芝刈り機における回転刃取り付け構造

【課題】水平方向に配置した螺旋状の回転刃と、回転刃の切り刃の回転軌跡に接する位置に配置した固定刃によって刈取を行う芝刈り機において、回転刃を簡単に着脱することができる構造を実現する。
【解決手段】本体フレーム１の左右両側に回転刃２の中心軸３の両端を支受する軸受け具５を回転自在に配置する。軸受け具５は本体フレーム１に対して軸支される軸支部６と、内方に突出する太径部７を備え、太径部７の中心に回転刃２の中心軸直径と一致する幅の断面Ｕ字状の支持溝８を形成する。支持溝８に回転刃２の中心軸３を支受させた状態で太径部７の肉厚を貫通させて太径部７に回転刃２の中心軸３をネジ止めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、水平方向に取り付けられた回転刃と、回転刃の回転軌跡に接するように配置した固定刃によって刈取を行う芝刈り機における、回転刃の取り付け構造に関する発明である。
【背景技術】
【０００２】
主として手動式の芝刈り機には、水平方向に配置した螺旋状の回転刃と、回転刃の切り刃の回転軌跡に接近するように配置した固定刃によって刈取を行う芝刈り機が知られている。この種芝刈り機においては、回転刃を自由に取り外すことができないのが一般的な構造であるため、回転刃の切り刃や固定刃の再研磨が困難であるという欠点があった。このような欠点を解消するために、回転刃を容易に着脱できる構造として、回転刃の軸を上下に二分割したベアリングホルダーで支持する思想が特許文献１に、回転刃の軸を芝刈り機本体に対して取り外し自在とした軸受筒で軸支する思想が特許文献２に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開平８−１８７０２１号公報
【特許文献２】特開平４−３４９８１１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
特許文献１に開示された芝刈り機は、凹部が形成された二つの軸受部材で回転刃の中心軸を挟んで固定するものであるが、その固定構造は必ずしも簡単ではなく、また軸の支持状態が安定しない可能性がある。特許文献２に開示された芝刈り機は、リール刃ブロックの軸(回転刃の中心軸)の一端を支受する軸受け筒の着脱は必ずしも容易ではない。
このような、従来技術の欠点に鑑み、本発明はより簡単に回転刃を着脱することができる、芝刈り機における回転刃取り付け構造を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記、目的を達成するために本発明は、水平方向に取り付けられた回転刃２と、回転刃２の切り刃2aの回転軌跡に接するように配置した固定刃４によって刈取を行う芝刈り機において、芝刈り機本体フレームの左右両側に回転刃２の中心軸３の両端を支受する軸受け具５を回転自在に配置する。
【０００６】
軸受け具５は、本体フレーム１に対して軸支される軸支部６と、内方に突出する太径部７を備える。太径部７の中心に、回転刃２の中心軸３の直径Ｄと一致幅Ｗの断面Ｕ字状の支持溝８、すなわち回転刃２の中心軸３直径と一致する孔を穿設し、かつ孔の放射方向の一方を開放した断面Ｕ字状の支持溝８を形成する。そして、回転刃２の中心軸３を支持溝８に支受させた状態で太径部７の肉厚を貫通させて太径部７に回転刃の中心軸３をネジ止めする。
【発明の効果】
【０００７】
請求項１記載の本発明芝刈り機における回転刃取り付け構造によれば、本体フレーム１の左右両側から内方に向けて突出している軸受け具５の、太径部７に形成した支持溝８に回転刃２の中心軸３を支持させ、その状態で太径部７にネジ止めするという極めて簡単な作業によって回転刃２を取り付けることができる。また、逆の操作によって回転刃を取り外すことができる。
【０００８】
上記したように本発明では、回転刃２を容易に着脱することができるため、回転刃２の切り刃2aが摩滅したような場合には、回転刃２を取り外して研磨することができる。回転刃２を取り外した場合には、固定刃４に当接する部材が無くなるため、固定刃４の研磨も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】図１は、本発明の実施形態を示す芝刈り機の平面図、
【図２】図２は、図１に示す芝刈り機の側面図、
【図３】図３は、回転刃の支持部分のみを示す平面図、
【図４】図４は、図３のIV−IV線断面図、
【図５】図５は、回転刃と軸受け具を分離させた状態の断面図、
【図６】図６は、軸受け具のみの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下、本発明に係る芝刈り機における回転刃取り付け構造の実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
図１は、本発明芝刈り機における回転刃取り付け構造の実施形態を示す、芝刈り機の平面図、図２は、図１に示す芝刈り機の側面図である。
【００１１】
図１、図２に示す芝刈り機は、左右の側板1a、1aを連結部材1bで連結して本体フレーム１を構成している。図示例の芝刈り機は、本体フレーム１の側板1a、1a間に、螺旋状の切り刃2aを備えた回転刃２を回転自在に取り付けるとともに、切り刃2aの回転軌跡に接する位置に固定刃４を配置し、移動しながら回転刃２を回転させることによって刈取を行う。
【００１２】
本体フレーム１の側板1aには、前半部の外側面に車輪９、９を軸支するとともに、本体フレームの側板1a、1aの後端部に架設するようにガイドローラ10を配置し、車輪９とガイドローラ10を接地させて移動させ、回転刃２を回転させることによって刈り取りを行う。回転刃２は、車輪９とガイドローラ10の間に位置するため、ガイドローラ10の高さを調節することによって刈り取りの高さを調節することができる。ガイドローラ10を高さ調整自在とするために、長孔11を備えた支持部材12を本体フレームの側板1aに調節ネジ13で固定し、支持部材12、12間にガイドローラ10を軸支させている。したがって、調節ネジ13を緩めて支持部材12を上下動させることによってガイドローラ10の高さ、すなわち芝の刈り込み高さを調節することができる。
【００１３】
回転刃２は、中心軸３に複数の支持円板14を固定し、この支持円板14の外周部分に複数の切り刃2aを固定することによって、複数の螺旋状の切り刃を備えた回転刃２を形成している。この回転刃２は、中心軸３の両端を本体フレーム１の側板1a、1aに回転自在に配置した軸受け具５に支受させ、軸受け具５にネジ止めすることによって着脱自在とする。
【００１４】
回転刃２の中心軸３を支受する軸受け具５は、図６に示すように本体フレーム１の側版1aに、軸受け構造15によって軸支される軸支部６と、本体フレーム１の左右両側から内方に突出する太径部７を備える。太径部７の中心には、回転刃２の中心軸３直径Ｄと一致する幅Ｗの断面Ｕ字状の支持溝８を形成し、回転刃２の中心軸３を支持溝８に支受させた状態で太径部の肉厚を貫通させて太径部７に回転刃２の中心軸３をネジ止めする。
【００１５】
太径部７に中心軸３をネジ止めするには、中心軸３に直径方向に貫通するネジ孔16を穿設するとともに太径部７に肉厚を貫通する貫通孔17を穿設し、貫通孔17を貫通させて取り付けネジ18を中心軸３のネジ孔16に螺着する。これにより、回転刃２は取り付けネジ18の螺着によって、軸受け具５の太径部７に簡単に着脱することができる。
【００１６】
軸受け具５は、本体フレームとの軸支部６の外方に支持軸19を延長させ、この支持軸19にピニオン20を装着するとともに、車輪９の内周に内歯歯車21を形成し、ピニオン20と内歯歯車21を噛合させている。したがって、車輪９の回転に連動して回転刃２が回転するため、車輪９を接地させて芝刈り機を移動させると回転刃２も回転して芝刈り作業を行うことができる。ピニオン20は、ラチェット構造とすることによって、車輪９の前進方向の回転にのみ連動してピニオン、すなわち回転刃２を回転させ、車輪の後退方向の回転に対しては回転刃を空転させるようにすることができる。このようにすると、芝刈り機を前進させたときにのみ回転刃２を回転させ、芝刈り作業を行うことができる。
【００１７】
回転刃２の切り刃2aの回転軌跡に接近する位置に配置する固定刃４は、回転刃２と平行に配置するものであるが、切り刃2aの回転軌跡とのクリアランスを調節可能とし、最適の切断状況を実現することができるようにしている。固定刃４の位置を調節可能とするには、固定刃４の両端を固定した固定刃支持板22を本体フレームの側板1aに軸支し、図２に示すように調節ネジ23の進退操作によって固定刃支持板22を回動させ、固定刃４の位置調整を行う。
【符号の説明】
【００１８】
１…本体フレーム、 1a…側板、 1b…連結部材、２…回転刃、 2a…切り刃、３…中心軸、４…固定刃、５…軸受け具、６…軸支部、７…太径部、８…支持溝、９…車輪、 10…ガイドローラ、 11…長孔、 12…支持部材、 13…調節ネジ、 14…支持円板、 15…軸受け構造、 16…ネジ孔、 17…貫通孔、 18…取り付けネジ、 19…支持軸、 20…ピニオン、 21…内歯歯車、 22…固定刃支持板、 23…調節ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項１】
水平方向に取り付けられ、螺旋状の切り刃を備えた回転刃と、回転刃の切り刃の回転軌跡に接する位置に配置した固定刃によって刈取を行う芝刈り機において、
本体フレームの左右両側に回転刃の中心軸の両端を支受する軸受け具を回転自在に配置し、該軸受け具は本体フレームに対して軸支される軸支部と、内方に突出する太径部を備え、該太径部の中心に回転刃の中心軸直径と一致する幅の断面Ｕ字状の支持溝を形成し、回転刃の中心軸を支持溝に支受させた状態で太径部の肉厚を貫通させて太径部に回転刃の中心軸をネジ止めすることを特徴とする芝刈り機における回転刃取り付け構造。

【図１】