説明

自発光式点滅表示器

【目的】 保安用品や安全設備への取り付けの簡易化を図る。
【構成】 本体ケース1の外周に発光ダイオード7を装着し、該発光ダイオード7の外周には、発光ダイオード7の光の散乱を防ぐための、前方へ拡開する円錐筒形状の反射カバー8を被せ、該反射カバー8の開口前端面には、集光して前方へ遠く放射するための凸レンズ9を配設し、本体ケース1の頂部には太陽電池4を配設すると共に該本体ケース1の底部には太陽電池4によって充電される蓄電池14を収納して保安用品や安全設備の取付相手側が穴や凹部Bを有する場合その穴や凹部Bに差し込むことに利用される下ケース12を装着し、本体ケース1の底部には、保安用品や安全設備の取付相手側がカラーコーンやサインポールなどの先端部Aのように凸形状である場合、その取付筒20の開放底をそれらの先端部に嵌め込む事ができるよう、下ケース12の外周を覆う底開放状の取付筒20を下ケース12より更に下方へ延出するよう着脱可能に装着して構成した事を特徴とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、主として工事現場等において夜間に現場位置を認知させるべく点滅表示させ、車両や歩行者を保安できるようにするために使用される自発光式点滅表示器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の自発光式点滅表示器としては、例えば、実開平4−84423号公報や同5−22616号公報などに開示されているように発光体として発光ダイオードを採用し、この電源として蓄電池およびこれを充電する太陽電池を内蔵したものがある。
【0003】
これらに開示された発光ダイオードを採用する自発光式点滅表示器は、発光ダイオードを使用するので電球切れの心配がなく、そればかりか太陽電池を用いるので交流電源使用によるような煩わしい電気配線工事は一切不要で、しかも簡易に設置でき、また蓄電池によれば寿命の短い乾電池のごとく頻繁な交換も不要である。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の自発光式点滅表示器は、これの本体ケースの底側をフラットに形成し、所定場所に単に置くだけの構造となっているため、実際の工事現場や建設現場において、よく使用されているカラーコーン、ラバーコーン、サインポール、コーンバー、或いは、その他各種のバリケード、ガードレール、フェンス等の保安用品や安全設備を利用してこれに本器を取り付けようとしても、それを縛り付ける針金やテープ、或いは特殊な取付金具を用意する必要があり、またその取り付けが煩わしいという不利不便があった。
【0005】
本考案は、上記従来の欠点を解消すべく成されたものであり、保安用品や安全設備のカラーコーン、ラバーコーン、サインポール、コーンバー、各種バリケード、ガードレール、フェンスなどにも簡単に取り付ける事のできる自発光式点滅表示器を提供する事を目的とする。
【0006】
また本考案は、遠くからでも発光ダイオードの点滅を視認できて安全性を高める事をも目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案の自発光式点滅表示器は、図示例のように筒状に形成した本体ケースの外周に複数個の発光ダイオードを周方向に所定間隔をおいて配設し、本体ケースの内部には点滅回路を備えた制御回路基板を配備する。
そして本体ケースの頂部には、採光用の上蓋を装着し、この上蓋の内部に太陽電池を収納する。
その上で、本考案は、本体ケースの底部に、本体ケースの外径より小さい外径の下ケースを装着し、この下ケースの内部に太陽電池によって充電される蓄電池を収納する。更に、本体ケースの底部には下ケースの外周を覆う底開放状の取付筒を下ケースよりも更に下方へ延出するようにかつ着脱可能に装着してある事を特徴とするものである。
【0008】
また本考案は、発光ダイオードの外周に、前方へ拡開する円錐筒形状の反射カバーを被せるとともに、該カバーの開口前端面に凸レンズを配設してある事を特徴とするものである。
【0009】
【考案の作用】
本考案の自発光式点滅表示器は、上記のように構成する事により、以下のような作用をもたらすものである。
【0010】
すなわち、本体ケースの外周に所定間隔をおいて配設した複数個の発光ダイオードは、360度方向に発光ができるため、取り付ける場合の方向性を特に定める必要がなく、作業が容易である。
【0011】
また、採光用の上蓋が太陽電池を外部から防護しているため、太陽電池の破損を可及的に防止できる。
【0012】
保安用品や安全設備に取り付ける際、その取付相手側が例えばカラーコーンやサインポールなどの先端部のように凸形状である場合は、本体ケースの底部に付けてある取付筒の開放底をそれらの先端部に被せることで足りる。
【0013】
取付相手側が穴や凹部を有する場合は取付筒を取り外し、下ケースをその穴または凹部に差し込むと、その下ケースより径大の本体ケースを取付相手側に安定よく置く事ができる。すなわち下ケースは蓄電池を収納保護する機能と本器の取り付け機能とを発揮する。
【0014】
前方へ拡開する円錐筒形状の反射カバーは発光ダイオードの光を散乱させる事なく前方へ拡開出射し、凸レンズ9は集光して前方へ遠く放射する。
【0015】
【実施例】
本考案に係る自発光式点滅表示器の実施例を図面に基づき説明する。
これの本体ケース1は円筒または多角形筒形状に形成され、上部に太陽電池4を備える。太陽電池4を本体ケース1の上部に備えるには、段付きの上部フランジ2を用意し、この上部フランジ2の上に透明樹脂製のフォトセルカバー3で保持された太陽電池4をのせて接着剤などで固着すると共に、透明樹脂で球面状に形成された採光用の上蓋5を太陽電池4に被せ、この上蓋5の下端を上部フランジ2の外周段部に接着剤などで固着する。かくして、その上部フランジ2を本体ケース1の上に取り付けるのである。
【0016】
本体ケース1の外周には複数個の穴6(図示例では4個)を周方向に等間隔に設け、この穴6の各々に高輝度の発光ダイオード(LED)7を装着する。発光ダイオード7は、穴6に装着される前に、予め、前方へ拡開する円錐筒形状に形成され、アルミニウム蒸着を施してある反射カバー8に嵌め込まれて該カバー8と接着剤で一体化し、且つ反射カバー8の前端に透明樹脂で形成した凸レンズ9を一体的に接着してなる。そして装着に際しては凸レンズ9および反射カバー8の前端の外周を前記穴6にシリコンゴムを介して嵌合させて固着する。
【0017】
本体ケース1の内部には、点滅回路を備えた制御回路基板11を収納配備するが、この制御回路基板11は、予め本体ケース1の外径より小さい外径をもつ下部フランジ10の上面側に取り付けられ、この状態で下部フランジ10を本体ケース1の下部に取り付けることによって本体ケース1内に収納配備されるのである。
【0018】
このとき、発光ダイオード7と制御回路基板11とをリード線およびコネクターで接続し、また太陽電池4と制御回路基板11とをリード線およびコネクターで接続する。この接続後に、上記したフォトセルカバー3、太陽電池4、および上蓋5を一体的に搭載した上部フランジ2が本体ケース1の上に取り付けられる。
【0019】
下部フランジ10の下面側には、本体ケース1の外径より小さい外径をもつ筒形に形成した下ケース12の上端を本体ケース1の中心に合わせて取り付ける。
この取り付けに際しては、先ず、下部フランジ10と同径の下ケース用フランジ13を下ケース12の上端に取り付ける。次いで下ケース12にはニッケルカドミウム蓄電池などの蓄電池14を挿入して収納するとともに、下ケース12と蓄電池14の間にスペーサ15を介在させて底蓋16を下ケース12の下端内面に設けためねじ17にねじ込み、蓄電池14と制御回路基板11とをリード線およびコネクターで接続する。最後に下ケース用フランジ13を下部フランジ10の下面に重合させてこの重合部をビス18で締結する。なお、底蓋16には通気穴24を設けて、本体ケース1または下ケース12の内部での結露の発生を防止する。
【0020】
実際の使用時に蓄電池14を交換するときには、ビス18を緩めて下ケース用フランジ13を下部フランジ10から外し、蓄電池14と制御回路基板11とを接続してあるコネクターの接続を外し、底蓋16をこれの外面中央に設けた溝19にドライバーの先端を係合させて回すことにより下ケース12から外せば、蓄電池14を取り出し得て新規なものと取り替えることができる。
【0021】
更に、本体ケース1の底部には、本体ケース1の外径と同径で、かつ下ケース12より長い底開放状の取付筒20が下ケース12の外周を覆うように、また下ケース12より更に下方へ延出するように着脱可能に装着される。この装着は取付筒20の上端を下部フランジ10の外周に嵌合させて、図2に示すようにビス21で締結することにより行う。
【0022】
なお、上記上蓋5、フォトセルカバー3、凸レンズ9および反射カバー8は樹脂成形品からなるが、それ以外の部品、すなわち本体ケース1、下ケース12、取付筒20は規格品の硬質塩化ビニル管を、上部フランジ2、下部フランジ10、下ケース用フランジ13および底蓋16は規格品の硬質塩化ビニル板で市販品のものを使用し、これらの材料を所定寸法に切断し、適宜接着剤を使用して構成する。従って、これら部品の成形金型は不要であり、また成形上の諸問題も無くなるため、それだけ容易に製造でき、製造コストも軽減できる。
【0022】
このように構成した自発光式点滅表示器を使用するに際し、これを保安用品や安全設備を利用してこれに取り付けようとするときは、図1に示すようにその取付相手側が例えばカラーコーンやサインポールなどの先端部Aのように凸形状である場合は、本体ケース1の底部に取付筒20を付けたままにして、この取付筒20の開放底をそれらの先端部に嵌め込めばよい。この場合、必要に応じて予め取付筒20の下端側の周面にめねじ穴22をあけておき、このねじ穴22にボルト23を螺合させて締め付け、その先端を取付相手側に押し付けて固定する。またはカバー20の下端側の周面にビス通し穴をあけ、また取付相手側にも穴をあけて両穴どうしを合わせてビスで締結すれば、より強固な取り付け状態が得られる。
【0023】
図3に示すように、取付相手側が例えばバリケード、あるいはガードレールなどのパイプ製支柱の上端部のごとき穴または凹部Bを有する場合は、本体ケース1の底部からカバー20を取り外し、下ケース12をその穴または凹部Bに差し込むと、その下ケース12より径大の本体ケース1を取付相手側に安定よく置くことができる。
【0024】
このようにして保安用品や安全設備に取り付けられた自発光式点滅表示器は、昼間において太陽電池4で蓄電池14を充電しておけば、夜間に発光ダイオード7を点灯させることができる。発光ダイオード7からの光はカバー8で散乱なく拡径出射でき、凸レンズ9で集光して強い指向性を有する発光を前方へ放射させることができる。
【0025】
なお、本考案の自発光式点滅表示器は土木建築、電気、ガス、水道などの工事現場以外に、例えば、スキー場やキャンプ場などの禁止区域の表示灯などにも同様に適用できることは言うまでもない。
【0026】
【考案の効果】
本考案によれば、本体ケースの底部に、蓄電池を収納する下ケースの外周を覆う底開放状の取付筒を下ケースより更に下方へ延出するようにかつ着脱可能に装着してあるので、保安用品や安全設備の取付相手側がカラーコーンやサインポールなどの先端部Aのように凸形状である場合はそれらの先端部に取付筒の開放底を嵌め込むことで取り付けることができる。
【0027】
また、下ケースを本体ケースの外径より小さい外径をもつように形成してあるので、取付相手側が穴や凹部Bを有する場合、取付筒を外したうえでその穴や凹部Bに下ケースを差し込むことで取り付けることができ、各種保安用品や安全設備に簡単に取り付けることができて利便である。
【0028】
また本考案は、本体ケースの外周に複数個の発光ダイオードを所定間隔をおいて配設し、各々の発光ダイオードの外周には前方へ拡開する円錐筒形状の反射カバーを被せると共に、該カバーの開口前端面に凸レンズを配設しているため、発光ダイオードの光を360度方向に発光でき、また散乱なく拡径出射し、集光して前方へ遠く放射でき、工事現場や見通しの悪い場所などの危険区域で夜間にドライバーや歩行者に対して遠くからでも発光ダイオードの点滅をよく視認できて安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す縦断正面図である。
【図2】本考案の取付筒の装着状態の一実施例を示す縦断正面図である。
【図3】本考案の他の取付け使用例を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
4 太陽電池
5 上蓋
7 発光ダイオード
8 反射カバー
9 凸レンズ
11 制御回路基板
12 下ケース
14 蓄電池
20 取付筒

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 筒状の本体ケース外周に複数個の発光ダイオードを周方向に所定間隔を介して配設し、本体ケースの内部には点滅回路を備えた制御回路基板を配備すると共に、該本体ケースの上部に採光用の上蓋を装着し、該上蓋の内部に太陽電池を収納し、本体ケースの底部に、本体ケースの外径より小さい外径の下ケースを装着し、該下ケースの内部に太陽電池によって充電される蓄電池を収納し、本体ケースの底部には、下ケースの外周を覆う底開放状の取付筒を下ケースより更に下方へ延出すると共に着脱可能に装着してある事を特徴とする自発光式点滅表示器。
【請求項2】 請求項1の発光ダイオードの外周に、前方へ拡開する円錐筒形状の反射カバーを被せると共に、該反射カバーの開口前端面に凸レンズを配設して構成した事を特徴とする請求項1記載の自発光式点滅表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3004992号
【登録日】平成6年(1994)9月28日
【発行日】平成6年(1994)12月6日
【考案の名称】自発光式点滅表示器
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−7758
【出願日】平成6年(1994)6月6日
【出願人】(393022975)サン電気設備株式会社 (1)