説明

花壇その作成方法

【課題】植栽全体のレイアウトを直接的及び間接的に見て楽しむことができ、植え込み作業も容易な花壇とその作成方法を提供する。
【解決手段】歪み画像12を形成した植物の植栽を所定の面に形成し、その面の特定位置に曲面の反射面を有した曲面鏡14を配置する。曲面鏡14により、歪み画像12を元画像10のように復元した復元画像10aを鑑賞可能とする。歪み画像12を形成した植物の植栽模様を水溶性紙16の表面に形成し、水溶性紙16による模様に沿って、植物の種や球根20を配置し、植物により所定の模様が形成された後鑑賞する際に、歪み画像12に対して特定位置に曲面の反射面を有した曲面鏡14を配置し、歪み画像12を元画像10のように復元して鑑賞可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を植栽して楽しむ花壇であって、直接的又は間接的に見て鑑賞することができる花壇とその作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常の花壇では、盛り土に草花を直接植栽したり、プランターに植えた草花等の植物をそのまま見て観賞するものであった。さらに、トピアリーと称される、植物を刈り込んで立体的な造形を形成したものや、盆栽や菊人形のように植物を生かして種々の造形を形成した観賞用の植栽もある。
【0003】
その他、特許文献1,2に開示されているように、プランターや鉢を複数用意して、その中に植物を植えて、そのプランターや鉢を立体的又はモザイク的に配置して、全体として特定の造形を形成し、これを鑑賞するようにしたものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−262028号公報
【特許文献2】特開2001―327222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術における種々の花壇や植物を利用した造形は、いずれも植栽における配置や、刈り込みした形をそのまま直接的に鑑賞するもので、造形上の変化に乏しく、大きな配置になると全体像を掴み難かったりして、面白味に欠ける場合もあった。
【0006】
また、花壇に所定の画像を植栽する場合、元絵を参照しながらおおよその位置に植えることになり、人の勘で植え込まれることが多い。従って、より複雑な絵などを植栽により描くことが困難であった。
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、植栽全体の模様を直接的及び間接的に見て楽しむことができ、植え込み作業も容易な花壇とその作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像処理技術を応用し、特定の観察方向において特定の視覚効果が得られるように画像を逆変換し、この逆変換図を花壇に植え込むようにした花壇とその作成方法である。
【0009】
本発明は、歪み画像の模様を呈した植物の植栽を所定の面に形成し、その面の特定位置に歪み補正を行う曲面の反射面を有した曲面鏡を配置し、この曲面鏡により、前記歪み画像を元画像のように復元した復元画像を見ることができるようにした花壇である。前記曲面鏡は、円筒面鏡又は円錐鏡である。
【0010】
また本発明は、歪み画像の模様を呈した植物の植栽模様を水溶性紙の表面に形成し、その水溶性紙による模様に沿って、植物の種や球根又は苗を配置し、前記植物により所定の模様が形成されそれを鑑賞する際に、前記歪み画像に対して特定位置に、前記歪み画像の補正を行う曲面の反射面を有した曲面鏡を配置し、この曲面鏡により、前記歪み画像を元画像のように復元して鑑賞可能とする花壇の作成方法である。
【0011】
前記水溶性紙には、マス目が形成され、このマス目に沿って前記歪み画像の画線が描かれ、このマス目の画線に沿って前記植物の種や球根又は苗を配置するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の花壇によれば、特定の観察方向で特定の視覚効果が得られる花壇を容易に提供することができる。さらに、湾曲した鏡面を通してのみ正確な像を観察可能な花壇や、地面にあるはずの花絵がまるで立っているかのような立体感を得られる花壇、その他立体視が可能な花壇等を、容易に形成して、鑑賞することができる。
【0013】
また本発明の花壇は、植栽した植物の配置を直接的に楽しむとともに、曲面の鏡に映して鑑賞することにより、形状が変化した模様を楽しむことができ、より多角的な鑑賞を行うことができるものである。しかも、その花壇の作成は容易なものであり、幅広い応用が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の花壇と円筒鏡に映った花壇を示す斜視図である。
【図2】この発明の花壇の模様を円筒鏡に移した場合の原画を示す平面図(a)と、実際の植栽の配置を示す平面図(b)である。
【図3】この発明の花壇を作成する際に用いるマス目用紙の一部を示す平面図である。
【図4】この発明の花壇を作成するマス目上に球根を配置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図4はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態で用いる花壇により形成される花絵の原画は、図2(a)に示すスマイルマークの元画像10である。また、実際に地面に植栽する花絵の模様は、図2(b)に示すような歪み画像12の模様となる。
【0016】
この模様は、図2(b)に示す歪み画像12を、図1に示す円筒鏡14表面に投影してみると、図1に示すように、円筒鏡14では、元画像10と同様の復元画像10aのように見えるものである。このように曲面で反射する画像の歪みを利用して画像の見え方を変える手法を、アナモルフォーズという。この実施形態では、アナモルフォーズ手法を利用して、花壇に植栽した植物の配置を複数の見方で鑑賞するようにしたものである。
【0017】
そこで、この実施形態では、図2(b)に示すような歪み画像12の模様を、例えば数メートル乃至十数メートル四方の土地に、植えて形成するものである。しかし、この歪み画像12の模様がそのまま再現されるように、地面に種や苗、球根を植えようとすると、植え込み作業がきわめて面倒なものである。そこで、この実施形態では、あらかじめ植栽範囲と等しい大きさの、水に溶ける水溶性紙16を用いて、歪み画像12と相似形の大きな画像を印刷等により描いておくものである。
【0018】
水溶性紙16には、図3に示すように、あらかじめ直線状の格子線16a,16bによりマス目17が形成され、歪み画像12の画線となる部分のマスに色塗り等で印をつけて、画像を描く。従って、水溶性紙16に描かれた画像を形成する各画線18,19は、その種類により色分けしておくと良い。
【0019】
この実施形態では、チューリップの球根20を花壇22に植えて、その花の色の違いで、ひずみ画像12の模様を描く。模様は、図4に示すように、所定の色の画線18,19には、各画線毎に異なる花の色の球根20を並べて配置し、画線18,19以外の部分にも、色違いの花のチューリップの球根を配置する。
【0020】
花壇22の作成は、まず、土を耕して、表面をならし、マス目17に着色等により画線18,19等が設けられた水溶性紙16を、所定の向きに配置する。水溶性紙16を土の表面で安定に固定した後、マス目17の画線18,19に沿って、図4に示すように、各々同じ花の色の球根を、各画線18,19のマス目17内に配置する。さらに、画線18,19以外のマス目にも、花の色の異なる球根を配置し、その後、球根20の上から培養土を撒いて球根20の位置を固定する。このとき、球根20の位置がずれたり倒れたりしないように注意する。さらに表面に土を被せて、花壇22の形を整え、完成する。
【0021】
球根20は、所定の時期、チューリップであれば春になると芽を出し、茎が伸びて花を咲かせる。このときの花の色の違いにより、図1の花壇22に示すような歪み画像12の模様がチューリップの花により形成され、その花壇の中央の所定位置に円筒鏡14を配置することにより、元画像10と同様の復元画像10aの形状が、円筒鏡14の表面に再現される。
【0022】
この実施形態の花壇とその作成方法によれば、水溶性紙16を用いて、簡単に歪み画像12の模様を花壇22に植栽することができ、見た目の楽しい花壇22を手軽に広い範囲に作成することができる。
【0023】
なお、この発明の歪み画像は、円筒鏡で元画像を復元できるもの以外に、円錐状の鏡面により復元できる歪み画像でも良く、画像を変換するための曲面鏡は任意に設定可能である。また、ひずみ等の形成又は補正は、アナモルフォーズ手法以外に、遠近法やその他の画像処理方法を利用して行ってもよく、画像処理の方法は問わないものである。さらに、植栽する植物は、適宜選択し得るものであり、花の色や葉の色、植物の丈等を適宜変えて、種々の模様を形成することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 元画像
10a 復元画像
12 歪み画像
14 円筒鏡
16 水溶性紙
20 球根
22 花壇


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪み画像の模様を呈した植物の植栽を所定の面に形成し、その面の特定位置に歪み補正を行う曲面の反射面を有した曲面鏡を配置し、この曲面鏡により、前記歪み画像を元画像のように復元した復元画像を見ることができるようにしたことを特徴とする花壇。
【請求項2】
前記曲面鏡は、円筒面鏡又は円錐鏡である請求項1記載の花壇。
【請求項3】
歪み画像の模様を呈した植物の植栽模様を水溶性紙の表面に形成し、その水溶性紙による模様に沿って、植物の種や球根又は苗を配置し、前記植物により所定の模様が形成されそれを鑑賞する際に、前記歪み画像に対して特定位置に、前記歪み画像の補正を行う曲面の反射面を有した曲面鏡を配置し、この曲面鏡により、前記歪み画像を元画像のように復元して鑑賞可能とすることを特徴とする花壇の作成方法。
【請求項4】
前記水溶性紙には、マス目が形成され、このマス目に沿って前記歪み画像の画線が描かれ、このマス目の画線に沿って前記植物の種や球根又は苗を配置することを特徴とする請求項3記載の花壇の作成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−213595(P2010−213595A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62128(P2009−62128)
【出願日】平成21年3月14日(2009.3.14)
【出願人】(000236920)富山県 (197)
【出願人】(502097805)富山県花卉球根農業協同組合 (1)
【Fターム(参考)】