説明

自動車エバポレータ用洗浄エアーガン

【課題】異なった機種の自動車用エバポレータに対しても、共通して使用することができ、しかも汚染箇所を監視しながら集中して効率よく洗浄しうる乗用車エバポレータ用洗浄エアーガンを提供する。
【解決手段】屈曲性送気管に連結した送気口及び屈曲性送液管に連結した送液口を内蔵したスプレーヘッドを有するスプレーガンと、先端開口部をスプレーヘッド近傍に添着させ、基端にのぞき窓を有するスコープ本体を連結したファイバースコープとを備えた自動車エバポレータ洗浄用スプレーガンとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エバポレータ用洗浄エアーガンに関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、通風路が狭く、これまでの洗浄装置では洗浄困難であった自動車エバポレータに対しても、簡単に適用することができ、その汚染箇所を集中的に洗浄することができるコンパクトな構造の新規な自動車エバポレータ用洗浄エアーガンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車、特に乗用車のエバポレータには、カビや細菌などの微生物や塵埃などの付着に起因する汚染が生じやすく、このため、これを洗浄する方法や装置が種々提案されている。
例えば、これまでに、冷却器とこの冷却器に送風して空気を車室内に吹き出させる通風機とを有し、この冷却器の近傍に、防カビ剤を噴霧するノズルと防カビ剤を貯蔵するタンクと、このタンクから防カビ剤ノズルに供給するためのポンプを設けた自動車用空調装置(特許文献1参照)や、このような車両用空気調和装置が大型重量化及びコスト高になるのを防ぐ目的で、エバポレータ洗浄のために、消臭剤と発泡剤と水とを配合したスプレー式洗浄剤(特許文献2参照)などが提案されている。
【0003】
しかしながら、自動車のエバポレータは、カビや菌のような微生物、塵埃などが付着した場合に、その付着箇所を発見することが困難な上に、洗浄液を噴霧しても、汚染箇所に到達させにくいため、十分な洗浄が行いにくいという欠点がある。
【0004】
また、一方において、車の構造は、コンパクト化、軽量化、集約化の要求とともに、益々複雑となり、取り付けられるエバポレータも、メーカーや車種により多種多様であり、それぞれ対応する洗浄装置を設けることは、技術的、経済的にも不利になる傾向がみられる。
そのため、いずれの車種においても共通的に使用することができる、簡単な構造のエバポレータ用洗浄装置が強く要望されるようになってきた。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−45213号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】特開昭62−160913号公報(特許請求の範囲その他)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記した事情の下で、異なった機種の自動車用エバポレータに対しても、共通して使用することができ、しかも汚染箇所を監視しながら集中して効率よく洗浄しうる乗用車エバポレータ用洗浄エアーガンを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、簡単な構造を有し、汚染箇所を適確に捕捉し、効率よく洗浄を行うことができ、しかも異なった車種のエバポレータの洗浄にも同じように使用できる洗浄エアーガンを開発するために鋭意研究を重ねた結果、送風管及び送液管を屈曲性又はたわみ性材料で作製し、それぞれの管に接続する送風口及び送液口を内蔵させたスプレーヘッドの近傍に、ファイバースコープの一端を開口させ、汚染箇所を検知しながら洗浄することにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、屈曲性送気管3に連結した送気口及び屈曲性送液管7に連結した送液口を内蔵したスプレーヘッド4を有するスプレーガンと、先端開口部9をスプレーヘッド近傍に添着させ、基端にのぞき窓を有するスコープ本体10を連結したファイバースコープ8とを備えたことを特徴とする自動車エバポレータ洗浄用スプレーガンを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、自動車用エバポレータにおける狭窄した洗浄しにくい個所も、肉眼で観察しながら集中的に洗浄しうるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、添付図面に従って、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明のエアーガンの1例を示す斜視図であり、エアーガン本体1の先端部の銃口には、送気管3が連結されている。そして、この送気管3の先端には、スプレーヘッド4が取り付けられ、このスプレーヘッド4の液噴出口2,2,2には、一方の管口を洗浄液タンク6に連結した送液管7の他方管口が送液口5として取り付けられている。上記の送気管3と送液管7とは、所望により例えば接着テープなどにより一体に括ることができる。
【0011】
上記の送気管3及び送液管7は、屈曲性材料で屈曲自在に形成されていることが必要である。このように、送気管3と送液管7を屈曲自在に形成したことにより、自動車用エバポレータの狭い空隙部までも自由に洗浄液を噴射することができる。
【0012】
上記のスプレーヘッド4の近傍には、ファイバースコープ8の先端開口部9が添着され、スプレーヘッド4から噴射される洗浄液のターゲットを、常時ファイバースコープ8の基端に連結されたスコープ本体10に設けられたのぞき窓11を通して観察できるようになっている。
【0013】
エアーガン本体1の構造は、従来使用されているものと同じであり、エアーガン本体1の銃口には、エアーコンプレッサー(図示せず)から圧縮空気が供給され、エアーガン本体1のトリガ操作により、噴出程度を加減しうるようになっている。
【0014】
上記の送気管3及び送液管7を構成する屈曲性材料は、金属、プラスチックのいずれでもよく、例えば銅、アルミニウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどが用いられる。また、ガラス繊維、セルロース繊維、炭素繊維、金属繊維で編成した管にプラスチックを含浸させて、気密性、液密性を付与させたものを用いることもできる。
【0015】
上記の送気管3の長さは、エアーガン本体1を把持して容易に操作することができ、かつエバポレータの洗浄個所に到達することができる程度の長さであればよく、特に制限はないが、通常20〜50cm程度である。
また、送液管7の長さは、洗浄液タンク6を配置する位置に左右されるが、通常100〜200cm程度である。
【0016】
本発明におけるスプレーヘッド4は、容易に掃除しうるように、あるいは未使用時に保管しやいように、送気管3及び送液管7と着脱可能に構成するのが有利である。
【0017】
本発明におけるスプレーヘッド4の形状としては、特に制限はなく、洗浄液が集中して噴出される口嘴状のもの、側面から噴出される先端封止管状のもの、消火ホース筒状のものなど、その洗浄しようとするエバポレータの構造に応じ適宜選ぶことができる。
【0018】
次に、本発明におけるファイバースコープ8は、その先端開口部9を、スプレーヘッド4の噴射ターゲットやその周辺を十分に観察しうるように、スプレーヘッド近傍に添着することが必要である。そのため、スプレーヘッド4に連結されている送気管3の先端部分に、送気管軸に対し角度を付して、例えば5〜30度傾斜させて取り付けるのが好ましい。
【0019】
本発明のエアーガンを用いて、自動車用エバポレータを洗浄するには、先ずエアーガンの銃口に、エアコンプレッサーに連通する送気管3の一端を取り付け、その他端を、この送気管3と一体に括られた洗浄液タンク6に連通した送液管7の一端とともにそれぞれスプレーヘッド4の液噴出口2,2,2に連結する。
【0020】
次いで、エバポレータにあらかじめ設けられている差し込み口からスプレーヘッド4を差し込み、エアーガンの銃把を一方の手で把持し、他方の手でファイバースコープの本体10を操作し、のぞき窓11を通して洗浄すべきターゲットを観察しながら、トリガーを押し、洗浄液を噴射し、洗浄する。
この場合、ファイバースコープ8には、所望に応じ観察を容易にするためのライトを付設することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
自動車用のエバポレータの洗浄に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のエアーガンの1例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0023】
1 エアーガン本体
2 液噴出口
3 送気管
4 スプレーヘッド
5 送液口
6 洗浄液タンク
7 送液管
8 ファイバースコープ
9 先端開口部
10 スコープ本体
11 のぞき窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲性送気管に連結した送気口及び屈曲性送液管に連結した送液口を内蔵したスプレーヘッドを有するスプレーガンと、先端開口部をスプレーヘッド近傍に添着させ、基端にのぞき窓を有するスコープ本体を連結したファイバースコープとを備えたことを特徴とする自動車エバポレータ洗浄用スプレーガン。
【請求項2】
上記スプレーヘッドに連結した送気管及び送液管がスプレーガン本体と着脱自在に取り付けられている請求項1記載の自動車エバポレータ洗浄用スプレーガン。
【請求項3】
スプレーヘッドに内蔵された送気口及び送液口が送気管及び送液管の軸線に対して傾斜して連結され、ファイバースコープの先端開口部が、送気口及び送液口の延長線上に向けて開口している請求項1又は2記載の自動車エバポレータ洗浄用スプレーガン。

【図1】
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【公開番号】特開2009−30932(P2009−30932A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197429(P2007−197429)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000197975)石原薬品株式会社 (83)
【Fターム(参考)】