説明

船舶におけるバラストタンクのレベルおよびガス検知装置および方法

【課題】 本発明は、船舶におけるバラストタンクの張水レベルを検知するレベル検知装置とバラストタンク内のガス濃度を検知するガス検知装置の管路構成を節約することができる船舶におけるバラストタンクのレベルおよびガス検知装置および方法を得ることを目的とする。
【解決手段】 船舶におけるバラストタンクのレベル検知装置とガス検知装置であって、三方切替え弁を介してレベル検知装置とガス検知装置とに切替え接続可能にして、レベル検知装置のエア放出管路とガス検知装置のガス吸引管路とに兼用する管路を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶におけるバラストタンクのレベルおよびガス検知装置および同装置を用いるレベルおよびガス検知方法に係わるものであり、特に、レベル検知装置のエア放出管路とガス検知装置のガス吸引管路を共用することを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
従来より、船舶におけるバラストタンクには、レベル検知装置とガス検知装置が備えられている。レベル検知装置はウオーターバラスト(以下単にバラストとする)を張水したとき、タンク内液面レベルを検知するためのものであり、ガス検知装置はバラストタンクが空の状態のとき、カーゴタンクからのカーゴの漏洩によりガスが発生していないか検知するためのものである。
【0003】
従来のレベル検知装置とガス検知装置の概要を、図3、図4に示した例によって説明する。1はレベル検知装置、2はガス検知装置、3はバラストタンクであって、図3はバラストを張水してレベル検知装置1を設定している状態であり、図4はバラストタンク3が空で、ガス検知装置2を設定している状態を示している。
【0004】
レベル検知装置1は、高圧エアを蓄積するレギュレーター4と、該レギュレーター4から供給管路P1により高圧エアの供給を受け、所定量のエアを放出管路P3によりバラストタンク3に放出すると共に、バラストタンク3の背圧を背圧管路P2に伝えるパージユニット5と、背圧管路P2に接続されたレベル計7とで構成されている。この構成において放出管路P3はバラストタンク3の低層部に開口していて、エアはバラストタンク3の低層部に放出される(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
なお、P4はレギュレーター4に接続されてレギュレーター4から高圧エアの供給を受ける調整用管路であって、背圧管路P2に四方切替え弁6により切替え接続される構成になっており、液面レベルの検知をする前にレベル計7の0点調整を行ったり、放出管路P3の逆洗を行ったりする管路である。
【0006】
したがって、バラストタンク3にバラストを注水するとき、パージユニット5から放出管路P3を通し、所定量のエアをバラストタンク3の低層部に放出していると、水位が高くなるに連れて放出管路P3の開口部にかかる水圧は大きくなってくる。このため、放出管路P3にかかる背圧が高くなる。このとき、四方切替え弁6によってレベル計7を背圧管路P2に接続していると、この背圧によってレベル計7がバラストタンク3内の液面レベルを表示することになる。
【0007】
一方、ガス検知装置2は、バラストタンク3の低層部に開口し、フレームアレスター8に繋がるガス吸引管路P5と、フレームアレスター8からのガスを排出する排出管路P6と、該排出管路P6中に挿設されたポンプ9およびガス検知器10とで構成されている。
なお、11はガス吸引管P5の室内側(居住区あるいは機械室)に挿設された開閉弁である。
【0008】
したがって、バラストタンク3が空のときに、開閉弁11を開いて、ポンプ9を作動すれば、バラストタンク3の低層部のガスが吸引されて、ガス吸引管路P5よりフレームアレスター8を通って排出管路P6に送られ排出されるが、このとき、ガス検知器10においてガス含有量が検知される。なお、ガス検知器10によりガスが検知されたときは、ガス検知器10から計器盤(図示せず)に信号が送られ、ガス検知が表示され、アラームが作動するようになっている。
【0009】
従来のレベル検知装置1とガス検知装置2とは以上のような構成である。レベル検知装置1はバラストが張水されているときに設定されるものであり、ガス検知装置2はバラストタンク3が空のとき設定されるものであって、互いに独立した計器設備として別々に設置されている。
【0010】
【非特許文献1】文献「貨物油荷役遠隔制御装置設計基準」(134〜135ページ) 昭和47年2月20日 海文堂出版株式会社発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の船舶におけるバラストタンク3のレベル検知装置1とガス検知装置2とは独立した設備として別々に設置されていたので、深いバラストタンク3の低層部に開口するエア放出管路P3とガス吸引管路P5とを別々に備える構成であり、しかも、各バラストタンク3ごとに設置するものであるから、装置が高価なものとなっていた。
例えば、バラストタンク3を多数個備えたアフラマックスタンカーでは、室内への引き込み部分も含めてエア放出管路P3とガス吸引管路P5とを別々に1500mほどの管路を設けていた。
【0012】
本発明は、上述のごとき問題点を解決したもので、レベル検知装置とガス検知装置の管路を節約することができる船舶におけるバラストタンクのレベルおよびガス検知装置および同装置を使用したレベルおよびガス検知方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
船舶におけるバラストタンクのレベルおよびガス検知装置であって、一端をバラストタンクの低層部に開口させ、他端を三方切替え弁を介してレベル検知装置とガス検知装置とに切替え接続可能にして、エア放出とガス吸引とに兼用する管路を設けた。
また、船舶におけるバラストタンクのレベルおよびガス検知方法であって、一端をバラストタンクの低層部に開口させ、他端を三方切替え弁を介してレベル検知装置とガス検知装置とに切替え接続可能にした管路を設け、バラストタンク内の液面レベルを検知するときは、三方切替え弁によって前記管路をレベル検知装置に接続して該管路からエアを放出させ、バラストタンク内のガスを検知するときは、三方切替え弁によって前記管路をガス検知装置に接続して該管路よりガスを吸引するようにした。
【発明の効果】
【0014】
船舶におけるバラストタンクの、レベル検知装置のエア放出とガス検知装置のガス吸引とを、一つの管路で共用するようにしたので、レベルおよびガス検知装置を経済的に構成できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図示した本発明の最良の形態について説明する。図1は本発明によるレベルおよびガス検知装置であり、バラストタンクに張水した状態を示す。図2は同じく、バラストタンクが空の状態を示す。なお、図3、図4に沿って説明した従来のものと同じ部分については同一記号を付し、詳細な説明は省略する。
【0016】
図1、図2において、バラストタンク3には、一端をバラストタンク3の低層部に開口するエア放出兼ガス吸引管路P7が設けられている。このエア放出兼ガス吸引管路P7の他端側は三方切替え弁12を介してレベル検知装置1およびガス検知装置2と接続されている。なお、エア放出兼ガス吸引管路P7の室内側には開閉弁11が挿設されている。
【0017】
このように、三方切替え弁12を介してレベル検知装置1とガス検知装置2とに切替え接続可能にしてエア放出兼ガス吸引管路P7を設けたので、バラストタンク3にバラストを注水し、バラストタンク3内の液面レベルを検知するときには、三方切替え弁12によりエア放出兼ガス吸引管路P7をレベル検知装置1に接続し、パージユニット5から所定量のエアをエア放出兼吸引管路P7からバラストタンク3内に放出してバラストのレベルを検知することができる。
【0018】
また、バラストタンク3内のガスを検知するときには、三方切替え弁12を切替えてエア放出兼ガス吸引管路P7をガス検知装置2に接続し、ポンプ9を作動することによってバラストタンク3内のガスをエア放出兼ガス吸引管路P7により吸引してガス検知器10でガス濃度を検知することができる。
【0019】
本発明は上述のごとき構成としたものであり、レベル検知装置1はバラストタンク3にバラストを張水するときに設定するもので、ガス検知装置2はバラストタンク3が空の時に設定するものであるから、レベル検知装置1を設定するときには、エアの放出管路として、また、ガス検知装置2を設定するときにはガス吸引管路としてエア放出兼ガス吸引管路P7を切替え使用できるので、管路構成を低コストにしたレベルおよびガス検知装置および同装置を使用したレベルおよびガス検知方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】バラストを張水した状態を示す本発明のレベルおよびガス検知装置。
【図2】バラストタンクが空の状態を示す本発明のレベルおよびガス検知装置。
【図3】バラストを張水した状態を示す従来のレベル検知装置とガス検知装置。
【図4】バラストタンクが空の状態を示す従来のレベル検知装置とガス検知装置。
【符号の説明】
【0021】
1 レベル検知装置 2 ガス検知装置
3 バラストタンク 4 レギュレーター
5 パージユニット 6 四方切替え弁
7 レベル計 8 フレームアレスター
9 ポンプ 10 ガス検知器
11 開閉弁 12 三方切替え弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端をバラストタンクの低層部に開口させ、他端を三方切替え弁を介してレベル検知装置とガス検知装置とに切替え接続可能にして、エア放出とガス吸引とに兼用する管路を設けたことを特徴とする船舶におけるバラストタンクのレベルおよびガス検知装置。
【請求項2】
バラストタンク内に配設され、一端をバラストタンクの低層部に開口させ、他端を三方切替え弁を介してレベル検知装置とガス検知装置とに切替え接続可能にした管路を設け、バラストタンク内の液面レベルを検知するときは、三方切替え弁によって前記管路をレベル検知装置に接続して該管路からエアを放出させ、バラストタンク内のガスを検知するときは、三方切替え弁によって前記管路をガス検知装置に接続して該管路よりガスを吸引することを特徴とする船舶におけるバラストタンクのレベルおよびガス検知方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−290475(P2007−290475A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119205(P2006−119205)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(503218067)住友重機械マリンエンジニアリング株式会社 (55)