説明

船搬送装置

【課題】2つの水面が陸地を介して並存する場所において、この陸地を変形させることなく、この2つの水面間で船を移動させることが可能な装置を提供する。
【解決手段】本発明は、第1の水面1から第2の水面2へ船Aを搬送するための装置である。船Aを第1の水面1から離水させる上昇手段3と、上昇手段3により離水した船Aを、第1の水面1の上方から第2の水面2の上方まで搬送する空中搬送手段5と、空中搬送手段5により第2の水面2の上方まで搬送された船Aを、第2の水面2に着水させる下降手段4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の水面から第2の水面へ船を搬送する船搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、船で走行が可能な河川等の水面が、陸地を挟んで存するような場所がある。一例として、2つの異なる河川が陸地を隔てて形成されているような場所が挙げられる。この水面を走る船は、遊覧や移動,物資の運搬等を目的とするものであり、広く水面上を移動できることが望まれる。特に、上記のような陸地を挟んだ水面において、水面間を自由に移動できれば、それは非常に有用なものとなる。
【0003】
そこで、異なる2つの水面間を自由に行き来できるようにするため、一方の水面(第1の水面)と他方の水面(第2の水面)とを船が通過可能な水路にて繋ぐことが行なわれている。このように水路を設けることで、第1の水面から第2の水面へ水路を通って移動しようとするものである。
【0004】
ところが第1の水面と第2の水面との水位は、その土地・地形によって異なるのが通常である。水路にてこれらを繋ぐような場合、仮に、第1の水面と第2の水面とで高さ(水位)が大きく異なると、水が水面の高い側から低い側へ流れ込んでしまい、水害等の問題が発生してしまう。このためこの場合には、水路に閘門が設置される(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この閘門は、一対の水門で形成する閘室内の水位を昇降制御するものであり、船が第1の水面側から閘室に入った後、第1の水面側の水門を閉めると共に閘室の水位を第2の水面の高さに制御し、その後、第2の水面側の水門を開くものである。
【0006】
しかしこの閘門を設置するには、地面を大きく削り取る等して陸地を変形させる必要があり、非常に大掛かりな工事になってしまうという問題がある。これは、水路の無い場所においては水路を形成しなければならないことはもちろんのこと、既に水路が設けられている場合においても、複数の水門を設置する必要があるからである。しかもこの場合には、流通する水を堰き止めたうえで作業を行なう必要があり、作業が一層困難なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−266177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2つの水面が陸地を介して並存する場所において、この陸地を変形させることなく、この2つの水面間で船を移動させることが可能な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の船搬送装置は以下の構成とする。
【0010】
本発明は、第1の水面1から第2の水面2へ船Aを搬送するための装置である。船Aを第1の水面1から離水させる上昇手段3と、上昇手段3により離水した船Aを、第1の水面1の上方から第2の水面2の上方まで搬送する空中搬送手段5と、空中搬送手段5により第2の水面2の上方まで搬送された船Aを、第2の水面2に着水させる下降手段4とを備える。
【0011】
第1の水面1を走行する船Aが、上昇手段3・空中搬送手段5・下降手段4の順に移動し、第2の水面2へと搬送される。これにより、第1の水面1と第2の水面2との間で船Aを移動させることができる。
【0012】
また、本発明の船搬送装置の空中搬送手段5は、上昇手段3と下降手段4とを繋ぐように空中に配設されたレール64と、レール64に沿って移動すると共に船Aを搭載可能とされた搬送台車7とを有することが好ましい。
【0013】
この構成によると、単純な構成の船搬送装置とすることが可能となる。
【0014】
また、本発明の船搬送装置のレール64は、第1の水面1と第2の水面2とを繋ぐ水路Dに対し平面視で重なるように形成された直上部61と、直上部61に連続して設けられると共に水路Dに設けられた水門90に対し平面視における干渉を回避する湾曲部62とを有することが好ましい。
【0015】
この構成によると、仮に水門90が設けられていたとしても、極力高さを低くし且つ高低差のないレール64とすることが可能となり、搬送台車7が安定して駆動することができる。
【0016】
また、本発明の上昇手段3及び下降手段4が、ともに昇降装置8であることが好ましい。
【0017】
この構成によると、船が第1の水面1と第2の水面2との間を相互に行き来することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2つの水面が陸地を介して並存する場所において、この陸地を変形させることなく、この2つの水面間で船を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の船搬送装置の一部を省略した側面図であり、上昇手段・下降手段・空中搬送手段ごとに船を搬送している状態を表した説明図である。
【図2】同上の一部を省略した上面図である。
【図3】同上の昇降装置と搬送台車の側面から見た詳細図である。
【図4】同上の昇降装置の正面から見た詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施形態の船搬送装置は、図1,2に示されるように、第1の河川Bと、第2の河川Cとを掛け渡すように設けられている。この第1の河川Bは、第2の河川Cと水路Dにて接続されている。この第1の河川Bの水面(第1の水面1)は、第2の河川Cの水面(第2の水面2)よりも水位が高くなっているため、この水路Dには水門90が設けられており、第2の水面2とともにその高さが保たれている。水路Dの上方には、水路Dの上開口を閉塞するようにして敷地部91が設けられており、この敷地部91には草木などが植え込まれて公園が形成されている。この敷地部91よりも上方に水門90が突出している。
【0022】
船搬送装置は、図1に示されるように、第1の河川Bに設けられた上昇手段3と、船Aを第1の水面1の上方から第2の水面2の上方まで水平方向に搬送する空中搬送手段5と、第2の河川Cに設けられた下降手段4とを備える。本例は、第1の河川Bと第2の河川Cとを繋ぐ水路Dがすでに形成されている場所に、本実施形態の船搬送装置が設置されたものである。なお説明の便宜上、船Aの搬送方向を前後方向として、以下説明する。
【0023】
上昇手段3は、船Aを持ち上げて第1の水面1から離水させるためのものであり、本実施形態では昇降装置8により構成されている。この昇降装置8は、図3,4に示されるように、第1の河川Bの川底に固設された一対の支柱部81と、一対の支柱部81にそれぞれ回動自在に設けられた一対の油圧シリンダ82と、油圧シリンダ82により上下に移動する昇降レールユニット83とを備えている。また、昇降装置8は、図2に示されるように、後述の搬送台車7に船Aを導入する導入ガイド部84をさらに備えている。
【0024】
各支柱部81は、図3に示されるように、2本の縦柱810が所定の間隔で離間して設けられ、その間を繋ぐようにして複数の連結片811が設けられている。各支柱部81の上下方向の略中間部分で且つ前記離間した縦柱810間には、シリンダ取付部812が設けられており、このシリンダ取付部812には、油圧シリンダ82が枢軸813を介して取り付けられている。なお、対向する一対の支柱部81は、上端が相互に連結されており、強度の向上が図られている。
【0025】
導入ガイド部84はこの支柱部81の下部(ちょうど水面が位置する高さ)に固設されており、図2に示されるように、突出先端側ほど対向する側面間の距離が大きくなるようになっている。
【0026】
昇降レールユニット83は、図4に示されるように、油圧シリンダ82を介して各支柱部81と連結しており、一対の支柱部81間を上下動自在に移動する。昇降レールユニット83は、2つの円柱を主体とした支持本体部85と、支持本体部85の下方に設けられると共に後述の搬送台車7を支持する一対のレール86と、支持本体部85にレール86を固定する一対の下向きC字状の連結部87と、支持本体部85から下方に向けて突設されると共に後述の搬送台車7の駆動タイヤ78に挟持される駆動用突出片851とを備える。さらに昇降レールユニット83は、縦柱810に向けて突設されたガイド部88を有しており、このガイド部88はその突出先端にガイドローラ881を有している。このガイドローラ881は、各縦柱810の昇降レールユニット83側の面に接しながら上下に円滑に転がり、一定の直線軌道を描く。また、支持本体部85の前後方向の略中間部分には油圧シリンダ82のロッドに回動自在に連結される接続片89が突設されている。この接続片89に油圧シリンダ82のロッドが接続され、且つガイド部88により上下方向に移動可能にガイドされた昇降レールユニット83は、油圧シリンダ82のロッドの伸縮により、安定した姿勢で上下往復動を行なう。
【0027】
下降手段4は、空中搬送手段5により第2の水面2の上方まで水平搬送された船Aを、第2の水面2に着水させるためのものであり、本実施形態では上昇手段3と同様に昇降装置8によって構成されている。この昇降装置8は、上述した上昇手段3で用いられていたものと同様の構成となっている。このため、その説明は省略する。
【0028】
空中搬送手段5は、上記昇降装置8により持ち上げられて離水した船Aを第1の水面1の上方から第2の水面2の上方まで搬送するものである。空中搬送手段5は、上昇手段3の昇降装置8と下降手段4の昇降装置8とを繋ぐように配設されると共に空中に配された走行レール部6と、走行レール部6に沿って移動すると共に船Aを搭載可能とされた搬送台車7とを有する。
【0029】
走行レール部6は、前後に長い支持固定部63と、支持固定部63の下方に配置され空中に位置する円柱状をした一対のレール64と、支持固定部63と当該レール64とを相互に連結固定する連結固定部65とを備える。支持固定部63には、後述の搬送台車7の駆動タイヤ78に挟持される駆動用突出片631が、下方に向けて突出するように一体に設けられている。この駆動用突出片631は走行レール部6の一端から他端まで連続するように設けられている。この駆動用突出片631は、前後の端面が、上限まで上昇した状態の上昇手段3及び下降手段4の昇降装置8の駆動用突出片851の端面と近接対向するように設けられる。そしてこの状態では昇降装置8の駆動用突出片851と、両側面及び下面が略面一となるようになっている。連結固定部65は、下向きC字状に形成されており、一定の間隔ごとに複数配設される。この走行レール部6のレール64は、上昇した状態の上昇手段3及び下降手段4の昇降装置8のレール86と、同芯となる位置に配置され、それぞれの外周面同士は略面一の状態となる。
【0030】
走行レール部6のレール64の端部にはロック手段66が設けられている。このロック手段66は、上昇した状態の昇降装置8のレール86を、走行レール部6のレール64と同じレベルに保つために設けられている。つまり、昇降装置8の誤作動等によって、昇降装置8のレール86が下降しないようにロックする。このロック手段66は以下の構造のものが一例として挙げられる。一例のロック手段66としては、走行レール部6のレール64の端面に設けられた突没自在な突起と、昇降装置8のレール86の端面に設けられると共に前記突起が嵌入する凹部とを備えたものが挙げられる。このものは、上記レール64,86の端面同士が対向したときに、走行レール部6のレール64の端面から昇降装置8のレール86の端面側に突起が突出し、この突起が昇降装置8のレール86の端面に設けられた凹部に嵌入するように作動する。なお、ロック手段66のこの構成は一例に過ぎず、レール64,86の端部の相互の位置が保持できるもの、あるいはレール64,86の端部同士が相互に固定可能なものであれば他の構成であってもよい。
【0031】
上記構成の走行レール部6は、図1に示されるように、敷地部91から一定の高さを保った略水平な状態で固設されている。敷地部91及び水路Dの上縁部ならびに第1の河川Bの川底には、複数のレール支持部材67が所定の間隔で固設されており、このレール支持部材67と支持固定部63とが固定されて、走行レール部6は空中に配設される。
【0032】
この走行レール部6のレール64は、図2に示されるように、水路Dに対し平面視で重なるように形成された水路Dの直上に位置する直上部61と、この直上部61に連続して設けられた湾曲部62とを有している。本実施形態の直上部61は平面視で略直線状に形成されている。これに対し湾曲部62は、水門90の側方を迂回するような軌道となっており、平面視における水門90への干渉を回避するように形成されている。
【0033】
搬送台車7は、図3に示されるように、船Aを搭載可能とされた船収容部71を有しており、その船収容部71に船Aを収容した状態で走行レール部6に沿って前後に移動する。搬送台車7は、船収容部71と、この船収容部71の上部に設けられた台車駆動装置72とを備え、これらが一体となったものである。
【0034】
船収容部71は、船Aを水中から上方に向けて持ち上げる部分となる船載置部73と、船載置部73の前後両端に設けられたストッパーゲート74と、船載置部73を台車駆動装置72に連結するフレーム部75とを有している。船載置部73は、すのこやエキスパンドメタル等の貫通孔を有する部材で構成されており、船Aと共に掬った水や、船Aに付着した水を下方に排出することができる。図4に示されるように、この船載置部73には船底に沿った形状をした船固定部材76が設けられており、船Aが水面から離水したときに左右に傾倒するのを防止する。この船載置部73の前後に設けられたストッパーゲート74は、図3に示されるように、一端が船載置部73に枢支されており、起倒自在となっている。このストッパーゲート74は、船Aが船収容部71にないときには水平に倒れた状態となり、一方、船Aが船載置部73上に位置した時点で垂直に起き上がった状態となるように駆動する。これにより、船載置部73上にある船Aが、搬送中に空中から落下するのを防いでいる。
【0035】
台車駆動装置72は、モータ部Mにより搬送台車7を自走させるための装置である。台車駆動装置72は、前記駆動用突出片631,851を両側から挟持する一対の駆動タイヤ78と、レール64,86を挟み込んで搬送台車7を支持する支持車輪77と、この駆動タイヤ78を駆動させるモータ部Mとを備える。一対の駆動タイヤ78は、モータ部Mによりそれぞれが反対方向に回転するようになっており、駆動用突出片631,851を挟みながらそれぞれが同じ回転数で回転して搬送台車7を前後に移動させる。支持車輪77は、回転自在となっており、図3,4に示されるように、上部車輪771と、側車輪772と、下部車輪773とを有し、レール64,86を上下方向と側方の一方(内方)とで挟み込む。この台車駆動装置72は、レール64,86に沿って移動するに際し、下向き略C字状をした走行レール部6の連結固定部65や昇降装置8の連結部87の内部を通過する(図4参照)。なお、本実施形態のモータ部Mは、各駆動タイヤ78をそれぞれ独立して駆動させる一対の減速機付きモータ79により構成されている。
【0036】
この台車駆動装置72への給電は、走行レール部6の連結固定部65の側方にレール64に沿って設けられた集電装置51によって行なわれる。集電装置51は、図示しない給電装置に接続されており、下方に向けて突出した接触子52を介して台車駆動装置72に電力を供給する。搬送台車7のフレーム部75の上端にはモータ部Mに導通する被接触部53が設けられており、搬送台車7がレール64上に位置したときに被接触部53と接触子52とが接触するようになっている。つまり搬送台車7は、レール64に支持された状態で、常に被接触部53と接触子52とが接触しており、常時給電がなされる(図4参照)。
【0037】
図4に示されるように、昇降装置8にも同様の構成の集電装置51が設けられている。この昇降装置8の集電装置51に接続される給電装置は、走行レール部6の集電装置51に接続される給電装置とは別の独立した給電装置が使用されている。
【0038】
このような構成の船搬送装置は次のように動作する。第1の水面1を走行する船Aは、導入ガイド部84にガイドされて搬送台車7に導入され、船載置部73に載置される。するとストッパーゲート74が起き上がると共に昇降装置8の昇降レールユニット83が上昇し始め、船Aは第1の水面1から離水する。昇降装置8の昇降レールユニット83が上限にまで上昇すると、ロック手段66により各レール同士が相互にロックされる。次いで搬送台車7の台車駆動装置72が駆動し始め、船Aは、搬送台車7により走行レール部6に沿って第2の水面2の上方に向けて搬送される。下降手段4の昇降装置8にまで搬送台車7が移動すると、その昇降装置8のロック手段66が解除される。次いで昇降レールユニット83が下降し始め、船Aは第2の水面2に着水する。すると、ストッパーゲート74が水平な状態となるまで回動する。これにより船Aは第2の水面2上を走行可能な状態となる。
【0039】
このように本実施形態の船搬送装置によれば、第1の水面1から第2の水面2へと船Aを搬送することができる。しかも、本実施形態の船搬送装置は、閘門を設置する場合のように陸地を大きく削り取ったり掘り起こしたりする必要がなく、地形を変形させずに設置することができる。このため比較的容易に施工ができる。
【0040】
さらに、本実施形態の船搬送装置は、上昇手段3及び下降手段4が昇降装置8にて構成されており、昇降装置8で上昇及び下降のいずれをも行なうことができるので、船Aが第1の水面1と第2の水面2との間を相互に行き来することができる。
【0041】
また、本実施形態の船搬送装置は、乗客が船Aに乗ったまま空中を通して搬送を行なうこともできるため、遊戯性も高い。しかも走行レール部6のレール64が、直線状の直上部61と、この直上部61に連続して設けられた湾曲部62とを有しているため、直線状の動きと湾曲した動きを楽しむことができて遊戯性がさらに高まる。さらに湾曲部62が水門90の側方を迂回するようになっているため、乗客に、正面から側方へと視点を移すような水門90の眺めを楽しませることができる。そのうえ、レール64の直上部61が水路Dの直上に設けられているため、乗客に水路Dや敷地部91の景観を楽しませることができるという利点もある。
【0042】
さらに、本実施形態の船搬送装置は、湾曲部62が設けられているため、水門90が設けられていても、レール64の高さをできるだけ低くしつつ高低差のないレール64とすることができる。これにより搬送台車7を無理のない安定した状態で駆動させることができる。
【0043】
また、本実施形態の船搬送装置は、空中に配設されたレール64に沿って搬送台車7が移動するため、陸地に障害物があっても影響を受けないで設置することができる。さらに、搬送台車7が台車駆動装置72により自走するため、レール64を長くするような設計もしやすく、水面1,2同士が離れた場所にある場合であっても設置することができる。
【0044】
また、本実施形態の船搬送装置は、設置に際して水路Dや水門90を新たに形成する必要がないため、第1の水面1と第2の水面2の水位を考慮する必要もなく、また水位の変化に影響を受けないという利点も有している。
【0045】
なお、本実施形態の船搬送装置は、船Aを第1の河川Bから第2の河川Cへと移動する構成であったが、本発明の船搬送装置は、船Aが走行可能な水面であれば、海や湖であっても当然適用可能である。さらに、本実施形態の船搬送装置は、第1の水面1と第2の水面2とを水路Dによって接続された場所に設置されていたが、本発明の搬送装置は、水路Dが設けられていない部分においても設置することができ、水路Dや水門90の有無は限定されるものではない。
【0046】
また、本実施形態の船搬送装置は、第1の水面1が第2の水面2よりも水位が高くなっており、第1の水面1と第2の水面2とで高低差がある例に基づいて説明したが、本発明の搬送装置は、川の本流の水面と支流の水面との間を移動する場合のように、第1の水面1と第2の水面2とで水位の差がなくてもよく、つまり第1の水面1と第2の水面2の高低は限定されるものではない。
【0047】
また、本実施形態の昇降装置8は、油圧シリンダ82により昇降レールユニット83の昇降を行なうような構成であったが、この昇降装置8は、例えばワイヤーロープを介してウィンチにより昇降レールユニット83を昇降させるような構成であってもよく、本発明の昇降装置8としてはこの点特に限定されるものではない。
【0048】
また、本実施形態の船搬送装置は、船Aに乗客を乗せたまま搬送する例に基づいてその動作を説明したが、本発明の船搬送装置は、乗客を乗せていない船Aの搬送にも当然使用される。
【符号の説明】
【0049】
1 第1の水面
2 第2の水面
3 上昇手段
4 下降手段
5 空中搬送手段
6 走行レール部
61 直上部
62 湾曲部
64 レール
65 連結固定部
66 ロック手段
67 レール支持部材
7 搬送台車
71 船収容部
72 台車駆動装置
73 船載置部
74 ストッパーゲート
75 フレーム部
8 昇降装置
81 支柱部
82 油圧シリンダ
83 昇降レールユニット
90 水門
91 敷地部
A 船
B 第1の河川
C 第2の河川
M モータ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の水面から第2の水面へ船を搬送するための装置であって、
船を第1の水面から離水させる上昇手段と、
上昇手段により離水した船を、第1の水面の上方から第2の水面の上方まで搬送する空中搬送手段と、
空中搬送手段により第2の水面の上方まで搬送された船を、第2の水面に着水させる下降手段と、
を備えたことを特徴とする船搬送装置。
【請求項2】
前記空中搬送手段は、
上昇手段と下降手段とを繋ぐように空中に配設されたレールと、
レールに沿って移動すると共に船を搭載可能とされた搬送台車と、
を有する、請求項1に記載の船搬送装置。
【請求項3】
前記レールは、
第1の水面と第2の水面とを繋ぐ水路に対し平面視で重なるように形成された直上部と、
直上部に連続して設けられると共に、水路に設けられた水門に対し平面視における干渉を回避する湾曲部と、
を有する、請求項2に記載の船搬送装置。
【請求項4】
前記上昇手段及び下降手段がともに昇降装置である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の船搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−174253(P2011−174253A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37751(P2010−37751)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(390002196)泉陽興業株式会社 (28)