説明

自走式掃除機

【課題】タイルカーペットがひかれた部屋や1部分にだけ絨毯が敷かれている部屋でも効率良く清掃できる自走式掃除機を提供することを目的とする。
【解決手段】掃除機の本体1を移動させる駆動輪2と、清掃を行う清掃手段と、前記駆動輪2の駆動手段3を制御して本体の走行制御を行う走行制御手段8と、本体の方向を計測する方向計測手段11と、本体に取り付けられ被掃除面を撮像するイメージセンサ12と、このイメージセンサが撮像した画像を一時的に保持する画像保持部9と、この画像保持部の画像の変位を逐次検出する変位検知部10とを具備し、前記方向計測手段11の出力と前記変位検知部10の出力により前記走行制御手段8が本体方向と直進進行方向が同一になるように走行を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に床面などの被掃除面を清掃するようにした自走式掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、作業機器に走行駆動装置、センサ類、および走行制御手段などを付加して、自動的に作業を行う各種の移動作業ロボットが開発されている。
【0003】
例えば、自走式掃除機は、清掃機能として本体底部に吸い込みノズルやブラシなどを備え、移動機能として走行および操舵手段と、走行時の障害物を検知する障害物検知手段と、位置を認識する位置認識手段とを備え、この障害物検知手段によって清掃場所の周囲の壁等に沿って移動しつつ、位置認識手段によって清掃区域を認識し、その清掃区域内を移動して清掃区域全体を清掃するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
自走式掃除機に関連する絨毯目による影響について図6を参照しながら説明する。作業区域の床面が毛足の長いカットパイルカーペットなどのように、絨毯目の強い絨毯で、しかも絨毯目が直進方向と直角方向にある場合には、走行中に本体が徐々に絨毯目方向に流されるという現象が起こる。
【0005】
(a)は絨毯のない平坦なベアフロア上で直進した場合の本体41の移動軌跡を示す。このときは絨毯がないので、当然絨毯目の影響はなく、本体41に移動軌跡は走行開始時の本体の方向と一致した直線aになる。
【0006】
しかしながら、(b)に示すように床面を絨毯目が左から右の方向にある絨毯に変えて同条件で直進させると、本体は目標ラインL1に乗るように直進制御を行うが、実際の移動軌跡は、目標ラインL1の方向から右へ角度θだけ傾いた直線bになる。この横ずれの度合いを示す角度偏差θは絨毯によってほぼ固有であり数度程度である。
【0007】
この絨毯固有の横ずれの度合いを示す角度偏差θは、本体に対して回転自由な支持軸と車輪からなる操舵手段の角度をもとに検出するものである。
【0008】
ここで絨毯上を直進走行する場合の絨毯目の影響について図7を用いて説明する。
【0009】
図7において、(a)は走行床面が絨毯のないベアフロアの場合の本体41の移動軌跡を示す。
【0010】
既に述べたように、このとき絨毯がないので当然絨毯目の影響はなく、本体41は直進制御を行い、その移動軌跡は走行開始時の本体41の方向と一致した直線aになる。
【0011】
しかしながら、(b)に示すように、床面を絨毯目が左から右の方向にある絨毯に変えて同条件で直進走行させると、本体41を目標ラインL1に乗るように直進制御しているにもかかわらず、実際の移動軌跡は目標ラインL1の方向から右へ角度θだけ傾いた直線bになる。
【0012】
本体41が絨毯上を直進走行する場合に、その直進距離に比例して本体41が絨毯目の方向に横すべりする度合いを表す角度偏差θは、絨毯によってほぼ固有であり、数度程度であることがを確認しており、例えば(c)に示すように角度偏差θを最初の走行時にあ
らかじめ測定した絨毯上で直進手段の目標ラインを走行開始時の方向から左に角度θ傾いた直線L2として(b)と同条件で直進走行させると、そのときの移動軌跡は走行開始時の本体41の方向と一致した直線cになる。
【0013】
同様に(d)に示すように、走行開始方向を(c)と反対方向に直進走行させる場合には、直進手段の目標ラインを走行開始時の方向から右に角度θ傾いたL3として直進走行させれば、移動軌跡は走行開始時の本体41の方向と一致した直線dになる。
【0014】
このように、絨毯上を直進走行する場合は、絨毯目の方向とその目の強さに応じて直進する方向すなわち本体の方向を流される方向とは逆の方向に少し向かせることにより本体41の移動軌跡を補正していた。
【特許文献1】特開平8−228980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記従来の構成では、機械的に操舵手段の車輪の角度を検出しようとするものであるため支持軸のガタや埃等による支持軸の固着が計測精度を悪くする原因となっていた。
【0016】
さらに、従来の自走式掃除機の移動軌跡について図8を用いて説明すると、本体41で清掃する床面が絨毯目が左から右にあるとする。
【0017】
本体41を開始点Sにおいてスタートすると、直進走行を開始し、図7の(b)で示した場合と同様に、本体41は走行開始時の方向に直進制御を行うが、実際の移動軌跡は絨毯目の影響で右にずれた方向に流される。
【0018】
既に説明した様に、ずれ角度θは、本体に対して回転自由な支持軸と車輪からなる操舵手段の角度をもとに検出される。
【0019】
前方の壁W1に近づくと、作業方向Aの方向、すなわち本体41の右方向へ所定の作業幅だけシフトし正確に180°反転する。
【0020】
このとき、地点P1で反転開始するまでの操舵手段の車輪の角度を検出し平均値θを絨毯目によるずれ角度として記憶する。
【0021】
地点P1での反転後、前回の往路で得たずれ角度θをもとに本体41の方向を右へ角度θだけ傾けて直進を開始する。壁W2に近づいた地点P2でも作業方向Aの方向すなわち本体41の左方向へ所定の作業幅だけシフトし正確に180°反転する。
【0022】
その後、今度は本体41の方向を左へ角度θだけ傾けて直進を開始する。
【0023】
以上の動作を繰り返し、点Fにきて壁W1を本体41の前方で検知すると、このときは作業方向A、すなわち本体41の左方向には壁W3があるので清掃終了と判断し作業を終了する。
【0024】
しかし、清掃を始めた直後の最初の直進は絨毯目の影響度合いが判らないため、補正ができず直進距離が大きいほど、すなわち図8の部屋が縦方向に長いほど未清掃の領域が左上の部分にできてしまっていた。
【0025】
また、絨毯が1枚ものの絨毯ではなく、タイルカーペットで1枚ずつ目の方向を変えて
敷き詰めてある部屋や、部屋の1部分にだけ絨毯がある場合は、前述した従来の補正のやりかたは役に立たないものであった。
【0026】
そこで本発明は、絨毯目による横ずれの角度偏差を機械的ではなく非接触な光学手段により検出し、かつ、補正値を最初の直線走行の時にだけ作成するのではなく、走行中に逐次、直線性を検知して走行制御にフィードバックすることで、タイルカーペットがひかれた部屋や1部分にだけ絨毯が敷かれている部屋でも効率良く清掃できる自走式掃除機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記従来の課題を解決するために、本発明の自走式掃除機は、掃除機の本体を移動させる駆動輪と、前記駆動輪を駆動する駆動手段と、清掃を行う清掃手段と、前記駆動手段を制御して本体の走行制御を行う走行制御手段と、本体の方向を計測する方向計測手段と、本体に取り付けられ被掃除面を撮像するイメージセンサと、このイメージセンサが撮像した画像を一時的に保持する画像保持部と、この画像保持部の画像の変位を逐次検出する変位検知部とを具備し、前記方向計測手段の出力と前記変位検知部の出力により前記走行制御手段が本体方向と直進進行方向が同一になるように走行を制御するようにした。
【0028】
これにより、機械的に操舵手段の車輪の角度を検出する場合にあった支持軸のガタや埃などによる支持軸の固着の課題がなくなり、精度良く絨毯目による横ずれの角度偏差を検出でき直進性の良い走行ができ、また、タイルカーペットがひかれた部屋や1部分にだけ絨毯が敷かれている部屋でも効率良く清掃できる自走式掃除機が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の自走式掃除機は、光学的に非接触で絨毯目による横方向への流され度合いを検出するため、機械的に操舵手段の車輪の角度を検出する場合にあった支持軸のガタや埃等による支持軸の固着の課題がなくなり、精度良く絨毯目による横ずれの角度偏差を検出でき、さらに、走行中に逐次、直線性を検知して走行制御にフィードバックすることで、タイルカーペットがひかれた部屋や1部分にだけ絨毯が敷かれている部屋でも効率良く清掃できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
第1の発明は、掃除機の本体を移動させる駆動輪と、前記駆動輪を駆動する駆動手段と、清掃を行う清掃手段と、前記駆動手段を制御して本体の走行制御を行う走行制御手段と、本体の方向を計測する方向計測手段と、本体に取り付けられ被掃除面を撮像するイメージセンサと、このイメージセンサが撮像した画像を一時的に保持する画像保持部と、この画像保持部の画像の変位を逐次検出する変位検知部とを具備し、前記方向計測手段の出力と前記変位検知部の出力により前記走行制御手段が本体方向と直進進行方向が同一になるように走行を制御するようにしたものである。
【0031】
したがって、絨毯目の有無や強さおよび目の方向がところどころで変わる部屋でも直進性よく走行し効率よく清掃できる。
【0032】
第2の発明は、特に、前記第1の発明において、変位検知部の出力により横方向の画像の変位が最小になるように走行制御手段が走行を制御するようにしたもので、さらに効率良く走行できる。
【0033】
第3の発明は、特に、前記第1または第2の発明において、本体から外部の物体までの距離を測定する測距手段と、測距センサの出力に基づいて障害物を検知する障害物検知手段と、この障害物検知手段の出力により本体の直進走行をUターンさせる旋回手段とを有
し、旋回手段動作中は変位検知部の出力を無視するようにしたもので、Uターン時の変位検知誤りを回避でき、効率良く走行できる。
【0034】
第4の発明は、特に、前記第3の発明において、旋回手段動作後安定して直進するまでは変位検知部の出力を無視するようにしたものであり、Uターン後の変位検知誤差を抑えることができ、効率良く走行できる。
【0035】
第5の発明は、特に、前記第1〜4のいずれか一つ発明において、本体に光源を取り付け走行方向側の被掃除面を照射するようにして、さらに効率良く走行できるようにしたものである。
【0036】
第6の発明は、特に、前記第1〜4のいずれか一つ発明において、本体後部に光源を取り付けて被掃除面の後方を照射するとともに、イメージセンサを本体の後部に取り付けて被掃除面の後方を撮像するようにしたことで、直進性よく走行させ効率よく清掃できる。
【0037】
第7の発明は、特に、前記第5または6の発明において、被掃除面に写るレーザ光の輝点を基準に被掃除面画像の変位を検知するようにしたことで、明確なマーカを付加でき画像処理精度を高められ、さらに効率良く走行できる。
【0038】
第8の発明は、特に、前記第1の発明において、走行制御手段は被掃除面画像の変位から走行速度を計測するようにしたことで、さらに効率良く走行できる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0040】
(実施の形態1)
図1,2において、1は自走式掃除機の本体であり、高さ約20cm、長さ約30cm、幅約25cmの大きさのものである。
【0041】
2は前記本体1を移動させる駆動輪、3は駆動手段であり、直流モータからなる。4は清掃手段で、床ノズル5a、ファンモータ5b、ダストボックス6などからなる。
【0042】
7は制御回路基板であり、マイクロコンピュータなどの電子回路とともに、走行制御手段8、画像保持手段9、変位検知手段10なども搭載されている。
【0043】
11は方向計測手段であり、角速度を検知するジャイロセンサを用いている。12はイメージセンサであり、斜め下方向に向けられ走行時の前方床面を撮像するようにしている。
【0044】
このイメージセンサ12の出力は画像保持手段9に接続されている。
【0045】
13は操作部で、本体1の運転を開始したり、停止したり、あるいは清掃モードを設定入力できる。
【0046】
14は電源スイッチ、15はバンパーで、走行中に壁や家具に接触すると図示していないが本体1の内部にあるスイッチが入る構造になっており、接触を検知するものである。
【0047】
16は電池、17a,17bは右横方向にある家具や壁などとの距離を測る赤外線式の測距センサであり、横方向に2個付けることで壁に本体1が平行になるような制御をしやすいようにしている。17c,17dは同じく赤外線式の測距センサであるが、前部に取
り付けられており、前進時に前方の障害物との衝突を避けられるよう前方向にある家具や壁などの障害物との距離を測るものである。
【0048】
17e,17fは左横方向にある家具や壁などとの距離を測る赤外線式の測距センサである。
【0049】
方向計測手段11、測距センサ17a〜17f、方向計測手段11、および画像保持手段9、この画像保持手段9の画像の変位を逐次検出する変位検知手段10は走行制御手段8にその出力を入力している。
【0050】
走行制御手段8は、これらのデータを判断して駆動輪2のモータ2L、2Rに制御信号を出力する。
【0051】
本実施の形態では、このモータ2L,2Rの回転速度を制御することにより、左右の駆動輪2の回転速度を独立に制御し、本体1の駆動および操舵を行っている。
【0052】
次にイメージセンサ12で床面を撮像することによる動作を図3を用いて説明する。
【0053】
図3において(a)および(b)は絨毯上を走行したときのイメージセンサ12で撮像した画像を保持する画像保持手段9の時刻T1と時刻T2のときの画像である。
【0054】
18はイメージセンサ12が撮像した画像フレームである。イメージセンサ12は約30万画素のCCDであり横640画素×縦480画素で構成され毎秒24コマの画像を撮像できるものである。
【0055】
ここで、模様A〜模様Eは床面の木目、絨毯の毛の傾きのばらつき、絨毯の柄、ゴミなどイメージセンサ12で撮像した時に濃淡模様として写るものである。
【0056】
図3の(c)は変位検知手段10が検知した時刻T1から時刻T2のときの画像の変位ベクトルである。19は変位検知手段10の画像フレームである。
【0057】
変位検知手段10は2枚の画像の相関をとることにより床面の模様A〜模様Eの変位が左斜め下方向にθずれていることを検知できる。
【0058】
すなわち、時刻T2の画像を1画素分ずつ右または左や上にずらし、時刻T1の画像と重ね合わせて画面全体の明るさを計算していき、画面全体の明るさが一番明るい時の縦・横のずらし量から変位が検知できる。
【0059】
例えば、時刻T2の画像を上に30画素、右に18画素ずらしたときの時刻T1の画像との重ね合わせ画像が一番明度が高ければ、横にずれた分は18画素分となる。
【0060】
次に、モータ2L,2Rの回転速度を制御して、横にずれた18画素分左に戻るよう方向計測手段11の出力をもとに本体方向を左に振れば元の直進コースに戻れる。
【0061】
図では説明のために大きくずれているが、実際は24分の1秒毎に画像を取り込み、逐次変位を算出し本体1の方向を方向計測手段11の出力を見ながら制御している。
【0062】
このように制御のフィードバック周期が短いため、本体1の振れは小さく、実走行では最初に定めた方向に本体1はまっすぐ向かい、絨毯目に流されること無く直進しているように見える。
【0063】
図4は本実施の形態の走行制御手段8における制御のフローチャートである。
【0064】
ステップ1では掃除機本体1が床に置かれ電源スイッチが入れられ、スタートボタンが押された後の処理である。
【0065】
スタートボタンが押されたときの本体1の方向を直進の進行方向であるとして動作するため、最初に床に置かれている状態での方向計測手段11の出力を記憶する。
【0066】
ステップ2はイメージセンサ12が撮像可能であるかを確認し、最新の画像が得られるまで待つ。
【0067】
最新の画像が得られるとステップ3に移り、画像保持手段9に保存する。ステップ4では再度イメージセンサ12が撮像可能であるかを確認し、最新の画像が得られるまで待つ。最新の画像が得られるとステップ5に移る。ステップ5ではステップ4で得られた最新の画像と画像保持手段9に保存されているひとつ前との画像の相関をとり、最新画像がひとつ前の画像から横方向にどれだけずれているかを検出する。
【0068】
ステップ6ではステップ5で検出した横方向のずれ量をもとに本体1の方向の補正角度を算出する。ステップ7ではステップ6で算出した補正角度どおりに本体が方向を変えるようにモータ2L,2Rの回転速度を制御する。
【0069】
ステップ8はステップ4で得られた最新の画像を画像保持手段9に保存する。ステップ9で前方に壁があればこの直進走行を終了する。
【0070】
図5は直進走行を説明するもので、(a)はスタート時の位置である。絨毯目は右方向に向いている。
【0071】
スタートすると絨毯目により本体1は(b)に示すように本来の直線コースL1からやや右にそれる。ここで変位検出手段10が横ずれを検知し、(c)に示すように本体1の方向をやや左に向ける。その結果(d)のL1に乗った位置に戻る。
【0072】
その後(e)のように本体1の方向も元のL1と同じ方向になる。(f)はまた絨毯目に流され、以降(g)〜(i)は(c)〜(e)と同じ動作となる。復路も同様の動作をし、順番に右にシフトしていき部屋全体の掃除を完了する。
【0073】
図では説明のために本体1が大きく振れているが、実際は逐次変位を算出し本体1の方向を細かく方向計測手段11の出力を見ながら制御しているため、本体1の振れは小さく、実走行では最初に定めた方向に本体1はまっすぐ向かい、絨毯目に流されること無く直進しているように見える。
【0074】
このように本実施の形態によれば、イメージセンサ12で撮像した床面画像の横ずれ変位から逐次本体1の向きを修正するよう走行制御手段が制御し、その結果、方向計測手段の出力と変位検知部の出力により本体方向と直進進行方向が同一になるように走行制御され絨毯目の有無や強さおよび目の方向がところどころで変わる部屋でも直進性よく走行し効率よく清掃できる。
【0075】
また、走行制御手段において変位検知部の出力により横方向の画像の変位が最小になるように走行制御するように方向の補正値を修正していけばさらに効率良く走行できる。
【0076】
また、本体から外部の物体までの距離を測定する測距手段と、測距センサの出力に基づいて障害物を検知する障害物検知手段と、障害物検知手段の出力により本体の直進走行をUターンしたときに、旋回中は変位検知部の出力を無視することでUターン時の変位検知誤りを回避でき、効率良く走行できる。
【0077】
また、Uターン後安定して直進するまでは変位検知部の出力を無視するようにすれば、Uターン後の変位検知誤差を抑えることができ、効率良く走行できる。
【0078】
また、本体前部に光源を取り付け前方床面を照射すると床面の濃淡が明確になり画像処理精度が高まりさらに効率良く走行できる。
【0079】
また、本体後部に光源を取り付け後方床面を照射しイメージセンサを本体の後部に取り付け後方床面を撮像するようにしても直進性良く走行し効率よく清掃できる。
【0080】
また、レーザ光源を取り付け床面に写るレーザ光の輝点を基準に床面画像の変位を検知することで明確なマーカを付加でき画像処理精度を高められ、さらに効率良く走行できる。
【0081】
また、床面画像の変位から走行制御手段にて走行速度を計測することでさらに効率良く走行できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明にかかる自走式掃除機は、直進の目標方向に変位検知手段の出力に基づき修正を施すため精度良く絨毯目による横ずれを瞬時に検出して進行方向をすこし補正することで横ずれを回避でき、しかも機械的な構成物に頼らず非接触で床面の模様の流れを検知しているため、従来方式にあった支持軸へのほこり付着や支持軸のガタによる検知誤差などが起こり得ないものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1を示す自走式掃除機の透視斜視図
【図2】同自走式掃除機の制御ブロック図
【図3】同自走式掃除機のイメージセンサの説明図
【図4】同自走式掃除機の制御方法を示すフローチャート
【図5】同自走式掃除機の動作説明図
【図6】従来の自走式掃除機の絨毯目の影響説明図
【図7】従来の自走式掃除機の絨毯目補正の動作説明図
【図8】従来の自走式掃除機の部屋内走行の動作説明図
【符号の説明】
【0084】
1 本体
2 駆動輪
3 駆動手段
4 清掃手段
8 走行制御手段
9 画像保持手段
10 変位検知手段
11 方向計測手段
12 イメージセンサ
17a、17b、17c、17d 測距手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機の本体を移動させる駆動輪と、前記駆動輪を駆動する駆動手段と、清掃を行う清掃手段と、前記駆動手段を制御して本体の走行制御を行う走行制御手段と、本体の方向を計測する方向計測手段と、本体に取り付けられ被掃除面を撮像するイメージセンサと、このイメージセンサが撮像した画像を一時的に保持する画像保持部と、この画像保持部の画像の変位を逐次検出する変位検知部とを具備し、前記方向計測手段の出力と前記変位検知部の出力により前記走行制御手段が本体方向と直進進行方向が同一になるように走行を制御するようにした自走式掃除機。
【請求項2】
変位検知部の出力により横方向の画像の変位が最小になるように走行制御手段が走行を制御する請求項1記載の自走式掃除機。
【請求項3】
本体から外部の物体までの距離を測定する測距手段と、測距センサの出力に基づいて障害物を検知する障害物検知手段と、この障害物検知手段の出力により本体の直進走行をUターンさせる旋回手段とを有し、旋回手段動作中は変位検知部の出力を無視するようにした請求項1または2記載の自走式掃除機。
【請求項4】
旋回手段動作後安定して直進するまでは変位検知部の出力を無視するようにした請求項3記載の自走式掃除機。
【請求項5】
本体に光源を取り付け走行方向側の被掃除面を照射するようにした請求項1〜4いずれか1項記載の自走式掃除機。
【請求項6】
本体後部に光源を取り付けて被掃除面の後方を照射するとともに、イメージセンサを本体の後部に取り付けて被掃除面の後方を撮像するようにした請求項1〜4いずれか1項記載の自走式掃除機。
【請求項7】
被掃除面に写るレーザ光の輝点を基準に被掃除面画像の変位を検知するようにした請求項5または6記載の自走式掃除機。
【請求項8】
走行制御手段は被掃除面画像の変位から走行速度を計測するようにした請求項1記載の自走式掃除機。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−172441(P2010−172441A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17566(P2009−17566)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】