茎葉処理機
【課題】 茎葉を中途部分で引き千切ることなく引き抜くことができ、しかも引抜きロールの表面が濡れても茎葉をしっかりと挟むことができ、茎葉の引抜き精度を向上させることができる茎葉処理機を提供する。
【解決手段】 弾性体で形成されていて左右方向で密接された一対の引抜きロール18を備え、畝Rで栽培された作物Pの茎葉Sを左右の引抜きロール18間で挟持し且つ左右各引抜きロール18を該引抜きロール18の密接側において上動するように回転駆動させることにより茎葉を引き抜くようにした茎葉処理機において、前記左右引抜きロール18の表面側の茎葉挟持部分に多数の突起33を設ける。
【解決手段】 弾性体で形成されていて左右方向で密接された一対の引抜きロール18を備え、畝Rで栽培された作物Pの茎葉Sを左右の引抜きロール18間で挟持し且つ左右各引抜きロール18を該引抜きロール18の密接側において上動するように回転駆動させることにより茎葉を引き抜くようにした茎葉処理機において、前記左右引抜きロール18の表面側の茎葉挟持部分に多数の突起33を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で栽培されたジャガイモ等の作物の塊茎を収穫する前に、該作物の茎葉を除去処理する茎葉処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、畝で栽培されたジャガイモの塊茎(以下、単にイモという)を収穫する前にジャガイモの茎葉の除去処理を行うのに使用される茎葉処理機があり、該茎葉処理機は、茎葉を細断する茎葉細断装置と、この茎葉細断装置の後方に配置された左右一対の引抜きロールとを備えており、トラクタ等の走行体の後部に装着可能に構成されている(特許文献1参照)。
この茎葉処理機によって茎葉を除去するには、該茎葉処理機を畝の長手方向に沿って移動させながら茎葉細断装置によって茎葉を根本側の一部を残して細断し、残った根本側の茎葉を左右一対の引抜きロールで挟持し且つ左右各引抜きロールを、該引抜きロールの対向側において上動するように高速で回転駆動させる。
【0003】
すると、畝にイモを残したまま茎葉が引き抜かれる。
【特許文献1】特開2004−194594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の茎葉処理機にあっては、引抜きロールはゴム製ではあるが内部に空気が入っており表面が硬く平滑状であるので、一対の引抜きロール間で茎葉を挟持して引き抜くときに該茎葉が挟まれた部分で過度に押し潰されて引き千切られ、茎葉の引抜きミスが生じる場合がある。
また、茎葉を左右の引抜きロールで挟持してイモから引き抜くようにしたものにあっては、茎葉を左右の引抜きロールで挟んだときに茎が潰れ、この潰れた茎から出る汁によって引抜きロールの表面が濡れるが、引抜きロールが濡れると、引抜きロールの表面が平滑状である場合、滑りが発生し易く、茎葉の引抜きミスが生じる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、茎葉を中途部分で引き千切ることなく引き抜くことができ、しかも引抜きロールの表面が濡れても茎葉をしっかりと挟むことができる茎葉処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、弾性体で形成されていて左右方向で密接された一対の引抜きロールを備え、畝で栽培された作物の茎葉を左右の引抜きロール間で挟持し且つ左右各引抜きロールを該引抜きロールの密接側において上動するように回転駆動させることにより茎葉を引き抜くようにした茎葉処理機において、
前記左右引抜きロールの表面側の茎葉挟持部分に多数の突起を設けたことを特徴とする。
また、引抜きロールは、中空状のロール本体と、このロール本体に被せられた弾性カバーとから構成され、弾性カバーに突起が設けられているのがよい。
【0007】
また、弾性カバーがロール本体に締まり嵌め状態で外嵌固定されているのがよく、具体的には、ロール本体内の空気を抜いた状態で弾性カバーをロール本体に被せ、該状態でロール本体内に空気を充填して弾性カバーを伸張させることにより該弾性カバーがロール本体に取付固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、引抜きロールの表面側に多数の突起を設けることにより、引抜きロール間で茎葉を挟持する際に、茎を過度に押し潰すことなく挟むことができるので、該茎葉を中途部分で引き千切ることがないと共に、多数の突起によって茎葉をしっかりと挟むことができるので、抜きロールが濡れても滑りが発生し難く、茎葉を確実に引き抜くことができ、茎葉の引抜き精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図2〜図5において、1はジャガイモ等の作物Pの塊茎T(イモ)を収穫する(掘り取る)前に、その茎葉Sを除去処理するのに使用される茎葉処理機であり、この茎葉処理機1は、トラクタ等の走行体の後部に装着されて畝に沿って圃場を移動しながら茎葉Sの除去処理をする。
この茎葉処理機1は、前部の茎葉細断装置2と、後部の茎葉引抜き装置3とから主構成され、茎葉引抜き装置3はイモTを畝Rに残したまま茎葉Sを引き抜くものであり、茎葉細断装置2は茎葉Sを引き抜く前に該茎葉Sの余分な部分を細断処理(粉砕処理)するものである。
【0010】
本実施の形態における茎葉処理機1は、2畝対応の茎葉細断装置2の後方に、1畝対応の茎葉引抜き装置3を左右一対備えていて、畝Rの長手方向に沿って移動しながら2畝を同時に(一工程で)処理するように構成されている。
なお、1畝のみ又は3畝以上を処理するようにしたものであってもよい。
茎葉細断装置2は、トラクタの後部に三点リンク機構を介して昇降自在で且つ着脱自在に装着される装置フレーム4と、この装置フレーム4に支持されていて茎葉Sを細断する細断部5と、ゲージ輪6とを有する。
【0011】
装置フレーム4の前部には、三点リンク機構のトップリンクの後端側に取り付けられる上部のトップリンク取付部7と、三点リンク機構の左右ロワーリンクの後端側に取り付けられる下部の左右ロワーリンク取付部8とを備えている。
ゲージ輪6は装置フレーム4の後端側の左右両側に設けられていて畝R間の溝を転動し、装置フレーム4の後部を支持して細断部5を所定高さに保持する。
このゲージ輪6は装置フレーム4に対して上下位置調整自在に取り付けられており、ゲージ輪6の装置フレーム4に対する上下位置を変えることにより細断部5の高さが調整自在とされている。
【0012】
細断部5は、図2及び図6に示すように、左右方向の軸心を有する前後一対の回転軸9と、前後の各回転軸9に取り付けられた細断刃10とから構成されている。
前後各回転軸9に設けられた細断刃10は、回転軸9に固定されたブラケットに左右軸回りに回転自在に取り付けられたフレール刃等によって構成されている。
前側の回転軸9は後側の回転軸9よりも上位に配置されており、前側の回転軸9に設けられた細断刃10によって畝Rの上方側の茎葉Sを根本側の一部を残して細断し、後側の回転軸9に設けられた細断刃10によって畝Rの左右両側の茎葉Sが細断されるように、前後の回転軸9に対して細断刃10が配置されている。
【0013】
細断部5の上方及び左右両側は装置フレーム4に設けられたカバー部材11によって覆われている。
装置フレーム4の前端側の左右方向中央部には、トラクタのPTO軸にユニバーサルジョイントを介して連動連結される入力軸12が設けられ、この入力軸12に伝達されるPTO軸からの動力は、ギヤケース13内の動力伝達機構、ギヤケース13から左方に突設された筒体14内の伝動軸、筒体14の左端側に連結された伝動ケース15内の動力伝達機構等を経て前後の回転軸9に伝達され、該伝達された動力によって前後の回転軸9が図2の矢示A方向に回転駆動されて細断された茎葉Sが前方側に飛ばされるように構成されている。
【0014】
また、入力軸12に伝達された動力は、装置フレーム4の前部に設けられた動力伝達装置16によって左右に分岐され、この左右に分岐された動力は、伝動軸17を介して後方の左右の各茎葉引抜き装置3へと送られる。
左右各茎葉引抜き装置3は、茎葉細断装置2によって細断されて残った根本側の茎葉Sを挟持して引き抜く左右一対の引抜きロール18と、この左右引抜きロール18の前側近傍に配置されていて細断後の残った茎葉Sを畝Rの左右方向(幅方向)中央側へと掻き寄せる(掻き集める)掻寄手段19と、引抜きロール18の後方に配置されていて引抜きロール18の高さ調整をするゲージ輪20と、左右の引抜きロール18で吹き上げれられた土を引き抜かれた茎葉Sと一緒に引抜きロール18の後方で且つゲージ輪20の前側に案内するガイド手段21と、これら引抜きロール18,掻寄手段19,ゲージ輪20,ガイド手段21を支持する装置フレーム22とを有する。
【0015】
掻寄手段19及び引抜きロール18は、前記入力軸12から前記伝動軸17を介して伝達される動力によって駆動される。
左右各茎葉引抜き装置3の装置フレーム22は茎葉細断装置2の装置フレーム4の後部に、上下一対のリンクからなる昇降リンク機構23を介して上下動自在に支持されている。
掻寄手段19は、細断されずに残った茎葉Sを畝Rの左右方向中央側に掻き寄せることで該茎葉Sが左右の引抜きロール18間に進入し易いようにするものであり、左右一対の掻寄せベルト24と、この掻寄せベルト24を駆動する図示省略の駆動機構とを備えている。
【0016】
左右の掻寄せベルト24は、ゴム等の弾性体によって構成され、エンドレスのベルト本体の外周に弾性変形可能な突起(タイン)を周方向に間隔をおいて設けてなり、左右の掻寄せベルト24を対向側において下側から上側に移動するように周方向に循環回走させることにより、細断されずに残った茎葉Sがタインによって畝Rの左右方向中央側に掻き寄せられるよう構成されている。
ゲージ輪20は、前端側が装置フレーム22に左右軸回りに回動自在に支持された左右一対の支持アーム25の後部間に配置されていて、該左右支持アーム25に左右軸回りに回転自在に支持されており、支持アーム25をその前端側の枢支部26を支点として上下に揺動させることによりゲージ輪20が上下動可能とされている。
【0017】
前記左右各支持アーム25の長さ方向中途部には連結部材27の一端側が枢支連結され、左右各連結部材27の他端側はそれぞれレバー部材28に枢支連結され、左右各レバー部材28の下端側は左右方向の支軸29によって連結されていると共に該支軸29の軸心回りに回動自在に装置フレーム22に支持されており、一方のレバー部材28は、該レバー部材28の先端側と装置フレーム22との間に介装された伸縮自在な高さ調整機構30によって下端側の前記支軸29回りに揺動操作可能とされ、レバー部材28を揺動操作することによりゲージ輪20の装置フレーム22に対する上下位置が調整可能とされている。
【0018】
また、ゲージ輪20は、本実施の形態では、図7に示すように、左右の輪体31間に架け渡されたゴム板材からなる筒部材32の左右方向中央側をゴム製又は布製の平ベルトによって絞めることにより、畝Rの形状に略沿うように正面視鼓状に形成されていて、引抜きロール18の後方の畝R上を転動して、装置フレーム22の後部を支持すると共に茎葉Sを引き抜いた後の畝Rを上から押さえる。
左右の引抜きロール18は、図8、図9、図12に示すように、側面視で楕円球状に形成され、表面に多数の突起33を備えている。
【0019】
この左右各引抜きロール18は、本実施の形態では、ゴム様弾性体から前後開口状の筒状(中空状)に形成されたロール本体34と、このロール本体34が取り付けられる芯体35と、前記ロール本体34に被せられていて該ロール本体34に締まり嵌め状態で外嵌固定されたゴム様弾性体からなる弾性カバー36と、この弾性カバー36の表面に設けられたゴム様弾性体からなる前記多数の突起33とから主構成されている。
芯体35は、有底円筒状の前後の取付部37F,37Rと、この前後の取付部37F,37Rを連結する筒部38と、この筒部38の後端側に連結された軸嵌合部39とから主構成され、ロール本体34内に挿入されている。
【0020】
ロール本体34は、その前後端部側が芯体35の前後の取付部37F,37Rに金属製等のバンド等によって締付け固定されることにより芯体35に取り付けられると共にロール本体34の前後端部の開口部が芯体35の前後の取付部37F,37Rによって閉塞されている。
芯体35の後側の取付部37Rには、バルブが取り付けられる空気流通孔40が形成され、そして、バルブを介して空気流通孔40からロール本体34内に圧縮空気を充填して該ロール本体34を膨らませることにより該ロール本体34が楕円球状を呈する。
【0021】
弾性カバー36は、前後開口状の筒状に形成されていて、ロール本体34内から空気を抜いた状態で該ロール本体34に被せられ、ロール本体34に弾性カバー36を被せた状態でロール本体34内に空気を充填してロール本体34を膨らませると、該弾性カバー36が伸張し、該弾性カバー36が収縮しようとする力によって該弾性カバー36がロール本体34に密着状に取付固定されている。
この弾性カバー36の前端側は、ロール本体34の前端側と共に芯体35の前側の取付部37に締め付け固定される。
【0022】
前記突起33は、本実施の形態では、該突起33を一体形成したゴム板41を弾性カバー36に貼り付けることにより弾性カバー36の表面に設けられている(なお、突起33は弾性カバー36に直接一体形成されていてもよいし、ロール本体34の表面に一体形成してもよい)。
また、突起33は、弾性カバー36(ロール本体34)からの突出方向の基端側が截頭円錐状で先端側が円柱状に形成され、ロール本体34の前後方向(軸方向)中途部の前後方向所定範囲(少なくとも茎葉挟持部分)に、ロール本体34の周方向全周に亘って設けられている。
【0023】
また、突起33は、一方の引抜きロール18の突起33の円柱部分が他方の引抜きロール18の突起33の円柱部分間に挿入される程度の間隔をおいて設けられている。
芯体35の筒部38には前方側から回転支軸42が挿入され、該回転支軸42に芯体35が取付固定されると共に、回転支軸42の後端側が芯体35の軸嵌合部39にスプライン嵌合(又はキー結合等)によって連結されていて、引抜きロール18は回転支軸42と一体回転する。
回転支軸42は、その前端側が装置フレーム22に設けられた軸支持体43に軸心回りに回転自在に支持され、前記入力軸12から前記伝動軸17を介して伝達される動力によって回転駆動される。
【0024】
左右の引抜きロール18は、左右方向において相互に押しつけられて密接状として配置され、且つ該引抜きロール18の対向側(密接側)において上動(下側から上側に移動)するように高速で回転駆動される(図12の矢示C方向に回転駆動される)。
この茎葉引抜き装置3にあっては、掻寄手段19及び左右の引抜きロール18を駆動させて、茎葉処理機1を畝Rの長手方向に沿って前進させることにより、茎葉細断装置2で細断されずに残った茎葉Sが掻寄手段19によって掻寄せられると共に引き起こされ、この掻き寄せられた茎葉Sが左右の引抜きロール18の合わせ目に相対的に進入し、該茎葉Sが左右の引抜きロール18間で挟持されて上方に引っ張られ、これにより、畝RにイモTを残したまま茎葉Sが引き抜かれるように構成されている。
【0025】
また、左右の引抜きロール18は、前上がり傾斜状(回転軸心が前方に行くに従って上方に移行する傾斜状)として畝Rに接して配置されており、畝Rの土は左右の引抜きロール18間に掻き込まれて引き抜かれた茎葉Sと共に後上方に吹き上げられるように構成されており、また、この吹き上げられた土及び茎葉Sは、ガイド手段21によって引抜きロール18後方で且つゲージ輪20の前側の畝Rの中央側に案内され、茎葉Sを引き抜いた後のイモTを被覆してイモTの露出を防ぐように構成されている。
前記構成の引抜きロール18にあっては、引抜きロール18の表面側に多数の突起33が設けられていることにより、引抜きロール18間で茎葉Sを挟持する際に茎を過度に押し潰すことなく挟むことができるので、該茎葉Sが中途部分で引き千切られることがない。
【0026】
また、多数の突起33によって茎葉Sをしっかりと挟むことができるので、潰れた茎から出る汁等によって引抜きロール18が濡れても滑りが発生し難く、茎葉Sを確実に引き抜くことができる。
前記突起33によって、茎葉Sの引抜きミスを防止でき、引抜き精度を向上させることができる。
また、潰れた茎から出る汁は、突起33間を通して下方に抜ける。
なお、突起33は図例のものに限定されることはなく、引抜きロール18間で茎葉Sを挟持する際に茎を過度に押し潰さないこと、茎が潰れて発生する汁が下方に抜けることを満たせば、板状等のように引抜きロール18表面に沿う方向にある程度の長さを有する突起33であってもよい。
【0027】
また、ロール本体34に被せられた弾性カバー36に突起33を設けることで、突起33が損傷又は摩耗したときに、引抜きロール18全体を交換しなくても弾性カバー36を取り替えるだけでよく経済的である。
また、ロール本体34内の空気を抜いた状態で弾性カバー36をロール本体34に被せ、該状態でロール本体34内に空気を充填して弾性カバー36を伸張させることにより該弾性カバー36がロール本体34に取付固定されるよう構成されているので、弾性カバー36の装着が容易であると共にロール本体34から空気を抜けば弾性カバー36の取外しが容易に行え、突起33が損傷又は摩耗したときの弾性カバー36の交換が簡単に行える。
【0028】
ガイド手段21は、図1に示すように、引抜きロール18で吹き上げられた土を受けて引抜きロール18の後方側で且つゲージ輪20の前側の畝R上面に案内する土寄せガイド44と、引抜きロール18で吹き上げられた土を土寄せガイド44に案内するガイドシュート45とから構成されている。
土寄せガイド44はゲージ輪20の上部側に配置されてゲージ輪20を支持する支持アーム25に取り付けられた取付部材46に取り付けられており、したがって、土寄せガイド44はゲージ輪20との相対位置が変わらずゲージ輪20と一体的に動くように設けられている。
【0029】
また、ガイドシュート45は引抜きロール18の上方に配置されて装置フレーム22に取り付けられており、したがって、ガイドシュート45は引抜きロール18との相対位置が変わらないように設けられている。
土寄せガイド44が取り付けられる取付部材46は、ゲージ輪20の上部側の左右両側に縦向き(実施形態では後傾状)に配置された左右の側杆部47と、ゲージ輪20の上方に左右方向に配置されていて左右の側杆部47の上端同志を連結する取付杆部48とから構成され、左右の側杆部47の下端側が、左右方向で同じ側にある支持アーム25の後端側に固定のブラケット49にボルト固定されている。
【0030】
土寄せガイド44は、図1、図7、図10、11に示すように、板材によってゲージ輪20の左右幅と略同じ左右幅に形成されており、中央壁部50と、該中央壁部50の左右側縁から左右方向外方に向けて斜め上方側に延びる左右壁部51とからゲージ輪20に沿った形状に形成されていて、ゲージ輪20の上面側に近接配置されている。
また、この土寄せガイド44は前下がり状とされて配置されていて中央壁部50が前方に向かうに従って下方に移行する傾斜状とされており、この土寄せガイド44の中央壁部50の上端側には下方に開放状のフック状に形成された被取付部52が設けられ、この被取付部52が取付部材46の取付杆部48に引っ掛けられて該取付杆部48にボルト・ナット等からなる固定具を用いて取付固定されることにより、土寄せガイド44が取付部材46に前下がり傾斜状に取り付けられている。
【0031】
また、土寄せガイド44の中央壁部50の左右幅は、下方に向かうに従って漸次幅狭となるように形成されていると共に、該中央壁部50の下端側はゲージ輪20の上部側の左右方向中央部の前端側に位置している。
したがって、この土寄せガイド44は、引抜ロールで吹き上げられてガイドシュート45によって案内される土及び茎葉Sを比較的広い範囲で受けると共に、該受け止めた土及び茎葉Sは、下方に向けて滑り落ちながら左右方向中央に集められ、イモTが露出し易い畝Rの左右方向中央部に集中的に落下する。
【0032】
ガイドシュート45は、左右引抜きロール18の左右幅よりも広い左右幅で且つ土寄せガイド44及びゲージ輪20と略同じ左右幅に形成され、左右の側壁53と前壁54と上壁55とから形成されていて下方及び後方に開放状とされており、背面開口の上部側が引抜きロール18で吹き上げられた土及び茎葉Sを土寄せガイド44へと送り出す土送出口56とされている。
前壁54は上方に向かうに従って後方に移行する傾斜状とされており、この前壁54上端と上壁55前端とのコーナー部分57は前上方に向けて凸となる側面視円弧状に形成されており、前壁54と上壁前部側部分55aとがコーナー部分57から、該コーナー部分57の円弧の接線方向に延出されている。
【0033】
前壁54の下端側には切欠き開口58が形成され、この切欠き開口58は引抜きロール18が正常に動いているか否か(引抜きロール18に茎葉Sがつまっていないかどうか)オペレータが前方側から(トラクタ側)から確認(監視)するための作動点検窓とされている。
また、上壁55は、その前部側部分55a及び後部側部分55bが後方に向かうに従って下方に移行する傾斜状とされ、且つ上下方向に対して前部側部分55aが緩傾斜で後部側部分55bが急傾斜となるように前後方向中途部で屈曲されている。
【0034】
なお、上壁55の前部側部分55aは水平状とされていてもよい。
また、上壁55の後部側部分55bは、土送出口56から送り出される土及び茎葉Sを土寄せガイド44の上部側の広い部分に案内すべく該土寄せガイド44の上部側に向けて指向している。
前記構成のガイドシュート45にあっては、引抜きロール18によって吹き上げられた土及び茎葉Sは、前壁54及びコーナー部分57の内面に沿って後方側へと移動して上壁前部側部分55aに案内され、上壁前部側部分55aから上壁後部側部分55bへと移動して土送出口56から送り出されて土寄せガイド44上へと落下する。
【0035】
このとき、コーナー部分57及び上壁前部側部分55aに沿って移動する土及び茎葉Sの移動方向に対して上壁後部側部分55bが交差する形で形成されているので、土及び茎葉Sは上壁前部側部分55aから上壁後部側部分55bへと移動する過程で移動方向の勢いが減少して土寄せガイド44へと送出するのに適した速度に失速し、他に飛び散ることなく土寄せガイド44上に確実に載る。
すなわち、吹き上げられた土及び茎葉Sを自然落下によって土寄せガイド44に落とすとすると土及び茎葉Sが広範囲に散らばる傾向となり、勢いよく土寄せガイド44に衝当させると当たった土等が飛び散ることとなるが、本実施の形態では、ガイドシュート45の上壁55の後部側部分55bが、引抜きロール18によって吹き上げられてガイドシュート45の上壁55内面側に沿って土送出口56へと移動する土の速度を適度に落として土寄せガイド44に落下させるガイド部とされているので、ガイドシュート45から送り出される土及び茎葉Sを確実に土寄せガイド44上に載せることができる。
【0036】
前記茎葉処理機1にあっては、引抜きロール18で吹き上げられた土及び茎葉Sをゲージ輪20の前側に落とすと、ゲージ輪20の高さが上がって引抜きロール18の高さも上がることとなるので、作業開始前に、このゲージ輪20の前側に落とされる土及び茎葉Sの量を考慮してゲージ輪20の高さを設定し、少し試運転をして微調整する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】引抜きロール、ガイドシュート及び土寄せガイドの配置関係を示す側面一部断面図である。
【図2】茎葉処理機の側面図である。
【図3】茎葉処理機の平面図である。
【図4】茎葉処理機の正面図である。
【図5】茎葉処理機の背面図である。
【図6】細断部の平面図である。
【図7】ゲージ輪、土寄せガイド及びガイドシュートの配置関係を示す背面図である。
【図8】引抜きロールの側面図である。
【図9】引抜きロールの側面断面図である。
【図10】土寄せガイドの正面図である。
【図11】(a)は土寄せガイドの側面図、(b)は図10のB−B線矢示断面である。
【図12】引抜きロールの茎葉引抜き状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0038】
18 引抜きロール
20 ゲージ輪
22 装置フレーム
33 突起
34 ロール本体
36 弾性カバー
44 土寄せガイド
45 ガイドシュート
50 中央壁部
51 左右壁部
55 上壁
55b 上壁後側部分(ガイド部)
56 土送出口
P ジャガイモ(作物)
R 畝
S 茎葉
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で栽培されたジャガイモ等の作物の塊茎を収穫する前に、該作物の茎葉を除去処理する茎葉処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、畝で栽培されたジャガイモの塊茎(以下、単にイモという)を収穫する前にジャガイモの茎葉の除去処理を行うのに使用される茎葉処理機があり、該茎葉処理機は、茎葉を細断する茎葉細断装置と、この茎葉細断装置の後方に配置された左右一対の引抜きロールとを備えており、トラクタ等の走行体の後部に装着可能に構成されている(特許文献1参照)。
この茎葉処理機によって茎葉を除去するには、該茎葉処理機を畝の長手方向に沿って移動させながら茎葉細断装置によって茎葉を根本側の一部を残して細断し、残った根本側の茎葉を左右一対の引抜きロールで挟持し且つ左右各引抜きロールを、該引抜きロールの対向側において上動するように高速で回転駆動させる。
【0003】
すると、畝にイモを残したまま茎葉が引き抜かれる。
【特許文献1】特開2004−194594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の茎葉処理機にあっては、引抜きロールはゴム製ではあるが内部に空気が入っており表面が硬く平滑状であるので、一対の引抜きロール間で茎葉を挟持して引き抜くときに該茎葉が挟まれた部分で過度に押し潰されて引き千切られ、茎葉の引抜きミスが生じる場合がある。
また、茎葉を左右の引抜きロールで挟持してイモから引き抜くようにしたものにあっては、茎葉を左右の引抜きロールで挟んだときに茎が潰れ、この潰れた茎から出る汁によって引抜きロールの表面が濡れるが、引抜きロールが濡れると、引抜きロールの表面が平滑状である場合、滑りが発生し易く、茎葉の引抜きミスが生じる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、茎葉を中途部分で引き千切ることなく引き抜くことができ、しかも引抜きロールの表面が濡れても茎葉をしっかりと挟むことができる茎葉処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、弾性体で形成されていて左右方向で密接された一対の引抜きロールを備え、畝で栽培された作物の茎葉を左右の引抜きロール間で挟持し且つ左右各引抜きロールを該引抜きロールの密接側において上動するように回転駆動させることにより茎葉を引き抜くようにした茎葉処理機において、
前記左右引抜きロールの表面側の茎葉挟持部分に多数の突起を設けたことを特徴とする。
また、引抜きロールは、中空状のロール本体と、このロール本体に被せられた弾性カバーとから構成され、弾性カバーに突起が設けられているのがよい。
【0007】
また、弾性カバーがロール本体に締まり嵌め状態で外嵌固定されているのがよく、具体的には、ロール本体内の空気を抜いた状態で弾性カバーをロール本体に被せ、該状態でロール本体内に空気を充填して弾性カバーを伸張させることにより該弾性カバーがロール本体に取付固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、引抜きロールの表面側に多数の突起を設けることにより、引抜きロール間で茎葉を挟持する際に、茎を過度に押し潰すことなく挟むことができるので、該茎葉を中途部分で引き千切ることがないと共に、多数の突起によって茎葉をしっかりと挟むことができるので、抜きロールが濡れても滑りが発生し難く、茎葉を確実に引き抜くことができ、茎葉の引抜き精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図2〜図5において、1はジャガイモ等の作物Pの塊茎T(イモ)を収穫する(掘り取る)前に、その茎葉Sを除去処理するのに使用される茎葉処理機であり、この茎葉処理機1は、トラクタ等の走行体の後部に装着されて畝に沿って圃場を移動しながら茎葉Sの除去処理をする。
この茎葉処理機1は、前部の茎葉細断装置2と、後部の茎葉引抜き装置3とから主構成され、茎葉引抜き装置3はイモTを畝Rに残したまま茎葉Sを引き抜くものであり、茎葉細断装置2は茎葉Sを引き抜く前に該茎葉Sの余分な部分を細断処理(粉砕処理)するものである。
【0010】
本実施の形態における茎葉処理機1は、2畝対応の茎葉細断装置2の後方に、1畝対応の茎葉引抜き装置3を左右一対備えていて、畝Rの長手方向に沿って移動しながら2畝を同時に(一工程で)処理するように構成されている。
なお、1畝のみ又は3畝以上を処理するようにしたものであってもよい。
茎葉細断装置2は、トラクタの後部に三点リンク機構を介して昇降自在で且つ着脱自在に装着される装置フレーム4と、この装置フレーム4に支持されていて茎葉Sを細断する細断部5と、ゲージ輪6とを有する。
【0011】
装置フレーム4の前部には、三点リンク機構のトップリンクの後端側に取り付けられる上部のトップリンク取付部7と、三点リンク機構の左右ロワーリンクの後端側に取り付けられる下部の左右ロワーリンク取付部8とを備えている。
ゲージ輪6は装置フレーム4の後端側の左右両側に設けられていて畝R間の溝を転動し、装置フレーム4の後部を支持して細断部5を所定高さに保持する。
このゲージ輪6は装置フレーム4に対して上下位置調整自在に取り付けられており、ゲージ輪6の装置フレーム4に対する上下位置を変えることにより細断部5の高さが調整自在とされている。
【0012】
細断部5は、図2及び図6に示すように、左右方向の軸心を有する前後一対の回転軸9と、前後の各回転軸9に取り付けられた細断刃10とから構成されている。
前後各回転軸9に設けられた細断刃10は、回転軸9に固定されたブラケットに左右軸回りに回転自在に取り付けられたフレール刃等によって構成されている。
前側の回転軸9は後側の回転軸9よりも上位に配置されており、前側の回転軸9に設けられた細断刃10によって畝Rの上方側の茎葉Sを根本側の一部を残して細断し、後側の回転軸9に設けられた細断刃10によって畝Rの左右両側の茎葉Sが細断されるように、前後の回転軸9に対して細断刃10が配置されている。
【0013】
細断部5の上方及び左右両側は装置フレーム4に設けられたカバー部材11によって覆われている。
装置フレーム4の前端側の左右方向中央部には、トラクタのPTO軸にユニバーサルジョイントを介して連動連結される入力軸12が設けられ、この入力軸12に伝達されるPTO軸からの動力は、ギヤケース13内の動力伝達機構、ギヤケース13から左方に突設された筒体14内の伝動軸、筒体14の左端側に連結された伝動ケース15内の動力伝達機構等を経て前後の回転軸9に伝達され、該伝達された動力によって前後の回転軸9が図2の矢示A方向に回転駆動されて細断された茎葉Sが前方側に飛ばされるように構成されている。
【0014】
また、入力軸12に伝達された動力は、装置フレーム4の前部に設けられた動力伝達装置16によって左右に分岐され、この左右に分岐された動力は、伝動軸17を介して後方の左右の各茎葉引抜き装置3へと送られる。
左右各茎葉引抜き装置3は、茎葉細断装置2によって細断されて残った根本側の茎葉Sを挟持して引き抜く左右一対の引抜きロール18と、この左右引抜きロール18の前側近傍に配置されていて細断後の残った茎葉Sを畝Rの左右方向(幅方向)中央側へと掻き寄せる(掻き集める)掻寄手段19と、引抜きロール18の後方に配置されていて引抜きロール18の高さ調整をするゲージ輪20と、左右の引抜きロール18で吹き上げれられた土を引き抜かれた茎葉Sと一緒に引抜きロール18の後方で且つゲージ輪20の前側に案内するガイド手段21と、これら引抜きロール18,掻寄手段19,ゲージ輪20,ガイド手段21を支持する装置フレーム22とを有する。
【0015】
掻寄手段19及び引抜きロール18は、前記入力軸12から前記伝動軸17を介して伝達される動力によって駆動される。
左右各茎葉引抜き装置3の装置フレーム22は茎葉細断装置2の装置フレーム4の後部に、上下一対のリンクからなる昇降リンク機構23を介して上下動自在に支持されている。
掻寄手段19は、細断されずに残った茎葉Sを畝Rの左右方向中央側に掻き寄せることで該茎葉Sが左右の引抜きロール18間に進入し易いようにするものであり、左右一対の掻寄せベルト24と、この掻寄せベルト24を駆動する図示省略の駆動機構とを備えている。
【0016】
左右の掻寄せベルト24は、ゴム等の弾性体によって構成され、エンドレスのベルト本体の外周に弾性変形可能な突起(タイン)を周方向に間隔をおいて設けてなり、左右の掻寄せベルト24を対向側において下側から上側に移動するように周方向に循環回走させることにより、細断されずに残った茎葉Sがタインによって畝Rの左右方向中央側に掻き寄せられるよう構成されている。
ゲージ輪20は、前端側が装置フレーム22に左右軸回りに回動自在に支持された左右一対の支持アーム25の後部間に配置されていて、該左右支持アーム25に左右軸回りに回転自在に支持されており、支持アーム25をその前端側の枢支部26を支点として上下に揺動させることによりゲージ輪20が上下動可能とされている。
【0017】
前記左右各支持アーム25の長さ方向中途部には連結部材27の一端側が枢支連結され、左右各連結部材27の他端側はそれぞれレバー部材28に枢支連結され、左右各レバー部材28の下端側は左右方向の支軸29によって連結されていると共に該支軸29の軸心回りに回動自在に装置フレーム22に支持されており、一方のレバー部材28は、該レバー部材28の先端側と装置フレーム22との間に介装された伸縮自在な高さ調整機構30によって下端側の前記支軸29回りに揺動操作可能とされ、レバー部材28を揺動操作することによりゲージ輪20の装置フレーム22に対する上下位置が調整可能とされている。
【0018】
また、ゲージ輪20は、本実施の形態では、図7に示すように、左右の輪体31間に架け渡されたゴム板材からなる筒部材32の左右方向中央側をゴム製又は布製の平ベルトによって絞めることにより、畝Rの形状に略沿うように正面視鼓状に形成されていて、引抜きロール18の後方の畝R上を転動して、装置フレーム22の後部を支持すると共に茎葉Sを引き抜いた後の畝Rを上から押さえる。
左右の引抜きロール18は、図8、図9、図12に示すように、側面視で楕円球状に形成され、表面に多数の突起33を備えている。
【0019】
この左右各引抜きロール18は、本実施の形態では、ゴム様弾性体から前後開口状の筒状(中空状)に形成されたロール本体34と、このロール本体34が取り付けられる芯体35と、前記ロール本体34に被せられていて該ロール本体34に締まり嵌め状態で外嵌固定されたゴム様弾性体からなる弾性カバー36と、この弾性カバー36の表面に設けられたゴム様弾性体からなる前記多数の突起33とから主構成されている。
芯体35は、有底円筒状の前後の取付部37F,37Rと、この前後の取付部37F,37Rを連結する筒部38と、この筒部38の後端側に連結された軸嵌合部39とから主構成され、ロール本体34内に挿入されている。
【0020】
ロール本体34は、その前後端部側が芯体35の前後の取付部37F,37Rに金属製等のバンド等によって締付け固定されることにより芯体35に取り付けられると共にロール本体34の前後端部の開口部が芯体35の前後の取付部37F,37Rによって閉塞されている。
芯体35の後側の取付部37Rには、バルブが取り付けられる空気流通孔40が形成され、そして、バルブを介して空気流通孔40からロール本体34内に圧縮空気を充填して該ロール本体34を膨らませることにより該ロール本体34が楕円球状を呈する。
【0021】
弾性カバー36は、前後開口状の筒状に形成されていて、ロール本体34内から空気を抜いた状態で該ロール本体34に被せられ、ロール本体34に弾性カバー36を被せた状態でロール本体34内に空気を充填してロール本体34を膨らませると、該弾性カバー36が伸張し、該弾性カバー36が収縮しようとする力によって該弾性カバー36がロール本体34に密着状に取付固定されている。
この弾性カバー36の前端側は、ロール本体34の前端側と共に芯体35の前側の取付部37に締め付け固定される。
【0022】
前記突起33は、本実施の形態では、該突起33を一体形成したゴム板41を弾性カバー36に貼り付けることにより弾性カバー36の表面に設けられている(なお、突起33は弾性カバー36に直接一体形成されていてもよいし、ロール本体34の表面に一体形成してもよい)。
また、突起33は、弾性カバー36(ロール本体34)からの突出方向の基端側が截頭円錐状で先端側が円柱状に形成され、ロール本体34の前後方向(軸方向)中途部の前後方向所定範囲(少なくとも茎葉挟持部分)に、ロール本体34の周方向全周に亘って設けられている。
【0023】
また、突起33は、一方の引抜きロール18の突起33の円柱部分が他方の引抜きロール18の突起33の円柱部分間に挿入される程度の間隔をおいて設けられている。
芯体35の筒部38には前方側から回転支軸42が挿入され、該回転支軸42に芯体35が取付固定されると共に、回転支軸42の後端側が芯体35の軸嵌合部39にスプライン嵌合(又はキー結合等)によって連結されていて、引抜きロール18は回転支軸42と一体回転する。
回転支軸42は、その前端側が装置フレーム22に設けられた軸支持体43に軸心回りに回転自在に支持され、前記入力軸12から前記伝動軸17を介して伝達される動力によって回転駆動される。
【0024】
左右の引抜きロール18は、左右方向において相互に押しつけられて密接状として配置され、且つ該引抜きロール18の対向側(密接側)において上動(下側から上側に移動)するように高速で回転駆動される(図12の矢示C方向に回転駆動される)。
この茎葉引抜き装置3にあっては、掻寄手段19及び左右の引抜きロール18を駆動させて、茎葉処理機1を畝Rの長手方向に沿って前進させることにより、茎葉細断装置2で細断されずに残った茎葉Sが掻寄手段19によって掻寄せられると共に引き起こされ、この掻き寄せられた茎葉Sが左右の引抜きロール18の合わせ目に相対的に進入し、該茎葉Sが左右の引抜きロール18間で挟持されて上方に引っ張られ、これにより、畝RにイモTを残したまま茎葉Sが引き抜かれるように構成されている。
【0025】
また、左右の引抜きロール18は、前上がり傾斜状(回転軸心が前方に行くに従って上方に移行する傾斜状)として畝Rに接して配置されており、畝Rの土は左右の引抜きロール18間に掻き込まれて引き抜かれた茎葉Sと共に後上方に吹き上げられるように構成されており、また、この吹き上げられた土及び茎葉Sは、ガイド手段21によって引抜きロール18後方で且つゲージ輪20の前側の畝Rの中央側に案内され、茎葉Sを引き抜いた後のイモTを被覆してイモTの露出を防ぐように構成されている。
前記構成の引抜きロール18にあっては、引抜きロール18の表面側に多数の突起33が設けられていることにより、引抜きロール18間で茎葉Sを挟持する際に茎を過度に押し潰すことなく挟むことができるので、該茎葉Sが中途部分で引き千切られることがない。
【0026】
また、多数の突起33によって茎葉Sをしっかりと挟むことができるので、潰れた茎から出る汁等によって引抜きロール18が濡れても滑りが発生し難く、茎葉Sを確実に引き抜くことができる。
前記突起33によって、茎葉Sの引抜きミスを防止でき、引抜き精度を向上させることができる。
また、潰れた茎から出る汁は、突起33間を通して下方に抜ける。
なお、突起33は図例のものに限定されることはなく、引抜きロール18間で茎葉Sを挟持する際に茎を過度に押し潰さないこと、茎が潰れて発生する汁が下方に抜けることを満たせば、板状等のように引抜きロール18表面に沿う方向にある程度の長さを有する突起33であってもよい。
【0027】
また、ロール本体34に被せられた弾性カバー36に突起33を設けることで、突起33が損傷又は摩耗したときに、引抜きロール18全体を交換しなくても弾性カバー36を取り替えるだけでよく経済的である。
また、ロール本体34内の空気を抜いた状態で弾性カバー36をロール本体34に被せ、該状態でロール本体34内に空気を充填して弾性カバー36を伸張させることにより該弾性カバー36がロール本体34に取付固定されるよう構成されているので、弾性カバー36の装着が容易であると共にロール本体34から空気を抜けば弾性カバー36の取外しが容易に行え、突起33が損傷又は摩耗したときの弾性カバー36の交換が簡単に行える。
【0028】
ガイド手段21は、図1に示すように、引抜きロール18で吹き上げられた土を受けて引抜きロール18の後方側で且つゲージ輪20の前側の畝R上面に案内する土寄せガイド44と、引抜きロール18で吹き上げられた土を土寄せガイド44に案内するガイドシュート45とから構成されている。
土寄せガイド44はゲージ輪20の上部側に配置されてゲージ輪20を支持する支持アーム25に取り付けられた取付部材46に取り付けられており、したがって、土寄せガイド44はゲージ輪20との相対位置が変わらずゲージ輪20と一体的に動くように設けられている。
【0029】
また、ガイドシュート45は引抜きロール18の上方に配置されて装置フレーム22に取り付けられており、したがって、ガイドシュート45は引抜きロール18との相対位置が変わらないように設けられている。
土寄せガイド44が取り付けられる取付部材46は、ゲージ輪20の上部側の左右両側に縦向き(実施形態では後傾状)に配置された左右の側杆部47と、ゲージ輪20の上方に左右方向に配置されていて左右の側杆部47の上端同志を連結する取付杆部48とから構成され、左右の側杆部47の下端側が、左右方向で同じ側にある支持アーム25の後端側に固定のブラケット49にボルト固定されている。
【0030】
土寄せガイド44は、図1、図7、図10、11に示すように、板材によってゲージ輪20の左右幅と略同じ左右幅に形成されており、中央壁部50と、該中央壁部50の左右側縁から左右方向外方に向けて斜め上方側に延びる左右壁部51とからゲージ輪20に沿った形状に形成されていて、ゲージ輪20の上面側に近接配置されている。
また、この土寄せガイド44は前下がり状とされて配置されていて中央壁部50が前方に向かうに従って下方に移行する傾斜状とされており、この土寄せガイド44の中央壁部50の上端側には下方に開放状のフック状に形成された被取付部52が設けられ、この被取付部52が取付部材46の取付杆部48に引っ掛けられて該取付杆部48にボルト・ナット等からなる固定具を用いて取付固定されることにより、土寄せガイド44が取付部材46に前下がり傾斜状に取り付けられている。
【0031】
また、土寄せガイド44の中央壁部50の左右幅は、下方に向かうに従って漸次幅狭となるように形成されていると共に、該中央壁部50の下端側はゲージ輪20の上部側の左右方向中央部の前端側に位置している。
したがって、この土寄せガイド44は、引抜ロールで吹き上げられてガイドシュート45によって案内される土及び茎葉Sを比較的広い範囲で受けると共に、該受け止めた土及び茎葉Sは、下方に向けて滑り落ちながら左右方向中央に集められ、イモTが露出し易い畝Rの左右方向中央部に集中的に落下する。
【0032】
ガイドシュート45は、左右引抜きロール18の左右幅よりも広い左右幅で且つ土寄せガイド44及びゲージ輪20と略同じ左右幅に形成され、左右の側壁53と前壁54と上壁55とから形成されていて下方及び後方に開放状とされており、背面開口の上部側が引抜きロール18で吹き上げられた土及び茎葉Sを土寄せガイド44へと送り出す土送出口56とされている。
前壁54は上方に向かうに従って後方に移行する傾斜状とされており、この前壁54上端と上壁55前端とのコーナー部分57は前上方に向けて凸となる側面視円弧状に形成されており、前壁54と上壁前部側部分55aとがコーナー部分57から、該コーナー部分57の円弧の接線方向に延出されている。
【0033】
前壁54の下端側には切欠き開口58が形成され、この切欠き開口58は引抜きロール18が正常に動いているか否か(引抜きロール18に茎葉Sがつまっていないかどうか)オペレータが前方側から(トラクタ側)から確認(監視)するための作動点検窓とされている。
また、上壁55は、その前部側部分55a及び後部側部分55bが後方に向かうに従って下方に移行する傾斜状とされ、且つ上下方向に対して前部側部分55aが緩傾斜で後部側部分55bが急傾斜となるように前後方向中途部で屈曲されている。
【0034】
なお、上壁55の前部側部分55aは水平状とされていてもよい。
また、上壁55の後部側部分55bは、土送出口56から送り出される土及び茎葉Sを土寄せガイド44の上部側の広い部分に案内すべく該土寄せガイド44の上部側に向けて指向している。
前記構成のガイドシュート45にあっては、引抜きロール18によって吹き上げられた土及び茎葉Sは、前壁54及びコーナー部分57の内面に沿って後方側へと移動して上壁前部側部分55aに案内され、上壁前部側部分55aから上壁後部側部分55bへと移動して土送出口56から送り出されて土寄せガイド44上へと落下する。
【0035】
このとき、コーナー部分57及び上壁前部側部分55aに沿って移動する土及び茎葉Sの移動方向に対して上壁後部側部分55bが交差する形で形成されているので、土及び茎葉Sは上壁前部側部分55aから上壁後部側部分55bへと移動する過程で移動方向の勢いが減少して土寄せガイド44へと送出するのに適した速度に失速し、他に飛び散ることなく土寄せガイド44上に確実に載る。
すなわち、吹き上げられた土及び茎葉Sを自然落下によって土寄せガイド44に落とすとすると土及び茎葉Sが広範囲に散らばる傾向となり、勢いよく土寄せガイド44に衝当させると当たった土等が飛び散ることとなるが、本実施の形態では、ガイドシュート45の上壁55の後部側部分55bが、引抜きロール18によって吹き上げられてガイドシュート45の上壁55内面側に沿って土送出口56へと移動する土の速度を適度に落として土寄せガイド44に落下させるガイド部とされているので、ガイドシュート45から送り出される土及び茎葉Sを確実に土寄せガイド44上に載せることができる。
【0036】
前記茎葉処理機1にあっては、引抜きロール18で吹き上げられた土及び茎葉Sをゲージ輪20の前側に落とすと、ゲージ輪20の高さが上がって引抜きロール18の高さも上がることとなるので、作業開始前に、このゲージ輪20の前側に落とされる土及び茎葉Sの量を考慮してゲージ輪20の高さを設定し、少し試運転をして微調整する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】引抜きロール、ガイドシュート及び土寄せガイドの配置関係を示す側面一部断面図である。
【図2】茎葉処理機の側面図である。
【図3】茎葉処理機の平面図である。
【図4】茎葉処理機の正面図である。
【図5】茎葉処理機の背面図である。
【図6】細断部の平面図である。
【図7】ゲージ輪、土寄せガイド及びガイドシュートの配置関係を示す背面図である。
【図8】引抜きロールの側面図である。
【図9】引抜きロールの側面断面図である。
【図10】土寄せガイドの正面図である。
【図11】(a)は土寄せガイドの側面図、(b)は図10のB−B線矢示断面である。
【図12】引抜きロールの茎葉引抜き状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0038】
18 引抜きロール
20 ゲージ輪
22 装置フレーム
33 突起
34 ロール本体
36 弾性カバー
44 土寄せガイド
45 ガイドシュート
50 中央壁部
51 左右壁部
55 上壁
55b 上壁後側部分(ガイド部)
56 土送出口
P ジャガイモ(作物)
R 畝
S 茎葉
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体で形成されていて左右方向で密接された一対の引抜きロール(18)を備え、畝(R)で栽培された作物(P)の茎葉(S)を左右の引抜きロール(18)間で挟持し且つ左右各引抜きロール(18)を該引抜きロール(18)の密接側において上動するように回転駆動させることにより茎葉を引き抜くようにした茎葉処理機において、
前記左右引抜きロール(18)の表面側の茎葉挟持部分に多数の突起(33)を設けたことを特徴とする茎葉処理機。
【請求項2】
引抜きロール(18)は、中空状のロール本体(34)と、このロール本体(34)に被せられた弾性カバー(36)とから構成され、弾性カバー(36)に突起(33)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の茎葉処理機。
【請求項3】
弾性カバー(36)がロール本体(34)に締まり嵌め状態で外嵌固定されていることを特徴とする請求項2に記載の茎葉処理機。
【請求項4】
ロール本体(34)内の空気を抜いた状態で弾性カバー(36)をロール本体(34)に被せ、該状態でロール本体(34)内に空気を充填して弾性カバー(36)を伸張させることにより該弾性カバー(36)がロール本体(34)に取付固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の茎葉処理機。
【請求項1】
弾性体で形成されていて左右方向で密接された一対の引抜きロール(18)を備え、畝(R)で栽培された作物(P)の茎葉(S)を左右の引抜きロール(18)間で挟持し且つ左右各引抜きロール(18)を該引抜きロール(18)の密接側において上動するように回転駆動させることにより茎葉を引き抜くようにした茎葉処理機において、
前記左右引抜きロール(18)の表面側の茎葉挟持部分に多数の突起(33)を設けたことを特徴とする茎葉処理機。
【請求項2】
引抜きロール(18)は、中空状のロール本体(34)と、このロール本体(34)に被せられた弾性カバー(36)とから構成され、弾性カバー(36)に突起(33)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の茎葉処理機。
【請求項3】
弾性カバー(36)がロール本体(34)に締まり嵌め状態で外嵌固定されていることを特徴とする請求項2に記載の茎葉処理機。
【請求項4】
ロール本体(34)内の空気を抜いた状態で弾性カバー(36)をロール本体(34)に被せ、該状態でロール本体(34)内に空気を充填して弾性カバー(36)を伸張させることにより該弾性カバー(36)がロール本体(34)に取付固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の茎葉処理機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−228619(P2008−228619A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70766(P2007−70766)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【出願人】(507089078)北海道ニプロ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【出願人】(507089078)北海道ニプロ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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