説明

舞台演出システム

【課題】プロジェクタの台数を抑え、演者が観客と向き合いながら投影画像を見られるようにする。
【解決手段】舞台演出システム10は、観客側空間Aと舞台側空間Bを仕切るスクリーン11と、舞台側空間B内の演者Pを撮像する撮像装置13と、演者Pが接地する床面14と、演者Pの撮像画像に基づいてスクリーン11及び床面14への投影画像を生成する画像生成装置16と、投影画像を観客側空間Aからスクリーン11に向かって投影するプロジェクタ17とを備えている。スクリーン11は、透光性を有する複数の投影面19と、各投影面19の間に形成された隙間20とを備えている。画像生成装置16は、演者Pの影画像を生成する影画像生成手段22と、投影面19に投影されるスクリーン用画像を生成するスクリーン用画像生成手段23と、影画像のうち、隙間20を通過して床面14に投影される床面用画像を生成する床面用画像生成手段24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演者の動作に対応する影画像を人工的に生成して舞台上に投影する舞台演出システムに係り、更に詳しくは、簡単なシステム構成で、観客及び演者が同時に影画像を見ることのできる舞台演出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時において、演者による即興的な身体表現と、当該身体表現に対応したインタラクティブ性のある画像とを組み合わせた舞台演出がメディアアートやダンスパフォーマンスにて行われることが増えている。このような舞台演出には、所定の映像を舞台上の床面から背面に連続的に提示するシステムが用いられることがあるが、当該システムとして、本発明者らは、演者の足元から延びる影画像を人工的に生成し、床面における演者の接地部分から背面に向かって影画像を連続的に投影する影メディア投影システムを開発した(非特許文献1参照)。この影メディア投影システム50は、図7に示されるように、観客側から見て演者Pの背面側に配置された透光性を有する背面スクリーン52と、演者Pが接地する床面53と、演者Pを撮像するサーモカメラ55と、サーモカメラ55で撮像された演者Pの熱分布画像から、背面スクリーン52に投影される第1の影画像S1及び床面53に投影される第2の影画像S2をそれぞれ生成する影画像生成装置56と、第1の影画像S1を投影する第1のプロジェクタ58と、第2の影画像S2を投影する第2のプロジェクタ59とを備えている。第1のプロジェクタ58は、背面スクリーン52の裏側となる後方位置から背面スクリーンに52向かって第1の影画像S1を投影し、第2のプロジェクタ59は、天井側から床面53に向かって第2の影画像S2を投影するようになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】渡辺大喜、沖山良太、渡辺貴文、西洋子、三輪敬之、「コミュニカビリティと共創表現−影メディアによる身体表現ジェネレータの開発」、ヒューマンインタフェース学会研究報告集、2009年5月、Vol.11 No.2、pp.117−120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記影メディア投影システム50にあっては、影画像S1,S2を投影するために、2台のプロジェクタ58,59が必要になり、舞台が広範囲に亘り複数の影メディア投影システム50が必要になる場合には、プロジェクタ58,59の台数が倍増することになる。また、床面53に投影される第2の影画像S2の投影範囲を更に広げるためには、第2のプロジェクタ59の設置高さを更に高くしなければならない。従って、前記影メディア投影システム50では、影画像S1,S2を投影する範囲を拡大するほど、システムの複雑化を招来し、舞台への設置が行いにくくなる。
【0005】
また、前記影メディア投影システム50では、演者Pが背面スクリーン52に投影された第1の影画像S1と観客を同時に見ることができないが、舞台上のパフォーマンス向上のために、演者Pは観客と向き合いながら同時に影画像S1,S2を見たいという要請がある。
【0006】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、投影画像を広範囲で投影する際に、プロジェクタの台数を抑えてシステム構築を簡素化できるとともに、演者が観客と向き合いながら投影画像を見ることができる舞台演出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、観客側の空間と舞台側の空間を仕切るスクリーンと、舞台側の空間内に存在する被写体を撮像する撮像装置と、前記被写体が接地する床面と、前記撮像装置で撮像された撮像画像に基づいて、前記スクリーン及び前記床面への投影画像を生成する画像生成装置と、当該画像生成装置で生成された前記投影画像を前記観客側の空間から前記スクリーンに向かって投影するプロジェクタとを備え、
前記スクリーンは、透光性を有する複数の投影面と、当該各投影面の間に形成された隙間とを備え、
前記画像生成装置は、前記撮像画像から前記被写体の動作に対応する影画像を生成する影画像生成手段と、前記影画像のうち、前記プロジェクタから前記投影面に投影されるスクリーン用画像を生成するスクリーン用画像生成手段と、前記影画像のうち、前記プロジェクタから前記隙間を通過して前記床面に投影される床面用画像を生成する床面用画像生成手段とを備える、という構成を採っている。
【0008】
また、前記画像生成装置は、前記スクリーン用画像と前記床面用画像を合成して前記投影画像を生成する画像合成手段を更に備える、という構成を採ることが好ましい。
【0009】
更に、前記スクリーン用画像生成手段では、前記隙間に投影される部分の前記影画像をカットして前記スクリーン用画像を生成し、
前記床面用画像生成手段では、前記投影面に投影される部分の前記影画像をカットして前記床面用画像を生成する、という構成を併せて採用することが好ましい。
【0010】
また、前記画像生成装置は、前記スクリーン用画像と前記床面用画像を所定のタイミングで切り換えることで前記投影画像を生成する、という構成を採ることもできる。
【0011】
更に、所定の投影画像を前記舞台側の空間から前記スクリーンに向かって投影する他のプロジェクタを更に備える、という構成を採ることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、舞台で演者がパフォーマンスを行う場合、当該演者が被写体となって演者の影画像が生成される。この影画像は、観客側の空間と舞台側の空間を仕切るスクリーンに対し、観客側の空間から投影されることになり、演者の足元まで延びる影画像の下側部分が、床面用画像として隙間を通じて床面に投影され、残りの影画像の部分が、スクリーン用画像として、前記床面用画像に連なるようにスクリーンの投影面に投影されることになる。ここで、投影面は、透光性を有するため、観客と演者は、隙間の他に投影面を通じて相互に視認可能になる他、プロジェクタの存在する観客側の空間から投影されたスクリーン用画像を観客側及び舞台側の両側から見ることができる。更に、床面用画像は、演者が見ることができることはもとより、隙間を通じて観客側からも見ることが可能である。従って、演者は、観客と向き合いながら、スクリーン画像と床面用画像を見ることができる。
【0013】
しかも、スクリーンは、投影面と隙間を有し、画像生成装置により、投影面に投影されるスクリーン用画像と隙間を通じて床面に投影される床面用画像とが生成されるから、スクリーンに投影するための投影画像として、スクリーン用画像と床面用画像とを合成しても、各画像が混在した状態で投影面及び床面に投影されることがなく、1台のプロジェクタで投影画像を投影面及び床面に投影することができる。従って、1システム当りプロジェクタが1台で済み、投影画像を広範囲で投影するためにシステムを増設する場合でも、プロジェクタの台数を最小限に抑えてシステム構築を簡素化できる。
【0014】
また、前記舞台側の空間から前記スクリーンに向かって所定の投影画像を投影する他のプロジェクタを更に備えることにより、当該他のプロジェクタからの投影画像を、投影面の他に、隙間を通じて観客側の空間の床面や壁面にも投影することができ、劇場全体の演出効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る舞台演出システム全体の概念図。
【図2】前記舞台演出システムにおける各構成装置の位置関係を示す概略側面図。
【図3】撮像装置で撮像した画像から生成された影画像を例示した図。
【図4】(A)は、図3の影画像の上側部分を射影変換した図であり、(B)は、(A)を部分的にカットする画像処理を行った後の図である。
【図5】(A)は、図3の影画像の下側部分を射影変換した図であり、(B)は、(A)を部分的にカットする画像処理を行った後の図である。
【図6】図4(B)及び図5(B)の各画像を合成処理した後の図。
【図7】従来における影メディア投影システムの概念図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1には、本実施形態に係る舞台演出システムの概略構成図が示されている。この図において、舞台演出システム10は、観客側の空間Aと舞台側の空間Bを仕切るスクリーン11と、舞台側の空間B内に存在する演者P(被写体)を撮像する撮像装置13と、演者Pが接地する舞台上の床面14と、撮像装置13で撮像された撮像画像に基づいて、スクリーン11及び床面14への投影画像を生成する画像生成装置16と、画像生成装置16で生成された前記投影画像を観客側の空間Aからスクリーン11及び床面14に投影するプロジェクタ17とを備えて構成されている。
【0018】
前記スクリーン11は、透光性を有する複数の投影面19と、各投影面19の間に形成された隙間20とを備えている。
【0019】
前記各投影面19は、短冊形状をなす白色の紗幕からなり、幅方向に面一で一定間隔毎に配置されている。従って、各投影面19の間に形成された隙間20は、幅方向(同図中左右方向)に一定間隔で形成されるとともに、高さ方向(同図中上下方向)に延びる形状となっており、スクリーン11は、高さ方向に延びるスリットが幅方向に一定間隔で形成された縦スリット型スクリーンとなる。
【0020】
なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、各投影面19の幅を10cmとし、各投影面19の間隔すなわち各隙間20の幅を15cmとしている。投影面19としては、透光性を有し、且つ、投影画像を面上に映し出すことができる限りにおいて、他の幕体、例えば、他の布地や透明スクリーンを採用することもできる。
【0021】
前記撮像装置13として、本実施形態では、演者Pの温度分布画像を取得可能な赤外線サーモカメラを採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、後述するように演者Pの影画像を生成するために演者Pの輪郭を画像処理で取得できる限りにおいて、種々の撮像装置を採用可能である。
【0022】
なお、撮像装置13は、図3に示されるように、演者Pを背面(又は正面)から撮像可能となる高さ及び位置にセットされており、プロジェクタ17は、スクリーン11及び床面14に対して斜め上方から前記投影画像を投影可能な高さ及び位置にセットされている。
【0023】
前記画像生成装置16は、CPU等の演算処理装置及びメモリやハードディスク等の記憶装置等からなるコンピュータによって構成され、当該コンピュータを以下の各手段として機能させるためのプログラムがインストールされている。
【0024】
すなわち、画像生成装置16は、図1に示されるように、撮像装置13で撮像された温度分布画像から、演者Pの輪郭を求め、当該輪郭の内側領域となる影画像を生成する影画像生成手段22と、影画像生成手段22で生成された影画像のうち、プロジェクタ17から投影面19に投影されるスクリーン用画像を生成するスクリーン用画像生成手段23と、前記影画像のうち、プロジェクタ17から隙間20を通過して床面14に投影される床面用画像を生成する床面用画像生成手段24と、前記スクリーン用画像と前記床面用画像とを合成して前記投影画像を生成する画像合成手段25とを備えて構成されている。
【0025】
前記影画像生成手段22は、本発明者らによって提案された他の発明(特開2004−297766号公報)に適用された手法、すなわち、取得した温度分布画像に対し、所定温度以上となっている画素を閾値として2値化する手法により、演者Pの輪郭を求めて演者Pの影画像を生成するようになっている。つまり、ここでは、撮像装置13の位置から演者Pに向かって光を照射する仮想光源L(図2参照)があると仮定し、この仮想光源Lによって出来る演者Pの影に相当する画像を影画像Sとして人工的に生成する。
【0026】
本実施形態では、演者Pに対応する人物の影画像Sが生成されるが、本発明はこれに限らず、仮想光源Lの光の照射による演者Pの影に相当する画像に対し、更に、所定の変形加工を施すことで、演者Pの動作に対応する非人物的な影画像Sを生成してもよい。
【0027】
前記スクリーン用画像生成手段23では、以下の手順で前記スクリーン用画像が生成される。
【0028】
先ず、図3に示されるように、撮像装置13で撮像された撮像画像Gの中で、スクリーン11に対応する領域となる第1の画像領域G1が切り出される。ここで、影画像Sのうち、第1の画像領域G1の中に存在する影画像Sの上側部分S1は、図2に示されるように、前記仮想光源Lから演者Pに対して光を照射したときにスクリーン11上に映る演者Pの影に相当する。なお、スクリーン11と撮像装置13は、それぞれ固定配置されて相対移動しないため、第1の画像領域G1は、スクリーン11と撮像装置13との相対位置関係に応じて予め特定される。
【0029】
次に、スクリーン11を隔てて撮像装置13と反対側に位置して設置高さの異なるプロジェクタ17から上側部分S1を投影した場合に、仮想光源Lによって光を照射したときと同じようにスクリーン11上に上側部分S1が映るように、第1の画像領域G1について射影変換が行われる。具体的に、例えば、図3に示されるように、撮像装置13側から見た第1の画像領域G1(点ABCDで囲まれる部分)は、図4(A)に示されるように、プロジェクタ17から見た第1の画像領域G1に射影変換される。第1の画像領域G1の四隅の点ABCDは、図3及び図4で相互に対応しており、例えば、射影変換前に第1の画像領域G1の左下に存在する点Aは、射影変換によって左右反転されて第1の画像領域G1の右下に存在するように変換される。従って、影画像Sの上側部分S1は、線対称変換されることになる。なお、ここでの射影変換は、スクリーン11、撮像装置13及びプロジェクタ17の相対位置関係が不変となっていることから、予め記憶された公知の変換式を用いて行われる。
【0030】
そして、射影変換された第1の画像領域G1のうち、隙間20に投影される部分(図4(A)中ハッチング部分)に相当する画素部分の影画像S1がカットされ、図4(B)に示されるように、隙間20のピッチに対応して幅方向に規則的に欠落した部分を有する縦ストライプ状のスクリーン用画像M1が生成される。
【0031】
前記床面用画像生成手段24では、以下の手順で床面用画像が生成される。
【0032】
先ず、図3に示される撮像画像Gの中で、床面14に対応する領域となる第2の画像領域G2(点ABEFで囲まれる部分)が切り出される。ここで、影画像Sのうち、第2の画像領域G2の中に存在し、影画像Sの上側部分S1に連なる下側部分S2は、図3に示されるように、前記仮想光源Lから演者Pに対して光を照射したときに演者Pの足元から床面14上に映る演者Pの影に相当する。なお、撮像装置13と床面14は、それぞれ固定配置されて相対移動しないため、第2の画像領域G2は、撮像装置13と床面14の相対位置関係に応じて予め設定される。
【0033】
次に、観客側の空間Aに存在するプロジェクタ17から下側部分S2を投影した場合に、スクリーン11を透過した投影画像は、仮想光源Lによって光を照射したときと同じように下側部分S2が床面14に映るように、第2の画像領域G2について射影変換が行われる。具体的に、例えば、図3に示されるように、撮像装置13側から見た第2の画像領域G2は、図5(A)に示されるように、プロジェクタ17から見た第2の画像領域G2に射影変換される。第2の画像領域G2の四隅の点ABEFは、図3及び図5で相互に対応しており、例えば、射影変換前に第2の画像領域G2の左下に存在する点Fは、射影変換によって180度回転されて第2の画像領域G2の左上に存在するように変換される。なお、ここでの射影変換は、第1の画像領域G1のときと同様、スクリーン11、撮像装置13、床面14及びプロジェクタ17の相対位置関係に基づき予め記憶された第2の画像領域G2の変換用の変換式を用いて行われる。
【0034】
そして、射影変換された第2の画像領域G2のうち、投影面19に投影される部分(図5(A)中ハッチング部分)がカットされ、同図(B)に示されるように、隙間20のピッチに対応して幅方向に規則的に欠落した部分を有する縦ストライプ状の床面用画像M2が生成される。
【0035】
前記画像合成手段25では、スクリーン用画像M1と床面用画像M2との位置関係を整合させながら、これら各画像を合成することで図6に示される投影画像M3が生成される。すなわち、スクリーン画像M1と床面用画像M2に共通して存在する辺AB部分を合わせて各画像が重ね合わされる。得られた投影画像M3は、射影変換前の第1及び第2の画像領域G1,G2について、第1の画像領域G1に対して第2の画像領域G2を辺ABで折り返して重畳したようになっているが、同図に示されるように、第1及び第2の画像領域G1,G2内の影画像S1,S2が、幅方向に互い違いに配置されて同じ部分に重なり合わないようになっている。
【0036】
以上により、スクリーン用画像M1内に生成された影画像Sの上側部分S1は、投影面19にのみ映し出され、投影面19は透光性を有することから、観客側及び舞台側の各空間A,Bから、投影面19に映る影画像Sの上側部分S1を見ることが可能になる。一方、床面用画像M2内に生成された影画像Sの下側部分S2は、投影面19には映し出されずに、当該投影面19の間に形成された隙間20を通じて、反対側の床面14に映し出されることになり、観客側及び舞台側の各空間A,Bから、床面14に映る影画像Sの下側部分S2を見ることが可能になる。
【0037】
ここで、投影面19と隙間20が互い違いに配置されていることから、床面14と投影面19に映し出される各影画像S1,S2の接合部分が、幅方向にずれており、各影画像S1,S2は、投影面19や隙間20の存在によって欠損した部分が存在する。しかしながら、障害物によって欠けた部分を周囲の視覚情報から補う人間の知覚補完作用によって、観客や演者Pは、自己の知覚によって画像の連続性を確保し、欠損のない完全な画像として認識可能になる。
【0038】
なお、投影画像M3としては、スクリーン用画像M1と床面用画像M2を画像合成手段25で合成した画像を用いたが、当該合成画像を用いずに、スクリーン用画像M1と床面用画像M2を時間差で切り換える画像切換手段を画像生成装置16に設け、スクリーン用画像M1と床面用画像M2を交互にプロジェクタ17から照射することもできる。
【0039】
また、スクリーン11とプロジェクタ17との間に、スクリーン11に対面するように追加スクリーンを配置し、当該追加スクリーンに他のプロジェクタから所定の背景画像等を投影することもできる。追加スクリーンは、透光性を有するものであれば何でも良く、前述した知覚補完による画像生成に影響しないように、隙間20に相対する追加スクリーンの位置に背景画像等を投影することを例示できる。
【0040】
更に、舞台側の空間Bからスクリーン11に向かって投影する他のプロジェクタを更に設けることができる。当該他のプロジェクタでは、あらゆる種類の画像を投影でき、前述の投影画像と別の画像が投影される。他のプロジェクタからの投影画像は、投影面19に投影される他、隙間20を通じて観客側の空間Aの床面や壁面に投影される。また、当該他のプロジェクタを演者Pの背後に設置することで、この他のプロジェクタからの光による演者Pの実際の影が、床面14及び投影面19に投影され、人工的に投影された影画像Sに重なってより幻想的な空間を生成することができる。従って、プロジェクタ17の反対側の空間に他のプロジェクタを設けることで、隙間20を通じた画像の相互透過によって、劇場全体の演出効果を更に高めることができる。
【0041】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 舞台演出システム
11 スクリーン
13 撮像装置
14 床面
16 画像生成装置
17 プロジェクタ
19 投影面
20 隙間
22 影画像生成手段
23 スクリーン用画像生成手段
24 床面用画像生成手段
25 画像合成手段
A 観客側の空間
B 舞台側の空間
G 撮像画像
M1 スクリーン用画像
M2 床面用画像
M3 投影画像
P 演者(被写体)
S 影画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観客側の空間と舞台側の空間を仕切るスクリーンと、舞台側の空間内に存在する被写体を撮像する撮像装置と、前記被写体が接地する床面と、前記撮像装置で撮像された撮像画像に基づいて、前記スクリーン及び前記床面への投影画像を生成する画像生成装置と、当該画像生成装置で生成された前記投影画像を前記観客側の空間から前記スクリーンに向かって投影するプロジェクタとを備え、
前記スクリーンは、透光性を有する複数の投影面と、当該各投影面の間に形成された隙間とを備え、
前記画像生成装置は、前記撮像画像から前記被写体の動作に対応する影画像を生成する影画像生成手段と、前記影画像のうち、前記プロジェクタから前記投影面に投影されるスクリーン用画像を生成するスクリーン用画像生成手段と、前記影画像のうち、前記プロジェクタから前記隙間を通過して前記床面に投影される床面用画像を生成する床面用画像生成手段とを備えたことを特徴とする舞台演出システム。
【請求項2】
前記画像生成装置は、前記スクリーン用画像と前記床面用画像を合成して前記投影画像を生成する画像合成手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の舞台演出システム。
【請求項3】
前記スクリーン用画像生成手段では、前記隙間に投影される部分の前記影画像をカットして前記スクリーン用画像を生成し、
前記床面用画像生成手段では、前記投影面に投影される部分の前記影画像をカットして前記床面用画像を生成することを特徴とする請求項2記載の舞台演出システム。
【請求項4】
前記画像生成装置は、前記スクリーン用画像と前記床面用画像を所定のタイミングで切り換えることで前記投影画像を生成することを特徴とする請求項1記載の舞台演出システム。
【請求項5】
所定の投影画像を前記舞台側の空間から前記スクリーンに向かって投影する他のプロジェクタを更に備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の舞台演出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−24172(P2012−24172A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163453(P2010−163453)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)