説明

芳香装置

【課題】小型であっても芳香を特定の遠方領域あるいは広角に強く送風可能な芳香装置を提供する。
【解決手段】送風ファン3の前方に気流本流2Hを導くダクトを形成した本体下部に芳香剤カートリッジ4を配置し、ダクト側面部に、凹状スロープがスパイラル状に前記ダクト内に潜り込んだ形状の外部気流吸込み気孔2Bを形成した装置であり、前記送風ファンの作動により、気流本流に対して前記外部気流吸込み気孔から取り込まれた気流が合流することによってダクトから放出される風量が増幅され、また、前記外部気孔吸込み気孔から流入する気流が形成する渦巻流を利用することにより、強い気流を遠方へ送風する、あるいは広く拡散された送風を行うことが可能な、芳香装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の芳香装置は、送風FANのダクト内に、揮発した芳香剤をそのまま送風するものであった。(例えば、特許文献1参照)
また、ダクト内に、芳香剤のカートリッジ容器からチューブ状の管を出し、ダクト内気流の下流側方向へ管を曲げ、そこに開口させ、その開口部に発生した負圧を利用して、芳香剤カートリッジを吸出し、ダクト内へ芳香剤を送風するものもある。(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263
【特許文献2】特開平8−34227
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来の芳香装置の問題点は、装置の小さい機器にはスペースの制限があり、また、狭スペースで、風量の豊かな芳香器を実現するには、無理があった。
【0006】
また、積極的に、食品などの独自の芳香刺激を、スポット的に遠くへ強くあるいは、広く送風するのが困難であった。
【0007】
また、送風能力は、送風FANの能力で決まってしまい、それ以上送風を強くするとか、ダクト方向へ角度をつけた方向へ調整した風量を送風することが困難であった。
【0008】
本発明は、従来の芳香装置が有していた問題を解決しようとするものであり、小型でも、狭い領域に遠くへ強く、あるいは広い領域に強く、送風角度も調整できる芳香送風を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明は上記目的を達成するために、送風FANと送風するダクトをFANの前方に配置する。そして、そのダクト内にある揮発した芳香成分をダクト外に送風して、芳香装置の外に芳香成分を拡散させるにあたり、送風ダクトの側面に、外部気流を誘いこむ凹状のなだらかなスロープを、ダクト内側の下流側へ徐々にもぐり込ませ、開口させ、その開口部がダクト内気流本流の影響で負圧になることを利用して、外部気流を誘い込むようにしたダクトを持つ小型芳香装置としたもので、本流ダクト気流に外部気流の抱きこみを合流させることによってダクト外へ放出される気流流量を増幅させるようにしたものである。
【0010】
また、第2の課題解決手段は、外部気流を誘い込む凹状のなだらかなスロープ形状をスパイラル状に本流気流のダクトに巻き付けるように配置して、本流ダクト内側へもぐりこませ、外部気流を渦巻き状に本流と合流させて、渦巻きにより発生する負圧渦の移動を利用して、より強い気流流量増幅を遠くへ送風させるか、気流を多方角に渦状にして広く拡散させるダクト構造としたものである。
【0011】
また、第3の課題解決手段は、外部気流を誘い込む凹状のなだらかなスロープのサイズと方向をダクト方向に送風が角度を持つように配置させ、送風角度も調整したダクト構造としたものである。
【発明の効果】
【0012】
上述したように本発明の芳香装置は、小型で小さいFANの限界ある送風でもFAN送風能力の4倍風量を増幅させ、且つ、スパイラル状の気流抱き込み気孔で渦巻き状の気流を形成させてより遠くより広く芳香を送風させたり、ダクト方向に対して、角度を持った方向へ芳香を送風することが可能な芳香装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 通常ダクトの断面積変化による送風量変化の傾向図
【図2】 本発明の外部気流口面積と本流口面積比と風量変化図
【図3】 上記図2の風量増幅比変化図
【図4】 本発明の実施形態を示す小型芳香装置斜視図
【図5】 本発明の実施形態を示す小型芳香装置正面図
【図6】 本発明の実施形態を示す小型芳香装置断面図
【図7】 本発明の実施ダクト例1形態を示す斜視図
【図8】 本発明の実施ダクト例1形態を示す正面図
【図9】 本発明の実施ダクト例1形態を示す断面図
【図10】 本発明の実施ダクト例2形態を示す斜視図
【図11】 本発明の実施ダクト例2形態を示す正面図
【図12】 本発明の実施ダクト例2形態を示す断面図
【図13】 本発明の実施ダクト例3形態を示す斜視図
【図14】 本発明の実施ダクト例3形態を示す正面図
【図15】 本発明の実施ダクト例3形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図1〜図15に基づいて説明する。
【実施例】
【0015】
図1においては、通常の芳香装置のダクト内の気流量について説明したもので、気流出口面積が狭くなると、気流量も小さくなってしまうことをしめしている図である。
【0016】
図2においては、本発明の気流が増幅されることを示す図で、外部気流口が本流気流ダクト内へ面積を広げせり出してくると、本流気流口面積は徐々に面積が小さくなり、その分その本流気流出口では気流の流速が大きくなり、その周辺にある外部気流口では負圧が発生して、より外部気流を外部気流口へ呼び込む結果となる。
【0017】
その結果、図2のようにその比率が増すにつれ、本流と外部気流抱き込み気流の合流による全体の気流量は増加し、4倍もの増幅気流を得ることが可能となる。
【0018】
さらに、比率をあげると、送風FANの送風圧限界に達して、本流気流は気流を押し込むことができず、図のように急激に減少することになることを示している。
【0019】
図3は、図2の縦軸の気流量を気流の増幅率に変換して、図にしたものである。
【0020】
図4から図6は、本発明の実施例を示した図である。
【0021】
送風FAN3に前方にダクトを形成するようにカバー1で覆い、前後をFANガード5、前パネル6、後パネル7で構成し、その本体の下部に芳香剤を収納したカートリッジ4を配置した構造である。
【0022】
カバー1の側面に外部気流を吸込む気孔2A、2Bを形成し、本体の送風FANからの気流本流に影響されて、外部気流吸込み気孔2A、2Bのダクト内部の開口部に負圧が発生し、気孔2A、2Bから外部気流が流れ込む構造となっている。
【0023】
本流と外部気流気孔2A、2Bから取り込まれた気流が合流し、結果的にFANの送風量に増幅された気流が本体外へ放出されることになる。
【0024】
図7は、上述のカバー1と外部気流吸込み気孔2A、2Bをさらに効率をあげた形態をしめしている。
【0025】
図中ダクト8は、そのダクトの実施例であって、ダクトの4方向より、外部気流吸込み気孔9A、9B、9C、9Dを配して、本流気流口9Hが形成されている。
【0026】
図2、図3のグラフしめしたように、上述外部気流吸込み口合計面積(SG1+SG2+SG3+SG4)と本流気流口面積Sとの比率が7:1ないし8:1になった時、気流の増幅効率が最大現に向上する。
但し、この比率は、送風FANの送風圧能力によって比率は前後しる。
【0027】
図8は、前述の開口部を正面から見た図である。
【0028】
図9は、図7、図8の断面図を示す。
【0029】
本流気流9Hに、外部気流吸込み気孔9A、9B、9C、9Dから気流を取り込んで、合流する図である。
【0030】
図10、11、12は、ダクト10に外部気流吸込み気孔11A、11B、11Cをスパイラル状に気流本流と合流させる実施例を示す。
【0031】
このスパイラル形状により、本流と合流した気流が、渦巻き状に排出されたり、あるいは、渦状に回りに広範囲に拡散されたりできる。
【0032】
図13、14、15は、ダクト12に外部気流吸込み気孔13A、13B、13Cを配して、本流気流に放出角度を調整したり、流量を調整した実施例を示す。
【0033】
なお、本発明は、何ら上記実施例に限定されるものではなく、例えば、以下のものにも適用可能である。
(1)本発明はどのような大きさの芳香装置にも適用可能であるが、特に、食品棚に置け るような小型のものに好適である。
(2)また、芳香装置としてのみならず、送風装置、冷却装置としても有効である。
(3)芳香を行うことによって、結果的に防臭を行うような場合も、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
産業上の利用可能性としては、食品固有の芳香を送風させる芳香装置、広く消臭させる脱臭装置、ものを冷却させる冷却装置として利用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 カバー(ダクト)
2A、2B 外部気流吸込み気孔
3 送風FAN
4 芳香カートリッジ
5 FANガード
6 前パネル
7 後パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風FANとそれを囲んだカバー(送風ダクト)と、そのダクトに芳香成分を揮発させるカートリッジで構成された芳香装置に、送風ダクトの側面に、外部気流を誘いこむ凹状のなだらかなスロープを、ダクト内側の下流側へ徐々にもぐり込ませ、開口させ、その開口部がダクト内気流本流の影響で負圧になることを利用して、外部気流を誘い込むようにした気孔を持った芳香装置。
【請求項2】
外部気流を誘い込む凹状のなだらかなスロープ形状をスパイラル状に本流気流のダクトに巻き付けるように配置して、本流ダクト内側へもぐりこませ、外部気流を渦巻き状に本流と合流させて、渦巻きにより発生する負圧渦の移動を利用して、より強い気流流量増幅を遠くへ送風させるか、気流を多方角に渦状にして広く拡散させるダクト構造とした請求項1記載の芳香装置。
【請求項3】
外部気流を誘い込む凹状のなだらかなスロープのサイズと方向をダクト方向に送風が角度を持つように配置させ、送風角度も調整したダクト構造とした請求項1記載の芳香装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−87880(P2011−87880A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257513(P2009−257513)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(509310783)スギヤマ技研株式会社 (1)
【Fターム(参考)】