説明

芳香性マット

【課題】 従来の塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴム等を材料とするマットの利点を持ち且つ、材料に特有の臭いを消し、さらには良い香りのする、安価な芳香性マットを提供する。
【解決手段】 塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴム等を基本材料2とするマット1であって、使用済み又は飲料の生産工程で廃棄される日本茶葉・紅茶葉・コーヒー豆あるいはワイン等を生産する工程で廃棄されるぶどうの皮もしくは桧の皮や木屑等を乾燥したのち粉末状にした芳香性微粉末3を、前記基本材料2と混合してマット状に成形している。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴム等を基本材料とするマットに関し、詳しくは良い香りがしたり、マットのゴム臭などを消した、いわゆる芳香性マットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴム等を材料とするマットは、すべりにくいことや耐水性に優れていること、押出し成形機による大量生産が可能なため製造コストが安価なことなどから、コンピュータのマウスパッドをはじめ、玄関先や自動車内に敷くマットや、大きなものでは工事現場の仮歩道に敷くシート等身近なところで多岐にわたる用途に利用されている。
【0003】
ところで近年、生活を取り巻く環境が整ってくるにつれて臭いに敏感な人々が増えてきており、不快な臭いをなくすための芳香剤や消臭剤の需要が高まっている。それと関連し、また一方では現代社会のストレスを発散するために、良い香りを楽しむ習慣も浸透してきており、香料入りの小物、例えば自動車の灰皿に入れる小さな芳香玉や香料入り消しゴムなども市販されている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴムにはすべりにくい、耐水性が優れている等の利点があり、マットとしての機能には問題ないが、これらの素材には一般に特有の臭いがあるため、玄関のように来客を迎える場所、自動車のように狭い空間でしかも空気の循環の悪くなりやすい場所、マウスパッドのように嗅覚に近い場所等で使用すると、その臭いが気になることがある。しかもこのような場所は、良い香りがする方が好都合な場所でもある。
【0005】
本考案は、従来の塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴム等を材料とするマットの利点を持ち且つ、材料に特有の臭いを消し、さらには良い香りのする、製造コストの安価な芳香性マットの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本考案に係る芳香性マットは、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴム等を基本材料とするマットであって、使用済み又は飲料の生産工程で廃棄される日本茶葉・紅茶葉・コーヒー豆あるいはワイン等を生産する工程で廃棄されるぶどうの皮もしくは桧の皮や木屑等を乾燥したのち粉末状にした芳香性微粉末を、前記基本材料と混合してマット状に成形している。茶・紅茶・コーヒー・ぶどうの皮自身の良い香りがマットから放散されるため、基本材料に特有の臭いを消すことができてマットの使用中の不快感がなくなると同時に、それらの香りで周囲に良好な環境を作り出せる。さらにこれらの芳香性微粉末は主に天然のものであり、しかも従来は廃棄されているものを再利用することになるので、マットの製造コストを安くすることができる。
【0007】
請求項2記載のように、請求項1の芳香性マットにおいて前記基本材料1リットルに対して前記芳香性微粉末を0.1〜0.2リットルの割合で混合することが望ましい。芳香性微粉末をこの割合で基本材料と混ぜることにより、製品となったマットとしての耐久性と柔軟性とを確保できるうえ、基本材料に特有の臭いを消すことができ、且つ芳香性微粉末の持つ良い香りを十分に放散できる。
【0008】
【考案の実施の形態】
以下、本考案に係る芳香性マットについて実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a)は本考案の実施例に係る芳香性マットを示す全体図、図1(b)はその部分拡大図、図2は本考案の芳香性マットの製造工程の一例を示す概念図である。
【0009】
本例の芳香性マット1は、図1(b)に示すように基本材料2に茶・紅茶・コーヒー等の飲料を生産する工程で残る使用済みの茶葉やコーヒー豆またはワイン等を生産する工程で廃棄されるぶどうの皮あるいは桧の皮や木の屑等を乾燥したのち、グラインダー(図示せず)で微粉末状に粉砕した芳香性微粉末3が均一に含まれている。基本材料2としては、一般にマットの原料として利用されている塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴム等が、すべりにくく、耐久性および耐水性があり、押出し成形機で大量生産が可能なため適当である。一方で、このような基本材料2には特有の臭いがあるが、基本材料2内に均一に混合された芳香性微粉末3の働きでこの臭いが消されると同時に、芳香性マット1の表面4から芳香性微粉末3の良い香りが周囲に放散される。芳香性微粉末3はマット1内に均質に混合されているので、マット1の表面4が使用中に摩耗するにつれて、混合されている芳香性微粉末3が露出するので、芳香性は継続する
【0010】
また、芳香性微粉末3は従来は廃棄されていた材料であるため、混入する香料のコストが低く押さえられるという利点がある。また特にコーヒーの香りには、健康に良い成分があるという報告もされている。
【0011】
また、基本材料2が1リットルに対して芳香性微粉末3が0.1リットル以上混合されていると、マット1からの芳香性の放散効果が十分得られる。もちろん、芳香性微粉末3の混合割合が多いほど芳香性および消臭性が強くなるが、芳香性微粉末3の占める割合が、0.2リットルを超えると、基本材料の強度が劣ってくるので、マットとしての機能が発揮されなくなるおそれがある。最も好ましい割合は基本材料2が1リットルに対して、芳香性微粉末3の混合量が0.1〜0.2リットルである。しかし、消臭効果のみを必要とするならば、基本材料1リットルに対して芳香性微粉末3を0.01リットルの割合で混合しても効果が得られ、この場合には芳香性微粉末3のコストはさらに低減される。
【0012】
次に、本考案の芳香性マット1の製造方法を図2に基づいて説明する。基本材料2と芳香性微粉末3とを2つの秤11a・11bにそれぞれ投入し、必要量を計量した後、ブレンダー12で均一になるように混合する。得られた混合物(図示せず)は従来のマットの製造工程と同様にミルロール13やかきまぜ機(ミキサー)等(図示せず)で混合撹拌する。その後、基本材料2が天然ゴムや合成ゴムの場合には、そのまま押出し成形機14にかけてシート状に成形し、加硫装置15で加硫を行なった後、巻取り機16に巻き取る。また、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂の場合には成形装置17でペレットにした後、押出し成形機18でシート状に成形し、冷却装置19で冷却した後、巻取り機20に巻き取る。最後にどちらも用とに応じて必要な長さに切断すれば、完成品としての芳香性マット1が得られる。
【0013】
本考案による芳香性マットは、コンピュータのマウスパッド、玄関先や自動車内に敷くマット、工事現場の仮歩道に敷くシート等の他、本のカバーやプールサイドの滑り止めシート、学校内の連絡通路、遊園地等の屋外施設等にも利用できる。
【0014】
【考案の効果】
以上説明したように本考案による芳香性りマットは、従来のマットの持つすべりにくさ、耐久性、耐水性等の利点を備えているうえに、従来のマットに特有の臭いを消し、さらに良い香りを放散するという特長を有するため、マット周辺に快適な環境を作り出せるという効果がある。特に、狭い空間で長時間使用する場合、従来のマットに比べて使用者の受けるストレスが軽減されるという効果も得られる。
【0015】
さらに、香料として使用するものが主として天然物であるため、使用後に廃棄する場合にも害を及ぼすことがなく、しかも従来廃棄されていた使用済みの茶葉やコーヒーの豆、不要なぶどうの皮や桧の皮や木屑等であるため、原料コストを低く抑えることができる。従って、マットの製造コストが芳香性微粉末を混合していない従来の一般的なマットとほとんどかわらず、工事現場の仮歩道や学校内の連絡通路、遊園地等の屋外施設等、大量にマットを必要とする場合に好都合である。
【0016】
請求項2記載の芳香性マットは、耐久性に富むため、負荷のかかる場所、例えば玄関マットや工事現場の仮歩道、学校内の連絡通路、遊園地等の屋外施設等に敷くマットとして使用するのに好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本考案の実施例に係る芳香性マットを示す全体図、図1(b)はその部分拡大図である。
【図2】本考案の実施例に係る芳香性マットの製造工程を示す概念図である。
【符号の説明】
1 芳香性マット
2 基本材料
3 芳香性微粉末
10 製造工程
11a・11b 秤
12 ブレンダー
13 ミルロール

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂・天然ゴム・合成ゴム等を基本材料とするマットであって、使用済み又は飲料の生産工程で廃棄される日本茶葉・紅茶葉・コーヒー豆あるいはワイン等を生産する工程で廃棄されるぶどうの皮もしくは桧の皮や木屑等を乾燥したのち粉末状にした芳香性微粉末を、前記基本材料と混合してマット状に成形したことを特徴とする芳香性マット。
【請求項2】 前記基本材料1リットルに対して前記芳香性微粉末を0.1〜0.2リットルの割合で混合した請求項1記載の芳香性マット。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3049803号
【登録日】平成10年(1998)4月8日
【発行日】平成10年(1998)6月26日
【考案の名称】芳香性マット
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−5043
【出願日】平成9年(1997)6月13日
【出願人】(597083987)株式会社カツロン (1)