説明

自動開閉傘の中棒の安全伸縮制御構造

【課題】本発明は、自動開閉傘の使用上の安全性を大幅に高めることが可能な、自動開閉傘の中棒の安全伸縮制御構造を提供する。
【解決手段】制御構造を持ち手部内に設け、制御構造の本体を第一中棒に固定し、本体の下半部に相互に接触する可動板と係止板を設け、さらにラチェットを有する逆止輪を設け、逆止輪上に、一端が上部材内に固定された安全ひもを巻きつける。以上の構造により、傘を閉じる時、中棒を圧縮させる動作を誤った場合、圧縮された中棒ユニットは位置決めされ、それにより、圧縮された開傘バネの影響で中棒ユニットが一瞬で反発する現象が起こらない。従って、この安全装置を中棒ユニットに組み合わせる構造により、自動開閉傘の使用上の安全性を大幅に高めることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動開閉傘の中棒伸縮制御構造の改良技術に関し、特に逆止輪を設けることにより、傘を閉じる動作を誤った場合でも、圧縮された開傘バネの影響で傘の中棒が一瞬で反発する現象が起こらず、使用上の安全性を大幅に高めることが可能な、自動開閉傘の中棒の安全伸縮制御構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1から図3に示すように、一般的によく見られる自動開閉傘の構造は、持ち手部1内に制御構造2が設けられ、中棒ユニット3内に開傘バネ6が設けられ、さらに、各傘骨7と連結されたアクティブ部4には、一端が上部材41に固定されているとともに、他端が銃弾状部材5に固定されている引きひも51が引っ掛けられている。制御構造2は、内部が中空である本体内に、制御リング201、制御柱202、ボタン203等の部材を設けてなる。制御柱202は制御リング201の一側の底部に枢設され、ボタン203は、持ち手部1の側方の開孔に設けられるとともに、外に露出する。以上の構造により、傘の中棒ユニット3を制御する。
【0003】
図1に示すように、制御リング201の一側の外端には微小バネ2011が設けられ、制御リング201内部の微小バネ2011に対応する箇所には、アクティブ部4を係止するための凸柱2012が設けられ、それにより、傘を折りたたんだ状態を保つことができる。また、制御柱202は、枢軸2021によって、ボタンに近接した制御リング201の底部に連結されるとともに、トルクバネ2022が設けられ、それにより、制御柱202を水平状態に保つことができる。傘が開く前の折りたたまれている状態の時には、アクティブ部4は、制御リング201の凸柱2012の係止によって位置決めされており、制御柱202は、中棒ユニット3の第二中棒32の下方向に押す力を受けて傾斜状を形成し、また、銃弾状部材5は、第三中棒33内の内管34によって押さえられているとともに、プレート311によって支えられ、さらに、中棒ユニット3の第一中棒31の係止孔に係止される。そして、図2に示すように、ボタン203を押すと、制御リング201が内側に押され、凸柱2012はアクティブ部4から外れ、中棒ユニット3内の開傘バネ6の作用により、自動開傘の動作が行われる。この時、制御柱202も水平の状態に戻り、銃弾状部材5に当接する。
【0004】
傘を閉じたい時は、再びボタン203を押すと、制御柱202によって銃弾状部材5が押されて銃弾状部材5は第一管体31から外れ、アクティブ部4は移動可能な状態になり、各傘骨7の閉傘バネ71の作用により、各傘骨7は傘面とともに自動的に折りたたまれ、図3に示すようにアクティブ部4は下に移動し、その後、更に力をいれて傘の頂部から持ち手部1に向かって中棒ユニット3を圧縮させると、図1に示す傘が閉じた状態になる。
【0005】
しかしながら、この自動開閉傘の最大の問題は、傘を折りたたむ過程で発生する。なぜなら、傘を閉じる時は、傘の中棒ユニット3内の開傘バネ6に対して圧縮動作を行うが、開傘バネ6の強度と弾性力は小さくないため、使用者は、手に強い力をこめて傘を折りたたまなければならず、力の入れ方や動作が正しくない時、圧縮された開傘バネ6は極めて大きな力で中棒ユニット3を反発させるため、頻繁に、使用者の手やその他の体の部位の負傷を招く。従って、この種の自動開閉傘は使用する際に危険性を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、自動開閉傘の使用上の安全性を大幅に高めることが可能な、自動開閉傘の中棒の安全伸縮制御構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による自動開閉傘の中棒の安全伸縮制御構造は、図4に示すように、制御構造2を持ち手部1内に設け、制御構造2は、本体20と、カバー筒21と、可動板22と、係止板23と、逆止輪24とを含み、傘の第一中棒31の底端内には、一側に割り溝351を具える内張り管35を設けるとともに、本体20内に固定する。また、第一中棒31の底端の一側には割り溝311を設けるとともに、隣接する側面には、頂端に開孔313を有する長凹溝312を形成させる。カバー筒21内にはバネ28を設けるとともに、カバー筒21を第一中棒31に貫設する。可動板22と係止板23は相互に接触させるとともに、カバー筒21の一側下方の本体20に設け、係止板23の一側はバネ29によって支える。逆止輪24は、係止板23下方の本体20に設け、逆止輪24の一側は、同じ斜面の向きをもつ複数の歯によってラチェット241を形成し、その内部にはスプリング242を設ける。また、一端は逆止輪24に固定されるとともに、他端は第一中棒31の長凹溝312に沿って取り付け更に開孔313から中棒ユニット3内の空間に進入させ上部材41内に固定される安全ひも25を、逆止輪24に巻きつける。傘を閉じる時、中棒を圧縮させる動作を誤った場合、係止板23が逆止輪24を一瞬で係止することにより、及び、安全ひも25による引っ張りにより、圧縮された中棒ユニット3は位置決めされ、それにより、圧縮された開傘バネ6の影響で中棒ユニット3が一瞬で反発する現象が起こらない。従って、この安全装置を中棒ユニットに組み合わせる構造により、自動開閉傘の使用上の安全性を大幅に高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来の自動開閉傘の構造と使用状態を示した説明図である。
【図2】従来の自動開閉傘の構造と使用状態を示した説明図である。
【図3】従来の自動開閉傘の構造と使用状態を示した説明図である。
【図4】本発明の制御構造を示した分解図である。
【図5】本発明の制御構造と作動状態を示した説明図である。
【図6】本発明の制御構造と作動状態を示した説明図である。
【図7】本発明の制御構造と作動状態を示した説明図である。
【図8】本発明の別の実施例を示した図である。
【図9】本発明の別の実施例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明による自動開閉傘の中棒の安全伸縮制御構造について、三つ折り傘を実施例として説明する。図5に示すように、その基本部材は、持ち手部1と、中棒ユニット3と、アクティブ部4と、銃弾状部材5と、開傘バネ6と、傘骨7を含む。持ち手部1には、制御リング26と制御柱27を具えるボタン11を設け、中棒ユニット3は、第一中棒31と、第二中棒32と、第三中棒33とによって構成し、第三中棒33の頂端には上部材41を固定して設けるとともに、底端の一側には係止孔331を設け、上部材41の底部には内管34を固定して設け、開傘バネ6は第一中棒31と内管34の間に配置し、銃弾状部材5は内管34の下方に配置するとともに、その頂部には引きひも51を固定して設ける。引きひも51は、内管34内を上方へ貫通させ、上部材41内の滑車に引っ掛けて、さらに、アクティブ部4内の滑車へ引っ掛けた後、その末端を上部材41上に固定する。また、制御構造2は、持ち手部1内に設けるとともに、第一中棒31の底端と連結させる。
【0010】
図5は、本発明による自動開閉傘を折りたたんだ後の構造を示している。第三中棒33の係止孔331に制御リング26の係止凸部261を係止させることにより、中棒ユニット3は位置決めされ、制御柱27は第三中棒33によって下に押されて傾斜状を形成し、また、引きひも51によってアクティブ部4と連結されている銃弾状部材5は、内管34によって下に押されるとともに、第一中棒31内の内張り管35のプレート36に支えられて割り溝351に係止され、カバー筒21は第二中棒32によって下に押され、カバー筒21の頂縁が可動板22上端に当接して可動板22は右に押されて回転し、可動板22の底端が係止板23の頂端に当接して係止板23は左に押されて回転し、係止板23の底端は右に回転して逆止輪24のラチェット241から外れる。この時、逆止輪24内のスプリング242は完全に緩んだ状態になり、安全ひも25は逆止輪24上に巻き取られる。
【0011】
図6を参照する。傘を開きたい時には、ボタン11を押すと、制御リング26が内側に押されて係止凸部261は第三中棒33の係止孔331から外れ、また、中棒ユニット3内の開傘バネ6の作用によって、中棒ユニット3は完全に伸張し、中棒ユニット3につれて上に移動したアクティブ部4によって全ての傘骨7が開き、自動開傘の動作が完了する。この時、制御柱27は、水平状態に戻るとともに、銃弾状部材5に当接し、また、頂端が上部材41内に固定されている安全ひも25は、上部材41につれて上に引っ張られて逆止輪24を反時計回りに回転させ、逆止輪24内のスプリング242は縮んだ状態になる。
【0012】
図7を参照する。傘を閉じたい時には、ボタン11を再度押すと、制御柱27によって銃弾状部材5が押され、内張り管35の割り溝351から銃弾状部材5が外れ、各傘骨7の閉傘バネ71の作用により、各傘骨7は自動的に折りたたまれるとともに、アクティブ部4は下に移動し、また、銃弾状部材5は、引きひも51によって上に引っ張られて内管34の底端に当接する。この時、カバー筒21は第二中棒32に当接していないため、バネ28は上に移動して元の位置に戻り、また、係止板23の一側のバネ29によって係止板23の上端は右に回転し、その下端は左に回転して逆止輪24のラチェット241に当接する。
【0013】
再び、図5と図7を参照する。傘を閉じる最後の動作は、傘の中棒ユニット3の圧縮である。中棒ユニット3が外力を受けて圧縮する時、安全ひも25は、中棒ユニット3が内側に収縮するにつれて緩む。この時、逆止輪24は、スプリング242の元の位置に戻る動力によって、時計回りに回転し、また、逆止輪24のラチェット241の歯は同方向の斜面しかもたないため、逆止輪24が時計回りに回転する時、ラチェット241は係止板23に係止されない。しかし、圧縮する力を受けなくなった時、中棒ユニット3内の開傘バネ6の弾力で中棒ユニット3は伸張しようとし、逆止輪24の安全ひも25の一端は上部材41上に固定されているため、引っ張られる力によって安全ひも25が逆止輪24を反時計回りに回転させるが、この時、係止板23は逆止輪24のラチェット241上の歯を係止するため、逆止輪24は反時計回りに回転することができなくなって第三中棒33を引っ張ることにより、中棒ユニット3の伸張が一瞬で止まる。以上のように、傘を閉じる動作の際に誤って力を緩めてしまった時は、逆止輪24が係止板23によってすぐに係止されることにより、中棒ユニット3を引っ張ってその伸張を止め、それにより、圧縮された開傘バネ6の影響で中棒ユニット3が一瞬で反発する現象が起こらなくなり、自動開閉傘の使用上の安全性を大幅に高めることができる。
【0014】
図8と図9に示すように、本発明の別の実施例においては、持ち手部1には、開傘と閉傘の二つのボタン11を設けるとともに、持ち手部1の内則には、二つのボタン11と連動させて操作を行うための二組の制御リング26を設ける。以上の構造でも、一つのボタンの時と同様にな制御効果を得られる。
【符号の説明】
【0015】
(従来技術)
1 持ち手部
2 制御構造
3 中棒ユニット
4 アクティブ部
5 銃弾状部材
6 開傘バネ
7 傘骨
31 第一中棒
32 第二中棒
33 第三中棒
34 内管
41 上部材
51 引きひも
71 閉傘バネ
201 制御リング
202 制御柱
203 ボタン
311 プレート
2011 微小バネ
2012 凸柱
2021 枢軸
2022 トルクバネ
(本発明)
1 持ち手部
2 制御構造
3 中棒ユニット
4 アクティブ部
5 銃弾状部材
6 開傘バネ
7 傘骨
11 ボタン
20 本体
21 カバー筒
22 可動板
23 係止板
24 逆止輪
25 安全ひも
26 制御リング
27 制御柱
28、29バネ
31 第一中棒
32 第二中棒
33 第三中棒
34 内管
35 内張り管
36 プレート
41 上部材
51 引きひも
71 閉傘バネ
241 ラチェット
242 スプリング
261 係止凸部
311、351 割り溝
312 長凹溝
313 開孔
331 係止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、カバー筒と、可動板と、係止板と、逆止輪とを含む制御構造を、持ち手部内に設け、
傘の第一中棒の底端内に、一側に割り溝を具える内張り管を設けるとともに、第一中棒の底端を本体内に固定し、カバー筒内にはバネを設けるとともに、カバー筒を第一中棒に貫設し、可動板と係止板は、相互に接触させるとともに、カバー筒の一側の下方の本体上に設け、係止板の左側はバネによって支え、逆止輪は係止板の下方の本体上に設け、逆止輪の一側は、同じ斜面の向きをもつ複数の歯によってラチェットを形成し、逆止輪の内部にはスプリングを設け、逆止輪上には、一端は逆止輪に固定されるとともに、他端は上部材内に固定された安全ひもを巻きつけ、
傘を閉じる際に、中棒を圧縮させる動作を誤った時、逆止輪が係止板に一瞬で係止されることにより、及び、安全ひもによって引っ張られることにより、圧縮された中棒ユニットは位置決めされ、それにより、圧縮された開傘バネの影響で中棒ユニットが一瞬で反発する現象が起こらなくすることを特徴とする、自動開閉傘の中棒の安全伸縮制御構造。
【請求項2】
前記第一中棒の底端の一側には割り溝を設けるとともに、その隣接する側面には、頂端に開孔を有する長凹溝を形成させ、前記安全ひもは、長凹溝に沿って取り付けるとともに開孔から前記中棒ユニット内の空間に進入させ前記上部材内に固定することを特徴とする、請求項1に記載の自動開閉傘の中棒の安全伸縮制御構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−212371(P2011−212371A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85213(P2010−85213)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(510091435)
【Fターム(参考)】