説明

自動車用カーテン具

【課題】窓の内側への着脱が容易な自動車用カーテン具を提供する。
【解決手段】自動車用カーテン具1は、リング状をなしそのリングを潰す方向の変位に対して復元弾性が働くカーテンフレーム3と、カーテンフレーム3に取り付けられたカーテン部材4とを備え、カーテンフレーム3は、自動車の窓2の車内側にある内周段部5にほぼ内嵌し得る形状であって少なくともリングの上辺3aと下辺3bの間隔が窓2の内周段部5の上下幅より大きく設定されており、前記上辺3aと下辺3bの間隔を窓2の内周段部5の上下幅より小さく強制変形させてその窓2の内周段部5に嵌め込むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓の内側に装着するカーテン具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の後部窓の内側をスクリーンで覆うことにより外部からの日射しを遮るようにした自動車用カーテン具がある。この自動車用カーテン具は、逆さロールカーテン形式であって、特許文献1に記載されているように、後部窓直下と後部座席との間に設けられた略水平な後部台(リヤパーセルシェルフ)にスクリーンの巻き込み装置を設置し、一方、後部窓の直上に止部材を設置し、この止め部材に前記巻き込み装置から引き出されたスクリーンの上端を引っ掛かけて止め、そうしてそのスクリーンで後部窓を覆うようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56−70315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動車用カーテン具は、スクリーンの巻き込み装置を後部台に固定し、さらにはスクリーンの止め部材を天井部に固定する必要があるため装置が大掛かりで設置が容易でなく、また、車内の後部台や天井部に取付用のビス孔等を開ける必要があるため、不要になった場合にビス孔等の跡が残って見苦しい、等の問題があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、その目的は、窓の内側への着脱が容易な自動車用カーテン具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
リング状をなし少なくともそのリングを潰す方向の変位に対して復元弾性が働くカーテンフレームと、
そのカーテンフレームに取り付けられたカーテン部材と、を備え、
前記カーテンフレームは、自動車の窓の車内側にある内周段部にほぼ内嵌し得る形状であって少なくともリングの上辺と下辺の間隔が前記窓の前記内周段部の上下幅より大きく設定されており、前記上辺と下辺の間隔を前記窓の内周段部の上下幅より小さく強制変形させてその窓の内周段部に嵌め込むようにした自動車用カーテン具を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載したように、前記カーテンフレームの少なくとも上辺に、前記内周段部に弾性変形して嵌り込む弾性部材が装着されている請求項1記載の自動車用カーテン具を提供する。
【0008】
また、請求項3に記載したように、前記カーテン部材は、前記カーテンフレームをほぼ左右に2分割した形状の2枚のカーテン構成半部材で形成されており、その各カーテン構成半部材の互いに対向する縁以外の縁が前記カーテンフレームの上辺と下辺と縦辺とに取り付けられている請求項1又は2記載の自動車用カーテン具を提供する。
【0009】
また、請求項4に記載したように、前記カーテンフレームは、下辺及び/又は上辺の一部をジョイント部材でつないでリング状にしたものであり、そのジョイント部材を外すことによってカーテンフレームの下辺及び/又は上辺の一部を開き得るようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用カーテン具を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動車用カーテン具は、カーテンフレームの上辺と下辺の間隔を、自動車の窓の車内側に元々存在する内周段部の上下幅より小さく強制変形させるだけで脱着でき、また、カーテンフレームの復元弾性による突張り力で窓の内側に固定されるため、設置が容易で尚且つ外した後もビス孔跡等が残らない。
【0011】
また、請求項2に記載の自動車用カーテン具は、カーテンフレームの少なくとも上辺に設けた弾性部材が、前記内周段部に弾性変形して嵌り込むため、カーテンフレームの固定がより確実になる。
【0012】
また、請求項3に記載の自動車用カーテン具は、カーテンフレームをほぼ左右に2分割した形状の2枚のカーテン構成半部材でカーテン部材が構成されているため、カーテン部材の中央を開け閉めすることが可能であり、しかもカーテン構成半部材の縁がカーテンフレームの縦辺にも取り付けられているため、カーテン部材を開け閉めしても左右の端が動くおそれがない。
【0013】
また、請求項4に記載の自動車用カーテン具は、カーテンフレームの途中にジョイント部材を設けてリングを閉じるようにしたため、該ジョイント部材を外してカーテンフレームの一部を開くことができ、その開いた部分を使ってカーテン部材の着脱が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】自動車用カーテン具の正面図である。
【図2】中間を省略した図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】後部座席側から見た使用状態を示す斜視図である。
【図4】(a)は、カーテンフレームのジョイント部分を示す一部拡大正面図、(b)はジョイント部分を外した状態を示す一部拡大正面図である。
【図5】自動車の後部窓を示す使用状態断面図である。
【図6】他の形態を示す自動車用カーテン具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
実施形態の自動車用カーテン具1は、自動車の後部窓2に対応するものであって、図1,図2に示したように、正面視リング状をなすカーテンフレーム3と、そのカーテンフレーム3に取り付けられたカーテン部材4と、から概略構成される。
【0016】
前記カーテンフレーム3は、自動車の後部窓2の車内側に元々存在する内周段部5(図5参照)にほぼ内嵌し得る形状であって、少なくとも上辺3aと下辺3bの間隔が後部窓2の内周段部5の上下幅より若干大きいリング状に形成されている。
【0017】
このカーテンフレーム3は、曲げ荷重に対して適宜弾性を有する例えば金属又は合成樹脂製の線材を、自動車の後部窓2の車内側の輪郭より若干大きい形状に曲げると共にその両端を図4(a)に示したように筒状のジョイント部材6の両端に差し込んで連結し、そうして切れ目のないリング状に形成してある。したがって、少なくとも上辺3aと下辺3bの間隔を小さく(狭く)してリングを潰す方向の変位に対し適度な復元弾性が働くようになっている。なお、カーテンフレーム3は、実施形態では断面円形の線材で形成したが、細長い帯板状の板バネ材を単独で又は多重に重ねてカーテンフレーム3の線材としてもよく、そうした場合にはより強い復元弾性を得ることができる。
【0018】
また、カーテンフレーム3には、少なくとも上辺3aに前記内周段部5に弾性変形して嵌り込む弾性部材3d,3d,3dが、適度な間隔で例えば3個装着されている。この弾性部材3d,3d,3dは、例えばウレタン製であり、実施形態では図5の拡大図に示したように短筒状に形成されているが、好ましくは短筒の外周面の全周又は周面の一部に溝を形成してスプラインシャフト状にするのが良い。そうすることで弾性部材3d,3d,3dの摩擦抵抗が増大するため、内周段部5に嵌まった状態において外れにくさ(カーテンフレーム3の支持力)が向上する。
【0019】
前記カーテン部材4は、図1に示したようにカーテンフレーム3に取り付けられる2枚のカーテン構成半部材40,40で形成される。各カーテン構成半部材40,40は、カーテンフレーム3をほぼ左右に2分割した形状であり、カーテンフレーム3に取り付けた状態でカーテン構成半部材40,40の互いに対向する縁同士の間に適度な広さの隙間7が出来るように大きさが設定されている。
【0020】
カーテン部材4は、レース生地でできており、上辺4aと下辺4b及びカーテンフレーム3の両横の縦辺3cに対応する縦辺4cとに筒状のフレーム通し4dが一連に形成され、このフレーム通し4dの中にカーテンフレーム3が通っている。したがって、各カーテン構成半部材40,40の互いに対向する縁以外の縁、すなわち上辺4aと下辺4b及び縦辺4cが、カーテンフレーム3の上辺3aと下辺3b及び縦辺3cに夫々取り付けられている。
【0021】
なお、フレーム通し4dの中にカーテンフレーム3を通すには、図4(b)に示したようにジョイント部材6の一方を外してリングの一部を開き、その開いた部分にカーテン構成半部材40,40のフレーム通し4dを入れてカーテンフレーム3をその中に通し、その後、図4(a)のようにジョイント部材6をつないでリング状に閉じればよい。
【0022】
その他、図5において符合8は自動車の後部座席、符合9は後部窓2の直下と後部座席8との間に設けられた略水平な後部台(リヤパーセルシェルフ)である。
【0023】
本発明の自動車用カーテン具1は以上のように構成されているため、カーテンフレーム3の上辺3aと下辺3bの間隔を後部窓2の車内側内周に元々存在する内周段部5の上下幅より手で小さく強制変形させてその内周段部5に嵌め込み、その状態で手を離すとカーテンフレーム3の復元弾性により内周段部5内に突張り状態になって係止される。
また、もしこの状態でカーテンフレーム3の突張り力が弱くて取付強度が不足する場合(カーテンフレーム3の上辺3aと下辺3bの間隔が、後部窓2の内周段部5の上下幅と同程度で変形量が少ない場合が考えられる。)は、図5の拡大図に示したように弾性部材3dを前記内周段部5の窪み内に押し込んで弾性変形させた状態にして嵌め込めばよい。
【0024】
このようにして本発明の自動車用カーテン具1を後部窓2に装着すれば、カーテン部材4により車内のプライバシーが保たれると共にある程度熱の出入りが抑制されるため省エネ効果も発揮する。なお、カーテン構成半部材40,40同士の間の隙間7は、カーテンフレーム3に沿って横方向にスライドさせることによりある程度調節することができる。また、カーテン構成半部材40,40同士を中央に寄せて隙間7を小さくする場合、カーテン構成半部材40,40の縦辺4cがカーテンフレーム3の縦辺3cに取り付けられていて動かないため、カーテン部材4の端に見苦しい隙間が生じない。
【0025】
一方、自動車用カーテン具1が不要になったり或は洗濯等の必要が生じた場合は、カーテンフレーム3の上辺3aを持って下方に押し下げて変形させるだけで後部窓2の内周段部5から簡単にしかも跡を残さず取り外すことができる。このとき内周段部5に弾性部材3dが嵌っている場合は、カーテンフレーム3を下方に押し下げて変形させる動作で外すことができる。
【0026】
次に、カーテン部材4を洗濯する場合は、後部窓2から外した自動車用カーテン具1のカーテンフレーム3のジョイント部材6を図4(b)のように外してリングの一部を開き、そこからカーテン構成半部材40,40を外して洗濯し、その後、カーテン部材4をカーテンフレーム3に戻せばよい。そして、その自動車用カーテン具1を上記の要領で後部窓2に装着する。
【0027】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態ではカーテン部材4に筒状のフレーム通し4dを一連に形成してそこにカーテンフレーム3を通すようにしたが、そのフレーム通し4dに代えて、カーテン部材4の上辺4aと下辺4bと縦辺4cに複数の短冊片を突設し、その短冊片をU字状に曲げてその端をカーテン部材4の裏面にボタンや面状テープ等の掛け外し可能な固定手段で止め、そうしてできた開放可能なフレーム止めループをカーテンフレーム3に巻回させるようにしてもよい。この場合、カーテンフレーム3をリング状にしたままカーテン構成半部材40,40が着脱できる利点がある。
【0028】
また、実施形態ではカーテンフレーム3をリング状に閉じるためにジョイント部材6を使用したが、カーテンフレーム3の両端部同士を接着してリングが開かないように固定してもよい。
【0029】
また、実施形態ではカーテン部材4を2枚のカーテン構成半部材40,40で形成したが、1枚の大きなカーテン部材をカーテンフレーム3に取り付けるようにしてもよいし、カーテン部材4を3枚以上に分割してカーテンフレーム3に取り付けるようにしてもよい。
また、図6に示したようにカーテン構成半部材40,40を前記実施形態より大きくして両者の間に隙間7が生じないようにしてもよい。この場合、カーテン構成半部材40,40の縁同士が重なり合うように大きさを設定し、その縁同士を着脱自在な面状テープやホック類で連結するようにすることもできる。なお、図6においてカーテン構成半部材40,40同士の重なり部分の下部に設けた窓孔状の切欠部4eは、車内の後部台9に設置されたランプ類を回避する目的で設けられたものである。
【0030】
また、実施形態では自動車の後部窓2に適合する自動車用カーテン具1を示したが、側面窓等に適合する形状にしてもよい。
また、カーテン部材4のレース生地の裏側を広告面にしてそこに広告を印刷等するようにしてもよい。この場合、レース生地を構成する糸に広告が印刷されるため後方の視界の妨げになるおそれがない。
【0031】
また、実施形態ではジョイント部材6をカーテンフレーム3の下辺3b中央に設けた例を示したが、カーテンフレーム3の上辺3aにジョイント部材6を設けてもよく、また、カーテンフレーム3の下辺3bと上辺3aの双方にジョイント部材6を設けてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 …自動車用カーテン具
2 …窓(後部窓)
3 …カーテンフレーム
3a…カーテンフレームの上辺
3b…カーテンフレームの下辺
3c…カーテンフレームの縦辺
3d…弾性部材
4 …カーテン部材
40,40…カーテン構成半部材
4a…カーテン構成半部材の上辺
4b…カーテン構成半部材の下辺
4c…カーテン構成半部材の縦辺
5 …内周段部
6 …ジョイント部材
7 …隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状をなし少なくともそのリングを潰す方向の変位に対して復元弾性が働くカーテンフレームと、
そのカーテンフレームに取り付けられたカーテン部材と、を備え、
前記カーテンフレームは、自動車の窓の車内側にある内周段部にほぼ内嵌し得る形状であって少なくともリングの上辺と下辺の間隔が前記窓の前記内周段部の上下幅より大きく設定されており、前記上辺と下辺の間隔を前記窓の内周段部の上下幅より小さく強制変形させてその窓の内周段部に嵌め込むようにしたことを特徴とする自動車用カーテン具。
【請求項2】
前記カーテンフレームの少なくとも上辺に、前記内周段部に弾性変形して嵌り込む弾性部材が装着されていることを特徴とする請求項1記載の自動車用カーテン具。
【請求項3】
前記カーテン部材は、前記カーテンフレームをほぼ左右に2分割した形状の2枚のカーテン構成半部材で形成されており、その各カーテン構成半部材の互いに対向する縁以外の縁が前記カーテンフレームの上辺と下辺と縦辺とに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用カーテン具。
【請求項4】
前記カーテンフレームは、下辺及び/又は上辺の一部をジョイント部材でつないでリング状にしたものであり、そのジョイント部材を外すことによってカーテンフレームの下辺及び/又は上辺の一部を開き得るようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用カーテン具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−10403(P2013−10403A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143608(P2011−143608)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(591077461)株式会社リード (11)