説明

芝生の植栽土壌

【課題】 化学肥料や殺虫剤・殺菌剤など化学薬剤を多用することなく、芝生の維持・管理ができる芝生の植栽土壌を提供すること。
【解決手段】 粉砕した小塊状および/または粒状の竹炭1を敷き詰め、その上に、砂と粉砕した粒状の竹炭とを混合した混合層3を敷き詰め、さらに砂2を敷き詰めて土壌を形成し、表層の砂2にベント芝4を植栽してグリーンを形成するものである。また、ティーグランド・フェアウエイの高麗芝に適した植栽土壌は、粉砕した小塊状および/または粒状の竹炭1を敷き詰め、その上に、砂2を敷き詰めて土壌を形成し、表層の砂2に高麗芝4を植栽するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴルフ場のグリーン、ティーグランドおよびフェアウエイにおける芝生の植栽に適した土壌に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場における芝生の育成および管理業務には、潅水、施肥、雑草の除去、害虫の駆除、病原菌の殺菌などがあり、これらの業務を行うために、化学肥料や、除草剤・殺虫剤・殺菌剤等の化学薬剤が使用されている。これら多種の薬剤の多用により、土壌に障害を生じて芝生が発育不全になったり、環境破壊の問題を生じている。
【0003】
従来より、芝生などの土壌を改良する発明として、微粉炭層の上に培養土層を形成して芝生を植え付けた芝生の植栽土壌が、例えば、下記特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−248599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
芝草の茎、葉、根は、枯れて次々と新しい茎、葉、根が出て世代交代をするので、発生した枯れかすは、土壌微生物により分解されて土に帰って土壌の固結を抑制するが、化学肥料や殺虫剤・殺菌剤など化学薬剤の多用により、有用な土壌微生物が減少すると、枯れかすが分解されずに蓄積される。特に、蓄積された枯れかすの深い部分は低酸素状態になって、土壌微生物の活動が低下して分解され難くなる。
【0005】
このような土壌微生物の活動の低下を補うために、化学薬剤を使用すると、一時的に病虫害を抑制できても、有用な土壌微生物がさらに減少して土壌を不健全にするという化学薬剤依存の悪循環を断ち切ることができない。
【0006】
また、芝生の土壌は、農作物の土壌のように転耕することができないので、転耕によるエアレーションを実施することは不可能である。
【0007】
そこで、この発明の芝生の植栽土壌は、ゴルフ場における芝生の維持・管理の問題を解決するために考えられたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のベント芝に適した植栽土壌は、粉砕した小塊状および/または粒状の竹炭を敷き詰め、その上に、砂と粉砕した粒状の竹炭とを混合した混合層を敷き詰め、さらに砂を敷き詰めて土壌を形成し、表層の砂にベント芝を植栽するものである。
【0009】
この発明の高麗芝に適した植栽土壌は、粉砕した小塊状および/または粒状の竹炭を敷き詰め、その上に、砂を敷き詰めて土壌を形成し、表層の砂に高麗芝を植栽するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の芝生の植栽土壌によると、竹炭を埋設することにより、土壌の保水性がよくなり、土壌微生物が竹炭やそのまわりの土壌に定着して増培し、有機物を分解して肥料化するので、散水頻度や散水量を減らすことが可能になり、化学肥料の使用を抑制することができる。また、土壌微生物の多様性と増培により、病原菌の増殖が抑えられるので化学薬剤の使用も削減できる。したがって、芝生の保守・管理業務の費用および労力を軽減することができる。
【0011】
埋設した竹炭は堅いので型崩れすることがなく、芝生を植栽した地表面が長期間にわたって変形することはない。
【0012】
竹炭は、その主成分が炭素であるので、土壌への埋設しても変質することがなく、その保水力、付着した土壌微生物による有機物の分解力、水質浄化力も長期間にわったて維持されるから、土壌の入れ替えなしに長期にわたって芝生の健全な育成ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
従来より、木炭を使用した芝生の土壌が実施されている。この発明の芝生の植栽土壌は、竹炭を使用する。竹炭は木炭に比して乾留温度が高いので、堅くて型崩れしない。竹炭は、大きな表面積を有する多孔質物質であるので、木炭の2〜5倍の保水性を有し、一度保水した水を時間をかけて除々に放出する保持力にも優れているなど、その保水性は極めて高い。また、土壌微生物が定着して増培し、有機物を分解する。そこで、この発明の芝生の植栽土壌は、このような竹炭の特性に着目して考えられたものである。
【0014】
この発明をグリーンに適用したベント芝の植栽土壌は、図1(a)の断面図に示すように、表土を約25cmの深さに掘削し、粉砕した小塊状および/または粒状の竹炭1を3〜5cmの厚さに敷き詰め、その上に、洗い砂と粉砕した粒状の竹炭とを8:7の割合(体積比)で混合した混合層3を約15cmの厚さに敷き詰め、活力剤を混合させた洗い砂2を約5の厚さに敷き詰める。そして、表層の洗い砂2にベント芝4を植栽する。
【0015】
この発明の ティーグランドに適用した高麗芝の植栽土壌は、図1(b)の断面図に示すように、表土を約15cmの深さに掘削し、粉砕した小塊状および/または粒状の竹炭1を約5cmの厚さに敷き詰め、その上に、洗い砂と粉砕した粒状の竹炭とを2:3の割合(体積比)で混合した混合層3を約5cmの厚さに敷き詰め、活力剤を混合させた洗い砂2を約5の厚さに敷き詰める。そして、表層の洗い砂2に高麗芝4を植栽する。
【0016】
この発明の フェアウェイに適用した高麗芝の植栽土壌は、図1(c)の断面図に示すように、表土を約10cmの深さに掘削し、粉砕した粒状の竹炭1を約5cmの厚さに敷き詰め、その上に、活力剤を混合した洗い砂2を約5cmの厚さに敷き詰める。そして、表層の洗い砂2に高麗芝4を植生する。
【0017】
以上で説明した実施の形態において使用する活力剤は、成長促進剤や遅効性肥料などであって、必ずしも洗い砂2に混合する必要はなく、混合する場合には、季節や環境に合わせて配合したものを適宜選択して混合すればよいのである。また、実施の形態において示した竹炭の層、砂の層、竹炭と砂との混合層の各厚みおよび芝生の種類は、単なる例示であって、何らこの発明を限定するものではない。この発明の要旨を逸脱することなく、変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の芝生の植栽土壌の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 竹炭
2 砂
3 砂と粉砕した竹炭との混合層
4 芝生

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕した小塊状および/または粒状の竹炭を敷き詰め、その上に、砂と粉砕した竹炭とを混合した混合層を敷き詰め、さらに砂を敷き詰めて土壌を形成し、表層の砂に芝生を植栽することを特徴とする芝生の植栽土壌。
【請求項2】
粉砕した小塊状および/または粒状の竹炭を敷き詰め、その上に、砂を敷き詰めて土壌を形成し、表層の砂に芝生を植栽することを特徴とする芝生の植栽土壌。

【図1】
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【公開番号】特開2008−48708(P2008−48708A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231386(P2006−231386)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(390002990)株式会社ロッテホールディングス (24)
【出願人】(591113747)イービーエス産興株式会社 (2)
【出願人】(504357026)
【出願人】(506165748)ガイア協同組合 (1)
【Fターム(参考)】