説明

色補正方法及びその装置

【目的】 色空間を分割して該当領域別に色補正係数を算出して色補正する。
【構成】 画像デ−タを入力する工程と、入力されたデ−タの該当領域を判別してそれによる色補正係数を選択して出力する工程と、選択された色補正係数と入力デ−タを演算して色補正する工程と、色補正された画像デ−タを出力する工程を備なえ、精巧な色補正をを、従来のルックアップテ−ブル(LUT)を使用した色補正方式よりメモリを節約して速度を向上させて実現する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に色空間を適応(adaptive)方式で分割し、分割されたそれぞれの領域に対して色補正係数を算出して色補正(color correction)する色補正方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、多数のシステム間におけるカラ−再現が重要になってきており、スキャナ−で読み出された画像、あるいはモニタ−に表示される原画像と、カラ−プリンタ−でプリントアウトして再生された画像とを比較してみると、それらに相当の差異があることが分かる。
【0003】その第1の理由は、モニタ−やスキャナ−は加法混色系(Additive Color System)を採用し、他方、プリンタ−は減法混色系(Subtractive Color System)を使用していることから、両者の色再現方式に相違があるからである。また、第2の理由は、色再現装置間の色再現領域(Color Gamut)に差があるためである。そして、このような色相の差異を解決するために、プリントアウトするときには入力色空間に、より適した色変換(Color Transformation)を遂行する。
【0004】一般的な色補正方法としては、解析的なモデリングを使用して色再現を予測するベ−ルランバ−ト公式(Beer-Lambert Equation)、ネゲバウア公式(Neugebauer Equation)などを用いた方法が提示される一方、色再現過程をブラックボックスと仮定し、そのブラックボックスに対する入力と出力の相関関係で説明しようとする実験的な方法が、色補正に広く用いられている。このような代表的な方法で、多項回帰分析(multiple regressionanalysis)を使用する方法と、ルックアップテ−ブル(Look-Up Table)を使用する方法がある。
【0005】多項回帰分析を使用する方法は、入出力デ−タを統計的に処理して、入力と出力の関係を最適の数式で表現する方法であって、最近、広範囲に渡り使用されている。
【0006】他方、従来の色変換方法では、RGB入力に対するRGB出力の関係から、多項回帰分析を用いて3×3,3×6,3×9などの色変換行列式を求め、原画像に対して求められた行列式を掛けることにより色補正をしている。しかしながら、入力RGB空間と出力RGB空間の関係が非線形的で不均一なので、一つの色変換行列式のみで色補正をすることは満足な結果をもたらさない。
【0007】そこで、この問題を解決するために、「イメ−ジ科学及び技術(IS&T)」紙に発表された論文1('Facial pattern detection and color correction from television picture for newspaper printing',1990, Y.Miyake 外) によると、新聞のプリントシステムでテレビジョン画像を再現するとき、実際的な皮膚色の再現のために、入力RGB空間を“皮膚色”領域と“その以外の色”領域に区分して、各領域に対する入力RGB信号対出力RGB信号の関係を、多項回帰分析を使用して色変換行列式を求め、補正している。
【0008】また、上記「IS&T」紙に発表された論文2('A new method for color correction in hardcopy from CRT images', 1993. 37巻、1号, pp.30 〜36, Y. Miyake 外) では、入力色空間を“皮膚色(Skin)", " 灰色(Gray)"," 赤色(Red)", " 緑色(Green)"、及び" 青色(Blue)" の5つの領域(category)に分類して補正している。すなわち、この論文2によると、まず、RGB色座標系を、下記の式(1)により、色3次元平面上に投射する。
【数1】


また、この平面上で色の位置を示すためには、座標軸をp,qと仮定したとき、p,q座標系は、下記の式(2)により、RGB座標系から求めることができる。
【数2】


【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のベ−ルランバ−ト公式やネゲバウア公式などを用いた方法では、実際に使用される機器の非線形性を充分に補償できないという問題がある。
【0009】また、多項回帰分析を使用する方法は、すべての色域(color gamut)に対して適用できないという問題があり、ルックアップテ−ブル(LUT)を用いた方式では、すべての色域でサンプリングされたルックアップテ−ブルデ−タを使用するので、全色域にかけて信頼性のある色補正をすることはできるが、確度を上げるための多くの測色と精密な補間方法が必要になり、ルックアップテ−ブルを格納するためのメモリが多く使用されるという問題がある。
【0010】さらに、上記のように皮膚色、灰色、赤色、緑色、青色空間を均等に分けて処理する、論文2による色補正方法は、RGB空間の特性に合うように分けたことにはならず、プリンタ−の出力特性も正確に反映することが困難である。そのため、各領域内で求められた色変換行列式自体も、多くの誤差を内包するという問題がある。
【0011】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、RGB空間を色再現システムの特性により適応方式で分割して、精巧な色変換行列式を構成する色補正係数を算出する方法を提供することである。
【0012】また、本発明の他の目的は、算出された色補正係数を使用して、処理速度と色再現の充実度を改善した色補正方法を提供することである。
【0013】本発明のさらなる目的は、上記の色補正方法を具現する色補正装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、色再現システムの特性に応じてRGB空間を所定の領域に分け、該分けられた各領域別に色変換行列式を求めるための色補正係数を算出する色補正方法において、前記RBG空間を均等に分割してパッチを出力し、該出力されたパッチを線形色空間で測色してRGB出力を演算する演算工程と、前記演算されたRGB出力を均等に置き、該RGB出力に対応するRGB入力を逆方向変換により探してルックアップテ−ブルを構成する工程と、前記色再現システムで要求される正確度で色補正係数を得るために許容誤差を入力する工程と、前記色補正係数の誤差が前記許容誤差内に収まるように、前記RGB空間を適応的に分割し、各分割された領域に適用される色補正係数及び該領域の領域番号を求める生成工程とを備える。
【0015】また、他の発明は、色再現システムの特性によりRGB空間を所定の領域に分け、各領域別に色補正係数を求めた後、入力される画像デ−タを該当する色補正係数に応じて色補正する色補正装置において、前記画像デ−タを入力して、該当する領域を判断する領域判断手段と、前記色補正係数を複数格納し、前記領域判断手段からの出力に応じて特定の色補正係数を出力するルックアップテ−ブルと、前記画像デ−タと前記ルックアップデ−ブルからの出力を掛けて色補正する演算手段とを備える。
【0016】
【作用】以上の構成において、精巧な色補正及び忠実に色再生するための色補正を行なうよう機能する。
【0017】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明に係る好適な実施例を詳細に説明する。
【0018】最初に便宜のため、以下の説明において使用する用語を定義する。
【0019】色空間(あるいは、RGB空間)というのは、加法混色系の3原色である赤(R)、緑色(G)、青色(B)を軸として、これらの濃度(Gray level)により、空間上にピクセルの位置が定められる色座標空間を意味し、領域(category)というのは、色空間が特定の基準に従って区分されたことを意味する。
【0020】また、適応型領域(あるいは、適応的に分割された領域)というのは、色空間の特性に応じて、領域の大きさを許容された誤差範囲内で最適に分割し、領域の大きさが一定でないことをいう。そして、分割された領域には固有の領域番号を付与し、各領域番号には、色補正係数を求める過程で“タグ(tag)”を付ける。ここで、タグは、該当領域番号別に算出された色補正係数の誤差が許容誤差内にあるか、あるいは、許容誤差を外れるかを示す。本実施例では、許容誤差内にあるときに適用可(‘0’と示す)で、許容誤差を外れると適用不可(‘1’と示す)である。
【0021】‘RGBin’は、補正のために入力される画像デ−タ、あるいは、これらを含む色空間を意味し、‘RGBout’は、入力された画像デ−タを色補正した出力デ−タ、あるいは、これらを含む色空間を意味し、‘RGBc’は、色補正係数を‘RGBout’に逆に適用して計算された‘RGBin’である。このような‘RGBin’と‘RGBout’間の関係を規定するのは、色変換行列式(color transform matrix )である。
【0022】本発明では、色空間を適応型領域に分割し、分割された各領域ごとに適した色変換行列式を求めてルックアップテ−ブル(LUT)化した後、入力された画像デ−タに該当する色変換行列式を探して色補正する。従って、本発明にて色補正するためには、色補正前にあらかじめ領域別に色変換行列式(すなわち、色変換行列式の係数(色補正係数ともいう))が求められるべきである。
【0023】図1は、本発明の実施例において色補正係数を求める過程を示すフローチャートである。同図において、ステップS1では‘RGBin’を所定個数のパッチ(patch)に均等に分割して出力し、出力されたパッチを、CIE1976L*a*b*で測色した後、NTSC−RGB変換式により、CIE1976L*a*b*により測色された値から‘RGBout’を求める。
【0024】すなわち、このステップS1では、RGB空間をそれぞれ一定の値で増加させながら均等に分割した後、パッチをプリンティングし、プリントアウトされた各パッチを線形色空間(CIE1976L*a*b*、または、CIE XYZ座標系)で測色する。そして、測色して求めた値をNTSC−RGB変換式で逆計算して‘RGBout’を求める。
【0025】ステップS2では、上記のステップS1で求められた均一な‘RGBin’と不均一な‘RGBout’の関係を、逆方向変換と色域マッピング(Gamut Mapping)を通じて均一な‘RGBout’と不均一な‘RGBin’の関係に変換してテ−ブルを作る。
【0026】すなわち、ステップS2では、ステップS1にて求められた‘RGBin’と‘RGBout’とを、CIE1976L*a*b*で測色された値を中心として、色補正に使用しやすく加工する。このステップS1にて求められた‘RGBin’は、一定な間隔に均等に分けられた値であるが、測色後に逆計算された‘RGBout’は不規則な値を有している。これは、プリンタ−の出力特性が入力‘RGBin’に非線形だからである。
【0027】従って、プリンタ−で所望の出力色を得るためには、所望の出力色に該当する入力色の値(RGBin)が分かっていなければならないが、所望の出力色に対する入力色は、CIE1976L*a*b*で測色された値を中心として、逆方向変換と色域マッピング(Gamut Mapping)を使用して計算した後、テ−ブルを作って、色補正係数を作成するときに使用する。
【0028】ステップS3では、上記のステップS2にて求められた均一な‘RGBout’と不均一な‘RGBin’とを用いて求めた色補正係数の適用が可能か否かを判断するための許容誤差値を入力する。つまり、ステップS3では、求められた色補正係数の適用が可能か否かを決定するために、色再現システムから許容誤差値を入力する。ここで、色補正係数の誤差値(δRGB)は、所望の出力色(RGBout)と、その色を出力するための入力色(RGBin)とを用いて求めた色補正係数を、所望の出力色(RGBout)に逆に適用して計算したRGB値(RGBc)と入力色(RGBin)との差であって、以下の式(3)に従って求められる。
【数3】


ここで、Rinは、色空間のR軸上の入力値であり、Rc は、計算により求められたR軸上の値、Ginは、色空間のG軸上の入力値、Gc は、計算により求められたG軸上の値、Binは、色空間のB軸上の入力値、そして、Bc は、計算により求められたB軸上の値である。
【0029】一方、色補正係数を求めた領域内の非線形性が強ければ強いほど、誤差値(δRGB)は大きくなる。この際、許容誤差範囲を大きくする場合には、分割される領域の個数が少なくなり、色補正係数を格納する記憶装置(memory)を節約することができるが、精巧な色補正は難しい。逆に、許容誤差を小さくする場合には、分類される領域の個数が増え、要求されるメモリ容量が大きくなるが、精巧な色補正をなし得る。
【0030】ステップS4では、区分された領域別に該当色補正係数を求める。すなわち、ここでは、ステップS2にて求められた均一な‘RGBout’をk個の領域に分割し、それぞれの領域で標本色(領域に含まれた‘RGBout’と、それに該当する‘RGBin’)を抽出して、色補正係数を計算する。
【0031】図2は、RGB出力を求める工程である図1のステップS1の詳細処理手順を示すフローチャートである。
【0032】図1のステップS1は、RGB入力空間を均等にパッチに分け、そのパッチをプリントアウトする段階(ステップS1−1)と、プリントされたパッチを線形色空間で測色する段階(ステップS1−2)、測色されたデ−タを逆変換して‘RGB出力’を算出する段階(ステップS1−3)にて構成される。
【0033】図2において、ステップS1−1のパッチ出力段階では、‘RGBin’を均等に分け、パッチを作ってプリントする。例えば、“RGBin”を、R=0,15,30,..,255,G=0,15,30,..,255,B=0,15,30,..,255に分けると、パッチの個数は、17×17×17=4,913個となる。
【0034】ステップS1−2(測色段階)では、出力された各パッチを、線形色空間であるCIE XYZや、CIE1976L*a*b*値で、測色器を使用して測色する。そして、ステップS1−3のRGB出力算出段階では、上記のステップS1−2で測色されたCIE XYZや、CIE1976L*a*b*値を、‘NTSC−RGB変換式’を用いて、逆に‘RGBout’を計算する。この‘RGBout’は、プリンタ−が出力するRGB値となり、このRGB値を出力するためには、‘RGBin’をプリンタ−に入力しなければならない、という意味である。
【0035】このように、図1のステップS1では、上記の順序でパッチを作るときに使用された‘RGBin’に該当する‘RGBout’値を、測色とNTSC−RGB変換式を通じて求める。
【0036】図3は、図1において、領域別色補正係数を求めるステップS4の詳細フローチャートである。同図において、ステップS4−1(第1段階)では、全体のRGB空間をk個の領域に分割し、ステップS4−2(第2段階)では、分割された各領域の特定標本色を、図1に示すステップS2にて求めたテ−ブルから抽出する。
【0037】ステップS4−3(第3段階)では、抽出された標本色から多項回帰分析で色補正係数を求める。ステップS4−4(第4段階)では、ステップS4−3で算出された色補正係数の誤差を検出する。そして、第5段階である、ステップS4−5では、上記のステップで検出された誤差と許容誤差との比較を行ない、検出された誤差と許容誤差とが等しかったり、あるいは、検出された誤差がそれよりも小さければ、ステップS4−6で、領域番号とその領域番号に該当する色補正係数を格納する。
【0038】他方、検出された誤差が許容誤差より大きければ、ステップS4−5での判断がNOであるから、第6段階である、ステップS4−7で、該当する領域番号のタグに「適用不可」と表示する。そして、続くステップS4−8で、適用不可表示の数を1増加させる。
【0039】処理の第7段階である、後述するステップS4−9〜S4−13では、ステップS4−1で分割された領域に対して、ステップS4−2からステップS4−4、及びステップS4−7,S4−8での処理の遂行を完了した後、適用不可表示された領域をm個の小領域に再分割する。そして、適用不可表示がなかったり、最小分割単位となるまで上記の処理を反復して、分割された領域番号と領域番号による色補正係数を求める。
【0040】そこで、具体的に、図1のステップS4の動作について説明する。
【0041】まず、上述のように、全体のRGB空間を、R,G,Bそれぞれに対して2段階ずつ、計8個の大領域に均等に分割する(ステップS4−1)。そして、図1のステップS2にて求められたテ−ブルを用いて、上記の分割された各領域で、領域中心の‘RGBout’を基準として、‘RGBout’と‘RGBin’とを使用して多項回帰分析を用いて色補正係数を求める(ステップS4−2,S4−3)。
【0042】次に、上記の色補正係数を‘RGBout’と掛けて‘RGBc’を計算し、この計算にて得られた‘RGBc’を‘RGBin’と比較し、上記の式(3)により誤差(δRGB)を計算する(ステップS4−4)。
【0043】ステップS4−6では、上記のように計算された誤差(δRGB)が、入力された許容誤差と等しかったり、あるいは小さい場合、現在の領域番号及び色補正係数を格納する。そして、ステップS4−9で、現在の領域が最後の領域であるかを確認し、それが最後の領域でなければ、次の領域に移動する(ステップS4−10)。
【0044】しかし、計算された誤差(δRGB)が許容誤差より大きい場合、その領域から求められた色補正係数は、適用され得ないことを意味するので、領域番号に「適用不可表示」(すなわち、‘1’と表示)を付け(ステップS4−7)、続くステップS4−8で、適用不可表示の個数を1増加させる。
【0045】以上のように、全体領域を処理した後、適用不可表示された領域がなかったり、あるいは分割された領域が定められた最小単位と同一であれば(ステップS4−11での判定がYES)、本処理を終了する。
【0046】しかし、ステップS4−11での判定がNOであれば、上記の処理で適用不可表示された領域を、さらに小領域に分割する(ステップS4−12)。そして、適用不可表示の数を‘0’に初期化し(ステップS4−13)、分けられた領域中の第1の領域に移動して、標本色を抽出するステップS4−2から再度、処理を繰り返す。
【0047】図4は、RGB空間を8個の領域に均等に分割した例を示す図である。同図に示す例は、領域分割数がk=8の場合であり、本実施例では、色空間をR,G,B各軸について均等に2等分して、計8個の領域に分割することを示している。
【0048】図5は、図3に示す処理にて分割された領域別に色補正係数を求める表の一例を示したものである。同図において、符号‘A’は、適用不可表示されたタグの総数を示し、‘B’は、図3のステップS4−1で、RGB空間をk個の領域に分割した場合に適用される領域番号、タグ(tag )の内容、色補正係数の記録例である。また、‘C’は、‘B’のタグに適用不可(すなわち、1)と表示された場合、この領域を、図3のステップS4−12での処理、つまり、m個の領域に再分割して、領域番号、タグ、色補正係数を記録した表の例である。
【0049】表‘B’における領域番号は、1,2,3,..,kまでであり、タグが‘0’ならば、色補正係数の誤差が許容誤差より小さくて、適用可能なことを示し、タグが‘1’ならば、誤差が許容誤差を外れて、適用不可なことを示す。また、表‘C’は、表‘B’で適用不可表示された領域である第2領域(領域番号2のエリア)をm個に再分割して、それらの領域番号が2−1,2−2,..,2−mであることを示しており、タグは、表‘B’のタグと同一な意味を有することを示す。
【0050】このように、本実施例では、色空間を、色補正係数が許容誤差範囲内にあるときまで再分割して、色補正の充実度を向上させる。
【0051】図6は、本実施例における色補正の方法を示すフローチャートである。
【0052】図6に示すように、本実施例における色補正方法は、画像デ−タを入力する段階(ステップS10)、入力されたデ−タが属する領域を判別して、その領域による該当色補正係数を選択する段階(ステップS11)、選択された色補正係数と入力デ−タを掛けて色補正する段階(ステップS12)、そして、色補正された画像デ−タを出力する段階(ステップS13)にて構成される。
【0053】すなわち、本実施例に係る色補正方法では、図1に示す処理で求めた色補正係数をルックアップテ−ブル化して格納しており、補正のために画像デ−タが入力されると、入力されたデ−タが属する領域を判別した後、その領域に該当する色補正係数を探す。そして、入力された画像デ−タを、該当色補正係数を使用して補正することにより、色再現時の充実度を向上させる。
【0054】図7は、上述の色補正方法を実現するための色補正装置の構成を示すブロック図である。
【0055】図7において、本実施例に係る色補正装置は、入力される画像デ−タ(Rin,Gin,Bin入力デ−タ)をラッチする入力部20、ラッチされた画像デ−タを入力後、分周して、該当領域を判断する領域判断部22、この領域判断部22からの出力に応じて色補正係数を選択して、出力するROM(ルックアップテ−ブル)部24、画像デ−タをルックアップテ−ブル24からの出力と掛けた後、加算して色補正する演算器&加算器部26、そして、演算器&加算器部26からの出力(色補正されたRout,Gout,Bout)を緩衝する出力バッファー部28を具備する。
【0056】図7に示すルックアップテ−ブル24には、色再現システムの特性により色空間を適切に分割して、それぞれ領域別に求めた多数の色補正係数が格納される。また、領域判断部22は、入力されたデ−タをN分周する分周器211〜223と、これらの分周器221〜223の出力をデコードして、該当アドレスを出力するアドレスデコ−ダ−225を具備する。そして、入力されたRGBデ−タが、どの領域に該当するかを判断した後、それに該当するアドレスをルックアップテ−ブル24に出力することで、該当色補正係数を出力する。
【0057】また、演算器&加算器部26は、不図示の乗算器及び加算器を具備しており、入力されたRGB画像デ−タに、該当領域の色補正係数を掛けた後、加算して色補正を行なう。
【0058】以上説明したように、本実施例によれば、色空間を適応型領域に分割し、分割されたそれぞれの領域ごとに適した色補正係数を算出してルックアップテーブル化した後、入力された画像データに対して色補正係数を使用して色補正することで、モニタ−画像のハ−ドコピ−、スキャナ−画像のプリント、モニタ−の色補正、スキャナ−の色補正及びその他のカラ−機器の色補正に適用でき、少ないメモリにて精巧な色補正が可能な色補正方法及び装置を実現できる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、色空間の適用的な領域分割により、メモリを節約して速度を向上させた精巧な色補正及び忠実な再生ができる。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る色補正係数を求める手順を示すフローチャートである。
【図2】RGB出力を算出する工程の詳細フローチャートである。
【図3】色補正係数の算出工程の詳細フローチャートである。
【図4】RGB空間を8個の領域に均等分割した例を示す図である。
【図5】分割された領域別に色補正係数を求める際に使用される表の一例を示す図である。
【図6】本実施例に係る色補正の方法を示すフローチャートである。
【図7】本実施例に係る色補正方法を実現する色補正装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
20 入力部
22 領域判断部
24 ROM(ルックアップテ−ブル)部
26 演算器&加算器部
28 出力バッファー部
211〜223 分周器
225 アドレスデコ−ダ−

【特許請求の範囲】
【請求項1】 色再現システムの特性に応じてRGB空間を所定の領域に分け、該分けられた各領域別に色変換行列式を求めるための色補正係数を算出する色補正方法において、前記RBG空間を均等に分割してパッチを出力し、該出力されたパッチを線形色空間で測色してRGB出力を演算する演算工程と、前記演算されたRGB出力を均等に置き、該RGB出力に対応するRGB入力を逆方向変換により探してルックアップテ−ブルを構成する工程と、前記色再現システムで要求される正確度で色補正係数を得るために許容誤差を入力する工程と、前記色補正係数の誤差が前記許容誤差内に収まるように、前記RGB空間を適応的に分割し、各分割された領域に適用される色補正係数及び該領域の領域番号を求める生成工程とを備えることを特徴する色補正方法。
【請求項2】 前記演算工程は、さらに、前記RGB入力を均等に分けてパッチを作るプリント工程と、前記プリントされた各パッチを線形色空間上で測色する測色工程と、前記測色された結果を逆変換してRGB出力を演算する工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載の色補正方法。
【請求項3】 前記生成工程は、さらに、前記RGB空間をk個の領域に分割する工程と、前記分割された特定領域の標本色を、前記ルックアップテ−ブルから抽出する工程と、前記抽出された標本色から、多項回帰分析にて色補正係数を算出する工程と、前記算出された色補正係数の誤差を検出する工程と、前記検出された誤差が許容誤差以下であれば、前記領域番号と該領域番号による色補正係数を格納する工程と、前記検出された誤差が許容誤差より大きければ、前記領域番号に適用不可表示をする工程と、前記適用不可表示された領域をm個の領域に再分割する工程とを備え、前記適用不可表示がなくなるまで、あるいは、前記適用不可表示された領域が最小分割単位となるまで分割を繰り返して、該分割された領域の領域番号と該領域番号による色補正係数を求めることを特徴とする請求項1に記載の色補正方法。
【請求項4】 色再現システムの特性によりRGB空間を所定の領域に分け、各領域別に色補正係数を求めた後、入力された画像デ−タを該当する色補正係数に応じて色補正する色補正方法において、前記画像デ−タを入力する工程と、前記入力された画像デ−タが属する領域を判別し、該領域に該当する色補正係数を選択する工程と、前記選択された色補正係数と前記入力された画像デ−タを掛けて色補正する工程と、前記色補正された画像デ−タを出力する工程とを備えることを特徴とする色補正方法。
【請求項5】 色再現システムの特性によりRGB空間を所定の領域に分け、各領域別に色補正係数を求めた後、入力される画像デ−タを該当する色補正係数に応じて色補正する色補正装置において、前記画像デ−タを入力して、該当する領域を判断する領域判断手段と、前記色補正係数を複数格納し、前記領域判断手段からの出力に応じて特定の色補正係数を出力するルックアップテ−ブルと、前記画像デ−タと前記ルックアップデ−ブルからの出力を掛けて色補正する演算手段とを備えることを特徴とする色補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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