説明

色見本帳

【課題】
色見本の色を用いた配色を迅速かつ容易に行うことができる色見本帳を提供することを目的とする。
【解決手段】
1色又は2色以上の色見本を表示した色見本カードを複数枚組合せた色見本帳であって、前記色見本カードに、前記色見本に示した色の配色情報が色見本毎に表示されている色見本帳である。なお、配色情報とは、色見本帳中に表示されたある色見本の色を、他の色と組み合わせて用いる場合において、その色見本の色との組合せの相性がいい色見本の情報である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物などの構造物の塗装に用いられる塗料について、その塗料から得られる色を示し、それらの色から希望する色を選定するために用いる色見本帳に関するものである。
【0002】
本明細書においては、色見本帳の使用方法として、塗料の色の選定方法を説明するが、本発明の色見本帳は、塗料の色の選定だけではなく、壁紙、サイディングボード、及び内装ボード等の内装用建材や外装用建材の色の選定にも用いることができる。
また、窓枠、ドア、屋根の色、什器、家具等の色の選定に用いることもできる。また、これらの物品と建築物の色とを組み合わせたコーディネートにも用いることができる。
【背景技術】
【0003】
従来から、建築物などの構造物の塗装される塗料の選定方法として、色見本カードや色見本帳が用いられている。即ち、塗料の色の選定方法として、色見本カードや色見本帳による色の提案、選択を行ない、塗料の乾燥硬化した後の色を決定する方法が用いられることが多い。
【0004】
この複数の色を表示した色見本カードの多くは、その色見本カードに表示されている複数の色がマンセル値などにより数値化,記号化した色をその数値,記号を元に順番に配列して表示したもので、それらの色見本カードを更に順番に配列して表示した見本帳が多く存在している。
なお、マンセル値は、色を色相,明度,彩度に区分し、それぞれを数値化し、その3つの数値を組合せて表したものである。
【0005】
また、特許文献1に記載には、基調色色見本、副調色色見本、強調色色見本が1枚の色見本カード上に並列に示され、前記基調色色見本が他の色を示す色見本の面積よりも大きく、前記強調色を示す強調色色見本の面積が最も小さい色見本カード、及びそれらのカードを複数組み合わせた色見本帳が記載されている。
【0006】
【非特許文献1】(社)日本塗料工業会 塗料用標準見本帳この見本帳は、色見本帳の代表的なもので、多くの場合に用いられるものであり、色相順に色を配置し、明度,彩度の順番に変化させた色を順番に並べ表したものである。
【特許文献1】特開2004−102250号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
建築物などの構造物の外観(例えば、塗装建築物の内装や外装)は、単色で仕上げられることはまれであって、多くの場合は、複数の色を組み合わせた仕上がりとなる。なお、前記複数の色は、塗料による色に限らず、壁紙、巾木、幕板、雨樋等の建築部材、あるいは、家具、カーテンなどである場合もある。
【0008】
このように複数の色で仕上げられる場合、複数の色を統一感があって、まとまりのある配色とすることが好ましい。それによって、落ち着きのある仕上がり感を得ることができる。逆に、施工された複数の色が、統一感があってまとまりのある配色でない場合、色彩の違和感から落ち着きがなくなることがある。
【0009】
しかし、従来の色見本帳は、単に色のみを表示したものであって、まとまりのある複数の色を選択すること、ある1色に対してまとまりのある色を選択することなど、複数の色を統一感があって、まとまりのある配色にすることが難しい。つまり、従来の色見本帳は、単色としての色を表現したものであり、複数の色を組合せて統一感のある配色となる複数の色を容易に選択できるものではなかった。
【0010】
また、特許文献1に記載された色見本帳は、色見本カード上に、基調色色見本、及び該基調色色見本に対して使用できる副調色色見本、強調色色見本を表示している。しかし、多数の副調色色見本、強調色色見本を表示しようとした場合、各色の色見本が非常に小さくなる、色見本カードが大きくなる、或いは、同じ基調色色見本を表示した複数の色見本カードが必要なものであった。
【0011】
各色の色見本を小さくして、1枚の色見本カードに、多数の色を表示した場合、実際の色と人が色見本を見たときの色に差が生じること(以下、「色の誤認」という。)がある。その理由は、色は、使用する面積によってその色の感じ方が異なるという性質(以下、「色の面積効果」という。)による。つまり、明るく鮮やかな色は、面積が大きくなることによって、より明るく鮮やかに感じるものであり、暗くくすんだ色は、面積が大きくなることによって、より暗くくすんだように感じるものである。各色の色見本を小さくした場合、色見本カードの面積に対する色見本の面積が小さくなり、このような色の誤認が生じやすい。また、多数の色を同一カードに表示した場合、色彩対比によって、色の誤認を生じることがある。
【0012】
色見本カードが大きくした場合には、色見本帳が取り扱いにくいものになる。また、多数の色を同一カードに表示した場合、色見本カードの面積に対する色見本の面積が小さくなることによる色の面積効果や、色彩対比によって、色の誤認を生じることがある。
【0013】
また、ある基調色色見本に対して使用できる副調色色見本、強調色色見本を複数の色見本カードに分けて表示した場合、色見本カードが増えることによって色見本帳が取り扱いにくいものになる。また、一つの色見本帳に同色の基調色色見本が多数存在することになるため、効率的に色見本を配置することができない。
【0014】
また、近似色の基調色色見本同士では、それらの基調色色見本に対して使用できる副調色色見本、強調色色見本は同じ色であることが多く、一つの色見本帳に同色の副調色色見本、強調色色見本が多数存在することになるため、色見本帳内に同じ色が重複して表示されることとなってしまう。
【0015】
また、基調色色見本に対する、副調色色見本及び強調色色見本が同一カードに並列に配置されるため、基調色色見本から離れた位置に表示された副調色色見本あるいは強調色色見本を選択した場合、それらの色見本が同一カードに表示されているために、基調色色見本と選択した副調色色見本あるいは強調色色見本を隣り合うように配置することができず、色彩対比による影響を確認することができず、選択した色を配色した場合のイメージを正確に確認することができなかった。
【0016】
また、引用文献1の色見本帳では、副調色色見本及び強調色色見本として表示された色を基調色として配色したい場合の配色情報は示されてはいなかった。
【0017】
本発明は、色見本の色を用いた配色を迅速かつ容易に行うことができる色見本帳を提供することを目的とする。
また、色の面積効果を抑えた色見本帳を提供すること、選択した色同士の色彩対比による影響を確認する色見本帳を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は、1色又は2色以上の色見本を表示した色見本カードを複数枚組合せたことを特徴とする色見本帳であって、前記色見本カードに、前記色見本に示した色の配色情報が色見本毎に表示されている色見本帳によって解決することができる。
また、前記色見本帳は、前記色見本カードに示された色見本が1色であって、前記複数枚の組合せが、該色見本の色から受ける印象ごとにグループ化したものであることが望ましい。更には、前記グループ化された色見本帳が、複数のグループ別色見本帳により構成された色見本帳であることが望ましい。
【0019】
前記色見本帳においては、前記色見本カードに表示される色見本の面積が、色見本カードの面積を100としたときに20〜100であることが望ましい。
【0020】
前記色見本帳は、色見本カードを取り外すことができるものである記止め具により綴じたものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の色見本帳によれば、色見本の色を用いた場合の配色情報を同じ色見本カードに表示することによって、該色見本の色を用いた配色を迅速かつ容易に行うことができる色見本帳を提供することができる。
また、色の面積効果を抑えた色見本帳を提供すること、選択した色同士の色彩対比による影響を確認する色見本帳を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を詳細に説明する。
【0023】
この発明は、1色又は2色以上の色見本を表示した色見本カードを複数枚組合せたことを特徴とする色見本帳であって、前記色見本カードに、前記色見本に示した色の配色情報が色見本毎に表示されている色見本帳である。
【0024】
この色見本帳は、塗料が乾燥硬化した後に形成される塗膜の色を選択、確認などを行なうものである。つまり、色見本帳を用いて、色見本を表示した色見本カード中から、塗料を被覆物に塗装して得られる色の色見本を選択する。また、選択した色見本は、塗料を塗装した後に、塗装によって得られた色の確認にも用いることができる。
塗装前に色を選択する場合、複数色の色見本から色を選択する作業を行うため、複数の色見本が示されている色見本カードを用いるか、複数枚の色見本カードを用いる必要がある。
【0025】
前記色見本カードは、該色見本カードに表示される色見本の面積が、色見本カードの面積を100としたときに20〜100であることが好ましい。前記色見本の面積が、20未満の場合、色の面積効果によって、色の誤認を生じる場合がある。
【0026】
前記配色情報とは、色見本帳中に表示されたある色見本の色を、他の色と組み合わせて用いる場合において、その色見本の色との組合せの相性がいい色見本(前記色見本帳中に存在する色見本)の情報である。組み合わせとは、例えば基調色となるA色に対して、副調色となるB1色、B2色等、強調色となるC1色、C2色等を言う。また、例えば、このB1色が、別の組み合わせでは、基調色となった場合には、副調色となるB3色、B4色等、強調色となるC3色、C4色等となる場合もある。
【0027】
配色情報の表示方法としては、色見本の色との組合せの相性がいい色見本の色の名称、マンセル値、RGB値、PCCS値、又は、色を識別する為の記号等を色見本カードに表示する方法がある。また、QRコード等によって色見本カードに表示して、該コードを読みとる装置を用いて配色情報を得る表示方法であってもよい。
【0028】
また、組合せ可能な色見本同士を容易に選択できる手段として、色見本カードに欠損部を設けてもよい。即ち、色見本帳に用いる色見本カードとして、同形同大で、色見本の色が異なる複数の色見本カードを準備し、その複数の色見本カードのうちで、相性のいい組合せの色見本同士を表示した色見本カードには、同じ位置に同じ大きさの欠損部を設ける。
上記欠損部を設けることによって、同じ位置に同じ大きさの欠損部がある色見本カードを、色見本帳の中から選択すれば、相性のいい組合せの色見本を複数とりだすことができ、それらの色によって配色することができる。
欠損部は、1箇所であっても、2箇所以上であってもよい。また、ある組合せに用いられる色見本カードが、他の組合せで用いられる場合は、1つの色見本カードにそれぞれの組合せの選択手段として、別々の位置に欠損部を設ければよい。
また、欠損部は、色見本カードに穴を空ける方法でもよいが、色見本カードの端部に設けることが好ましい。色見本カードの端部に欠損部を設けることで、色見本カードを組み合わせて色見本帳にした場合に、色見本カードを重ね合わせたとしても、重ね合わせたまま欠損部を確認することができ、同じ位置に同じ大きさの欠損部がある色見本カードを容易に選択することができる。
【0029】
配色情報の作成方法としては、色見本帳の色見本同士を用いた好ましい色の組み合わせ(以下、「配色パターン」という。)の情報を作成し、その中から、配色情報を表示する色見本の色見本の色に関係のある配色パターンのみを抽出する方法等がある。このとき、ある色について抽出される配色パターンは1種類に限定されるものではなく、複数の配色パターンが抽出される場合もある。
【0030】
前記配色パターンの決定方法は特に限定されるものではなく、例えば、「配色事典」(清野恒介、島森 功著、新紀元社発行)に記載された「配色イメージ」など、公知の配色方法によって、配色パターンを決定すればよい。
【0031】
色見本帳に表示される色見本が多くなるに従って、配色パターンが増えていく。場合によっては、ある色を用いた配色パターンが十数通りや数十通りになる場合もある。このように、配色パターンが増えた場合、色の選択を容易に行うためには、配色パターンを図又は表等にまとめて表示することが好ましい。しかし、配色パターンが多いと、配色パターンの表示が複雑となり、配色パターン全てを図又は表等にまとめた配色情報の中から、用いたい色に関する配色情報を迅速に取り出す作業に時間を要する場合がある。また、選択した色見本を用いた場合の配色パターンを色見本カードとは別の用紙、カード等に表示した場合、色見本を見て色を選択した後に、配色パターンを表示した用紙(又は、カード等)を取り出して配色パターンを確認する作業が必要であり、その作業に時間が掛かり配色情報を迅速に得ることができない場合がある。
これに対して、色見本カードに配置した色見本に示された色の配色情報を該色見本カードに表示する方法では、色見本により色を選択したときに、選択した色を用いた場合の配色情報を簡単な作業で迅速に得ることができる。
【0032】
また、この方法によれば、特許文献1の色見本帳のように、一つの色見本帳の中に、色が重複して表示されることがない。また、特許文献1の色見本カードでは、1枚の色見本カードに多くの配色情報を表示する(多くの色見本を表示する)場合に色の誤認が生じるため、多くの配色情報を1枚のカードに表示することが困難であったが、この方法によれば、1枚の色見本カードに多くの情報を表示することができる。また、全ての色見本に対して配色情報を表示することができる。
【0033】
配色情報としては、例えば、色見本に示された色を基調色として用いた場合の副調色及び強調色の情報を表示することができる。また、色見本に示された色を副調色として用いた場合の基調色及び強調色の情報や、色見本に示された色を強調色として用いた場合の基調色及び副調色の情報であってもよい。
【0034】
以下に、基調色、副調色、及び強調色について説明する。
なお、基調色、副調色、及び強調色の概念は、建築物の塗装に限定されるものではないが、本明細書では、建築物の外装に塗料を塗装する場合を中心に説明する。
【0035】
基調色とは、配色の基本となる色であて、最も広い面積に用いられた色である。つまり、建築物などの構造物に塗装する場合おいては、最も広い面積に塗装される塗料の色のことである。基調色は、適宜選択すればよいが、建築物に違和感なく、多く用いられている色を基調色とすることが好ましい。
【0036】
建築物に違和感なく、多く用いられている色には、淡色系のものが多い。濃色系の色や赤、青といった原色を建築物の外壁に用いた場合、建築物の周辺との調和することが難しく、違和感のあるものとなることが多いため、用いられることが少ない。また、内壁や天井においても、濃色系の色や赤、青といった原色を用いた場合、その空間に置かれる家具などと調和するものが少なく、暗過ぎたり、明る過ぎたりすることがあり、違和感のある空間となることが多い。このようなことより、淡色系の色を用いることが多い。このようなことから基調色は、淡色系の色が好ましい。
【0037】
色には、色相、明度及び彩度の属性があり、それにより色を表現することがある。色相は、赤、青、黄などの色みの違いをいうものであり、この色みのない色のことを無彩色といい、白、黒、灰色などがあり、赤、青、黄など色みのあるもののことを有彩色という。
明度は、明るさの度合いをいうものであり、明度が低い場合は、黒っぽい色のものを指し、高いものは、白っぽい色を指す。彩度は、色の鮮やかさを表すものであり、彩度が低い場合は、黒っぽいくすんだ色みの少ない色のものを指し、大きいものは、鮮やかな色みの強い色のものを指す。
さらに、明度と彩度の概念を合わせた色調により色の印象を表すことがある。この色調は、明度と彩度とが変化することにより色の調子が変化することであり、色の濃さや明るさに大きく影響するものである。
【0038】
副調色とは、建築物の外観においては、基調色が占める面積より小さい面積に塗装される塗料の色のことである。副調色は、基調色とは異なる色であって、基調色に変化を与えることができる色であり、基調色によりその副調色の色が決定される。例えば、基調色が淡色系の色であれば、その基調色より濃い色調の色や暗い色調の色を用いることが多い。逆に、基調色が濃色系の色であれば、その基調色より薄い色調の色や明るい色調の色を用いることが多い。
【0039】
また、この副調色は、基調色と同じ色相のもの又は色相が近いものが好ましい。このような色相の色を副調色として用いることにより、建築物の外観がよりまとまりがあり、統一感のあるものとなる。
【0040】
強調色とは、建築物の外観においては、基調色が占める面積や副調色の占める面積より小さい面積に塗装される塗料の色のことである。強調色は、基調色及び副調色とは異なる色であって、色見本カード全体を引き締めることができる色のことで、基調色や副調色によりその強調色の色が決定される。
強調色は、建築物の外観にアクセントを与えるために用いられることから、基調色が淡色系の色であれば、その強調色には、基調色、副調色より濃い色調の色や暗い色調の色を用いることが多い。逆に、基調色が濃色系の色であれば、その強調色には、基調色、副調色より薄い色調の色や明るい色調の色を用いることが多い。さらに、基調色、副調色と対照的な色を用いることもできる。
【0041】
基調色は、建築物の外装であれば、その色を使用した部分の面積が建築物の外装に占める割合が50%〜80%に使う予定又は使われていることが多い。また、副調色が建築物の外装に占める割合は、15%〜35%、強調色が建築物の外装に占める割合は、5%〜15%であることが多い。
これら基調色、副調色及び強調色を用いる代表的なものとして、建築物の外観であれば、基調色を外壁とした場合、副調色を窓枠などの建具、ドア、屋根の庇部分である軒天、屋根などの色とし、強調色を外構部分である門扉、塀などの色とすることができる。また、外壁を基調色と副調色とで前記範囲内で構成させ、強調色を窓枠などの建具、ドア、屋根の庇部分である軒天、屋根などの色とすることができる。
【0042】
さらに、建築物の外装をその建築物のある空間で考えた場合では、空、海など自然にあるものや隣接する構造物の色を基調色とし、外壁を副調色の色から選択し、強調色を外構部分である門扉、塀などの色とすることができる。
また、建築物の内装であれば、壁、天井を基調色とし、椅子などの家具、電化製品に副調色の色を用い、インテリア用品の色を強調色としてみることもできる。
【0043】
なお、本発明の色見本カードは、矩形状のものであることが好ましい。矩形状であることにより、色見本カードの作成、保管、輸送などの効率が向上することがある。また、色見本の形状は、特に制限はないが、矩形状のものが好ましい。色見本の形状を矩形状にすることにより色見本の面積の違いが判り、矩形状のカラーカード内に効率的に示すことができる。
【0044】
また、色見本カードの端に空白部を設けることが好ましい。この端にある空白部は、色見本カードを手で触る場合などに利用することができ、色見本カードにある色見本に触れることなく色見本カードを扱うことができる。色見本カードに手などで頻繁に触れたことにより手垢などで色見本が汚れることがあり、その色が変化することがある。
【0045】
さらに、空白部は複数枚の色見本カードを綴じて見本帳を作製する場合にも用いることができる。この空白部を色見本カードの綴じ代とすることにより、色見本を傷つけることなく綴じることができる。
このように空白部を利用することができるため、空白部は2箇所以上あることが好ましいことになる。2箇所以上あることにより、1つの空白部を利用してカラーカードを複数枚の綴じたカラー見本帳を作成した場合、もう1つ以上の空白部を利用して色見本カードを扱うことができる。
【0046】
色見本帳を構成する複数の色見本カードは、任意に選択したものでも良いが、1色の色見本を表示した色見本カードである場合、該色見本の色から受ける印象ごとにグループ化したものが好ましい。
このように色から受ける印象ごとにグループ化することにより、色の選択が迅速に行なうことができることがある。このグループは、赤系、青系などのように色相の系統別としたもの、ナチュラル、モダン、クラシックなどと言った雰囲気を代表するもの、中間色彩、くすみ系の色彩、明るい色彩などと言った色の明るさ別にしたものなどがある。
このように色から受ける印象ごとにグループ別色見本帳を用いることにより、前もってイメージしている色から受ける印象により色見本帳を選択することができるため、色の選択及び決定が容易で、速いものとなる。
【0047】
また、上記のようなグループ別色見本帳を複数集めたものであることがより好ましい。このようにすることにより、前もって色のイメージがない場合には、より多くの色がイメージ別にグループ化されているため、まず、イメージによりある程度の色を絞り込み、そのグループを決め、決められたグループにある複数の色見本により色を選択することができ、イメージとした色を効率的で、適確に決定することができるものである。
この複数のグループ別色見本帳は、各グループ別色見本帳を止め具などにより1つにまとめた形態や別々にあるグループ別色見本帳を1つの容器に収めた形態などがある。この形態については、利用者が適宜選択することができるものである。
【0048】
前記色見本帳は、複数枚の色見本カードを止め具により綴じたものであることが好ましい。このように複数枚のカラーカードをまとめることにより、多くの色見本カードを持ち運びが容易なものとすることができ、多くの色から色の選択が容易にできるものとなる。また、綴じることにより、色見本帳がバラバラになることがないものとなる。
【0049】
また、前記止め具は、色見本カードを取り外すことができるものであることが好ましい。色見本カードの取り外し可能な止め具としては、例えば、リング状の止め具であってリングの一部が開閉するもの等があるが、その形状は特に限定されるものではない。
色見本カードが止め具から取り外せることによって、基調色、副調色、及び強調色として使用する予定の色見本カードを並べて見ることが可能であって、実際に色を組み合わせたときの統一感やまとまりを確認することができる。
複数の色を組み合わせて用いた場合、隣り合う色の組合せによっては、色彩対比によって、色見本カードを単独で見た場合と、色のイメージが異なる場合があるが、色見本カードを並べて確認することによって、色彩対比による影響も確認することができる。
【0050】
色彩対比とは、色と色とが接するときに、互いの色が影響しあって、本来の色とは違う色に見える現象である。
具体的には、本来の色とは、色相、明度、彩度が異なって見える。
例えば、暗い色に囲まれた(接した)色の方が明るく見える現象が知られている。これは、実施の色より明度が高く見える現象である。この現象以外にも、例えば、彩度の高い色に囲まれた色は、彩度が低下して見える現象などがある。
【0051】
従って、色見本カードによって複数の色を選択した場合、それらを組み合わせた場合の正確なイメージを得るためには、それらを隣り合わせて確認する必要がある。色見本カードが止め具から取り外せることによって、より完成イメージに近い色の選択ができる。
【0052】
また、本発明の色見本カードには、配色情報以外にも、付加情報として、色見本に示された色の名称、マンセル値、RGB値、PCCS値、又は、色を識別する為の記号(例えば、図形、文字、数字、及びそれらを組み合わせたもの)及び/又はバーコード、あるいは、色の持つ心理効果等を記載してもよい。なお、心理効果とは、色から人が受けるイメージや、色が人の心理に与える影響等をいう。
【実施例】
【0053】
本発明の具体的な実施例を以下に示す。
【0054】
(実施例1)本発明の実施例を図1及び図4に基づいて説明する。
図1に示す1色の色見本を表示した色見本カード11を作製した。色見本カード11の片側の面には、色見本22が表示し、その裏側の面には、配色情報表示部23を設けて配色情報を記載した。なお、色見本カード11には、付加情報として、色見本22の色の番号を「0」と記載した。前記配色情報は、色見本22を基調色とした場合に、副調色及び強調色として好ましい色見本の色の番号であった。
また、色見本カード11と同じ形状、大きさで、色見本22とは異なる色の色見本カードを100枚作製した。なお、前記色見本には、付加情報としての色の番号を「1」〜「100」として表示した。
次に、図4に示すように、色見本カード11及び前記100枚の色見本カードを、番号「0」から「100」の番号順位に、止め具25により綴じて色見本帳15を作製した。なお、図4は、実際に作製した色見本帳15の色見本カードの枚数を省略して簡略化したものである。
【0055】
次に、前記色見本帳15を用いて、色の選択を行った。
まず、建築物の外装に塗装する色の配色の基本となる基調色を選択した。基調色は、色見本に表示された色、及び付加情報として表記された情報に基づいて選択した。次に、基調色となる色見本を表示した色見本カードに表示された配色情報に基づいて、副調色あるいは強調色として好ましい色の色見本を確認して、副調色及び強調色を選択した。
次に、副調色、及び強調色の色見本を表示した色見本カードを、色見本帳15から取り外し、基調色の色見本と隣り合うように配置して、選択した色の確認を行った。
【0056】
上記選択方法によって色を選択することによって、基調色、副調色及び強調色を容易に選択することができた。また、基調色、副調色及び強調色を配色した場合の各色のイメージを正確に確認することができた。
【0057】
(実施例2)以下の手順で、色見本カードの選択手段を備えた色見本帳を作成した。
前記実施例1において、色見本22の色を基調色とした場合に、副調色として用いられる色は色番号「5」、「10」色見本の色であり、強調色として用いられる色は色番号「54」、「55」、「82」色見本の色であった。
そこで、まず、実施例1で作成した色見本帳15を準備し、色見本22を表示した色見本カード11の端部を切り取り、図5に示すように欠損部31を設けた。次に、色番号「5」、「10」、「54」、「55」、「82」色見本を表示した色見本カードにも、色見本カード11と同じ位置に同じ大きさの欠損部を設けた。
【0058】
欠損部を設けたことによって、色見本帳の中から、色見本カード11及び、色番号「5」、「10」、「54」、「55」、「82」色見本を表示した色見本カードが容易に取り出せるようになった。
【0059】
なお、前記実施例は、次のように変化させても実施することができる。
【0060】
実施例1の色見本カード11では、色見本22を表示した面の裏側の面に、配色情報表示部23を設けたが、図2に示す色見本カード12ように、色見本22と同一面に配色情報表示部23を設けてもよい。
【0061】
実施例1色見本カード11は、1色の色見本を表示したものであるが、図3に示す色見本カード13ように、2色の色見本を1枚の色見本カードに表示してもよい。また、3色以上の色見本を1枚の色見本カードに表示してもよい。
【0062】
実施例1色見本カード11は、色見本22を色見本カード11と同じ形状・大きさで表示したものであるが、色見本22の大きさは、色見本カード11内に収まる形状・大きさであれば、形状・大きさは特に限定されない。例えば、図3に示す色見本カード13ように、色見本の表示しない部分である空白部24を設けてもよい。
【0063】
図1〜3においては、配色情報表示部は、枠(線)によって囲まれているが、特に枠を設ける必要はない。
【0064】
実施例2においては、色見本カード11及び、色番号「5」、「10」、「54」、「55」、「82」色見本を表示した色見本カードを選択する為に欠損部を設けたが、他の組合せを選択する為の欠損部を、その組合せに使用される色見本カードに別途設けてもよい。なお、その場合に設ける欠損部は、実施例2で設けた欠損部とは違う位置に設ける。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】色見本と配色情報が別々の面に記載された色見本カードの表面図及び裏面図
【図2】色見本と配色情報が同一の面に記載された色見本カードの表面図及び裏面図
【図3】2つの色見本が表示され、それぞれの配色情報が色見本とは別の面に記載された色見本カードの表面図及び裏面図
【図4】色見本帳
【図5】欠損部を設けた色見本カード
【符号の説明】
【0066】
11,12,13 色見本カード
15 色見本帳
22,22a,22b 色見本
23 配色情報表示部
24 空白部
25 止め具
31 欠損部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1色又は2色以上の色見本を表示した色見本カードを複数枚組合せたことを特徴とする色見本帳であって、
前記色見本カードに、前記色見本に示した色の配色情報が色見本毎に表示されていることを特徴とする色見本帳。
【請求項2】
前記色見本カードに示された色見本が1色であって、前記複数枚の組合せが、該色見本の色から受ける印象ごとにグループ化したものであることを特徴とする請求項1に記載の色見本帳。
【請求項3】
前記グループ化された色見本帳が、複数のグループ別色見本帳により構成されたことを特徴とする請求項2に記載の色見本帳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−170064(P2010−170064A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14824(P2009−14824)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000159032)菊水化学工業株式会社 (121)
【出願人】(509026208)有限会社 ミユ (1)