説明

自動車用座席の調節装置のための互いに溶接された部材

自動車用座席の調節装置のための互いに溶接された部材は、抵抗溶接過程により互いに溶接されている。一方の部材(1)はその表面(1h)より上に結合面側に突出している環状のエンボス加工部(1f:1g)を備え、これらのエンボス加工部が他方の部材(2)の補完し合うような切欠き部(2a;2b)内で係合する。エンボス加工部(1f:1g)は、抵抗溶接過程の間、切欠き部(2a;2b)内に押込まれている。
部材(1)の少なくとも一つが、環状のエンボス加工部(1f;1g)から横方向で間隔をおいて設けられた補助的なエンボス加工部(1a;1b,1c)を備え、これらのエンボス加工部が、他方の部材(2)の切欠き部(2a;2b)内への、部材(1)の環状のエンボス加工部(1f;1g)の押込み深さを、両方の部材(1;2)の互いに向かい合った表面(1h;2c)が間隔を互いに維持するように制限している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による互いに溶接可能な部材に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサパルス溶接工程により互いに溶接されるこの種の技術の部材が公知である(特許文献1)。これらの公知の部材の場合、切り子状突起として示されたエンボス加工部がコンデンサパルス溶接工程の間、互いに向かい合った表面が溶接後、互いに緊密に当接し合っている程度に、二つの部材の対応する切欠き部内に押込まれる。溶接工程の際に押出される体積を収容することが可能であるように、部材の少なくとも一つにおける切り子状突起として示されたエンボス加工部の領域内に、受入れポケットが設けられている。
【0003】
公知の方法で二つの部材を溶接するのは不利である。というのも密な圧着部分に対して設けられた二つの部材の表面は、公差があるため曲がっているからである。このことは、
特に互いにかみ合うかみ合い部を有する、自動車用座席の背もたれ用の傾斜調節装置のような精密な調節装置の場合に不利であることがわかる。これらの調節装置には二つの互いにかみ合う部材の旋回軸線の最大可能な完全な平行度が必要である。
【0004】
さらに、公知の部材の場合に使用された特殊な抵抗溶接法、すなわちコンデンサパルス溶接工程は比較的費用がかかる。
【特許文献1】ドイツ国特許第4339508号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術から出発して、本発明の根底をなす課題は、溶接工程後の正確な向きが達せられ、かつ溶接工程の際押出される体積のための受入れポケットを設けなくてもよいことが可能になる、互いに溶接可能な部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は請求項1の特徴により解決される。
【0007】
本発明の好ましい実施例は従属請求項から得られる。
【0008】
以下に本発明の好ましい実施形態を図に基づき詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の好ましい実施形態を図に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
図示した実施例では、第一部材1と第二部材2が互いに溶接されている。第一部材1は図示した実施例では第二部材2、すなわち自動車の背もたれ用の傾き調節金具の金具下方部分に溶接されているアダプタである。この第一部材1は二つの環状のエンボス加工部(Auspragung) 1fと1gを有している。これらの環状の エンボス加工部 1fと1gは第一部材1の表面1hの上方に突き出している。これらの環状の エンボス加工部は中央の貫通孔1kを有しており、この貫通孔は図3から環状のエンボス加工部1fのそばに位置することが明らかである。第一部材1には、横方向で環状のエンボス加工部1fと同様に環状のエンボス加工部1gに対して間隔を置いて補助的なエンボス加工部1a,1bおよび1cが設けられており、これらのエンボス加工部はリブの形状を有する。共通な表面1hに対する補助的なエンボス加工部1a,1bおよび1cの高さは同じである。補助的なエンボス加工部は全て溶接された状態で第二の部材2の表面2cに当接している。エンボス加工部1fと1gは、第二部材2の通過開口部として形成されている補完し合うような切欠き部2aと2bにおいて係合している。抵抗溶接にあって、材料は環状のエンボス加工部と所属する切欠き部の間の領域内で溶解する。この溶解された溶接材料1iは、間隙として表面1hと2cの間に形成された自由空間内に達する。
【0011】
アダプタとして形成された第一部材1は、湾曲形状の凹部1eと引き続くクランプ領域1dを有する。クランプ領域1dは部材2の近傍領域、ならびにここでは図示していない金具上部にオーバーラップしている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】二つの互いに溶接された部材の斜視図である。aは一方の部材の斜視図であり、bは他方の部材の斜視図である。
【図2】図1に示された互いに溶接された部材の平面図である。
【図3】図2の切断平面III−IIIに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 部材
1a 切欠き部
1b 切欠き部
1c 切欠き部
1f 環状のエンボス加工部
1g 環状のエンボス加工部
1h 表面
2 部材
2a 切欠き部
2b 切欠き部
2c 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の部材(1)が、その表面(1h)より上に結合面側に向かって突出している、少なくとも一つの環状のエンボス加工部(1f;1g)を備え、このエンボス加工部が他方の部材(2)の補完し合うような切欠き部(2a;2b)内に係合し、かつ抵抗溶接過程の間切欠き部内に押込み可能な様式の、自動車用座席の調節装置のための互いに溶接された部材において、
部材(1)の少なくとも一つが、環状のエンボス加工部(1f;1g)から横方向に間隔をおいて設けられた補助的なエンボス加工部(1a;1b,1c)を有しており、これらのエンボス加工部が、他方の部材(2)の切欠き部(2a;2b)内への、一方の部材(1)の環状のエンボス加工部(1f;1g)の押込み深さを、両方の部材(1;2)の互いに向かい合った表面(1h;2c)が間隔を互いに維持するようにして制限していることを特徴とする部材。
【請求項2】
補助的なエンボス加工部(1a;1b,1c)が、各々付属する部材(1)の表面(1h)より上に同じ高さだけ突出していることを特徴とする請求項1記載の部材。
【請求項3】
環状のエンボス加工部(1f;1g)が、円形の周囲輪郭を有しており、かつ他方の部材(2)の円形の切欠き部(2a;2b)内へ係合していることを特徴とする請求項1または2に記載の部材。
【請求項4】
円形の周囲輪郭が少なくともほぼ截頭円錐形の周囲輪郭に対応していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の部材。
【請求項5】
補助的なエンボス加工部(1a;1b,1c)が、縦長のリブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の部材。
【請求項6】
エンボス加工部(1a;1b;1c;1f;1g)が全て同じ部材(1)に設けられていることを特徴とする請求項項1〜5のいずれか一つに記載の部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−507130(P2006−507130A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569020(P2004−569020)
【出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013740
【国際公開番号】WO2004/078512
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(597040511)フアウレシア・アウトジッツェ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (3)