説明

自走式スクリーン

【課題】篩装置の傾斜角によらず篩装置とコンベヤとの間隙を一定に保つことができる一方で、コンベヤとの間隙を広げた開姿勢に移行して篩装置のボトムデッキへのアクセスを容易化することができ、しかも開姿勢に移行した際に容易に篩装置を機械的に支持することができる自走式スクリーンを提供する。
【解決手段】コンベヤ2の上方に位置するようにコンベヤフレーム20に対して上下に揺動可能に連結した篩装置3と、篩装置3を上下動させる篩装置開閉シリンダ65と、篩装置フレーム44の下部に垂設したロックアーム71と、ロックアーム71の先端部に設けたロックピン74と、コンベヤフレーム上に設けた係止部73bを有するロックブロック73とを備え、篩装置3の上昇に伴って格納姿勢からロックアーム71が自重で展開していき、ロックピン74が係止部73bを乗り越えた後篩装置開閉シリンダ65を縮めるとロックピン74が係止部73bに掛かる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被選別物を粒度に応じて選別する自走式スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
振動スクリーンは、篩部材を装着した枠体(篩装置)を加振して、投入された被選別物を篩部材の選別粒度よりも小さなものと大きなものに篩い分ける装置である。この振動スクリーンにおいて、例えば水平に対する篩装置の傾斜角度が大きくなれば篩部材上の被選別物の移動速度が速くなる。この場合、被選別物の篩部材上における滞留時間が短縮され、時間当たりの処理量(選別量)が増す。反対に、篩装置の傾斜角が小さくなれば、被選別物の篩部材との衝突の機会が増す分、選別精度が向上する。
【0003】
そこで、走行体上に設けたフレームに対して篩装置を傾動可能に連結し、被選別物の性状や選別粒度等の諸条件に応じて振動スクリーンの傾斜角度を調整可能とした自走式スクリーンがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−307503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の自走式スクリーンの場合、篩装置を通過した選別物を搬送するコンベヤが走行体上に設けたフレームに対して固定されているため、フレームに対する篩装置の傾斜角を変更すると、篩装置とコンベヤとの間隙が変化する。そして、篩装置とコンベヤとの間の隙間が広がれば、それだけ間隙から選別物が飛散し易くなる。
【0006】
そこで、本願出願人は、走行体に対してコンベヤを傾動可能に連結し、このコンベヤ上に篩装置を設置することで、コンベヤと篩装置とが一体的に走行体に対して傾動する自走式スクリーンを発明し先に出願している(特願2009−044490)。この先願に係る自走式スクリーンの場合、コンベヤを傾動させることで篩装置の傾斜角を変更することができる上、篩装置の傾斜角によらず篩装置とコンベヤとの間隙を一定に保つことができる。
【0007】
しかしながら、振動スクリーンは、例えば比較的選別粒度の粗い選別部材を用いた上段のトップデッキ、選別粒度の細かい選別部材を用いた下段のボトムデッキ等、篩部材を複数段備える場合も少なくない。篩装置とコンベヤとの間隙は作業者が侵入できる程の寸法がないため、このように複数段の篩部材を備える場合、コンベヤと篩装置との間隙が不変な上述した構成のままでは清掃等のメンテナンスの際にボトムデッキに作業者がアクセスできない。アクセスしようとすれば、篩装置自体をコンベヤから取り外す、或いは篩装置のトップデッキを取り外す等の分解作業を要し、非常に煩わしい。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、篩装置の傾斜角によらず篩装置とコンベヤとの間隙を一定に保つことができる一方で、コンベヤとの間隙を広げた開姿勢に移行して篩装置のボトムデッキへのアクセスを容易化することができ、しかも開姿勢に移行した際に容易に篩装置を機械的に支持することができる自走式スクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、被選別物を粒度に応じて選別する自走式スクリーンにおいて、走行装置と、この走行装置上に設けた本体フレームと、この本体フレームに取り付けたコンベヤと、このコンベヤの上方に位置するように前記コンベヤのフレームに対して回動軸を介して連結した篩装置と、前記回動軸を支点に前記篩装置を上下動させて当該篩装置のフレームと前記コンベヤフレームとの間を開閉する篩装置開閉シリンダと、前後方向に回動可能なように前記篩装置フレームの下部に垂設したロックアームと、このロックアームの先端部に設けたロックピンと、前記コンベヤフレーム上に設けられ前記ロックピンを係止する係止部を有するロックブロックとを備え、前記篩装置開閉シリンダが伸長して前記篩装置が上昇するのに伴って、前記篩装置フレームと前記コンベヤフレームとの間に格納された姿勢から前記ロックアームが自重で展開していき、前記篩装置開閉シリンダを規定長さまで伸長させたときに当該ロックアームに設けた前記ロックピンが前記ロックブロックの係止部を乗り越え、その後前記規定長さから前記篩装置開閉シリンダを縮めると前記ロックピンが前記係止部に掛かり拘束されることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記ロックブロックは、前記ロックアームが前記コンベヤフレームに対して垂直な姿勢を超えて回動しないように当該ロックアームの展開方向の可動範囲を制限するストッパ部を有していることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記ロックピンは、前記篩装置の姿勢に関係なく常に前記ロックブロックに支持されていて、前記ロックアームは、前記ロックブロックを支持する前記コンベヤフレームから常に離間していることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第3の発明において、前記ロックブロックの上面には、前記ロックアームの展開及び格納の動作時に前記ロックピンがガイドされるガイド部を有することを特徴とする。
【0013】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、前記ロックピンは、前記ロックアームに対して抜き挿し可能であり、前記ロックブロックは、前記ロックピンが前記ロックアームに装着されていない状態でも、前記篩装置開閉シリンダを前記規定長さから縮めた場合に前記ロックアームの先端部に係止する補助係止部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、篩装置の傾斜角によらず篩装置とコンベヤとの間隙を一定に保つことができる一方で、コンベヤとの間隙を広げた開姿勢に移行して篩装置のボトムデッキへのアクセスを容易化することができ、しかも開姿勢に移行した際に容易に篩装置を機械的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンの全体構成を表す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンの全体構成を表す背面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の上昇時の様子を表した側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の近傍部分を拡大して表した側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンの要部を更に拡大して表した側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置開閉シリンダの近傍の構造を後方左側から見た斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置を前方やや上方から見た正面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の前端部近傍を機体右側から見た側面図で、篩装置フレームとコンベヤフレームとの間が閉じた状態を表している。
【図9】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の前端部近傍を機体右側から見た側面図で、篩装置フレームとコンベヤフレームとの間が開いた状態を表している。
【図10】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の開閉動作の説明図で、ガイド部にロックピンが摺動する様子を表している。
【図11】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の開閉動作の説明図で、ストッパ部にロックピンが当接した様子を表している。
【図12】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の開閉動作の説明図で、係止部の凹部にロックピンが係止された様子を表している。
【図13】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の開閉動作の説明図で、係止部の凹部からロックピンが外れた様子を表している。
【図14】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンに備えられた篩装置の開閉動作の説明図で、ロックピンが装着されていない状態で補助係止部にロックアームが係止された様子を表している。
【図15】本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンの他の構成例を模式的に表した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る自走式スクリーンの全体構成を表す側面図、図2は図1中の右側から見た背面図である。以下の説明において、図1中の左右を自走式スクリーンの前後、図2中の左右を自走式スクリーンの左右とする。
【0018】
なお、本実施形態ではトップデッキ及びボトムデッキを有する二床構造の篩装置に本発明を適用した場合を例に挙げて説明するが、本発明は一床構造又は三床構造以上の篩装置にも適用可能である。
【0019】
図1及び図2に示した自走式スクリーンは、走行体1と、この走行体1上に設けた排出コンベヤ2と、排出コンベヤ2の上側に設けた篩装置3と、排出コンベヤ2の下側に設けたパワーパック4とを備えている。
【0020】
走行体1は、左右1対の走行装置10と、これら走行装置10の上部に設けた本体フレーム11とを備えている。走行装置10は、左右一対のトラックフレーム12と、これらトラックフレーム12の前後にそれぞれ設けた従動輪13及び駆動輪14と、出力軸を駆動輪14に連結した走行用油圧モータ15と、左右の従動輪13及び駆動輪14にそれぞれ掛け回した無限軌道履帯16とを備えている。本体フレーム11は、上下・左右・前後の各方向に延びる複数の鋼材で三次元的に組み上げられた枠状の部材であってトラックフレーム12の上部に設けられており、走行装置10の前方に突き出ないように前端部が走行装置10の前端部よりも後方に位置している。本体フレーム11の後端部は走行装置10の後端部よりもやや後方に位置している。本体フレーム11の後部には、排出コンベヤ2の後端への材料干渉防止用のガード17が設けられている。このガード17の後面には、作業者が排出コンベヤ2のベルト上に上がったりする際に足をかけるためのステップ18が複数段設けられている。
【0021】
排出コンベヤ2は、篩装置3で選別された所定粒度以下の選別物を搬送し機体前方に排出するものであり、前方に向かって斜めに立ち上がるように配置されている。図1はトレーラ等で機体を輸送する際の輸送姿勢を表しているため、地面に対する排出コンベヤ2の傾斜角が小さいが、作業姿勢に移行する際には篩角度変更シリンダ38(後述)によって排出コンベヤ2の傾斜角を大きくすることができ、同時に処理効率を調整すべく傾斜角を調整することができる。この排出コンベヤ2は、コンベヤフレーム20と、コンベヤフレーム20の前端に回転可能に設けたヘッドプーリ21と、コンベヤフレーム20の後端に回転可能に設けたテールプーリ(図示せず)と、ヘッドプーリ21及びテールプーリに掛け回したコンベヤベルト23と、ヘッドプーリ21に連結した排出コンベヤ用油圧モータ24とを備えており、排出コンベヤ用油圧モータ24でヘッドプーリ21を駆動させることによってヘッドプーリ21及びテールプーリ間でコンベヤベルト23を循環駆動させる。
【0022】
コンベヤフレーム20は、後端部が本体フレーム11上部の後端部に対して回動軸30を介して傾動可能に連結されていて、前後方向の中央部が支持部材31を介して本体フレーム11に支持されている。支持部材31は、筒状のケーシング32とこれに挿入されたロッド33とからなり、ケーシング32の上端部がピン34を介してコンベヤフレーム20の前後中央部に設けたブラケット35に、ロッド33の下端部がピン36を介して本体フレーム11の前部に設けたブラケット37にそれぞれ回動可能に連結されている。この支持部材31のケーシング32とロッド33は篩角度変更シリンダ38で連結されており、篩角度変更シリンダ38の伸縮に伴って、ロッド33がケーシング32に出入りするとともに、回動軸30を支点に排出コンベヤ2が傾動する。このとき、ケーシング32及びロッド33はロッド33の出入り方向に並んだ複数のピン穴(図示せず)を有していて、ロッド33の突出量を変えて選択的にピン穴にピン(図示せず)挿し込むことで支持部材31を複数段階の長さに固定でき、段階的な角度位置で篩装置3を機械的に固定できるようになっている。
【0023】
篩装置3は、投入される被選別物を粒度に応じて選別するものである。この篩装置3は、コンベヤフレーム20後半部の上部に位置する篩装置フレーム44と、この篩装置フレーム44上に弾性部材45を介して振動可能に支持された枠型の篩装置本体46と、篩装置本体46の内側に固定された篩部材47(図2参照)と、篩装置本体46を加振する加振装置48とを備えており、加振装置48を駆動して篩装置本体46と篩部材を一体に揺さ振り、投入された被選別物のうち篩部材47を通過する所定粒度以下の選別物を排出コンベヤ2上に導くとともに、それより粒度の大きなものを機体後方に排出する。特に図示していないが、本実施形態の篩装置3は、篩部材47を上下2段備えた二床構造であり、上段の篩部材47をトップデッキ、下段の篩部材47をボトムデッキと適宜称する。
【0024】
本実施形態では弾性部材45として3本1組のコイルスプリングを用いているが、ラバースプリング等の他の弾性体でも良い。弾性部材45は篩装置本体46の左右両側においてそれぞれ前後に配置されており、篩装置本体46は計4箇所で篩装置フレーム44に対して支持されている。1箇所当たりに3つの弾性部材45を配置しているが、箇所当たりの弾性部材45の設置数はこれに限定されない。また、篩装置3の内部の篩部材47は、排出コンベヤ2と同じく後方に向かって下方に傾斜した姿勢で配置されている。篩装置3は排出コンベヤ2のコンベヤフレーム20に支持されているため、前述したように排出コンベヤ2を傾動させることで被選別物の性状に応じて傾斜角度を変更し選別能力を調整することができる。
【0025】
パワーパック4は、エンジンや油圧ポンプ、コントロールバルブ等、機体各所に搭載した作動装置の動力源を内蔵しており、コンベヤフレーム20に垂設されたパワーパックフレーム50上に積載されて排出コンベヤ2の下側に配置されている。パワーパックフレーム50は、支持部材31を連結したブラケット34よりも前方位置でコンベヤフレーム20に垂設されており、パワーパック4は走行体1よりも前方に位置している。したがって、篩角度変更シリンダ38を縮めて排出コンベヤ2を寝かせていくと、パワーパック4は走行体1の上部に重なることなく走行体1の前方のスペースまで下降する。そのため排出コンベヤ2を水平姿勢近くまで寝かせることができ、輸送時には一般道路の輸送制限高さに納まる範囲にまで機体の全高を抑えることができる。
【0026】
なお、輸送制限高さまで余裕があってパワーパック4を走行体1の前方のスペースに下降させる必要がない場合には、パワーパック4を本体フレーム11上又はトラックフレーム12上に設置することもできる。
【0027】
また、パワーパック4の左側面には、排出コンベヤ2や篩装置3等の動作を指示するための操作盤51が設けられている。この操作盤51に隣接して前述した篩角度変更シリンダ38の伸縮動作を指示する操作部52が設けられている。また、操作盤51や操作部52を操作する場合等に作業者が立つ足場として、パワーパック4にはステップ(図示せず)が設けられている。
【0028】
また、排出コンベヤ2の下部には、コンベヤベルト23の戻り面から落下する選別物を受け止める飛散防止カバー55が設けられている。この飛散防止カバー55は少なくともパワーパック4の上方をカバーしており、下端部近傍が後方に向かって下方に折れ曲げられ、受け止めた選別物を目的の集積位置(例えば左右の走行装置10の間の地面)に積極的に導くようになっている。
【0029】
ここで、本実施形態の自走式スクリーンでは、篩装置3が、排出コンベヤ2の上方に位置するようにコンベヤフレーム20に対して傾動可能に連結されている。具体的には、篩装置フレーム44の前端部が本体フレーム11の長手方向の中央部のブラケット61に対して回動軸62を介して傾動可能に連結されていて、後方部分は、篩装置フレーム44の後端部に設けたパッド63がコンベヤフレーム20の後端部近傍の台座ブラケット部64に着座して支持されている(この際の篩装置3の姿勢を適宜「閉姿勢」と記載する)。このコンベヤフレーム20の台座ブラケット部64は、篩装置開閉シリンダ65によって篩装置フレーム44に連結されている。したがって、篩装置開閉シリンダ65の伸縮に伴って回動軸62を支点に篩装置3の後部が上下動し、コンベヤフレーム20と篩装置フレーム44との間が開閉する。回動軸62を支点にして上昇した姿勢(適宜「開姿勢」と記載する)の篩装置を図3に表す。
【0030】
図4は篩装置3の近傍部分を拡大して表した側面図、図5は本実施形態の要部を更に拡大して表した側面図、図6は篩装置開閉シリンダ65の近傍の構造を後方左側から見た斜視図である。図5では篩装置フレーム44の後述するカバー67、及びロックアーム71の図中手前側(機体左側)の本体バー71aを図示省略している。
【0031】
図4−図6に示したように、篩装置フレーム44は、前後に延びるフレーム66(図5及び図6参照)と、このフレーム66に対して機体幅方向の内側及び外側に設けた2枚のカバー67とで、全体として前後に延びるプレート状に構成されていて、篩装置3の左右にそれぞれ設けられている。
【0032】
前述したパッド63は、篩装置フレーム44のフレーム66の後端部の下面に取り付けられていて、機体の左右両側で台座ブラケット部64に対してパッド63が同時に着座するように(片当たり状態とならないように)フレーム66との間にシム60を適宜介在させてある。このシム60の厚さや枚数を調整することで、機体の左右でパッド63の片当たりを抑制することができるように配慮されている。また、パッド63には、下向きに突出したガイド部材59(図6及び図3等参照)が設けられていて、パッド63が台座ブラケット部64に着座する際にこのガイド部材59が台座ブラケット部64を構成する2枚のプレート間に挿し込まれ、篩装置3の閉姿勢への移行動作をガイドするとともに、篩装置3の左右方向への動きを拘束し安定的な着座姿勢が確保されるようになっている。
【0033】
また、篩装置フレーム44の下部には、篩装置3の後半側で台座ブラケット部64よりも前方に位置するようにフレア状のガイド部材68が設けられている。本実施形態において、ガイド部材68は、内外の上記カバー67を一部下方に延長した部位であり、内側のカバー67のガイド部材68は下方に向かって機体幅方向内側に、外側のカバー67のガイド部材68は下方に向かって機体幅方向外側に傾斜しており、篩装置3がコンベヤフレーム20に対して閉方向に傾動(下降)する際、コンベヤフレーム20が内外のガイド部材68の間に円滑に収容されるように篩装置3の傾動動作をガイドする役割を果たす。但し、本実施形態では、ガイド部材68を篩装置フレーム44側に設けた場合を図示しているが、ガイド部材68はコンベヤフレーム20側に設けても良く、篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20の対向部の少なくとも一方に相手材(例えばコンベヤフレーム20に対して篩装置フレーム44)に向かって拡がるように設ければ良い。
【0034】
前述した篩装置開閉シリンダ65は、ロッド側の端部が内外のカバー67に対してピン69で連結され、ボトム側の端部が台座ブラケット部64に対してピン70で連結されている(図5参照)。なお、ロックアーム71の支点のピン72と篩装置開閉シリンダ65のロッド側のピン69を共用の一本のピンにすることも考えられる。
【0035】
また、コンベヤフレーム20及び篩装置フレーム44には、篩装置開閉シリンダ65が伸長して篩装置3が開姿勢に移行した際、上昇した開姿勢で篩装置3を機械的に保持するためのロック機構が機体の左右両側において設けられている。このロック機構は、篩装置フレーム44に設けたロックアーム71と、コンベヤフレーム20に設けたロックブロック73とで構成されている。
【0036】
ロックアーム71は、アーム本体を構成する互いに平行な左右一対の本体バー71aと、左右の本体バー71aを連結するリブ71bと、本体バー71aのリブ71bと反対側の側面に設けたグリップ71cとを備えている。
【0037】
左右一対の本体バー71aの基端(上端)は、篩装置開閉シリンダ65のロッド側のピン69よりもやや前側の位置で篩装置フレーム44の下部にピン72を介して垂設されていて、これにより、前後に延びる鉛直面内でピン72を支点にしてロックアーム71が前後方向に回動可能な構成となっている。また、本体バー71aの先端部には、ロックピン74を取り付けるためのピン穴71d(後述の図14参照)が設けられている。ロックピン74は、このピン穴71dに抜き挿し可能であり、挿入時の抜け止め機構(抜け止めピン等)や抜き挿し時に作業者が握るグリップ74aを備えており、また胴部は円柱状に形成されている。また、本実施形態では、ロックピン74が挿入されている場合には、ロックピン74がロックブロック73のどこかの部位に常時支持される。そのため、ロックブロック73の係止部73b(後述)に跨る左右の本体バー71aがロックブロック73に触れることはないが、ロックピン74を抜き取った状態では本体バー71aの先端部がロックブロック73のベース73a(後述)に当接する。そこで、本体バー71aの先端(下端)は半円状に面取りされた形状をしていて、本体バー71aがロックブロック73に摺動することがあっても、本体バー71aでロックブロック73を必要以上に引っ掻かないように配慮してある。
【0038】
リブ71bは、本体バー71aを支持するピン72の近くからピン穴71dに向かって延在している。但し、ロックピン74が取り付いておらずロックブロック73に本体バー71aが摺動する場合でもロックブロック73の係止部73bに干渉しない程度に、リブ71bの先端部(ピン穴71d側の先端部)は本体バー71aの先端部からピン72側に退いている。
【0039】
グリップ71cは、ロックアーム71を人手で回動させる際に作業者が手をかける部分であり、コの字状の部材の両端部を本体バー71aの側面に溶接等の手段によって固着して構成してある。できるだけ小さな力でロックアーム71を回動させられるように、このグリップ71cは、ロックアーム71の支点となるピン72から可能な範囲で離れた位置(例えばロックピン74のピン穴71dの近傍位置)に設けることが望ましい。また、本実施形態ではロックアーム71の左右両側にグリップ71cを設けた場合を例示しているが、例えば機体幅方向内側(左側のロックアーム71の右側)のグリップ71cは省略しても構わない。
【0040】
上記のロックブロック73は、コンベヤフレーム20上に固定されたベース73aと、ベース73a上に設けた上記の係止部73bと、係止部73bの前方に位置するようにベース73a上に設けたストッパ部73cと、本体バー71aに係止する補助係止部73dとを備えている。
【0041】
ベース73aは、矩形状の板であり、ロックアーム71の支点であるピン72のやや後方の位置(本実施形態では篩装置開閉シリンダ65のロッド側のピン69近傍)の下方にその前端が位置するように、溶接又はボルト等の手段によってコンベヤフレーム20上に固定されている。
【0042】
係止部73bは、ストッパ部73cとともに一体に形成された前後に延びる鉛直な板状部材であり、この板状部材の前側部分がストッパ部73c、後側部分が係止部73bとなっている。係止部73bは、機体側方から見て前方に開口した半円状の凹部73baを前面に有するとともに、上面には後方にいくにつれてコンベヤフレーム20からとった高さ寸法を減じるように傾斜したガイド部73bbを有している。凹部73baは、ロックピン74を前方から受け入れて係止する部分であり、その内径はロックピン74の胴部よりも僅かに大きい。ガイド部73bbは、ロックアーム71の展開及び格納の動作時にロックピン74を摺動させてガイドする部分であり、凹部73baの上方から後方に向かってコンベヤフレーム20からの高さを減じる方向に直線状に傾斜した後、係止部73bの後端付近でコンベヤフレーム20とほぼ平行になる。篩装置3が閉姿勢にあるとき、ロックアーム71はコンベヤフレーム20に対する傾斜角度が最も小さくなる姿勢(この篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間に格納されたロックアーム71の姿勢を「格納姿勢」と適宜記載する)をとるが、ガイド部73bbは、ロックアーム71が格納姿勢にあるときでもロックピン74を受けられる程度に後方に延在している。
【0043】
ストッパ部73cは、ロックアーム71の展開方向の可動範囲(本実施形態では前方への回動範囲)を制限する部分である。篩装置開閉シリンダ65が規定のストローク(本実施形態ではフルストローク)まで伸長すると、ロックピン74が係止部73bを越えて係止部73bを離れ、ロックアーム71の先端側が一時的にフリーになるが、係止部73bを離れたロックアーム71は自重で前方に回動し、ロックピン74がストッパ部73cに当たるところで前方への回動範囲が制限される。ロックアーム71は開姿勢の篩装置3をコンベヤフレーム20に対して支持するものであるため、原理上、ストッパ部73cは、少なくともロックアーム71がコンベヤフレーム20に対して垂直な姿勢を超えて回動しないように当該ロックアーム71の展開方向の可動範囲を制限すれば良いが、本実施形態では、ロックアーム71の自重でロックピン74がストッパ部73cに当接するように、ロックアーム71の支点であるピン72よりも後方にストッパ部73cを設けている。なお、ストッパ部73cの後面(係止部73b側を向いた面)は、ガイド部73bbと同じく後方に向かってコンベヤフレーム20からの高さを減じる方向に直線状に傾斜した後、コンベヤフレーム20とほぼ平行になって係止部73bの凹部73baの下部壁面に滑らかに接続している。
【0044】
補助係止部73dは、凹部73baよりもやや後方に位置するように係止部73bの左右両側に設けた板状の部材であり、溶接等の手段によって係止部73b及びベース73aに強固に固定されている。この補助係止部73dの前面は、ロックピン74が凹部73baに係止された状態でロックアーム71の先端部との間に僅かに隙間が確保される程度、或いは丁度ロックアーム71の先端が触れる程度の位置にある。また、補助係止部73dのベース73aからとった高さ寸法は、ロックアーム71の本体バー71aの先端のR形状の半径よりも大きくすることが望ましい。
【0045】
なお、本実施形態において、ロックアーム71は、ロックピン74を介してロックブロック73の上面に支持されていて、ロックピン74を装着した状態では、ロックブロック73に直接接触することはなく、ロックピン74がロックブロック73の上面のみに接触してロックアーム71の展開及び格納の動作がガイドされる。また、前述したようにロックブロック73のガイド部73bbは格納姿勢時のロックアーム71のロックピン74が受けられる程度に後方に延在しているので、ロックピン74は、ロックアーム71に装着された状態では、篩装置3の姿勢に関係なく常にロックブロック73に支持されている。そして、ガイド部73bb及びストッパ部73cのコンベヤフレーム20又はベース73aからとった高さが最も低い箇所でも、その高さ寸法は、ロックアーム71の先端部の外径部からピン穴71dまでの距離よりも大きくしてある。従って、ロックアーム71は、ロックピン74が装着された状態では、ロックブロック73のベース73aやロックブロック73を支持するコンベヤフレーム20から常に離間しており、接触することがないように構成されている。
【0046】
図7は篩装置3を前方やや上方から見た正面図である。
【0047】
篩装置3の上部には、投入される被選別物を篩装置3のトップデッキに導くホッパ75が設けられている。このホッパ75は、上方に向かって拡開するプレートを張り合わせて構成したシュート状の部材であり、本実施形態では前方及び左右の三方にプレートを有している。また、左右のプレートは篩装置3の前端部から前後方向の中央部よりもやや後方辺りまでをカバーしている。ホッパ75は、篩装置フレーム44上に支持部材76を介して支持されている。図7に示すように、この支持部材76は、上下に延びる四隅の縦フレーム76aと、縦フレーム76a上に渡した横フレーム76bと、前側の2本の縦フレーム76a間に渡した横フレーム76cと、前方上側の横フレーム76bと前側左右の縦フレーム76aとの間に斜めに渡した斜めフレーム76dとで、篩装置フレーム44とともにトラスを構成し篩装置フレーム44の補強材を兼ねている。先に説明したホッパ75は、前方及び左右の上段の横フレーム76b上に取り付けられている。
【0048】
図8及び図9は篩装置3の前端部近傍を機体右側から見た側面図で、図8は篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が閉じた状態、図9は篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が開いた状態をそれぞれ表している。
【0049】
図8及び図9に示すように、本実施形態では、篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が閉じた状態にあるか否か(篩装置3が閉姿勢にあるか否か)を検出するセンサ81を備えている。このセンサ81にはリミットスイッチや近接スイッチ等、適宜の検出手段を用いることができるが、本実施形態では近接スイッチを用いてある。
【0050】
他方、篩装置フレーム44には、被検出部材82が設けられている。この被検出部材82は、篩装置フレーム44の側面に下方に延在するように取り付けられていて、篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が閉じた状態にあるとき、その先端部がセンサ81の検出範囲に入り、篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が開くとセンサ81の検出範囲から外れる。
【0051】
センサ81からの検出信号は制御装置(図示せず)に出力され、制御装置は、センサ81の検出信号を基に篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が閉じた状態と判定される場合にのみ走行装置10及び篩装置3の動作を許可する。本実施形態の場合、篩装置フレーム44が閉状態にあって被検出部材82でセンサ81が検出範囲に入っているとき、制御装置は、センサ81の検出信号を基に篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が閉じた状態にあると判定し、走行装置10、篩装置3、排出コンベヤ2等を含めてシリンダ38,65以外の装置の動作も許可する。反対に、篩装置フレーム44が開状態にあって被検出部材82でセンサ81からの検出信号がない場合、制御装置は、センサ81の検出信号を基に篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が開いた状態にあると判定し、シリンダ38,65以外の走行装置10、篩装置3、排出コンベヤ2等の装置の動作を禁止する。つまりインターロックの手段を備えている。
【0052】
なお、本例では、センサ81はコンベヤフレーム20の右側側面のうち篩装置3の回動軸62よりもやや後方の部分に設置した場合を例示したが、設置場所はこれに限られず、左側の側面に設けても良いし、前後位置を適宜変更することもできる。また、コンベヤフレーム20ではなく篩装置フレーム44側に設けることも考えられる。さらに、篩装置フレーム44又はコンベヤフレーム20を直接検出することができる位置にセンサ81を設けることができる場合は、被検出部材82は省略しても良い。また、篩装置3が排出コンベヤ2に対して閉姿勢にあるか否かを検出する構成としては、例えば篩装置3の回動軸62にポテンショメータを取り付ける等して、排出コンベヤ2に対する篩装置62の傾斜角度を検出する手段を利用することも考えられる。
【0053】
次に上記構成の自走式スクリーンの動作及び作用効果を順次説明する。
【0054】
例えば油圧ショベル等の投入重機、若しくはリサイクル機械、ベルトコンベヤ等によって篩装置3に被選別物が投入されると、トップデッキ(上段の篩部材47)による選別粒度よりも小さいものはトップデッキを通過し、それよりも大きなものはトップデッキ上を移動して後方から排出される。また、トップデッキを通過したもののうち、ボトムデッキ(下段の篩部材47)による選別粒度よりも小さいものはボトムデッキを通過して排出コンベヤ2の搬送面上に導かれ、排出コンベヤ2によって前方に搬送されて機体前方に排出される。一方、ボトムデッキの選別粒度より大きなものはボトムデッキ上を移動して機体後方に排出される。このとき、本実施形態では篩部材47を通過せずに後方に排出される被選別物を搬送するコンベヤを設けていないが、トップデッキ上を移動して後方に排出された被選別物を機体側方に排出するサイドコンベヤをオプションで取り付ける場合もある。また、ボトムデッキ上を移動して後方に排出された被選別物を機体側方に排出するサイドコンベヤをさらに取り付けて、粒度で分けた3種類の被選別物を3方向に排出する場合もある。
【0055】
続けて、篩装置3の開閉動作について既出図面とともに図10−図14を用いて説明する。なお、図10−図14では、篩装置フレーム44のカバー67、及びロックアーム71の図中手前側(機体左側)の本体バー71aを図示省略している。
【0056】
例えばボトムデッキのメンテナンスの際等には、篩装置開閉シリンダ65を伸ばして篩装置3を開姿勢(図4及び図5等参照)から上昇させて開姿勢(図6参照)に移行させる。その際、閉姿勢から篩装置開閉シリンダ65を伸ばしていくと、篩装置3が上昇するのに伴ってロックピン74をロックブロック73のガイド部73bbに摺動させつつロックアーム71が格納姿勢から自重で前方に展開していき(図10参照)、篩装置開閉シリンダ65が規定長さ(本実施形態ではフルストローク)まで伸長したときに、ロックピン74がガイド部73bbを上りきってロックブロック73の係止部73bを乗り越え、ロックブロック73のストッパ部73cに当接する(図11参照)。
【0057】
その後、上記の規定長さから篩装置開閉シリンダ65を少し縮めると、ロックピン74がストッパ部73cの斜面に沿って摺動し係止部73bの凹部73baに入り込む(図12参照)。このとき篩装置シリンダ65を縮退動作は、予め設定しておいた量だけ縮めることとすることもできるし、凹部73baの内壁面にロックピン74が当たるまで縮めるようにすることもできる。このようにして係止部73bにロックピン74が係ってロックアーム71が拘束されることにより、篩装置3の荷重がロックアーム71及びロックブロック73を介してコンベヤフレーム20に機械的に支持される。このとき、コンベヤフレーム20は後方に下り傾斜の姿勢にあるのでロックピン74を凹部73baの壁面に押し付ける方向に重力が作用し、また凹部73baの上部(天井)を構成する部分がロックピン74の上部に覆い被さるので、ロックアーム71は凹部73baに安定に係止される。これによって、篩装置3が開姿勢にあるときに、例えば篩装置開閉シリンダ65の作動油のリーク等が生じても篩装置3が不測に下降することが防止される。
【0058】
一方、篩装置3を開姿勢(図12参照)から閉姿勢に戻す場合、まず、篩装置開閉シリンダ65を規定長さ(或いはその近く)まで伸ばす。これにより、ロックピン74はロックブロック73の凹部73baを出てストッパ部73cの斜面の途中まで上る(図13参照)。この状態で一旦ロックピン74をロックアーム71から抜き取り、操作者はグリップ71cを持ってロックアーム71を係止部71bの上まで持ち上げる。ロックアーム71を持ち上げた状態でロックアーム71に再びロックピン74を取り付けて下ろすと、ロックピン74が係止部73bのガイド部73bbに載った状態になる。後は、篩装置開閉シリンダ65を縮めていけば、図10に示したのとは逆に、篩装置3が下降するのに伴ってロックピン74をロックブロック73のガイド部73bbに摺動させつつロックアーム71が格納姿勢に移行していき、篩装置3は閉姿勢に移行する(図4及び図5等参照)。
【0059】
また、篩装置3を開姿勢に移行する場合に、仮にロックピン74を装着し忘れた場合、或いはロックピン74が装着されていないことに気付かない場合であっても、本実施形態では補助係止部73dが機能してロックアーム71を拘束する。即ち、開姿勢(図4及び図5等参照)から篩装置開閉シリンダ65を伸ばしていくと、篩装置3が上昇するのに伴って本体バー71aの先端をロックブロック73のベース73aに摺動させつつロックアーム71が格納姿勢から自重で前方に展開していき、篩装置開閉シリンダ65が規定長さまで伸長するまでに、ロックアーム71が補助係止部73dを乗り越える。その後、篩装置開閉シリンダ65を縮めると、ロックアーム71の先端がロックブロック73のベース73aに沿って摺動し補助係止部73dに当接する(図14参照)。このようにして補助係止部73dにロックアーム71が拘束されることにより、篩装置3の荷重がロックアーム71及びロックブロック73を介してコンベヤフレーム20に機械的に支持される。
【0060】
本実施形態の作用効果を以下に順次説明していく。
【0061】
まず本実施形態では、篩角度変更シリンダ38を伸縮することで、篩装置3を傾動させて篩装置3による選別性能を調整することができる。このとき、篩装置3は排出コンベヤ2とともに傾動するので、篩装置3の傾斜角によらず篩装置3と排出コンベヤ2との位置関係は一定であり、篩装置3を傾動させても篩部材47を通過した被選別物が飛散し易くなることは基本的にない。
【0062】
加えて、篩装置3が排出コンベヤ2に対して傾動可能(排出コンベヤ2とは独立して篩装置3のみを傾動させることが可能)であるため、篩装置開閉シリンダ65を伸ばしてコンベヤフレーム20と篩装置フレーム44との間を開放することができる。したがって、篩装置3のボトムデッキが目詰まりを起こした場合、またボトムデッキの篩部材47を交換又は補修する必要が生じた場合等には、トップデッキを取り外したり篩装置3を排出コンベヤ2から取り外したりしなくても、コンベヤフレーム20と篩装置フレーム44との間を開放することで排出コンベヤ2側からボトムデッキに容易にアクセスすることができる。このように、篩装置3の傾斜角によらず篩装置3と排出コンベヤ2との間隙を一定に保つことができるとともに、篩装置3のボトムデッキへのアクセスを容易化することができる。また、トップデッキ側からではなく、排出コンベヤ2側からボトムデッキにアクセスすることができるので、高所に上がる不安を作業者に抱かせることもない。
【0063】
また、メンテナンス等のために篩装置3を開姿勢に移行させた際には、ロックアーム71で篩装置3を機械的に支持することで、例えば作業者がボトムデッキにアクセスしている際に篩装置開閉シリンダ65の誤操作等があっても篩装置3が不測の下降を防ぐことができる。
【0064】
このとき、本実施形態では、篩装置開閉シリンダ65を規定長さまで伸ばしてから少し縮めれば、ロックブロック73にロックピン74を介してロックアーム71が自動的に掛かり、開姿勢に移行した際に容易に篩装置3を開姿勢で機械的に支持することができる。従って、例えばピン穴を備えたブラケットをコンベヤフレーム20に設け、ブラケットとロックアーム71の互いのピン穴を合わせてピンを挿入することでロックアーム71を拘束する構成と比較して、ロックアーム71とブラケットの繊細なピン穴合わせの作業及びピンの挿入作業等の煩わしい作業がなく、作業効率を向上させることができる。
【0065】
また、ロックブロック73にストッパ部73cを設け、ロックピン74が係止部73bから離れた際にロックアーム71がコンベヤフレーム20に対して垂直な姿勢を超えて回動しないようにこのロックアーム71の展開方向の可動範囲を制限したことで、係止部73bの凹部73baにロックピン74を係止させるべく篩装置開閉シリンダ65を縮める際、ロックアーム71を確実に後方の係止部73bに向けて回動させることができる。即ち、仮にストッパ部73cがない場合を考えると、例えば自走式スクリーンが傾斜面上にあって前傾姿勢になっている場合等には、ロックアーム71がコンベヤフレーム20に対して垂直な姿勢を超えて前方に回動する可能性がないとも言えない。この場合、そのまま篩装置開閉シリンダ65を縮めると、ロックアーム71の先端はコンベヤフレーム20によって前方に付勢されるため、ロックアーム71がロックブロック73に係止することなく篩装置3が不測に下降し得る。本実施形態ではストッパ部73cを設けたことによってこのような不具合を未然に防止することができる。
【0066】
また、ロックアーム71にロックピン74を装着し忘れた場合や装着されていないことに気付いていない場合に篩装置3を開姿勢に移行させるときには、仮に補助係止部73dがなければロックピン74を凹部73baに入れ込むべく篩装置開閉シリンダ65を縮める際、ロックアーム71を拘束する手段がないので不測に篩装置3が下降させてしまう恐れがある。或いは、作業者が凹部73baにロックピン74が掛かっているものと思い込んでいるところ、実際には掛かっていないために篩装置開閉シリンダ65の作動油のリーク等によって不測に篩装置3が下降してしまうことも考えら得る。それに対し、本実施形態では、補助係止部73dを設けたことでロックアーム71にロックピン74が装着されていない状態でも、篩装置開閉シリンダ65を規定長さから縮めた場合にロックアーム71を補助係止部73dで拘束することができるので、篩装置3の不測の下降動作を抑制することができ、安全性をより向上させることができる。
【0067】
また、前述した通り、ロックアーム71は、ロックピン74を装着した状態ではロックブロック73に直接接触することはなく、ロックピン74がロックブロック73の上面のみに接触してロックアーム71の展開及び格納の動作がガイドされる。そのため、ロックアーム71の展開及び格納の動作時に伴って摩擦の生じる部位を極力小さな面積に抑えることができ、摩擦抵抗を抑えて円滑な動作を実現するとともに部品の交換サイクルを長く保つことができる。
【0068】
また、前述したように、ロックピン74は、ロックアーム71に装着された状態では篩装置3の姿勢に関係なく常にロックブロック73に支持され、ロックアーム71は、ロックピン74が装着された状態では、ロックブロック73のベース73aやロックブロック73を支持するコンベヤフレーム20から常に離間した状態となるように構成されている。これによっても、摩擦抵抗を抑えて円滑な動作を実現するとともに部品交換のサイクルを長く保つことができる。
【0069】
さらに、本実施形態の場合、排出コンベヤ2の基端側と篩装置3との間にスペースを創出すべく篩装置開閉シリンダ65によって篩装置3の後方側が上下動する構成とした上、これに合わせ、スペースが創出される本体フレーム11の後方側、具体的にはガード17にステップ18を設けている。仮に篩装置3の前方側の部分が上下動する構成であれば、排出コンベヤ2が前方に上り傾斜である分、篩装置3の傾動により創出されるスペースの位置も高くなってしまう。それに対し本実施形態では、後方に下る篩装置3の後方側が上下動する構成としたことにより、篩装置3と排出コンベヤ2との間のスペースを定位置に創出することができるので、作業者の作業負担や高所作業に対する不安を軽減することができる。また、スペースにアクセスする際には、適所に備えられたステップ18が有用である。また、全体的に機体が後方に下る形状であって機体の側方や前方に比べて後方が低くなっているので、側方や前方に比べて機体後方は作業者が上がり易い場所でもある。
【0070】
また、本実施形態では、排出コンベヤ2に対して篩装置3が単独で傾動する構成であり、篩装置3の長手方向の一方を支点としているため、篩装置3に十分な剛性を持たせなければ篩装置3を上昇させた際に篩装置3やそのフレーム等に歪が生じ、下降させた際に元の状態に復帰しないこともあり得る。
【0071】
これに対しては、ホッパ75の支持部材76で篩装置フレーム44を補強し、三次元的な骨組(本実施形態ではトラス構造)としたことにより、篩装置3の剛性を十分に確保している。さらに、ガイド部材68,59を設けたことにより、篩装置3を閉方向に動作させる際、元の姿勢(閉姿勢)に確実に導くことができる。さらに、回動軸62とともに篩装置3の重量を支持する左右のパッド63の高さをシム60でそれぞれ調整することができるので、機体の左右でパッド63の片当たりによる排出コンベヤ2に対する篩装置3の荷重の偏りを抑制することができる。また、仮に篩装置フレーム44や支持部材76等の篩装置3の構成部品が製作時の溶接工程等において変形している場合にも片当たりが懸念されるが、この場合にもパッド63の高さをシム60で調整することによって左右の当たりの偏りを吸収することができる。
【0072】
また、篩装置3が開姿勢にある状態で篩装置3や走行装置10が動作すると被選別物の飛散や篩装置3や周辺部品の損傷等といった不具合を誘起する恐れがあるが、本実施形態では、センサ81で篩装置フレーム44とコンベヤフレーム20との間が閉じているとき以外は篩装置3や走行装置10、排出コンベヤ2が動作しない構成であるため、上記不具合の発生も抑制することができる。
【0073】
なお、以上においては、ロックアーム71が格納姿勢から前方に回動し展開する構成を例示したが、格納姿勢から後方に回動し展開する構成とすることもできる。この場合、図15の概念図に模式的に示した他の構成例のように、ロックアーム71の支点であるピン72とロックブロック73の位置や向きの相対関係は先に各図で説明した構成と同様にする必要がある。具体的には、ロックアーム71の展開方向の可動範囲は、ロックアーム71がコンベヤフレーム20に対して垂直な姿勢を超えて後方に回動しないように、即ちピン72を通りコンベヤフレーム20に直交する垂線Lよりも後方に行かないように、ストッパ部73cによって制限する。言うまでもないが、係止部73bの凹部73baは後方に開口し、ストッパ部73cは係止部73bの後方に位置し、ガイド部73bbは前方に下り傾斜となる。
【0074】
また、前述した実施形態では、ロックアーム71に係止部73bを越えさせる際の篩装置開閉シリンダ65の上記の規定長さをフルストロークとしたが、何らかの目的で篩装置開閉シリンダ65の上記の規定長さをフルストロークより短く設定する場合、篩装置3を開姿勢に移行させる際のロック機構に関する一連の動作では、当該規定長さ以上に篩装置開閉シリンダ65が伸張してロックピン74がストッパ部73cを越えることがないように、篩装置開閉シリンダ65の伸長動作を規定長さで自動停止させるプログラムを制御装置(図示せず)に格納しておくと良い。また、この篩装置3の一連の開閉動作は、操作者による手動操作で行うようにすることもできるし、プログラムにより自動的に実行されるようにすることも考えられる。
【符号の説明】
【0075】
2 コンベヤ
3 篩装置
10 走行装置
11 本体フレーム
20 コンベヤフレーム
44 篩装置フレーム
62 回動軸
65 篩装置開閉シリンダ
71 ロックアーム
73 ロックブロック
73b 係止部
73bb ガイド部
73c ストッパ部
73d 補助係止部
74 ロックピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物を粒度に応じて選別する自走式スクリーンにおいて、
走行装置と、
この走行装置上に設けた本体フレームと、
この本体フレームに取り付けたコンベヤと、
このコンベヤの上方に位置するように前記コンベヤのフレームに対して回動軸を介して連結した篩装置と、
前記回動軸を支点に前記篩装置を上下動させて当該篩装置のフレームと前記コンベヤフレームとの間を開閉する篩装置開閉シリンダと、
前後方向に回動可能なように前記篩装置フレームの下部に垂設したロックアームと、
このロックアームの先端部に設けたロックピンと、
前記コンベヤフレーム上に設けられ前記ロックピンを係止する係止部を有するロックブロックとを備え、
前記篩装置開閉シリンダが伸長して前記篩装置が上昇するのに伴って、前記篩装置フレームと前記コンベヤフレームとの間に格納された姿勢から前記ロックアームが自重で展開していき、前記篩装置開閉シリンダを規定長さまで伸長させたときに当該ロックアームに設けた前記ロックピンが前記ロックブロックの係止部を乗り越え、その後前記規定長さから前記篩装置開閉シリンダを縮めると前記ロックピンが前記係止部に掛かり拘束されることを特徴とする自走式スクリーン。
【請求項2】
前記ロックブロックは、前記ロックアームが前記コンベヤフレームに対して垂直な姿勢を超えて回動しないように当該ロックアームの展開方向の可動範囲を制限するストッパ部を有していることを特徴とする請求項1に記載の自走式スクリーン。
【請求項3】
前記ロックピンは、前記篩装置の姿勢に関係なく常に前記ロックブロックに支持されていて、
前記ロックアームは、前記ロックブロックを支持する前記コンベヤフレームから常に離間している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自走式スクリーン。
【請求項4】
前記ロックブロックの上面には、前記ロックアームの展開及び格納の動作時に前記ロックピンがガイドされるガイド部を有することを特徴とする請求項3に記載の自走式スクリーン。
【請求項5】
前記ロックピンは、前記ロックアームに対して抜き挿し可能であり、
前記ロックブロックは、前記ロックピンが前記ロックアームに装着されていない状態でも、前記篩装置開閉シリンダを前記規定長さから縮めた場合に前記ロックアームの先端部に係止する補助係止部を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自走式スクリーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate