説明

自己適応数の伝播経路を有する超広帯域信号を受信する方法及びシステム

本発明は、自己適応数の伝播経路を有する超広帯域信号を受信する方法及びシステムに関するものである。本発明によれば、伝送される信号は、シンボル時間Tsにわたって、直接伝播経路に沿って伝播する一連の連続した変調された直接パルス(IDij0)と、それぞれの直接パルスと関連付けられており、それぞれが二次伝播経路に沿って伝播する二次パルス(IDijk、k>0)と、を有している。本発明による方法は、(A)同一の受信機回路上において、一連の直接及び二次パルスを受信する段階と、(B)第1基本相関パターンに対して時間シフトされた一連の基本パターンを有する複合相関パターン{MCCijk}(k=N、k=0)を生成する段階と、(C)直接及び二次パルスのそれぞれの相互相関係数の合計であるシンボルのグローバル相関値を取得するべく、複数の二次パルスと関連付けられているそれぞれの直接パルスと複合相関パターンの間のグローバルな相関係数(GCC)の値を算出する段階と、を有している。本発明は、専門的な(並びに、家庭内の)機器のUWB無線リンクに使用するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己適応数の伝播経路を有する超広帯域信号を受信する方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超広帯域信号を使用する無線通信技法(英語では、これを「UWB」とも呼ぶ)においては、搬送波周波数を使用せず、信号を変調するか又は搬送波をサポートする代わりに、1ナノ秒未満の非常に短い経続時間を有するサポートパルス(即ち、数GHzの非常に大きな帯域)を使用して、伝送対象の情報をベースバンドで直接伝送している。
【0003】
これらのパルスは、非常に小さなパワーで伝送されるため、この伝送信号のパワーのスペクトル密度は、結果的に非常に小さなものになっている。
【0004】
従って、UWB信号は、連続した信号ではなく、非常に小さな循環比率を具備する非常に短時間のパルスのシーケンスである。
【0005】
通常、このようなタイプの信号による伝送に対する多元アクセスは、擬似ランダムシーケンスによって制御された時間跳躍(時間ホッピング)によって実現されている。この信号は、連続パルスのフォームファクタ(又は、場合によっては、遅延)によって、振幅の観点で変調可能である。
【0006】
搬送波を使用する基本技法の概念とは対照的に、UWB信号を送受信する技法は、この種の技法としては唯一のものであり、これらは、スペクトル拡散信号を検出する技法に類似している。
【0007】
具体的には、UWB信号用の「櫛形」受信機は、使用場所のトポロジーにより、多数の二次伝播経路のために変化する、又は低速で変化する、複雑な伝送チャネルが生成されると共に、実際に直接可視状態の伝播経路の存在が妨げられるような干渉を伴う環境において動作するべく設計されている。
【0008】
これを実現するべく、従来技術による既存のUWB信号用の受信機は、通常、スペクトル拡散信号の受信機に使用されているものから派生した「櫛形」と呼ばれる構造を具備している。
【0009】
図1Aに示されているように、このUWB受信機は、櫛「部材」によって受信するブランチを有しており、それぞれの受信ブランチは、所与の1つの受信経路を処理している。そして、このそれぞれの受信ブランチの出力は、その受信機の設計者が追求する方式に従って、α1、αj、αNによって重み付けされた後に、再結合される。
【0010】
尚、この受信機の正常な動作を確保するには、パルスの新しい二次及び/又は一次伝播経路をサーチするために、受信ブランチの中の1つを割り当てる必要がある。従って、「N」個の部材又は、経路を具備する「櫛形」UWB受信機の場合には、N+1個の受信ブランチを提供することが必要である。
【0011】
又、図1Bに示されているように、櫛形UWB受信機の場合には、受信ブランチは、アナログ相関器、相関パターン生成器、およびアナログ積分器から構成されている。そして、対象の受信ブランチに関係する経路の追跡は、その受信機の制御ブロックによって実現されている。
【0012】
櫛形UWB受信機が同期すると、その受信機の制御ロジックは、パルスの到着時間に対応したパターンを生成する。この結果、受信したパルスとの間に高い相互相関値を具備すると共に、白色雑音が存在下においてはゼロの相互相関値を具備するべく構成された相関パターンが生成される。尚、高い中間相互相関値は、直接又は二次パルスの存在を示している。
【0013】
図1Cは、一例として、2−PPMデジタル変調の場合におけるこの原理の例を示しており、0及び1という2値の伝送が、時間シフトされた2つのパルスA及びBの伝送によって表されている。
【0014】
相関パターンは、値0の伝送に対応するシフトしていないパルス(A)が存在する場合には、相互相関係数の値が正となり、値1の伝送に対応するシフトしたパルス(B)が存在する場合には、負となり、パルスが存在しない場合には、0となるように構成されている。従って、相関パターンは、対称の中心に対して対称になっている。
【0015】
但し、1つのシンボルは、しばしば、いくつかのパルスにわたって符号化されるため、同一のシンボルに関係するそれぞれのパルスごとの相互相関係数の取得値を積分することにより、そのシンボルのグローバルな相関係数値を取得することが必要となる。そして、この値を受信機の制御ロジックに伝送し、使用している符号化法に従って、この制御ロジックにおいて解釈することにより、その伝送されたシンボルを検出する。
【0016】
図1Dには、それぞれが擬似ランダムシーケンスを有する二人の同時ユーザーを伴うPPM変調のケースにおける別の例が示されている。この例においては、シンボルが3回反復されており、従って、それぞれのユーザーは、同一のシンボルを表す3つのパルスを伝送している。この結果、シンボル時間Tsは、3つのフレームTfに分割されており、この内部において、それぞれのユーザーは、単一の一意のパルスを符号化している。
【0017】
フレームTf内におけるこのパルスの場所は、それぞれのユーザーに属している擬似ランダムシーケンスの値により、基本フレームインターバルに対して固定されている。最後に、この図示の2値伝送が、シフト動作が存在しない値0ではなく、値1の伝送である場合には、それぞれのパルスは、それぞれの基本フレームインターバルの開始点に対して、時間の長さδだけシフトしている。
【0018】
この櫛形UWB受信機は、それぞれの追加部材が1つの追加受信ブランチの組込みを前提としているため、過度に複雑なものになっている。この結果、このタイプの受信機には、組込み、空間要件、費用、及び消費に関する制約の観点における具備可能な部材の数に対する相対的に厳格な制限が存在している。
【0019】
実際に、4つを上回る数の部材(即ち、5つの動作可能な受信ブランチ)を具備する櫛形UWB受信機を実現できることは稀である。
【0020】
従って、このタイプの受信機の用途は、接続品質の観点における全体的な機能に関する基準が、費用に関する基準よりも優先する高度な用途に限定されている。
【0021】
完全にデジタル化された櫛形UWB受信機ソリューションも既に案出されており、この場合には、アンテナの出力において、受信信号を直接デジタル化している。しかしながら、このタイプの受信機の構造は、この種のデジタル化された信号の純粋にソフトウェアに基づいた処理のために、もはや、従来の櫛形アーキテクチャに対応しておらず、現在のアナログ/デジタルコンバータは、このタイプの用途に適しておらず、且つ、この種のデジタル信号に対して実行を要するデジタル処理動作が、現在のデジタル信号プロセッサによっては、リアルタイムで実行不能であるため、このタイプのソリューションは、現時点においては、実現不能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、櫛形UWB信号受信機の使用に伴う従来技術のこのようなすべての欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
具体的には、本発明の一態様は、その物理的なアーキテクチャが、従来技術の櫛形UWB受信機のアーキテクチャと比べて、格段に単純化された超広帯域UWB信号を受信する方法及びシステムの使用法である。
【0024】
本発明の別の態様は、この態様によれば、前述の単純化によって動作コストを格段に低減可能なUWB信号を受信する方法及びシステムの使用法である。
【0025】
本発明の別の態様は、この態様によれば、使用する構造の大幅な単純化にも拘らず、効果的に処理される一次及び二次伝播経路の数に対する物理的な制限が存在していないために、接続と全体的な有効性の品質の大幅な改善を実現する超広帯域信号を受信する方法及びシステムの使用法である。
【0026】
最後に、本発明の別の態様は、前述の有効な一次及び二次経路の数に関する物理的な制限が存在しないために、自己適応数の効果的に処理される伝播経路を有する超広帯域信号を受信する方法及びシステムの使用法であり、これによれば、厳しく且つ変化する環境に基づいた伝送チャネルが存在する場合にも、送信機と受信機間における無線接続の品質を最適化することができる。
【0027】
本発明によるUWBの受信方法及びシステムは、あらゆるタイプの家庭内装置又は専門的装置の無線接続に使用可能であり、特に、変化する、又は大量の干渉が存在する無線/マイクロ波手段による伝送チャネルに対応した環境において使用可能である。
【0028】
これらについては、従来技術に関係する図1A〜図1Dに加え、別途、「図面の簡単な説明」の節に記載されている添付図面に関する説明及び検討内容を参照することにより、十分に理解することができよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図2及びこれに続く図面を参照し、本発明の主題による超広帯域信号を受信する方法及びシステムについて、更に詳しく説明する。
【0030】
尚、一般に、超広帯域信号の伝送プロセスは、図1A〜図1Dを参照して前述したものに対応しており、本発明による受信方法の場合にも、このような条件下における一連の変調された連続した直接パルスのシンボル時間Tsにわたる受信を実現するものであり、このそれぞれのパルスは、少なくとも1つの直接伝播経路に沿って伝播し、この一連のパルスには、複数の別個の連続した二次パルスが関連しており、このそれぞれは、直接伝播経路とは別個の二次伝播経路に沿って伝播することに留意されたい。
【0031】
特に、このような条件下においては、それぞれの直接パルスは、最短伝播時間に対応しており、この直接パルスに関連するそれぞれの別個の連続した二次パルスは、その二次パルスが関連している直接パルスの受信時点に対して、連続的に時間シフトしていることを理解されたい。
【0032】
これらの直接及び二次伝播経路は、これらの経路上を伝播する対応したパルスの反射回数に関する標識をまったく提供しない。しかしながら、別個の連続した二次パルスは、格段に多数回の反射によって生成されており、このそれぞれの反射は、減衰の源であって、この別個の連続した二次パルスは、その受信の次数に応じて大幅に減少した振幅又はエネルギーを具備しているものと考えられる。
【0033】
この結果、パルスIDijの伝送を考えた場合に、これらのパルスが、例えば、変調が、2−PPMタイプであるとすると、例えば、図1Dに示されている伝送パルスに対応することになる。尚、この概念においては、添え字iは、図1Dのケースにおけるユーザー1又は2を意味しており、添え字jは、それぞれのユーザーに割り当てられている擬似ランダム符号に従ってそれぞれのフレームTf内において伝送されるパルスの次数を意味している。
【0034】
非限定的な例として、且つ説明をわかりやすくするために、図1Dのユーザーi=1、i=2のそれぞれに割り当てられている擬似ランダム符号は、シンボル時間の構成要素であるフレームに連続的に対応していると考えよう。このそれぞれのユーザー用の擬似ランダム符号は、それぞれ、ユーザー1の場合には、j=1、3、7であり、ユーザー2の場合には、j=5、4、1である。
【0035】
そして、時間シフトδは、わかりやすくするために、図1Dの場合と同一であるとする。
【0036】
次いで、図2を参照すれば、本発明による方法は、同一受信回路上において、一連の変調された連続した直接パルスと、この変調された連続した直接パルスのそれぞれと関連する複数の二次パルスを受信する段階Aを有している。
【0037】
このような条件下においては、一連の直接パルス及び関連する二次パルスは、次のように表すことができる。
【0038】
【数1】

【0039】
尚、この表記法において、i及びjは、それぞれ、ユーザー参照と、シンボル時間Ts内におけるフレーム参照を表しており、kは、受信したパルス(直接パルス及び/又は二次パルス)の次数を表している。
【0040】
そして、従来は、それぞれのフレームTf内における直接パルスの次数は、任意に、例えば、0に等しいものとし(即ち、k=0)、連続する別個の二次パルスには、k=1〜Nという次数を割り当てている。
【0041】
この受信段階Aの後には、段階Bが続いているが、この段階は、一連の基本相関パターンから構成された複合相関パターンを演算によって生成する段階を有している。
【0042】
一般に、それぞれの基本相関パターンは、2−PPM変調の非限定的な例の場合には、図1Cに示されているテンプレートと呼ばれる信号に対応している。
【0043】
更に詳しくは、この一連の基本相関パターンは、それぞれの直接パルス(即ち、それぞれのユーザーに割り当てられている擬似ランダム符号によって付与される位置に、それぞれのフレームTf内の位置の観点において対応しているパルス)と関連する第1基本相関パターンと、当然のことながら、次数k(k∈[1,N])の連続した二次パルスにそれぞれ関連する連続した基本相関パターンと、を有している。
【0044】
そして、当然のことながら、このそれぞれの二次パルスと関連する連続した基本相関パターンは、一方において、直接伝播経路上における次数k=0の直接パルスの伝播時間と、他方において、対応する二次伝播経路上における連続した次数k∈[1,N]を具備した関連する二次パルスの伝播時間の間の伝播時間の差に対応する値だけ、直接パルスと関連する第1基本相関パターンに対して、時間シフトしている。
【0045】
図2を参照すれば、この段階Bにおいて、複合相関パターンは、次の表記法によって表されている。
【0046】
【数2】

【0047】
この複合相関パターンを生成するには、非限定的な例として、1シンボル時間にわたって受信した直接及び二次パルスのすべてをスライディング相関によって検出する。そして、このように1シンボル時間にわたって実行した演算は、後続のシンボル時間に対して使用可能であることが判明している(これは、1シンボル時間わたって(又は、必要に応じて、2シンボル時間にわたって)伝送チャネルが実質的に変化しないと考えられるという事実によるものである)。尚、この複合相関パターンの実行及び演算プロセスについては、本明細書において後程詳述する。
【0048】
次いで、この段階Bの後には、段階Cが続いており、この段階は、複数の二次パルスに関連するそれぞれの直接パルスと複合相関パターン間におけるグローバルな相互相関係数値を算出する段階を有している。
【0049】
この図2の段階Cにおいて、この動作は、次のように表されている。
【0050】
【数3】

【0051】
この関係は、GCCが、複数の二次パルスに関連するそれぞれの直接パルスと前述の複合相関パターン間において取得されるグローバルな相互相関係数の値を表していることを示している。
【0052】
従って、このグローバルな相互相関係数GGCの値は、同一シンボルについて伝送される変調されたパルスのそれぞれごとに取得された直接及び二次パルスのそれぞれの相互相関係数の合計から構成されており、それぞれのユーザーごとに伝送されるシンボルのグローバルな相関値を表していることを示している。
【0053】
この結果、このグローバルな相互相関係数を算出する段階は、図2の段階Cを参照すれば、それぞれの基本相互相関パターンと、この基本相互相関パターンのそれぞれに関連する直接又は二次パルス間における基本相互相関係数を算出する段階と、次いで、基本相互相関係数値のすべてをシンボル時間Tsにわたって積分する段階と、を有している。
【0054】
次に、図3A、図3B、図3C、及び図3Dに示されているパルスタイミング図を参照し、この図2に示されている段階A、B、及びCの実装について説明する。
【0055】
図3Aは、図1Dの非限定的な例における一連の変調された連続した直接パルスと、この直接パルスのそれぞれに関連する二次パルスを示している。
【0056】
尚、ユーザー1及び2について生成された次数k=0の直接パルスは、ハッチングと点によって別途に示されており、実数k>1の二次パルスは、図面を過剰に複雑なものにしないように、k=3に限定されている。
【0057】
又、特に、ID111〜ID113などの二次パルスの位置は、後続の直接パルスk=0との関係において、どの位置であってもよいことを理解されたい。
【0058】
このような条件下においては、対応する直接パルスと関連するそれぞれの二次パルスの時間シフトθ11、θ12、θ13、及びθ21、θ22、θ23は、前述の表記法どおりに、それぞれの連続したフレームインターバルTfにわたって反復されている。
【0059】
この結果、図3Bに示されている複合相関パターンは、次数k=0のそれぞれの直接パルスに対してそれぞれの基本相関パターンをロッキングする段階と;例えば、図1Cに示されているように、それぞれの基本相関パターンの構成要素テンプレートの時間分解能に対応する時間インターバルで生成された連続した基本相関パターンの相互相関係数を算出する段階と;図3Bに示されているように、複合相関パターンを構成するべく、例えば、その相互相関積が閾値を上回っている連続した基本相関パターンのみを選択する段階と;によって生成可能である。
【0060】
尚、このような条件下においては、前述の複合相関パターンは、次数k=0の直接パルスが出現する時点のみならず、その基本相関パターンとの相互相関係数が前述の閾値を上回っている次数k>1の二次パルスも出現する時点において生成された基本相関パターンから実質的に構成されていることを理解されたい。
【0061】
次いで、図3C及び図3Dに示されているように、この図3Bに示されている複合相関パターンと前述のパルス列に基づいて、それぞれのユーザーごとに、並びに、直接パルス及びそれらに関連する二次パルスについて、グローバルな相互相関係数の値を算出する段階を実行する。
【0062】
一般に、直接パルスと、当然のことながら、それぞれのユーザーに割り当てられた擬似ランダム符号に基づいて、複合相関パターンが、実質的に1シンボル時間にわたって同期している場合には、二次パルスの次数の弁別は必須のものではなく、最終的に考慮されるのは、シンボル時間Ts内におけるこれらのパルスの位置のみである。
【0063】
従って、本発明による方法は、複合相関パターン(そして、グローバルな相互相関係数の値)の演算段階を確保するべく最終的に保持するパルスの数が、その使用特性に従い、且つ、本発明による方法を実行するべく、例えば、それぞれの直接パルスについて10個の二次パルスなどというような大きなものであってよく、容易に選択可能であるという点において特に注目に値するものである。
【0064】
具体的には、この保持するパルスの数の選択は、二次パルスの振幅及び/又はエネルギーのレベル、或いは、更に単純なケースにおいては、保持するパルスの有効数という2つのいずれかに関する検討から導出可能である。
【0065】
この結果、直接及び二次パルスの計数可能なグループについて、2つの連続したパルスの時間差を考慮することにより、本発明による方法は、最初のN個の経路を保持する段階を有することが可能であり、この最初のN個の経路は、関連する変調されたパルスの最短伝播時間に対応している次数k=0の直接経路と、連続的に増大する二次パルスの伝播時間にそれぞれが対応しているN−1個の二次経路と、を有している。
【0066】
このソリューションにおいては、図3A及び図3Bを参照すれば、保持する二次パルスの数は、同一のフレームから直接パルスを弁別する段階と、2つの連続した直接パルス(又は、場合によっては、3つの連続した直接パルス)の間に存在する二次パルスを保持する段階と、を有することができる。そして、このようにして保持した二次パルスの数により、最初のN個の経路を定義し保持することができる。
【0067】
二次パルスの数を選択するための別の実行可能な方法は、考慮対象の直接パルス及び二次パルスの計数可能なグループについて、その直接パルス又は二次パルスの振幅又はエネルギーが最大値に位置しているN個の経路を保持する段階を有することができる。
【0068】
このタイプの動作方法においては、当然のことながら、最大値と判断される次数k=0の直接パルスの振幅又はエネルギーを弁別する段階に加え、最大の振幅及び/又はエネルギーを具備するN個のパルスを保持するべく、その振幅及び/又はエネルギーに応じて二次パルスを弁別する段階を有している。
【0069】
但し、本発明による方法の実装の観点においては、直接パルスに関連する二次パルスの数Nのみを使用する弁別法は、前述のパルスの振幅及び/又はエネルギーの基準を使用する弁別法と比べて、その有効性が相対的に低いものになる可能性が高いことを理解されたい。
【0070】
いずれにしても、保持する経路の数Nは、相対的に迅速な処理を実現するべく最初のN個の経路の選択基準に従うか、或いは、この代わりに、伝播条件に応じて直接パルス及び二次パルスの最大振幅及び/又はエネルギーに対応するN個の経路の選択基準に従うことによって適合可能である。この結果、このタイプの動作方法によれば、超広帯域信号による接続の品質を最適化することができる。
【0071】
図3Bのタイミング図に示されているように、複合相関パターンを算出する段階に関連し、このプロセスは、少なくとも1つのシンボル時間Tsにわたる相関により、伝播時間と、連続した直接及び二次パルス間における伝播時間の差の直接パルス又は二次パルスの観点における伝送チャネルのイメージを確立する段階と、次いで、二次伝播経路(必要に応じて、直接伝播経路)の出現と消滅を更新すると共に、少なくとも1つのシンボル時間にわたって、伝送チャネルの更新済みのイメージとして複合相関パターンを確立するべく、スライディング相関によって伝送チャネルのイメージを更新する段階と、を有している。
【0072】
次に、図4A及び図4Bを参照し、本発明によるシンボルを表す超広帯域信号を受信するシステムについて更に詳細に説明する。
【0073】
図4Aに示されているように、本発明によるシステムは、一連の変調された連続したパルス(次数k=0の直接パルスと次数k>0の二次パルス)の共通受信回路を有している。
【0074】
非限定的な例として、この共通受信回路は、アンテナAnと、アンテナ増幅器を構成している低雑音増幅器LNAと、を有している。
【0075】
そして、これらは、更に、少なくとも1つのシンボル時間Tsにわたって、伝播時間と、連続する直接パルスと二次パルス間における伝播時間の差の直接パルス又は二次パルスの観点における伝送チャネルのイメージを取得して更新する手段1を有している。
【0076】
本発明による方法に関連して前述したように、この取得及び更新手段1によれば、二次伝播経路及び一次伝播経路の出現と消滅をスライディング相関によって更新すると共に、当然のことながら、少なくとも1つのシンボル時間にわたって複合相関パターンを確立することが可能である。これは、前述のパターンMCCijkである。
【0077】
図4Aに示されているように、この取得及び更新手段1によれば、伝送チャネルのイメージを表す経路リスト信号を伝送することが可能であり(この経路リストは、図4には、LTと表記されている)、このリストは、例えば、それぞれのシンボル時間Tsごとに、伝送される。
【0078】
非限定的な例として、この経路リスト信号は、前述の複合相関パターンMCCijkを生成するべくそれぞれの基本相関パターンを連続生成することを要するシンボル時間における時点の指定に対応したものであってよい。
【0079】
複合相関パターンMCCijkと同様に、この経路リスト信号LTが表している時間も、当然のことながら、直接伝播経路上における直接パルスの伝播時間と、対応する二次伝播経路上を伝播する関連した二次パルスの伝播時間の間の伝播時間の差だけ、それぞれの直接パルスと関連する第1基本相関パターンの時間に対して、時間シフトしている。
【0080】
更には、本発明による方法は、直接及び二次伝播経路の経路リスト信号LTを受信する単一相関手段2をも有しており、この単一相関手段2によれば、複数の二次パルスと関連するそれぞれの直接パルスと、複合相関パターンMCCijk間におけるグローバルな相互相関係数GCCの値を算出することができる。
【0081】
次に、この図4Aを参照し、取得及び更新手段1について更に詳しく説明する。
【0082】
第1実施例によれば、この取得及び更新手段1は、グローバルな取得及び追跡相関手段を有しており、これは、参照符号11によって示されており、共通受信回路から伝送された一連の連続したパルスを受信して、GAC1と表記されているグローバル取得相関係数値を伝送する。
【0083】
更に詳しくは、図1Bに示されている従来技術の装置と同様に、このグローバルな取得相関手段11は、相関器112、積分器又は総和積分器113、及び基本同期パターンSEM1の生成器111を有している。
【0084】
そして、取得及び更新手段1は、このグローバルな取得及び追跡相関手段11から伝送されるグローバルな取得相関係数値GAC1と、単一相関手段2から伝送されるグローバル相互相関係数値GCCと、を受信するチャネル走査及び追跡手段10を更に有している。
【0085】
このチャネル走査及び追跡モジュール10は、本発明による方法の実装に関連して前述した直接及び二次伝播経路のリストLTを伝送すると共に、シンボル時間における同期信号ST1を、取得及び更新手段11を構成している基本同期パターン生成器111に伝送する。
【0086】
尚、具体的には、この同期信号ST1は、図3Bの位置(1)に示されているタイミング図に対応するものである。
【0087】
このような条件下において、基本同期パターン生成器111は、スライディング相関によるチャネルイメージの取得後に、取得相関パターンを形成する基本同期パターンSEM1のグループを伝送し、この取得相関パターンは、伝送チャネルの大きな変化が存在しない状態において、それぞれの直接パルス及び関連する二次パルスの存在を予測可能な時点において生成される基本相関パターンの存在に実質的に対応している。
【0088】
尚、スライディング相関による取得及び追跡のプロセスの更に詳しい説明については、例えば、Robert Fleming、Cherie Kushner, Gary Roberts、Uday Nadiwada(AEther Wire & Location Inc.)による「Rapid Acquisition for Ultra−Wideband Localizers」という名称の論文を参照されたい。この論文は、インターネットサイト「http://www.aetherwire.com」において入手可能である。
【0089】
非限定的な例として、同期信号ST1は、当然のことながら、シンボル時間にわたって同期している。
【0090】
このために、チャネル走査及び追跡モジュール10は、ユーザーのそれぞれの擬似ランダム符号、従ってそれらのそれぞれによって生成される直接パルスの位置と、更には経路リストLTと、に基づいて、前述したように、同期信号ST1を生成可能である。
【0091】
一変形例においては、図3Bの位置(2)に示されているように基本同期パターンを生成する時点の選択は、基本同期パターン生成器111が保持している擬似ランダム符号に基づいて実行可能であり、次いで、同期信号ST1を、時間ベースを構成する一連の連続した等距離パルス(例えば、2つの連続した直接及び/又は二次パルスの弁別分解能に対応する期間だけ分離した等距離パルス)に低減する。そして、これらのパルスをそれぞれのシンボル時間Tsにおいて反復する。
【0092】
この結果、図3Bの位置(2)に示されている信号は、基本同期パターン生成器111からグローバル取得相関手段の相関器122に伝送された取得相関パターンに対応していることを理解されたい。
【0093】
このような動作方法によれば、伝送チャネルの変化による直接及び二次伝播経路の出現及び/又は消滅に応じた単一相関手段から伝送される先行するシンボル時間のグローバル相関係数値GCCに基づいて、スライディング相関により、後続のシンボル時間の経路リスト信号LTを更新することができる。
【0094】
特に、安定状態においては、即ち伝送チャネルが変化しない場合には、経路リスト信号LTは、1つのシンボル時間から別のシンボル時間にかけて実質的に変化しないことを理解されたい。
【0095】
これとは逆に、例えば、二次パルスが消失又は出現する場合には、相関器112に伝送される取得相関パターンと、当然のことながら、対応するグローバル相関係数値GAC1が、変更されることになる。
【0096】
従って、相関係数値GCC及びGAC1を比較することにより、取得相関パターンの変更を保持すると共に、当然のことながら、後続のシンボル時間の経路リスト信号LTを更新し、この結果、単一相関手段2の相関プロセスを最終的に更新することができる。
【0097】
いずれにしても、チャネルが平衡した位置に確立された後には、即ちチャネルが変化していない場合には、チャネル走査及び追跡モジュールから伝送される経路リスト信号LTは、単一相関手段から伝送されるグローバル相互相関係数値GCCが最大値に位置している受信した一連の連続パルスを有する複合相関時間から形成されていることを理解されたい。
【0098】
単一相関手段に関連し、図4Aに示されているように、この手段は、グローバルな取得相関手段と同様に、共通受信回路から一連の連続したパルスを受信する相関器22と、この相関器22から伝送される基本相関値に基づいてグローバルな相関係数値GCCを算出可能な積分器又は総和積分器23と、このグローバルな相関係数値GCCを受信するシンボル判定回路24と、を有している。
【0099】
又、この単一相関手段2は、前述の経路リスト信号LTを受信する受信制御回路20と、この受信制御モジュール20から伝送される信号を受信する基本相関パターン生成器21と、を有している。そひて、この基本相関パターン生成器21は、図3Bのポイント(2)に示されているように複合相関パターン21を伝送する。
【0100】
受信制御モジュール20に関連し、このモジュールによれば、経路リスト信号LTに基づいて、前述した相関時間に対応する一連のトリガパルスを伝送することができる。そして、このようにして取得された一連のパルスにより、受信及び制御モジュール20から伝送されるそれぞれのトリガパルスごとに生成される基本相関パターンに基づいて、例えば、図3Bのポイント(2)に示されている複合相関パターンを生成することができる。
【0101】
最後に、本発明による装置を使用した一変形においては、図4Aに示されているように、本装置は、複数のグローバル取得及び追跡相関手段、即ち前述の手段11と、破線で示されているもの12、を有することが可能である。このグローバル取得及び追跡相関手段は、前述の手段11と同一であり、このため、この相関器に対しては、類似の参照符号122が、積分器又は総和積分器に対しては、123が、基本同期パターン生成器に対しては、121が、そして、基本同期パターンに対しては、SEM2が付加されている。
【0102】
尚、複数のグローバル取得及び追跡相関手段を提供可能であるが、チャネル走査及び追跡モジュール10については、これらすべての手段に共通となっている。
【0103】
このタイプの場合には、チャネル走査及び追跡モジュール10は、図4Aに、GAC1、GAC2と表記されている対応するグローバルな取得相関係数の値を受信すると共に、この図面に示されているように、複数の同期信号ST1、ST2を伝送する。
【0104】
そして、それぞれのグローバルな取得及び追跡相関手段11、12(並びに、後続のもの)は、関連する基本同期パターン生成器111及び121を有している。これらのそれぞれは、チャネル走査及び追跡モジュール10から伝送される特定の相関時間リスト信号(即ち、信号ST1及びST2(並びに、後続のもの))を受信する。これらの信号は、好都合なことに、例えば、フレームセグメントなどのシフトした時間セグメントに対応可能であり、これらのセグメントは、連続しており、相補的である。この結果、相補的な連続した時間セグメントにより(スライディング相関により)、一連の連続した基本同期相関パターンを生成可能であり、この結果、伝送チャネルのイメージの取得時間を、その複数のグローバルな取得及び追跡相関手段を構成しているグローバルな取得及び追跡相関手段の数によって除算することができる。
【0105】
従って、この図4Aに示されている本発明によるシステムの動作方法について、図4Bを参照し、次のように説明することができる。
【0106】
接続を確立する際に、初期化段階100が呼び出される。この段階においては、図4Aに示されている受信システムの初期化を実行し、具体的には、例えば、すべての演算値をゼロにリセットする。
【0107】
そして、この初期化が完了すると、この段階100の後には、前述したように、スライディング相関によって、チャネルを調査し、同期をサーチする段階101が続いている。この段階は、前述したように、ユーザーのそれぞれごとに使用されている擬似ランダム符号と、当然のことながら、この擬似ランダム符号を考慮して、受信され、送信され、この結果受信されたパルスの位置と、に基づいて実行される。メイン相関ピークの出現により、それぞれの一次パルスの位置を検出した後に、一次経路を検出してマーキングすることにより、図4Aに示されているように、本発明による受信システムを送信機と同期させることができる。そして、この状況において、二次伝播経路の存在を示す二次相関ピークを検出し、この結果、グローバル相関係数GCCとグローバル取得相関係数GACを更新する。
【0108】
次いで、チャネル走査及び追跡モジュール10により、処理対象の経路を識別し、任意選択によって、従来技術の装置におけると同様に、それらに重み係数を割り当てると共に、連続したパルスについて、前述したように個々の伝播時間を記録することができる。
【0109】
尚、本発明による方法及びシステム用の特定の動作方法によれば、経路の選択は、N個の最強経路又は最初のN個の経路(或いは、必要に応じて、これらを折衷したもの)を保持することによって実行可能であることに留意されたい。
【0110】
そして、同期化の実行が完了し、同期が実現したら、この段階101の後には、単一経路受信段階102が続いており、この段階においては、経路の選択を実行可能である。
【0111】
非限定的な例として、特定の有利な選択プロセスは、到達する最初の経路を処理する段階と、次いで、追加の経路を考慮してもグローバルな信号対雑音比が向上しなくなるまで、後続の経路を1つずつ追加する段階と、を有することができる。
【0112】
この段階102の完了後に、単一経路受信が取得された際に(即ち、メイン経路の受信が完了し、二次パルスの伝播経路の選択も確立された状態で)、前述の選択を使用可能である。
【0113】
次いで、この状況において、取得及び追跡相関手段11の相関器112が、更新済みの伝送チャネルのイメージを維持するべくスライティング相関によって動作している間に、相関器の1つ(図4Aの相関器22)が受信モードで動作する。この動作は、図4Bの段階103において実行され、マルチ経路モードにおいて受信が実行される。
【0114】
特に、チャネル走査及び追跡モジュールにより、伝播経路の出現と消失を検出し、これらの経路を追跡可能であることを理解されたい。この経路の追跡は、前述したエネルギー又は信号対雑音比の基準に応じて実行可能である。
【0115】
従って、チャネル走査及び追跡モジュール10によれば、経路の動的な処理を提供し、(重み係数を使用している場合に)重み係数の割り当てと変更を実行すると共に、処理済みの経路リストを変更し、経路リスト信号LTを変更して再更新可能であることを理解されたい。
【0116】
そして、このような条件下においては、伝送チャネルのイメージの更新との関連でこのように採用された追跡プロセスにより、接続品質の目標を維持することが可能であることを理解されたい。
【0117】
段階103の後には、マルチ経路受信段階104が続いており、この段階は、経路(即ち、経路リストLT)の選択を更新する段階を有している。そして、この図4Bの段階104から段階103に戻っている矢印は、このマルチ経路受信と、当然のことながら、チャネルの走査及び経路リストLTの更新が有している連続的な特性を示すものである。
【0118】
最終的には、通信が終了した際に、必要に応じて、初期化段階への戻りを再実行することになる。
【0119】
図4Bを参照すれば、高速で変化する伝送チャネル(即ち、変化の大きなチャネル)の場合には、複数のグローバル取得相関手段11、12(並びに、後続のもの)を使用することにより、この伝送チャネルを追跡するプロセスを大幅に加速させることができる。
【0120】
UWBパルスを伝送するべく2−PPM変調を使用し、1シンボル当たり3フレームの反復を伴う例においては、例えば、フレームごと及びフレーム時間ごとの取得及び追跡のために、1つのグローバルな相関手段を使用可能である。
【0121】
最後に、走査及び追跡モジュール10によって選択された保持する経路のそれぞれの重要性に対して重み付けを実行する場合には、この重み付けの段階は、単一グローバル相関手段2の基本相関パターン生成器21において実装可能であり、この場合には、この生成器21において、関連する経路の重み付けファクタに比例した振幅をそれぞれの基本パターンに対して適用可能である。又、この状況においては、必要に応じて、図面に参照符号21aによって示されているパターン振幅制御装置を追加可能である。
【0122】
以上、シンボルを表す超広帯域信号を受信する方法及びシステムについて説明したが、これは、前述のように、相関手段の数を実質的に2つ(実際の受信を確保する単一相関手段と、グローバルな取得相関手段)に低減可能であるという点において特に有効である。更には、本発明による方法及びシステムは、処理する経路の数を調整可能であるという点が特に有利であり、この調整可能な特性は、動作の際に処理する受信経路の数を選択し調整する能力の結果として得られたものである。
【0123】
このように、本発明の主題による受信機は、動的な方式でその特性を変更し、この結果、接続品質、自律性に関する制約、及び伝送チャネルの変化性などのパラメータの特性によって決定される動作条件に対して効果的に適合するのに適している。最後に、処理する経路の数は、物理的な実装に関連して制限されてはおらず、その代わりに、例えば、信号対雑音比の値に関係する基準や特定のエネルギー基準によって制限される。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1A】従来技術を示している。
【図1B】従来技術を示している。
【図1C】従来技術を示している。
【図1D】従来技術を示している。
【図2】本発明による方法を実行するのに必要な諸段階のフローチャートの一例である。
【図3A】伝送が、非限定的な例として、2−PPMモードによって実行され、直接及び二次経路に沿って伝播する直接及び二次パルスを考慮したケースにおける、本発明による方法に従って、複合相関パターンに基づいて、複数の経路に沿って伝送されるシンボルを検出するためのタイミング図を純粋に一例として示している。
【図3B】伝送が、非限定的な例として、2−PPMモードによって実行され、直接及び二次経路に沿って伝播する直接及び二次パルスを考慮したケースにおける、本発明による方法に従って、複合相関パターンに基づいて、複数の経路に沿って伝送されるシンボルを検出するためのタイミング図を純粋に一例として示している。
【図3C】伝送が、非限定的な例として、2−PPMモードによって実行され、直接及び二次経路に沿って伝播する直接及び二次パルスを考慮したケースにおける、本発明による方法に従って、複合相関パターンに基づいて、複数の経路に沿って伝送されるシンボルを検出するためのタイミング図を純粋に一例として示している。
【図3D】伝送が、非限定的な例として、2−PPMモードによって実行され、直接及び二次経路に沿って伝播する直接及び二次パルスを考慮したケースにおける、本発明による方法に従って、複合相関パターンに基づいて、複数の経路に沿って伝送されるシンボルを検出するためのタイミング図を純粋に一例として示している。
【図4A】本発明の主題に従って自己適応数の伝播経路を具備するUWB信号を受信するシステムのブロックダイアグラムの形態における動作図を純粋に一例として示している。
【図4B】図4Aに示されている本発明によるシステムの動作を実行するフローチャートを一例として示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンボルを表す超広帯域信号を受信する方法であって、伝送チャネル上において伝送されるこの信号は、1シンボル時間にわたって、一連の変調された連続した直接パルスを有しており、それぞれのパルスは、少なくとも1つの直接伝播経路に沿って伝播し、前記一連のパルスには、それぞれが二次伝播経路に沿って伝播する複数の別個の連続した二次パルスが関連している、方法であって、
前記一連の変調された連続した直接パルスと、該変調された連続した直接パルスのそれぞれに関連する前記複数の二次パルスは、同一の受信回路上において受信され、
前記方法は、
一連の基本相関パターンから構成された複合相関パターンを生成する段階であって、前記一連の基本相関パターンは、それぞれの直接パルスと関連する第1基本相関パターンとそれぞれが連続した二次パルスに関連する連続した基本相関パターンを有し、前記連続した基本相関パターンは、前記直接伝播経路上における前記直接パルスの伝播時間と、前記対応する二次伝播経路上を伝播する前記関連する二次パルスの伝播時間の間の伝播時間の差だけ、前記第1基本相関パターンに対して、時間シフトしている、段階と、
前記複数の二次パルスと関連するそれぞれの直接パルスと前記複合相関パターンの間のグローバルな相互相関係数の値を算出する段階であって、この結果、前記シンボルについて伝送された前記変調されたパルスのそれぞれについて取得された前記直接及び二次パルスのそれぞれの前記相互相関係数の合計である前記同一のシンボルのグローバル相関値を取得することができる、段階と、
を有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記グローバルな相互相関係数の値を算出する段階は、
それぞれの基本相互相関パターンと、前記基本相互相関パターンのそれぞれと関連する前記直接及び二次パルスの間の基本相互相関係数を算出する段階と、
前記シンボルの前記グローバル相関値を表す前記グローバル相互相関係数を伝送するべく、基本相互相関係数値のグループを前記シンボル時間にわたって積分する段階と、
を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
パルス、直接経路又は複数の二次伝播経路の中の二次経路上において伝播する直接パルス及び二次パルス、の計数可能なグループについて、最初のN個の経路を保持する段階であって、前記最初のN個の経路は、前記関連する変調されたパルスの最短伝播時間に対応している前記直接経路と、連続的に増大する二次パルスの伝播時間にそれぞれが対応しているN−1個の二次経路と、を有している、段階、
を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
パルス、直接経路又は複数の二次伝播経路の中の二次経路上を伝播する直接パルス及び二次パルス、の計数可能なグループについて、前記直接パルス又は二次パルスの振幅が最大値であるN個の経路を保持する段階、
を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
前記保持する経路の数Nは、前記最初のN個の経路の選択基準に従うか、或いは、伝播条件に応じて前記直接パルス及び前記二次パルスの最大振幅に対応するN個の経路の選択基準に従って適合され、この結果、前記超広帯域信号による接続の品質を最適化することができることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記複合相関パターンを生成する段階は、
少なくとも1つのシンボル時間にわたる相関により、前記伝播時間と、前記直接パルスと連続した二次パルス間の伝播時間の差の直接パルス又は二次パルスにおける前記伝送チャネルのイメージを確立する段階と、
前記二次伝播経路及び/又は前記直接伝播経路の出現及び消失を更新すると共に、少なくとも1つのシンボル時間にわたって、前記伝送チャネルの更新されたイメージとして前記複合相関パターンを確立するべく、スライディング相関により、前記伝送チャネルの前記イメージを更新する段階と、
を有することを特徴とする請求項1〜5の中のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
シンボルを表す超広帯域信号を受信するシステムであって、伝送チャネル上において伝送されるこの信号は、1シンボル時間にわたって、一連の変調された連続した直接パルスを有しており、それぞれの変調されたパルスは、少なくとも1つの直接伝播経路に沿って伝播し、前記一連のパルスには、それぞれが二次伝播経路に沿って伝播する複数の別個の連続した二次パルスが関連している、システムにおいて、
該システムは、
前記一連の変調された連続したパルスと、該変調された連続した直接パルスのそれぞれと関連する前記複数の二次パルスを受信する共通手段と、
この共通受信手段に接続されており、少なくとも1つのシンボル時間にわたって、前記伝播時間と、前記直接パルスと連続した二次パルスの間の伝播時間の差の直接及び二次パルスにおける前記伝送チャネルのイメージを取得して更新する手段であって、該取得及び更新手段によれば、スライディング相関により、前記二次伝播経路及び/又は前記一次伝播経路の出現と消失を更新すると共に、少なくと1つのシンボル時間にわたって、直接パルス及び複数の連続した二次パルスとそれぞれが関連している一連の連続した基本相関パターンから構成された複合相関パターンを確立することが可能であり、それぞれの連続した基本相関パターンは、前記直接伝播経路上における前記直接パルスの伝播時間と、前記対応する二次伝播経路上において伝播する前記関連する二次パルスの伝播時間の間の伝播時間の差だけ、それぞれの直接パルスと関連する前記第1基本相関パターンに対して、時間シフトしており、前記取得及び更新手段によれば、前記伝送チャネルの前記イメージを表す経路リスト信号を伝送可能である、取得及び更新手段と、
直接及び二次伝播経路の前記経路リスト信号を受信し、前記複数の二次パルスと関連するそれぞれの直接パルスと前記複合相関パターン間のグローバルな相互相関係数の値を算出可能な単一相関手段であって、この結果、前記シンボルについて伝送される前記変調されたパルスのそれぞれごとに取得された前記直接及び二次パルスのそれぞれの前記相互相関係数の合計である前記同一シンボルのグローバルな相関値を取得可能である、単一相関手段と、
を少なくとも有していることを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記取得及び更新手段は、
前記共通受信手段から前記一連の連続したパルスを受信して、グローバルな取得相関係数値を伝送する少なくとも1つのグローバル取得及び追跡相関手段と、
少なくとも前記グローバルな取得相関係数値及び前記グローバルな相関係数値を受信し、一方においては、直接及び二次伝播経路の前記経路リスト信号を、他方においては、同期信号を、前記グローバルな取得及び追跡相関手段に伝送するチャネル走査及び追跡モジュールと、
を有することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記グローバルな取得及び追跡相関手段は、
受信された前記一連の連続したパルスを受信する相関器と、前記取得相関係数値を伝送する総和積分器と、
前記同期信号を受信し、取得相関パターンを前記相関器に伝送する基本同期パターン生成器であって、前記同期信号は、一連の連続した基本相関パターン時間から構成されており、この結果、前記伝送チャネルの変化に応じた直接及び二次伝播経路の出現及び消失に従う前記単一相関手段によって伝送される先行するシンボルの前記グローバルな相関係数値に基づいて、スライディング相関により、後続のシンボル時間の前記経路リスト信号を更新することができる、基本同期パターン生成器と、
を有することを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記チャネル走査及び追跡モジュールから伝送される前記経路リスト信号は、前記単一相関手段から伝送される前記グローバルな相互相関係数値が最大値である受信された前記一連の連続したパルスを有する前記複合相関時間から形成されていることを特徴とする請求項7〜9の中のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記受信された一連の連続したパルスを受信する複数のグローバルな取得及び追跡相関手段を有し、それぞれのグローバルな取得及び追跡相関手段は、1つの基本同期パターン生成器と関連付けられており、前記グローバルな取得及び追跡相関手段及びこれと関連付けられた前記基本パターン生成器から形成されたアセンブリは、前記チャネル走査及び追跡モジュールから伝送される特定の相関時間リスト信号を受信し、前記特定の相関時間リスト信号は、シフトした時間セグメントに対応しており、この結果、一連の連続した基本相関パターンを、連続した相補的な時間セグメントによるスライディング相関によって生成可能であり、前記伝送チャネルの前記イメージの取得時間を、前記複数のグローバルな取得及び追跡相関手段を構成しているグローバルな取得及び追跡相関手段の数によって実質的に除算可能である請求項8〜10の中のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記単一相関手段は、
基本相関パターン生成器と、
前記生成器と関連付けられており、前記複合相関パターンを構成する前記基本相関パターンの中の少なくとも1つの重み付けを実行するモジュールと、
を少なくとも有することを特徴とする請求項7〜11の中のいずれか一項に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図4B】
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【公表番号】特表2006−511178(P2006−511178A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567003(P2004−567003)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003724
【国際公開番号】WO2004/066517
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(591034154)フランス テレコム ソシエテ アノニム (290)
【Fターム(参考)】