説明

自動車用ドア

【課題】 自動車用ドアの構成を、より簡単にできるようにする。ドアの組立作業と、このドアを構成するベゼルカバーの取り外し作業とが、それぞれ、より容易にできるようにする。
【解決手段】 自動車用のドア1が、ベゼルカバー25から突出し、トリム開口7の開口縁部21に係脱可能に係止される第1係止片28と、ベゼルカバー25から突出し、ハンドル操作部12に係脱可能に係止される第2係止片29と、ドアトリム6に対しほぼ直交する軸心8回りでのベゼルカバー25の往、復回動A,Bにより、トリム開口7の開口縁部21に対し第1係止片28を係脱可能に係止させる係止具32とを備える。この係止具32による上記係止状態から、ベゼルカバー25を軸心8回りに所定角度だけ復回動Bさせたとき、第1、第2係止片28,29による各係止状態が解除されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアトリムに形成されたトリム開口に内嵌されるドア開動作用のハンドル操作部と、上記トリム開口の開口縁部を車室側から覆って、車室の見栄えを向上させるベゼルカバーとを備えた自動車用ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記自動車用ドアには、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、上記自動車用ドアは、ドア本体の車室側の部分を構成するドアインナパネルを車室側から覆って上記ドアインナパネルに取り付けられるドアトリムと、上記ドアインナパネルに支持され、上記ドアトリムに形成されたトリム開口に内嵌されてドア開動作を可能とさせるハンドル操作部と、上記トリム開口の開口縁部を車室側から覆う環形状のベゼルカバーとを備えている。
【0003】
また、上記ベゼルカバーは、上記トリム開口を通しドアトリムの内側に嵌脱可能に嵌入され、上記ハンドル操作部に係脱可能に係止されるインナー部材と、上記トリム開口の開口縁部に係脱可能に係止されて、この開口縁部を車室側から覆うと共に、上記インナー部材に係脱可能に係止されるアウター部材とを備えている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−317265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の技術では、次のような問題点がある。
【0006】
第1に、上記ベゼルカバーは、互いに別体の上記したインナー、アウター部材と、これら両部材を係脱可能に係止させる係止体とを備えている。つまり、上記ベゼルカバーは複数の部品を有している。よって、ドアの構成が複雑になっている。
【0007】
第2に、上記ドアの組立作業は、次のようにしてなされる。即ち、上記ドアインナパネルに支持されたハンドル操作部にインナー部材を係止させる。一方、上記ドアトリムにアウター部材を係止させる。次に、上記ドアインナパネルにドアトリムを取り付ける。この際、上記インナー部材にアウター部材を係止させる。これにより、上記組立作業が終わる。
【0008】
ところで、前記したように、ベゼルカバーは多くの部品を有している。このため、上記したように、ハンドル操作部にインナー部材を係止させる作業に加え、上記トリム開口の開口縁部と上記インナー部材とにアウター部材をそれぞれ係止させる作業が必要である。この結果、上記ドアの組立作業は煩雑になると考えられる。
【0009】
第3に、乗員の好みなどにより、既設のベゼルカバーを、他の色や形状のベゼルカバーに取り換えようとするときなど、上記トリム開口の開口縁部とハンドル操作部とから上記既設のベゼルカバーを取り外そうとするときには、まず、上記ドアインナパネルからドアトリムを取り外し、この際、上記インナー部材に対するアウター部材の係止を解除させる。次に、上記ハンドル操作部から上記インナー部材を取り外すことが必要とされる。
【0010】
つまり、上記ベゼルカバーの取り外し作業では、上記ドアインナパネルからドアトリムを取り外すことが必要とされる。このため、上記ベゼルカバーの取り外し作業も煩雑になると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、自動車用ドアの構成を、より簡単にできるようにすることである。また、本発明の他の目的は、ドアの組立作業と、このドアを構成するベゼルカバーの取り外し作業とが、それぞれ、より容易にできるようにすることである。
【0012】
請求項1の発明は、ドアインナパネル4を車室3側から覆って上記ドアインナパネル4に取り付けられるドアトリム6と、上記ドアインナパネル4に支持され、上記ドアトリム6に形成されたトリム開口7に内嵌されてドア開動作を可能とさせるハンドル操作部12と、上記トリム開口7の開口縁部21を車室3側から覆う環形状のベゼルカバー25とを備えた自動車用ドアにおいて、
上記ベゼルカバー25から突出し、上記トリム開口7の開口縁部21に係脱可能に係止される第1係止片28と、上記ベゼルカバー25から突出し、上記ハンドル操作部12に係脱可能に係止される第2係止片29と、上記ドアトリム6に対しほぼ直交する軸心8回りでの上記ベゼルカバー25の往、復回動A,Bにより、上記トリム開口7の開口縁部21に対し上記第1係止片28を係脱可能に係止させる係止具32とを備え、この係止具32による上記係止状態から、上記ベゼルカバー25を上記軸心8回りに所定角度だけ復回動Bさせたとき、上記第1、第2係止片28,29による上記各係止状態が解除されるようにしたものである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記係止具32が、上記トリム開口7の内周面に形成され、上記ドアトリム6の厚さ方向に延びる溝部33と、この溝部33と平行に延びるよう上記第1係止片28に形成され、上記軸心8回りの上記ベゼルカバー25の往、復回動A,Bにより、上記溝部33に嵌脱自在に嵌合する突条体34とを備えたものである。
【0014】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0015】
本発明による効果は、次の如くである。
【0016】
請求項1の発明は、ドアインナパネルを車室側から覆って上記ドアインナパネルに取り付けられるドアトリムと、上記ドアインナパネルに支持され、上記ドアトリムに形成されたトリム開口に内嵌されてドア開動作を可能とさせるハンドル操作部と、上記トリム開口の開口縁部を車室側から覆う環形状のベゼルカバーとを備えた自動車用ドアにおいて、
上記ベゼルカバーから突出し、上記トリム開口の開口縁部に係脱可能に係止される第1係止片と、上記ベゼルカバーから突出し、上記ハンドル操作部に係脱可能に係止される第2係止片と、上記ドアトリムに対しほぼ直交する軸心回りでの上記ベゼルカバーの往、復回動により、上記トリム開口の開口縁部に対し上記第1係止片を係脱可能に係止させる係止具とを備え、この係止具による上記係止状態から、上記ベゼルカバーを上記軸心回りに所定角度だけ復回動させたとき、上記第1、第2係止片による上記各係止状態が解除されるようにしている。
【0017】
このため、第1に、従来の技術では、ベゼルカバーが互いに別体のインナー、アウター部材を備えるなど、部品点数が多くて構成が複雑であったが、これに比べ、上記発明のベゼルカバーは、上記従来の技術に比べて少ない部品点数で足りる。よって、上記ベゼルカバーを構成部品とするドアの構成を、より簡単にできる。
【0018】
また、第2に、上記ドアの組立作業は、次のようにすることができる。
【0019】
即ち、まず、ドアトリムに形成されたトリム開口の開口縁部に上記ベゼルカバーを係止させる。次に、このベゼルカバーを軸心回りで回動させて、上記トリム開口の開口縁部に対し上記係止具により上記第1係止片を係止させる。すると、上記ドアトリムに対し上記第1係止片とベゼルカバーとを介し第2係止片を所定位置に位置決めできる。次に、上記ハンドル操作部を支持したドアインナパネルに対し、上記ドアトリムを取り付ける。この際、上記ハンドル操作部に対し上記のように位置決めされた第2係止片により上記ベゼルカバーを係止させる。これにより、上記ドアの組立作業が終わる。
【0020】
このため、従来の技術では、ベゼルカバーが多くの部品を有していて、その分、ドアの組立作業が煩雑であった。しかし、これに比べて、上記発明では、ベゼルカバーの部品が少なく、その分、ドアの組立作業が、より容易にできる。また、上記したように、ドアトリムに対し第2係止片の位置決めができるため、その後、上記したようにドアインナパネルに上記ドアトリムを取り付けるとき、上記第2係止片は上記ハンドル操作部の所定位置に精度よく係止させることができる。よって、精度のよいドアの組立作業が、より容易にできる。
【0021】
また、第3に、乗員の好みなどにより、既設のベゼルカバーを、他の色や形状のベゼルカバーに取り換えようとするときなど、上記既設のベゼルカバーの取り外し作業をする場合には、まず、上記係止具による上記係止状態から、上記ベゼルカバーを所定角度だけ復回動させ、上記第1、第2係止片による上記各係止状態を解除させる。すると、上記トリム開口の開口縁部とハンドル操作部とから上記ベゼルカバーを取り外すことができる。よって、上記ベゼルカバーの取り外し作業には、従来の技術のように、ドアトリムの取り外し作業をすることは不要である。このため、上記ベゼルカバーの取り外し作業も、より容易にできる。
【0022】
請求項2の発明は、上記係止具が、上記トリム開口の内周面に形成され、上記ドアトリムの厚さ方向に延びる溝部と、この溝部と平行に延びるよう上記第1係止片に形成され、上記軸心回りの上記ベゼルカバーの往、復回動により、上記溝部に嵌脱自在に嵌合する突条体とを備えている。
【0023】
ここで、上記第1係止片はベゼルカバーに突設された片持ち状のものであって、それ自体の強度が不十分になりがちである。しかし、上記したように、第1係止片に突条体を形成したため、上記第1係止片は、上記係止具の突条体を利用するという簡単な構成により、その強度の向上が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の自動車用ドアに関し、自動車用ドアの構成を、より簡単にできるようにし、また、ドアの組立作業と、このドアを構成するベゼルカバーの取り外し作業とが、それぞれ、より容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0025】
即ち、自動車用ドアは、ドアインナパネルを車室側から覆って上記ドアインナパネルに取り付けられるドアトリムと、上記ドアインナパネルに支持され、上記ドアトリムに形成されたトリム開口に内嵌されてドア開動作を可能とさせるハンドル操作部と、上記トリム開口の開口縁部を車室側から覆う環形状のベゼルカバーとを備えている。
【0026】
また、上記ドアは、上記ベゼルカバーから突出し、上記トリム開口の開口縁部に係脱可能に係止される第1係止片と、上記ベゼルカバーから突出し、上記ハンドル操作部に係脱可能に係止される第2係止片と、上記ドアトリムに対しほぼ直交する軸心回りでの上記ベゼルカバーの往、復回動により、上記トリム開口の開口縁部に対し上記第1係止片を係脱可能に係止させる係止具とを備えている。この係止具による上記係止状態から、上記ベゼルカバーを上記軸心回りに所定角度だけ復回動させたとき、上記第1、第2係止片による上記各係止状態が解除される。
【実施例】
【0027】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0028】
図1−5において、符号1は、自動車用のサイドドアである。また、矢印Frは、この自動車の進行方向の前方を示している。
【0029】
上記ドア1は、板金製のドア本体2を備え、このドア本体2の車室3側の部分は、ドアインナパネル4により構成されている。
【0030】
上記ドアインナパネル4を車室3側から覆う樹脂製のドアトリム6が設けられている。このドアトリム6は、上記ドアインナパネル4にクリップなど不図示の固着具により着脱可能に取り付けられている。このドアトリム6には、円形のトリム開口7が形成され、このトリム開口7の軸心8は上記ドアトリム6に対しほぼ直交している。
【0031】
上記ドアインナパネル4の車室3側の面にドア1の開動作を可能とさせるハンドル操作部12が支持されている。このハンドル操作部12は、上記ドアインナパネル4に固着具13により固着されて支持され、ほぼ上記軸心8上に位置する椀形状の基部14と、この基部14の外周面に一体的に形成される鍔部15と、上記基部14に内嵌され、この基部14に枢支軸16により回動可能に枢支される操作ハンドル17とを備えている。上記ドア本体2を閉状態にロックする不図示のロック具と、上記操作ハンドル17とがケーブル18で連動連結されている。
【0032】
上記基部14に嵌入された操作ハンドル17を操作して、上記基部14の外方に向かうよう回動させれば(図4中一点鎖線)、この操作ハンドル17にケーブル18を介し上記ロック具が連動して、上記ロックが解除され、ドア開動作が可能となる。
【0033】
上記基部14と操作ハンドル17とは、上記トリム開口7に、上記ドアインナパネル4側から内嵌されている。この場合、上記鍔部15は、上記トリム開口7の開口縁部21と上記ハンドル操作部12の基部14との間の隙間22と、上記トリム開口7の開口縁部21とを上記ドアインナパネル4側から覆っている。
【0034】
上記基部14の外縁部24、隙間22、および上記トリム開口7の開口縁部21を車室3側から覆うベゼルカバー25が設けられている。このベゼルカバー25は、樹脂製で、ほぼ上記軸心8上に位置する円形の環形状とされている。上記ベゼルカバー25により、車室3の見栄えが向上させられている。なお、図面の理解を容易にするため、上記ベゼルカバー25は梨地模様で示している。
【0035】
上記ベゼルカバー25から上記ドアインナパネル4側に向かって突出し、その突出端部が上記トリム開口7を通過して上記トリム開口7の開口縁部21に係脱可能に係止される複数(2つ)の第1係止片28と、上記ベゼルカバー25から上記ドアインナパネル4側に向かって突出し、上記トリム開口7を通過して上記ハンドル操作部12の鍔部15に係脱可能に係止される複数(4つ)の第2係止片29とを備えている。
【0036】
上記第1係止片28と第2係止片29は、いずれも上記ベゼルカバー25に一体的に形成され、フック形状をなしている。また、上記第1係止片28と第2係止片29は、弾性的に屈曲可能とされている。また、上記各係止片28,29は、上記軸心8を中心とする仮想円上に配置され、かつ、周方向で、互いにほぼ等間隔に配置されている。
【0037】
上記第1係止片28と第2係止片29の上記各係止により、上記ベゼルカバー25は、上記トリム開口7の開口縁部21とハンドル操作部12の基部14の外縁部24とにそれぞれ圧接して、上記ドアインナパネル4側に取り付けられている。この状態で、上記軸心8回りに上記ベゼルカバー25が往、復回動A,B可能とされている。この場合、上記ベゼルカバー25と第1、第2係止片28,29とが、上記トリム開口7の開口縁部21とハンドル操作部12とにそれぞれ対向する部分は、これらトリム開口7の開口縁部21とハンドル操作部12とに対し、上記ベゼルカバー25の回動A,Bに伴い摺動する。
【0038】
上記ベゼルカバー25の往、復回動A,Bにより、上記トリム開口7の開口縁部21に対し上記第1係止片28を係脱可能に係止させる係止具32が設けられている。この係止具32は、上記トリム開口7の内周面に形成され、上記ドアトリム6の厚さ方向に延びる溝部33と、この溝部33と平行に延びるよう上記第1係止片28に一体的に形成される突条体34とを備えている。
【0039】
上記係止具32の溝部33と突条体34とは、各断面がそれぞれ半円形状をなしている。そして、上記軸心8回りに上記ベゼルカバー25を往、復回動A,Bさせたとき、上記第1係止片28が弾性変形を伴って、上記溝部33に対し上記突条体34が嵌脱可能に嵌合することとされている(図5中実線)。上記溝部33に対する突条体34の嵌合により、上記トリム開口7の開口縁部21に対し上記第1係止片28が係止される。すると、上記ドアトリム6に対し、ベゼルカバー25と第1、第2係止片28,29とが共に位置決めされる。
【0040】
図1−5中実線で示す上記係止具32による係止状態から、上記ベゼルカバー25を上記軸心8回りに所定角度だけ復回動Bさせたとき、上記係止具32による係止状態が解除されると共に、上記第1、第2係止片28,29による上記各係止状態が解除されるようになっている。
【0041】
より具体的には、上記各第1係止片28の近傍における上記トリム開口7の開口縁部21の各部分に第1切り欠き36が形成されている。また、上記ハンドル操作部12の鍔部15には、上記復回動Bの方向に向かって開口するコの字形状の第2切り欠き37が複数(4つ)形成されている。そして、上記各第2係止片29は、上記各第2切り欠き37の縁部に係止されている。
【0042】
そして、上記したように、係止具32による係止状態(図1−5中実線)から、上記ベゼルカバー25を上記軸心8回りに復回動Bさせる。すると、上記第1係止片28が弾性的に屈曲して、上記係止具32における溝部33から突条体34が離脱する。更に、上記ベゼルカバー25を復回動Bさせると、上記突条体34は、上記トリム開口7の内周面に圧接しながら、この内周面を上記復回動Bの方向に摺動する(図5中一点鎖線)。
【0043】
上記のようにして、係止具32による係止状態から上記ベゼルカバー25を所定角度だけ復回動Bさせる。すると、上記第1係止片28の突出端部は第1切り欠き36に対応して、上記開口縁部21への係止が解除される(図5中二点鎖線、図6)。また、上記第2係止片29の突出端部は第2切り欠き37の縁部から離脱して、上記ハンドル操作部12の鍔部15への係止が解除される。つまり、上記第1、第2係止片28,29による上記各係止状態が解除される。これにより、上記ベゼルカバー25は、上記トリム開口7の開口縁部21とハンドル操作部12とから取り外し可能となる(図6)。
【0044】
上記構成によれば、ベゼルカバー25から突出し、上記トリム開口7の開口縁部21に係脱可能に係止される第1係止片28と、上記ベゼルカバー25から突出し、上記ハンドル操作部12に係脱可能に係止される第2係止片29と、上記ドアトリム6に対しほぼ直交する軸心8回りでの上記ベゼルカバー25の往、復回動A,Bにより、上記トリム開口7の開口縁部21に対し上記第1係止片28を係脱可能に係止させる係止具32とを備え、この係止具32による上記係止状態から、上記ベゼルカバー25を上記軸心8回りに所定角度だけ復回動Bさせたとき、上記第1、第2係止片28,29による上記各係止状態が解除されるようにしている。
【0045】
このため、第1に、従来の技術では、ベゼルカバー25が互いに別体のインナー、アウター部材を備えるなど、部品点数が多くて構成が複雑であったが、これに比べ、上記構成のベゼルカバー25は、上記従来の技術に比べて少ない部品点数で足りる。よって、上記ベゼルカバー25を構成部品とするドア1の構成を、より簡単にできる。
【0046】
また、第2に、上記ドア1の組立作業は、次のようにすることができる。
【0047】
即ち、まず、ドアトリム6に形成されたトリム開口7の開口縁部21に上記ベゼルカバー25を係止させる。次に、このベゼルカバー25を軸心8回りで回動させて、上記トリム開口7の開口縁部21に対し上記係止具32により上記第1係止片28を係止させる。すると、上記ドアトリム6に対し上記第1係止片28とベゼルカバー25とを介し第2係止片29を所定位置に位置決めできる。次に、上記ハンドル操作部12を支持したドアインナパネル4に対し、上記ドアトリム6を取り付ける。この際、上記ハンドル操作部12の鍔部15に対し上記のように位置決めされた第2係止片29により上記ベゼルカバー25を係止させる。これにより、上記ドア1の組立作業が終わる。
【0048】
このため、従来の技術では、ベゼルカバー25が多くの部品を有していて、その分、ドア1の組立作業が煩雑であった。しかし、これに比べて、上記構成では、ベゼルカバー25の部品が少なく、その分、ドア1の組立作業が、より容易にできる。また、上記したように、ドアトリム6に対し第2係止片29の位置決めができるため、その後、上記したようにドアインナパネル4に上記ドアトリム6を取り付けるとき、上記第2係止片29は上記ハンドル操作部12の鍔部15の所定位置に精度よく係止させることができる。よって、精度のよいドア1の組立作業が、より容易にできる。
【0049】
また、第3に、乗員の好みなどにより、既設のベゼルカバー25を、他の色や形状のベゼルカバー25に取り換えようとするときなど、上記既設のベゼルカバー25の取り外し作業をする場合には、まず、上記係止具32による上記係止状態から、上記ベゼルカバー25を所定角度だけ復回動Bさせ、上記第1、第2係止片28,29による上記各係止状態を解除させる。すると、上記トリム開口7の開口縁部21とハンドル操作部12とから上記ベゼルカバー25を取り外すことができる。よって、上記ベゼルカバー25の取り外し作業には、従来の技術のように、ドアトリム6の取り外し作業をすることは不要である。このため、上記ベゼルカバー25の取り外し作業も、より容易にできる。
【0050】
また、前記したように、係止具32が、上記トリム開口7の内周面に形成され、上記ドアトリム6の厚さ方向に延びる溝部33と、この溝部33と平行に延びるよう上記第1係止片28に形成され、上記軸心8回りの上記ベゼルカバー25の往、復回動A,Bにより、上記溝部33に嵌脱自在に嵌合する突条体34とを備えている。
【0051】
ここで、上記第1係止片28はベゼルカバー25に突設された片持ち状のものであって、それ自体の強度が不十分になりがちである。しかし、上記したように、第1係止片28に突条体34を形成したため、上記第1係止片28は、上記係止具32の突条体34を利用するという簡単な構成により、その強度の向上が達成される。
【0052】
なお、以上は図示の例によるが、上記ベゼルカバー25は矩形や楕円形状などの環形状であってもよい。また、上記トリム開口7の内周面に突条体34を形成し、上記第1係止片28に溝部33を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図3の1−1線矢視断面図である。
【図2】ドアを車室側からみた斜視図である。
【図3】ドアの一部を車室側からみた側面図である。
【図4】図3の4−4線矢視断面図である。
【図5】図1の5−5線矢視断面図である。
【図6】図3に相当する図で作用説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ドア
2 ドア本体
3 車室
4 ドアインナパネル
6 ドアトリム
7 トリム開口
8 軸心
12 ハンドル操作部
21 開口縁部
22 隙間
24 外縁部
25 ベゼルカバー
28 第1係止片
29 第2係止片
32 係止具
33 溝部
34 突条体
36 第1切り欠き
37 第2切り欠き
A 往回動
B 復回動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアインナパネルを車室側から覆って上記ドアインナパネルに取り付けられるドアトリムと、上記ドアインナパネルに支持され、上記ドアトリムに形成されたトリム開口に内嵌されてドア開動作を可能とさせるハンドル操作部と、上記トリム開口の開口縁部を車室側から覆う環形状のベゼルカバーとを備えた自動車用ドアにおいて、
上記ベゼルカバーから突出し、上記トリム開口の開口縁部に係脱可能に係止される第1係止片と、上記ベゼルカバーから突出し、上記ハンドル操作部に係脱可能に係止される第2係止片と、上記ドアトリムに対しほぼ直交する軸心回りでの上記ベゼルカバーの往、復回動により、上記トリム開口の開口縁部に対し上記第1係止片を係脱可能に係止させる係止具とを備え、この係止具による上記係止状態から、上記ベゼルカバーを上記軸心回りに所定角度だけ復回動させたとき、上記第1、第2係止片による上記各係止状態が解除されるようにしたことを特徴とする自動車用ドア。
【請求項2】
上記係止具が、上記トリム開口の内周面に形成され、上記ドアトリムの厚さ方向に延びる溝部と、この溝部と平行に延びるよう上記第1係止片に形成され、上記軸心回りの上記ベゼルカバーの往、復回動により、上記溝部に嵌脱自在に嵌合する突条体とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−35989(P2006−35989A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217639(P2004−217639)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)