説明

自転車貸出システム

【課題】駐輪場において迅速かつ確実に充電が完了した電動アシスト自転車を選択して使用できるとともに、充電が完了した電動アシスト自転車がない場合には、駐輪場に行かなくても済む自転車貸出システムを提供する。
【解決手段】携帯電話等のユーザ端末2からサーバ4のワールドワイドウェブにアクセスすることにより、使用可能リストの中から、貸出中でない電動アシスト自転車であって、満充電状態もしくは高充電状態の電動アシスト自転車を車両毎に離れた場所から把握可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅や学校などに設置される駐輪場において駐輪中の電動アシスト自転車のバッテリーを充電することができ、駐輪中の電動アシスト自転車のバッテリーの充電状況をユーザ端末からサーバにアクセスすることにより、車両毎に把握することができる自転車貸出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、観光地などでは、駅や商業施設などに設置される複数の駐輪場にレンタサイクル(貸自転車)が多数常備され、貸自転車を使用して観光地巡りなどをすることができる自転車貸出システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。近年では、登り坂でも楽でしかもスムーズに走行でき、高齢者でも快適な走行ができる電動アシスト自転車の貸出しも行なわれるようになっている。
【0003】
このような電動アシスト自転車の貸出しを行なう自転車貸出システムとしては、例えば、特許文献2に記載のものが知られている。
【0004】
特許文献2の自転車貸出システムは、複数の電動アシスト自転車を駐輪可能な駐輪場に、太陽光発電システムを有する電力供給源と、該電力供給源から供給される電力を前記電動アシスト自転車に供給する複数の電力供給端子と、該電力供給端子に接続可能に前記電動アシスト自転車を駐輪させる複数の駐輪装置とを有し、前記電動アシスト自転車を前記駐輪装置に駐輪した状態で、前記電力供給端子から電力を供給して電動アシスト自転車のバッテリーを充電することができる。
【0005】
また、特許文献2の自転車貸出システムは、電力供給端子に充電状況を測定可能なようにそれぞれ検出端を備え、充電に際しては、充電された電動アシスト自転車毎に充電時間、使用電力等の充電状況のデータが自動的に取得され、コントロールセンターの認識管理装置に入力され記憶されるようになっている。これにより、電動アシスト自転車毎の充電管理を行なっている。
【0006】
しかし、特許文献2の自転車貸出システムは、電動アシスト自転車のバッテリーの充電状況を管理者側が管理するものであるので、電動アシスト自転車を借りる人は、充電が完了した電動アシスト自転車がどれなのか知ることができず、バッテリーの充電量が少ない電動アシスト自転車を誤って使用してしまうこともあった。このため、使用途中で電動アシスト自転車のバッテリーが切れてしまうことがあった。
【0007】
そこで、バッテリーの充電量が少ない電動アシスト自転車を誤って使用することを防止するため、バッテリーの充電が完了した電動アシスト自転車をランプ等の表示により報知することも考えられる。しかし、この場合でも、電動アシスト自転車を利用しようとする人は、駐輪場に行って各電動アシスト自転車のランプ表示を見なければ、どの電動アシスト自転車のバッテリーの充電が完了しているのか知ることができない。そのため、充電が完了した電動アシスト自転車を探して使用するまでに時間がかかってしまうという問題がある。また、駐輪場に行って初めて充電が完了した電動アシスト自転車があるかどうかが分かるので、充電が完了した電動アシスト自転車がない場合には、駐輪場に行く時間が無駄になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−78223号公報
【特許文献2】特開2003−242593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、駐輪場において迅速かつ確実に充電が完了した電動アシスト自転車を選択して使用できるとともに、充電が完了した電動アシスト自転車がない場合には、駐輪場に行かなくても済む自転車貸出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、
ユーザが使用するユーザ端末と、
電動アシスト自転車の貸出を管理するサーバと、
駐輪場に設置される駐輪場端末とを有し、
前記ユーザ端末と前記サーバと前記駐輪場端末とがインターネットを介して通信可能に接続された自転車貸出システムであって、
前記駐輪場は、
駐輪中の電動アシスト自転車のバッテリーを充電する充電装置と、
駐輪中の電動アシスト自転車のバッテリーの充電量を測定する充電測定器とを有し、
前記充電測定器は、
前記充電量を測定すると、その充電量に応じた充電情報を前記電動アシスト自転車毎に割り振られた自転車識別情報とともに前記駐輪場端末に送信する第1情報送信手段を有し、
前記駐輪場端末は、
前記自転車識別情報と前記充電情報を受信すると、その充電情報を前記自転車識別情報とともに前記サーバに送信する第2情報送信手段を有し、
前記ユーザ端末は、
前記サーバのワールドワイドウェブにアクセスするアクセス手段と、
前記ユーザを識別するためのユーザ情報を前記サーバに送信するユーザ情報送信手段とを有し、
前記サーバは、
前記自転車識別情報と前記充電情報を受信すると、前記電動アシスト自転車毎に前記充電情報をワールドワイドウェブ上に載せる設定手段と、
前記ユーザ端末から送信された前記ユーザ情報と、予め記録されているユーザ情報とが一致するかの認証を行なうユーザ情報認証手段と、
前記認証完了後、前記自転車識別情報と前記充電情報を前記ユーザ端末に表示する表示手段を有する
ことを特徴とする自転車貸出システムに関する。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記充電測定器は前記充電量を逐次測定するものであり、
前記サーバは、前記充電情報を受信すると、前記ワールドワイドウェブ上に載せられている充電情報を、前記受信した充電情報に更新する充電状況更新手段を有することを特徴とする請求項1に記載の自転車貸出システムに関する。
【0012】
請求項3に係る発明は、
前記第2情報送信手段は、
前記電動アシスト自転車が駐輪中であるか否かを示す使用情報を前記自転車識別情報とともに前記サーバに送信するものであり、
前記設定手段は、
前記サーバが前記使用情報を受信すると、その受信した使用情報を前記ワールドワイドウェブ上に載せるものであり、
前記表示手段は、前記認証完了後、前記使用情報を前記ユーザ端末に表示するものであり、
前記ユーザ端末は、
前記表示手段により表示された前記自転車識別情報と前記使用情報と前記充電情報に基づいて、駐輪中の電動アシスト自転車が前記ユーザによって選択されたときに前記サーバへ予約要求情報を送信する予約要求情報送信手段を有し、
前記サーバは、
前記予約要求情報に基づいて前記選択された電動アシスト自転車を予約する自転車予約手段と、
前記予約された電動アシスト自転車の錠を解錠するための鍵パスワードを決定して前記ユーザ端末へ送付する鍵パスワード送信手段とを有し、
前記駐輪場端末は、
前記ユーザによって鍵パスワードが入力されると、前記鍵パスワードが正しいか否かを前記サーバへ問い合わせる鍵パスワード問い合わせ手段を有し、
前記サーバは、
前記予約したときに決定した鍵パスワードと前記ユーザによって入力された鍵パスワードとが一致するかの認証を行い、その認証結果を前記駐輪場端末へ報告する鍵パスワード認証手段を有し、
前記駐輪場端末は、
認証OKの報告がなされると前記予約された電動アシスト自転車の鍵を解錠し、貸出しが開始されたことを前記サーバへ通知する鍵解錠手段を有し、
前記サーバは、
前記電動アシスト自転車の貸出しが開始されたとして、前記使用情報を変更する使用状況変更手段とを有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車貸出システムに関する。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記ユーザ端末が携帯端末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自転車貸出システムに関する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、ユーザ端末からサーバのワールドワイドウェブにアクセスすることにより、自転車識別情報と充電情報に基づいて、駐輪場で駐輪中の電動アシスト自転車のバッテリーの充電量を車両毎に離れた場所から予め把握することができるので、充電が完了した電動アシスト自転車がどれであるかを駐輪場に行く前に知ることができる。このため、駐輪場において充電が完了した電動アシスト自転車を迅速かつ確実に選択して使用することができる。また、充電が完了した電動アシスト自転車がない場合には、駐輪場に行かなくても済むので、時間を節約することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、前記充電測定器は前記充電量を逐次測定するものであり、前記サーバは、前記充電情報を受信すると、前記ワールドワイドウェブ上に載せられている充電情報を、前記受信した充電情報に更新する充電状況更新手段を有することにより、ワールドワイドウェブ上の充電情報は逐次最新の情報に変更されるので、ユーザは、ワールドワイドウェブ上にいつアクセスしても、電動アシスト自転車のバッテリーの充電量について、常に最新の情報を得ることができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、ユーザ端末からサーバのワールドワイドウェブにアクセスすることにより、自転車識別情報と使用情報と充電情報に基づいて、駐輪中の電動アシスト自転車の中から、充電が完了した電動アシスト自転車を選択して予約することができるので、駐輪場においてさらに迅速かつ確実に充電が完了した電動アシスト自転車を使用することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、前記ユーザ端末が携帯端末であることにより、電波の届く限りどこからでも電動アシスト自転車の充電量を把握することができるので、例えば、移動中に電車の中から前記サーバのワールドワイドウェブにアクセスして、電動アシスト自転車のバッテリーの充電量を予め把握しておけば、駅に着いたときに迅速かつ確実に充電が完了した電動アシスト自転車を選択して使用することができ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の自転車貸出システムの全体構成を示す図
【図2】図1のサーバの構成を示すブロック図
【図3】接触式の充電方式で充電中の電動アシスト自転車を示す概略図
【図4】非接触式の充電方式で充電中の電動アシスト自転車を示す概略図
【図5】図4の充電装置に内蔵される回路構成を示す回路図と、バッテリーに接続される回路構成を示す回路図
【図6】電動アシスト自転車の使用可能リストを示す図
【図7】図1の自転車貸出システムが行なう処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の自転車貸出システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本発明の実施形態の自転車貸出システム1は、図1に示すように、ユーザが使用するユーザ端末2と、大学3に設置されるサーバ4と、駅5と大学3に備えられる駐輪場6、7に設置される駐輪場端末8、9とを有し、ユーザ端末2とサーバ4と駐輪場端末8、9とがインターネットを介して接続されている。駐輪場端末8、9の設置場所は、本実施形態では駅5と大学3の駐輪場6、7とされているが、本発明では、設置場所は、これらに限定されず、商業施設などの他の施設に備えられた駐輪場でもよい。また、駐輪場端末8、9が設置される駐輪場の数は、本実施形態では、駅5の駐輪場6と大学3の駐輪場7の2つとされているが、2つに限定されるものではなく、1つ或いは3つ以上であってもよい。
【0021】
ユーザ端末2は、サーバ4のワールドワイドウェブにアクセスするアクセス手段と、学生番号、登録番号、氏名、メールアドレスや電話番号などの個人を識別できるユーザ識別情報をサーバ4に送信するユーザ情報送信手段と、サーバ4に電動アシスト自転車の予約要求情報を送信する予約要求情報送信手段とを有し、例えば、家庭などに設置されるパーソナルコンピュータや携帯端末を挙げることができる。携帯端末は、ノートパソコン、携帯電話、PHSなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
サーバ4は、図2に示すように、演算部である中央演算処理装置(CPU)10と、RAM11と、ROM12と、ユーザインターフェースをユーザ端末2にブラウザで表示する第1表示部13aと、ユーザインターフェースをブラウザで自らに表示する第2表示部13bと、ユーザインターフェースの操作を受け付ける入力部14と、記録部であるハードディスク(HDD)15と、を備える。ハードディスク(HDD)15は、前記ユーザ識別情報や、図3、4、6に示すように、電動アシスト自転車16毎に割り振られた自転車識別情報17、電動アシスト自転車16が駐輪中であるか否かを示す使用情報、電動アシスト自転車16のバッテリー20の充電量に応じた充電情報などを記録するのに用いられる。
【0023】
自転車識別情報17は、ユーザから視認しやすい位置に付しておくとよい。図3の例では、自転車識別情報17はハンドル支持部に付されている。また、自転車識別情報17は、例えば記号と番号を組み合わせて表すことができ、駐輪場6、7の自転車置場番号18に対応させて付けると、駐輪場6、7における電動アシスト自転車16の位置が把握しやすくなり好ましい。
【0024】
CPU10は、HDD15に記録された自転車識別情報17と使用情報と充電情報を図6に示す使用可能リストに記載してワールドワイドウェブ上に載せる設定手段と、ユーザ端末2から送信される前記ユーザ情報と、サーバ4に予め記録されているユーザ情報とが一致するかの認証を行なうユーザ情報認証手段と、電動アシスト自転車16の錠を解錠するための鍵パスワードを決めてユーザ端末2へ送信する鍵パスワード送信手段と、前記ワールドワイドウェブ上に載せられた前記自転車識別情報17と前記充電情報をユーザ端末2に表示する表示手段と、電動アシスト自転車16を予約する自転車予約手段と、前記決定した鍵パスワードと前記ユーザによって入力された鍵パスワードとが一致するかの認証を行い、その認証結果を駐輪場端末8、9へ報告する鍵パスワード認証手段と、前記使用情報を変更する使用状況変更手段と、前記充電情報を更新する充電状況更新手段とを有する。CPU10は、これら各手段をROM12等に記憶された所定のプログラムを読み出すことにより実行する。
【0025】
鍵パスワードは、ユーザにより簡単に特定できないようにランダムに決定されるようにすると好ましい。また、鍵パスワードは、どの電動アシスト自転車16の鍵となるのかを識別できるように、自転車識別情報17に対応させてHDD15に記録しておく。
【0026】
駐輪場6、7は、電動アシスト自転車16を駐輪可能な電子錠付駐輪装置19と、電子錠付駐輪装置19に電動アシスト自転車16を駐輪させた状態で電動アシスト自転車16のバッテリー20を充電可能な充電装置21とを有する。電子錠付駐輪装置19は、駐輪場6、7の駐輪場端末8、9と接続されており、駐輪場端末8、9に前記鍵パスワードを入力すると、錠を解錠できるようになっている。充電装置21は、電動アシスト自転車16のバッテリー20を充電することができる。
【0027】
充電方式は、電磁誘導作用を利用して非接触に電力をバッテリー20に供給する非接触式と、充電用の電力供給端子をバッテリー20に接続する接触式とのいずれの形式でもよいが、非接触式が好ましい。接触式では、バッテリー20の充電用外部接続端子が外部に露出しているので、電動アシスト自転車16が風雨等に晒されると、外部接続端子が錆びて電気的接触に不具合が生じる可能性があるからである。
【0028】
接触式の充電方式では、図3に示すように、電動アシスト自転車16のバッテリー20に充電装置21を装着し、プラグ22を駐輪場6、7のコンセントに差し込むと、バッテリー20を充電することができる。
【0029】
電磁誘導作用による非接触の充電方式では、図4に示すように、電動アシスト自転車16を電子錠付駐輪装置19に駐輪できる位置に停車させたときに、駐輪場6、7の床に埋め込まれた充電装置21からバッテリー20に非接触に電力が供給され、バッテリー20が充電される。
【0030】
この場合、充電装置21としては、商用電源から供給される電流を直流に変換する整流器と、電流が流れることによって生じる磁束が変化する一次コイルとを有するものが使用される。具体的には、充電装置21は、例えば図5(a)に示すように、上記一次コイル33と一次コイル33に並列に接続された共振用コンデンサ34とからなる並列共振回路と、商用電源からの交流電流を直流電流に変換するコンバータ31と、直流電流を前記並列共振回路の共振周波数に等しい周波数の交流電流に変換するコンバータ32とを有するものが使用される。このように、コンバータを2つ用いる理由は、商用電源からの交流電流を前記並列共振回路の共振周波数に等しい周波数の交流電流に変換させることで、一次コイル33に流れる交流電流の振幅を増大させるためである。
【0031】
電動アシスト自転車16のバッテリー20には、例えば、前記一次コイルからの磁束の変化を受けて電磁誘導作用による起電力を生じる二次コイル35と二次コイル35に並列に接続された共振用コンデンサ36とからなる並列共振回路と、二次コイル35に生じた起電力によって流れる誘導電流を直流電流に変換する整流器37とが接続されているものが使用される。
【0032】
また、充電装置21としては、図5(b)に示すように、商用電源からの交流電流を直流電流に変換する上記コンバータ31と、上記一次コイル33と一次コイル33に並列に接続された上記共振用コンデンサ34とからなる並列共振回路と、トランジスタなどの半導体素子のスイッチング機能に基づいて発振を行う発振部38と、ベースコイル39とを少なくとも有するものを使用することもできる。
【0033】
充電装置21からバッテリー20への非接触での電力供給は、一次コイルに電流が流れることで発生した磁場の振動が同じ周波数で共振する共振回路(二次コイルと共振用コンデンサとから構成される)に伝わることを利用する磁気共鳴方式を用いてもよい。
【0034】
また、駐輪場6、7は、駐輪中の電動アシスト自転車16のバッテリー20の充電量を逐次測定する充電測定器23を備えている。充電測定器23は、バッテリー20に装着して使用するが、電動アシスト自転車26を電子錠駐輪装置19に駐輪できる位置に停車させたときに、バッテリー20に装着される位置に設けておくと、装着の手間が省けて好ましい。
【0035】
また、充電測定器23は、駐輪場端末8又は駐輪場端末9と通信可能に接続されており、バッテリー20の充電量を測定したときに、その測定された充電量に応じた充電情報を自転車識別情報17とともに駐輪場端末8又は駐輪場端末9に送信する第1情報送信手段を有する。自転車識別情報17と充電情報の駐輪場端末8、9への送信は、赤外線などの電波を用いた無線通信や超音波を用いた超音波通信により行なうこともできる。なお、充電情報は、電動アシスト自転車16のバッテリー20の充電直後と充電完了後にのみ、駐輪場端末8、9に送信するようにしてもよい。
【0036】
充電情報は、充電測定器23により測定されたバッテリー20の充電量が、低充電、中充電、高充電、満充電のいずれに該当するかを示す情報である。バッテリー20の充電量は、例えば、バッテリー20の容量に対して95%以上の電荷が蓄えられた場合を満充電とし、80%以上95%未満の電荷が蓄えられた場合を高充電とすることができる。満充電と高充電は、バッテリー20に電荷が十分に蓄えられた状態を示す。また、バッテリー20の充電量は、50%以上80%未満の電荷が蓄えられた場合を中充電とし、50%未満の電荷が蓄えられた場合を低充電とすることができる。また、充電情報は、バッテリー20の充電量が満充電に該当するか否かで示すようにしてもよい。
【0037】
駐輪場端末8、9は、自転車識別情報17と前記充電情報を受信すると、その充電情報と自転車識別情報17をサーバ4に送信する第2情報送信手段と、前記鍵パスワードが入力されると、前記鍵パスワードが正しいか否かをサーバ4へ問い合わせる鍵パスワード問い合わせ手段と、サーバ4から認証OKの報告がなされると前記予約された電動アシスト自転車の鍵を解錠し、貸出しが開始されたことをサーバ4へ通知する鍵解錠手段とを有する。サーバ4に送られた自転車識別情報17と充電情報は、ハードディスク(HDD)15に記録される。
【0038】
上記ユーザ端末2、充電測定器23及び駐輪場端末8、9に備えられた各手段も、コンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0039】
上記のように構成された自転車貸出システム1は、図7に示すように、処理を行なって電動アシスト自転車16の貸出しを行なう。
【0040】
まず、電動アシスト自転車16を借りるユーザが、携帯電話等のユーザ端末2でサーバ4のワールドワイドウェブにアクセスすると(S1)、サーバ4は、ユーザ端末2に学生番号などのユーザ識別情報の入力画面を表示する(S2)。次いで、ユーザは、ユーザ識別情報を入力してサーバ4に送信すると(S3)、サーバ4は、受信したユーザ識別情報とHDD15に記録されているユーザ識別情報とが一致しているかどうかの認証を行なう(S4)。サーバ4は、一致していると判断する場合は、図6に示す使用可能リストをユーザ端末2に表示し、一致していないと判断する場合はユーザのアクセスを拒否する(S5)。
【0041】
ユーザは、表示された使用可能リストから、貸出中でない電動アシスト自転車16であって、満充電状態もしくは高充電状態の電動アシスト自転車16を選択すると、ユーザ端末2からサーバ4へ予約要求情報が送信される(S6)。選択の際は、中充電状態、低充電状態の電動アシスト自転車16は選択できないようにしたり、充電量の多い順にソートができるようにしたりしておくと、充電量の低い電動アシスト自転車16を誤って選択することが防止できるので好ましい。サーバ4は、電動アシスト自転車16が選択されると、選択された電動アシスト自転車16の自転車識別情報17に基づいて選択された電動アシスト自転車16を予約する(S7)。
【0042】
サーバ4は、電動アシスト自転車16を予約すると、予約された電動アシスト自転車16の錠を解錠するための鍵パスワードを決定し、その鍵パスワードをユーザ端末2に表示するとともに送付する(S8)。その後、ユーザが、駐輪場6の駐輪場端末8または駐輪場7の駐輪場端末9に前記鍵パスワードを入力すると(S9)、駐輪場端末8、9は、入力された鍵パスワードが正しいか否かをサーバ4へ問合わせるために、入力された鍵パスワードをサーバ4に送信する(S10)。
【0043】
サーバ4は、鍵パスワードを受信すると、受信した鍵パスワードと前記予約したときに決定した鍵パスワードとが一致するかの認証を行ない、その認証結果を問合せがあった駐輪場端末8、9へ報告する(S11)。報告は、認証OKを示す情報(自転車識別情報17)、もしくは、認証NGを示す情報を送信することにより行なわれる。駐輪場端末8、9は、認証OKを示す情報を受信すると、自転車識別情報17に基づいて前記予約された電動アシスト自転車16の錠を解錠し、電動アシスト自転車16の貸出しが開始されたことを示す使用情報を自転車識別情報17とともにサーバ4へ送信する(S12)。
【0044】
サーバ4は、自転車識別情報17とともに使用情報を受信すると、貸し出された電動アシスト自転車16について、使用可能リストの使用状況の欄の記載を駐輪中から貸出中との記載に変更するとともに、使用可能リストの充電状況の欄の記載を消去する(S13)。
【0045】
次に、電動アシスト自転車16を返却する場合の動作について説明する。まず、ユーザは、電動アシスト自転車16を借りた駐輪場6、7もしくは別の駐輪場6、7において、サーバ4から指定されている自転車置場番号へ行き電動アシスト自転車16を電子錠付駐輪装置19に駐輪できる位置に停車させ、次いで、貸出し開始時と同じように、鍵パスワードを駐輪場端末8、9に入力する(S14)。駐輪場端末8、9は、鍵パスワードが入力されると、入力された鍵パスワードが正しいか否かをサーバ4へ問い合わせを行う(S15)。問合わせは、入力された鍵パスワードをサーバ4へ送信することにより行なう。
【0046】
サーバ4は、受信した鍵パスワードと予約時に決定した鍵パスワードとが一致することの認証を行い、認証結果を問合せのあった駐輪場端末6、7へ報告する(S16)。報告は、認証OKを示す情報(自転車識別情報17)、もしくは、認証NGを示す情報を送信することにより行なわれる。駐輪場端末6、7は、認証OKの報告を受けたときは、自転車識別情報17に基づいて電動アシスト自転車16の施錠を行ない、自転車識別情報17と貸出し終了を示す使用情報と充電測定器23から送信された充電情報をサーバ4へ送信する(S17)。
【0047】
自転車識別情報17と使用情報と充電情報を受信したサーバ4は、自転車識別情報17と使用情報と充電情報に基づいて、使用可能リストの使用状況の欄の記載を貸出中から駐輪中との記載に変更するとともに、充電状況の欄に充電状態を記載する(S18)。その後、駐輪場端末6、7は、充電測定器23から送られる自転車識別情報17と充電情報をサーバ4に逐次送信し(S19)、サーバ4は、自転車識別情報17と充電情報を受信すると、その自転車識別情報17と充電情報に基づいて、使用可能リストの充電状況の欄を逐次更新する(S20)。
【0048】
自転車貸出システム1は、携帯電話等のユーザ端末2からサーバ4のワールドワイドウェブにアクセスすることにより、使用可能リストの中から、貸出中でない電動アシスト自転車16であって、満充電状態もしくは高充電状態の電動アシスト自転車16を車両毎に離れた場所から予め把握することができるので、駐輪場6、7において充電が完了した電動アシスト自転車16を探す手間が省ける。このため、駐輪場6、7において迅速かつ確実に充電が完了した電動アシスト自転車16を選択して使用することができる。また、満充電状態もしくは高充電状態の電動アシスト自転車16が駐輪場6、7にない場合や、駐輪中の電動アシスト自転車16が駐輪場6、7にない場合には、駐輪場6、7に行かなくても済むので、時間を節約することができる。
【0049】
上記実施形態では、貸し出される自転車は、電動アシスト自転車16のみを用いたが、電動アシスト自転車16でない通常の自転車と電動アシスト自転車16とを併用するようにしてもよい。この場合、電動アシスト自転車16でない自転車では、使用状況のみが使用可能リストに載せられる。
【0050】
また、上記実施形態では、電動アシスト自転車16の錠を施錠しようとするときに、前記ユーザが鍵パスワードを駐輪場端末8、9に入力したが、自転車識別情報17をICタグに記憶させ、そのICタグを付した電動アシスト自転車16を電子錠付駐輪装置19に駐輪できる位置に停車させたときに、駐輪場端末8、9がICタグに記憶された自転車識別情報17を読み取るようにしてもよい。このようにすると、鍵パスワードを駐輪場端末8、9に入力しなくても、施錠しようとする自転車が貸し出された電動アシスト自転車16であるかどうかをサーバ4が認証することができるので、電動アシスト自転車16の錠を簡単に施錠でき好ましい。
【符号の説明】
【0051】
1 自転車貸出システム
2 ユーザ端末
4 サーバ
6、7 駐輪場
8、9 駐輪場端末
16 電動アシスト自転車
17 自転車識別情報
20 バッテリー
21 充電装置
23 充電測定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用するユーザ端末と、
電動アシスト自転車の貸出を管理するサーバと、
駐輪場に設置される駐輪場端末とを有し、
前記ユーザ端末と前記サーバと前記駐輪場端末とがインターネットを介して通信可能に接続された自転車貸出システムであって、
前記駐輪場は、
駐輪中の電動アシスト自転車のバッテリーを充電する充電装置と、
駐輪中の電動アシスト自転車のバッテリーの充電量を測定する充電測定器とを有し、
前記充電測定器は、
前記充電量を測定すると、その充電量に応じた充電情報を前記電動アシスト自転車毎に割り振られた自転車識別情報とともに前記駐輪場端末に送信する第1情報送信手段を有し、
前記駐輪場端末は、
前記自転車識別情報と前記充電情報を受信すると、その充電情報と前記自転車識別情報を前記サーバに送信する第2情報送信手段を有し、
前記ユーザ端末は、
前記サーバのワールドワイドウェブにアクセスするアクセス手段と、
前記ユーザを識別するためのユーザ情報を前記サーバに送信するユーザ情報送信手段とを有し、
前記サーバは、
前記自転車識別情報と前記充電情報を受信すると、前記電動アシスト自転車毎に前記充電情報をワールドワイドウェブ上に載せる設定手段と、
前記ユーザ端末から送信された前記ユーザ情報と、予め記録されているユーザ情報とが一致するかの認証を行なうユーザ情報認証手段と、
前記認証完了後、前記自転車識別情報と前記充電情報を前記ユーザ端末に表示する表示手段を有する
ことを特徴とする自転車貸出システム。
【請求項2】
前記充電測定器は前記充電量を逐次測定するものであり、
前記サーバは、前記充電情報を受信すると、前記ワールドワイドウェブ上に載せられている充電情報を、前記受信した充電情報に更新する充電状況更新手段を有することを特徴とする請求項1に記載の自転車貸出システム。
【請求項3】
前記第2情報送信手段は、
前記電動アシスト自転車が駐輪中であるか否かを示す使用情報を前記自転車識別情報とともに前記サーバに送信するものであり、
前記設定手段は、
前記サーバが前記使用情報を受信すると、その受信した使用情報を前記ワールドワイドウェブ上に載せるものであり、
前記表示手段は、前記認証完了後、前記使用情報を前記ユーザ端末に表示するものであり、
前記ユーザ端末は、
前記表示手段により表示された前記自転車識別情報と前記使用情報と前記充電情報に基づいて、駐輪中の電動アシスト自転車が前記ユーザによって選択されたときに前記サーバへ予約要求情報を送信する予約要求情報送信手段を有し、
前記サーバは、
前記予約要求情報に基づいて前記選択された電動アシスト自転車を予約する自転車予約手段と、
前記予約された電動アシスト自転車の錠を解錠するための鍵パスワードを決定して前記ユーザ端末へ送付する鍵パスワード送信手段とを有し、
前記駐輪場端末は、
前記ユーザによって鍵パスワードが入力されると、前記鍵パスワードが正しいか否かを前記サーバへ問い合わせる鍵パスワード問い合わせ手段を有し、
前記サーバは、
前記予約したときに決定した鍵パスワードと前記ユーザによって入力された鍵パスワードとが一致するかの認証を行い、その認証結果を前記駐輪場端末へ報告する鍵パスワード認証手段を有し、
前記駐輪場端末は、
認証OKの報告がなされると前記予約された電動アシスト自転車の鍵を解錠し、貸出しが開始されたことを前記サーバへ通知する鍵解錠手段を有し、
前記サーバは、
前記電動アシスト自転車の貸出しが開始されたとして、前記使用情報を変更する使用状況変更手段とを有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車貸出システム。
【請求項4】
前記ユーザ端末が携帯端末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自転車貸出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−15919(P2013−15919A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146721(P2011−146721)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(509093026)公立大学法人高知工科大学 (95)
【Fターム(参考)】