説明

舌上ワクチン及びアプリケーター

固体及び半固体の製剤が、動物へのワクチンの舌上投与のために使用される。固体又は半固体の母材、或いはペースト中に分散される抗原を含んでなる製剤は、舌上アプリケーターによって供給される。舌上アプリケーターは、ワクチンの供給中、舌の背側表面に抗原を含有する母材が直接位置するように設計される。唾液への暴露及び舌の吸う及び/又は舐める行為により、母材は溶解し、そして抗原を舌に放出する。幾つかの態様において、抗原は、ウイルス、例えば、舌の細胞に感染することが可能な弱毒化ウイルス、例えば舌の基底細胞に感染するイヌパルボウイルスである。舌上アプリケーターは、新生仔の動物へのワクチンの供給のために、特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物、更に新生仔動物に、ワクチンを投与するための方法、組成物及びデバイスに関する。特に、本発明は、“棒付きキャンディー様”又は同様な設計である舌上(supralingual)アプリケーターを使用して投与される固体及び半固体の、抗原を含有するワクチン製剤を提供する。抗原は、動物がアプリケーターを吸う又は舐めることによって舌上的に供給される。
【背景技術】
【0002】
イヌパルボウイルス(CPV)は、イヌの一番目の死因である。新生仔の子イヌは、CPVに対する受動免疫を、授乳、特に生涯の最初の二日間の授乳によって、子イヌに授乳するイヌの母親の初乳中で伝播される抗体により獲得する。イヌを含む多くの哺乳動物において、初乳によって与えられる受動免疫は、その保護効果を生後5週目位の時期に喪失する。従って、子イヌの注射の有効性を許容するために、ワクチン接種を6週目に開始することが推奨される。しかしながら、現時点の子イヌのワクチン接種系に伴う問題は、初期の注射(例えば、2週間離して3−4回の注射)が、通常、活性な保護的免疫反応を直ぐには発揮しないことである。保護的免疫反応は、一連の注射(例えば、6、9、12及び15週目)の殆ど又は全てが投与されるまで存在することができない。不幸なことに、CPVによる子イヌの最大の死亡率(80%)は、生後8週目であり、この時点で母親の抗体が衰退し、そして子イヌはそれ自体の活性な免疫をいまだ確立していない。このCPV感染に対する感受性の空白時間は、生後約7ないし約11週目に起こり、そして高いCPV関連の死亡率と相関する。
【0003】
簡単な解答は、子イヌに更に早期にワクチン接種することであり得る。しかしながら、これは、母親によって与えられる抗体が、更に現時点の商業的なワクチン製剤中のCPVを中和し、そして従って例えば2又は3週目にワクチン接種された子イヌは、それ自体の活性な免疫反応を発揮しないために、問題があることが証明されている。母体の抗体の干渉の現象は、ネコ及び更にヒトのような他の種においても同様に観察される。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ワクチンを哺乳動物に舌上的に、即ち舌の表面に投与するための組成物、デバイス、方法及びプロトコルを提供する。本発明の一つの態様によれば、抗原は、一つ又はそれより多い関心のある抗原を含有する、通常固体又は半固体の母材(これはin situでゲル化又は固化される)を含んでなる、舌上アプリケーターによって舌の背側表面に供給又は適用される。舌の唾液と接触し、そして吸う又は舐める行為によって促進された場合、母材は溶解し、そして抗原を放出し、これは、舌の背側表面を被覆又は部分的に被覆する。幾つかの態様において、舌上アプリケーターは、新生仔の生得の吸乳反射の利益を利用して、新生仔の哺乳動物にワクチン接種するために使用される。ある態様において、本発明のアプリケーター/デバイスは、手持ち式であることができる。他の態様において、アプリケーター/デバイスは、吊下げ式であることができる。幾つかの態様において、舌上アプリケーターは、ウイルスを動物の舌に供給し、そして特別な態様において、ウイルスは、舌の基底細胞に感染する弱毒性ウイルスであることができる。
【0005】
本発明は、動物を免疫化する方法を提供し、この方法は、動物に少なくとも一つの抗原を舌上的に投与する段階を含んでなる。一つの態様において、少なくとも一つの抗原は、弱毒化ウイルス、例えば、動物の舌細胞に感染する弱毒化ウイルス、又は動物の舌の基底細胞に感染する弱毒化ウイルスである。一つの態様において、弱毒化ウイルスは、イヌパルボウイルス(CPV)である。他の態様において、弱毒化ウイルスは、口蹄疫ウイルス、ネコカリシウイルス、ネコ汎白血球減少ウイルス及びネコパルボウイルスから選択される。本発明の一つの態様において、弱毒化ウイルスは、動物中の一つ又はそれより多い感染性物質に対して特異的な、一つ又はそれより多い抗原が存在するように遺伝子的に操作される。
【0006】
この方法の一つの態様において、舌上的に投与する段階は、固体の母材を、固体の母材中に分散された少なくとも一つの抗原、及び固体の母材中に分散された研磨性物質と共に含む製剤中で、少なくとも一つの抗原を動物に与えることを含む。幾つかの態様において、舌上的に投与する段階は、動物の舌を、固体の母材と1分、2分、3分、4分及び5分からなる群から選択される時間、接触させる段階を含む。
【0007】
もう一つの態様において、舌上的に投与する段階は、数週間の時間にわたり複数回行われる。
なおもう一つの態様において、動物は、新生仔であり、そしてある場合には、舌上的に投与する段階は、新生仔の誕生の直後に、そして母体の初乳の新生仔への一回目の提供に先だって行われる。もう一つの態様において、舌上的に投与される段階が行われた後、新生仔は、一定期間授乳することを許されない。
【0008】
本発明は、更に動物に対する舌上提供のための免疫原性製剤を提供し、この免疫原性製剤は:母材;及び母材中に分散された少なくとも一つの抗原を含んでなる。幾つかの態様において、母材は固体である;そして幾つかの態様において、研磨性物質は母材中に分散される。
【0009】
免疫原性製剤の一つの態様において、少なくとも一つの抗原は、弱毒化ウイルス、例えば、動物の舌細胞に感染する弱毒化ウイルス、又は動物の舌の基底細胞に感染する弱毒化ウイルスである。一つの態様において、弱毒化ウイルスは、イヌパルボウイルス(CPV)である。他の態様において、弱毒化ウイルスは、口蹄疫ウイルス、ネコカリシウイルス、ネコ汎白血球減少ウイルス及びネコパルボウイルスから選択される。本発明の一つの態様において、弱毒化ウイルスは、動物中の一つ又はそれより多い感染性物質に対して特異的な、一つ又はそれより多い抗原が存在するように遺伝子的に操作される。
【0010】
本発明は、更に子イヌに免疫原性組成物を投与するための、舌上アプリケーターを提供する。舌上アプリケーターは:少なくとも母材を含む基質;及び母材中に分散された少なくとも一つの抗原を含んでなる。幾つかの態様において、母材は固体であり、そして母材はその中に分散された研磨性物質を含んでなることができる。舌上アプリケーターの幾つかの態様において、少なくとも一つの抗原は、弱毒化ウイルス、例えば、CPV、口蹄疫ウイルス、ネコカリシウイルス、ネコ汎白血球減少ウイルス及びネコパルボウイルスから選択されるウイルスである。なお他の態様において、舌上アプリケーターは、母材の一つの表面に置かれた保護板を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、子イヌの舌の縦断面の略図である。
【図2】図2A−Gは、例示的なワクチン供給アプリケーターである。Aは、製剤中に一体化された研磨剤粒子13を伴う固体製剤12のボールに接続された保持手段10を持つ舌上アプリケーターである;Bは、固体製剤12で被覆された支持体15から突き出された硬い繊維(例えばヘチマの硬い繊維)14を伴う保持手段10を持つ供給ビヒクルの断面図である;Cは、研磨剤粒子13を含んでなる固体製剤12で被覆された指サック16の表面図である;Dは、研磨剤粒子13を含有する固体製剤12で被覆された支持構造体17及び連続又は接続された支持体18を持つ“おしゃぶり”の断面図である;Eは、研磨剤粒子13を含有する接続された固体製剤12を伴う支持構造体17を持つ“おしゃぶり”の側面図である;Fは、研磨性の“歯”を持つ舌上アプリケーターの断面図である;Gは、研磨性の“隆起”又は“こぶ”を持つ舌上アプリケーターの断面図である。幾つかの態様において、抗原は、隆起又はこぶ中にも更に存在するか、又はそれの中のみに存在する。
【図3】図3A−Cは、本発明のワクチン製剤を供給するデバイスの各種の態様の略図である。Aは、保持手段10及び母材12を含んでなる、舌上アプリケーターの舌に接触しない“頂面”図である;Bは、保持手段10及び母材12を持つ舌上アプリケーターの側面図である;そしてCは、舌と接触し、そして格子の形態の溝19を持つ舌上アプリケーターの“底部”表面、及び保持手段10並びに母材12の底面図である。
【図4】図4A−Gは、本発明のワクチン製剤を供給するための各種の態様のデバイスの略図である。Aは、表面を示す母材の略図である;Bは楕円形;Cは四角形、Dは円錐形、Eは実質的に四角形;Fは、曲線の舌上アプリケーターである;そしてGは、母材20及び保持手段10を持つ舌上アプリケーターの側面図である。
【図5】図5A−Dは、本発明の例示的態様である。Aは、層状化された母材である;Bは、支持体又は裏打ちを持つ母材である;Cは、母材上に保護板を持つ舌上アプリケーターである;Dは、例示的な塩塊のブロック(lick block)である。
【図6】図6A−Dは、舌上アプリケーターの有窓(fenestrated)態様である。Aは、縦のチャンネルを持つ母材である;Bは、各種の異なった形状のチャンネルを持つ母材である;C及びDは、一つの表面上に開口を有する[C]及び母材を完全に通る(D)チャンネルを伴う母材の態様である。取っ手90は、蝶番91により接続されている。
【図7】図7A及びBは、ワクチン投与のための例示的なプロトコルである。Aは、誕生時に開始する;Bは、4週間目に開始する。LP=舌上アプリケーターである。
【図8】図8A及びB。Aは、尾側突出部から生じる尾側を向いた角質化された棘を伴う糸状乳頭を示すネコの舌の略図である;100=固有層;101=支持性吻状(rosta)乳頭である;Bは、尾側を向いた先端を持つ糸状乳頭を示すイヌの舌の略図である;200=先端;201=固有層である。
【図9】図9は、研究され、綴じ込まれた事例における、腸に対する舌中のCPVの分布を示す円グラフである。
【図10】図10は、基底細胞中のウイルスの存在を示すCPVで感染されたイヌの舌の例示的蛍光である。中央の円形に盛り上がった部分は味蕾である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ワクチンを舌上的に哺乳動物に適用又は投与するための組成物、デバイス及び方法を提供する。本発明の一つの態様によれば、抗原は、一つ又はそれより多い関心のあるワクチン抗原を含有する、母材の固体又は半固体の担体を含んでなる舌上アプリケーターによって、舌の表面(例えば背側表面)に供給される。舌上アプリケーターは、使い捨てであることができる。舌の吸う及び/又は舐める行為及び唾液との接触は、母材を溶解し、これによって抗原を舌に放出する。舌及び口の強力な咀嚼筋は、力を、そして従って母材及び舌間の摩擦を発生し、ワクチン抗原の供給を援助する。哺乳動物が吸乳する生得の能力を、天然に生後の非常に早い時期に、例えば誕生の直後に有するため、本発明の舌上ワクチンアプリケーターは、ワクチン抗原を新生仔に対してさえ安全に、そして効率よく供給するために使用することができる。この強力な吸乳反射は、更に母材を固定し、それを定位置に保持する傾向がある。更に、固体及び半固体のアプリケーターは、経口ドロップ/液体では起こり得るような誤嚥の危険性をもたらさない。動物の飼い主は、シリンジ又は他のワクチン供給器具を使用することを必要としない容易な方法で動物にワクチンを供給することができる。従って、舌上供給は、ワクチン接種プロトコル、特に、例えば獣医及び医学の世話が欠如することがあり得る場所における、誕生の直後に投与されるべき出生時ワクチンの遵守を助長する。
【0013】
一つの態様において、この方法は、舌が感染の主要な部位であり得なくともよく、そして従って舌の感染が、感染の明白な症状を起こし得ないとしても、舌の一つ又はそれより多い細胞(例えば舌の中及び周囲の基底細胞又は他の標的組織)に感染することが可能なウイルスに対して、哺乳動物にワクチン接種するために使用される。この種類の一つの例示的なウイルスは、CPVである。舌に感染する他の無エンベロープウイルスは、ウシの口蹄疫を起こすウイルス及びネコのカリシウイルスを含む。この態様において、ワクチン製剤は、弱毒化ウイルスを、ワクチン受容者の舌の背側に、例えば基底細胞或いは舌/口の他の標的組織に又はその近くに、直接供給する方法で投与される。このようにするために、舌上ワクチンアプリケーターは、アプリケーターの弱毒化ウイルスを含有する母材部分が、動物の舌の背側表面と直接接触するように、動物の口内に置かれる。この態様は、新生仔においてさえ使用することができ、そして動物が新生仔である場合、母材の口の天井との同時の接触は、生得の吸乳反射を誘発し、これによって舌の筋肉は、これが母材を溶解し、そして製剤からウイルスを機械的に放出する方法で曲がる。アプリケーターの形状は、動物の種、品種、サイズ、口の形状、等によって変化することができる。適したアプリケーターは、異なった種類、サイズ、年齢、等の動物に対して鋳型(例えば焼き石膏、硬質プラスチック、等)を使用することによって設計することができる。
【0014】
理論によって束縛されるものではないが、この態様において、舌上ワクチン供給の機構は、次の通り:アプリケーター母材から吸う、舐める、等によって放出されたウイルスは、舌の胚の層に感染することによって運搬され、そして舌の免疫細胞によって取込まれると信じられる。舌のリンパ細胞は、免疫反応を開始する。一つの態様において、舌の基底細胞は、ウイルスによって感染され、そして抗原のデポー(例えばウイルスの貯蔵所)が確立される。時間と共に(そしてワクチンの受容が新生仔の場合、非常に若い年齢から)、分裂する基底細胞は、ウイルス及び/又はウイルスの抗原を、周囲の組織に徐々に、そして持続的に放出する。舌上的にワクチン接種された新生仔において、ウイルス感染は、初期には、放出されたウイルスの循環中の母体の抗体による中和によって、抑制され、そして基底細胞に拘束される。しかしながら、時間と共に、母体の抗体は衰退し、そして若年の動物の免疫系が、徐々に活性になり、そして抗体の産生を引き継ぐ。基底細胞の貯蔵所からのウイルスの放出は、この遷移期を通して続いているため、低いレベルのくすぶり型パルボウイルス感染は、絶えず存在し、そして初期の段階で、ウイルスに対する活性な免疫反応が、動物の成熟中の免疫系によって徐々に産生される。従って、本発明は、母体の抗体が活性である時間、及び新生仔自身の免疫系が、それが保護性である活性な免疫反応に導く要求にかなうようになる時間の間、即ちこれらが重複する時間の間隙を橋渡しする、新生仔にワクチン接種する方法を提供する。この見解は、CPVに感染した動物において、ウイルスが腸内及び消化管中の他の予期される場所(例えば食道)に位置するだけでなく、更に舌の基底層において予期せずに見いだされるという驚くべき発見と一致する。この発見は、実施例1において詳細に記載される。図1は、基底細胞を含む舌の内部層の側面略図を示す。
【0015】
定義
異なった種類のワクチンを定義することは有用であるものである。
非経口ワクチンは、皮下又は筋肉内或いは皮膚内に、針及びシリンジの援助により与えられる、伝統的に最も普通の種類のワクチンである。ワクチン製剤は、通常溶液又は液体の形態である。これらのワクチンは、200年間より多く使用され(エドワードジェンナーによって1796年に導入)、そして幾つかのワクチンは有効なままである。最も成功したワクチンの一つは、天然痘ワクチンであり、これは二又針によって皮膚に供給される。ポックスウイルスは、皮膚向性ウイルスであるために、正しい種類の免疫反応は、信頼できる生涯にわたる免疫を提供する。非経口経路によって与えられる粘膜感染に対する殆どのワクチンは、正しい種類の免疫反応を誘発することができない。従って、時には、これらのワクチンは、有効ではない。更に、非経口ワクチンは、例えば、アジュバントの存在のために、多くのネコ及びイヌにおいて有害な反応を起こすことができる(例えばネコにおける注射部位の肉腫)。
【0016】
経口ワクチン:幾つかの経口的に供給されるワクチン(例えばポリオ液滴)は、有効である。経口てきに供給されるワクチンの制約の一つは、胃酸の低いpHによるワクチン抗原の分解である。
【0017】
鼻腔内ワクチン:これらは、通常呼吸器系の病原体に対する、例えば鼻中の液滴、又はエアゾールとして使用されるワクチンである。時には有効であるが、鼻腔ワクチンも、更に抗原の脳への運搬のために有害な反応に導くことがあり得る。
【0018】
舌下ワクチン:ワクチン接種のもう一つの方法は、舌下ワクチン接種である。これは、舌の下側に与えられる液体又は固体錠剤を使用して行うことができる。舌下ワクチンの一つの利点は、減少した体積のワクチンが舌の下側に沈着されるため、これが幾つかのアレルゲンに対する許容性を提供することができることである。しかしながら、舌下経路は、ワクチンを沈着する間、舌を上げておかなければならないために、不都合である。
【0019】
舌上ワクチン:本発明の舌上ワクチンは、先に記載したワクチン接種経路の制約を克服し、そしてワクチンのより容易な適用を可能にする。一つの目標は、例えば新しく生まれた哺乳動物を免疫化するための、十分な投与量の抗原の投与のための十分な接触時間を可能にすることである。舌上的に供給される製剤は、抗原の供給を可能にするために舌との十分な接触を、そして十分に長い時間を作り出す。更に、接触は密接で、そして顎の筋肉の強力な咀嚼力による圧力を伴い、これは、抗原のより速い分散を助長し、そして従って抗原の供給を容易にすることができる。これは、舌上ワクチン供給デバイス、即ち舌上アプリケーターの設計の特徴によって達成され及び/又は容易にされる。舌上的方法は、天然の吸乳反射及び例えば、舌の背側(上部表面)上の天然の、機械的ブラシ様構造を利用する。舌上ワクチンは、例えば、固体、半固体又はin situで形成されたゲルのようなゲルとして、減少した体積でin situで供給される。更に、舌上の空洞は、舌下の空間より大きく、そしてこれは、アプリケーターを、平均した適用を促進するような形状、例えば舌上で廻しやすい円型にすることを可能にする。舌上法のもう一つの利点は、口のより低い温度(約1−2℃低い)であり、これは、脆弱なウイルスのより高い安定性を可能にする。パルボウイルスのような幾つかのウイルスは、例外的に安定であり、そして従ってアプリケーターの母材に容易に組込まれる。唾液のタンパク分解性であるが、非変性性である作用は、更にワクチンの適当な統合性を容易にする。更に、この方法による投与は、例えば、全身性又は鼻腔ワクチン投与と比較して、動物の脳へのウイルスの供給の減少した危険性をもたらす。更に、アジュバントの欠如は、コスト又は有害な反応の産生及び出現を減少する。更に、あったとしても、非常に少ない安全な食品又は飼料級のアジュバントしか現時点で入手可能ではない。殆どの非経口アジュバントは、強い炎症を誘発し、そして従って舌への適用のために不快であり、そして不適当である。
【0020】
舌上ワクチン接種は、例えばCPVに対する母体の抗体価の変化の問題を解決する。事実、母体の抗体価が低い場合、活性な免疫は、舌上的にワクチン接種された動物においてより早期に発生することができる。例えば、舌の背側表面へのワクチンの供給は、幾つかの方法のいずれかによって達成することができる。例えば、ワクチンは、手持ちの“舌上アプリケーター”を使用して供給することができる。アプリケーターは、典型的には、関心のある抗原を含有する固体又は半固体の母材/担体を含み、母材は、哺乳動物の舌の背側の面との接触のために適した形態又は形状である。一つの態様において、母材は、舌の背側表面に母材の表面が位置する方法で口中への設置のために適する、即ち、母材の少なくとも一つの表面が、舌の背側表面と、例えば吸う、舐める、又は舌の筋肉の他の曲げる動作によって、直接接触をする(又は直接的に接触可能である)ように形成される。この態様において、取っ手又は他の保持手段を、投与を容易にするか、又は制御し、そして母材の嚥下を防止するために、母材に接続することができる。他の態様において、母材は、主として舐めるために形作られ、そして必ずしも哺乳動物の口に適応することができるサイズ又は形状である必要はない。幾つかの態様において、アプリケーターの設計及びサイズは、舌の背側表面と接触する、そしてある場合には最大に(例えば、背側の舌の表面の少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は95%、或いは更に多く)接触することを可能にするか、又は容易にするために選択される。殆どの成獣は、物質を味わい及び/又は舐めるために舌を伸ばす天然の遺伝的能力を有する。本明細書中に記載される母材の硬さは、一般的に噛むことを防止するが、しかしアプリケーターを舐めることを促進又は助長する。母材及び/又はアプリケーターの真空包装中の包装は、新鮮な味を維持し、そして損傷を防止することを援助する。これらの、及び他の態様は、以下で詳細に考察される。
【0021】
幾つかの態様において、舌上アプリケーターは、関心のある一つ又はそれより多い抗原がその中に存在する、食べられるか又は食用に適した(例えば食品又は飼料級の)母材/担体を含んでなる。母材の、動物の舌の背側中/上の唾液との接触により、母材は溶解又は分解し、これによって舌の背側表面に抗原を放出する。この種類の例示的な母材は、制約されるものではないが:舌の上に置き、そして溶解させる、固体/半固体の“棒付きキャンディー”型のデバイス(これは、より小さい部分に分割することによるサイズの減少を可能にする切れ目を入れることができる);舌に塗布した場合、固化又はゲル化する液体(ポリマー性薬物供給系のin situの形成の記載については、例えば、B.Madan,Bajaj,et al.Indian Journal of Pharmaceutical Sciences 2009.71:242−251を参照されたい;可溶性物質のシート;冷凍した“棒付きアイスキャンディー”型母材;等を含む。このような母材は、一般的に、例えば十分な舌の接触が達成された後、完全に消費可能である。この態様において、アプリケーターは、一匹の個別の動物のための使用であり、従って他の動物への口腔感染の伝播を防止する。アプリケーターのサイズ、形状及び寸法は、例えば、ワクチンを受ける動物の品種、口のサイズ、体重、噛む力、及び好みによって調整することができる。
【0022】
他の態様において、舌上アプリケーターは、消費不可能な/食用に適さない/食べられない、そして唾液との接触で溶解しないが、しかし舌へ抗原を供給するためのビヒクルとして作用する、実質的に耐久性の固体又は半固体の基質或いは支持体を含むことができる。この態様において、抗原は、舌の吸う又は舐める行為によって耐久性ビヒクルから放出される。基質は、取っ手又は保持手段であることができ、その一つの部分(例えば一端)は、母材中に包埋され、そしてそれの他の部分(例えば他端)は、母材から突出し、そして動物へのワクチンの投与を容易にするためにアプリケーターの使用者によって掴まれることができる。抗原は、固体又は半固体の母材中に存在することができ、これは、支持体に接続されるか、又はその上に若しくはその内側に位置し、或いは母材は、それ自体非存在であることができ、抗原を含有するワクチン製剤は、支持体に直接被覆(例えば乾燥)され、或いは支持体中に注入又は含浸される。この態様の例は、制約されるものではないが:動物に提供される指サック又は鞘の被覆;ワクチン製剤で被覆又は含浸された硬い繊維(例えばヘチマの硬い繊維);ワクチン製剤で被覆又は含浸されたスポンジ又はスポンジ様物質;ワクチン製剤で被覆又は含浸された子イヌのおしゃぶり;母材又はワクチン製剤で被覆又は含浸された物質の非溶解性シート、等を含む。基質は、使い捨てであるか、又は再使用可能であることができる。再使用可能な基質は、繰返して母材で被覆し、投与し、清浄化し、再被覆し、投与し、清浄化し、等をすることができる。
【0023】
なおもう一つの態様において、ワクチン製剤は、舌に塗布するか又はローラーで付けられる液体或いは半固体の製剤(例えば濃厚な液体、シロップ又はペースト)として供給される。これは、直ちに摂取され、そして抗原(類)及び舌の背側表面間の十分な接触時間を可能にしない液滴(drops)とは異なっている。
【0024】
本発明による抗原の投与は、舌の表面(例えば背側表面)との直接接触によって、そして時間をかけて起こる。一般的に接触時間は、1分より大きく、5分又はそれより大きい、例えば通常約10分であることができ、そして15−20分のように大きいことができる。接触時間は、母材の硬さを調節することによって、及び/又は母材が舌と接触する時間を制約すること(アプリケーターを引抜くこと)、等によって調節することができる。
【0025】
幾つかの態様において、固体又は半固体の製剤は、舌に僅かな切れ目を入れる又は擦過傷を促進する“砂粒”又は“結晶”のような研磨性物質又は粒子を含有する。このような物質の例は、制約されるものではないが:結晶化した砂糖、塩、鉱物、等;微細に分割された粒子状穀物又は硬化された、例えば、非常に硬い硬度まで脱水された(例えば焼かれた又は他に加熱された)硬化された他の食べられる物質;等を含む。動物に危害を与えることができない物質(例えば標的の種のための食品又は飼料級の成分)のみを使用する注意が払われる。他の態様において、舌上アプリケーターが、耐久性の物質又は支持体を含む場合、支持体それ自体は、動物の舌を、それが吸う又は舐めるときに、穏やかに摩耗させる突出物、例えば舌の表面を穏やかに擦る短い(例えば1−5mm)硬い繊維又は他の硬い表面を含むことができる。供給される抗原がウイルスである場合、舌を僅かに傷つけ、切れ目を入れ又は他の方法で刺激し或いは擦る(しかしながら、痛みを伴わず)目的は、例えば舌の基底細胞にウイルスを更に効率的に供給することである。基底細胞は、一般的に概略10細胞層の深さに位置し、そして固体のワクチン製剤は、一般的に動物の吸う行為に反応して、ウイルスを基底細胞層の近辺(例えば2−5細胞層内)に供給するための経路を作るように設計される。
【0026】
幾つかの例示的なワクチン供給デバイスが、図2に略図的に示され、ここで、図2Aは、研磨剤粒子13を含む固体の製剤のボール12に接続された保持手段10を持つ“舌上アプリケーター”を示し;図2Bは、固体の製剤12で被覆された支持体15から突出された支持手段10及び硬い繊維14を持つ供給ビヒクルの断面図を示す。保持手段は、一般的に取っ手であり、そして取り外し可能であることができ、及び/又は舌への母材の溶解を向上するために、例えば電池作動の機構により振動させる(例えば毎分500−30,000ストロークで振動させるか、パルスをかける)ことができ、そして幾つかの態様において、超音波を供給することができる。図2Cは、研磨剤粒子13を含んでなる固体の製剤12で被覆された指サック16の表面図である。図2Dは、支持構造/保持手段17及び研磨剤粒子13を含有する固体の製剤12で被覆された連続した又は接続された、支持体18を持つ“おしゃぶり”の断面図である。図2Eは、研磨剤粒子13を含有する固体の製剤12を接続された、支持体構造/保持手段17を持つ“おしゃぶり”の側面図である。他の態様は、図2F−Gに例示され、そして舌上アプリケーターの表面に、固体の母材物質自体から形成されるか、或いはそれに母材が固定された支持体又は基質上に提供され、そしてデバイスを舐める又は吸う間に舌と接触するように母材から伸ばされたかのいずれかの、“歯”又は“隆起”或いは“こぶ”の組込みを含む。幾つかの態様において、抗原は、研磨性の突出物中に(例えば、隆起、こぶ、硬い繊維、等中に)存在し、そして研磨性の突出物中にのみ存在してもよい。
【0027】
他の態様において、舌上アプリケーターの一つ又はそれより多い表面が、例えば、舌上アプリケーターの表面に沿って走る刻み目又は開放チャンネルを持つ溝を掘るか又は線をつけられて、舌の乳頭のある程度の“捕獲”を可能にする。溝或いはチャンネルの端は、軽度の研磨作用を提供するために不規則又は荒れていることができる。この態様は、図3A−Cに例示され、ここで溝は舌上アプリケーターの底部表面(舌と接触する表面、図3C)の格子状パターンで示されている。
【0028】
幾つかの態様において、供給デバイスは、ワクチンを含浸された、例えば強度及び耐久性のために天然ゴムから製造され噛むおもちゃである。ある態様において、噛むおもちゃは、おもちゃを噛む又は口にすることを確実(助長)にするために、芳香づけされる。幾つかの態様において、おもちゃ又はおしゃぶり上の隆起したこぶは、舌を僅かに擦りへらすことを援助する。
【0029】
ワクチンの舌上アプリケーターの更なる例示的な態様を、図4A−Gに示す。例えば、舌上アプリケーターは、これが、動物の口に心地よく適合し、そしてウイルスを舌の背側表面に供給する限り、いずれもの適したサイズ及び形状であることができる。例えば、図4Aを参照して、母材20は、頂部表面22、底部表面22(これは図から見えず、そして紙の平面と一致すると考えることができる)及び側面23を有することができる。舌上アプリケーターの頂部(上部)及び底部(下部)表面の形状は、例えば上から(又は下から)見た場合、実質的に:楕円形(図4B)、円形;規則的な多角形(例えば図4Eのような実質的に四角形、又は図4Cのように四角形、等)又は不規則な多角形、又は円錐形の形状(図4D)、等であることができる。いずれもの適した形状を使用することができる。幾つかの態様において、供給ビヒクルは、動物の口のサイズ及び解剖学的形状に適応させるように設計される。幾つかの態様において、供給ビヒクルは、口内供給のために、即ち動物の口のサイズ及び解剖学的形状に適応させるように設計される。一般的に、最長の寸法(例えば頂部又は底部表面の)は、ワクチン受容者の口及び舌のサイズにもよるが、約1ないし約5cmの範囲であり、そして通常約1.5ないし約3cmの範囲、例えば約1、2、3、4、5又はそれより大きいcm(例えば10−20cm又はそれより大きい)であるものである。成犬において、舌は長さ20cmであり得る。成獣に対しては、より大きい、そしてより長いアプリケーターを使用することができる。厚さに関しては、舌上アプリケーターは、一般的に、舌上アプリケーターの最も厚い部分において、約0.25ないし約1.5cmの範囲であり、そして通常約0.5ないし約1cmの範囲、即ち約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1cmである。舌上アプリケーターは、至るところで実質的に一貫した厚みを有することができ、即ち舌上アプリケーターの頂部及び底部側は、実質的に平行であることができるか、或いは頂部及び底部側の片方又は両方は、曲線であることができる。例えば、舌上アプリケーターの全体の形状はおよそ、球形、卵型、等であることができ、この場合、“側面”そのものが存在しない。別の方法として、舌上アプリケーターは、例えば曲線の前部部分30及び曲線の後部部分31を持つ舌上アプリケーターの側面図を示す図4Fに示すように、動物の口の内部形状に近似するように成形又は構成することができる。幾つかの態様において、舌上アプリケーターは、デバイスの製造、取扱い及び投与を容易にするために取っ手のような保持手段(図4Gの10)を含んでなる。取っ手は、一般的に真っ直ぐであり、そして長さ約5ないし約10センチメートルの範囲であるか、又は時にはより短く、そして強固又は柔軟であることができる。しかしながら、各種の他の設計、例えば保持手段が曲がった又は曲線の、或いはワクチンを投与するヒトの指又は手の周りに巻きつくもの、等が可能である。アプリケーターの使い捨ての態様は、子イヌ間の相互汚染を防止する。イヌの飼い主は、ワクチンアプリケーターを誕生のすぐ後に使用するために利用可能であるように、例えば品種及び妊娠中のメスの乳腺乳頭のサイズの経験に基づいて、正しいサイズのアプリケーターを子イヌの誕生前に注文することができる。
【0030】
本発明の舌上ワクチンアプリケーターは、至るところに分散又は分布された抗原を含有する固体又は半固体の母材を含んでなることができ、母材は、唾液との接触により溶解可能である。母材の硬さは、製造中に使用される温度によって制御することができる。幾つかの適した種類の母材のいずれかを使用することができることを、当業者は認識するものである。例えば、“棒付きキャンディー”又は硬質キャンディー型の製剤を使用することができる。
【0031】
殆どの硬質キャンディーのレシピのように、ワクチン接種アプリケーターは、砂糖を料理することによって製造することができる。例示的な組合せは、砂糖(2カップ)、明るい色のコーンシロップ(約2/3カップ)、3/4カップの水及び食塩(茶さじ1/3)である。着色剤及び肉又はピーナッツのような異なった香料も、更に加えることができる。先ず成分を、煮沸器の蓋カバーをせずに300℃で沸騰させる。この混合物は大量の潜熱を有し、そして皮膚を焼くことができるため、注意を払わなければならない。混合物を冷却させる。温度が約125℃に落ちた後、抗原を平均した分散のために均一に混合することができる。混合物を鋳型に注いで、硬化させる。キャンディーの硬さは、公知の冷水試験によって、そして更に正しく(正確に)は、キャンディー温度計でモニターして、所望のレベルの硬さを達成することができる。
【0032】
硬度及び脆弱性の所望のレベルにもよるが、キャンディー混合物の沸騰時間及び達成される温度を調節し、そして硬度の段階を、例えば当技術において既知の、そして表1に記載したような“冷水試験”を使用してモニターすることができる。しかしながら、更に温度計を使用して温度を測定することを推奨する。例示的な冷水試験の段階及び対応する温度は、以下のとおりである:
【0033】
【表1】

【0034】
海面上の高度は、液体の沸騰温度に影響し、そして温度計を使用して経験的に決定することができる。
幾つかの態様において、抗原を含有する母材は、固体であり、即ちこれらは、明確な形状及び体積を有し、硬く、そして広がらず、そして容易に打ち延ばし又は表面の変形ができない(これらは柔軟であることはできるが)。むしろ、これらは、動物の体内で遭遇するもののような温度で、(例えばイヌ=約37−38.6℃)、例えば動物の口(1−2℃低い)、及び室温(例えば約25℃)でその形状を保持する。母材の硬度の程度が、舌上アプリケーターの設計によってある程度変化することができることを、当業者は認識するものである。適した母材を製造するための、及びその物理的特質を分析するための方法は、例えば、その完全な内容が本明細書中に参考文献として援用される米国特許第6,455,096号中に見出すことができる。
【0035】
一つの態様において、ワクチンは、ピーナッツバターと混合し、そしてコング(Kong)又はロープのおもちゃのような、商業的に入手可能なゴムの単位体中に付加又は浸漬することができる。これらのおもちゃは、子イヌの追加免疫接種のために最も適している。これらのおもちゃは、皿洗い機中で洗浄することができる。更に、“棒付きキャンディー型”デバイスは、新生仔のイヌに最も適している。
【0036】
他の物質、例えばビタミン、栄養補助食品、鉄栄養補助剤、他の医薬、イベルメクチン、等のような駆虫剤、等のような有益な物質も、更に製剤中に含むことができる。更に、子イヌにとって魅力がある可能性のある各種の芳香剤又は他の口に合う物質、例えば肉、魚、ミルク、野菜、或いは他の芳香剤を含むことができる。更に、アジュバント、特に細菌性毒素(例えばコレラ毒素)のような粘膜のアジュバントを含むことができる。幾つかの場合、CPVのような使い残し又は残存ウイルスとの(即ちまだ細胞中に入っていないウイルスとの)細胞の結合及びそれによる感染による及び/又はそれと競合する、細胞の結合及び感染を止めるために、鉄塩を含有するマウスウオッシュによる洗浄が、ワクチン投与後に使用される。
【0037】
ワクチン製剤中に含めるための他の適した成分は、制約されるものではないが:アルコール、各種の放出制御添加剤(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリエチレングリコール並びに同様なポリマー)を含む。製剤は:既知の医薬的に受容可能な添加剤、芳香剤、界面活性剤(例えば非イオン性界面活性剤)及びアジュバント;各種の安定剤;抗酸化剤;充填剤;緩衝剤;グリセロール;糖又は他の天然及び人工の甘味料を、含有することができる。塩は、これらが唾液分泌を促進し、そして従って舌上アプリケーターからの抗原の放出を容易にする傾向があるため、組成物中に特別に含まれる。緩衝剤は、経口投与のために適したpH及び/又は母材中に含有されるウイルスに対して適しているように(例えばイヌパルボウイルスに対してpH約7.2、及びネコ汎白血球減少ウイルスに対してpH6.5)維持する。一般的に、製剤中に存在する活性成分(類)(例えば一つ又はそれより多い抗原、或いは他の医薬的に有益な物質)は、1−99%の範囲の量である。抗原がウイルスである場合、ウイルスの量は、一般的に舌上アプリケーター当たり約10ないし約1010個のウイルス粒子の範囲であり、そして通常舌上アプリケーター当たり約10ないし約10個のウイルス粒子の範囲である。これ位のウイルスは、一般的に約100μl−200μlの細胞培養物の上清中に存在する。生ウイルス(例えばCPV)の弱毒化のレベルは、継代数によって制御される。生ウイルスを改変するために必要な継代の範囲は、25−100代であることができ、25代は、例示的な継代数である。殆どの非経口注射中のCPVウイルスは、約75継代である。
【0038】
幾つかの態様において、免疫賦活剤も、更に製剤中に存在する。例えば、乳清タンパク質、Spirulina platensis、乳酸菌のような腸内有益菌(例えばLactobacillus rhanmous、L.acidophilus)、ビフィドバクテリウム属(例えばBifidobacterium lactis)、又は各種の連鎖球菌種。
【0039】
先に提示した記載から明らかとなるものであるように、本発明の供給デバイスは、ワクチンの投与中に動物によって可溶性母材を吸う及び舐めることによって完全に消費されることができ、例えば舌上アプリケーター全体は、溶解することができる。しかしながら、そうである必要はない。ワクチンを含有する製剤は、基質又は支持体上に被覆するか又はその中に含浸し、そして舐め又は吸って基質を残すことができる。このような態様において、基質は、例えば、ワクチン製剤の被覆を保有する、又は基質中にワクチン製剤を組み込む(例えば基質中の孔又はチャンネル内に、或いは一般的には基質中に浸漬する)ことが可能であるいずれもの適した物質から作り出すことができる。このような物質の例は、制約されるものではないが、各種の軟質柔軟性繊維(天然及び合成の両方);布;皮又は生皮の条片;おしゃぶり又は噛むおもちゃがそれから製造(KONG Company,Golden,CO)されるもののような“腰の強い(chewy)”物質;等を含む。更に、液体のワクチンは、ピーナッツバターと混合し、そして冷凍して、舐めることを可能にし又は助長し、そしてワクチンの急速な嚥下を防止することができる。
【0040】
更に、本発明の幾つかの態様において、ワクチン製剤は、舌上アプリケーターの片側のみに存在し、例えば基質の片側のみに被覆されるか又は含浸されるか、或いは舌上アプリケーターの片側のみがワクチンを含有し、そして他の側がそうではないように層状化される。この態様において、ワクチン成分を含むデバイスの側は、動物の舌の背側表面に置かれ、そして反対側は、動物の口の天井のそばに支えられる。この態様は、一般的に比較的無活動であり、そして口内のデバイスの位置を安定的に操作することが可能な非常に若い動物のために使用される。この態様は、ワクチン製剤を、非常に僅かを動物の口の他の部分に供給しながら、舌の表面に直接有利に供給する。ワクチン成分を含まないデバイスの表面は、ワクチンを含有する表面のものと同じ、固体又は半固体の食べられる物質から、しかしワクチンを差引いて(含まず)形成することができ、例えばデバイスは、その一つのみがワクチンを含む少なくとも二つの層を含んでなる。この態様は、図5A−Cに例示され、ここで、図5Aにおいて、舌上アプリケーター40は、不活性(ワクチンを含まない)上部層41及びワクチン成分43を含んでなる下部層42を含むように示される。別の方法として、この態様において、ワクチンを含有しない表面は、ワクチン製剤の供給のための支持体又は裏打ちとして役立つ不活性の食べられない物質、例えば紙又はボール紙、布、合成ポリマー、等の条片を含んでなることができる。この態様は、図5Bに例示され、ここで、舌上アプリケーター50は、基質又は裏打ち51に被覆又は接続されたワクチン成分53を含んでなる下部層52を含んでなるように示される。この型は、更に図5Cに示され、これは、ワクチンを含有する母材61(これは舌と接触する)、保持手段62、及び舌と接触しないが、しかし通常、口の天井と接触し、そして動物が母材に噛みつく又は噛むことを防止する、母材61の表面を超えて伸びた或いは突き出した保護板63を含んでなる舌上アプリケーター60の側面図を略図的に示す。これらの組合せも、更に例えば層状の舌上アプリケーター構築物を企図し、これも更に、基質又は裏打ちを含む。
【0041】
幾つかの態様において、本発明の舌上アプリケーターは、構造において強固であり、即ち舌上アプリケーターの形態又は構造は、一般的に唾液との接触によってこれが溶解されるまで保有される。他の態様において、舌上アプリケーターは、強固ではないが、しかし柔軟性である。後者の態様において、製剤は、例えばワクチンを含有し、そして唾液との接触により溶解するゲル又は他の物質であるか;或いはワクチンと共に含浸され(柔軟さの程度により、支持体上の被覆を更に伴い又は伴わず)、そして唾液との接触により溶解しない、柔軟性のゲル様物質(例えば各種の食用の植物性ゴム又は濃厚なペースト)であることができる。このような製剤は、ワクチンの動物への供給のために、支持体上に位置してもよいか、又は位置しなくともよい。
【0042】
例示的な態様において、弱毒化CPVウイルス及び穏やかに研磨性の砂糖の結晶を含んでなる固体の製剤が調製され、そして生後8週間より小さい子イヌに、吸うことによって投与される。子イヌは新生仔であることができる。吸う行為による子イヌの舌の穏やかな研磨は、子イヌの舌の基底層への弱毒化ウイルスの供給をもたらす。弱毒化CPVは、舌の基底細胞に感染し、そして低いレベルの持続的な感染を確立する。基底層から逸脱したウイルスは、CPVに対する免疫反応を誘発し、子イヌによる産生の抗CPV抗体の産生をもたらす。
【0043】
幾つかの態様において、固体又は半固体の母材は、そこに含有された抗原の種類の表示で印刷又は浮彫され、例えば抗原がウイルスである場合、Dはジステンバーに対して、Pはパルボウイルスに対して、K−9はネコ、等で使用することができる。
【0044】
一つの態様において、本発明は、舌上法を使用する家畜(例えば反芻動物の家畜)及び野生動物のワクチン接種を促進するために、大きな塩塊のブロック(lick block)(例えば塩塊(salt licks)及び/又は尿素のブロック)を提供する。塩塊は、リン、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムのようなミネラルを、反芻動物に与えるためにしばしば使用される。安定したワクチン組成物を、製造中に塩塊のブロックに組込むことができ、或いは塩塊のブロックに塗布するか又は浸漬することができる。例えば、塩及びミネラルのブロックは、一般的に多孔性であり、そしてその中に例えば約30分間浸漬した場合、液体のワクチンを浸漬することができる。次いでこれらを動物に提供することができる。この態様は、若年及び成獣のいずれかに対して有用であることができ、そして例えば家畜(例えばウシ、ヤギ、ヒツジ、リャマ、ウマ、等)、或いは保護地域又は救助施設(例えば動物園、動物公園、動物避難所、等)中の動物、或いは野生動物(例えばキツネ、アライグマ、シカ、等)にワクチン接種するために使用することができる。塩塊ブロック70の略図を、図5Dに与える。この略図において、所望による孔又はチャンネル71は、ブロックを吊下げるために提供される。一つの態様において、口蹄疫に向けられた抗原(例えば不活化ウイルス抗原)を伴う塩塊ブロックが提供される。
【0045】
例示的な態様において、市販の塩塊を購入し、そして舌上アプリケーターのために特別に処方した、本明細書中に記載した一つ又はそれより多いワクチン抗原を含有する溶液で含浸した。別の方法として、塩塊は、一つ又はそれより多い抗原を、他の成分、例えば骨粉(骨粉飼料)、貝殻、灰、等、並びに、各種の塩及びミネラル(例えば岩塩)、並びに粘土、セメント、等のような一つ又はそれより多い結合剤と一緒に含むように処方し、十分な液体(例えば水)と共に処方して、ペーストを製造することができる。例えば、一つの態様において、塩塊は、二部の岩塩、四部の骨粉及び一部のシロアリ粘土を、ペーストを作るために十分な水、及び適した投与量の抗原と組合せることによって製造することができる。もう一つの態様において、家畜用塩塊(重量10kg)は、6.3kgの塩、1.5kgの骨粉飼料、0.6kgの灰及び1.6kgのセメント、成形可能なペーストを形成するための液体、及び適当な投与量の本明細書中に記載した抗原を含んでなる。なおもう一つの態様は:塩又はミネラル塩82%;骨粉飼料4%;石灰(粉砕した貝殻又は農業用石灰)2%;セメント、良質粘土又は二つの混合物12%、並びに抗原を含んでなる。廃糖蜜のような適した物質は、甘味付け及び混合物の結合を援助するために添加することができる。廃糖蜜は、これが更にある程度の湿気を提供するものであるため、水の前に添加されなければならない。ペーストは、適当な容器(例えば通気された木又は金属の箱、ボウル、缶、等)中で成形される。乾燥した後、家畜用塩塊は直ぐ使用される。ブロックは、ワクチン溶液中に浸し、そして浸漬させて、毛管作用によってブロックに浸透されるワクチンで、塩塊ブロックを含浸させる。
【0046】
抗原
本発明の舌上アプリケーターは、抗原の舌上供給を行うために設計される。本発明のアプリケーターによって供給することができる抗原の例は、制約されるものではないが:抗原性タンパク質、ポリペプチド、及びペプチド、例えばウイルス、細菌(即ち細菌性抗原)各種の寄生虫、等のような疾病を起こす病原体の抗原決定基又は抗原性領域を包含するか或いは含むことが知られたものを含む。一つの態様において、疾病を起こす病原体は、齲歯を起こすものであり、そして細菌性抗原を含む本発明の製剤が、齲歯に対するワクチンとして使用される。抗原の適した投与量は、例えば繰返しによって及び/又は定時間隔の投与によって提供することができる。
【0047】
本発明の一つの態様において、抗原は、ワクチン受容者中に免疫反応を誘導又は誘発することが所望される、一つ若しくはそれより多いウイルス(好ましくは弱毒化ウイルス)を含む。“ウイルス”は、全粒子ウイルス(生、生の弱毒化、不活化、等)、改変ウイルス(例えばカプシド含有核酸)、各種の感染性粒子、ウイルスのサブユニット、ウイルス様粒子、及び他のウイルスの形態を含む。幾つかの態様において、ウイルスは、一つ又はそれより多い感染性物質(例えば疾病を起こす病原体)に対して特異的な一つ又はそれより多い抗原をコードする核酸を含有し、そして発現するように、遺伝子的に操作される。幾つかの態様において、ウイルスは、基底細胞に感染するか、又はそれに取込まれる能力を有する。“ウイルス”又は“弱毒化ウイルス”によって、本出願人等は、当技術において理解されているようなウイルス、例えば一般的に核酸物質(そして時にはタンパク質)を含み、タンパク質の被覆に包まれ、そして更に脂質のエンベロープを含有しても含有しなくてもよいビリオン又はウイルス粒子を意味する。生ウイルスワクチンを使用する利点は、特異的なウイルスの病原性病原体に対する検出可能な免疫が、通常急速に、例えば約5日ないし2週間で発生することである。一般的に、組成物中に含有されるウイルスは、弱毒化され、即ちこれらは、これらが受容者に疾病を起こさないように改変されている。しかしながら、このようなウイルスは、ウイルスに対する免疫反応を誘発する成分及び/又は構造を保有し、例えばこれらは、受容者がそれに対して免疫反応を開始する、抗原決定基、抗原決定物質、等を保有する。好ましくは、免疫反応は、保護的免疫反応であり、即ち反応は、ワクチン受容者が、同じ又は同様な抗原を含んでなる、野生型の疾病を起こすウイルスに暴露され、又は挑戦された場合に、さもなければ起こるものである疾病を予防する、或いはその症状の程度を少なくとも軽減するために十分な保護を発生する。当業者は、制約されるものではないが、これらの全ての完全な内容が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許出願12/138,085(2008年6月12日に出願、そしてUS2009−0010955として公開)及び12/211,174(2008年9月16日に出願、そしてUS2009−0098152として公開)並びに米国特許第7,744,902号中に記載されている方法を含むウイルスを弱毒化するための方法に精通している。例えば、一つのこのような方法は、ウイルスを、例えば漸進的に低下する弱毒化温度において細胞培養の一連の継代にかけることを含む。別の方法として、特異的変異を、親ウイルスを化学的変異誘発にかけることによって導入することができる(例えば5−フルオロウリジン、5−フルオロウラシル、ニトロソグアニジン、等のような変異誘発物質の存在中のウイルスの複製)。これらの技術の組合せも、更に使用することができる。好ましくは、幾つかの態様において、不活化ウイルスも更に供給することができるが、弱毒化ウイルスは舌の基底細胞に感染する能力を保持する。化学的に不活性化された不活化ウイルスは、細胞に結合し、そして内部移行するが、しかし細胞中で複製しない。
【0048】
本発明の一つの態様において、供給されるウイルスは、母核体の温度より、僅かに低い温度で(例えば1−2℃低い;例えば約35−36℃の温度で)複製されるように、これらの低い温度におけるin vitroの培養及び適合によって適合される。僅かに低い温度への適合は、更に弱毒化ウイルスが、37−38℃の温度を有する消化管内で生存しないものであるために、更に潜在的摂取に対してより高い安全性を提供する。従って、ウイルスは、高い(子イヌ当たり10ないし10個のウイルスのように高い 投与量で供給される場合でさえ安全である。殆どの非経口ワクチンは、子イヌ当たり10−10個を供給される。子イヌのパルボウイルス感染の場合、ウイルスのDNAは、ワクチン接種された子イヌの身体にくまなく存在するが、しかし増殖性の複製は、舌及び腸においてのみ起こるものである。従って、口の僅かに低い温度におけるウイルスの安定性は、舌上ワクチン抗原を容易にする。更に殆どの動物種において極端ではない唾液のpHは、生ウイルスの安定化に役立つ。
【0049】
幾つかの態様において、組成物中で投与されるウイルスは、パルボウイルス、例えば、弱毒化イヌパルボウイルスであり、そして受容者はイヌである。しかしながら、他の種類のウイルス及び病原学的病原体に対するワクチン接種も、更に本発明によって包含される。本発明の組成物によって供給することができる例示的なウイルスは:
1)制約されるものではないが:子イヌに対して、イヌパルボウイルス及びイヌアデノウイルス;ネコ及び子ネコに対して、パルボウイルス、カリシウイルス及びネコ汎白血球減少ウイルス;子ウシに対して、ロタウイルス;子ウマに対して、ロタウイルス;肉食性野生動物に対して、パルボウイルス;ウシ及び他の双蹄動物において口蹄疫(更に口蹄病としても知られる、世界中の多くの部分のウシの一番目の重大なウイルス性疾病)を起こすアフトウイルス;等を含む無エンベロープウイルス
2)子イヌに対して、イヌジステンパーウイルス及びイヌインフルエンザ(H3N8);子ネコに対して、ネコヘルペスウイルス;子ウシに対して、コロナウイルス;ウシに対して、ウシウイルス性下痢を起こすウイルス及びウシヘルペスウイルス;子ウマに対して、ヘルペスウイルス;肉食性野生動物に対して、ジステンパーウイルス及び狂犬病ウイルス;等を含むエンベロープ付きウイルス
を含む。
【0050】
無エンベロープウイルス(パルボウイルス、ロタウイルス)の供給のために、ウイルスは、一般的に舌上アプリケーターの母材(例えば本明細書中に記載したような固体又は半固体製剤)中に、通常母材の処方中に組込む(例えば混合又はその中に分布する)ことができる。このように、ウイルスは、母材の成分であり、そして一般的に母材にくまなく比較的均一に分布される。他方、ウイルスの層状化及び/又は他の各種の非均一な分布パターンも、更に本発明に含まれる。このような態様において、母材が、古典的な舌上アプリケーターと同様な固化された物質であり、そして沸騰水及び慣用的な砂糖(スクロース)、メープルシロップ、等のような糖類から製造された場合、舌上アプリケーター混合物に加えられるウイルスは、一般的に少なくとも約100−150℃、又は少なくとも約110−140℃、或いは約120−130℃の範囲の温度で安定である。この安定性及び生存能は、少なくともウイルスが冷却する混合物に加えられ、しかし混合物が固化する前の間の短時間持続されなければならない。例えばウイルスを伴う母材が、加熱を伴い若しくは伴わず、又は最小の加熱を伴って焼かれ、或いは乾燥され、これによって熱安定性の必要性を取り除いた、他の製剤も更に可能であることができる。幾つかの態様において、ウイルスをピーナッツ製品(例えばピーナッツバター)と混合することも、ウイルスが非常に不安定である場合、更に推奨される。
【0051】
エンベロープ付きウイルスの供給のために、図6A−Dに例示するような毛管孔を持つ供給ビヒクル(デバイス)が考慮されている(この種類のデバイスは、更に無エンベロープウイルス、又は他の抗原のためにも同様に使用することができるが)。図6Aを参照して、この態様において、固体又は半固体の母材81は、母材を透過する比較的均一な毛管孔81(開口部)、チャンネル又は部屋の連続或いはネットワークがその中に分布され、即ち母材は有窓である。これらの毛管孔又はチャンネルの体積は、実質的に均一であり、そして一般的に約1μlないし約10μlの範囲であり、そして母材の平方センチメートル当たりの孔の数は、約10ないし約500個の範囲であるか又はそれより多い。チャンネルは、内部接続されたネットワークを形成するか、又は接線(平行)であることができ、そしていずれもの比較的又は実質的に均一な形状、例えば実質的に直線、曲線、角付き、等であることができる。これらは、ワクチン組成物がチャンネルに入り、そしてそれを充填し、そしてワクチンの投与までその中に捕獲することができる限り、いずれもの適した直径を有することができる。少なくとも孔/チャンネル/部屋の一部は、母材の表面に開口されて、液体ワクチン製剤の移入を可能にする。母材の孔/チャンネル/部屋の充填は、いずれもの適した方法、例えばウイルス抗原を含有するペースト(例えばピーナッツペースト)中に浸す、浸漬する、塗布する、洗浄する、圧縮することによって、或いは他の方法として、表面の開口部を経由して孔/チャンネル/部屋へのワクチン製剤の進入を可能にする、又は促進する条件下で、母材の表面を液体ワクチン製剤に暴露して、達成することができる。一つの態様において、舌上アプリケーターは、ウイルスを含有する液体組成物に浸され(例えば冷たいコップ中で)、ウイルスは毛管孔に入り(浸漬し)、そして次いで舌上アプリケーターを舌に適用することができる。図6Aは、母材80の表面に開口するチャンネル又は毛管開口部81を持つ母材の頂面図を示す。図6Bは、母材80内に伸び、そして開口部81により表面(への開口部)に接続された毛管82を示す。液滴とは異なり、このアプリケーターは、舌の上部表面におけるワクチンの、数分をかけたゆっくりした適用を可能にする。
【0052】
好都合には、本発明のこの態様において、母材は、図6C及び6Dに示すように、保持及び浸漬を、そして次いで受容者への投与を容易にするために、取っ手(蝶番付きであってもよい)に接続することができる。図に示すように、取っ手又は保持手段90は、母材の片側に表面のみに開口することができる(6C)か、又は母材を通して伸びることができる(6D)か、或いは両者の組合せであるチャンネル93を含んでなる母材92に接続されている。幾つかの態様において、ワクチン製剤の付加後、母材は、簡単に洗浄又は拭かれて、毛管に結び付かない(内部に位置しない)表面のウイルスを除去する。他の態様において、ワクチン製剤で“付加された”舌上アプリケーターは、ワクチンを毛管中に捕捉する障害(barrier)、例えば油、ピーナツペースト被覆物、糖類溶液、ミルク、等の簡単な被覆で、被覆又は密封することができ、そして舌上アプリケーターは、その後乾燥させられ、そして恐らく投与に先立ち保存(例えば冷蔵、冷凍、乾燥、等)される。他の態様において、母材へのウイルスの添加に引き続き、直ちに、又は可能な限り早く受容者に投与される。毛管の末端(即ち、母材の表面にあり、そしてワクチンの受容者の舌と直接接触するものである毛管の部分)は、平滑であるか、又は鋸歯状であることができる。平滑な末端は、ウイルスを含有する液体のゆっくりした移動を可能にし、一方鋸歯状の末端は、ウイルスを含有する液体のより速い移動を可能にする。毛管孔を実質的に同様又は均一なサイズのものに制御し、そして母材の平方センチメートル当たりの孔の数を制御することによって、ウイルスの投与量の用量設定を可能にする。例えば、子イヌ当たりのワクチン投与量が500μlである場合、50個の毛管孔×孔当たり10μlは、その投与量を供給するものである。液体ワクチンを供給するこの種類の舌上アプリケーターは、ワクチンを液滴として口内に単純に吹き掛けるのとは異なり、ワクチンを供給する舌上アプリケーターは、体積で制御され、そしてより長い接触時間、及びワクチンのゆっくりした供給を、そして従って感染が起こるための時間を提供するために独特である。対照的に、ワクチンが口内に液体として単純に拭き掛けられる場合、これは直ちに摂取される。摂取されたワクチンは、一般的に胃液への暴露に対して許容性を示さない。同様に、舌下ワクチン供給は、非浸潤性の口当たりのよい舌上ワクチンとして供給するように快適で、そして容易ではない。
【0053】
本発明の一つの態様において、舌上的に供給される抗原は、アライグマのような野生動物の種からのパルボウイルスである。適したアライグマのパルボウイルスは、例えばKapil et al.(Veterinary Record 2010.166,24−25)中に記載されている。
【0054】
ワクチン受容者
本明細書中に記載される舌上ワクチンは、動物、しばしば哺乳動物(ヒトを含む)、特に若い哺乳動物、そして更に特に新生仔(新生児)にワクチン接種するために使用することができる。一つの例示的な態様において、哺乳動物は、イヌ、例えば子イヌであるが、しかしこれは、必ずしも常にイヌである必要はなく、そして本明細書中の子イヌ又はイヌに対する言及は、本発明が他の種の動物(例えばヒトを含む他の哺乳動物)で実行することができるために、例示的な目的のために行われる。ワクチン製剤は、種苗原を含有する組成物を舐める又は吸うことが可能ないずれもの動物の粘膜の免疫反応を誘導するために使用することができる。舌上ワクチンが適している他の動物種の例は、制約されるものではないが:イエネコ及び大型のネコ、例えば捕獲中のもの、を含むネコ;フェレット;モルモット;家畜、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、等;ウマ;及び当業者が思いつくものであるその他のものを含む。新生仔への投与に関して、組成物は、誕生のすぐ後に授乳し、そしてワクチンを投与するために好ましい時期中に、吸乳する能力を保有するいずれもの動物に投与することができる。舌は、これが、受容性標的の上皮、抗原加工細胞、リンパ及び微小脈管構造、リンパ管を有し、そして強力な咀嚼筋によって包囲され、そしてそれを含むために、免疫化の理想的な部位である。
【0055】
本発明の方法
本発明は、本明細書中に記載されるとおりの一つ又はそれより多い抗原の動物に対する舌下供給によって動物にワクチン接種するための方法を提供する。一つ又はそれより多い抗原の投与は、一般的にワクチン受容者における免疫反応を誘発し、例えば受容者が抗体を産生し、及び/又は細胞が抗原に対する免疫反応を仲介する。幾つかの態様において、免疫反応は保護的であり、即ち動物がその後ワクチン組成物中のものと同一又は類似の抗原及び/又は抗原決定基を含有する感染性病原体に挑戦された場合、即ち動物に疾病の症状が起こらず、及び/又は起こった疾病の症状は、動物が本明細書中に記載したとおりのワクチン接種されない場合に起こるものであるものより有意に軽度である。
【0056】
ワクチンの投与計画(プロトコル)
本発明の供給系がない場合、新生仔の動物(例えば子イヌ)は、伝統的なワクチン投与計画が、例えば生後6週目に開始されるまで、母体の免疫に完全に依存性である。習慣的なワクチン投与計画は、より若い年齢で始めることができるが、いつ母体の抗体がワクチンと干渉することを停止するものであるかを正確に決定することは不可能であり、そして早すぎて投与した場合、関係した時間及び費用は浪費である。本発明は、習慣的な投与計画が必要になる前に、家庭で飼い主によってさえワクチンの早期の投与を投与するための、都合の良い低費用の方法を提供する。事実、投与の容易さ及び好都合さは、そのようにするための獣医の予約を予定に入れる必要なく、ペットの飼い主自身が生後の早期に動物にワクチン接種することを助長する。
【0057】
母体抗体の3−5%のみが、誕生時の新生仔の子イヌに存在する。従って、制約された量の抗体のみが新生仔の子イヌ中を循環している。正常な初乳の抗体の吸収の時期は、一般的に誕生後24時間を超えて延長されない。(メスイヌの力価が高いままであっても、妊娠中のメスイヌの受動免疫の24時間後の子イヌの血清中に抗体は見いだされない)。一回の哺乳からの抗体の最大量は、摂取のおよそ10時間後に吸収され、そして吸収は15時間で殆ど完了する。過免疫の血清の哺乳の5時間後、抗体は血清中に検出されない。血管系への腸上皮を通る大きい分子の移動は、むしろ遅い過程である。ステロイドは、抗体の吸収を促進し、そしてそれに関係する。
【0058】
従って子イヌは、本発明の組成物が、誕生の約8時間後、例えば約2時間ないし約10時間後、即ち誕生の約2、3、4、5、6、7、8、9、又は10時間後に投与された場合、最大の量の抗体を吸収するものである。幾つかの態様において、新生仔の子イヌに活性な免疫を誘発するために、ワクチンは、誕生の直後に投与される。この種の方法のために、ワクチン投与は、母体の初乳の抗体が子イヌに哺乳される前に行われる。このワクチン接種の過程は、ワクチン及び抗体の同時適用と呼ばれる。他の態様において、ワクチンは、後で(即ち数回の授乳後)供給され、そしてワクチンの投与の直後、例えば約15分後に、子イヌは再び授乳することが奨励される。
【0059】
一つのワクチン接種プロトコルにおいて、子イヌに舌上アプリケーターを舐めさせ、そして次いで初乳の哺乳は約1時間許されない。殆どのウイルスは、表面の受容体と結合し、そして20分以内に細胞内部に内部移行する。細胞内部に入ると、ウイルスは、母体抗体の中和から保護される。従って、授乳の休止又は遅延は、ウイルスによる舌上皮の基底細胞の感染を容易にすることができる。
【0060】
子イヌは、歯を持たずに誕生するが、しかし乳児の犬歯(口の前部のそれぞれの側の長い歯)は、概略生後3ないし4週目に萌芽し始め、門歯(前部の小さい歯)及び小臼歯(大きい側面の歯)は、概略生後4ないし6週目に出現する。子イヌは、合計28本の乳歯を生後8週目までに有する筈である。一般的に、本発明のワクチン製剤及び供給方法は、4週目又はそれより小さい子イヌのために使用することができる。子イヌの乳歯の生える予定は、舌上ワクチン接種デバイスに噛みつくことを更に防止する。幾つかの態様において、ワクチンは、例えば2−3週目に投与され、続いて4及び6週目に追加免疫投与される。幾つかの態様において、習慣的供給法(例えば舌下注射)をその時点で必要な場合に使用することができるために、舌上法は、8週目から後は使用されない。その後の注射の必要性は、抗原(例えばCPV)に対する抗体の力価を決定又は測定することによって血清学的に決定することができる。
【0061】
ワクチン投与のための二つの例示的なプロトコル(計画)を図7A及び7Bに提供し、ここで、ワクチンは、最初舌上アプリケーター(LP)によって、そしてその後注射によって投与される。図7Aは、誕生時に始まる投与計画を示し;図7Bは、生後4週目に始まる投与計画を示す。
【0062】
新生仔の子イヌに舌上アプリケーター(例えば棒付きキャンディー)を適用する方法の詳細: 新生仔の子イヌに棒付きキャンディーを適用する前に、口及び鼻腔を清潔にしなければならず、そして子イヌを乾燥しなければならない。子イヌが安定した時点で(例えば30分中)、本明細書中に記載されたような正しいサイズのアプリケーターでワクチン接種する。
【0063】
免疫微弱は、これによっていずれもの種の新生仔が、新生仔期ワクチン又は抗原に対する強力な保護的免疫反応を開始することが不可能となる現象である。この微弱性は、子イヌの一連のワクチン接種(例えば5回のワクチン注射)の必要性に導く多くの因子のためである。一つの態様において、この新規な舌上ワクチン接種の使用は、子イヌの注射の必要性を不必要にするものである。幾つかの態様において、新生仔の子イヌの、舌上アプリケーターのワクチンへの一回のみの暴露は、活性な免疫に導き、そして従って免疫微弱を克服するものである。子イヌは、誕生時に免疫系成分の完全な補体を確実に有する。
【0064】
ワクチン投与のための例示的なプロトコルにおいて、舌上ワクチンが、新生仔の子イヌに投与される。1時間後、初乳が、例えば授乳によって投与される。2週間後、ワクチンの追加免疫の投与が、舌上アプリケーターによって投与され、そして1時間の絶食後正常な哺乳が再開される。生後4及び8週目に、子イヌに出血させ、そして抗体の力価を、例えばIFA又はELISAによって測定する。ワクチン接種されない対照とは異なり、舌上アプリケーターでワクチン接種された子イヌは、ウイルスに対するIgM及びIgGを有するものであろう。この結果は、舌上経路によって投与されたワクチンの成功した“摂取”を証明するものであろう。
【実施例】
【0065】
実施例1
感染されたイヌ中のCPVの分布
舌は、背側の重層扁平上皮によって包囲された骨格筋の芯からなる。上皮は、一般的に厚く、そして背側で角質化し、そして舌の腹側表面で角質化せず、そして薄い。舌の背側は:角質化された“糸状”乳頭及び非角質化乳頭の、二つ形状の舌の乳頭で被覆されている。最も多数の糸状乳頭は、高度に血管新生した接続組織の芯によって支持され、そして尾側に向けられた湾曲を持つバラの棘のような形状である。糸状乳頭は、イヌ及びネコの両方で多数あり、そしてよく発達している。ネコは、等しくないサイズの二つの突出物を伴う糸状乳頭を有する(図8A)。尾側の突出は大きく、そして尾側に向いている。イヌの糸状乳頭は、二つ又はそれより多い先端を有する(図8B)。尾側の先端は最大で、そしてイヌの角質層は、他の先端のそれより厚い。円錐乳頭は、イヌ及びネコの舌の根本で生じる。これらは、糸状乳頭より大きく、そして高度に角質化していない。
【0066】
図9は、CPVに感染したイヌ又は子イヌに対して行われた約158体の死体解剖におけるCPVウイルスの分布の野外調査の結果を示す。見られるように、舌(基底細胞)及び腸の両方における同時存在は、試験された殆ど全てのCPVに感染したイヌで起こっていた。従って、舌は、単純に自己洗浄行為中の天然の適用によって、容易に感染される。それにもかかわらず、細胞系中のウイルス単離を行うことにより舌から生きたウイルスを単離する繰返された試みは失敗し、一方同じイヌの腸から生きたウイルスを単離する試みは成功している。従って、舌におけるCPV(例えばCPV−2)のウイルス複製のモードは、腸(Liberkahnの嚢胞中)における複製と比較して生産性ではない。従って、舌は、低いレベルのウイルスの持続を可能にするが、しかし明白な生産性のCPVの複製はない。舌及び腸は、CPVの同時存在に対して殆ど100%の相関を示すが、生産性感染のレベル及び程度(ウイルスの力価)は、有意に異なっている。
【0067】
舌の断面を、更に抗CPVフルオレセインFITC複合体を使用して、直接蛍光抗体試験によって試験し、そして図10は、例示的な結果を示す。舌の背側表面のみがCPV抗体に対して陽性であり;舌の中央の筋肉部分及び腹側表面は陰性であることが見いだされた。事実、ウイルスがCPVによる下痢の症状の開始後少なくとも1ないし2ヶ月持続した場合、背側上皮の基底層はCPV−2に感染した。CPV抗原は、上皮の基底の分裂する層中の上皮の下の糸状乳頭間に存在した。更に、分裂細胞を伴う幾つかの非角質化乳頭の芯も、更に感染した。先に記載したように、糸状乳頭は角質化され、そしてこの発見は、舌の角質化された領域が、感染されていないことを示す。むしろ、感染は、乳頭の基部間及びそれの、非角質化陥入領域に限られていた。糸状乳頭の周りの三つの別個の領域が、組織学的に規定されている。
【0068】
この観察は、更にイヌにおけるCPVの自家感染の経路を説明する。自家感染は、自己洗浄中の、感染された直腸上皮細胞の機械的剪断及び皮膚脱落によって起こる可能性がある。従って、イヌが既に腸のパルボウイルスに感染している場合、角質化された棘様の乳頭の存在は、パルボウイルスの、舌への、舌の感受性の基底層へのより深い適用を促進し、CPV感染を確立する。この天然の“自家感染”は、CPV−2による天然の感染の全ての陽性の事例において観察された。乳頭の分布に基づけば、舌の背側の前の部分が、より研磨性の機械的機能を可能にし、そして舌の後ろの背側は、唾液からのウイルスのより多い吸収を可能にする可能性がある。これらの同じ機構は、本発明のワクチン製剤からのウイルスの、本明細書中に記載したとおりのワクチン接種された動物の舌の基底細胞への供給を可能にする。
【0069】
本発明は、その好ましい態様の観点から記載されてきたが、本発明が、付属する特許請求の範囲の思想及び範囲内の改変を伴って実行することができることを、当業者は認識するものである。従って、本発明は、先に記載したような態様に制約されるべきではなく、しかし本明細書中に提供された記載の精神及び範囲内の全ての改変及びその均等物は、更に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0070】
10 保持手段
12 固体製剤、母材
13 研磨剤粒子
14 硬い繊維
15 支持体
16 指サック
17 支持構造体
18 支持体
19 溝
20 母材
21
22 頂部表面、底部表面
23 側面
30 前部部分
31 後部部分
40 舌上アプリケーター
41 上部層
42 下部層
43 ワクチン成分
50 舌上アプリケーター
51 裏打ち
52 下部層
53 ワクチン成分
60 舌上アプリケーター
61 母材
62 保持手段
63 保護板
70 塩塊ブロック
71 孔又はチャンネル
80 母材
81 母材、毛管孔、毛管開口部
82 毛管
90 取っ手
91 蝶番
92 母材
93 チャンネル
100 固有層
101 支持性吻状(rosta)乳頭
200 先端
201 固有層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を免疫化する方法であって、
当該動物に少なくとも一つの抗原を舌上的に投与する
工程を含んでなる前記方法。
【請求項2】
少なくとも一つの抗原が、弱毒化ウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
弱毒化ウイルスが、動物の舌の細胞に感染する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
弱毒化ウイルスが、動物の舌の基底細胞に感染する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
弱毒化ウイルスが、イヌパルボウイルス(CPV)である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
弱毒化ウイルスが、口蹄疫ウイルス、ネコカリシウイルス、ネコ汎白血球減少ウイルス及びネコパルボウイルスからなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
舌上的に投与する工程が、動物に、少なくとも一つの抗原を、固体母材を含む製剤であって、当該固体母材中に分散された当該少なくとも一つの抗原、及び当該前記固体母材中に分散された研磨性物質と共に含む製剤中で与えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
舌上的に投与する工程が、数週間の時間をかけて複数回行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
動物が新生仔である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
舌上的に投与する工程が、新生仔の誕生の直後に、そして当該新生仔への母体の初乳の最初の提供に先だって行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
舌上的に投与する工程が行われた後に、新生仔が一定の時間授乳することを許されない、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
弱毒化ウイルスが、動物中の一つ又はそれより多い感染性物質に対して特異的な一つ又はそれより多い抗原が存在するように遺伝子的に操作される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
舌上的に投与する工程が、動物の舌を、固体母材と1分、2分、3分、4分及び5分からなる群より選択される時間、接触させる段階を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
動物への舌上供給のための免疫原性製剤であって:
母材;及び
当該母材中に分散された少なくとも一つの抗原;
を含んでなる、前記免疫原性製剤。
【請求項15】
母材が固体である、請求項14に記載の免疫原性製剤。
【請求項16】
更に母材中に分散された研磨性物質を含んでなる、請求項14に記載の免疫原性製剤。
【請求項17】
少なくとも一つの抗原が、弱毒化ウイルスである、請求項14に記載の免疫原性製剤。
【請求項18】
弱毒化ウイルスが、前記動物の舌の細胞に感染する、請求項17に記載の免疫原性製剤。
【請求項19】
弱毒化ウイルスが、前記動物の舌の基底細胞に感染する、請求項17に記載の免疫原性製剤。
【請求項20】
弱毒化ウイルスが、CPVである、請求項17に記載の免疫原性製剤。
【請求項21】
弱毒化ウイルスが、口蹄疫ウイルス、ネコカリシウイルス、ネコ汎白血球減少ウイルス及びネコパルボウイルスから選択される、請求項17に記載の免疫原性製剤。
【請求項22】
弱毒化ウイルスが、前記動物中の一つ又はそれより多い感染性物質に対して特異的な一つ又はそれより多い抗原が存在するように遺伝子的に操作される、請求項17に記載の免疫原性製剤。
【請求項23】
子イヌに免疫原性組成物を投与するための舌上アプリケーターであって:
少なくとも母材を含む基質;及び
当該母材中に分散された少なくとも一つの抗原;
を含んでなる、前記舌上アプリケーター。
【請求項24】
母材が固体である、請求項23に記載の舌上アプリケーター。
【請求項25】
更に前記固体の母材中に分散された研磨性物質を含んでなる、請求項23に記載の舌上アプリケーター。
【請求項26】
少なくとも一つの抗原が、弱毒化ウイルスである、請求項23に記載の舌上アプリケーター。
【請求項27】
弱毒化ウイルスが、PCV、口蹄疫ウイルス、ネコカリシウイルス、ネコ汎白血球減少ウイルス及びネコパルボウイルスから選択される、請求項26に記載の舌上アプリケーター。
【請求項28】
更に前記母材の一つの表面に位置する保護板を含んでなる、請求項23に記載の舌上アプリケーター。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−533557(P2012−533557A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520782(P2012−520782)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/042142
【国際公開番号】WO2011/008958
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(502352276)ザ・ボード・オブ・リージェンツ・フォー・オクラホマ・ステート・ユニバーシティ (6)
【Fターム(参考)】