説明

色調整方法

【課題】 複数個の指定色があって指定色同士が色空間上の近距離に存在していた場合に外挿関数を用いても変曲点が生じることがない色調整方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数指定色の色調整情報入力ステップS2と、第2色空間において複数指定色色調整情報から複数指定色色調整パラメータ算出の色調整パラメータ算出ステップS4と、対象カラー画像の各画素の画素色情報入力の画素色情報入力ステップS9と、第3色空間において画素色情報と複数指定色との距離算出の画素色情報距離算出ステップS10と、第2色空間において各画素の色調整後の色情報を複数指定色の色調整パラメータと距離と重み係数とから算出する色情報算出ステップS11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラープリンタ、カラー複写機等におけるカラー画像を色調整するための色調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー画像の色調整方法としては従来、次の2つの方式が提案されている。第1の方式は、被調整画像内の特定の色を基準として画像全体の色を調整する方式であり、第2の方式は、被調整画像内の特定領域(表示空間領域あるいは色空間領域)のみの色を調整する方式である。ところが、第1の方式においては画像内の特定の色以外の色への悪影響があるという問題があり、第2の方式においては領域指定が繁雑で疑似輪郭が発生するという問題があった。
【0003】上述した2つの方式を改良した方式として、カラーフォーラムJAPAN1994予稿集の「複数基準色の対応による色彩調整方式」(19頁〜22頁)がある。この方式は、被調整画像内の複数の色(指定色)と、各々の指定色に対応する調整後に得たい色(調整色)を与え、各々の対応を色調整処理を行う座標系全体に亘り滑らかに外挿することにより、被調整画像全体に対して処理を行う色調整方式である。この改良方式による色調整処理の手順は次の3つのステップから成る。最初の第1のステップでは、入力された被調整画像より色調整を施したい色(指定色)を選択し、各々の指定色に対して調整後に得たい色(調整色)を対応させる。次の第2のステップでは、指定色と調整色の対応を条件とした外挿計算により、色調整処理を行う座標系におけるすべての入力値に対する出力値を持つ関数を定める。最後の第3のステップでは、外挿計算により定められた関数を用い、被調整色画像の全画像データに対して色調整処理を行う。実際には、入力画像データをあらかじめ、処理を行う座標系の値に変換し、処理関数を用いて調整処理を行う。その後、再び、入力時の座標系に変換し、出力する。
【0004】上述した改良方式では、色調整を行う座標系を均等知覚色空間の一つであるCIE−L***空間で定義されるL*Cuv*Huv゜座標系を用いており、明度Lの外挿関数は彩度C方向優先で、彩度Cの外挿関数は色相H方向優先、色相Hの外挿関数は明度L方向優先で、それぞれ補間処理を行っている。
【0005】しかし、上記方法は、色空間上で第1指定色に近い画素の色を調整する場合、指定色に近いにもかかわらず、特定の軸たとえば明度Lが近い第2の指定色の色調整パラメータの影響を受けるために、カラー画像が好ましくない方向の色調整されるという問題があった。
【0006】そこで、複数個の指定色がある場合、色調整しようとする画素の色が色空間上で最も近い指定色の影響を強く受けるように、指定色からの色空間上の距離に依存する滑らかに連続的な外挿関数を用い、それぞれの補間処理を行って画像全体の色調整を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の色調整方法では、複数個の指定色があって指定色同士が色空間上の近距離に存在していた場合、滑らかに連続的な外挿関数を用いることにより変曲点が生じることがあり、望ましい色調整パラメータが得られないという問題点があった。
【0008】この色調整方法では、複数個の指定色があって指定色同士が色空間上の近距離に存在していた場合に外挿関数を用いても変曲点が生じることがないことが要求されている。
【0009】本発明は、複数個の指定色があって指定色同士が色空間上の近距離に存在していた場合に外挿関数を用いても変曲点が生じることがなく、また、全体色調整と各色の色調整とを同時に行うことにより操作性が向上し、色調整処理をテーブル補間により行うことにより色調整が高速化される色調整方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明による色調整方法は、第1の色空間で表現されたカラー画像上で複数の色を指定して色調整を行う色調整方法であって、指定された複数の指定色の色調整情報を入力する色調整情報入力ステップと、第2の色空間において複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出する色調整パラメータ算出ステップと、対象カラー画像の各画素の画素色情報を入力する画素色情報入力ステップと、第3の色空間において画素色情報と複数の指定色のそれぞれとの距離を算出する画素色情報距離算出ステップと、第2の色空間において各画素の色調整後の色情報を複数の指定色の色調整パラメータと距離と複数の指定色に対する重み係数とから算出する色情報算出ステップとを備えるように構成したものである。
【0011】これにより、複数個の指定色があって指定色同士が色空間上の近距離に存在していた場合に外挿関数を用いても変曲点が生じることがない色調整方法が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、第1の色空間で表現されたカラー画像上で複数の色を指定して色調整を行う色調整方法であって、指定された複数の指定色の色調整情報を入力する色調整情報入力ステップと、第2の色空間において複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出する色調整パラメータ算出ステップと、対象カラー画像の各画素の画素色情報を入力する画素色情報入力ステップと、第3の色空間において画素色情報と複数の指定色のそれぞれとの距離を算出する画素色情報距離算出ステップと、第2の色空間において各画素の色調整後の色情報を複数の指定色の色調整パラメータと距離と複数の指定色に対する重み係数とから算出する色情報算出ステップとを備えることとしたものであり、色調整パラメータが色空間上で滑らかにされ、また、重み係数により外挿関数による変曲点を取り除いて外挿されるという作用を有する。
【0013】請求項2に記載の発明は、第1の色空間で表現されたカラー画像上でカラー画像全体としての色調整と複数の色を指定しての色調整とを同時に行う色調整方法であって、カラー画像全体としての全体色調整パラメータを入力する全体色調整パラメータ入力ステップと、第2の色空間において指定された複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出する色調整パラメータ算出ステップと、対象カラー画像の各画素の画素色情報を入力する画素色情報入力ステップと、第3の色空間において画素色情報と複数の指定色のそれぞれとの距離を算出する画素色情報距離算出ステップと、第2の色空間において各画素の色調整後の色情報を全体色調整パラメータと複数の指定色の色調整パラメータと距離と複数の指定色に対する重み係数とから算出する色情報算出ステップとを備えることとしたものであり、色調整パラメータが色空間上で滑らかにされ、また、重み係数により外挿関数による変曲点を取り除いて外挿され、さらに、全体色調整と各色の色調整とが同時に行われるという作用を有する。
【0014】請求項3に記載の発明は、第1の色空間で表現されたカラー画像上で複数の色を指定して色調整を行う色調整方法であって、指定された複数の指定色の色調整情報を入力する色調整情報入力ステップと、第2の色空間において複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出する色調整パラメータ算出ステップと、複数の所定色を入力して複数の指定色のそれぞれとの距離を第3の色空間において算出する所定色距離算出ステップと、第2の色空間において色調整後の複数の所定色情報を複数の指定色の色調整パラメータと距離と複数の指定色に対する重み係数とから算出する色情報算出ステップと、色調整後の複数の所定色情報を第4の色空間へ変換して記憶する変換記憶ステップと、カラー画像の各画素の画素色情報を入力する画素色情報入力ステップと、第4の色空間において色調整後の画素色情報を色調整後の複数の所定色情報から算出する画素色情報算出ステップとを備えることとしたものであり、色調整パラメータが色空間上で滑らかにされ、また、重み係数により外挿関数による変曲点を取り除いて外挿されるという作用を有する。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、カラー画像全体としての全体色調整パラメータを入力する全体色調整パラメータ入力ステップを備えることとしたものであり、色調整パラメータが色空間上で滑らかにされ、また、重み係数により外挿関数による変曲点を取り除いて外挿され、さらに、全体色調整と各色の色調整とが同時に行われるという作用を有する。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1に記載の発明において、カラー画像はカラー動画像であることとしたものであり、カラー動画像に対する色調整が行われるという作用を有する。
【0017】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1に記載の発明において、カラー画像は三次元カラー画像であることとしたものであり、三次元カラー画像に対する色調整が行われるという作用を有する。。
【0018】請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の発明において、色調整情報入力ステップにおいて、複数の指定色の色調整情報は指定色の調整範囲を含めて入力されることとしたものであり、調整範囲のみ色調整されるという作用を有する。
【0019】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の発明において、第1の色空間は赤、緑、青の加法3原色からなる色空間であることとしたものであり、カラー画像の画素の色は赤、緑、青の加法3原色であるという作用を有する。
【0020】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の発明において、第2の色空間は明度、彩度、色相からなる色空間であることとしたものであり、指定色と指定調整色とは明度、彩度、色相からなる色空間へ変換されるという作用を有する。
【0021】請求項10に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の発明において、第3の色空間は明度、2つの色度からなる色空間であることとしたものであり、任意指定色と他の各指定色との距離が明度、2つの色度からなる色空間で計算されるという作用を有する。
【0022】請求項11に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、第4の色空間は赤、緑、青の加法3原色からなる色空間、シアン、マゼンタ、イエローの減法3原色からなる色空間あるいはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの減法4色からなる色空間であることとしたものであり、色調整後の画素色情報が上記種々の色空間において算出されるという作用を有する。
【0023】請求項12に記載の発明は、第2の色空間における指定色の色調整パラメータはパラメータα、β、γから成り、色調整前の指定色の明度、彩度、色相をl、c、hとし、色調整後の指定色の明度、彩度、色相をl´、c´、h´とするとき、α=l´/l、β=c´/c、γ=h´−hであることとしたものであり、色調整パラメータが明度、彩度、色相に基づいて容易に算出されるという作用を有する。
【0024】請求項13に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の発明において、第3の色空間における距離は三次元ユークリッド距離であることとしたものであり、第3の色空間における距離が上記三次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという作用を有する。
【0025】請求項14に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の発明において、第3の色空間における距離は第3の色空間とカラー画像の平面を統合した五次元空間における五次元ユークリッド距離であることとしたものであり、第3の色空間における距離が上記五次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという作用を有する。
【0026】請求項15に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、第3の色空間における距離は第3の色空間とカラー動画像の時間軸とを統合した四次元空間における四次元ユークリッド距離であることとしたものであり、第3の色空間における距離が上記四次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという作用を有する。色調整が容易化されるという作用を有する。
【0027】請求項16に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、第3の色空間における距離は第3の色空間とカラー動画像の画像平面と時間軸とを統合した六次元空間における六次元ユークリッド距離であることとしたものであり、第3の色空間における距離が上記六次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという作用を有する。
【0028】請求項17に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、第3の色空間における距離は第3の色空間と三次元カラー画像の空間とを統合した六次元空間における六次元ユークリッド距離であることとしたものであり、第3の色空間における距離が上記六次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという作用を有する。
【0029】請求項18に記載の発明は、請求項5又は10に記載の発明において、第3の色空間における距離は第3の色空間と三次元カラー動画像の画像空間と時間軸とを統合した七次元空間における七次元ユークリッド距離であることとしたものであり、第3の色空間における距離が上記七次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという作用を有する。
【0030】請求項19に記載の発明は、請求項1、3および5乃至10のいずれか1に記載の発明において、色情報算出ステップにおいて、色調整後の各画素の所定色情報又は色情報の色調整パラメータは、(数1)により算出されることとしたものであり、複数指定色付近での色調整パラメータが滑らかに変化するという作用を有する。
【0031】請求項20に記載の発明は、請求項2、4および5乃至10のいずれか1に記載の発明において、色情報算出ステップにおいて、色調整後の各画素の所定色情報の色調整パラメータは、(数2)により算出されることとしたものであり、カラー画像全体又は複数指定色付近での色調整パラメータが滑らかに変化するという作用を有する。
【0032】請求項21に記載の発明は、請求項1、3および5乃至10のいずれか1に記載の発明において、色情報算出ステップにおいて、色調整後の各画素の所定色情報又は色情報の色調整パラメータは、(数3)により算出されることとしたものであり、複数指定色付近での色調整パラメータが滑らかに変化するという作用を有する。
【0033】請求項22に記載の発明は、請求項2、4および5乃至10のいずれか1に記載の発明において、色情報算出ステップにおいて、色調整後の各画素の所定色情報の色調整パラメータは、(数4)により算出されることとしたものであり、カラー画像全体又は複数指定色付近での色調整パラメータが滑らかに変化するという作用を有する。
【0034】請求項23に記載の発明は、請求項19乃至22のいずれか1に記載の発明において、重み関数f(x)はx>0において単調減少関数であることとしたものであり、色調整パラメータが滑らかに変化するという作用を有する。
【0035】請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の発明において、重み関数f(x)はf(x)=1/x2であることとしたものであり、重み関数f(x)はx>0において単調に減少するという作用を有する。
【0036】請求項25に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、所定色情報は第1の色空間の三次元色度情報であることとしたものであり、第1の色空間の三次元色度情報により色調整されるという作用を有する。
【0037】請求項26に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、所定色情報は第1の色空間の三次元色度情報とカラー画像平面の座標情報であることとしたものであり、第1の色空間の三次元色度情報とカラー画像平面の座標情報とにより色調整されるという作用を有する。
【0038】請求項27に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、所定色情報は第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像平面の座標情報と時間フレーム情報とであることとしたものであり、第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像平面の座標情報と時間フレーム情報とにより色調整されるという作用を有する。
【0039】請求項28に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、所定色情報は第1の色空間の三次元色度情報と三次元カラー画像の画像空間の座標情報とであることとしたものであり、第1の色空間の三次元色度情報と三次元カラー画像の画像空間の座標情報とにより色調整されるという作用を有する。
【0040】請求項29に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、所定色情報は第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像空間の座標情報と時間フレーム情報とであることとしたものであり、第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像空間の座標情報と時間フレーム情報とより色調整されるという作用を有する。
【0041】請求項30に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、画素色情報算出ステップにおいて、第4の色空間において多次元テーブル補間法を用いて色調整後の画素色情報を記憶された色調整後の複数の所定色情報から算出し、記憶された色調整後の複数の所定色情報は多次元テーブルのデータであることとしたものであり、色調整処理をテーブル補間により行うことにより色調整が高速化されるという作用を有する。
【0042】以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8を用いて説明する。
(実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1による色調整方法を示すフローチャートであり、図2は本発明の実施の形態1を実現するためのコンピュータシステムを示す斜視図である。図2に示すコンピュータシステムは、コンピュータ本体1とカラーモニタ2とから成る。カラーモニタ2の画面上には色調整ソフトウェアウインドウ3が表示されている。色調整方法はハードウェアで実現することもできるが、ここではコンピュータのソフトウェアで行う場合について示す。
【0043】以下、本実施の形態を図1〜図4を用いて説明する。図3は色調整ソフトウェアを動作させたときのカラーモニタ2の画面を示す画面図であり、図4は本実施の形態1における色調整パラメータの計算を説明するための計算説明図である。図3において、色調整ソフトウェアウインドウ3には、色調整前画像ウインドウ4、カラーパレットウインドウ5、指定色ウインドウ6、色調整後画像ウインドウ7が表示されている。
【0044】まず、グラフィカルユーザインタフェースに対応した色調整ソフトウェアを起動し、カラーモニタ2上に色調整ソフトウェアウインドウ3を表示し、色調整前のRGB色空間(第1の色空間)のカラー画像データをコンピュータ本体1内のハードディスクからメモリ(図示せず)へロードし、カラーモニタ2のビデオメモリへ書き込んで、色調整前画像ウインドウ4(図3)にカラー画像を表示する(S1)。カラー画像は1画素当たりのRGBが各8ビット、0〜255レベル256階調の画像で、RGB信号はカラーテレビのNTSC規格でγ補正のないものとする。なお、本実施の形態では上記のようにRGB色空間の各色8ビットの画像としたが、本発明はこれに限定されず、他の色空間の画像であってもよい。
【0045】次に、色調整のオペレータはカラーモニタ2の画面の色調整前画像ウインドウ4のカラー画像上の色(ri,gi,bi)を指定し(このように指定した色を以下、「指定色」という)、その指定色に対する調整色(指定調整色)(ri´,gi´,bi´)を設定する(S2、色調整情報入力ステップ)。指定調整色はカラーパレットウインドウ5から選んでもよく、また、指定色ウインドウ6のRGBレベルを変更することにより設定してもよい。
【0046】次に、RGB色空間のi番目の指定色(ri,gi,bi)および指定調整色(ri´,gi´,bi´)をCIEのL*(明度)Cuv*(彩度)Huv゜(色相)色空間(第2の色空間)へ変換し、それぞれ指定色(li,ci,hi)および指定調整色(li´,ci´,hi´)とする(図4参照)(S3)。RGB色空間からCIE−XYZ色空間への変換は(数5)に示し、CIE−XYZ色空間からCIE−L***色空間への変換は(数6)に、CIE−L***色空間からCIEのL*Cuv*Huv゜色空間への変換は(数7)に示す。
【0047】
【数5】


【0048】
【数6】


【0049】
【数7】


【0050】なお、本実施の形態ではL*Cuv*Huv゜色空間へ変換するが、色調整の目的、対象画像に適応させるためや、計算時間の短縮のため、他の色空間へ変換することも可能である。L*Cuv*Huv゜色空間を簡単のために以下、「LCH色空間」と表記する。また、CIE−L***色空間(第3の色空間)上の指定色(li,ui,vi)は後で用いるのでメモリに記憶しておく。
【0051】ここで、色調整パラメータについて説明する。LCH色空間において、色調整前の任意の色を(l,c,h)とし、その調整色を(l´,c´,h´)とするとき、色調整パラメータα、β、γを(数8)により定義する。
【0052】
【数8】


【0053】明度Lの調整で黒の変動をなくし、彩度Cの調整で無彩色の変動をなくし、色相Hは色相環を一様に回転させるという考えの基に色調整パラメータを(数4)により定義したが、色調整の目的や対象画像に応じて他の色調整パラメータを用いることも可能である。
【0054】以上のように定義したLCH色空間の指定色(li,ci,hi)と指定調整色(li´,ci´,hi´)から指定色の色調整パラメータαi(明度パラメータ)、βi(彩度パラメータ)、γi(色相パラメータ)を(数8)の定義に従って(数9)により求める(S4、色調整パラメータ算出ステップ)。
【0055】
【数9】


【0056】次に、すべての指定色についてステップ2〜ステップ4が終了したか否かを判定する(S5)。終了したと判定したときにはステップ6へ移行し、終了していないと判定したときにはステップ2へ戻る。
【0057】ステップ3で指定した複数の指定色(li,ui,vi)間のCIE−L***色空間上のユークリッド距離dii´を(数10)により求める(S6)。
【0058】
【数10】


【0059】次に、任意の指定色の補間色調整パラメータα’i、β’i、γ’iをステップ6で求めた距離dii´とステップ4で求めた他の指定色の色調整パラメータαi、βi、γiとを用いて(数1)により求める(S7)。
【0060】ここで、f(x)は(数11)による。ただし、x=0のときf(x)=∞となるので、dii´=0のときは例外処理として明度パラメータα’i=αiとする。
【0061】
【数11】


【0062】このf(x)により指定色付近での色調整パラメータが滑らかに変化するために、好ましい色調整が実現できる。
【0063】ステップ4で求めた指定色の色調整パラメータαi、βi、γiとステップ7で求めた補間色調整パラメータα’i、β’i、γ’iとの差Δαi、Δβi、Δγiを計算し、次の数式(数12)の条件を満たすとき、Δαi、Δβi、Δγiの大きさに従って、それぞれの指定色の色調整パラメータに対する重み係数kαi、kβi、kγiを決定する(S8)。
【0064】
【数12】


【0065】次に、色調整前のRGB色空間のカラー画像の画素データ(r,g,b)を入力する(S9、画素色情報入力ステップ)。
【0066】次に、RGB色空間のカラー画像の画素データ(r,g,b)を(数1)と(数6)によりCIE−L***色空間上の画素データ(l,u,v)に変換し、各指定色とのユークリッド距離diを(数13)により計算する(S10、画素色情報距離算出ステップ)。
【0067】
【数13】


【0068】次に、画素データの色調整パラメータであるα(明度パラメータ)、β(彩度パラメータ)、γ(色相パラメータ)を求める。色調整パラメータα、β、γは、ステップ3で求めたCIE−L***色空間上の指定色の色調整パラメータαi、βi、γiと距離diとステップ8で求めた重み係数kαi、kβi、kγiとを用いて(数2)により求める(S11、色情報算出ステップ)。
【0069】ここでf(x)はステップ7の場合と同様に(数11)を選択した。ただし、x=0のときf(x)=∞となるので、di=0のときは例外処理として明度パラメータα’i=αiとする。このf(x)は指定色付近での色調整パラメータが滑らかに変化するために、好ましい色調整が実現できる。
【0070】次に、CIE−L***色空間上の画素データ(l,u,v)を(数7)に従ってLCH色空間の画素データ(l,c,h)に変換する(S12)。
【0071】次に、LCH色空間の画素データ(l’,c’,h’)を色調整前の画素データ(l,c,h)と画素の色調整パラメータα、β、γとから(数14)により求める(図4参照)(S13)。
【0072】
【数14】


【0073】次に、LCH色空間の色調整後の画素データ(l’,c’,h’)をRGB空間へ(数7)、(数6)および(数5)の逆演算によって変換する(S14)。
【0074】次に、すべての画素データについてステップ6〜ステップ11が終了したか否かを判定する(S15)。終了したと判定したときにはステップ16へ移行し、終了していないと判定したときにはステップ9に戻る。
【0075】ステップ15ですべての画素データについてステップ6〜ステップ11が終了したと判定したときには、色調整後のカラー画像はカラーモニタ2へ出力され、色調整後画像ウインドウ7に表示される(S16)。色調整オペレータが再度色調整を行う場合はステップ1へ戻る。
【0076】以上のように本実施の形態によれば、(数11)のf(x)により指定色付近での色調整パラメータが滑らかに変化し、重み係数により外挿関数による変曲点を取り除いて外挿されるので、所望の色調整画像を容易に得ることができる。
【0077】(実施の形態2)前述した実施の形態1による色調整方法はカラー画像のRGBレベルからなる色空間をベースとするものであったが、本発明の実施の形態2による色調整方法はカラー画像の色空間と画像平面とを統合した五次元空間をベースとするものであり、色調整のオペレータにとって更に使いやすい方法である。
【0078】図5は本発明の実施の形態2による色調整方法を示すフローチャートであり、図6は本発明の実施の形態2を実現するためのコンピュータシステムを示す斜視図である。図6に示すコンピュータシステムは、コンピュータ本体1とカラーモニタ2とカラースキャナ9とカラープリンタ10とから成る。カラースキャナ9は画像入力のためのもの、カラープリンタ10は画像出力のためのものである。カラーモニタ2の画面上には色調整ソフトウェアウインドウ3が表示されている。
【0079】図7は色調整前画像の一例を示す画面図であり、図8は色空間と画像平面とを統合した五次元空間を示す五次元空間図である。図7において、色調整前画像ウインドウ4内で、ほぼ同じ黄色のバナナ11と夏みかん12とがある。いま、バナナ11の黄色を指定して緑がかった黄色に色調整し、夏みかん12の黄色を指定して赤みのある黄色に色調整する場合において、本実施の形態による色調整方法の適用を考えてみる。もともと互いに近い色であるバナナ11と夏みかん12の黄色を異なった方向へ色調整しようとすると、黄色とみなされる範囲の色はわずかに変化するだけで色調整の色が大きく変わってしまったり、バナナ11内のある色が夏みかん12の方に近い場合、バナナ11のその色の部分が夏みかん12の調整色に近い色に色調整されてしまい、色調整オペレータが所望する色調整が実現されないことになる。本実施の形態による色調整方法は、上記のことを考慮して発明されたものであり、色調整の際に色空間のみでなく画像平面の位置をも考慮した位置変動型色調整方法である。
【0080】上記位置変動型色調整方法は色空間と画像平面とを統合した五次元空間で実現されるが、図8にこの五次元空間を示す。位置変動型色調整方法では、色調整前の画像においてRGBレベルとXY座標を軸として五次元空間を考え、画像平面上のXY座標が(x、y)、画素のRGBレベルが(r,g,b)のとき、図8の下部に示す点に位置するものと考える。また、本実施の形態では、指定色の色調整だけでなく、色空間全体としての色調整も同時に行え、さらに、RGBとXYからなる五次元空間の格子点データの色調整後の色を求めてテーブルにしておき、実際の画素(r,g,b,x,y)は格子点データテーブルから補間して求めることにより、カラー画像の色調整処理を高速に実行する。
【0081】以下、本実施の形態を図5〜図8を用いて説明する。まず、色調整前のRGB色空間(第1の色空間)のカラースキャナ9からの画像データを所定のメモリへロードする。図6、図7に示すように、カラーモニタ2のビデオメモリへ書き込んで、色調整前画像ウインドウ4にカラー画像を表示する(S21)。
【0082】次に、色調整のオペレータはカラー画面全体の色調整パラメータα0(明度パラメータ)、β0(再度パラメータ)、γ0(色相パラメータ)を入力する(S22、全体色調整パラメータ入力ステップ)。
【0083】色調整のオペレータは、色調整前カラー画像上の指定色(ri,gi,bi)とその指定色に対する調整色(指定調整色)(ri´,gi´,bi´)と調整範囲とを設定する(S23、色調整情報入力ステップ)。
【0084】図1のステップ3と同様、RGB色空間のi番目の指定色(ri,gi,bi)および指定調整色(ri´,gi´,bi´)をCIEのLCH色空間(第2の色空間)へ変換する(S24)。
【0085】図1のステップ4と同様、LCH色空間の指定色(li,ci,hi)と指定調整色(li´,ci´,hi´)から指定色の色調整パラメータαi(明度パラメータ)、βi(彩度パラメータ)、γi(色相パラメータ)を(数8)の定義に従って(数9)により求める(S25、色調整パラメータ算出ステップ)。
【0086】次に、すべての指定色についてステップ22〜ステップ25が終了したか否かを判定する(S26)。終了したと判定したときにはステップ27へ移行し、終了していないと判定したときにはステップ23へ戻る。
【0087】ステップ23で指定した任意の指定色(li,ui,vi)、任意の指定色の座標(xi,yi)、他の指定色(li´,ui´,vi´)、他の指定色の座標(xi´,yi´)から、任意の指定色(li,ui,vi)と他の指定色(li´,ui´,vi´)との五次元ユークリッド空間での距離dfiiを(数13)により求める(S27)。
【0088】
【数15】


【0089】ただし、kは画像平面距離と色空間とを整合させるための係数である。
【0090】次に、任意の指定色の補間色調整パラメータα’i、β’i、γ’iをステップ27で求めた距離dii´とステップ25で求めた他の指定色の色調整パラメータαi、βi、γiとを用いて(数3)により求める(S28)。
【0091】次に、ステップ25で求めた指定色の色調整パラメータαi、βi、γiとステップ28で求めた補間色調整パラメータα’i、β’i、γ’iとの差Δαi、Δβi、Δγiを計算し、次の数式(数16)の条件を満たすとき、Δαi、Δβi、Δγiの大きさに従って、それぞれの指定色の色調整パラメータに対する重み係数kfαi、kfβi、kfγiを決定する(S29)。
【0092】
【数16】


【0093】ここで、五次元テーブル補間法について説明する。実施の形態1ではカラー画像の画素データに対して直接に色調整処理を行ったが、本実施の形態では色調整処理を高速に実行するために五次元テーブル補間法を用いる。テーブル補間法は、基準点(格子点)の正確な変換後のレベルを求めておき、中間点のデータを基準点から補間する方法である。補間にはさまざまな方法が知られているが、本実施の形態では二次元における双線形(バイリニア)補間を拡張した五次線形補間を用いた。
【0094】まず、色調整前のRGB色空間の格子点の色データ(rf,gf,bf)と座標データ(xf,yf)を入力する(S30、画素色情報入力ステップ)。格子点データ(rf,gf,bf,xf,yf)(格子点の色データおよび座標データ)は(0,0,0,0,0)、(0,0,0,0,32)、(0,0,0,0,64)、・・・・、(256,256,256,256,256)を求める(図8参照)。
【0095】次に、RGB色空間の格子点の色データ(rf,gf,bf)を(数1)と(数6)によりCIE−L***色空間上のデータ(lf,uf,vf)に変換し、各指定色との五次元ユークリッド距離dfii=1、・・・、n)を(数17)により計算する(S31、画素色情報距離算出ステップ)。
【0096】
【数17】


【0097】次に、格子点の色データと座標データの色調整パラメータであるαf(明度パラメータ)、βf(彩度パラメータ)、γf(色相パラメータ)を求める。色調整パラメータαf、βf、γfは、ステップ23で求めたCIE−L***色空間上の指定色(li,ui,vi)(i=1、・・・、n)と距離dfii=1、・・・、n)と重み係数kfαi、kfβi、kfγiとを用いて(数4)により求める(S32、色情報算出ステップ)。
【0098】ただし、kfαi、kfβi、kfγiは画像平面距離と色空間とを整合させるための係数である。
【0099】次に、CIE−L***色空間上の格子点データ(lf,uf,vf)を(数7)に従ってLCH色空間の格子点データ(lf,cf,hf)に変換する(S33)。
【0100】次に、LCH色空間の色調整後の格子点データ(lf’,cf’,hf’)を色調整前の格子点データ(lf,cf,hf)と画素の色調整パラメータαf、βf、γfとから(数18)により求める(S34、色情報算出ステップ)。
【0101】
【数18】


【0102】次に、LCH色空間の色調整後の格子点データ(l’,c’,h’)をRGB空間へ(数7)、(数6)および(数5)の逆演算によって変換し、記憶する(S35、変換記憶ステップ)。
【0103】次に、すべての格子点データについてステップ30〜ステップ35が終了したか否かを判定する(S36)。終了したと判定したときにはステップ37へ移行し、終了していないと判定したときにはステップ30に戻る。このようにして、色調整を加味した参照テーブルが作成される。
【0104】次に、色調整前RGB色空間カラー画像の画素の色データ(r,g,b)と座標(x,y)を入力する(S37、画素色情報入力ステップ)。
【0105】色空間と座標を統合した五次元空間の点(r,g,b,x,y)=(100,142,45,33,203)を補間するために、RGBまたはCMYKの出力格子点データとして(r,g,b,x,y)=P1(96,128,32,32,192)、P2(96,128,32,32,224)、・・・、P32(128,160,64,64,224)の32個のデータを用意し、r,g,b,x,yの下位5ビットデータ(Δr=4、Δg=14、Δb=13、Δx=1、Δy=11)と(数19)に従って前記作成した参照テーブルを用い五次元テーブル補間処理を行い、画素の色調整後の色R’G’B’を出力する(S38、画素色情報算出ステップ)。
【0106】
【数19】


【0107】次に、すべての画素データについてステップ37、38が終了したか否かを判定する(S39)。終了したと判定したときにはステップ40へ移行し、終了していないと判定したときにはステップ37へ戻る。ステップ40では、色調整後のカラー画像をカラーモニタ2へ出力する。色調整オペレータが再度色調整を行う場合はステップ21へ戻る。色調整が正しく完了したことを確認した後、色調整後のカラー画像をカラープリンタ10へ出力することにより、カラーハードコピーが得られる。
【0108】なお、本実施の形態では色空間と画像空間とを統合した場合を示したが、本発明はこれに限らず、色空間と画像空間と時間軸とを統合した多次元空間にも適用することができる。例えば、RGB色空間と三次元画像空間XYZとを統合した六次元空間、RGB色空間と時間Tとを統合した四次元空間、RGB色空間と画像平面XYと時間Tとを統合した六次元空間、RGB色空間と三次元画像空間XYZと時間Tとを統合した七次元空間が考えられ、処理しようとする色と指定色との距離dfiは(数20)、(数21)、(数22)、(数23)による。ただし、k、mはそれぞれ画像空間距離、時間距離を色空間に整合させるための係数である。
【0109】
【数20】


【0110】
【数21】


【0111】
【数22】


【0112】
【数23】


【0113】以上のように本実施の形態によれば、(数11)のf(x)により指定色付近での色調整パラメータが滑らかに変化し、重み係数により外挿関数による変曲点を取り除いて外挿されるので、所望の色調整画像が容易に得られ、また、全体色調整と各色の色調整とを同時に行うようにしたので操作性が向上し、色調整処理をテーブル補間により行うようにしたので色調整が高速化される。
【0114】
【発明の効果】以上のように本発明の色調整方法によれば、第2の色空間において複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出し、第2の色空間において各画素の色調整後の色情報を複数の指定色の色調整パラメータと距離と複数の指定色に対する重み係数とから算出する、あるいは、第2の色空間において複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出し、第4の色空間において色調整後の画素色情報を色調整後の複数の所定色情報から算出するようにしたので、色調整パラメータを色空間上で滑らかに変化するようにでき、また、重み係数により外挿関数による変曲点を取り除くことができるという有利な効果が得られる。
【0115】また、カラー画像はカラー動画像又は三次元カラー画像であることにより、カラー動画像又は三次元カラー画像に対する色調整を行えるという有利な効果が得られる。
【0116】さらに、複数の指定色の色調整情報は指定色の調整範囲を含めて入力されることにより、調整範囲のみが色調整されるという有利な効果が得られる。
【0117】さらに、第1の色空間を赤、緑、青の加法3原色からなる色空間とすることにより、カラー画像の画素の色を赤、緑、青の加法3原色となすことができるという有利な効果が得られる。
【0118】さらに、第2の色空間を明度、彩度、色相からなる色空間とすることにより、指定色と指定調整色とを明度、彩度、色相からなる色空間へ変換できるという有利な効果が得られる。
【0119】さらに、第3の色空間を明度、2つの色度からなる色空間とすることにより、任意指定色と他の各指定色との距離を明度、2つの色度からなる色空間で計算できるという有利な効果が得られる。
【0120】さらに、第4の色空間を、赤、緑、青の加法3原色からなる色空間、シアン、マゼンタ、イエローの減法3原色からなる色空間あるいはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの減法4色からなる色空間とすることにより、多様な色調整が可能になるという有利な効果が得られる。
【0121】さらに、α=l´/l、β=c´/c、γ=h´−hとすることにより、色調整パラメータが指定色の明度、彩度、色相に基づいて容易に算出されるという有利な効果が得られる。
【0122】さらに、第3の色空間における距離を三次元ユークリッド距離とすることにより、第3の色空間における距離が上記三次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという有利な効果が得られる。
【0123】さらに、第3の色空間における距離を第3の色空間とカラー画像の平面を統合した五次元空間における五次元ユークリッド距離とすることにより、第3の色空間における距離が上記五次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという有利な効果が得られる。
【0124】さらに、第3の色空間における距離を第3の色空間とカラー動画像の時間軸とを統合した四次元空間における四次元ユークリッド距離とすることにより、第3の色空間における距離が上記四次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという有利な効果が得られる。
【0125】さらに、第3の色空間における距離を第3の色空間とカラー動画像の画像平面と時間軸とを統合した六次元空間における六次元ユークリッド距離とすることにより、第3の色空間における距離が上記六次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという有利な効果が得られる。
【0126】さらに、第3の色空間における距離を第3の色空間と三次元カラー画像の空間とを統合した六次元空間における六次元ユークリッド距離とすることにより、第3の色空間における距離が上記六次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという有利な効果が得られる。
【0127】さらに、第3の色空間における距離を第3の色空間と三次元カラー動画像の画像空間と時間軸とを統合した七次元空間における七次元ユークリッド距離とすることにより、第3の色空間における距離が上記六次元ユークリッド距離を用いて容易に算出されるという有利な効果が得られる。
【0128】さらに、色調整後の各画素の所定色情報又は色情報の色調整パラメータを(数1)または(数2)により算出するようにしたので、複数指定色又はカラー画像全体の色調整パラメータが滑らかに変化するという有利な効果が得られる。
【0129】さらに、色調整後の各画素の所定色情報又は色情報の色調整パラメータを(数3)または(数4)により算出するようにしたので、複数指定色又はカラー画像全体の色調整パラメータが滑らかに変化するという有利な効果が得られる。
【0130】重み関数f(x)をx>0において単調減少関数とすることにより、色調整パラメータが滑らかに変化するという有利な効果が得られる。
【0131】さらに、重み関数f(x)=1/x2とすることにより、重み関数f(x)はx>0において単調に減少し、色調整パラメータが滑らかに変化するという有利な効果が得られる。
【0132】さらに、所定色情報を第1の色空間の三次元色度情報とすることにより、第1の色空間の三次元色度情報により色調整されるという有利な効果が得られる。
【0133】さらに、所定色情報を第1の色空間の三次元色度情報とカラー画像平面の座標情報とすることにより、第1の色空間の三次元色度情報とカラー画像平面の座標情報とにより色調整されるという有利な効果が得られる。
【0134】さらに、所定色情報を第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像平面の座標情報と時間フレーム情報とすることにより、第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像平面の座標情報と時間フレーム情報とにより色調整されるという有利な効果が得られる。
【0135】さらに、所定色情報を第1の色空間の三次元色度情報と三次元カラー画像の画像空間の座標情報とすることにより、第1の色空間の三次元色度情報と三次元カラー画像の画像空間の座標情報とにより色調整されるという有利な効果が得られる。
【0136】さらに、所定色情報を第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像空間の座標情報と時間フレーム情報とすることにより、第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像空間の座標情報と時間フレーム情報とより色調整されるという有利な効果が得られる。
【0137】画素色情報算出ステップにおいて、第4の色空間において多次元テーブル補間法を用いて色調整後の画素色情報を記憶された色調整後の複数の所定色情報から算出し、記憶された色調整後の複数の所定色情報を多次元テーブルのデータとすることにより、色調整処理をテーブル補間により行うことにより色調整が高速化されるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による色調整方法を説明するためのフローチャート
【図2】本発明の実施の形態1を実現するためのコンピュータシステムを示す斜視図
【図3】色調整ソフトウェアを動作させたときのカラーモニタの画面を示す画面図
【図4】実施の形態1における色調整パラメータの計算を説明するための計算説明図
【図5】本発明の実施の形態2による色調整方法を説明するためのフローチャート
【図6】本発明の実施の形態2を実現するためのコンピュータシステムを示す斜視図
【図7】色調整前画像の一例を示す画面図
【図8】色空間と画像平面とを統合した五次元空間を示す五次元空間図
【符号の説明】
1 コンピュータ本体
2 カラーモニタ
3 色調整ソフトウェアウインドウ
4 色調整前画像ウインドウ
5 カラーパレットウインドウ
6 指定色ウインドウ
7 色調整後画像ウインドウ
9 カラースキャナ
10 カラープリンタ
11 バナナ
12 夏みかん

【特許請求の範囲】
【請求項1】第1の色空間で表現されたカラー画像上で複数の色を指定して色調整を行う色調整方法であって、前記指定された複数の指定色の色調整情報を入力する色調整情報入力ステップと、第2の色空間において前記複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出する色調整パラメータ算出ステップと、対象カラー画像の各画素の画素色情報を入力する画素色情報入力ステップと、第3の色空間において前記画素色情報と前記複数の指定色のそれぞれとの距離を算出する画素色情報距離算出ステップと、前記第2の色空間において前記各画素の色調整後の色情報を前記複数の指定色の色調整パラメータと前記距離と前記複数の指定色に対する重み係数とから算出する色情報算出ステップとを備えたことを特徴とする色調整方法。
【請求項2】第1の色空間で表現されたカラー画像上でカラー画像全体としての色調整と複数の色を指定しての色調整とを同時に行う色調整方法であって、前記カラー画像全体としての全体色調整パラメータを入力する全体色調整パラメータ入力ステップと、第2の色空間において前記指定された複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出する色調整パラメータ算出ステップと、対象カラー画像の各画素の画素色情報を入力する画素色情報入力ステップと、第3の色空間において前記画素色情報と前記複数の指定色のそれぞれとの距離を算出する画素色情報距離算出ステップと、前記第2の色空間において前記各画素の色調整後の色情報を前記全体色調整パラメータと前記複数の指定色の色調整パラメータと前記距離と前記複数の指定色に対する重み係数とから算出する色情報算出ステップとを備えたことを特徴とする色調整方法。
【請求項3】第1の色空間で表現されたカラー画像上で複数の色を指定して色調整を行う色調整方法であって、前記指定された複数の指定色の色調整情報を入力する色調整情報入力ステップと、第2の色空間において前記複数の指定色の色調整情報から複数の指定色の色調整パラメータを算出する色調整パラメータ算出ステップと、複数の所定色を入力して前記複数の指定色のそれぞれとの距離を第3の色空間において算出する所定色距離算出ステップと、前記第2の色空間において色調整後の前記複数の所定色情報を前記複数の指定色の色調整パラメータと前記距離と前記複数の指定色に対する重み係数とから算出する色情報算出ステップと、前記色調整後の複数の所定色情報を第4の色空間へ変換して記憶する変換記憶ステップと、前記カラー画像の各画素の画素色情報を入力する画素色情報入力ステップと、前記第4の色空間において色調整後の前記画素色情報を前記色調整後の複数の所定色情報から算出する画素色情報算出ステップとを備えたことを特徴とする色調整方法。
【請求項4】前記カラー画像全体としての全体色調整パラメータを入力する全体色調整パラメータ入力ステップを備えたことを特徴とする請求項3に記載の色調整方法。
【請求項5】前記カラー画像はカラー動画像であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項6】前記カラー画像は三次元カラー画像であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項7】色調整情報入力ステップにおいて、前記複数の指定色の色調整情報は指定色の調整範囲を含めて入力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項8】前記第1の色空間は赤、緑、青の加法3原色からなる色空間であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項9】前記第2の色空間は明度、彩度、色相からなる色空間であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項10】前記第3の色空間は明度、2つの色度からなる色空間であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項11】前記第4の色空間は赤、緑、青の加法3原色からなる色空間、シアン、マゼンタ、イエローの減法3原色からなる色空間あるいはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの減法4色からなる色空間であることを特徴とする請求項3又は4に記載の色調整方法。
【請求項12】前記第2の色空間における前記指定色の色調整パラメータはパラメータα、β、γから成り、色調整前の前記指定色の明度、彩度、色相をl、c、hとし、色調整後の前記指定色の明度、彩度、色相をl´、c´、h´とするとき、α=l´/l、β=c´/c、γ=h´−hであることを特徴とする請求項9に記載の色調整方法。
【請求項13】前記第3の色空間における前記距離は三次元ユークリッド距離であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項14】前記第3の色空間における前記距離は前記第3の色空間と前記カラー画像の平面を統合した五次元空間における五次元ユークリッド距離であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項15】前記第3の色空間における前記距離は前記第3の色空間と前記カラー動画像の時間軸とを統合した四次元空間における四次元ユークリッド距離であることを特徴とする請求項5に記載の色調整方法。
【請求項16】前記第3の色空間における前記距離は前記第3の色空間と前記カラー動画像の画像平面と時間軸とを統合した六次元空間における六次元ユークリッド距離であることを特徴とする請求項5に記載の色調整方法。
【請求項17】前記第3の色空間における前記距離は前記第3の色空間と前記三次元カラー画像の空間とを統合した六次元空間における六次元ユークリッド距離であることを特徴とする請求項6に記載の色調整方法。
【請求項18】前記第3の色空間における前記距離は前記第3の色空間と前記三次元カラー動画像の画像空間と時間軸とを統合した七次元空間における七次元ユークリッド距離であることを特徴とする請求項5又は10に記載の色調整方法。
【請求項19】前記色情報算出ステップにおいて、前記色調整後の各画素の所定色情報又は色情報の色調整パラメータは、
【数1】


により算出されることを特徴とする請求項1、3および5乃至10のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項20】前記色情報算出ステップにおいて、前記色調整後の各画素の所定色情報の色調整パラメータは、
【数2】


により算出されることを特徴とする請求項2、4および5乃至10のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項21】前記色情報算出ステップにおいて、前記色調整後の各画素の所定色情報又は色情報の色調整パラメータは、
【数3】


により算出されることを特徴とする請求項1、3および5乃至10のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項22】前記色情報算出ステップにおいて、前記色調整後の各画素の所定色情報の色調整パラメータは、
【数4】


により算出されることを特徴とする請求項2、4および5乃至10のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項23】前記重み関数f(x)はx>0において単調減少関数であることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1に記載の色調整方法。
【請求項24】前記重み関数f(x)はf(x)=1/x2であることを特徴とする請求項23に記載の色調整方法。
【請求項25】前記所定色情報は前記第1の色空間の三次元色度情報であることを特徴とする請求項3又は4に記載の色調整方法。
【請求項26】前記所定色情報は前記第1の色空間の三次元色度情報とカラー画像平面の座標情報であることを特徴とする請求項3又は4に記載の色調整方法。
【請求項27】前記所定色情報は前記第1の色空間の三次元色度情報とカラー動画像の画像平面の座標情報と時間フレーム情報とであることを特徴とする請求項5又は6に記載の色調整方法。
【請求項28】前記所定色情報は前記第1の色空間の三次元色度情報と前記三次元カラー画像の画像空間の座標情報とであることを特徴とする請求項5又は6に記載の色調整方法。
【請求項29】前記所定色情報は前記第1の色空間の三次元色度情報と前記カラー動画像の画像空間の座標情報と時間フレーム情報とであることを特徴とする請求項5又は6に記載の色調整方法。
【請求項30】画素色情報算出ステップにおいて、前記第4の色空間において多次元テーブル補間法を用いて色調整後の前記画素色情報を記憶された前記色調整後の複数の所定色情報から算出し、前記記憶された色調整後の複数の所定色情報は多次元テーブルのデータであることを特徴とする請求項3又は4に記載の色調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開平10−79864
【公開日】平成10年(1998)3月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−232742
【出願日】平成8年(1996)9月3日
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)