説明

自己粘着性オーバーラップフィルム

【目的】 エチレンガス等を発生するものを長時間ラップしていても、また、蒸気を放出する調理をする際にそのままラップして使用しても、何の支障もなく利用することが可能な自己粘着性オーバーラップフィルムを提供することにある。
【構成】 包装フィルム本体6 が自己粘着性を有する合成樹脂よりなると共に、該フィルム本体6 には、直径0.1〜10mmの複数個の孔9 が穿設されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例えば、肉類や野菜類、果物類等の食品などを被包したり、通常の調理や保存等に使用するための自己粘着性を有するオーバーラップフィルムの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、前記のように、肉類や野菜類、果物類等の生鮮食品などを被包を被包したり、通常の調理や保存等に使用するための自己粘着性を有するオーバーラップフィルムには、共重合させたポリ塩化ビニリデンを溶融押出しにてフィルム状にしたものがある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のオーバーラップフィルムでは、電子レンジを使用する食品にオーバーラップする場合、特に多量の蒸気を放出する食品の調理に対してオーバーラップする際には、必ず、調理前に針や楊枝等で幾つかの孔を開けておかなければ、食品から放出された蒸気が該食品上に降下してべたべたになってしまうと言う欠点があった。
【0004】
また、前記従来のオーバーラップフィルムにて肉類や野菜類、果物類等の生鮮食品をオーバーラップし、冷蔵庫等に保管した場合などは、該食品自身から発生するエチレンガス等の腐敗ガスが食品とラップフィルムの間に溜まってしまい、空気との接触はないとしても、やはり、長時間の鮮度保持はできなかった。
【0005】
本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、肉類や野菜類、果物類等の食品や、その他夫々のものを包装するのに快適な自己粘着性を有するオーバーラップフィルムであって、且つ該フィルムで例え、エチレンガス等を発生するものを長時間ラップしていても、また、蒸気を放出する調理をする際にそのままラップして使用しても、何の支障もなく利用することが可能な自己粘着性オーバーラップフィルムを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案が、上記課題を解決するために講じた技術的手段は、包装フィルム本体6 が自己粘着性を有する合成樹脂よりなると共に、該フィルム本体6 には、直径0.1〜10mmの複数個の孔9 が穿設されていることである。
【0007】
【作用】
本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムにおいては、包装フィルム本体6 に通気性を有するように、直径0.1〜10mmの非常に小さな孔9 が万遍なく複数個穿設されているので、エチレンガス等を発生する食品などを長時間ラップしていても、該食品とラップフィルム間に前記エチレンガス等の腐敗ガスが溜まることなく、該腐敗ガスは前記孔9 から蒸散される。
【0008】
また、電子レンジ調理等の多量の蒸気を放出する調理をする際に使用しても、該蒸気は本考案の包装フィルム本体6 に穿設された前記複数個の小さな孔9 を通過して、程よく蒸発し、食品がべたべたになることもなく、風味を損なうこともない。
【0009】
更に、前記孔9 が、所定温度の熱針10にて樹脂を溶解しつつ成形されたものであれば、非常に小さな孔9 を極簡単に複数個穿設することができ、該孔9 の径のように小さなものであれば、特に埃や塵等が入る恐れもなく、衛生的な使用が可能となる。
【0010】
【実施例】
以下、本考案の一実施例について図面に従って説明する。
【0011】
本考案に係るラップフィルムは、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等を原料として成形された通常の延伸性フィルムであり、該フィルムは自己粘着性を有し、図1及び図2で示すように、蒸気を放出させやすい食品1 や野菜,果物2 ,肉類3 等を載置させる器4 や皿5 、トレー等用のオーバーラップフィルムとして、また、図3で示すように、前記肉類3 等を直接被包するラップフィルムとして、更には、図4で示すように、プラスチック製の容器5 全体を被包する包装フィルムとして使用されるものである。
【0012】
前記自己粘着性オーバーラップフィルムにおける包装フィルム本体6 は、図5及び図6で示すように、その一面(便宜上、表面7 とする。)から他面(便宜上、裏面8 とする。)に貫通する直径0.5〜1mm程度の複数個の孔9 が穿設されている。
【0013】
前記孔9 は、図5で示すように、所定間隔を開けて規則正しく並設されたものであり、該孔9 の穿設の方法は、例えば、図7で示すように、熱針10が所定間隔にて多数突設された芯棒11の前記熱針10のみを加熱状態とし、該芯棒11を回転させながら、前記原料よりなるフィルムの原反12を巻取る。
【0014】
前記熱針10が突設された部分の原反12を構成する樹脂が溶解して貫通し、その後、温度を下げて前記芯棒11から再度通常の芯棒に巻き取る際に、前記熱針10から原反12が外され、瞬間に孔9 の周縁部が固まるので、複数個の孔9 が設けられる。
【0015】
上述のように構成された本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムであれば、例えば、図1で示すように、焼売や豚マン、茶碗蒸し等加熱時に非常に蒸気が放出する食品1 であっても、特に調理前に針や楊枝等で幾つかの孔を開けるという作業をせずして、前記複数個の孔9 から該蒸気が蒸散し、内部の食品1 がべたべたになり、味の劣化を生じるここはない。
【0016】
また、図2及び図3で示すように、果物2 や肉類3 のような生鮮食品は、特に切ってしまって表面を露出しておくと、該生鮮食品自身から非常に大量のエチレンガス等の腐敗ガスを発生するが、本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムを使用すると、前記複数個の孔9 から該腐敗ガスも蒸散し、内部の生鮮食品は非常に瑞々しい状態を保つことができ、長時間の鮮度保持が充分に可能となる。
【0017】
尚、前記孔9 の穿設位置には特に限定はなく、図8や図9で示すように、フィルム本体中央部に密集させたものであっても、その他、どのような配置を有するものであっても良い。
【0018】
また、前記孔9 の大きさも直径0.1〜10mmの範囲内で(この範囲より小さければ通気性を持たなくなるし、また、この範囲を越すと埃や塵等の侵入の恐れがあって好ましくない。)目的に合った大きさの孔9 を有する包装フィルム本体6 を使用すれば良い。
【0019】
前記孔9 を穿設する際は、本考案のフィルムが自己粘着性オーバーラップフィルムであるので、希望する大きさの径より、2〜3割小径の熱針10を使用して穿設させておけば、実際にオーバーラップした時の孔9 の大きさが略希望する大きさの径となり得る。
【0020】
更に、前記実施例では特に食品を被包する際に使用する場合を述べたが、該使用方法に限定されることはなく、例えば、花屋において切花や鑑賞植物等を包装する際のラップフィルムとしてなども、本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの有する通気性を充分利用することができ、その効力も抜群である。
【0021】
【考案の効果】
本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムは、包装フィルム本体が自己粘着性を有する合成樹脂よりなると共に、該フィルム本体に、直径0.1〜10mmの非常に小さな複数個の孔が穿設されているので、埃や塵等が入ることなくして、食品等から発生する不排ガスや蒸気等を充分に蒸散させることが可能である。
【0022】
従って、本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムを使用すれば、例え多量の蒸気を放出する調理をする時であろうと、また、切ってしまって表面が露出した食品を保護する時であろうと、非常に衛生的に、鮮度保持や風味劣化の防止をすることができる。
な使用が可能となる。
【0023】
また、前記孔を穿設する際に、所定温度の熱針を使用し、該熱針にて樹脂を溶解しつつ成形すれば、非常に簡単な手段で前記のようにかなり小さな孔が、塞がれることなく穿設することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの使用様態図の一実施例を示す斜視図。
【図2】本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの使用様態図の他の実施例を示す斜視図。
【図3】本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの使用様態図の他の実施例を示す斜視図。
【図4】本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの使用様態図の他の実施例を示す斜視図。
【図5】本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの一実施例を示す平面図。
【図6】図5のI−I線断面図。
【図7】本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの成形方法の一実施例を示す説明図。
【図8】本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの他の実施例を示す平面図。
【図9】本考案の自己粘着性オーバーラップフィルムの他の実施例を示す平面図。
【符号の説明】
1 蒸気を放出する食品
2 果物
3 肉類
6 包装フィルム本体
9 孔
10 熱針

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】包装フィルム本体(6) が自己粘着性を有する合成樹脂よりなると共に、該フィルム本体(6) には、直径0.1〜10mmの複数個の孔(9) が穿設されてなることを特徴とする自己粘着性オーバーラップフィルム。
【請求項2】前記包装フィルム本体(6) が食品を被包してなることを特徴とする請求項1記載の自己粘着性オーバーラップフィルム。
【請求項3】前記複数個の孔(9) は、所定温度の熱針(10)にて樹脂を溶解しつつ成形されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の自己粘着性オーバーラップフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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