説明

航空機に用いる複数のエネルギ変換器を有する推進装置

【課題】本発明は、航空機のための推進装置に関する。
【解決手段】推進装置は、第1エネルギ変換器(4)、第2のエネルギ変換器(5)および推進装置(1)を備える。第1エネルギ変換器(4)は第1推進エネルギを供給し、第2エネルギ変換器(5)は第2推進エネルギを供給する。第1エネルギ変換器(4)および第2のエネルギ変換器(5)は、推進装置(1)に第1推進エネルギおよび第2の推進エネルギを供給するように適合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の援用] 本願は、2006年11月29日に出願されたドイツ国特許出願第10 2006 056 356.5号及び2006年11月29日に出願された米国仮特許出願第60/861,667号の出願日の利益を主張し、かかる出願の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
本発明は、推進装置、航空機の推進方法、ならびに、航空機での推進装置の使用、及び推進装置を備えた航空機に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、航空交通は、全世界の原油消費及び大気汚染に占める割合は少ない。
しかし、それ以外の大気汚染輸送手段が減り、航空交通が増えるにつれ、かかる割合は増大してきている。
しかも、今日の民間航空機の改善可能性や開発可能性は、巨額の費用をかけた場合にのみ、ほんのわずかな改善を達成することができるという時点に達している。
【0004】
そのため、特定の種類の燃料を使用することによるか、それとも、特定の推進システムを使用して燃料消費を削減することにより、航空機エンジンの有害ガスを一層環境的に地球に優しくするために、試みが多々なされている。
【0005】
ハイブリッド推進システムを特徴とする航空機は、汚染物質を削減する試みにおいて公知である。
この配列では、多様なエンジン又は推進装置の組み合わせにより、航空機前方推進力が得られる。
以下が、例えば、一般的な組み合わせである。ピストンエンジンとジェットエンジン、ピストンエンジンとロケットエンジン、ジェットエンジンとロケットエンジン、あるいは、ターボジェットエンジンとラムジェットエンジン。
かかるハイブリッド推進システムは、例えば、実験的航空機ミコヤン・グレヴィッチMiG−13又はノール1500グリフォンにおいて実施された。
各ハイブリッド推進システムは、関連エンジン1機を有する数個の推進装置を備えている。
ピストン動力装置は、例えば、推進エネルギを発生するためのピストンエンジンと、エアースクリュー又はプロペラとを備え、一方、ジェットエンジンは、推進エネルギを発生するための燃焼室と圧縮機とを備えている。
1つの推進装置、例えば、ピストンエンジンからの前方推進力が使用されないと、プロペラは気流中にあって、空気抵抗又は抗力を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に、低汚染物質排出をもたらす推進装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例示的実施形態によると、航空機用推進装置が提供されている。
推進装置は、第1エネルギ変換器、第2エネルギ変換器、ならびに推進装置を備えている。
第1エネルギ変換器は、第1推進エネルギを提供するように適合されている。
第2エネルギ変換器は、第2推進エネルギを提供するように適合されている。
第1エネルギ変換器及び第2エネルギ変換器は、推進装置に第1推進エネルギと第2推進エネルギとを供給するように適合されている。
推進装置は、第1推進エネルギ及び/又は第2推進エネルギにより、前方推進力を発生するように適合されている。
【0008】
本発明の別の一例示的実施形態によると、航空機の推進方法が提供されている。
第1推進エネルギは、第1エネルギ変換器により供給される。
第2推進エネルギは、第2エネルギ変換器により供給される。
推進装置は、第1推進エネルギ及び/又は第2推進エネルギが供給される。
【0009】
別の一例示的実施形態によると、前記記載の推進装置が航空機に使用されている。
【0010】
別の一例示的実施形態によると、前記記載の推進装置を有する航空機が提供されている。
【0011】
「エネルギ変換器」とは、エネルギを変換する機械をいう。
かかる変換器は、例えば、燃料に基づいて推進モーメント又は推進エネルギを発生する内燃機関を備えている。
さらに、エネルギ変換器は、例えば、電気エネルギから推進エネルギを発生する電動モータ等の動力装置を備えていてもよいし、あるいは、エネルギ変換器がケロシンに基づいて推進エネルギを発生する燃焼室を備えていてもよい。
【0012】
「推進装置」とは、航空機前方推進力を発生する装置をいう。
かかる推進装置は、例えば、その回転に基づいて航空機前方推進力を発生するプロペラ又はエアースクリューであってもよい。
さらに、例えば、航空機の圧縮機段又は送風機が推進装置であってもよく、その理由は、送風機や圧縮機翼は気流を発生し、それにより前方推進力を発生するからである。
別の推進装置は、ロケットエンジン又はラムジェットエンジンを備えていてもよい。
【0013】
「推進エネルギ」とは、推進装置が航空機前方推進力を発生させるために必要とするエネルギをいう。
推進エネルギは、例えば、トルクという形態でシャフトに伝達されてもよい。
【0014】
さて、本発明に係わる航空機の推進装置は、推進装置を駆動するために2つのエネルギ変換器を備えていてもよい。
これは、例えば、1つの推進装置、例えばジェットエンジンのタービン段が、2つの燃焼室を備えるように設計されてもよい。
第1エネルギ変換器及び第2エネルギ変換器は、双方共にか、又はそれぞれが別個に、第1推進エネルギから第2推進エネルギまでを推進装置に供給してもよく、この結果、該推進装置は航空機の前方推進力を発生することが可能となる。
【0015】
こうして、多数の推進装置を必要とすることなく、数個のエネルギ変換器を備えた推進装置を創出することができる。
各々が1つのエネルギ変換器を備えた数個の推進装置を以前は使用していたが、これでは部品数が多いために摩擦損失を招き、出力を削減してしまう。
本発明によると、推進エネルギを第1エネルギ変換機及び別のエネルギ変換機で推進装置へ供給するため、動力損失は削減され、推進装置の効率を改善することができる。
これにより、さらに、燃料排出ガスとそれに伴う汚染物質排出とが削減される。
【0016】
別の一例示的実施形態によると、第1エネルギ変換器は、第2エネルギ変換器とは異なる。
これは、エネルギ変換器の多様な概念が推進エネルギを発生するために使用されてよいことを意味する。
かかる異なったエネルギ変換器は、例えば、内燃モータと電動モータとを備えていてもよく、そして、必要とするそれぞれの燃料を供給されてもよい。
こうして、例えば、代理機能性と安全性の両方を改善することができ、また、生態学的利点を獲得することができる。
例えば、巡航飛行の際は、環境的に優しくかつ低公害型の電動モータのみを動作させ、一方、離陸や着陸中は、推進エネルギを推進装置へ供給するために、強力だが高公害型の内燃機関を追加的に駆動させてもよい。
【0017】
本発明の別の一例示的実施形態によると、推進装置は、さらに第1推進シャフトと第2推進シャフトとを備えている。
第1推進シャフトは、第1エネルギ変換器の第1推進エネルギを推進装置へ伝達するように適合されている。
第2推進シャフトは、第2エネルギ変換器の第2推進エネルギを推進装置へ伝達するように適合されている。
従って、推進シャフトが不具合の場合、それにもかかわらず推進エネルギを推進装置に供給することが可能となり、そのため、推進装置故障のリスクを削減することができる。
【0018】
本発明の別の一例示的実施形態によると、推進装置は、第1連結装置を備えている。
第1推進シャフト及び第2推進シャフトは、第1連結装置で連結されていてもよい。
本例示的実施形態によると、例えば、1つのエネルギ変換器を推進装置に永久的に強固に接続することが可能であり、一方、第2エネルギ変換器は、第2推進シャフトを介して、推進エネルギを伝達するための第1推進シャフトに一時的にのみ接続されてもよい。
これにより、必要な場合にのみ第2エネルギ変換器を接続するという選択肢が提供される。
例えば、航空機の巡航飛行中は、連結装置によって、第2推進シャフトを有する第2エネルギ変換器は第1推進シャフトから分離可能であり、第2エネルギ変換器の電源は切ることができる。
航空機は、そのため、例えば、2つのエンジンで離陸着陸を行い、1つのエンジンで巡航することができる。
従って、推進装置の出力は、不必要な出力損失を発生させることなく、任意の既定要件に経済的に合わせることができる。
第2推進シャフトは、連結装置で連結を解いてもよいので、第2推進シャフトは、必要でない場合は、アイドル状態で同時回転する必要はなく、そのため、第1推進シャフト上の付加的な抗力が全く生じない。
【0019】
別の一例示的実施形態によると、推進装置は、第2連結装置と第3連結装置とを備えている。
第1推進シャフトは、第1推進エネルギを推進装置に伝達可能なように、第2連結装置で推進装置に連結されてもよい。
第2推進シャフトは、第2推進エネルギを推進装置へ伝達可能なように、第3連結装置で推進装置に連結されてもよい。
エネルギ変換器の1つ、即ち、第1エネルギ変換器又は第2エネルギ変換器の電源が切れている場合、その変換器は、第2連結装置又は第3連結装置によって、第1推進シャフト又は第2推進シャフトから個々に分離されてもよい。
これにより、例えば、単一エンジン稼動の場合は、選択的に第1エネルギ変換器又は第2エネルギ変換器により、稼動時間数を両方のエネルギ変換器に等しく分配することが可能となるという利点が提供される。
こうして、各エネルギ変換器の磨耗と裂傷を削減することが可能となり、経費節約が達成される。
【0020】
別の一例示的実施形態によると、推進装置は、第1燃料を有する第1タンクを備えている。
第1タンクは、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器とに第1燃料を供給するように設計されている。
従って、タンク用の広い設置空間を必要とすることなく、燃料を各エネルギ変換器に供給することができる。
こうして、設置空間を削減することができる。
【0021】
「燃料」とは、エネルギ変換器の抽出物をいい、その抽出物から推進エネルギが結果として発生する。
燃料は、例えば、エネルギ変換器を使用して、外的反応により推進エネルギに変換される。
燃料は、例えば、在来型燃料、例えば、ガソリン、ケロシン、ディーゼル、水素、メタン、天然ガス又は合成炭化水素等の炭化水素からなってもよい。
さらに、環境的に優しい燃料は、従来の技術的特性を有するエネルギ担体、例えば特性がケロシンの特性に類似しており、石炭、ガス又はバイオマス及びその混合物からなる合成炭化水素として供給されてもよい。
さらに、環境的に優しい燃料は、非在来型特性、例えば熱的に不安定又はガス状のエネルギ担体からなってもよい。
これには、例えば、容易に液化する炭化水素、炭化水素ガス又は水素を含まれる。
さらに、この意味では、電気エネルギが、例えば電動モータを備えたエネルギ変換器用の燃料であってもよい。
その上、電気エネルギは、例えば、電池又は燃料電池から取得してもよい。
【0022】
別の一例示的実施形態によると、推進装置は、第1燃料を有する第1タンクと第2燃料を有する第2タンクとを備えている。
第1タンクは、少なくとも第1エネルギ変換器に第1燃料を供給するように適合されており、第2タンクは、少なくとも第2エネルギ変換器に第2燃料を供給するように適合されている。
こうして、2つのエネルギ変換器が互いに分離されるように設置されていてもよく、それぞれが1つの関連タンクを有しているため、エネルギ変換器同士間の長い燃料経路を設置する必要性は排除される。
これにより、漏れのリスクを削減できるため、安全性を改善することが可能である。
さらに、経費と重量との削減が達成される。
【0023】
別の一例示的実施形態によると、第1タンクは、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器とに第1燃料を供給するように適合されている。
第2タンクは、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器に第2燃料を供給するように適合されている。
こうして、代理機能システムが提供されてもよく、それによって、第1燃料が利用できない場合、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器とに第2燃料を供給することが可能である。
こうして、安全性を強化することができ、かつ推進システムの故障確率を削減することが可能である。
【0024】
別の一例示的実施形態によると、第1燃料は、第2燃料とは異なる。
この配列では、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器の少なくとも1つが第1燃料及び第2燃料で動作してもよい。
【0025】
前記例示的実施形態によると、第1及び第2エネルギ変換器は、数種の異なる燃料から推進エネルギを発生可能な二価エネルギ変換器を備えていてもよい。
かかるエネルギ変換器の例には、例えば、可変燃焼室を有するターボエンジン、あるいは可変制御時間を有するピストンエンジン又はプラネタリーピストンエンジンが含まれる。
従って、前記エネルギ変換器は、多様な燃料又はエネルギ担体に適している。
従って、飛行段階に応じて、適したエネルギ担体を使用することができる。
飛行機が空港近辺にいる時は、一層環境的に優しい燃料をエネルギ変換器に供給することが可能であり、一方、飛行機が高度の高い所にいるか、あるいは重大でない地域にいる時は、環境的優しさの低い燃料が使用される。
こうして、生態学的影響を削減することが可能である。
【0026】
別の一例示的実施形態によると、第1燃料と第2燃料の少なくとも1つは、ガソリン、ケロシン、ディーゼル、水素、メタン、天然ガス、及び合成炭化水素からなる群の中の一燃料である。
【0027】
別の一例示的実施形態によると、駆動装置は、ターボプロップ推進装置、ジェットエンジン、バイパスを有するジェットエンジン、及びプロペラ推進装置からなる群より選択してもよい。
【0028】
別の一例示的実施形態によると、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器の少なくとも1つの変換器は、ガスタービン、ロータリーピストンエンジン、及び電動モータからなる群より選択してもよい。
【0029】
別の一例示的実施形態によると、推進装置は、さらに制御装置を備えている。
制御装置は、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器とを制御するように適合されている。
従って、要件に応じて、推進エネルギを発生するために第1エネルギ変換器の電源を投入してもよいし、あるいは、第2推進エネルギを発生するために第2エネルギ変換機の電源を投入してもよい。
このように、推進装置の推進出力は、制御装置により、柔軟に設定することができる。
【0030】
本発明の別の一例示的実施形態によると、制御装置は、第1動作状態において、第1推進エネルギ及び第2推進エネルギが推進装置に供給されるように、第1エネルギ変換気及び第2エネルギ変換器を制御する。
さらに、制御装置は、第2動作状態において、第1推進エネルギ又は第2推進エネルギが推進装置に供給されるように、第1エネルギ変換器及び第2エネルギ変換器を制御する。
従って、飛行段階に応じて、第1動作状態又は第2動作状態が選択されてよく、この選択は制御装置により設定することができる
例えば、推進装置から多量の推進エネルギが必要な場合、制御装置は自動的に第1動作状態にスイッチが切り替わり、一方、少量の出力が必要な場合、制御装置は、第1エネルギ変換器又は第2エネルギ変換器が推進エネルギを発生する第2動作状態にスイッチが切り替わる。
こうして、不必要なエネルギ消費を避けることができる。
例えば、巡航中の推進装置は、少量の推進エネルギが必要な状態にあり、第1エネルギ変換器又は第2エネルギ変換器が完全に分離されていてよい。
こうして、摩擦エネルギにより生じる損失、及びエネルギ変換器の1つが、例えば、アイドル状態で回転する場合の損失を削減することができる。
【0031】
本発明の方法の別の一例示的実施形態によると、第1エネルギ変換器及び第2エネルギ変換器により、所定の飛行段階に応じて、推進エネルギが供給される。
航空機の場合、「飛行段階」とは、例えば、離陸、着陸又は巡航飛行段階をいう。
離陸及び着陸段階では、航空機は、それぞれ上昇段階及び下降段階にあり、かかる段階では一層多くの推進エネルギを必要とする。
これと対照的に、巡航飛行段階では、削減された量の推進エネルギを必要とし、そのため、少量の推進エネルギが必要となる。
【0032】
航空機の別の一例示的実施形態によると、航空機は、外側輪郭を有する。
この配列では、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器の少なくとも1つの変換器が外側輪郭の内部に設けてある。
航空機の「外側輪郭」とは、例えば、航空機の内部を外部流環境から分離する航空機表面をいう。
第1エネルギ変換器及び/又は第2エネルギ変換器は外側輪郭の内部に設置してあり、そのため、外部流環境に突出していないので、抗力が削減され、それにより燃料及び汚染物質排出を削減することができる。
【0033】
推進装置の実施形態は、本発明の方法、使用、及び航空機、またその逆にも適用される。
【0034】
さらに、第1エネルギ変換器及び第2エネルギ変換器以外にも、例えば、推進エネルギを発生して推進装置に供給する、多数のエネルギ変換器が使用されてもよい。
その上、第1燃料及び第2燃料で作動する以外にも、各エネルギ変換器は、例えば、多数の異なる燃料で作動されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下に、本発明のさらなる説明とより良い理解のために、同封の図面を参照しながら例示的実施形態をより詳細に記載する。
【図1】公知となっている推進装置の線図である。
【図2】2つのエネルギ変換器と1つのタンクとを有する、本発明の一例示的実施形態の線図である。
【図3】2つのエネルギ変換器と1つのタンクとを有する別の一例示的実施形態の線図である。
【図4】2つのエネルギ変換器と2つのタンクとを有する一例示的実施形態の線図である。
【図5】2つのエネルギ変換器と1つのタンクとを有する一例示的実施形態の線図である。
【図6】2つの燃料経路を備えた二価エネルギ変換器の一例示的実施形態の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
異なる図面にある同一又は類似な部品は、同じ参照符号を有する。
図面の例は、線図であり、計測用ではない。
【0037】
図2は、航空機用推進装置の一例示的実施形態である。
推進装置は、第1エネルギ変換器4、第2エネルギ変換機5及び推進装置1とからなる。
第1エネルギ変換器4は、第1推進エネルギを供給し、第2エネルギ変換器5は、第2推進エネルギを供給する。
この配列では、第1エネルギ変換器4及び第2エネルギ変換器5は、推進装置1に第1推進エネルギ及び第2推進エネルギを供給するように適合されている。
推進装置1は、第1推進エネルギ及び第2推進エネルギから前方推進力を発生してもよい。
【0038】
図1は、最先端技術で知られている推進装置である。
推進装置1は、第1推進シャフト2を介して、第1エネルギ変換器4に接続されている。
タンク6から、第1エネルギ変換器4は燃料を取得し、それを第1エネルギ変換器4が推進エネルギに変換する。
推進エネルギは、第1推進シャフト2により推進装置1に供給される。
例えば、エアースクリュー又はプロペラ1は、第1推進シャフト2を介して推進エネルギを供給し、その推進エネルギは、例えば、ピストンエンジン4により供給される。
【0039】
図2は、既に記載の、本発明の第1の例示的実施形態を示す。
第1推進シャフト2及び第2推進シャフト7により、第1エネルギ変換器4及び第2エネルギ変換器5は、第1推進エネルギ及び第2推進エネルギを推進装置1に供給する。
第1エネルギ変換器4及び第2エネルギ変換器5は、連結装置3を介して連結されてもよい。
両方のエネルギ変換器は、第1タンク6から第1燃料を受け取ってもよい。
第1タンク6の第1燃料から、前記ニつのエネルギ変換器4、5は推進エネルギを発生してもよい。
【0040】
要求に応じて連結装置3により、第2推進シャフト7を第1推進シャフト2に接続してもよく、この結果、第2エネルギ変換器5が第2推進エネルギを推進装置1に供給する。
例えば、少量の推進エネルギを必要とする場合、第2推進シャフト7を第1推進シャフト2から連結装置により連結を解いてもよく、この結果、第1エネルギ変換器を有する第1推進シャフト2のみが第1推進エネルギを供給する。
推進シャフト7とそれ伴う第2エネルギ変換器との不必要なアイドル状態がこうして防止され、この結果、例えば摩擦による損失を防止することができる。
【0041】
また、第1エネルギ変換器と第2エネルギ変換器のデザインは異なっていてもよい。
第1エネルギ変換器は、例えば、ピストンエンジンを備えていてもよいし、第2エネルギ変換器が電動モータを備えていてもよく、このエンジンとモータが、双方共にか、又はそれぞれが別個に推進エネルギを第1推進シャフト2及び/又は第2推進シャフト7に供給してもよい。
【0042】
図2に係わる例示的実施形態では、飛行段階に応じて、推進エネルギのエネルギ要求を設定することが可能である。
例えば、離陸又は着陸段階では、航空機は両方のエネルギ変換器で推進エネルギを発生してもよく、一方、巡航飛行では、1つのエネルギ変換器のみで推進エネルギを発生してもよい。
こうして、大幅なエネルギ損失を受けることなく、必要に応じて効率よく推進エネルギを供給することが可能となる。
【0043】
図3は、推進装置の別の一例示的実施形態である。
図3に示すように、第1エネルギ変換器は、第1連結装置8により推進装置1に接続されてもよく、また、第2エネルギ変換器5は、第3連結装置8で推進装置1に接続されてもよい。
従って、第1エネルギ変換器4と第2エネルギ変換器5との実動時間数は、公平に分配することが可能である。
例えば、単一エンジン稼動の場合、実動時間数をニつのエネルギ変換器4、5間で公平に分割することができる。
こうして、個々のエネルギ変換器の異なる実動サイクルを防止でき、それにより保守努力及びそれに伴う保守費用とを削減することが可能である。
【0044】
図4は、各エネルギ変換器がそれぞれ独自のタンク6、11を有する別の一例示的実施形態である。
従って、第1エネルギ変換器4は第1タンク6を有し、第2エネルギ変換器5は第2タンク11を有する。
第2エネルギ変換器は、第1連結装置3を介して、第2推進シャフト7により第2推進シャフト2に接続されてもよい。
これにより、異なるエネルギ変換器4、5を使用する選択肢が提供され、しかもかかる変換器は異なる燃料を使用する。
例えば、第1タンク1がケロシンンからなる場合、燃焼室は第1エネルギ変換器4として使用されてもよく、また、第2タンク4が電気エネルギを供給するために電池からなる場合、電動モータを第2エネルギ変換器5として使用してもよい。
こうして、要求に応じて、個々のエネルギ変換器4、5の適した特徴を使用することができる。
例えば、航空機が空港近辺にいる場合、例えば、環境的に優しい1つのエネルギ変換器4,5により、例えば全く排出ガスを出さない電動モータを介して推進エネルギを発生してもよい。
【0045】
さらに、例えば、異なる飛行高度で、特定の1つのエネルギ変換器4,5を使用してもよい。
1つのエネルギ変換器4、5が、例えば、水素で作動されている場合、水が排ガスとして生じる。
高度が1万マイル以下では、この水は、2週間から最高6週間、大気に留まる。
一方、二酸化炭素は、最高約100年間、大気に留まると考えられている。
従って、例えば、水素駆動型エネルギ変換器は、1万マイルまでに使用し、1万マイルからはエネルギ変換器として燃焼室による従来の推進を利用してもよい。
このように、経済的態様以外に、生態学的態様にも推進装置を設定することができる。
【0046】
図5は、燃料を第1タンク6から取得する第1エネルギ変換器4と第2エネルギ変換器5とを有する、本発明の一例示的実施形態である。
第1エネルギ変換器4又は第2エネルギ変換器5のそれぞれの推進エネルギは、推進シャフト2、2’及び第2推進シャフト7、7’を介して、推進装置1に伝達されてもよい。
例えば、第1かさ歯車配置18及び第2かさ歯車配置19等の多様な引受(ギヤ)を介して、各推進エネルギは推進装置1までのかなりの距離を伝達されてもよい。
従って、例えば、第1エネルギ変換器及び/又は第2エネルギ変換器は、第1推進装置1から離れるように設けられてもよい。
エネルギ変換器4,5は、必要に応じて、第2連結装置8又は第3連結装置9を介して接続されてもよい。
【0047】
従って、例えば、航空機内に、タンク6と第1エネルギ変換器4と第2エネルギ変換器5とを統合することが可能である。
第1エネルギ変換器4、第2エネルギ変換器5及びタンク6を、例えば、航空機の外側輪郭の内部に設けると、推進装置1のみが航空機の外側輪郭の外部にある自由な気流内にあることになる。
従って、抗力を削減することが可能となり、流れ抵抗による損失を削減することができる。
【0048】
図6は、1つのエネルギ変換器4、5の一例示的実施形態であり、変換器は第1タンク6から第1燃料を取得し、第2タンク11から第2燃料を取得する。
この配列では、第1燃料と第2燃料とは異なってもよい。
従って、前記1つのエネルギ変換器4、5は、二価であっても、またハイブリッド設計で構成されてもよい。
これは、前記1つのエネルギ変換器4、5が、例えば、一方では従来のケロシン燃料により、また他方では、例えば、天然ガスにより推進エネルギを発生してもよい。
こうして、経済的及び生態学的要件に応じて、第1又は第2燃料による燃料供給を選択することができ、そのため、推進装置は推進エネルギ又は前方推進力を効果的かつ環境的に優しい様式で供給することができる。
従って、例えば、飛行場の近傍等の、人口密集地域では、環境的に優しい燃料を使用し、巡航飛行中は、効率的な燃料だが汚染物質の量の増大に関係する燃料を使用することが可能である。
【0049】
エネルギ変換器6、11の連結装置3、8、9を制御するために、推進エネルギを発生するための第1エネルギ変換器4又は第2エネルギ変換器5を、要件に応じて自動的に自ら行う方式で接続する制御装置が使用されてもよい。
このように、第1推進エネルギ又は第2推進エネルギの手動制御以外に、自動制御も可能で、それにより、経済的で環境的にも優しい推進装置を提供することができる。
【0050】
また、「備える」や「含む」が他のエレメントや工程を除外しなく、また、「1」や「1つ」が複数を除外しないことを指摘しておく。
さらに、上記の例示的実施形態の1つに関して記載された特徴又は工程は、上記記載の他の例示的実施形態の他の特徴又は工程と組み合わせて使用されてもよいことを指摘しておく。
請求項の参照符号は、制限条件と解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エネルギ変換器(4)と、
第2エネルギ変換器(5)と、
推進装置(1)と、
第1燃料を有する第1タンク(6)と、
第2燃料を有する第2タンク(10)とを備え、
前記第1エネルギ変換器(4)は、第1推進エネルギを供給し、
前記第2エネルギ変換器(5)は、第2推進エネルギを供給し、
前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)は、前記推進装置(1)に前記第1推進エネルギと前記第2推進エネルギとを供給するように適合され、
前記推進装置(1)は、前記第1推進エネルギおよび前記第2推進エネルギの少なくとも一方によって前方推進力を発生させるように適合し、
前記第1タンク(6)は、少なくとも前記第1燃料を有する前記第1エネルギ変換器(4)に供給するように適合し、
前記第2タンク(10)は、少なくとも前記第2燃料を有する前記第2エネルギ変換器(5)に供給するように適合し、
前記第1燃料は、前記第2燃料と異なり、
前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)の少なくとも一方の変換器は、前記第1燃料および前記第2燃料によって作動可能である、ことを特徴とする航空機用の推進装置。
【請求項2】
前記第1エネルギ変換器(4)は、前記第2エネルギ変換器(5)とは異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の推進装置。
【請求項3】
第1推進シャフト(2)と、
第2推進シャフト(7)とを更に備え、
前記第1推進シャフト(2)は、前記推進装置(1)に前記第1エネルギ変換器(4)の前記第1推進エネルギを伝達するように適合し、
前記第2推進シャフト(2)は、前記推進装置(1)に前記第2エネルギ変換器(5)の前記第2推進エネルギを伝達するように適合する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の推進装置。
【請求項4】
第1連結装置(3)を更に備え、
前記第1推進シャフト(2)および前記第2推進シャフト(7)は、前記第1連結装置(3)によって連結するように適合する、ことを特徴とする請求項3に記載の推進装置。
【請求項5】
第2連結装置(8)と、
第3連結装置(9)を更に備え、
前記第1推進シャフト(2)は、前記第2連結装置(8)によって前記推進装置(1)に連結するように適合し、前記第1推進エネルギは、前記推進装置(1)に伝達可能になり、
前記第2推進シャフト(7)は、前記第3連結装置(9)によって前記推進装置(1)に連結するように適合し、前記第2推進エネルギは、前記推進装置(1)に伝達可能になる、ことを特徴とする請求項3に記載の推進装置。
【請求項6】
前記第1燃料を有する前記第1タンク(6)を更に備え、
前記第1タンク(6)は、前記第1燃料を前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)に供給するように適合する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の推進装置。
【請求項7】
前記第1タンク(6)は、前記第1燃料を前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)に供給するように適合し、
前記第2タンク(10)は、前記第2燃料を前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)に供給するように適合する、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つ記載の推進装置。
【請求項8】
前記第1燃料および前記第2燃料の少なくとも一方は、ガソリン、灯油、ディーゼル油、水素、メタン、天然ガスおよび合成炭化水素を含む群から選択される、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の推進装置。
【請求項9】
前記推進装置(1)は、ターボプロペラ推進装置、ジェットエンジン、バイパスを有するジェットエンジンおよびプロペラ推進装置を含む群から選択される、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の推進装置。
【請求項10】
前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)の少なくとも一方の変換器は、ガスタービン、回転ピストンエンジンおよび電気モータを含む群から選択される、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の推進装置。
【請求項11】
制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)を制御するように適合する、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の推進装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)を制御するように適合され、
第1動作状態において前記第1推進エネルギおよび前記第2推進エネルギは、前記推進装置(1)に供給可能であり、
前記制御装置は、前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)を制御するように適合され、
第2動作状態において前記第1推進エネルギまたは前記第2推進エネルギは、前記推進装置(l)に供給可能である、ことを特徴とする請求項11に記載の推進装置。
【請求項13】
第1燃料または第2燃料を付加的に第1エネルギ変換器(4)に作用させるステップと、
第1エネルギ変換器(4)によって第1推進エネルギを供給するステップと、
第2エネルギ変換器(5)によって第2推進エネルギを供給するステップと、
前記第1推進エネルギおよび前記第2推進エネルギを推進装置(1)に供給するステップと、
前記推進装置(1)によって前方推進力を発生させるステップとを含み、
前記第1燃料は、前記第2燃料と異なる、ことを特徴とする航空機の推進方法。
【請求項14】
所定の飛行段階に応じて、前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)によって前記推進エネルギを供給するステップを含む、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
航空機の請求項1乃至12のいずれか1つに記載の前記推進装置の使用。
【請求項16】
請求項1乃至12のいずれか1つに記載の推進装置を備える航空機。
【請求項17】
前記航空機は、外側の輪郭線を有し、
前記第1エネルギ変換器(4)および前記第2エネルギ変換器(5)の少なくとも一方の変換器は、前記外側の輪郭線の内側に配置される、ことを特徴とする請求項16に記載の航空機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−510930(P2010−510930A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538690(P2009−538690)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062796
【国際公開番号】WO2008/065065
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(504467484)エアバス・オペレーションズ・ゲーエムベーハー (268)