説明

自動開放型シャックル組立体

本発明は、建設現場において鉄骨構造物を運搬するためのシャックル組立体に関するもので、シャックルボディと、第1、第2及び第3のシャックルピンと、第1及び第2の弾性手段と、上下移動手段と、制御手段とを含み、シャックルピン及び弾性手段を複数個備えることで、軽量かつ低価格で、作業の安定性及び効率性を十分に確保する効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場でH型鋼材などのような鉄骨構造物を運搬するための自動開放型シャックル組立体に関し、特にリモコンを用いた遠隔制御操作で鉄骨構造物との分離作業をより簡便かつ安全に行うことができる自動開放型シャックル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の建設産業において、建設する建築物が大型化及び多機能化の傾向にあり、また、敷地面積の制限によって建築物は超高層化及び地下階層化の傾向にもある。従って、建設産業の傾向に応じた大型建築物の建設過程において、基礎鉄骨工事が最も重要な工程とされている。鉄骨工事は、大型建築物の建築過程において必須な工事であり、建物の骨組みを形成する過程である。このような鉄骨工事の基本作業は、建設現場に設けられたタワークレーンによる各種構造物の引き揚げと、作業員による所望の階への組み立てである。
【0003】
このような鉄骨構造物を設置するためには、まず、シャックルなどを用いて鉄骨構造物をタワークレーンなどに連結する必要がある。即ち、図1に示されるように、鉄骨構造物110の上端両側に組立孔121を有する連結部材120をそれぞれ溶接し、連結部材120の組立孔121にシャックル組立体130を構成するシャックルボディ131をシャックルピン132及びナット133を用いて締結固定した後、シャックルボディ131にクレーンのフック140などを連結する。
【0004】
次いで、クレーンのフック140に連結された鉄骨構造物10を引き揚げた後、組立位置へ正確に移動させて仮組みを行う。その後、作業員が鉄骨構造物110の上部に登って鉄骨構造物110からシャックル組立体130を分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許公報第1998−022332号
【特許文献2】韓国公開特許公報第1999−0033087号
【特許文献3】韓国公開特許公報第2006−0066680号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来方法では、鉄骨構造物110からシャックル組立体130を分離する作業が作業員の手作業で行われている。即ち、作業員がクレーンに連結された鉄骨構造物110の最上部へ上って分離作業を行う必要があるため、墜落事故などの危険性があり、全体としての作業効率が低下する問題点がある。
【0007】
上記の問題点を解決する技術として、特許文献1に示された「Hビームクランプ用シャックルの遠隔制御装置」と、特許文献2に示された「自動開閉型電動フック」、特許文献3に示された「自動開放型シャックル組立体」が挙げられる。これらの公知技術は、遠隔制御操作によってクレーンに連結された鉄骨構造物を自動に分離できるように構成している。
【0008】
特許文献1に記載の技術は、ハンドル操作により開閉されるように構成された既存のシャックル組立体のシャックルピンを遠隔制御信号に応じて左右移動させることでクレーンに連結された鉄骨構造物を自動で分離するように構成している。しかし、この技術では、既存のシャックル組立体の構成が複雑であり、これに遠隔制御装置との連結用の構成がさらに付加されているため、その構成が非常に複雑であるだけでなく、重くなるという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、ギヤ列のメカニズムを通じて支持部材を遠隔制御信号に応じて左右移動させる。また、作業員の誤操作による動作を制御するための別の安全装置として、鉄骨構造物の重量を感知するロードセルを備えている。これにより、安定した状態でクレーンに連結された鉄骨構造物を自動で分離することができる。しかし、この技術は、高価なロードセルが必要となるため、コストアップの問題がある。
【0010】
なお、特許文献3は、本発明の発明者らが開発した技術であって、図12及び図13に示されるように、シャックル組立体300においては、上下移動手段350が下方向へ移動してシャックルピン330に設けられた固定穴に挿入されることでシャックルピン330がシャックルボディ320を横切って閉鎖状態となり(図13)、上下移動手段350が上方向へ移動すると(図12)、弾性体340の弾性力によりシャックルピン330がスライド移動して鉄骨構造物との分離作業が行われる。
【0011】
しかし、この技術では、シャックルピン330を図13に示すような閉鎖状態に維持するための手段として、上下移動手段350のみを備えているが、一般にシャックルピン330を開放するためには相当な大きさの復元力が必要となる。この復元力を上下移動手段350の固定ピンのみが負担する場合は、上下移動手段350が負担すべき荷重が大きくなる。従って、上下移動手段350に大きな力を付与するためには、装置の構成が大きくなってしまう(バッテリの容量、ギヤ列を使用するなど)。なお、復元力を小さくすると、シャックルピン330に作用する摩擦力によって円滑な開放が難しくなるという問題がある。
【0012】
また、シャックルピン330を開放状態に戻すための弾性手段340が1つだけ設けられているため、弾性手段に要求される弾性力のレベルが非常に高い。
【0013】
このような高い荷重及び弾性力を満たす上下移動手段350及び弾性手段340を実現するため、装置の構成が増大及び複雑化するという問題があった。
【0014】
従って、本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、リモコンを用いた上下移動手段に対する遠隔制御操作に応じて噛み合いが解除されると、弾性体の弾性力によりシャックルピンがスライド移動して鉄骨構造物との分離作業を行うことができる自動開放型シャックル組立体において、上下移動手段に要求される荷重と弾性手段に要求される弾性力を軽減させることで、軽量でありながら低価格で作業の安定性を十分に確保することができる、自動開放型シャックル組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明に係る自動開放型シャックル組立体は、鉄骨構造物の一部分が挿入されて支持する開放部を有するシャックルボディと、前記シャックルボディの前記開放部を横切って直線移動することで、前記開放部を開放または閉鎖して鉄骨構造物を支持する第1のシャックルピンと、前記第1のシャックルピンが前記開放部を開放するのに必要な弾性力を与える第1の弾性手段と、前記第1のシャックルピンを閉鎖状態に保持する突起と、前記開放部を閉鎖する方向へ移動するとき、前記第1のシャックルピンに接触して前記第1のシャックルピンが前記開放部を閉鎖するように付勢する第2のシャックルピンと、上下方向に移動可能に前記シャックルボディの上に配置され、前記第2のシャックルピンが前記第1のシャックルピンを付勢して前記開放部を閉鎖した状態で下方へ移動するとき、前記第1のシャックルピンの一端に設けられた第1の開放部を通過して前記第2のシャックルピンの一端に噛み合って前記開放部を閉鎖した状態に維持し、前記開放部を閉鎖した状態で上方へ移動するとき、前記開放部閉鎖状態を解除させる上下移動手段と、前記上下移動手段が上方へ移動するとき、前記第2のシャックルピンが前記開放部を開放する方向へ移動するのに必要な弾性力を与える第2の弾性手段と、前記第1のシャックルピンと前記第2のシャックルピンの間に配置され、前記開放部が開放される時に前記第2の弾性手段の弾性エネルギーを得て運動する前記第2のシャックルピンから力を伝達されて前記突起の保持状態を解除するための第3のシャックルピンと、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る自動開放型シャックル組立体は、外部からの遠隔制御信号に応じて前記給電手段を制御する制御手段をさらに含むことができる。
【0017】
第1のシャックルピンは、その端部に形成された第1の開放部を備え、第2のシャックルピンは、その一端部に形成された保持溝を備えてもよい。これにより、第2の弾性手段が圧縮された時に、保持溝と第1の開放部とを位置合わせすることができる。
【0018】
また、上下移動手段は、第1及び第2のシャックルピンがシャックルボディの開放部を閉鎖する時に上下移動することで第1の開放部を貫通して保持溝に噛み合ったり解除したりする保持ピンを備えることが好ましい。
【0019】
シャックルボディは、第1及び第2の支持部並びに前記第1及び第2の支持部を通じて前記第1のシャックルピンが直線移動する貫通孔を備えてもよい。
【0020】
また、第2の支持部は、前記突起が前記貫通孔の下部から突出するように前記突起に弾性力を与える弾性部材を有し、前記第1のシャックルピンは、前記第1のシャックルピンが前記シャックルボディの開放部を閉鎖する時に前記突起が前記弾性部材の弾性力により挿入される第2の開放部を備えてもよい。
【0021】
さらに、第3のシャックルピンの一端部には傾斜面が設けられ、前記突起には、前記第3のシャックルピンの傾斜面に対応する傾斜面が設けられ、前記突起が前記第2の開放部を通過する時に前記突起の傾斜面が前記第3のシャックルピンの傾斜面に噛み合うように構成してもよい。
【0022】
なお、第1のシャックルピンの一端部には、第3のシャックルピンの傾斜面に噛み合う傾斜面を更に設けることができる。
【0023】
また、自動開放型シャックル組立体は、シャックルボディの外側に固定されて前記第1のシャックルピン及び前記第1の弾性手段を収容し、前記第1の弾性手段の弾性力による前記第1のシャックルピンの移動を制限するハウジングをさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、シャックルピン及び弾性手段を複数個備えることで、上下移動手段に要求される荷重及び弾性手段に要求される弾性力を軽減させることができる。
【0025】
即ち、本発明では、シャックルピン230を開放するのに必要な大きな復元力を与える第1の弾性手段241を突起224で支持し、また、前記突起244を解除するための力としては、電気エネルギーでなく、第2の弾性手段242に人力で貯蔵された弾性エネルギーが使用されている。
【0026】
これにより、上下移動手段250の固定ピン251は、相対的に小さな復元力を有する第2の弾性手段242の復元力のみを支持しているため、第2の弾性手段242を制御するのに必要な上下移動手段250への負担が軽減され、装置をコンパクト化できるという効果が得られる。
【0027】
また、第2の弾性手段の弾性エネルギーが突起244を解除する時に発生する衝撃力は、第1のシャックルピン231の開放に対抗して作用する停止摩擦力を克服する力として作用し、第1の弾性手段241が第1のシャックルピン231を円滑に開放することができ、第1の弾性手段241に要求される復元力が軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】シャックル組立体を用いて鉄骨構造物をクレーンのフックに連結する過程を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動開放型シャックル組立体を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る自動開放型シャックル組立体を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に従って自動開放型シャックル組立体が開放及び閉鎖される過程を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に従って自動開放型シャックル組立体が開放及び閉鎖される過程を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に従って自動開放型シャックル組立体が開放及び閉鎖される過程を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に従って自動開放型シャックル組立体が開放及び閉鎖される過程を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に従って自動開放型シャックル組立体が開放及び閉鎖される過程を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る第1のシャックルピンを示す詳細図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る第2のシャックルピンを示す詳細図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る第3のシャックルピンを示す詳細図である。
【図12】従来の技術によるシャックル組立体の構成を示す概略図である。
【図13】従来の技術によるシャックル組立体の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
図2及び図3に示されるように、本実施形態に係る自動開放型シャックル組立体200は、鉄骨構造物の一部分が挿入されて支持できるようにその間に開放部223を有するシャックルボディ220と、前記シャックルボディ220の開放部223を横切って直線移動することで前記開放部223を開放または閉鎖して鉄骨構造物を支持するための第1,第2及び第3のシャックルピン231,232,233と、第1の弾性手段241及び第2の弾性手段242と、上下移動手段250及び外部からの遠隔制御信号に応じて給電手段の電源を上下移動手段250に伝達する制御を始めとした包括的な制御を行う制御手段と、を含む。
【0030】
即ち、本発明に係るシャックルピン230は、3つの部分、即ち、第1,第2及び第3のシャックルピン231,232,233から構成されることを特徴とする。
【0031】
また、シャックルピン230が複数個設けられているため、これらのシャックルピン230を開放位置に戻すための弾性手段240がやはり複数個設けられている。即ち、第1及び第2の弾性手段241,242を備えている。
【0032】
第2のシャックルピン232及び第2の弾性手段242の外部には、ハウジング260が設けられ、第2のシャックルピン232及び第2の弾性手段242が一定範囲を超えてシャックルボディ220から離脱するのを制限する。
【0033】
フック掛け部210は、クレーンのフックなどを掛けるためのもので、シャックルボディ220の上部に結合される。図2及び図3に示されるように、フック掛け部210の上部212には、クレーンのフックなどが掛けられる孔211が形成され、この孔を介してフック掛け部がフックに掛けられる。また、フック掛け部210の下部213は、シャックルボディ220の上部に設けられた孔に挿入され、ネジ及びナットのような所定の締結手段により固定されている。
【0034】
図2及び図3に戻り、シャックルボディ220は、フック掛け部210の下部213に組みつけられる部位と、第1及び第2の支持部221,222とを備え、これにより鉄骨構造物の挿入された支持部が支持される。なお、第1及び第2の支持部221,222の間には、鉄骨構造物の支持部が挿入され得る程度の間隙からなる開放部223が設けられている。
【0035】
また、第1,第2の支持部221,222の上部には、フック掛け部210の下部213が挿入される孔が形成され、第1,第2の支持部221,222の下部には、開放部223を左右方向に貫通する貫通孔226がそれぞれ形成されている。なお、貫通孔226は、丸い断面形状を有することが好ましい。
【0036】
第2の支持部222の内部には、上下移動手段250を設置するための空間が設けられている。この空間は、上下移動手段250の一部分である保持ピン251が上下方向へ自由に移動することができる空間である。従って、保持ピン251は、シャックルピン230を保持するために、保持ピン251の端部が貫通孔226側に突出するように(換言すれば第1及び第2のシャックルピン231,232の片側へその端部が挿入されるように)、第2の支持部222の内部空間に沿って下方へ移動する。一方で、保持ピンの端部が第2の支持部222の内部空間に位置するように、保持ピン251は第2の支持部の上部へ移動し、これにより、保持ピンの端部とシャックルピン230(具体的には、第1及び第2のシャックルピン231,232)の連結を解除する。
【0037】
また、第2の支持部222には、貫通孔の下部角部から突出する1つの突起224が設けられている。この突起224は、弾性部材225により上方へ圧力が加えられた状態とされている。従って、図2及び図7に示されるように、シャックルピン230がシャックルボディ220の開放部223を横切った閉鎖状態にある時に、突起224はシャックルピン230の第1のシャックルピン231に設けられた第2の開放部231−2内へ挿入され、第1のシャックルピン231の閉鎖状態を維持する。
【0038】
なお、図2、図3及び図4乃至図7に示されるように、本発明のシャックルピン230は、3つの部分、即ち、最外側に存在する第2のシャックルピン232と、第2のシャックルピン232よりシャックルボディ220方向へ内側に配置されて開放部223を横切る第1のシャックルピン231、及び第1のシャックルピン231と第2のシャックルピン232との間に配置される第3のシャックルピン233から構成される。
【0039】
第1のシャックルピン231は、シャックルボディ220の第1及び第2の支持部221,222を横切るものであって、第1,第2の支持部221,222を横切って位置し得る長さと、貫通孔226を貫通して円滑に左右方向に直線往復移動し得る大きさ及び形態を有する。
【0040】
図9を参照して、第1のシャックルピン231は、一端部231−3が開放され、他端部231−4が閉鎖されるような中空円筒形を有する。一端部231−3側には2つの内部空間、即ち、第1の内部空間231−5及び第2の内部空間231−6が設けられている。第1の内部空間231−5には、第2のシャックルピン232及び第3のシャックルピン233が挿入されて着設され、第2の内部空間231−6には、第3のシャックルピン233の端部233−4が配置される。第1及び第2の内部空間231−5、231−6の境界部231−7には、傾斜面231−8が設けられ、後述する第3のシャックルピン233の傾斜面233−1と噛み合うように形成される。
【0041】
また、図9に示されるように、第1のシャックルピン231の外部には、第1の開放部231−1及び第2の開放部231−2が設けられている。第1の開放部231−1は、上下移動手段250の保持ピン251が第2のシャックルピン232の保持溝232−1に挿入できるように連通孔としての役割を果たし、第2の開放部231−2には、シャックルボディ220の第2の支持部222に設けられた突起224が挿入される。
【0042】
第2のシャックルピン232は、開放部223を閉鎖する時は、第1のシャックルピン231に選択的に接触して第1のシャックルピン231が開放部223を閉鎖する方向へ第1のシャックルピンに力を伝達し、開放部223を開放する時は、第2の弾性手段242に貯蔵されたエネルギーを第3のシャックルピン233に伝達する。
【0043】
図10を参照して、第2のシャックルピン232は、3つのシャックルピンのうち最外側に配置され、一端部232−4が閉鎖され、他端部232−3が開放されている中空円筒形を有することが好ましい。第2のシャックルピン232の内部には、第2の弾性手段242が配置される内部空間232−3が設けられ、内部空間232−3の他端部232−5方向には、第3のシャックルピン233に力を伝達するための段差部232−2が設けられている。
【0044】
また、第2のシャックルピン232は、他端部232−5側に上下移動手段250の保持ピン251が嵌め込まれて保持される保持溝232−1を有する。この保持溝232−1は、保持ピン251の円滑な挿入を考慮して保持ピン251より少し大きく構成することが好ましい。
【0045】
第3のシャックルピン233は、第1のシャックルピン231及び第2のシャックルピン232の間に配置され、第2の弾性手段242の弾性エネルギーを得て運動する第2のシャックルピン232からの力を伝達されて突起224の固定状態を解除する。
【0046】
図11を参照して、第3のシャックルピン233は、棒状を呈し、円状の断面を有することが好ましい。第3のシャックルピン233の一端部233−3は、第2のシャックルピン232の内部空間232−3に配置されて第2の弾性手段242と接触する(図4〜図8及び図10参照)。第3シャックルピン233の他端部233−4は、第1のシャックルピン231の第2の内部空間231−6に位置する(図4〜図8及び図9参照)。第3のシャックルピン233の他端部233−4には、傾斜面233−1が設けられ、第3のシャックルピン233がシャックルボディ220を基準に外側へ移動する時、突起244が傾斜面に沿って押し付けられる。また傾斜面233−1は、第1のシャックルピン231の傾斜面231−8と対応した形状とされている。
【0047】
なお、本発明に係る弾性手段240は、第1の弾性手段241及び第2の弾性手段242から構成される。
【0048】
図4乃至図7に示されるように、第1の弾性手段241は、シャックルボディ220の第2の支持部222の外面と第1のシャックルピン231の一端部231−3との間に着設され、第1のシャックルピン231がシャックルボディ220の開放部223を開放するように弾性力を与える。
【0049】
図4乃至図7を参照して、第2の弾性手段242は、第2のシャックルピン232の内部空間232−3において第2のシャックルピン232と第3のシャックルピン233との間に配置され、第2のシャックルピン232と第3のシャックルピン233を通じて第1のシャックルピン231で突起を押し付けるのに必要な力を与える。
【0050】
なお、前述の第1及び第2の弾性手段241、242としては、本実施形態と同様にコイルばねを使用することができる。このとき、各コイルばねは、軽く圧縮された状態で内蔵されており、再び元の形状に戻る。即ち、コイルばねは、図2に示されるようにシャックルピン230がシャックルボディ220の開放部223を閉鎖すると圧縮され、図3に示されるように開放部223を開放すると、元の状態に戻される。
【0051】
上下移動手段250は、下部シャックルボディ220の下側の一部に固定された給電手段からの電源または弾性手段の復元力により上下方向に直線往復移動して第1のシャックルピン231の第1の開放部231−1を連通しながら第2のシャックルピン232の保持溝232−1に噛み合ったり解除したりする。
【0052】
上下移動手段250の上方への移動は、給電手段からの電源によって行われ、下方への移動は、弾性手段の復元力によって行われることが好ましい。このような上下移動手段250の上方への移動手段としては、ソレノイドバルブを使用することができる。
【0053】
即ち、弾性手段の復元力によって上下移動手段250の保持ピン251は下方へ移動し、その端部が第2のシャックルピン232の保持溝232−1に嵌め込まれて固定される。給電手段から供給される電源によって、ソレノイドバルブは上下移動手段250の保持ピン251を上方へ移動させ、その端部が保持溝232−1から離脱する。その結果として、上下移動手段250と第2のシャックルピン232との結合が解除される。
【0054】
制御手段は、別の蓋体を通じてシャックルボディ220の上端に組み込まれ、外部からの遠隔制御信号を受信する受信部と、受信部で受信した信号に応じて給電手段の電源を上下移動手段250に印加するなどの、包括的な制御を行う制御回路部などを備える。また、制御手段は、作業状態を表示する表示手段、例えば、LEDの点灯などによって作業状態を表示するように構成することができる。さらに、制御手段は、給電手段のバッテリ状態を外部から確認できるように、別の表示手段で表示するように構成することもできる。
【0055】
上記のように構成された本発明に係る自動開放型シャックル組立体は、図1に示されたように、鉄骨構造物110の両側に2個1組で結合され、鉄骨構造物110に結合され、これを運搬し、これから分離される。以下、その作用について述べる。
【0056】
先ず、図4に示されるように、第2のシャックルピン232がハウジング260の外部に突出し、第1のシャックルピン231がシャックルボディ220の開放部223を開放している状態でシャックルボディ220の開放部223を鉄骨構造物に位置させ、第1,第2の支持部221,222の貫通孔226と支持部に形成された貫通孔とを位置合わせする。この状態で、作業員がシャックルボディ220の開放部223を閉鎖する方向へ第2のシャックルピン232を押し付ける。そうすると、第1のシャックルピン231と第3のシャックルピン233とは、固定された状態で、第2のシャックルピン232のみが図面において左側に移動される。
【0057】
これによって、図5に示されるように、第2の弾性部材242が圧縮されながら第2のシャックルピン232の他端部232−5が第1のシャックルピン231の境界部231−7に密着される状態となる。
【0058】
この状態で、作業者が第2のシャックルピン232を継続的に左側へ押し付けると、第2のシャックルピン232に密着されている第1のシャックルピン231は、一体として第2のシャックルピン232と一緒に左方向へ移動する。このとき、第2のシャックルピン232の内部に配置された第3のシャックルピン233が第1及び第2のシャックルピン231,232と一緒になって同じく左方向へ移動することは言うまでもない。
【0059】
第1,第2及び第3のシャックルピン231,232,233が左方向へ移動し、第1のシャックルピン231の第2の開放部231−2が第2の支持部222に設けられた突起224と位置合わせされると、突起224が弾性部材225の弾性力によって上方へ突出する。これにより、突起224が第1のシャックルピン231の第2の開放部231−2に挿入され、第1のシャックルピン231が開放部223を閉鎖した状態で固定される。
【0060】
なお、図6に示されるように、この状態では、第1のシャックルピン231の第1の開放部231−1と、第2のシャックルピン232の保持溝232−1が、上下移動手段250の保持ピン251の位置に位置合わせされる。
【0061】
この状態で、弾性手段(図示せず)の復元力によって上下移動手段250の保持ピン251が下方へ移動すると、図7に示されるように、保持ピン251が第1のシャックルピン231の第1の開放部231−1を通過し、第2のシャックルピン232の保持溝232−1に嵌め込まれて固定され、これによって固定作業が完了する。
【0062】
このような固定状態では、弾性力が相対的に大きな第1の弾性手段241の復元力は突起224により与えられ、弾性力が相対的に小さな第2の弾性手段242の復元力は保持ピン251により与えられるので、上下移動手段250が負担すべき荷重が低減される。
【0063】
具体的には、シャックルピン230と連結部材120(図1参照)との摩擦力に打ち勝って、シャックルボディ220からシャックルピン230を円滑に開放するには、かなり大きな復元力が必要となる。この復元力を保持ピン251のみが負担する場合は、上下移動手段250が負担すべき荷重が大きくなる。この問題を解決するため、シャックルピン230を開放するのに必要となる大きな復元力は、第1のシャックルピン231を通じて突起224に負担させ、この突起224を解除させるのに必要な力は、第2の弾性手段242に貯蔵された弾性エネルギーから得られるようにされている。なお、解除過程の詳細については、後述する。
【0064】
このようにして本発明のシャックル組立体200と鉄骨構造物の支持部との結合が完了すると、クレーンのフックなどをフック掛け部(図示せず)にかけてクレーンを作動させ、鉄骨構造物を運搬する。
【0065】
この状態で鉄骨構造物を目的の位置に移動させた後、シャックル組立体200を鉄骨構造物から分離する作業が以下のように行われる。
【0066】
即ち、図7の固定状態で、第1のシャックルピン231に加えられた荷重を除去し、給電手段に電源を供給して上下移動手段250の保持ピン251を上方へ移動させる。これにより、第2のシャックルピン232を保持溝232−1から引き抜くことで、上下移動手段250と第2のシャックルピン232との結合を解除し、図6の状態が形成される。
【0067】
図6に示されるように、第2の弾性手段242の相対的に小さな復元力を受けている第2のシャックルピン232から保持ピン251が引き抜かれると、第2の弾性手段242の復元力によって第2のシャックルピン232がハウジング260の外側へ移動し、図8の状態となる。
【0068】
第2のシャックルピン232が右側へ一定の距離を移動すると、第2のシャックルピン232の段差部232−2(図10参照)が第3のシャックルピン233の一端部233−3(図11参照)と噛み合って、第3のシャックルピン233が第2のシャックルピン232の移動を制限するようになる。このとき、第2のシャックルピン232が持っている運動エネルギーは、第3のシャックルピン233に伝達され、この力により、突起224は第3のシャックルピン233の端部の傾斜面233−1を通じて下方へ押し付けられる(図8参照)。
【0069】
突起224が下方へ移動し、突起224が第1のシャックルピン231の第2の開放部231−2から抜け出ると、第1の弾性手段241の強い弾性力によって第1のシャックルピン231が元の位置、即ち、右側へ復帰してシャックルボディ220の開放部223が開放される。そのため、図4に示す開放部の開放状態が形成される。第1のシャックルピン231の移動は、ハウジング260により拘束され、図4の状態に制限される。
【0070】
これにより、本発明のシャックル組立体200が鉄骨構造物の支持部から完全に分離される。このように分離された本発明のシャックル組立体200は、クレーンの操作によって地上の作業員に送られ、他の鉄骨構造物の設置に使用されるようになる。
【0071】
前述のように、本発明は、シャックルピン220を開放するのに必要な大きな復元力を与える第1の弾性手段241を突起224に支持させ、この突起224を解除するための力には、電気エネルギーでなく、第2の弾性手段242に人力で貯蔵された弾性エネルギーを使用する。
【0072】
なお、前述のように、第2の弾性手段242の復元力は、第1の弾性手段241の復元力に比べて非常に小さく、上下移動手段250の保持ピン251は、第2の弾性手段242の復元力のみを与えているため、第2の弾性手段242を制御するのに必要な上下移動手段250の負担が大きく低減されるので、装置をコンパクトにできる。
【0073】
以上、本発明の実施形態を挙げて詳述してきたが、本発明の思想及び範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々に修正及び変更して実施できることは、当技術分野で通常の知識を有する者であれば理解できる。
【0074】
従って、上記の実施形態は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に本発明の範疇を示すために提供されるもので、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲を限定されるものではなく、本発明の範囲は、特許請求範囲の記載によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、シャックルピン及び弾性手段を複数個備えることで、上下移動手段に要求される荷重及び弾性手段に要求される弾性力を軽減することができる。
【0076】
即ち、本発明は、シャックルピン230を開放するのに必要となる大きな復元力を与える第1の弾性手段241を突起224に支持させ、この突起224を解除するために必要な力としては、電気エネルギーでなく、第2の弾性手段242に人力で貯蔵された弾性エネルギーを使用する。
【0077】
これにより、上下移動手段250の保持ピン251は、相対的に小さな復元力を有する第2の弾性手段242の復元力のみを支持しているため、第2の弾性手段242を制御するのに必要な上下移動手段250の負担が大きく低減されるので、装置のコンパクト化が可能となる。また、第2の弾性手段の弾性エネルギーが突起224を解除する時に発生する衝撃力は、第1のシャックルピン231の開放に対抗して作用している停止摩擦力を克服する力として作用することで、第1の弾性手段241が第1のシャックルピン231を円滑に開放するため、第1の弾性手段241に要求される復元力を軽減させることができる。
【符号の説明】
【0078】
200:シャックル組立体、220:シャックルボディ、221,222:支持部、223:開放部、224:突起、225:弾性部材、226:貫通孔、230:シャックルピン、231:第1のシャックルピン、232:第2のシャックルピン、233:第3のシャックルピン、240:弾性手段、241:第1の弾性手段、242:第2の弾性手段、250:上下移動手段、251:保持ピン、260:ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨構造物の一部分が挿入されて支持する開放部223を有するシャックルボディ220と、
前記シャックルボディ220の前記開放部223を横切って直線移動することで、前記開放部223を開放または閉鎖して鉄骨構造物を支持する第1のシャックルピン231と、
前記第1のシャックルピン231が前記開放部223を開放するのに必要な弾性力を与える第1の弾性手段241と、
前記第1のシャックルピン231を閉鎖状態に保持する突起224と、
前記開放部223を閉鎖する方向へ移動するとき、前記第1のシャックルピン231に接触して前記第1のシャックルピン231が前記開放部223を閉鎖するように付勢する第2のシャックルピン232と、
上下方向に移動可能に前記シャックルボディ220の上に配置され、前記第2のシャックルピン232が前記第1のシャックルピン231を付勢して前記開放部223を閉鎖した状態で下方へ移動するとき、前記第1のシャックルピン231の一端に設けられた第1の開放部231−1を通過して前記第2のシャックルピン232の一端に噛み合って前記開放部223を閉鎖した状態に維持し、前記開放部223を閉鎖した状態で上方へ移動するとき、前記開放部223の閉鎖状態を解除させる上下移動手段250と、
前記上下移動手段250が上方へ移動するとき、前記第2のシャックルピン232が前記開放部223を開放する方向へ移動するのに必要な弾性力を与える第2の弾性手段242と、
前記第1のシャックルピン231と前記第2のシャックルピン232との間に配置され、前記開放部223が開放される時に前記第2の弾性手段242の弾性エネルギーを得て運動する前記第2のシャックルピン232から力を伝達されて前記突起224の保持状態を解除するための第3のシャックルピン233と、
を備えることを特徴とする自動開放型シャックル組立体200。
【請求項2】
前記第2のシャックルピン232の一端部に保持溝232−1が形成され、前記第2の弾性手段242が圧縮された時に前記保持溝232−1と前記第1のシャックルピン231の前記第1の開放部231−1とが位置合わせされ、
前記上下移動手段250は、前記第1及び第2のシャックルピンが前記シャックルボディ220の開放部223を閉鎖する時に上下移動することで前記第1の開放部231−1を貫通して前記保持溝232−1に噛み合い、解除される保持ピン251を備えることを特徴とする請求項1に記載の自動開放型シャックル組立体200。
【請求項3】
前記シャックルボディ220は、第1及び第2の支持部221,222並びに前記第1及び第2の支持部221,222を通じて前記第1のシャックルピン231が直線移動するための貫通孔226を備え、
前記第2の支持部222は、前記突起224が前記貫通孔226の下部から突出するように前記突起224に弾性力を与える弾性部材225を備え、
前記第1のシャックルピン231は、前記第1のシャックルピン231が前記シャックルボディ220の開放部223を閉鎖する時に前記突起224が前記弾性部材225の弾性力により挿入される第2の開放部231−2を備えることを特徴とする請求項1に記載の自動開放型シャックル組立体200。
【請求項4】
前記第3のシャックルピン233の一端部には傾斜面233−1が設けられ、
前記突起224には、前記第3のシャックルピン233の傾斜面233−1に対応する傾斜面224−1が設けられ、
前記突起224が前記第2の開放部231−2を通過する時に前記突起224の傾斜面224−1が前記第3のシャックルピン233の傾斜面233−1に噛み合うことを特徴とする請求項3に記載の自動開放型シャックル組立体200。
【請求項5】
前記第1のシャックルピンの一端部には、前記第3のシャックルピン233の傾斜面233−1に噛み合う傾斜面231−8がさらに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の自動開放型シャックル組立体200。
【請求項6】
前記シャックルボディ220の外側に固定されて前記第1のシャックルピン231及び前記第1の弾性手段241を収容し、前記第1の弾性手段241の弾性力による前記第1のシャックルピン231の移動を制限するハウジング260をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動開放型シャックル組立体200。
【請求項7】
外部からの遠隔制御信号に応じて前記給電手段を制御する制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動開放型シャックル組立体200。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−513573(P2012−513573A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543372(P2011−543372)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007691
【国際公開番号】WO2010/074360
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511153208)ピーアンドエイチ カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】P&H CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】U−309, Hong−ik Univ. Chochiwon−eup, Yeongi−gun Chungcheongnam−do 339−701, Republic of Korea
【Fターム(参考)】