説明

自走式脱穀装置

【課題】脱穀作業を行いながら走行装置の操作をすることができる自走式脱穀装置を提供する。
【解決手段】前記自走式脱穀装置1は、穀物の脱粒を行う脱穀部2と、穀粒と排稈及び莢屑とを選別する選別部3と、前記脱穀部2及び選別部3の下方に設けた走行装置4等を備える自走式脱穀装置1において、自走式脱穀装置1の機体後部に走行側操作部5Aを設け、機体側面に作業側操作部5Bを設け、該走行側操作部5A及び作業側操作部5Bは、少なくとも走行装置4の駆動・停止を行う主クラッチレバー51及び第二主クラッチレバー61を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大豆や蕎麦などの穀物を脱穀する脱穀装置の技術に関し、特に自走式の脱穀装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀部と選別部とからなる大豆や蕎麦の脱穀装置であって、該脱穀部の受網下方に揺動選別装置を配置し、該揺動選別装置の下方に、選別風を送風する唐箕と、一番物を搬送する一番コンベアと、該一番コンベア側へ下がるように傾斜して配置する選別ベルトを設けるとともに、該選別ベルトの排出側にはセカンドファンと二番物回収手段と搬送コンベアを配置し、該搬送コンベアは、前後両端部に設けたプーリにベルトを架渡し、前端部を前記選別ベルトの後端の下方に配置し、機体後部において前端のプーリの駆動軸を中心に高くして後上がりに傾斜した状態に配置した脱穀装置の技術は公知となっている(特許文献1参照)。
また、前記脱穀装置の機体をクローラ式走行装置に載置して構成した自走式の脱穀装置も公知となっている。
【特許文献1】特許第3968052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
大豆や蕎麦の脱穀作業においては、刈り取られて圃場に3〜5mの間隔をあけて集積された穀稈を脱穀装置に投入する作業を行うが、集積された穀稈の間を移動する際、従来の自走式の脱穀装置では、脱穀作業を行う側部から脱穀装置を走行させるために通常の走行方向に対して後方に設けられた操作部に移動して走行クラッチを操作しなければならなかったので、作業能率が悪かった。また、脱穀作業時は、通常の走行方向前方へ排稈等を排出することになるため、排出した排稈を踏まないように、通常の走行方向に対して後方へと走行する。このとき、通常の走行方向に対して後方に設けられた走行クラッチを操作することになるので、操作性が悪かった。
【0004】
そこで本発明はかかる課題に鑑み、脱穀作業を行いながら走行装置の操作をすることができる自走式脱穀装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、穀物の脱粒を行う脱穀部と、穀粒と排稈及び莢屑とを選別する選別部と、前記脱穀部及び選別部の下方に設けた走行装置等を備えた自走式脱穀装置において、自走式脱穀装置の機体後部に走行側操作部を設け、機体側面に作業側操作部を設け、該走行側操作部及び作業側操作部は、少なくとも走行装置の駆動・停止を行う駆動・停止手段を備えたものである。
【0007】
請求項2においては、前記作業側操作部は、前記走行装置の左右それぞれの駆動輪の駆動・停止を行い操向操作を行う操向操作手段を備えたものである。
【0008】
請求項3においては、前記作業側操作部は、穀稈を前記脱穀部へと投入する投入口近傍に配置したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、大豆や蕎麦等の集積された穀稈の間を移動して脱穀作業を行う場合において、集積された穀稈の投入が終了すると、走行側操作部に移動することなく作業側操作部に設けた駆動・停止手段を操作することで、機体を次の集積位置まで移動させることができるため、作業の能率が向上する。また、脱穀作業時においては、機体の進行方向に対して側方で駆動・停止手段を操作することができるため、操作性が向上する。
【0011】
請求項2においては、大豆や蕎麦等の集積された穀稈の間を移動して脱穀作業を行う場合において、集積された穀稈の投入が終了して次の集積位置まで移動する時に、圃場の凹凸や傾斜等によって進行方向がズレたときに、操向操作手段を操作することにより、機体の進行方向を容易に修正することが可能となる。また、圃場の凹凸によって自走式脱穀装置が傾いたときに、操向操作手段を操作することにより、機体を水平に保つことが可能となる。これにより、穀粒が機体から転落することを防止し、脱穀の精度を維持することが可能となる。
【0012】
請求項3においては、作業者は脱穀作業を行っているときと略同じ姿勢で駆動・停止手段や操向操作手段等を操作することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る作業時の自走式脱穀装置の全体的な構成を示した側面図、図2は作業時の自走式脱穀装置の背面図、図3は作業時の自走式脱穀装置の平面図、図4は自走式脱穀装置の側断面概略図、図5は収納時の自走式脱穀装置の側面図、図6は収納時の自走式脱穀装置の背面図、図7はホッパの別実施例にかかる側面図である。なお、本発明では図1の左右方向を自走式脱穀装置の走行方向(以下、走行方向)とし、矢印A方向を走行方向前方(以下、前方)とする。すなわち、図1の左方向を前方、右方向を後方とし、図1の紙面手前側が左方、奥側が右方とする。
【実施例1】
【0014】
自走式脱穀装置1について図1から図4を用いて説明する。
図1及び図4に示すように、自走式脱穀装置1の機体は、脱穀部2、選別部3、走行装置4、操作部である走行側操作部5A、作業側操作部5B等を備える。前記脱穀部2及び選別部3(図4参照)の下方にクローラ式の走行装置4が設けられている。また、図1から図3に示すように、機体側面(本実施例では左側面)に穀稈の投入口11が設けられ、投入口11より投入した穀稈を脱穀部2へと導く投入口コンベア12が側方(左方)へ突設されている。
前記投入口コンベア12は左右両端に設けられた図示せぬプーリに帯状のベルトを環状に掛け渡して構成されており、右端部が投入口11下方に配置され、自走式脱穀装置1の左側面部において投入口コンベア12の右端部の図示せぬプーリの駆動軸を中心に投入口コンベア12が上下回動自在に支持されている。
また、走行方向前方には排出口13(図2参照)が設けられ、走行方向後方にはエンジン14が搭載されている。また、図4に示すように前記自走式脱穀装置1の内部には脱穀部2と選別部3とが設けられており、前記脱穀部2及び前記選別部3で脱穀及び選別された穀粒が、走行方向左側面(図1手前側)に設けられた穀粒縦搬送シュート15を通って、ホッパ16に一時貯留され、取出口17より袋等に詰められる構成となっている。また、前記脱穀部2、選別部3、及び走行装置4の操作を行うために自走式脱穀装置1後部に走行側操作部5Aが、自走式脱穀装置1左側面に作業側操作部5Bが設けられている。
【0015】
まず、脱穀部2について図1から図4を用いて説明する。
前記脱穀部2に形成された扱室21に走行方向と平行に軸架された扱胴22が投入口11と面するように内設されている。前記扱胴22の周囲には扱歯22aが植設されて脱粒が行われると共に、扱胴22下部周囲には受網23が設けられて、処理物のみ漏下するように構成されている。
また、図4に示すように前記扱室21の前部には穀稈を切断するための切刃24が設けられている。前記切刃24は前記扱胴22の回転する扱歯22aと扱歯22aとの間に位置するように扱室21の扱室カバー内面より扱胴22側に突設しており、扱胴22の回転に合わせて回転している穀稈を切断するものである。そして、前記受網23の前端下部より、前部が下方に傾斜している複数の棒状部材からなるストローラック25が配設されている。
【0016】
次に、選別部3について図1から図4を用いて説明する。
前記選別部3においては、振動板31による揺動選別と選別ファン32による風選別とが行われ、穀粒、莢屑、排稈等の処理物から、穀粒のみが選別される。図4に示すように、前記振動板31は走行方向と平行に揺動可能に配設され、後方が高くなるように傾斜させており、前記扱胴22の下方に配置されている。そして前記振動板31の前端部(傾斜下方側)下面から、複数の棒状部材からなる櫛歯33が突設されており、該櫛歯33は終端部が下方に傾斜するように構成されている。
【0017】
前記振動板31の前端部下方から機体前部のセカンドファン46の上方に配置する排出口13には選別ベルト34が配設されている。図4に示すように、前記選別ベルト34は前後両端部に設けたプーリ34a・34aに帯状のベルトを掛け渡して構成されている。また、前記選別ベルト34の後方には選別ファン32が配設され、該選別ファン32から選別ベルト34上面に向かって選別風が送風される。前記選別ベルト34の後端部は前記振動板31の前端部下方であって、選別ファン32の選別風の出口上方に配置され、前記選別ベルト34が排出口13に向けて、上方に傾斜した状態で配置されている。また、前記選別ベルト34の表面には無数の凹凸が設けてあり、摩擦力を大きくすることにより、莢屑、排稈等を搬送しやすく構成している。また、前記櫛歯33は、前記選別ベルト34の後部側の上面に近接した位置まで延設している。選別ベルト34の後部下方には一番コンベア81が横設されて、選別後の穀粒を左方へ搬送するようにし、該一番コンベア81の左端は後述する昇降ファン45の出口側に臨む構成としている。なお、選別ベルト34の傾斜角度は回転時において、穀粒が自然落下する最低限度の角度としている。
【0018】
前記選別ベルト34は、穀粒が大豆のように球形状の場合には、該選別ベルト34の上面が排出口13に向かって移動するように構成されている。なお、穀粒が蕎麦のように球形状ではない場合には、前記選別ベルト34の上面が排出口13と反対の方向に向かって移動する構成とすることも可能である。
また、前記選別ベルト34、すなわち、プーリ34aを駆動する変速比を無段階で変更できるように構成されており、選別時の状況に応じて処理物の搬送速度を走行側操作部5Aに設けた作業変速レバー54を回動して調節できるようにしている。
【0019】
さらに、前記選別ベルト34の前方(排出側)には搬送コンベア40が配設されている。前記搬送コンベア40は、前後両端部に設けたプーリ40a・40aに帯状のベルトを環状に掛け渡して構成されており、後端部が排出口13、つまり選別ベルト34の前端部の下方に配置され、前記自走式脱穀装置1の前部において搬送コンベア40の後端部のプーリ40aの駆動軸40bを中心に上下回動自在に支持され、前端部が前方へ延出され、自走式脱穀装置1の使用時には前端部を高くして前上がりに傾斜した状態に配置されて固定される。また、前記搬送コンベア40は搬送速度を変速できるように構成することもできる、さらに、傾斜角度も変更可能に構成することもでき、二番物の選別精度を向上するように構成することもできる。
【0020】
そして、前記振動板31後端部の下方位置に昇降ファン45が設けられ、該昇降ファン45から、一番コンベア81出口を経て取出口17まで風力搬送させるための昇降風が送風される。さらに、前記選別ベルト34の下方にはセカンドファン46が配設され、前記選別ベルト34の前端部下方と搬送コンベア40の後端部上方の間に選別風が送風され、選別ベルト34の前端部から落下する未脱粒のものや莢屑、排稈などが混じった二番物を風選別できるようにしている。
【0021】
次に走行側操作部5A及び作業側操作部5Bについて、図1から図3を用いて説明する。
前記自走式脱穀装置1の後部に走行側操作部5A、及び機体左側面に作業側操作部5Bが設けられている。機体後部に設けた走行側操作部5Aには、エンジン14からミッションケースへの駆動伝達の入切を行い走行装置4の駆動・停止を行う駆動・停止手段となる主クラッチレバー51、走行装置4の左右それぞれの駆動輪に対し駆動伝達の入切を行い機体の進行方向を切り替える操向操作手段となるサイドクラッチレバー52、脱穀部2及び選別部3の駆動伝達の入切を行い作業のON/OFFを切り替える作業部クラッチレバー53、選別時の状況に応じて前記選別ベルト34の搬送速度を調節する作業変速レバー54が設けられている。
【0022】
一方、機体側面の前記投入口11近傍、つまり、前記投入口11のある自走式脱穀装置1の左側面には、詳しくは、前記投入口11の後上部の機体側面には作業側操作部5Bが配設され、該作業側操作部5Bには、前記主クラッチレバー51と同じ機能を有する駆動・停止手段となる第二主クラッチレバー61と、前記サイドクラッチレバー52と同じ機能を有する操向操作手段となる第二サイドクラッチレバー62が設けられている。これにより、作業者は、圃場に集積された穀稈の間を移動する際、自走式脱穀装置1の後方に回らずとも、機体側方より第二主クラッチレバー61及び第二サイドクラッチレバー62の操作が可能となり、機体を走行させたり停止させたり、また、右旋回左旋回等の操向操作が可能となる。なお、主クラッチレバー51と第二主クラッチレバー61はいずれかを「入」または「切」にした場合には連動して「入」または「切」となるように構成している。また、サイドクラッチレバー52と第二サイドクラッチレバー62もいずれかを「入」または「切」にした場合には連動して「入」または「切」となるように構成している。つまり、走行側操作部5Aと作業側操作部5Bのいずれか一方の操作具を操作すると、他方の操作具も連動して回動されて、クラッチが操作される。
【0023】
また、前記第二主クラッチレバー61及び前記第二サイドクラッチレバー62は前記投入口11と略同じ高さに位置するように設けている。このように構成することにより、作業者は脱穀作業を行っているときと同じ姿勢で第二主クラッチレバー61及び第二サイドクラッチレバー62を操作することが可能となる。
【0024】
また、前記投入口11の側方、本実施例では作業側操作部5Bには、脱穀部2及び選別部3を非常停止するための手段として非常停止レバー63が設けられている。前記非常停止レバー63は投入口11に穀稈を投入する作業をしている作業者の手が届く範囲に設けられており、本実施例では作業側操作部5Bの前部に配置して、作業者が誤って投入口11に設けた掻込ローラ(図示せず)に巻き込まれた際に前記非常停止レバー63を作動させることで脱穀部2及び選別部3を非常停止させることができる。但し、非常停止手段はレバーに限定するものではなく、ボタン等で構成することも可能であり、また、非常停止手段の操作によりエンジン14を停止させる構成とすることも可能である。
【0025】
また、前記投入口11の側方に配置する投入口コンベア12の前方及び後方には前作業台65及び後作業台66が設けられている。前記前作業台65及び後作業台66は前記投入口11のある左側面部前方及び後方に設けられており、穀稈の載置量を増加することができ、不要な場合には後述のように収納状態にし、または、取り外すことができる。この前作業台65及び後作業台66から投入口コンベア12に載せ替えて投入口11へ投入するようにすることにより、作業を効率よく進めることが可能となっている。前記前作業台65は前作業台用支持部材71によって下方を、前記投入口コンベア12と連結具72を介して、後方を支持されており、前記前作業台65と前作業台用支持部材71は着脱可能となっている。また前記前作業台65と投入口コンベア12とを連結する連結具72は前記投入口コンベア12の前部に固定された回動軸73に回動可能に連結されており、前記前作業台65は前記回動軸73を中心に回動可能に投入口コンベア12によって支持されている。
一方、前記後作業台66は後作業台用支持部材77によって支持されており、該後作業台用支持部材77は自走式脱穀装置1後方下部の後作業台用支持部78によって回動可能に支持されている。また、前記後作業台66は、前記後作業台用支持部材77を中心に回動可能に支持されている。
【0026】
このような構成において、投入口11から脱穀部2内に投入された穀稈は、前記扱胴22の回転によって脱穀され、処理物となって受網23から漏下する。このように漏下した処理物は振動板31により選別されて、選別ベルト34上に落下する。ここで、穀粒が大豆のように球形状である場合、前記選別ベルト34はベルトの上面が排出口13に向かって前方に移動するように駆動される。これにより、転動しやすい穀粒は前記選別ベルト34の傾斜に沿って選別ベルト34後端へ転落し、選別部3の下部に設けられた一番コンベア81に集められる。この際、前記選別ベルト34後部には前記櫛歯33が、前記選別ベルト34の上面に近接した位置まで延設されているため、莢屑や排稈は、前記櫛歯33によって堰き止められる。これにより、穀粒のより精度の高い選別が可能となる。
【0027】
また、選別ベルト34下端部より落下した穀粒は、前記一番コンベア81によって前記自走式脱穀装置1の左側面(投入口11側)に設けた穀粒縦搬送シュート15の下端へと集められ、前記昇降ファン45の風力によって前記穀粒縦搬送シュート15内を通って上方へと搬送され、走行方向に対して自走式脱穀装置1の左側面に配設されたホッパ16内へと集められ、取出口17から袋などに詰められることにより、適宜自走式脱穀装置1の外部へ取り出される。なお、前記取出口17の下方には、袋などを載置するための袋載置台82が設けられている。該袋載置台82は自走式脱穀装置1の左側面において袋載置台用支持部材83を中心に左右方向へ回動自在に支持されている。また前記袋載置台用支持部材83は袋載置台用支持部84によって上下方向へ回動自在に支持されている
なお、前記取出口17は通常使う通常時取出口17aと、該通常時取出口17aに連結した袋等が一杯になったときに使用する予備取出口17bとを設けている。
【0028】
一方、前記処理物のうち、選別ベルト34上において転動し難い未脱粒のものや重量の軽い莢屑などが混じった二番物は、選別ベルト34と前記選別ファン32から送風される選別風とにより前上方へ搬送され、該選別ベルト34前方に設けられた排出口13から機体外部へ排出される。そして、これらの排出物は該排出口13の下方位置に後端部を臨ませた搬送コンベア40へと落下する。この際、前記搬送コンベア40は、その上面が前方に向けて移動するように駆動されている。したがって、前記搬送コンベア40へ落下した排出物のうち、重量の大きい未脱粒のものはその自重により搬送コンベア40の後下方(後端側)に配置した二番物回収手段となる回収容器85へ流下して回収される。また、重量の軽い莢屑や排稈などは、前記選別ベルト34から落下する途中で、前記セカンドファン46から送風される選別風と搬送コンベア40とにより前上方に搬送され、機体前方へ放出される。
【0029】
次に収納時における自走式脱穀装置1の構成について図5及び図6を用いて説明する。
前記自走式脱穀装置1を収納する際には、前記搬送コンベア40、前記投入口コンベア12、前記前作業台65、前記後作業台66及び前記袋載置台82の位置を変化させることにより、自走式脱穀装置1の占有する面積が減少し、張り出しがなくなり路上走行し易くなり、格納しやすくなる。
前記搬送コンベア40は、図5及び図6に示すように、作業者が、後部を中心に前端を持ち上げて上方へ回動させて、自走式脱穀装置1の前部に当接させる。これにより、前記搬送コンベア40を収納することが可能となる。
【0030】
また、前記前作業台65は、図5及び図6に示すように、まず、作業者が、前記前作業台用支持部材71を前記前作業台65から外し、前記回動軸73を中心に後方へ回転させて、前記投入口コンベア12上へ重ね、図示しない固定具で両者を固定する。そして前記投入口コンベア12を、下方へ回動させて、機体左側面部に当接させる。これにより、前記前作業台65及び投入口コンベア12を収納することが可能となる。
【0031】
また、前記後作業台66は、図5及び図6に示すように、まず、作業者が、前記後作業台用支持部材77を中心に右方へと回動させ、さらに、前記後作業台用支持部材77を自走式脱穀装置1の左側面に設けた後作業台用支持部78を中心にして上方に回動させることにより、自走式脱穀装置1の左側面に当接させる。これにより、前記後作業台66を収納することが可能となる。
【0032】
また、前記袋載置台82は、図5に示すように、まず、作業者が、袋載置台用支持部材83を中心に右方へと回動させて、さらに、前記袋載置台用支持部材83を自走式脱穀装置1の左側面下部に設けた袋載置台用支持部84(図5参照)を中心にして上方に回動させることにより、自走式脱穀装置1の左側面に当接させる。これにより前記袋載置台82を収納することが可能となる。
【0033】
このように構成することにより、自走式脱穀装置1をコンパクトにすることが可能となり、格納時や走行時やメンテナンス時に邪魔になることが無くなる。
なお、本実施例では作業者が手動で前記搬送コンベア40等を収納したが、油圧装置やモータ等を使用することにより自動で収納する構成とすることも可能である。
【0034】
また、ホッパ16を、前記穀粒縦搬送シュート15側面上端からホッパ16の上面にかけて側面視で弧を描くように形成することもできる。すなわち、選別ファン32の風力によって前記穀粒縦搬送シュート15内を通って上方へと搬送された穀粒はホッパ16の上面に衝突することにより、砕かれる可能性があった。
そこで、ホッパ16は、図7に示すように構成することもできる。即ち、ホッパ16側面から上面にかけて側面視で弧を描くように形成されている。このように構成することにより、前記穀粒縦搬送シュート15を通って上方へと搬送された穀粒が、曲面に沿ってホッパ16内に落下することにより、穀粒が砕かれる可能性を低くすることができる。
【0035】
以上のように、前記自走式脱穀装置1は、穀物の脱粒を行う脱穀部2と、穀粒と排稈及び莢屑とを選別する選別部3と、前記脱穀部2及び選別部3の下方に設けた走行装置4等を備えた自走式脱穀装置1において、自走式脱穀装置1の機体後部に走行側操作部5Aを設け、機体側面に作業側操作部5Bを設け、該走行側操作部5A及び作業側操作部5Bは、少なくとも走行装置4の駆動・停止を行う主クラッチレバー51及び第二主クラッチレバー61を備えたものである。このように構成することにより、大豆や蕎麦等の集積された穀稈の間を移動して脱穀作業を行う場合において、集積された穀稈の投入が終了すると、走行側操作部5Aに移動することなく作業側操作部5Bに設けた第二主クラッチレバー61を操作することで、機体を次の集積位置まで移動させることができるため、作業の能率が向上する。また、脱穀作業時においては、機体の進行方向に対して側方で第二主クラッチレバー61を操作することができるため、操作性が向上する。
【0036】
また、前記作業側操作部5Bは、前記走行装置4の左右それぞれの駆動輪の駆動・停止を行い操向操作を行う第二サイドクラッチレバー62を備えたものである。このように構成することにより、大豆や蕎麦等の集積された穀稈の間を移動して脱穀作業を行う場合において、集積された穀稈の投入が終了して次の集積位置まで移動する時に、圃場の凹凸や傾斜等によって進行方向がズレたときに、第二サイドクラッチレバー62を操作することにより、機体の進行方向を容易に修正することが可能となる。また、圃場の凹凸によって自走式脱穀装置1が傾いたときに、第二サイドクラッチレバー62を操作することにより、機体を水平に保つことが可能となる。これにより、穀粒が機体から転落することを防止し、脱穀の精度を維持することが可能となる。
【0037】
また、前記作業側操作部5Bは、穀稈を前記脱穀部2へと投入する投入口11近傍に配置したものである。このように構成することにより、作業者は脱穀作業を行っているときと同じ姿勢で第二主クラッチレバー61及び第二サイドクラッチレバー62を操作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例に係る作業時の自走式脱穀装置の全体的な構成を示した側面図。
【図2】作業時の自走式脱穀装置の背面図。
【図3】作業時の自走式脱穀装置の平面図。
【図4】自走式脱穀装置の側断面概略図。
【図5】収納時の自走式脱穀装置の側面図。
【図6】収納時の自走式脱穀装置の背面図。
【図7】ホッパの別実施例にかかる側面図。
【符号の説明】
【0039】
1 自走式脱穀装置
2 脱穀部
3 選別部
4 走行装置
5A 走行側操作部
5B 作業側操作部
11 投入口
51 主クラッチレバー
61 第二主クラッチレバー
62 第二サイドクラッチレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物の脱粒を行う脱穀部と、穀粒と排稈及び莢屑とを選別する選別部と、前記脱穀部及び選別部の下方に設けた走行装置等を備えた自走式脱穀装置において、
自走式脱穀装置の機体後部に走行側操作部を設け、機体側面に作業側操作部を設け、該走行側操作部及び作業側操作部は、少なくとも走行装置の駆動・停止を行う駆動・停止手段を備えたことを特徴とする自走式脱穀装置。
【請求項2】
前記作業側操作部は、前記走行装置の左右それぞれの駆動輪の駆動・停止を行い操向操作を行う操向操作手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自走式脱穀装置。
【請求項3】
前記作業側操作部は、穀稈を前記脱穀部へと投入する投入口近傍に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自走式脱穀装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−112250(P2009−112250A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288939(P2007−288939)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】