説明

自動車用電子キー

【課題】キーをどこに入れたか分からなくなって探し回らなければならなくなる事態をできるだけ回避し、かつ外観的にもスマートな自動車用電子キーを得る。
【解決手段】万年筆やボールペンなどの筆記具、あるいはマスカラや口紅などの化粧品に似せた形状としてある。これらの筆記具や化粧品は、キャップを外して使用するようになっており、このキャップを鍵の摘みにして筆記具の軸ないし化粧品の本体の部分を電子キーの本体とする。非常時に用いる鍵は、キャップに固定されており、キャップを本体に取り付けたときに、鍵が本体に収納される構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用の電子キーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアの施錠/解錠並びに自動車の運転装置の電源のオンオフ及びエンジンの始動停止を行うために自動車用キーが用いられている。自動車用キーは、ドアや運転席に設けられている鍵穴に差し込んで回すことによってドアの施錠や開錠、運転装置の電源のオンオフ及びエンジンの始動を行うことができるようになっているが、使用者の便宜のために赤外線等を利用した遠隔操作により、離れた位置からキーに設けた押しボタンを操作することによってドアの施錠/解錠を行うことを可能にしたキーが一般的に用いられている。
【0003】
更に近時、運転者の便宜とセキュリティの向上とを考慮したキーとして、スマートキーと呼ばれる電子キーが実用されている。このキーは、服のポケットに入れたり、ハンドバッグに入れているだけでキーとしての機能を発揮するもので、キーを身に付けている人がドアの把手や押しボタンを操作することにより、自動的にドアの施錠や運転装置のロックが解除されて、自動車の運転操作が可能になるというものである。
【0004】
スマートキーは電子的に自動車のドアの施錠や開錠を行ったり、自動車の電気装置のオンオフを行って運転操作を可能にするものであるが、キーの電子系統に異常が生ずると、自動車の運転操作は勿論のこと、ドアを開くことすらできなくなってしまう。そのような事態が生ずると、運転者は大変困難な状況に置かれてしまうため、これらの電子キーには緊急用のために従来と同様に鍵穴に差し込んで使う金属製の鍵(以下、単に「鍵」と言う。)が設けられている。この鍵は、従来と同様に鍵穴に差し込んだり引き出したりするための摘みが設けられており、キー本体から摘みを持って引っ張ると、摘みと共に鍵が引き出されて当該鍵を使用することができるようになっている。
【0005】
従来のスマートキーは、角や縁を滑らかに成形した小さくて若干偏平な箱形をしており、その箱形の長手方向の一方の端の部分が鍵の摘みになっている。キーの電子装置に異常が生じたときには、摘みを本体から外すと、摘みに固定されている鍵が引き出されて本体から分離し、従来の鍵と同様に鍵穴に差し込んで、ドアの施錠開錠や自動車の運転操作を行うことができるようになる。
【0006】
鍵は、従来は偏平な金属板の側辺に種々の形状の凹凸を設けたものが多く使用されていたが、電子キーに付属の鍵としては、全体を小型にするために側面に溝を設けた細い棒状の鍵が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子キーは1台の自動車について1個設けられるのが普通で、多数のキーを付属させることは、セキュリティ上好ましくない。そのため、自動車用電子キーは、服や持って行くバッグを変えたときにも忘れないように持ち歩くことが必要である。従来の自動車用キーであれば、自動車の運転操作を行うときに一々取り出さなければならないので、キーがどこにあるかを認識することは比較的容易である。しかし、電子キーは、たとえどこに入れておいても身に付けていさえすれば自動車の運転が可能なので、洋服を変えたりバッグを取り替えたときに、ポケットのあちこちを探ったり、バッグをかき回したりしてキーを探さなければならないという事態が往々にして起る。また、従来の電子キーは、その機能がスマートであるにしても、その外観はあまりスマートと言えないものが多かった。
【0008】
この発明は、このような問題を解決してキーをどこに入れたか分からなくなって探し回らなければならなくなる事態をできるだけ回避し、かつ外観的にもスマートな自動車用電子キーを得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の自動車用電子キーは、万年筆やボールペンなどの筆記具、あるいはマスカラや口紅などの化粧品に似せた形状としてある。これらの筆記具や化粧品は、キャップを外して使用するようになっており、このキャップ2(2a、2b、2c)を鍵3の摘みにして筆記具の軸1aないし化粧品の本体1b、1cの部分を電子キーの本体1(1a、1b、1c)とする。非常時に用いる鍵3は、キャップ2に固定されており、キャップ2を本体1に取り付けたときに、鍵3が本体1に収納される構造である。
【発明の効果】
【0010】
自動車を頻繁に運転する者はビジネスユースで自動車を運転する場合が多く、このような者はボールペンなどの筆記具を常に携帯している。筆記具を服のポケットに挿しているか、あるいは筆箱のようなケースに入れているかにかかわらず、服を変えたりバッグを変えたりして出かけるときに、その筆記具やケースを携帯する。
【0011】
また、女性はハンドバッグの中に化粧品を常に携帯している。化粧品は、一種類のみではないから、いくつかの化粧品をケースなどに入れて携帯する。バッグを変えて外出するとき、これらの化粧品をそっくりバッグに入替えて携帯する。
【0012】
従って、電子キーを筆記具形にして筆記具と一緒に入れるように、ないしは身に付けるようにすれば、電子キーが筆記具と共に管理されるため、管理の手間が省け、どこにあるかも容易に分かり、かつキーを忘れることも少なくなる。また、電子キーを化粧品と共に管理するようにすれば、同様に管理の手間が省け、キーをどこに入れたか分からなくなることもなくなり、キーを忘れることもなくなる。
【0013】
そして、電子キーは、身に付けているだけで作動するので、一々取り出す必要がないから、取り出すのが多少煩雑になっても問題は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】キャップを外した状態で示す第1実施例の側面図
【図2】第1実施例の背面図
【図3】第1実施例の斜視図
【図4】キャップを外した状態で示す第2実施例の背面図
【図5】第2実施例の側面図
【図6】第2実施例の背面図
【図7】キャップを外した状態で示す第3実施例の背面側から見た斜視図
【図8】第3実施例を側面側から見た斜視図
【図9】第3実施例を背面側から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の実施例を説明する。図1ないし図3は、この発明の第1実施例を示した図で、筆記具形にした電子キーを示した図である。図の電子キーは、ペン軸となる本体1aと、その軸端に覆着されるキャップ2aとを備えており、キャップ2aには、服のポケットの縁などに係止するためのクリップ4が取付けられている。本体1aのキャップ2a側の端部には、鍵3を収納するための孔が開口しており、鍵3は、キャップ2aの本体側の端部に軸方向に突出して固定されている。本体1a及びキャップ2aは、細長い円筒形で、本体1aにキャップ2aを取り付けたときの形状は、キャップを被せた万年筆やボールペンのような外観をしている。図の実施例では、本体1a及びキャップ2aは、断面の径が略一定の円筒形をしているが、ボールペンの形状によくあるように、両端、すなわちキャップの先端と本体の基端が細くなった紡錘形をした形状とすることもできる。
【0016】
図4ないし図6は、この発明の第2実施例を示した図で、外観をマスカラに近似した形状としたものである。マスカラは、キャップと本体からなり、本体には化粧液が入っており、キャップには本体内に延びるブラシが取付けられている。この第2実施例の電子キーは、マスカラと同様な外観の本体1bとキャップ2bからなり、本体1bに電子キーの電子装置が内蔵され、かつキャップ側の端部に開口する鍵収納用の空所が設けられている。キャップ2bは、本体1b側の端部中央に鍵3を突出した状態で固定してあり、キャップ2bを本体1bに被せるとき、鍵が本体の空所に収納される。
【0017】
図7ないし図9の実施例は、外観を口紅に似た形状としたもので、図では短い六角柱状の形状である。口紅は、本体が空洞でキャップ2cに口紅のスティックが取り付けられている。この第3実施例の電子キーは、口紅の本体ケースに似た形状の本体1cに電子キーの電子回路が内蔵され、キャップ側を向く端部に鍵3の収納部が開口し、キャップ2cの本体1c側の端部に本体側に突出した形で鍵3が固定されている。
【0018】
第2及び第3実施例の電子キーは、本物のマスカラや口紅などの化粧品と一緒に保管してあれば、電子キーを化粧品と別に管理する必要がなくなり、管理が容易になって置き場所が分からなくなったり、持ち出すのを忘れたりすることがなくなる。
【0019】
これらの実施例のキャップには、小さな2つの押しボタン5が設けられており、この押しボタンは、遠距離操作するためのボタンで、通常は使用する必要がない。
【0020】
鍵で施錠/解錠するキーは、通常、鍵を鍵穴に差し込んで回動することによって施錠/解錠を行うようになっている。この発明の電子キーに付属する鍵は、鍵を回動する際、従来のものより若干操作性に劣るかもしれないが、そのような操作は稀にしかしないものであり、また、筆記具形のものではクリップ4が、マスカラ形や口紅形のものでは、押しボタン5が指の引っかかりとなって、鍵を回動するのにそれほどの困難は生じない。また、鍵を差し込むだけで作動する鍵もあることから、自動車用の鍵としてそのような鍵を使用することにより、回動操作が不要な鍵とすることも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1(1a、1b、1c) 本体
2(2a、2b、2c) キャップ
3 鍵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体とその一端に嵌合されるキャップとを備え、当該キャップには本体に嵌合したときに本体内に差し込まれる鍵を備え、キャップを本体に嵌合したときの全体の形が両端がくびれた又はくびれていない多角筒ないし円筒形である、自動車用の電子キー。
【請求項2】
キャップを本体に嵌合したときの全体の形状及び寸法を万年筆ないしボールペンその他の筆記具の形状及び寸法とした、請求項1記載の自動車用の電子キー。
【請求項3】
キャップを本体に嵌合したときの全体の形状及び寸法をマスカラないし口紅その他の化粧品の形状及び寸法とした、請求項1記載の自動車用の電子キー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−172381(P2012−172381A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34953(P2011−34953)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(511046232)