詳細に説明する。
【0018】
添付図面において、各図は略図である。
【0019】
図1〜図4は、車道Fに交差する向きに配置されている駐車スペースPへの自動車1の駐車プロセスを説明するための平面略図である。駐車スペースPは、横方向を、駐車車両10および/または11の形態の少なくとも1つの障害物によって、また前方を車道Fによって、また車道Fに対向している後縁を縁石12によって画定されている。
【0020】
したがって、駐車スペースPは、全体として、幅bを有する実質的に矩形の形状を呈している。各駐車スペースPの長手方向中央軸Lは、幅bを2分して、駐車スペースPの横縁にほぼ平行に延びており、したがって、車道Fに実質的に直交している。
【0021】
しかしながら、本発明による方法および本発明による装置は、平行な2つの直線縁を有する駐車スペースに限定されない。したがって、駐車スペースの横縁が、傾斜または湾曲して走っている場合には、駐車スペースの幅を、例えば駐車スペースの側方境界間の最大距離、最小距離、または射影距離として定めることができる。このとき、駐車スペースの長手方向中央軸は、それぞれにおいて、駐車スペースの幅を2分して、車道Fに直交して延びている。
【0022】
乗用車である自動車1は、前部領域2、後部領域3、およびフロントガラス4の後方に配置された運転席5を備えている。自動車1が、左ハンドルの自動車である場合には、運転席5は、自動車1の左側面側に配置されている。したがって、自動車1の左側面は、自動車1の運転席側の側面6を形成しており、自動車1の右側面は、助手席側の側面7を形成している。自動車1の長手方向中央軸Aは、運転席側の側面6と助手席側の側面7との間の幅を2分して、自動車1の長手方向に延びている。
【0023】
自動車1は、測定ユニットおよび算定ユニット(図示せず)を有する駐車プロセス支援装置を備えている。測定ユニットは、自動車1の運転席側の側面6、助手席側の側面7上で前部領域2の近傍に配置された、それぞれ1つずつの側方距離センサ8、9を有している。側方距離センサ8および9は、それ自体は公知である超音波距離センサとして作られており、自動車1の前部バンパー(図示せず)から、それぞれ一定の側方距離を置いて配置されている。しかしながら、それに替えて、側方距離センサ8および9を、自動車1の後部領域3の近傍、例えば後部バンパー上に配置することもできる。
【0024】
側方距離センサ8および9、および自動車1の走行経路を決定するための経路センサ(図示せず)は、制御ユニット(図示せず)に接続されている。制御ユニットは、自動車1が車道Fに沿って走行しているときに、駐車スペースPの幅bを測定するように、側方距離センサ8および9を作動させる。さらに、駐車スペースの奥行き、および車道Fに対する向きなどのさらなる幾何学的データも、測定によって特定することができる。幅b、および場合によっては特定されたさらなる幾何学的データを、算定ユニット(制御ユニットと一体に作られていることが好ましい)に伝達することができる。算定ユニットは、最初に、駐車スペースPの幅bに基づいて、駐車スペースP内に、自動車1の駐車位置Gを定め、次いで、自動車1を、その出発位置Sから駐車位置Gまで運転するために辿る駐車経路Bを決定するためのプログラムコードを有している。
【0025】
算定ユニットは、自動車1が、その駐車経路Bに沿って、出発位置Sから駐車位置Gまで移動するように、自動車1の駐車運動中の操舵を行うために、自動車1のバスシステムを介して、自動車1の操舵システム(図示せず)に接続されている。自動車1の長手方向の制御、すなわち加速および減速は、運転者自身によって行なわれる。しかしながら、それに替えて、完全な自動駐車プロセスを可能にするために、算定ユニットを、データバスシステムを介して、自動車1のエンジンコントローラおよびブレーキに接続することもできる。
【0026】
さらに、算定ユニットは、出力装置、例えば自動車1の室内に配置されたディスプレイおよび/または音声発生装置を介して、駐車プロセスに関する情報を運転者に出力することが可能である。この場合には、運転者に、例えば自動車1の長手方向の制御に関する指示、および出発位置Sに向けての操舵に関する指示を伝えることも可能である。さらに、運転者に、自動車1の操舵に関する指示を供給することも可能である。この場合に、操舵に関する出力装置の指示に基づいて、運転者が手動で駐車プロセスを行うように、運転者に、具体的なステアリング角度の手動設定に関する指示を伝えることも可能である。この場合には、算定ユニットによる操舵の操作を省くことができる。
【0027】
駐車スペースP内への、自動車1の駐車位置Gの決定は、次の開始ステップをもとにして、算定ユニットのプログラムコードによって実行される。
【0028】
測定ユニットから伝達される、駐車スペースPの幅bと、算定ユニットに記憶されている、あらかじめ定められた最小幅b−minとの比較ステップ。
【0029】
幅bが最小幅b−min以下である場合には、駐車スペースPの長手方向中央軸Lからの距離が実質的に0になるように、駐車位置Gが定められる。すなわち、駐車位置Gにおいて、自動車1の長手方向中央軸Aは、駐車スペースPの長手方向中央軸Lとほぼ一致して延びている。
【0030】
幅bが最小幅b−minを超過している場合には、駐車スペースPの長手方向中央軸Lから距離dだけ間隔を置いて、別の駐車位置Gが定められる。すなわち、この別の駐車位置Gにおいては、自動車1の長手方向中央軸Aは、駐車スペースPの長手方向中央軸Lからある距離を置いて、それと平行に延びている。
【0031】
最小幅b−minは、この最小幅b−minを有する駐車スペースが与えられると、その駐車スペースに、標準的な幅を有する2台の自動車を、互いに隣り合わせに駐車することができ、かつ自動車の乗員の乗降車も可能であるような幅として、あらかじめ定められている。本明細書においては、最小幅b−minは、自動車1の車両幅のほぼ2.5倍と等しい。
【0032】
幅bが、あらかじめ定められた最小幅b−minを超過している場合には、駐車位置Gは、自動車1の運転席側の側面6または助手席側の側面7を、駐車スペースPに隣接する側方境界から、算定ユニットに記憶されている、あらかじめ定められた距離a1だけ隔てた状態で、自動車1が駐車位置Gに配置されるように決定される。この場合に、算定ユニットのプログラムコードにしたがって、可能であれば、自動車1の助手席側の側面7が、隣接境界から距離a1だけ隔たって配置される。しかしながら、助手席側の側面7に対応する側方境界が、測定ユニットによって検出されない場合には、すなわち、駐車スペースPが非常に広いか、または他方の側でしか横方向に画定されていない場合には、駐車位置Gは、自動車1の運転席側の側面6が、算定ユニットに記憶されている、あらかじめ定められた距離a2だけ、隣接する側方境界から隔たって駐車位置Gに配置されるように、算定ユニットによって定められる。
【0033】
しかしながら、それに替えて、幅bが、最小幅b−minを超過している場合に、自動車1の出発位置Sを出発点として、駐車位置Gにおいて、自動車1が、駐車プロセスの開始時点で自動車1から最も短い距離にあるか、または最少の駐車操作数で到達することができる駐車車両10または11から、あらかじめ定められた側方距離だけ隔たって配置されるように、常に、自動車1の駐車位置Gが定められるように、算定ユニットのプログラムコードを構成することもできる。この場合に、自動車1の運転者は、出発位置Sをあらかじめ定めることによって、駐車位置Gの決定に影響を与えることができる。さらに、駐車プロセス中に、運転者が選択手段を作動させることによって、または運転者が操舵に介入することによって、駐車位置Gに影響を与えることもできる。
【0034】
駐車位置Gに関する上述のことは、自動車の右側面が運転席側の側面を形成している、右ハンドルの自動車に対して、側面を逆にして、同様に適用しうる。
【0035】
駐車スペースPに駐車するために、運転者は、最初に、駐車スペースPを横側に見ながら、自動車1を車道Fに沿って操縦する。自動車1が通過するときに、幅b、および場合によっては、駐車スペースPの他の幾何学的データが、測定ユニットによって、側方距離センサ9および経路センサ(図示せず)を用いて特定される。これらのデータは、測定ユニットから算定ユニットに伝達され、算定ユニットは、駐車プロセスのための出発位置S、駐車スペースP内の自動車1の駐車位置G、および駐車経路Bを定める。駐車スペースPを通り過ぎると、利用可能な出発位置Sに到達したことが、自動車1の中央ディスプレイを介して、算定ユニットから運転者に示され、自動車1は、運転者によって、出発位置Sに一時的に停止させられる。
【0036】
自動車1が出発位置Sに停止すると、運転者は、バックギアをいれることによって駐車プロセスを開始する。この駐車プロセスにおいて、運転者は、加速および減速に介入することによって、自動車1の速度を制御し、一方、算定ユニットは、自動車1のバスシステムを介して、駐車経路Bにしたがって自動的に操舵を行う。したがって、自動車1は、出発位置Sを出発点として、駐車経路Bに沿って駐車位置Gまで後進する。
【0037】
種々の幅を有する駐車スペースPへの、自動車1の駐車プロセスに関する、より詳細な説明を、図1〜図4を参照して、以下に行う。
【0038】
図1による駐車スペースPは、対向し合って位置している両側部の各々を、それぞれ駐車車両10および11によって画定されている。この例においては、駐車スペースPの幅b(2台の駐車車両10と11との間の距離に等しい)は、あらかじめ定められた最小幅b−min未満の値を有している。したがって、自動車1の駐車位置Gは、算定ユニットによって、駐車スペースPの長手方向中央軸L上に配置される。すなわち、図1において点線で示されている駐車位置Gにおいて、自動車1は、その長手方向中央軸Aが、駐車スペースPの長手方向中央軸Lとほぼ一致して延びるように配置されている。したがって、駐車位置Gにおいて、運転席側の側面6および助手席側の側面7と、それらに横方向に隣り合う駐車車両10および11との間の距離は、互いにほぼ同一である。そのため、運転者および助手席の乗員は、快適に乗降車することができる。
【0039】
図2は、図1と同様に、対向し合って位置している両側部の各々を、それぞれ駐車車両10および11によって画定されている駐車スペースPへの自動車1の駐車プロセスを示している。しかしこの例においては、駐車スペースPの幅bは、最小幅b−minを超過している。したがって、算定ユニットは、駐車位置Gを、駐車スペースPの長手方向中央軸Lから距離dだけ間隔を置いて配置されるように定める。すなわち、図2において点線で示されている駐車位置Gにおいて、自動車1の長手方向中央軸Aは、駐車スペースPの長手方向中央軸Lから距離dだけ間隔を置いて、それに実質的に平行に延びている。
【0040】
この例においては、駐車位置Gにおいて、助手席側の側面7を、隣接する駐車車両10から、算定ユニットに記憶されている、あらかじめ定められた距離a1だけ隔てて、自動車1が配置されるように、駐車位置Gが定められる。距離a1は、自動車1の駐車位置Gにおいて、自動車1の助手席側の側面7からの、自動車の乗員の乗降車が可能であるような大きさに定められる。図2は、標準的な幅を有するもう1台の自動車を、自動車1の駐車位置Gに駐車している自動車1に横方向に隣接するように、さらに駐車することができることを明瞭に示している。
【0041】
図3は、自動車1の前進方向を見て手前側で、駐車車両11によって画定されている駐車スペースPへの自動車1の駐車プロセスを示している。反対側においては、駐車スペースPは、図3の外側に配置されている遠方の障害物によって画定されているか、または全く障害物によって画定されていない。
【0042】
障害物が距離を置いて、すなわち側方距離センサ9の検出範囲外に配置されていようと、それとも、駐車スペースPの一側に、駐車スペースPの側方境界が全く存在していなかろうと、どちらの場合にも、駐車プロセス支援装置によって、第2の側方障害物は検出されないのであるから、これは、駐車プロセス支援装置にとっては、それら2つの場合の間に実質的な差異はないということを意味している。ともあれ、自動車1の測定ユニットは、どの場合にも、経路センサおよび側方距離センサ9の距離測定に基づいて、一定の走行経路を辿って、駐車車両11の奥に、車道F沿いに第2の障害物は検出されないこと、したがって、駐車スペースPは、支援付き駐車プロセスのための十分な幅を有していることを認識する。次いで、算定ユニットによって決定された出発位置Sに達すると、支援付き駐車プロセスが可能であることが、出力デバイスを介して運転者に指示される。
【0043】
支援付き駐車プロセスが可能であることが認識されると、算定ユニットは、駐車スペースP内に駐車位置Gを定める。駐車スペースPの幅が、最小幅b−minを超過しているから、駐車位置Gは、算定ユニットによって、駐車スペースPの長手方向中央軸から距離を置いて定められる。この例においては、駐車位置Gは、駐車位置Gにおいて、自動車1が、駐車スペースPの、検出された単一の側方境界から、算定ユニットに記憶されている、あらかじめ定められた距離だけ隔たって配置されるように定められる。すなわち、図3において点線で示されているこの駐車位置Gにおいて、自動車1の運転席側の側面6が、隣接する駐車車両11から距離a2だけ隔たって配置される。距離a2は、運転者の乗降車のために、運転席側の側面6に隣接して、十分のスペースが利用可能になるような大きさに定められる。
【0044】
図4は、自動車1の前進方向を見て、車道Fに沿って奥側で、駐車車両10によって画定されている駐車スペースPへの駐車プロセスを示している。駐車スペースPの反対側は、いかなる境界によっても画定されていない場合もあるし、図4の外側に配置されている遠方の側方境界によって画定されている場合もある。どちらの場合にも、自動車1が、駐車車両10の前方を、車道Fに沿ってある距離だけ駐車スペースPを通過するまでの間、障害物は検出されず、したがって、支援付き駐車プロセスにとって十分な幅を有する駐車スペースPを利用可能であることが、算定ユニットによって認識される。
【0045】
駐車スペースPの幅が、最小幅b−minを超過しているから、駐車位置Gは、算定ユニットによって、駐車スペースPの長手方向中央軸から距離を置いて定められる。この例においては、駐車位置Gは、その駐車位置Gにおいて、自動車1が、検出された単一の側方境界から、または駐車プロセスの出発位置Sに位置しているときの自動車1から最短距離にある、駐車スペースPの側方境界から、算定ユニットに記憶されている、あらかじめ定められた距離だけ隔たって配置されるように定められる。したがって、図4において点線で示されているこの駐車位置Gにおいて、自動車1は、助手席側の側面7が、隣接する駐車車両10から距離a1だけ隔たるように配置される。距離a1は、助手席側の乗員の乗降車のために、助手席側の側面7に隣接して、十分のスペースが利用可能になるような大きさに定められる。
【符号の説明】
【0046】
1 自動車
2 前部領域
3 後部領域
4 フロントガラス
5 運転席
6 運転席側の側面
7 助手席側の側面
8,9 側方距離センサ
10、11 駐車車両
12 縁石
a1、a2、d 距離
A、L 長手方向中央軸
b 幅
B 駐車経路
F 車道
G 駐車位置
P 駐車スペース
S 出発位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道に交差する向きに配置されており、かつ少なくとも片側を側方境界によって画定されている駐車スペースへの、自動車の駐車プロセスを支援する方法であって、
− 測定ユニットによって、前記駐車スペースを測定し、
− 算定ユニットによって、前記駐車スペース内に、前記自動車の駐車位置を定め、
− 前記算定ユニットによって、前記駐車位置に至るまでの、前記自動車の駐車経路を決定する、
ステップを含んでいる方法において、
少なくとも、前記駐車スペースが、あらかじめ定められた最小幅(b−min)を超過しているときに、前記駐車位置(G)は、前記算定ユニットによって、前記駐車スペース(P)の長手方向中央軸(L)から、ある側方距離(d)だけ間隔を置いて定められることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記駐車スペース(P)の最小幅(b−min)は、前記駐車スペース(P)内に、前記自動車(1)に隣り合わせに、標準的な幅の少なくとも1台のさらなる乗用車を駐車することができる大きさに定められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記駐車位置(G)と、前記駐車スペース(P)の長手方向中央軸(L)との間の側方距離は、該駐車位置(G)において、前記自動車(1)が、その1つの側面(6、7)を、前記側方境界(10)からあらかじめ定められた側方距離(a1、a2)だけ隔てた状態で配置されるように、前記算定ユニットによって定められることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記駐車スペース(P)は、その両側部のそれぞれにおいて、対応する側方境界(10、11)によって画定されており、前記駐車位置(G)は、該駐車位置(G)において、前記自動車(1)が、その助手席側の側面(7)を、隣接する側方境界(10)からあらかじめ定められた側方距離(a1)だけ隔てた状態で配置されるように、前記算定ユニットによって定められることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記駐車スペース(P)は、その両側部のそれぞれにおいて、対応する側方境界(10、11)によって画定されており、前記駐車位置(G)は、該駐車位置(G)において、前記自動車(1)が、前記駐車プロセスの開始時に前記自動車(1)に最も近接している側方境界(10、11)からあらかじめ定められた側方距離(a1、a2)だけ隔たって配置されるように、前記算定ユニットによって定められることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記駐車プロセス中の前記自動車(1)の操舵は、前記算定ユニットによって、前記駐車経路(B)どおりに行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記駐車プロセス中、前記駐車経路(B)に沿った、前記自動車(1)の案内に関する情報が、出力装置を介して運転者に伝えられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
車道に交差する向きに配置されており、かつ少なくとも片側を側方境界によって画定されている駐車スペースへの、自動車の駐車プロセスを支援する装置であって、前記駐車スペースを測定する測定ユニットと、前記駐車スペース内に、前記自動車の駐車位置を定め、かつ該駐車位置に至るまでの、前記自動車の駐車経路を決定する算定ユニットとを備えている装置において、
少なくとも、前記駐車スペースが、あらかじめ定められた最小幅(b−min)を超過しているときに、前記算定ユニットが、前記駐車位置(G)を、前記駐車スペース(P)の長手方向中央軸(L)から、ある側方距離(d)だけ間隔を置いて定める手段を備えていることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記駐車プロセス中、前記駐車経路(B)どおりに前記自動車(1)の操舵を制御するために、該操舵を、前記算定ユニットによって行うことができることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記駐車プロセス中、前記駐車経路(B)に沿った、前記自動車(1)の案内に関する情報を運転者に伝えるために、出力装置が備えられていることを特徴とする請求項8または9に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−524298(P2011−524298A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513916(P2011−513916)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004134
【国際公開番号】WO2009/152977
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508108903)ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (22)