説明

自転車用ハンドルカバー

【課題】ハンドルカバーをハンドルグリップ部分に装着した後、カバーがハンドルバーの中央部側に滑って移動してしまうことを防止する。
【解決手段】カバー本体部10にハンドル挿入口11と手挿入口12を設け、ハンドル挿入口11の近傍に固定手段を設ける。ハンドル挿入口11を横断するようにゴム製帯16を設ける。このゴム製帯16によって2つに分割されたハンドル挿入口11の一方11aにハンドルグリップを、他方11bにブレーキレバーを挿入する。これによりゴム製帯16がハンドルグリップとブレーキレバーの内側に位置し、カバーがハンドルバーの中央側に移動しない。固定手段は縛り紐14からなる。ハンドル挿入口の上方又は下方にスライドファスナーを設けてハンドル挿入口11を拡大できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シティサイクルや婦人用自転車等の自転車のハンドルカバーの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献に記載の従来の自転車用ハンドルカバーは、自転車のハンドルの挿入口の向きを自在に変更できるものである。
即ち、通常のハンドルのグリップエンドが手前側(後方側)に屈曲したタイプのものにも、或いは、フラットハンドル用にそのハンドル挿入口を手挿入口と略直角方向にも変更することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−316070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のハンドルカバーにあっては、通常のハンドルグリップが手前側に屈曲したものに装着した場合であっても、或いはフラットハンドルに装着した場合であっても、ハンドルカバーを固定手段により取り付けた後に、カバーがハンドルの中央部側に、即ちハンドルポストの側に移動してしまうという問題があった。
【0005】
換言すれば、ハンドルバーはその外表面が非常に滑らかに形成されており、ハンドルカバーは、そのハンドル挿入口近傍に設けられた縛り紐等の固定手段によって、ハンドルグリップから少し中央部よりで縛り付けられる。すると、ハンドルバーの表面が滑らかであるために、使用中にこの縛り紐がハンドルバーの中央部側に少しずつ移動してしまうのである。
このような場合には、ハンドルカバーをハンドルグリップ側に強制的に引き寄せたり、場合によっては、縛り紐を解いて再度縛り直す必要があって、非常に面倒な作業が強いられていたのである。
【0006】
そこで、本発明においては、ハンドルカバーをハンドルグリップ部分を被覆するように装着した後、このカバーがハンドルバーの中央部側に滑って移動してしまうことを完全に防止することがその課題である。
また、ハンドルのグリップの根本部側(ハンドルポスト側の中央部側)には、各種の操作レバー等が設けられている場合もあるために、これらを良好に被覆することができるようにすることも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、カバー本体部にハンドル挿入口及び手挿入口が設けられ、ハンドル挿入口の近傍には本体部をハンドルに固定するための固定手段が設けられた自転車用ハンドルカバーにおいて、ハンドル挿入口からハンドルグリップ及びブレーキレバーを挿入することができ、ハンドル挿入口には、この挿入口を横断するように分離部材を設け、この分離部材によって2つに分割されたハンドル挿入口の一方にハンドルグリップを、他方にブレーキレバーを挿入することにより、分離部材をハンドルグリップとブレーキレバーの内側に配置して装着できることを特徴とする自転車用ハンドルカバーである。
【0008】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、固定手段が1対の縛り紐からなり、分離部材が伸縮自在のゴム製帯からなることを特徴とする自転車用ハンドルカバーである。
【0009】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、ハンドル挿入口の上方縁部からカバー本体部の上方周縁部に沿って及び/又はハンドル挿入口の下方縁部からカバー本体部の下方周縁部に沿ってスライドファスナーを設け、このスライドファスナーを開放することによりハンドル挿入口が大きく開放されることを特徴とする自転車用ハンドルカバーである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1のものにおいては、ハンドル挿入口の開口部を横方向に横切るように分離部材を設けたため、ハンドル挿入口には、言わば2つの入口が形成され、一方の入口にハンドルグリップを挿入させ、他方の入口にブレーキレバーを挿入させることができる。
その結果、この分離部材は、ハンドルグリップとブレーキレバーで形成されるV字の内側部位に配置され、それ以上ハンドル中央部の側にカバーは移動できないこととなるのである。
つまり、ハンドルカバーのハンドル挿入口近傍に設けた固定手段によりカバーをハンドルに装着した後は、当該ハンドルカバーは、ハンドルの中央側へもハンドルグリップの端部側へも、何れの側への移動も阻止されるのである。
【0011】
本発明の第2のものは、上記分離部材と固定手段をより具体化したものである。
即ち、固定手段は、一対の紐部材で構成して、それぞれの紐部材をハンドルバーに巻き付けて固縛でき、分離部材としては、伸縮自在のゴム製帯から構成することにより、ハンドルカバーの取り付け位置の自由度を高めることができるのである。
即ち、ハンドルグリップの中央側には、ベルや変速ギヤ切替部が設けられているものもあり、分離部材が伸縮することにより、固定部材である縛り紐の固縛位置を多少変更して
固縛することができることとなるのである。
【0012】
本発明の第3のものにおいては、ハンドル挿入口の上方縁部からカバー本体部の上方周縁部に沿って及び/又はハンドル挿入口の下方縁部からカバー本体部の下方周縁部に沿ってスライドファスナーを設けて、このスライドファスナーを開放することによりハンドルカバーのハンドル挿入口を拡大できるようにしたものである。
これにより、ハンドルグリップの中央側に設けられている各種の装備品を問題なく容易に被覆し、その後このスライドファスナーを閉鎖してこのハンドルカバーを装着できるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るハンドルカバーの一実施形態を示す全体説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るハンドルカバーの一実施形態を示す全体説明図である。
このハンドルカバーは、自転車のハンドルグリップ及びブレーキレバー等の部分の全体を被覆できるような形状を有する生地をその中央部分(図では上縁部分)で二つ折りして、下方周縁部を縫製して袋状に形成したものからなる。
【0015】
このカバー本体部10の図中左側に位置するのが、ハンドル挿入口11であり、図中右側に位置するのがの手挿入口12である。
カバー本体部10のハンドル挿入口11、下方周縁部13、及び手挿入口12の周縁部には、カバリングとして合成繊維製の帯状生地を用いて縫着している。
上記の周縁部のカバリングは、縁部の補強の役目ばかりでなく、ハンドル部や手の挿入を容易にさせるために寄与する。
【0016】
ハンドル挿入口11の上縁部には、一対の縛り紐14、14が設けられている。これらの縛り紐14、14が、本発明に係るハンドルカバーを自転車のハンドルバーに固縛するための固定手段となる。
【0017】
本発明においては、更にその特徴部分である、分離部材としてのゴム製帯16が、ハンドル挿入口11の略中央部の横方向に横断するように縫着されている。
この分離部材としてのゴム製帯16の存在により、ハンドル挿入口11が上方のハンドルグリップを挿入させるハンドルグリップ口11aと、その下方のブレーキレバーを挿入させるためのブレーキレバー口11bとに分割されるのである。
【0018】
このゴム製帯16の存在により、ハンドルグリップとブレーキレバーが成すV字形の部分の内側にゴム製帯16が位置することとなり、それ以上ハンドルバーの中央側へのカバーの移動が阻止されることとなるのである。
【0019】
以下、本発明に係るハンドルカバーの装着手順について説明する。
カバー本体部10のハンドル挿入口11のハンドルグリップ口11aにハンドルグリップを挿入すると同時に、ブレーキレバー口11b内にブレーキレバーを挿入する。
そのまま、分離部材としてのゴム製帯16が上記ハンドルグリップとブレーキレバーとの間の根元部、つまり、ハンドルグリップとブレーキレバーの成すV字形状の内側部位に位置して、カバー本体部10の中央側への移動が阻止される。
この状態で、ハンドル挿入口11の上縁部に設けられた縛り紐14、14をハンドルバーに巻き付けて固縛することによって、本発明に係るハンドルカバーが装着されるのである。
【0020】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその形態を種々変更することができる。
ハンドルカバーの外形形状は、ハンドルグリップ及びブレーキレバー部分を覆うことができる形状に種々任意に設計変更することができる。
要するに、グリップ及びブレーキレバー部分及びその中央寄りの変速ギヤ操作レバー等の装備品を適切に被覆できる形状であれば、種々変更してその形態を設計することができる。
【0021】
その素材も、ハンドルカバーとして適切に使用できる素材であれば、即ち、保形性、耐候性、防水性等を考慮して、適宜適切なものを使用することができる。
分離部材として、上記実施形態では、ゴム製帯を使用したが、単なるゴム紐でも実施可能である。
更に、この分離部材としては、上記のように伸縮自在のものではなく、伸縮性のない帯状生地によって作製することもできる。
【0022】
但し、カバーの取り付け位置の自由度を考慮すれば、上記実施形態のように伸縮自在のものを使用することの方が相応しい。
分離部材の取り付け位置も、ハンドル挿入口の上下略中央部分であればよく、グリップとブレーキレバーがそれぞれ適切に挿入できればよい。
【0023】
本発明においては、更に、ハンドル挿入口11の上方又は下方にスライドファスナーを設けて、この挿入口11を拡大させるように構成することもできる。
より詳細に説明すれば、ハンドル挿入口11の上縁部からカバー本体部の上縁部に沿う部分E(図1参照)、又は、ハンドル挿入口11の下縁部からカバー本体部の下縁部に沿う部分F(図1参照)にスライドファスナーを設けて開閉自在とし、ハンドル挿入口11を拡大できるように形成することもできる。
【0024】
このように構成することにより、ハンドル挿入口11が拡大するために、ハンドルグリップの中央側に設けられている各種の装備品が取り付けられていたとしても、何ら問題なく装着が容易となる。
このスライドファスナーを設ける位置は、上記何れか一方又は両方に設けることもできる。
また、このスライドファスナーは、面ファスナーによって実施することも可能である。
【0025】
本発明に係る固定手段としては、上記実施形態では、縛り紐を採用したが、その他の固定手段を使用することもできる。
また、固定手段の取り付け位置も自由に設計変更可能であり、上記のスライドファスナーを上方に設けた場合には、このスライドファスナーの両側の部位にそれぞれの縛り紐を縫着すればよい。
【0026】
本発明に係るハンドルカバーは、また、夏用又は防寒用の何れのタイプのものにおいても採用することができる。
以上、本発明は、極めて簡易な構成であるが、ハンドルカバーをハンドルバーに取り付け後、そのハンドルカバーがハンドルバーの中央部側に移動することを完全に防止できる極めて大きな効果を発揮する自転車用ハンドルカバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0027】
10 カバー本体部
11 ハンドル挿入口
11a ハンドルグリップ口
11b ブレーキレバー口
12 手挿入口
14 縛り紐(固定手段)
16 ゴム製帯(分離部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー本体部(10)にハンドル挿入口(11)及び手挿入口(12)が設けられ、ハンドル挿入口(11)の近傍には本体部(10)をハンドルに固定するための固定手段が設けられた自転車用ハンドルカバーにおいて、
ハンドル挿入口(11)からハンドルグリップ及びブレーキレバーを挿入することができ、
ハンドル挿入口(11)には、この挿入口(11)を横断するように分離部材(16)を設け、
この分離部材(16)によって2つに分割されたハンドル挿入口(11)の一方(11a)にハンドルグリップを、他方(11b)にブレーキレバーを挿入することにより、分離部材(16)をハンドルグリップとブレーキレバーの内側に配置して装着できることを特徴とする自転車用ハンドルカバー。
【請求項2】
固定手段が1対の縛り紐からなり、分離部材が伸縮自在のゴム製帯(16)からなることを特徴とする請求項1に記載の自転車用ハンドルカバー。
【請求項3】
ハンドル挿入口(11)の上方縁部からカバー本体部(10)の上方周縁部に沿って及び/又はハンドル挿入口(11)の下方縁部からカバー本体部(10)の下方周縁部に沿ってスライドファスナーを設け、このスライドファスナーを開放することによりハンドル挿入口(11)が大きく開放されることを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用ハンドルカバー。



【図1】
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【公開番号】特開2013−112107(P2013−112107A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258715(P2011−258715)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(503356451)有限会社大久保製作所 (7)