説明

芯管用ホルダー

【課題】従来の紙管に比べて直径を小さくした芯管に巻き付けたストレッチフィルム等のシートを巻き戻して繰り出す場合に、握り辛かったり手を痛めたりすることなく、上記シートを円滑に巻き戻して包装作業等を行うことができる芯管用ホルダーを提供することにある。
【解決手段】帯状シート4を巻き付けた芯管5の両端部に取付けるものであって、上記芯管5の孔に端から嵌入して芯管5と共に回転する回転軸部3と、上記回転軸部3に回転自在に係合し芯管5の端部の外側に位置する把持部2とからなる芯管用ホルダー1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙管に巻き付けたシートを巻き戻す際に使用する芯管用ホルダーに関し、特に運搬する荷物の包装や荷崩れ防止に使用するストレッチフィルムを芯管から巻き戻す際に使用すると便利な芯管用ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パレットに積載された荷物の包装や荷崩れを防止するために使用されているストレッチフィルムは、押出成型によってプラスチック樹脂を製膜化(厚さ6〜30μ)し、直径3インチ(76.2mm)の紙管に巻き付けられたものが一般的であり、上記の荷物の包装に際しては紙管から巻き戻されて複数の荷物をまとめて包装している。
【0003】
すなわち、この包装作業を行う場合には、ストレッチフィルムを巻き付けた紙管の両端部を左右の手で持ち、ストレッチフィルムの先端部を荷物に密着させたり荷物間の隙間に挟んだりした後に、紙管を両手で回しながら作業員が移動してストレッチフィルムを巻き戻し、荷物への包装(巻き付け)作業を行っている。
【0004】
しかしながら、従来のような直径3インチの紙管にストレッチフィルムを巻き付けたものは、その重量が2.5kg位あり、この紙管を両手で持って上記したような作業を行うことは甚だ大変であった。
【0005】
そこで、このような作業を行う際に使用すると便利な紙管用ホルダーが開発されて使用されている。この従来の紙管用ホルダー101(図6、図7)は、プラスチック樹脂で形成した中空把持部102と、この中空把持部102の外周面103に回転自在に外嵌するプラスチック樹脂で形成された円筒104とからなる。
【0006】
上記の中空把持部102は、円筒軸部105と、この円筒軸部105の一端部に一体形成した環状の把持部106と、上記の円筒軸部105と把持部106との境目の内側に形成した円形仕切り部107と、この円形仕切り部107の中央部に手(親指以外の指)を挿入できる位の略楕円形状に形成した手挿入穴108とからなる。さらに、円筒軸部105の先端寄りの外周面の2箇所には、上記円筒104が円筒軸部105から抜けないようにする係止凸部109が形成してある。また、円筒104は、一部110を分離させて円筒軸部105に外嵌しやすいようにしてある。
【0007】
この紙管用ホルダー101は、図8に示すようにストレッチフィルム111を巻き付けた紙管112の孔113に両端から各紙管用ホルダー101の円筒軸部105と共に円筒104を嵌め込むことにより、紙管112の両端部に取付けることができる。
【0008】
そしてストレッチフィルム111の先端部を荷物に密着させたり荷物間の隙間に挟んだりした後に、左右の手をそれぞれの紙管用ホルダー101の手挿入穴108に挿入して把持部106の手前の半分位を握り、この左右の把持部106を握った作業員が移動(後退)して紙管112と共に紙管用ホルダー101の円筒104を回転させ、ストレッチフィルム111を巻き戻して複数の荷物を同時に包装している。
【0009】
ところが、ストレッチフィルム111を使い切った後の紙管112は、一般に焼却処分されているが、最近のゴミ軽減や地球温暖化防止策に伴う焼却の制限等により、その処分が問題になっている。また、従来の紙管112は直径3インチと径も大きくて嵩張るために、トラック等に積載する本数も限られ運搬コストが高くつくといった問題があった。
【0010】
そこで、上記したような問題の解決策として、従来の紙管112に比べて直径の小さな紙管にストレッチフィルムを巻いたものを使用すればといった提案がなされている。しかしながら、この直径の小さな紙管の両端部の孔に上記した従来の構造の紙管用ホルダー101をそのまま縮小形成して嵌め込んだ場合、紙管用ホルダー101の縮小にともなって手挿入穴108も小さく形成されることになる。そのため、ストレッチフィルムの巻き戻しをする際に、この縮小形成された手挿入穴108に手を入れ辛くなり、この状態でストレッチフィルムの巻き戻しによる包装作業を行った場合、把持部106は握り辛いし、手挿入穴108に入れた手も直ぐに痛くなってしまうといった問題点がある。
【0011】
また、特許文献1に開示のフィルムホルダーは、紙管の端部から紙管の孔内に挿入し、
紙管の孔の内面とフィルムホルダーの外面とを摺動させて紙管を回転させ、フィルムを巻き戻すようにしたものである。しかしながら、紙管の孔径には製作上のバラツキがあり、必ずしも一定の孔径ではないために、上記のフィルムホルダーを紙管に取付けて使用した場合、紙管とフィルムホルダーとが強く嵌合して紙管が回転しないことがある。
【0012】
また、その他の下記の特許文献に開示のホルダーにおいても、上記した問題点を解決できるものではなかった。
【0013】
【特許文献1】実用新案登録第3115366号公報
【特許文献2】特開2004−83181号公報
【特許文献3】特開2004−149229号公報
【特許文献4】特開平10−77165号公報
【特許文献5】特開平7−70838号公報
【特許文献6】特開2003−89477号公報
【特許文献7】特開2005−154148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記のような問題点に鑑みて開発されたものである。そして本発明の目的とするところは、従来の紙管に比べて直径を小さくした芯管に巻き付けたストレッチフィルム等のシートを巻き戻して繰り出す場合に、握り辛かったり手を痛めたりすることなく、上記シートを円滑に巻き戻して包装作業等を行うことができる芯管用ホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明は上記の目的を有効に達成するために、次のような構成の芯管用ホルダーを開発した。すなわち、請求項1に記載の本発明は、帯状シートを巻き付けた芯管の両端部に取付けるものであって、上記芯管の孔に端から嵌入して芯管と共に回転する回転軸部と、上記回転軸部に回転自在に係合し芯管の端部の外側に位置する把持部とからなることを特徴とする芯管用ホルダーである。
【0016】
請求項2に記載の本発明は、回転軸部の外周面には、芯管の内周面に当接して嵌合するリブが設けてあることを特徴とする請求項1記載の芯管用ホルダーである。
【0017】
請求項3に記載の本発明は、把持部は、手で握れる大きさの円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の芯管用ホルダーである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の本発明の芯管用ホルダーでは、帯状シートを巻き付けた芯管の端部の中に回転軸部を嵌め込むことによって、簡単に芯管に固着することができる。そして芯管の両端部に本発明の芯管用ホルダーを取り付けて、左右の手で各芯管用ホルダーの把持部を握り、帯状シートの先端部を包装する物に密着させたり、包装する物の間に貼り付けたりした後に、芯管用ホルダーとともに芯管を手前に引いていくことにより、把持部が回転することなく回転軸部とともに芯管が回転し、帯状シートが円滑に巻き戻されて繰り出されていく。したがって、芯管径の大小にかかわらず芯管に巻かれた帯状シートを巻き戻す場合に把持部を握っているだけで簡単に帯状シートを繰り出すことができ、包装作業を容易に行うことができる。また、包装作業中は把持部を握って身体を移動させるだけであるので手も疲れない。
【0019】
また、請求項2に記載の本発明の芯管用ホルダーでは、回転軸部の外周面に芯管の内周面に当接して嵌合するリブを設けてあるので、芯管の内径に多少のばらつきがあったとしても、芯管の内周面に回転軸部の外周面から隆起したリブが食い込み、より確実に芯管に回転軸部を固着することができる。したがって、帯状シートを繰り出して包装作業中に芯管と回転軸部との間でスリップするといったこともなく円滑に包装作業を行うことができる。
【0020】
また、請求項3に記載の本発明の芯管用ホルダーでは、把持部は手で握れる大きさの円筒状に形成されているので手で確実に握ることができ、帯状シートの繰り出し作業を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付の図に基いて説明する。
図1〜図5は本発明にかかる一例の芯管用ホルダーに関する図であって、図1は本発明にかかる一例の芯管用ホルダーの斜視図、図2は芯管用ホルダーの断面図、図3は芯管用ホルダーの正面図、図4はストレッチフィルムを巻き付けた芯管の両端部に芯管用ホルダーを取付けた状態の斜視図、図5は芯管用ホルダーを取付けた芯管に巻き付けられているストレッチフィルムを巻き戻して荷物を包装する状態の説明図である
【0022】
図示の芯管用ホルダー1(図1)は、把持部2と回転軸部3とを回転自在に連結させた構成からなり、帯状シートの一例であるストレッチフィルム4 (図4)を巻き付けた紙管やプラスチック管等の芯管5の両端部に取付けて、左右の手で把持部2を握って保持し、芯管5を手前に引いて回転させながらストレッチフィルム4を容易に巻き戻せるようにしたものである。
【0023】
より具体的に説明すると、上記の把持部2(図2)は、全体をプラスチック成型によって形成され、直径が72mmで幅30mm位の短円筒外周部6と、短円筒外周部6の外端6a寄りの内部を閉塞する閉塞円形部7と、閉塞円形部7の内側の中央部に形成した係合筒部8と、短円筒外周部6の内端6b側の内周に形成した環状係止部9とからなる。環状係止部9は、内端6b側から内側に高くなったテーパー状に形成してある。なお、短円筒外周部6は手で握れることができる大きさであれば、上記の数値に限定されることもなく、直径72mmよりも大きくても小さくてもよく、また幅30mm位もこの数値よりも大きくても小さくてもよい。
【0024】
上記の回転軸部3(図2、図3)は、把持部2の係合筒部8内に係合する短円筒部10と、この短円筒部10より少し大径で把持部2に短円筒部10を係合させたときに把持部2から外に突出する長さ50mm位で直径38mm位の長円筒部11と、短円筒部10と長円筒部11の境目のやや短円筒部10側に形成されて把持部2の環状係止部9に係止する環状鍔部12と、環状鍔部12と短円筒部10との間に形成して把持部2の係合筒部8の端部8aに係合する環状凹部13と、環状凹部13側で芯管5(図4)の端部5aの孔14の径と同一または僅かに小径の外径に形成した嵌合筒部15と、嵌合筒部15の外周に所定間隔を以って形成した複数も嵌合リブ16と、上記長円筒部11の外周に所定間隔を以って形成した複数もリブ17とからなる。なお、嵌合リブ16およびリブ17の数、長さ、高さ、幅は図示の例に限定されるものではなく適宜設計変更するも自由であり、また、長円筒部11の長さ等も適宜設計変更するも自由である。
【0025】
上記の回転軸部3は、芯管用ホルダー1を芯管5に取付ける際に、通常は嵌合筒部15の嵌合リブ16が芯管5(図4)の端部5aの孔14の内面に嵌着されるが、芯管5の孔14の内径が製作時にばらつきあり、上記の嵌合筒部15より小径のものもある。このような芯管5でも回転軸部3に嵌着できるように、長円筒部11の外周にリブ17を形成し、このリブ17に小径の芯管5の内周面が嵌着できるようにしてある。
【0026】
上記した把持部2に対して回転軸部3は回転自在に連結してある。すなわち(図2)、把持部2の係合筒部8内に回転軸部3の短円筒部10を挿入すると共に、回転軸部3の環状鍔部12を把持部2の環状係止部9を乗り越えさせて中に挿入し、この環状係止部9に環状鍔部12を係止させる。この際、回転軸部3の凹部13は把持部2の係合筒部8の端部8aに係合し、回転軸部3の短円筒部10の先端10aは閉塞円形部7の内面に隣接する。このようにして係合された把持部2と回転軸部3とは互いに回転自在である。
【0027】
上記した構成からなる芯管用ホルダー1を芯管5(図4)の各端部5aに取り付ける場合は、各芯管用ホルダー1の回転軸部3を芯管5の端部5aの孔14に挿入することにより、芯管5の端が嵌合リブ16に隣接する段差部分に当接すると共に、芯管5の端部5aの孔14の内面が回転軸部3の嵌合リブ16と強く嵌合し、芯管5は芯管用ホルダー1の回転軸部3に固定される。
【0028】
このようにして芯管5の両端部5aに取り付けた各芯管用ホルダー1(図5)の把持部2を左右の手で握り、上記したようにストレッチフィルム4の先端部を荷物18に密着させたり荷物間の隙間に挟んだりして作業員が後ろに移動することにより、芯管5と共に回転軸部3(図4)が回転し、ストレッチフィルム4を巻き戻してパレット19上の複数の荷物18を、手を痛めることもなく容易にまとめて包装することができる。
【0029】
また、ストレッチフィルム4を使いきった後の芯管5は、従来の紙管に比べ小径であり嵩張らないので一度に沢山の芯管5を焼却場等まで運搬できて運搬コストを低減でき、また、従来の紙管に比べ小径になった分だけゴミとしての量も軽減され、焼却処理するにおいても地球温暖化防止の一助となる。
【0030】
なお、本発明の芯管用ホルダーは、芯管にストレッチフィルムを巻き付けたものに限らず、他の樹脂フイルムや紙等の帯状シートを巻き付けた芯管に取付けて、これらの帯状シートを巻き戻すときに使用するも自由である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明にかかる一例の芯管用ホルダーの斜視図である。
【図2】本発明にかかる芯管用ホルダーの断面図である。
【図3】本発明にかかる芯管用ホルダーの正面図である。
【図4】本発明にかかる芯管用ホルダーを芯管の両端部に取付けた状態を示す説明図である。
【図5】本発明にかかる芯管用ホルダーをストレッチフイルムを巻き付けた芯管の両端部に取付けて荷物の包装を行う場合の一例を示す説明図である。
【図6】従来の芯管用ホルダーの斜視図である。
【図7】従来の芯管用ホルダーの分解した説明図である。
【図8】従来の芯管用ホルダーを芯管の両端部に取付けた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 芯管用ホルダー
2 回転軸部
3 把持部
4 帯状シート
5 芯管
16 リブ
17 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状シートを巻き付けた芯管の両端部に取付けるものであって、上記芯管の孔に端から嵌入して芯管と共に回転する回転軸部と、上記回転軸部に回転自在に係合し芯管の端部の外側に位置する把持部とからなることを特徴とする芯管用ホルダー。
【請求項2】
回転軸部の外周面には、芯管の内周面に当接して嵌合するリブが設けてあることを特徴とする請求項1記載の芯管用ホルダー。
【請求項3】
把持部は、手で握れる大きさの円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の芯管用ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−24492(P2008−24492A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201974(P2006−201974)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(503354011)野添産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】