説明

船舶用内燃機関の管理システム

【課題】整備センターにおいて船舶用内燃機関の整備後に整備認証が必要な場合に、容易に取得対応可能とする船舶用内燃機関を管理システムを提供する。
【解決手段】整備センターでの内燃機関の整備が完了した後には、情報端末に内燃機関の交換した構成部品名、構成部品の性能、部品交換日などの整備に係る情報とともに交換された部品の摩耗及び損傷情報が入力され(S32)、整備後の船舶用内燃機関に対し整備認証が必要な場合には、該情報管理装置から認証機関の情報端末に、該記憶媒体に記憶された整備来歴に関する情報を含めた内燃機関の固有情報が送信され(S33)、該船舶用内燃機関の固有情報に基づいて認証の判断が行われ、船舶用内燃機関に認証が与えられ(S34)、整備認証が認証機関の情報端末から情報管理装置に送信されて書き込まれ、該記憶媒体に記憶される(S35)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体に内燃機関に関する固有情報を記憶し、これに基づいて船舶用内燃機関を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶用内燃機関にはその固有情報、例えば内燃機関の諸元、要目に関する情報、内燃機関の審査図書、認証番号及び証書に関する情報、内燃機関の取扱説明書、パーツカタログ、整備マニアルに関する情報、内燃機関の構成部品に関する情報、前記内燃機関の検査成績記録に関する情報を記録した紙媒体が付属されていた。そして、船舶用内燃機関の経時劣化に応じて内燃機関製造元若しくは整備センターで整備が行われる時には紙媒体に記録された情報が参照されながら、部品交換などの作業が適宜実施され、整備に係る情報が紙媒体などに保存されていた。
【0003】
また、内燃機関を船舶などに搭載して利用する場合に、該船舶にパソコンとシステム管理会社のデータサーバとを通信可能に接続し、予めデータサーバに整備時期を記憶し、該データサーバから船舶のパソコンに整備指示情報を送信し、整備を実施するようにした技術(例えば、特許文献1参照。)も公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−157309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、内燃機関製造元と整備センターとが異なる場合、内燃機関の整備に係る情報は整備センターから内燃機関製造元に還元されることが少なかった。そのため、整備を行うごとに整備に係る情報を収集しても、これを内燃機関製造元では新たな内燃機関の開発などに活用できず、また整備センターでは有効に利用することができなかった。また、特許文献1のようなものでは、整備後にその内容に関する情報を収集し、今後の整備に活用することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、記憶媒体(3)と、無線又は有線通信手段を有する情報管理装置(4)とを備え、該記憶媒体(3)と情報管理装置(4)とを通信可能に接続した船舶用内燃機関(1)の管理システムにおいて、前記情報管理装置(4)と、該船舶用内燃機関(1)の整備を行う整備センター(5)に備えた通信手段を有する情報端末(6)とを、互いの通信網(9)により通信可能に接続し、該情報管理装置(4)は、該船舶用内燃機関(1)の停止ごとあるいは定期的に、船舶用内燃機関(1)の固有情報である、時間計測手段(21)、排気エミッション検知手段(22)、潤滑油劣化検知手段(23)、負荷検知手段(24)などの、各種検知手段の検出値を、記憶されている記憶媒体(3)から読み取り、前記船舶用内燃機関(1)の各部の劣化度合いや負荷度合いを演算し、次に船舶用内燃機関(1)劣化モデルと比較して整備時期を求め、前記劣化モデルによる判別結果から劣化部が特定され(ステップS16)、該劣化部の構成部品のうち、交換の必要がある構成部品が判定されて、整備時期が求められ(ステップS17)、前記整備センター(5)での内燃機関(1)の整備が完了した後には、前記情報端末(6)に内燃機関(1)の交換した構成部品名、構成部品の性能、部品交換日などの整備に係る情報とともに交換された部品の摩耗及び損傷情報が入力され、整備後の船舶用内燃機関(1)に対し整備認証が必要な場合には、該情報管理装置(4)から認証機関(51)の情報端末(52)に、該記憶媒体(3)に記憶された整備来歴に関する情報を含めた内燃機関(1)の固有情報が送信され(ステップS33)、該船舶用内燃機関(1)の固有情報に基づいて認証の判断が行われ、船舶用内燃機関(1)に認証が与えられ(ステップS34)、整備認証が認証機関(51)の情報端末(52)から情報管理装置(4)に送信されて書き込まれ、該記憶媒体(3)に記憶される(ステップS35)ものである。
【0007】
請求項2においては、請求項1記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記整備時期は情報管理装置(4)により書き込まれて記憶媒体(3)に記憶され、整備時期に応じてその設定された日数前に情報管理装置(4)から整備センター(5)の情報端末(6)に整備予約情報が送信され(ステップS18)、該情報管理装置(4)からの整備予約により整備の予約が自動的に行われるものである。
【0008】
請求項3においては、請求項1記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記船舶用内燃機関(1)の整備途中または整備完了後に、前記整備に係る情報が、整備センター(5)の情報端末(6)から、情報管理装置(4)に受信され(ステップS31)、該情報管理装置(4)により整備来歴に関する情報の一部として書き込まれ記憶媒体(3)に追記され(ステップS32)、該整備に係る情報を以後整備センター(5)の情報端末(6)で読み取り可能とし、整備時に利用可能としたものである。
【0009】
請求項4においては、請求項3記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記船舶用内燃機関(1)の整備に係る情報は整備センター(5)の情報端末(6)から情報管理装置(4)にも送信され、情報が情報管理装置(4)から,前記内燃機関製造元(7)に設けられる情報端末(8)に送信され、該船舶用内燃機関(1)の整備に関し収集した情報の一部として記憶手段(42)に構築されたデータベース(42a)に保存され、該データベース(42a)に保存された整備来歴に関する情報が、前記内燃機関各部の劣化度合い・負荷度合いに関する情報と同様に新たな内燃機関の開発や改良、製造などに活用可能としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、記憶媒体(3)と、無線又は有線通信手段を有する情報管理装置(4)とを備え、該記憶媒体(3)と情報管理装置(4)とを通信可能に接続した船舶用内燃機関(1)の管理システムにおいて、前記情報管理装置(4)と、該船舶用内燃機関(1)の整備を行う整備センター(5)に備えた通信手段を有する情報端末(6)とを、互いの通信網(9)により通信可能に接続し、該情報管理装置(4)は、該船舶用内燃機関(1)の停止ごとあるいは定期的に、船舶用内燃機関(1)の固有情報である、時間計測手段(21)、排気エミッション検知手段(22)、潤滑油劣化検知手段(23)、負荷検知手段(24)などの、各種検知手段の検出値を、記憶されている記憶媒体(3)から読み取り、前記船舶用内燃機関(1)の各部の劣化度合いや負荷度合いを演算し、次に船舶用内燃機関(1)劣化モデルと比較して整備時期を求め、前記劣化モデルによる判別結果から劣化部が特定され(ステップS16)、該劣化部の構成部品のうち、交換の必要がある構成部品が判定されて、整備時期が求められ(ステップS17)、前記整備センター(5)での内燃機関(1)の整備が完了した後には、前記情報端末(6)に内燃機関(1)の交換した構成部品名、構成部品の性能、部品交換日などの整備に係る情報とともに交換された部品の摩耗及び損傷情報が入力され、整備後の船舶用内燃機関(1)に対し整備認証が必要な場合には、該情報管理装置(4)から認証機関(51)の情報端末(52)に、該記憶媒体(3)に記憶された整備来歴に関する情報を含めた内燃機関(1)の固有情報が送信され(ステップS33)、該船舶用内燃機関(1)の固有情報に基づいて認証の判断が行われ、船舶用内燃機関(1)に認証が与えられ(ステップS34)、整備認証が認証機関(51)の情報端末(52)から情報管理装置(4)に送信されて書き込まれ、該記憶媒体(3)に記憶される(ステップS35)ので、これにより、船舶用内燃機関(1)の整備後に認証が必要な場合に容易に対応可能となる。
【0012】
また、整備センター(5)において整備後の内燃機関(1)に対し整備認証が必要な場合には、整備認証が認証機関(51)の情報端末(52)から情報管理装置(4)に送信されて書き込まれ、前記記憶媒体(3)に追加記憶されるので、整備後に認証が必要な場合に容易に対応することができる。
また、本発明の情報管理装置は、記憶媒体(3)に整備認証を追加記憶するように船舶用内燃機関(1)の管理システムを構成したことから、整備後に認証が必要な場合に容易に対応することができる。
【0013】
請求項2においては、請求項1記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記整備時期は情報管理装置(4)により書き込まれて記憶媒体(3)に記憶され、整備時期に応じてその設定された日数前に情報管理装置(4)から整備センター(5)の情報端末(6)に整備予約情報が送信され(ステップS18)、該情報管理装置(4)からの整備予約により整備の予約が自動的に行われるので、これにより、内燃機関1の所有者側では予約忘れが防止され、整備センター5側では整備体制を予め整えることができるようになる。
【0014】
請求項3においては、請求項1記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記船舶用内燃機関(1)の整備途中または整備完了後に、前記整備に係る情報が、整備センター(5)の情報端末(6)から、情報管理装置(4)に受信され(ステップS31)、該情報管理装置(4)により整備来歴に関する情報の一部として書き込まれ記憶媒体(3)に追記され(ステップS32)、該整備に係る情報を以後整備センター(5)の情報端末(6)で読み取り可能とし、整備時に利用可能としたので、整備に係る情報を新たな船舶用内燃機関の開発などに活用することができる。
【0015】
また、前記整備センター(5)の情報端末(6)と内燃機関製造元(7)に備えた通信手段を有する情報端末(8)と互いの通信網(9)により通信可能に接続し、該整備センター(5)の情報端末(6)から内燃機関製造元(7)の情報端末(8)に内燃機関(1)の整備時に交換した構成部品名、構成部品の性能、部品交換日などの整備に係る情報を送信するので、整備に係る情報を新たな船舶用内燃機関の開発などに活用することができる。
【0016】
請求項4においては、請求項3記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記船舶用内燃機関(1)の整備に係る情報は整備センター(5)の情報端末(6)から情報管理装置(4)にも送信され、情報が情報管理装置(4)から,前記内燃機関製造元(7)に設けられる情報端末(8)に送信され、該船舶用内燃機関(1)の整備に関し収集した情報の一部として記憶手段(42)に構築されたデータベース(42a)に保存され、該データベース(42a)に保存された整備来歴に関する情報が、前記内燃機関各部の劣化度合い・負荷度合いに関する情報と同様に新たな内燃機関の開発や改良、製造などに活用可能としたので、内燃機関製造元で部品を製造したり、設計変更をしたりする場合などに、交換された構成部品の摩耗、損傷情報を耐摩耗性や耐久性などを考慮して更に性能を向上させた構成部品を製造するのに役立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る内燃機関の管理システムの全体構成の一部を示す図。
【図2】情報管理装置の構成を示す図。
【図3】整備センターの情報端末の構成を示す図。
【図4】内燃機関製造元の情報端末の構成を示す図。
【図5】内燃機関の整備前における情報管理装置の処理過程の流れを示す図。
【図6】内燃機関の管理システムの全体構成の他部を示す図。
【図7】内燃機関の整備後における情報管理装置の処理過程の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、内燃機関1にはその運転を制御する制御装置2と、内燃機関1の固有情報を記憶する記憶媒体3とが設けられるとともに、該制御装置2及び記憶媒体3それぞれとの間で情報の通信を可能とする情報管理装置4が備えられている。
そして、内燃機関1の情報管理装置4、該内燃機関1の整備を行う整備センター5に備えられた情報端末6、該内燃機関1を製造した製造元7に備えられた情報端末8それぞれの間で互いに情報がインターネットなどの通信網9を介して通信可能とされ、内燃機関1の管理システムが構築されている。
【0019】
前記内燃機関1の情報管理装置4には、図2に示すように、CPUなどの演算処理手段11、ハードディスクドライブ・ROM・RAMなどの記憶手段12、ディスプレイなどの表示手段13、キーボードなどの入力手段14、有線又は無線の通信手段15などが備えられ、通信手段15により該情報管理装置4が外部の情報端末との間で情報を送受信可能とするように構成されている。
【0020】
さらに、前記情報管理装置4には記憶媒体3に対し情報の読み書きを可能とする読込・書込手段16が備えられ、該読取・書込手段16を介して情報管理装置4と記憶媒体3とが通信可能に接続されている。こうして、情報管理装置4と記憶媒体3との間で情報が送受信可能とされ、該情報管理装置4を介して記録媒体3に記憶された内燃機関1の固有情報が外部の情報端末で読取可能とされ、また記憶媒体3に新規情報が外部の情報端末から書込可能とされている。
【0021】
そして、前記情報管理装置4に内燃機関1の制御装置2が通信可能に接続されて、該情報管理装置4と制御装置2との間で情報が送受信可能とされている。制御装置2には内燃機関1の運転時間を計測する時間計測手段21や排気エミッションを検知する排気エミッション検知手段22、潤滑油の劣化を検知する潤滑油劣化検知手段23、負荷を検知する負荷検知手段24が接続されるとともに、その他にも内燃機関1の各部の状態を検知する各種検知手段が接続され、これらの検知手段の検出値が情報管理装置4に送信される。各種検知手段からの検出値は表示手段13で参照可能とされている。
【0022】
前記制御装置2は記憶媒体3とも接続され、該記憶媒体3に対し情報を読み書きすることができるように構成されている。制御装置2には汎用の制御装置が用いられており、内燃機関1の運転時には、該制御装置2に記憶媒体3に予め記憶された内燃機関特有の設定値が読み取られて、内燃機関1の運転が最適運転となるように制御される。また、内燃機関1の各種検知手段の所定時間ごとの検出値が制御装置2より記憶媒体3に送信され、これらの内燃機関1の運転状況を示す情報が運転来歴に関する情報として記憶され、整備時や修理時に利用可能とされる。
【0023】
前記記憶媒体3は、接触型ICチップや非接触でも情報の読み書きが可能な非接触型ICチップ、ICタグなどであり、小型のものが用いられる。そして、記憶媒体3は内燃機関1の一部、例えば内燃機関本体を形成するシリンダブロックやシリンダヘッド、クランク軸、オイルパン、ボンネット、カムカバーなどの任意の構成部品に取り外し不能、または着脱可能に取り付けられている。
【0024】
特に、記憶媒体3が一つの内燃機関1に対し一つだけ取り付けられる場合には、内燃機関1の一部に取り外し不能に取り付けられる。複数取り付けられる場合には、少なくとも一つの記憶媒体3が取り外し不能に取り付けられ、他の記憶媒体は着脱可能に取り付けられる構成が好ましい。なお、記憶媒体3は埋め込み、封印、嵌め込み、かしめなどの取付方法で内燃機関1に対し取り外し不能に取り付けられる。
【0025】
また、前記記憶媒体3は書き換え不能に構成することも可能であり、複数設ける場合には少なくとも一つは書き換え可能に構成し、少なくとも一つは書き換え不能に構成され、新規情報の追記のみ可能とされている。この書き換え不能に構成した記憶媒体3は取り外し不能に構成することが好ましい。そしてこの書き換え不能に構成された記憶媒体3に記憶される情報は運転制御に係る情報を除く内燃機関1の固有情報であり、該固有情報には内燃機関1の諸元・要目(規格)に関する情報と、審査図書、認証番号及び証書に関する情報と、内燃機関1の構成部品に関する情報と、内燃機関1の検査成績記録に関する情報と、運転後の整備来歴に関し収集した情報などが含まれている。これらの各情報には更に以下に記載する詳細な情報が含まれている。
【0026】
内燃機関1の諸元・要目に関する情報には、製作者などの名称及び住所、製造場所、製造年月日、認証確認場所、認証確認年月日、機関名称、製造番号、内燃機関1のシリーズ構成、用途(使用形態)、定格出力、定格回転速度、承認番号、燃料の仕様、エミッション低減装置の承認番号、規制値、認証合格値、連続出力/クランク軸回転速度、制限出力/クランク軸回転速度、計画出力/クランク軸回転速度、サイクル数、シリンダ配置及び数、シリンダ直径×行程×総行程容積、行程/シリンダ直径、平均ピストン速度、平均有効圧、燃料消費率、連続出力時燃料消費量、燃焼方式、始動方式、冷却方式、過給機、空気冷却機構造、シリンダ中心間距離、同一シリンダブロックを使用した他の機関名称、同型機関、類似機関、シリンダライナ、シリンダライナ下部嵌合部径、クランク軸角度、点火順序、軸径×軸長、ピン径×ピン長、腕幅×腕厚、吸排気弁の数、乾燥質量、減速機型式、減速比、推進機関の馬力数、銘板取付位置、旧漁船法馬力数、機関製作所銘板、申請機関の漁船法馬力数などが含まれている。
【0027】
また、審査図書、認証番号及び証書に関する情報は、次のような法律や認証機関や制度などにおいて、合格情報または認証を受けたときの検査値や測定値やその他必要項目や番号などの情報であり、その法律や認証は、船舶安全法、小型船舶安全規則、船舶整備規定、船舶機関規則、船舶自動化設備特殊規則、国内出力規則、国内排気ガス規制、IMO(国際海事機関)規制、海外船級型式承認、米国排ガス規制、欧州規制排ガス規制、欧州地域排ガス規制、騒音規制、電磁波規制などである。
【0028】
内燃機関1の構成部品に関する情報には、シリンダ、シリンダライナ、シリンダヘッド、ピストン、ピストンリング、オイルリング、ピストンピン、ピストンピンメタル、コネクティングロッド、ロッドボルト、クランクシャフト、主軸受メタル、主軸受ボルト、クランクピンメタル、カム軸、吸排気弁、吸排気弁腕、カム軸歯車、クランク軸歯車、ハズミ歯車、潤滑油ポンプ本体、冷却水ポンプ本体などの材質や寸法や歯数や吐出量などが含まれている。
【0029】
内燃機関1の検査成績記録に関する情報には、試験成績(燃料消費量、排気色、排気温度、制限装置の状態(ボルト長さ、ROM番号など))、内燃機関1のエミッション情報、燃料消費率、冷却水出口温度、清水側温度、海水側温度、潤滑油冷却器入口温度、排気ガス温度(過吸機入口平均)、排気温度、無負荷最大回転数、クランクピン及びジャーナルの寸法(硬度、同軸度、表面粗さ)、各部隙間(トップクリアランス、サイドギャップ)、スタータの始動性、部品圧力検査(シリンダヘッド、ポンプ類、クーラ類)などが含まれている。
【0030】
運転後の整備に関し収集した情報には、定期検査情報、運転時間、内燃機関各部に取り付けられた検知手段の出力来歴、負荷来歴、整備来歴(交換部品、潤滑油交換、防食亜鉛交換など)、使用する燃料性状、燃料供給量、点検時の計測情報(クランクジャーナル、ピン摩耗量、アームデフレクション、ベアリング隙間、シリンダライナの摩耗量、ピストンリング摩耗量、ギヤバックラッシュ、カム軸摩耗、弁摩耗、損傷箇所など)などが含まれている。
【0031】
さらに、記憶媒体3に記憶される内燃機関1の固有情報には、取扱説明書、パーツカタログ(エンジン構成部品)、整備マニュアル(分解、整備用)の情報が含まれ、他にも客先が必要な仕様書(要目表、外形図、諸管線図、電気配線線図、予備品表、工具表、パッキングリスト)、工場部品の組み込み情報(性能に影響を及ぼす部品番号、トップクリアランス、ライナ出代、燃料噴射ポンプの補正値、ノズル流量)、部品解説書(販売技術資料)、商品規格(要目、性能保証値)などが含まれている。
【0032】
そして、前記情報管理装置4に内燃機関1の固有情報のうち、各種検知手段からの検出値が読取・書込手段を介して読み取られ、若しくは制御装置2から直接に読み取られ、内燃機関各部の劣化度合いや負荷度合いが演算される。
このようにして得られる内燃機関各部の劣化度合い・負荷度合いに関する情報は情報管理装置4から記憶媒体3に書き込まれ、内燃機関1の固有情報の一部として追記される。
【0033】
図1及び図3に示すように、内燃機関1の整備を行う整備センター5に設けられる情報端末6には、演算処理手段31、記憶手段32、入力手段33、表示手段34、通信手段35、印刷手段などが備えられ、該情報端末6と内燃機関1の情報管理装置4との間で互いの通信手段35・15により情報が通信網9を介して送受信可能とされている。情報端末6は内燃機関1の整備が行われるごとに整備に関し収集した情報が入力されると、これを情報管理装置4に送信するように構成されている。
【0034】
図1及び図4に示すように、内燃機関製造元7に設けられる情報端末8には、演算処理手段41、記憶手段42、入力手段43、表示手段44、通信手段45、印刷手段などが備えられ、該情報端末8と内燃機関1の情報管理装置4又は整備センター5の情報端末6との間で互いの通信手段により情報が通信網9を介して送受信可能とされている。該情報端末端8では、記憶手段42にデータベース42aが構築され、該データベース42aに内燃機関1の情報管理装置4から受信した記憶媒体3内の固有情報や、整備センター5の情報端末6から受信した整備に関し収集した情報などの出荷後の内燃機関1の固有情報が格納され、表示手段44で参照可能とされている。
【0035】
なお本実施例では、内燃機関製造元7が内燃機関1の交換部品を供給する部品センターの役割を果たす構成としている。また、整備センター5と内燃機関製造元7とを独立したものとして説明しているが、整備センターを内燃機関製造元に統合し、内燃機関の管理システムを構成することもできる。この場合、情報端末を単独で機能させることもできるし、一方の情報端末に二つの端末の機能を統合させて、該情報端末を機能させることもできる。
【0036】
以上のように構築される内燃機関1の管理システムにおいて、情報管理装置4は内燃機関1の停止ごと、あるいは定期的に内燃機関1の固有情報、特に時間計測手段21、排気エミッション検知手段22、潤滑油劣化検知手段23、負荷検知手段24などの各種検知手段の検出値を記憶媒体3から読み取り、前述のように内燃機関各部の劣化度合いや負荷度合いを演算し、内燃機関1の整備時期を求めるように構成されている。
【0037】
図5に示すように、前記内燃機関1の整備時期は次のような流れで求められる。まず、情報管理装置4に内燃機関1の出荷時における噴射量補正値や組込部品の精度値などの各部の初期設定情報が記憶媒体3から読み取られる(ステップS11)。続いて、初期運転時における内燃機関1の所定条件での各種検知手段の初期検出値が記憶媒体3から読み取られ(ステップS12)、運転中の所定時間ごとに記憶された各種検知手段の検出値が記憶媒体3から読み取られる(ステップS13)。
【0038】
次に、これらの各種検知手段の検出値に基づいて情報管理装置4により内燃機関各部の劣化度合い及び負荷度合いが演算される(ステップS14)。具体的には例えば、排気エミッション検知手段22から所定時間ごとに記憶媒体に記憶された検出値が情報管理装置4に読み取られ、該排気エミッションの検出値の増加量から触媒やフィルター等の排気エミッション低減手段の劣化度合いが演算される。
また、潤滑油劣化検知手段23から所定時間ごとに記憶媒体3に記憶された検出値(粘度や不純物量や色など)が情報管理装置4に読み取られ、該検出値と予め設定した値とに基づいて潤滑油の劣化度合いが演算される。負荷検知手段から記憶媒体3に記憶された検出値が情報管理装置4に読み取られ、該検出値が積算されて負荷度合いが演算される。
【0039】
そして、前記演算により得られる劣化度合い及び負荷度合いが情報管理装置4により書き込まれて記憶媒体3に記憶され、情報管理装置4の記憶手段12に記憶されたさまざまな劣化モデルと照合され(ステップS15)、いずれの劣化モデルケースに含まれるか判別される。ここでの劣化モデルとは時間経過による各部の状態変化から劣化状態を判別するための基準となるものである。前記例では排気エミッションの増加度合いから排気エミッション低減手段の劣化が、また潤滑油の劣化度合い(粘度や不純物量や色等の変化)から潤滑油の劣化が推定可能となり、さらに負荷度合いから消耗品の交換時期や補給時期も予測可能となる。
【0040】
前記劣化モデルによる判別結果から劣化部が特定され(ステップS16)、該劣化部の構成部品のうち、交換の必要がある構成部品が判定されて、整備時期が求められる(ステップS17)。この整備時期は情報管理装置4により書き込まれて記憶媒体3に記憶される。そして、整備時期に応じてその設定された日数前に情報管理装置4から整備センター5の情報端末6に整備予約情報が送信され(ステップS18)、整備の予約が自動的に行われる。これにより、内燃機関1の所有者側では予約忘れが防止され、整備センター5側では整備体制を予め整えることができるようになる。
【0041】
さらに、前記整備時期に応じてその設定された日数前に内燃機関製造元7の情報端末8に交換部品の発注情報が送信され(ステップS19)、交換部品の予約発注が自動的に行われる。こうして、交換部品の在庫を確実に確保することができる構成とされている。この際、内燃機関製造元7の情報端末8からは整備センター5の情報端末6に交換部品に対応する出荷時の部品性能情報及び使用変更情報が送信される。これにより、整備センター5側では整備前に交換前の部品がどのようなものであるか、仕様変更があるかなどが未然に判り、整備の一助となる。
【0042】
また、前記情報管理装置4から内燃機関製造元7の情報端末8に記憶媒体3に記憶された内燃機関各部の劣化度合い・負荷度合いに関する情報が送信される(ステップS20)。内燃機関製造元7の情報端末8においては、情報管理装置4からの内燃機関の劣化度合い・負荷度合いに関する情報は記憶手段42に構築されたデータベース42aに保存され、出荷前の情報ともに管理されて、該内燃機関1各部の劣化度合い・負荷度合いに関する情報が表示手段44で参照可能とされ、また内燃機関製造元7の他の情報端末などでも閲覧可能とされている。よって、内燃機関製造元7側でも内燃機関1の運転状況を把握し、これらの情報を新たな内燃機関の開発や改良、製造などに活用することができるようになる。
【0043】
一方、整備センター5においては、整備を行うときに記憶媒体3に記憶された取扱説明書や整備マニアル、整備対象の部品情報、性能情報、許容範囲、隙間などを読み出すことによって、整備を間違いなく迅速に行うことが可能となる。
【0044】
また、図6に示すように、情報管理装置4は整備センター5の情報端末6や内燃機関製造元7の情報端末8とだけでなく、内燃機関1の整備認証を行う認証機関51に備えられた情報端末52、保険会社53に備えられた情報端末54、金融機関55に備えられた情報端末56ともそれぞれ通信網9を介して通信可能とされている。
【0045】
前述の情報管理装置4からの整備予約に基づいて整備センター5での内燃機関1の整備が完了した後には、情報端末6に内燃機関1の交換した構成部品名、構成部品の性能、部品交換日などの整備に係る情報とともに交換された部品の摩耗及び損傷情報が入力される。そして、これらの情報が内燃機関製造元7の情報端末8に送信され、内燃機関1の整備に関し収集した情報の一部として記憶手段42に構築されたデータベース42aに保存される。こうしてデータベース42aに保存された整備来歴に関する情報もまた、前記内燃機関各部の劣化度合い・負荷度合いに関する情報と同様に新たな内燃機関の開発や改良、製造などに活用することが可能となる。
【0046】
また、前記内燃機関1の整備に係る情報は整備センター5の情報端末6から情報管理装置4にも送信され、図7に示すような処理が情報管理装置4で行われる。まず、整備途中または整備完了後に、前記整備に係る情報(補正量、調整後の出力値や寸法、交換部品名など)が情報管理装置4に受信され(ステップS31)、該情報管理装置4により整備来歴に関する情報の一部として書き込まれ記憶媒体3に記憶(追記)される(ステップS32)。この場合は、整備に係る情報を以後整備センター5の情報端末6で読み取り可能とし、整備時に有効利用することが可能となる。
【0047】
そして、整備後の内燃機関1に対し整備認証が必要な場合には、情報管理装置4から認証機関51の情報端末52に記憶媒体3に記憶された整備来歴に関する情報を含めた内燃機関1の固有情報が送信され(ステップS33)、該内燃機関1の固有情報に基づいて認証が行われる。こうして内燃機関1に認証が与えられる(ステップS34)と、整備認証が認証機関51の情報端末52から情報管理装置4に送信されて書き込まれ、記憶媒体3に記憶される(ステップS35)。これで、整備後に認証が必要な場合に容易に対応可能となる。
【0048】
また、前記情報管理装置4では記憶媒体3内の整備来歴に関する情報に基づいて整備費用が演算される(ステップS36)。そして、整備センター5の情報端末6に整備費用情報が送信され(ステップS37)、自動決済される(ステップS38)。このとき、整備費用は内燃機関1の所有者が保有する情報端末にも送信される。この決済の処理は、従来から公知の種々の方法を用いることができ、たとえばその方法のひとつとして情報管理装置4に所有者の金融機関55の口座番号を予め記憶しておき、該情報管理装置4から金融機関55の情報端末56に整備費用情報を送信し、電子決済により金融機関55で所有者の口座から整備費用を自動的に引き落とす方法がある。
【0049】
さらにまた、前記情報管理装置4では記憶媒体3内の記憶された運転時間及び整備部品に関する情報に基づいて内燃機関1の保険料が演算される(ステップS39)。この保険料は内燃機関の種類や使用年数などにより決まるため、保険会社との間で取り決めたプランさえ設定しておけば、自動的に必要項目を取得して容易に保険料を演算できる。そして、内燃機関1に対し所有者が保険契約を締結した保険会社53の情報端末54に保険料情報が送信され(ステップS40)、自動決済(引き落とし)される(ステップS41)。このとき、保険料は内燃機関1の所有者が保有する情報端末にも送信される。この決済の処理は情報管理装置4で演算された保険料に対し保険会社53の承認を必要とし、保険会社53の情報端末54から情報管理装置4に承認情報が送信された後、前記同様に行われる。こうして、整備費用の支払いや保険料の支払いの簡便化が図られている。このような情報管理装置4による処理が、整備完了後に行われる。
【0050】
また、記憶媒体3内の記憶された内燃機関各部の劣化度合い・負荷度合いに関する情報や運転時間などに関する情報は開発や改良のために必要かつ有益な情報となるので、これらの情報が情報管理装置4から内燃機関製造元7の情報端末8に送信された場合には、情報提供料として、内燃機関製造元7から内燃機関1の所有者にその情報量や内容などに応じた費用を支払うように構成することもできる。また、整備センター5で生じる不具合や改良技術などの情報を内燃機関製造元7の情報端末8に送信された場合にも、同様に、情報料として、内燃機関製造元7から整備センター5にその情報量や内容などに応じた費用を支払うに構成することも可能である。
【0051】
ところで、前記記憶媒体3においては記憶される情報の一部又は全部は圧縮された状態で記憶可能とされ、記憶媒体3に記憶可能な情報量の増加が図られている。つまり、一定の記憶容量しかもたない記憶媒体3に対し、できるだけ多くの情報を記憶させることができる構成とされている。また、これらの記憶媒体3に記憶された情報の一部又は全部は暗号化された状態で記憶可能とされ、記憶媒体3に保存された情報が読み出されても、容易には判読されずに、不正に使用されることがない構成とされている。
【0052】
さらに、これらの記憶媒体3に記憶された情報の一部又は全部はパスワードを設定可能とされ、記憶媒体3から読み出される際にパスワードの入力を必要とするように構成されている。パスワードは書込側が設定した所定の料金を支払えば、読取側に提供されるもとのされ、記憶媒体3からの各種情報の不正な読み出しが防止される。なお、記憶媒体3に記憶された内燃機関1の固有情報の全部に暗号化の実施又はパスワードの設定を行わない構成とすることもできる。
【0053】
たとえば、記憶媒体3に記憶された内燃機関1の固有情報のうち、取扱説明書やパーツカタログなどの基本情報に対してはパスワードの設定は行われず、内燃機関製造元7側により出荷前に書き込まれた整備マニュアルや商品解説書などの整備に必要な情報、あるいは整備センター5側により出荷後に書き込まれた整備来歴に関する情報に対してパスワードの設定が行われ、書込側となる内燃機関製造元7側に読取側となる整備センター5側が、逆に書込側となる整備センター5に読取側となる内燃機関製造元7側が所定の料金を支払うことで記憶媒体3からパスワードの入力を必要とする各種情報が、整備センター5または内燃機関製造元7の情報端末6・8から参照可能とされる。また、記憶媒体3に記憶された内燃機関1の固有情報の全部にパスワードの設定を行わず、所定の情報を読み取るたびに読取側に課金するように構成することもできる。
【0054】
そしてまた、前記記憶媒体3では予め記憶された情報に対し整備来歴に関する情報などの新規情報の追記は可能とされているが、一旦書き込まれた情報は書き換え不能とされている。しかし、何らかの手段で記憶媒体3内の情報が書き換えられたり、消去されたりして変更された場合には、その変更内容に関する情報が内燃機関製造元7の情報端末8に直ちに送信される。こうして、記憶媒体3に記憶される内燃機関1の固有情報に対する改竄が早期に発見可能とされ、不正の防止が図られている。
【0055】
以上のように、前記記憶媒体3と、無線又は有線通信手段15を有する情報管理装置4とを備え、該記憶媒体3と情報管理装置とを通信可能に接続した内燃機関1の管理システムにおいて、前記情報管理装置4と内燃機関1の整備を行う整備センター5に備えた通信手段35を有する情報端末6とを互いの通信手段15・35により通信可能に接続し、該整備センターの5情報端末6から情報管理装置4に内燃機関1の整備時に交換した構成部品名、構成部品の性能、部品交換日などの整備に係る情報を送信し、該情報管理装置4より記憶媒体3に記憶させるように内燃機関1の管理システムを構成したことから、整備が行われるごとに整備に係る情報を記憶媒体3に蓄積し、以後整備センター側で読み取り可能として、整備時に有効利用することができる。
【0056】
前記整備センター5の情報端末6と内燃機関製造元7に備えた通信手段45を有する情報端末8と互いの通信手段35・45により通信可能に接続し、該整備センター5の情報端末6から内燃機関製造元7の情報端末8に内燃機関1の整備時に交換した構成部品名、構成部品の性能、部品交換日などの整備に係る情報を送信するように内燃機関1の管理システムを構成したことから、整備に係る情報を新たな内燃機関の開発などに活用することができる。
【0057】
前記整備センター5の情報端末6から内燃機関製造元7の情報端末8に交換された構成部品の摩耗、損傷情報を送信するように内燃機関1の管理システムを構成したことから、内燃機関製造元7で部品を製造したり、設計変更をしたりする場合などに、交換された構成部品の摩耗、損傷情報を耐摩耗性や耐久性などを考慮して更に性能を向上させた構成部品を製造するのに役立たせることができる。
【0058】
前記内燃機関製造元7が部品の発注を受けると、該内燃機関製造元7の情報端末8から整備センター5の情報端末6に出荷時の部品性能情報及び仕様変更情報を送信するように内燃機関1の管理システムを構成したことから、整備センター5側で整備前に交換前の部品がどのようなものであるか、使用変更があるかなどが未然に判り、部品交換を適切に行うことができるなど整備の一助となる。
【0059】
前記情報管理装置は、記憶媒体3に整備認証を追加記憶するように内燃機関1の管理システムを構成したことから、整備後に認証が必要な場合に容易に対応することができる。
【0060】
前記情報管理装置4で整備センター5での整備費用を演算して、整備センター5の情報端末6に送信し、これを自動決済するように内燃機関1の管理システムを構成したことから、整備費用の支払いを簡便に済ますことができる。
【0061】
前記情報管理装置4と保険会社53に備えた通信手段を有する情報端末54とを通信可能に接続し、該情報管理装置4で内燃機関1の運転時間及び整備部品に基づいて保険料を演算して、保険会社53の情報端末54に送信し、これを自動決済するように内燃機関1の管理システムを構成したことから、保険料の支払いを簡便に済ますことができる。
【0062】
前記記憶媒体3に前記内燃機関1の運転制御に係る情報を除く固有情報を記憶し、該記憶媒体3内の情報が変更された場合に、その変更内容に関する情報を情報管理装置4から内燃機関製造元7の情報端末8に送信するように内燃機関1の管理システムを構成したことから、記憶媒体3に記憶される内燃機関1の固有情報に対する改竄を早期に発見することができ、不正の防止を図ることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 内燃機関
3 記憶媒体
4 情報管理装置
5 整備センター
6 情報端末
7 内燃機関製造元
8 情報端末
15 通信手段
35 通信手段
45 通信手段
53 保険会社
54 情報端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体(3)と、無線又は有線通信手段を有する情報管理装置(4)とを備え、該記憶媒体(3)と情報管理装置(4)とを通信可能に接続した船舶用内燃機関(1)の管理システムにおいて、前記情報管理装置(4)と、該船舶用内燃機関(1)の整備を行う整備センター(5)に備えた通信手段を有する情報端末(6)とを、互いの通信網(9)により通信可能に接続し、該情報管理装置(4)は、該船舶用内燃機関(1)の停止ごとあるいは定期的に、船舶用内燃機関(1)の固有情報である、時間計測手段(21)、排気エミッション検知手段(22)、潤滑油劣化検知手段(23)、負荷検知手段(24)などの、各種検知手段の検出値を、記憶されている記憶媒体(3)から読み取り、前記船舶用内燃機関(1)の各部の劣化度合いや負荷度合いを演算し、次に船舶用内燃機関(1)劣化モデルと比較して整備時期を求め、前記劣化モデルによる判別結果から劣化部が特定され(ステップS16)、該劣化部の構成部品のうち、交換の必要がある構成部品が判定されて、整備時期が求められ(ステップS17)、前記整備センター(5)での内燃機関(1)の整備が完了した後には、前記情報端末(6)に内燃機関(1)の交換した構成部品名、構成部品の性能、部品交換日などの整備に係る情報とともに交換された部品の摩耗及び損傷情報が入力され、整備後の船舶用内燃機関(1)に対し整備認証が必要な場合には、該情報管理装置(4)から認証機関(51)の情報端末(52)に、該記憶媒体(3)に記憶された整備来歴に関する情報を含めた内燃機関(1)の固有情報が送信され(ステップS33)、該船舶用内燃機関(1)の固有情報に基づいて認証の判断が行われ、船舶用内燃機関(1)に認証が与えられ(ステップS34)、整備認証が認証機関(51)の情報端末(52)から情報管理装置(4)に送信されて書き込まれ、該記憶媒体(3)に記憶される(ステップS35)ことを特徴とする船舶用内燃機関の管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記整備時期は情報管理装置(4)により書き込まれて記憶媒体(3)に記憶され、整備時期に応じてその設定された日数前に情報管理装置(4)から整備センター(5)の情報端末(6)に整備予約情報が送信され(ステップS18)、該情報管理装置(4)からの整備予約により整備の予約が自動的に行われることを特徴とする船舶用内燃機関の管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記船舶用内燃機関(1)の整備途中または整備完了後に、前記整備に係る情報が、整備センター(5)の情報端末(6)から、情報管理装置(4)に受信され(ステップS31)、該情報管理装置(4)により整備来歴に関する情報の一部として書き込まれ記憶媒体(3)に追記され(ステップS32)、該整備に係る情報を以後整備センター(5)の情報端末(6)で読み取り可能とし、整備時に利用可能としたことを特徴とする船舶用内燃機関の管理システム。
【請求項4】
請求項3記載の船舶用内燃機関の管理システムにおいて、前記船舶用内燃機関(1)の整備に係る情報は整備センター(5)の情報端末(6)から情報管理装置(4)にも送信され、情報が情報管理装置(4)から,前記内燃機関製造元(7)に設けられる情報端末(8)に送信され、該船舶用内燃機関(1)の整備に関し収集した情報の一部として記憶手段(42)に構築されたデータベース(42a)に保存され、該データベース(42a)に保存された整備来歴に関する情報が、前記内燃機関各部の劣化度合い・負荷度合いに関する情報と同様に新たな内燃機関の開発や改良、製造などに活用可能としたことを特徴とする船舶用内燃機関の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−181079(P2011−181079A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71190(P2011−71190)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【分割の表示】特願2005−329128(P2005−329128)の分割
【原出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)