説明

自然交番電磁場を身体の近傍で生成する装置

【課題】利用者に作用する電磁的ストレスを少なくとも実質的に振幅及び周波数に依存することなく補償し、及び/又は利用者の健康状態をポジティブに刺激することが可能な自然交番電磁場生成装置を提供すること。
【解決手段】とりわけ利用者に作用する電磁的ストレスを補償するための及び/又は利用者の健康状態にポジティブな刺激を与えるための、例えば良天候電磁場(空電)等の自然交番電磁場を身体の近傍で生成するための装置において、自然交番電磁場を生成するための生成手段(10、13)と、該自然交番電磁場を送出する送出手段(16)とを有し、前記生成手段(10、13)は、前記自然交番電磁場を記憶する記憶装置(11)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然交番電磁場を身体の近傍で生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
我々の環境は、数多の交番電磁場による負荷を受けている。これらの交番電磁場の大多数は、人工ないし人為的なもの、即ち人間によって(人為的に)作り出されたもの(人工交番電磁場)である。このような電磁場の実際上重要な例として、ギガヘルツ領域にまで至るデータ通信のために人為的に作り出された電磁場がある。このような装置の例として、移動式電話機、GSM(Global System for Mobile Communication)データ通信方式及び将来においてはUMT(Universal Mobile Telecommunication System)データ通信方式で作動するいわゆる携帯電話機(Handy)が挙げられる。これらの電磁場は、携帯電話機では、典型的には、100Hz〜217Hzの範囲のパルスを有する。このパルスによって、生体細胞に対し悪影響を及ぼす強い電磁的ストレス(Elektro-Stress)が引き起こされる。とりわけ携帯電話機の場合には、利用者の耳元での手持式装置(電話機)の使用中におけるこれら電話機の大きな送信出力により、利用者の生体細胞に対する生物学的ストレス作用がはっきりと現れ、これは避けることはできない。これについて報告する学術刊行物は幾つかあるが、その中には、HF(高周波)信号伝送のパルスパケット間の60dBを超える高ダイナミックが、400Hzまでの典型的な細胞共鳴における激しい細胞刺激/炎症(Irritationen)の誘因であることを説明する文献がある(非特許文献1参照)。更にこの文献には、信号の周期が、細胞に対する影響の重要な要因であること、生体細胞に対する確率的(ランダムな)信号挙動(stochastisches Signalverhalten)は、より無害であり、より好ましいことが説明されている。また、人工高周波電磁場によるとりわけ人間等の生物の生体細胞に対する不利な生物学的作用については、十分な知識を入手できる(例えば非特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、交番電磁場の人体への作用は、自然交番電磁場(自然界に存在するないし自然現象としての交番電磁場)の形によって行なわれることもある。例えば特定の天候状態(例えばアルプス地方のフェーン現象)が、水平方向及び/又は垂直方向に広がりかつ数百Hzから典型的には50,000Hzの範囲にある自然交番電磁場の誘因となることが知られている。この種の「悪天候電磁場(Schlechtwetterfeld)」は、既知の態様で(例えばフェーン現象を参照せよ)、生物に悪影響を及ぼす。これに対し、良天候電磁場(Schoenwetterfeld)−これは空電(Sferics)とも呼ばれる−については、生物に対しポジティブな(好ましい)影響を与えることが知られている。このような自然交番電磁場も、数百Hzから典型的には少なくとも20kHzの範囲にあるが、悪天候電磁場とは異なる振幅分布と周波数分布とを有する。
【0004】
更に、人体の刺激及び人体への所定の悪影響の補償並びに電子スモッグ(Elektrosmog)の鎮静及び一般的には(電子スモッグの)補償をするために、1.4〜32.4Hzの間の低周波領域の人工交番電磁場を生成するバッテリー駆動式の小型装置を使用することも知られている(例えば非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Liebrecht von Klitzing, Magazin 2000 plus, Nr. 144, 1999年12月, 74頁
【非特許文献2】Herbert L. Koenig "Unsichtbare Umwelt", Muenchen, 1986年
【非特許文献3】"MEDISENT", www.magnet-feldtherapie-2000.de
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記1.4〜32.4Hzの低周波領域の人工交番電磁場を生成するバッテリー駆動式小型装置では、例えば30Hzより大きいNF(低周波)領域やHF(高周波)領域における電子スモッグのような比較的大きい周波数を有する交番電磁場は顧慮されていない。
【0007】
それゆえ、本発明の課題は、利用者に作用する電磁的ストレス(ないし人工的電磁波)を少なくとも実質的に振幅及び周波数に依存することなく補償し、及び/又は利用者の健康状態をポジティブに刺激し得る装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一視点によれば、とりわけ利用者に作用する電磁的ストレス(ないし人工的電磁波:Technics)を補償するための及び/又は利用者の健康状態にポジティブな刺激を与えるための、例えば良天候電磁場(空電:Sferics)等の自然交番電磁場を身体の近傍で生成するための装置が提供される。この装置において、自然交番電磁場を生成するための生成手段と、該自然交番電磁場を送出する送出手段とを有し、前記生成手段は、前記自然交番電磁場を記憶する記憶装置を含むことを特徴とする(形態1・基本構成)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の独立請求項1により、所定の課題として掲げた効果が上述の通り達成される。即ち、本発明の自然交番電磁場生成装置により、利用者に作用する電磁的ストレスを少なくとも実質的に振幅及び周波数に依存することなく補償し、及び/又は利用者の健康状態をポジティブに刺激することが可能となる(基本構成)。
更に各従属請求項により、付加的な効果がそれぞれ達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の装置の一例のブロック線図。
【図2】図1の装置にデジタル形式で記憶されている典型的な良天候電磁場(Schoenwetterfeld)の抜粋部分(周波数範囲を限定的して示した空電(Sferics)のグラフ)。
【図3】ヘッドホンの耳当ての反響壁部材(ないしキャップ:Schallwand)の平面図。
【図4】本発明の装置の一例を含む図3の反響壁部材の長手方向中心軸に沿った縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を示すが、形態2〜17は従属請求項の対象でもある。
(形態1) 上記基本構成参照。
(形態2) 上記形態1の装置において、前記生成手段と前記送出手段とから構成される前記ユニットが、該ユニットを身体の近傍に配置するためのケースの中に含まれることが好ましい。
(形態3) 上記形態2の装置において、前記ケースは、利用者の衣服における収容ないし取付及び/又は利用者の衣服による運搬ないし携帯に適合するように構成されることが好ましい。
(形態4) 上記形態1の装置において、前記生成手段及び前記送出手段とから構成されるユニットは、利用者の周辺領域の、とりわけ身体の近傍で使用される物体の内部ないし表面に配置されることが好ましい。
(形態5) 上記形態4の装置において、前記周辺領域は、居住空間から構成され、前記物体は、とりわけ着座用家具等の家具から構成されることが好ましい。
(形態6) 上記形態4の装置において、前記周辺領域は、例えば自動車、航空機、船舶等の乗物の乗員収容空間から構成され、前記物体は、乗物の座席から構成されることが好ましい。
(形態7) 上記形態1の装置において、前記生成手段及び前記送出手段とから構成されるユニットは、電場ないし電磁場を生成する生成・放射装置内に含まれ、とりわけ該電場ないし電磁場を補償ないし補完するよう構成されることが好ましい。
(形態8) 上記形態7の装置において、前記生成・放射装置は、ヘッドホン、オーディオ/ビデオ装置のコンポーネント、携帯電話機、コードレス電話機、コンピュータ等からなる群から選択されることが好ましい。
(形態9) 上記形態1〜8の何れかの装置において、前記自然交番電磁場は、前記記憶装置にデジタル形式で記憶されることが好ましい。
(形態10) 上記形態1〜9の何れかの装置において、複数の異なる自然交番電磁場が、前記記憶装置に記憶され、制御装置によって該記憶装置から読み出し可能に構成されることが好ましい。
(形態11) 上記形態9又は10の装置において、例えば0.01〜40Hzの周波数範囲のユニポーラ又はバイポーラ広帯域パルス列等の低周波信号及び/又はELF領域の信号のような、前記自然交番電磁場とは異なる人工交番電磁場を生成する生成手段が設けられると共に、該人工交番電磁場は、該自然交番電磁場と混合され、該自然交番電磁場と共に前記送出手段へ供給されることが好ましい。
(形態12) 上記形態1〜11の何れかの装置において、前記自然交番電磁場は、少なくとも1つのサンプリングされた良天候電磁場から構成される空電(Sferics)を含むことが好ましい。
(形態13) 上記形態1〜5、9〜12の何れかの装置において、前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、建造物等の保護接地端子に供給されることが好ましい。
(形態14) 上記形態1〜5、9〜12の何れかの装置において、前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、テレコミュニケーション装置の接続線、家庭電気供給装置(Hausstrom-Versorgung)のアース−保護端子−導線系(Erdungs-SCHUKO-Leitung)等に供給されることが好ましい。
(形態15) 上記形態1〜5、9〜12の何れかの装置において、前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、乗物のボディに供給されることが好ましい。
(形態16) 上記形態1〜15の何れかの装置において、前記生成手段ないし前記送出手段は、前記自然交番電磁場を周期的に生成するよう構成されることが好ましい。
(形態17) 上記形態10の装置において、前記生成手段ないし前記送出手段は、前記複数の異なる自然交番電磁場を1日の時間の経過に応じて生成するよう構成されることが好ましい。
更に以下の形態も好ましい。
(1) とりわけ利用者に作用する電磁的ストレス(ないし人工的電磁波:Technics)を補償するための及び/又は利用者の健康状態にポジティブな刺激を与えるための、例えば良天候電磁場(空電:Sferics)等の自然交番電磁場を身体の近傍で生成するための装置であって、自然交番電磁場を生成するための生成手段と、該自然交番電磁場を送出する送出手段とを有することが好ましい。
(2) 上記の装置において、前記生成手段と前記送出手段とから構成される前記ユニットが、該ユニットを身体の近傍に配置するためのケースの中に含まれることが好ましい。
(3) 上記の装置において、前記ケースは、利用者の衣服における収容ないし取付及び/又は利用者の衣服による運搬ないし携帯に適合するように構成されることが可能である。
(4) 上記の装置において、前記生成手段及び前記送出手段とから構成されるユニットは、利用者の周辺領域の、とりわけ身体の近傍で使用される物体の内部ないし表面に配置されることが可能である。
(5) 上記の装置において、前記周辺領域は、居住空間から構成され、前記物体は、とりわけ(椅子等の)着座用家具等の家具から構成されることが好ましい。
(6) 上記の装置において、前記周辺領域は、例えば自動車、航空機、船舶等の乗物の乗員収容空間から構成され、前記物体は、乗物の座席から構成されることが好ましい。
(7) 上記の装置において、前記生成手段及び前記送出手段とから構成されるユニットは、電場ないし電磁場を生成する放射装置(生成・放射装置)内に含まれ、とりわけ該電場ないし電磁場を補償ないし補完(ないし補充:Ergaenzung)するよう構成されることが可能である。
(8) 上記の装置において、前記生成・放射装置は、ヘッドホン、オーディオ/ビデオ装置のコンポーネント、携帯電話機(Handy)、コードレス電話機(drahtlose Telefone)、コンピュータ等からなる群から選択されることが好ましい。
(9) 上記の装置において、自然交番電磁場を生成する前記生成手段は、該自然交番電磁場をデジタル形式で記憶する記憶装置を含むことが可能である。
(10) 上記の装置において、複数の異なる交番電磁場が、前記記憶装置に記憶され、制御装置によって該記憶装置から読み出し可能に構成されることが好ましい。
(11) 上記の装置において、例えば0.01〜40Hzの周波数範囲のユニポーラ又はバイポーラ広帯域パルス列等の低周波信号及び/又はELF(極低周波:extremely low frequency)領域の信号のような、前記自然交番電磁場とは異なる人工交番電磁場を生成する生成手段が設けられると共に、該人工交番電磁場は、該自然交番電磁場と混合され、該自然交番電磁場と共に前記送出手段へ供給されることが可能である。
(12) 上記の装置において、前記自然交番電磁場は、少なくとも1つのサンプリングされた(gesampelt)良天候電磁場から構成される空電(Sferics)を含むことが可能である。
(13) 上記の装置において、前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、建造物等の保護接地端子に供給されることが可能である。
(14) 上記の装置において、前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、テレコミュニケーション装置の接続線、家庭電気供給装置(Hausstrom-Versorgung)のアース−保護端子−導線系(Erdungs-SCHUKO-Leitung)等に供給されることが可能である。
(15) 上記の装置において、前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、乗物のボディに供給されることが可能である。
(16) 上記の装置において、前記生成手段ないし前記送出手段は、前記自然交番電磁場を周期的に、好ましくはオンオフ駆動を切換える際の(パルスの)立ち上がり縁/立ち下がり縁状に生成するよう構成されることが可能である。
(17) 上記の装置において、前記生成手段ないし前記送出手段は、前記自然交番電磁場を1日の時間の経過に(ないしその時々の時刻に)応じて異なる形態で生成するよう構成されることが可能である。
なお、ここに、「補償」とは、(携帯電話機等から生成される)人工交番電磁場を、対抗電磁場の意味での自然交番電磁場で相殺することをいい、「補完」とは、自然交番電磁場を、(携帯電話機等から生成される)人工交番電磁場に加えることをいう。
【0012】
本発明により、とりわけ利用者に作用する電磁的ストレス(人工電磁波:Technics)を補償するための及び/又は利用者の健康状態にポジティブな刺激を与えるための、例えば良天候電磁場(空電)のような自然交番電磁場を身体の近傍で生成する装置であって、自然交番電磁場を生成する生成手段と自然交番電磁場を送出する送出手段とを有する装置が創出される。
【0013】
換言すれば、本発明は、生物(以下「利用者」ということもある)に対し悪影響を及ぼす交番電磁場であれば自然のものであれ人工のものであれ、対抗(ないし逆)電磁場(Gegenfeld)、即ち利用者に対するポジティブな影響を持つことで知られている自然交番電磁場を生成することにより補償(相殺ないし緩和:Kompensieren)することが可能であるという知見を基礎とする。これと選択的に或いは補完的に、このような対抗電磁場は、利用者の健康状態に対しポジティブな(好ましい)影響を与えることにも寄与し得る。対抗電磁場としてとりわけ好適なのは、良天候電磁場(空電)であることが判明している。
【0014】
本発明によれば、対抗電磁場は、自然交番電磁場の形態をとって身体の近傍で生成される。ここに、例えば利用者の衣服等の身体の直ぐ近くに存在し、並びに利用者の近接領域(Nahfeld)、即ち例えば居住空間、自動車の乗員収容空間(座席)及び建造物等の利用者が一定時間留まる空間の直ぐ近くに存在する交番電磁場源を身体の近傍という。この近接範囲(Nahbereich)は、一般的に、利用者の直ぐ近くの周辺空間と境界をなす領域(例えば利用者が一定時間留まる部屋ないし建造物の外部にある都市の諸施設)によって定義される遠隔範囲(Fernbereich)から区別される。
【0015】
自然交番電磁場を身体の近傍で生成する本発明の装置は、交番電磁場生成手段と交番電磁場送出手段とを含む。これら2つの手段は、利用者の近接領域に位置し、場合によっては利用者の身体の直ぐ近く(例えば衣服)で運搬(ないし携帯)される共通のケース内に設けられることが好ましい。利用者と共に携帯される場合では、ケースは、例えば、ボールペン状又は扁平容器状に構成されることが可能である。上記(交番電磁場生成手段と交番電磁場送出手段とを含む)ユニットを利用者の近接範囲において、但し身体と共に携帯しないで使用する場合、当該ユニットは、例えばとりわけ着座用家具(椅子)等の家具に組み込まれること、又は自動車又は例えば航空機若しくは船舶等のその他の乗物の乗員収容空間(座席)の範囲に定置的に(そして好ましくは取外し可能に)組み込まれるよう構成されることが可能である。
【0016】
本発明の装置は、例えば携帯電話機又はコードレス電話機、ヘッドホン、オーディオ/ビデオ装置のコンポーネント等のような、本発明の装置によって補償されるべき人工電磁場を生成する装置の中に含まれるよう構成されることも可能である。
【0017】
本発明のとりわけ好ましい一展開形態によれば、本発明の自然交番電磁場を送出するための送出手段は、例えば建造物の保護端子のアース(線)、テレコミュニケーション装置の接続線、更には例えば乗用車、航空機若しくは船舶等の乗物のボディ等のファラデー箱等の、利用者の周囲に既に存在する「送信アンテナ」、又はこれら周囲内に存在するその他の送出手段を含む。
【0018】
自然交番電磁場を生成する生成手段は、該自然交番電磁場を好ましくはデジタル形式で記憶する記憶装置を含むことが好ましい。更に、複数の交番電磁場が、デジタル形式で記憶装置に記憶され、送出手段への入力(伝送)のために、その時々の時刻(ないし1日の時間の経過)に応じて(tageszeitabhaengig)当該記憶装置から読み出し可能であることが好ましい。記憶装置には、良天候電磁場(空電)に関するデータが記憶されることが好ましいが、その際、この良天候電磁場のデータは、(使用の)現場で(vor Ort)検出(採取)され、そしてデジタル形式に変換され、記憶装置に記憶されることが好ましい。尤も、この良天候電磁場のデータないし特徴(fingerprint)は、例えば小さな孤島のような、人工電磁場が殆ど存在しない環境中において当該良天候電磁場を検出(採取)することによって獲得することもできる。
【0019】
必要に応じて、本発明によって使用される自然交番電磁場には、場合によっては、同様に記憶装置にデジタル形式で記憶され、かつ例えば電磁的ストレスの補償を支援すること及び/又は利用者の健康状態にポジティブな刺激を与えることに寄与することが知られているような人工交番電磁場を混合することも可能である。このような人工交番電磁場としては、例えば0.01〜40Hz(低周波範囲)、好ましくは0.1〜32Hzの周波数範囲における広帯域パルス列(Breitbandimpuls)等の低周波信号等を挙げることができる。
【実施例】
【0020】
本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、実施例は、発明の理解の容易化のためのものであって、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な修正・変更等を排除することは意図しない。また、特許請求の範囲に付した図面参照符号も発明の理解の容易化のためのものであって、本発明を図示の態様に限定することは意図しない。この点に関しては、補正・訂正後においても同様である。
【0021】
図1のブロック線図から分かる通り、自然(自然界に存在するないし自然現象的な)交番電磁場を身体の近傍で生成するための本発明の装置は、交番電磁場ないし複数のそのような交番電磁場がデジタル形式で記憶される記憶装置10を含む。図1に示した実施例では、記憶装置10は、ROMないしRAM11と、各交番電磁場のデータを該ROMないしRAM11に呼び出し(読み込み)、かつその出力端において目標を設定して(標的を定めて:gezielt)利用可能にすることができる制御回路12とを含む。記憶装置10の出力端は、記憶装置10の出力端ではデジタル形式であったデータをアナログ信号に変換するD/A変換ユニット13と接続する。この目的を達成するため、D/A変換ユニット13は、入力側に記憶装置10の出力信号が入力されるD/A変換モジュール14と、D/A変換モジュール14の出力端と接続し、その増幅率が調節可能な増幅器15とを含む。増幅器15は、その出力端において所定の振幅を有するアナログ信号を生成する。
【0022】
増幅器15ないしD/A変換ユニット13の出力信号は送出装置16に入力され、送出装置16は自然交番電磁場を放射(送出)する。このため、利用者は、その身体の近傍において当該電磁場を受容(利用)することが可能となる。送出装置16は、自然交番電磁場を、建造物の中にいる利用者、又は乗物の乗員収容空間(座席)にいる運転手若しくはその他の乗員へ放射(送出)するために、例えば建造物の保護(接地)端子(Schutzkontakt)のような送信アンテナ、又は乗物のボディと結合することができる。図3と図4に、非可聴状態で(unhoerbar)自然交番電磁場を放射するよう構成されたヘッドホンの耳当てを示した。これについては、以下に詳細に説明する。
【0023】
更に、図1に示した本発明の装置は、記憶装置10、D/A変換ユニット13及び送信装置16へ電流を供給するための電源装置17を含む。
【0024】
図2に、良天候電磁場(Schoenwetterfeld)(空電(Sferics))から構成される自然交番電磁場の、狭い周波数帯域を抜粋した部分ないし周波数範囲を限定して示した一例を示した。この交番電磁場は、検出(採取)後サンプリングされて、交番電磁場の1つとして記憶装置10に入力、記憶される。
【0025】
以下に図3と図4について説明する。図3と図4とには、ヘッドホンの耳当ての反響壁部材ないしキャップ部材(Schallwand)20が示されているが、そこに示されているその構造ないし形状自体は、本発明では重要ではない(従ってこのような態様に限定されるべきではない)。反響壁部材20は、一般的には、楕円形状をなし、その(図示)下方部分に円状の音響変換器(Schallwandler)21が嵌め込まれる貫通孔(Durchbruch)が形成され、音響変換器21の前方(図3では右方)には、利用者の前方中央部で知覚される聴覚(音響)事象(Hoerereignisses)を向上(支援)するために、音響変換器21の振動板(膜)21aを部分的に覆う音響遮断器(絞り)22が配設される。
【0026】
図4から分かる通り、音響変換器21の振動板21aは、伝統的な方法により、振動板の背面(図示左方)に位置しかつ振動板(の背面)と結合する電磁的駆動装置によって作動される。このような駆動装置は、有効信号電流(Nutzsignalstrom)が導通して交番電磁場(これは、自然交番電磁場である本発明の対抗(ないし逆)電磁場(Gegenfeld)とは異なる人工(人為的な)交番電磁場を意味する)を生成するコイル23を含む。このコイル23により生成される交番電磁場は、利用者のこめかみの近くに位置するので、利用者に対し電磁的ストレス(Elektro-Stress)を引き起こす。この電磁的ストレスを補償ないし緩和(ないし減殺:kompensieren)するために、音響変換器21から離隔して配置する円環状のコイル(Spule)24が、反響壁部材20の長手方向中心軸によって貫通されるようにして配設される。このコイル24(これは図1にも送信装置16の構成要素として模式的に示してある)は、接続部材25及び26を介して、増幅器15の出力端に生成する自然交番電磁場が入力される(或いはコイル24の代わりに、音響変換器21の電磁場に向けて対抗電磁場を放射するためのその他の「アンテナ」も使用することができる)。コイル24によって生成されるこの自然交番電磁場は、音響変換器駆動装置のコイル23によって生成される人工交番電磁場の電磁的ストレスを引き起こす不利な作用を補償することが明らかとなった。
【0027】
本発明の記憶装置10、D/A変換ユニット13、送信装置16は、ヘッドホンの耳当てに組み込まれることが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
とりわけ利用者に作用する電磁的ストレスを補償するための及び/又は利用者の健康状態にポジティブな刺激を与えるための、例えば良天候電磁場(空電:Sferics)等の自然交番電磁場を身体の近傍で生成するための装置であって、
自然交番電磁場を生成するための生成手段(10、13)と、該自然交番電磁場を送出する送出手段(16)とを有し、
前記生成手段(10、13)は、前記自然交番電磁場を記憶する記憶装置(11)を含むこと
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記生成手段(10、13)と前記送出手段(16)とから構成される前記ユニットが、該ユニットを身体の近傍に配置するためのケースの中に含まれること
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ケースは、利用者の衣服における収容ないし取付及び/又は利用者の衣服による運搬ないし携帯に適合するように構成されること
を特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記生成手段及び前記送出手段とから構成されるユニットは、利用者の周辺領域の、とりわけ身体の近傍で使用される物体の内部ないし表面に配置されること
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記周辺領域は、居住空間から構成され、前記物体は、とりわけ着座用家具等の家具から構成されること
を特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記周辺領域は、例えば自動車、航空機、船舶等の乗物の乗員収容空間から構成され、前記物体は、乗物の座席から構成されること
を特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記生成手段(10、13)及び前記送出手段(16)とから構成されるユニットは、電場ないし電磁場を生成する生成・放射装置(20)内に含まれ、とりわけ該電場ないし電磁場を補償ないし補完するよう構成されること
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記生成・放射装置(20)は、ヘッドホン、オーディオ/ビデオ装置のコンポーネント、携帯電話機、コードレス電話機、コンピュータ等からなる群から選択されること
を特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記自然交番電磁場は、前記記憶装置(11)にデジタル形式で記憶されること
を特徴とする請求項1〜8の一に記載の装置。
【請求項10】
複数の異なる自然交番電磁場が、前記記憶装置(11)に記憶され、制御装置(12)によって該記憶装置(11)から読み出し可能に構成されること
を特徴とする請求項1〜9の一に記載の装置。
【請求項11】
例えば0.01〜40Hzの周波数範囲のユニポーラ又はバイポーラ広帯域パルス列等の低周波信号及び/又はELF領域の信号のような、前記自然交番電磁場とは異なる人工交番電磁場を生成する生成手段が設けられると共に、該人工交番電磁場は、該自然交番電磁場と混合され、該自然交番電磁場と共に前記送出手段(16)へ供給されること
を特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記自然交番電磁場は、少なくとも1つのサンプリングされた良天候電磁場から構成される空電(Sferics)を含むこと
を特徴とする請求項1〜11の一に記載の装置。
【請求項13】
前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、建造物等の保護接地端子に供給されること
を特徴とする請求項1〜5、9〜12の一に記載の装置。
【請求項14】
前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、テレコミュニケーション装置の接続線、家庭電気供給装置(Hausstrom-Versorgung)のアース−保護端子−導線系(Erdungs-SCHUKO-Leitung)等に供給されること
を特徴とする請求項1〜5、9〜12の一に記載の装置。
【請求項15】
前記自然交番電磁場は、利用者に作用するために、乗物のボディに供給されること
を特徴とする請求項1〜5、9〜12の一に記載の装置。
【請求項16】
前記生成手段(10、13)ないし前記送出手段(16)は、前記自然交番電磁場を周期的に生成するよう構成されること
を特徴とする請求項1〜15の一に記載の装置。
【請求項17】
前記生成手段(10、13)ないし前記送出手段(16)は、前記複数の異なる自然交番電磁場を1日の時間の経過に応じて生成するよう構成されること
を特徴とする請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−183763(P2009−183763A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127458(P2009−127458)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【分割の表示】特願2003−112595(P2003−112595)の分割
【原出願日】平成15年4月17日(2003.4.17)
【出願人】(500341229)
【氏名又は名称原語表記】Florian Meinhard Koenig
【Fターム(参考)】