説明

茸菌駒の整列装置

【課題】 上端面と下端面の直径が異なる載頭円錐形茸菌駒を同一形状に整列させることを課題とする。
【解決手段】
上上端面と下端面の直径を異にする茸菌駒を収容した案内筒の下部に整列室を連結し、該連結室に前記案内筒から落下する茸菌駒の回転用の案内片を取り付け、前記案内片に対向して茸菌駒を支持する案内板を小間隙で対向設置し、前記案内板の下部に、前記茸菌駒を支持する案内路を横設し、該案内路に茸菌駒の移動手段を組み合わせたことを特徴とする茸菌駒の整列装置により上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、茸栽培用原木の適所に穿孔し、この孔に茸菌駒を自動的にセットする装置において、セットすべき茸菌駒を整列させることを目的とした茸菌駒の整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、茸菌駒のセットについては、原木へドリルにより穿孔し、この孔へ茸菌駒を手動でセットし、又は自動機により機械でセットすることが知られている。
【0003】
また、茸菌駒の形状は、上下対称形、非対称形など各種ある。前記において、手動セットについては、茸菌駒の整列の良否は問題がない。然し機械セットについては、茸菌駒を揃える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−91604号公報
【特許文献2】特開平7−155057号公報
【特許文献3】特開2001−204249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来茸菌駒をセットするには、原木の所定位置にドリルで穿孔し、該孔に手動で茸菌駒を入れていたので、茸菌駒の上下面の寸法が異なっていても問題はなかった(特許文献1、2)。
【0006】
近年茸菌駒を自動でセットすべく、自動穿孔装置などの提案もある(特許文献3)。前記のように、茸菌駒を自動でセットするには、セットすべき茸菌駒の上下を同一方向に向けて整列させなければならないが、整列させるために複雑な装置を必要とする問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、茸菌駒の供給路に、上下面の寸法の異なる駒を反転させるべく、案内片を設けることにより茸菌駒の自動整列を可能にし、前記問題点を解決したのである。
【0008】
従来、茸菌駒の形状には、上下面等径のものもあるが、茸菌駒の植え付けのためにドリル穿孔するので、孔は口部も深部も等径である。そこで、茸菌駒を緊密に嵌入設置するには、茸菌駒の頭部を、先端部より若干大径(例えば長さ18mm、先端面の直径10mm、後端面の直径16mmの円錐形)となっている。
【0009】
そこで、ドリル孔を直径10mmとすれば、茸菌駒が逆転していると、これを打ち込むことが困難になるので、茸菌駒は打設時に、小径の先端側を下にして並列させなければならない。一方、茸菌駒は、ホッパーへ供給され、自動機を介して一列に整列させられるので、茸菌駒の同一方向に整列させることについては規制できない。そこで、一列に整列した茸菌駒は、上下が無作為に並べられ、大径端が上を向いたり下を向いたりしていることになる。
【0010】
然して無作為に並べられた茸菌駒の上下は規制されていないために、上下まちまちとなっており、自動駒打装置へそのまま供給すると自動駒打できないことがある。そこでこの発明のような自動整列装置が必要になる。
【0011】
この発明は、上部直径が下部直径より大径の円錐形茸菌駒に適用される。この発明は、茸菌駒の通路にその大径頭部を支持し、茸菌駒を反転させる案内片を設け、該部を通過する逆転姿勢の茸菌駒を回転させ、正常姿勢の茸菌駒をそのまま通過させるようにして、茸菌駒の自動整列を実現したのである。
【0012】
即ち、請求項1の発明は、上端面と下端面の直径を異にする茸菌駒を無作為に収容した案内筒の下部に、前記茸菌駒回転用の案内片を片持ち状に取り付け、前記案内片に対向して茸菌駒を支持する案内板を小間隙で対向設置し、前記案内板の下部に、前記茸菌駒を支持する案内路を横設し、前記案内路へ茸菌駒を移動させる杆体を設けたことを特徴とする茸菌駒の整列装置である。
【0013】
請求項2の発明は、茸菌駒を移動させる杆体の移動は、駒孔の穿孔ドリルの昇降と連動させることを特徴とした請求項1記載の茸菌駒の整列装置である。
【0014】
請求項3の発明は、茸菌駒を案内筒へ送り込む移送シリンダの押し片は、駒孔の穿孔ドリルの昇降と連動させたことを特徴とする請求項1記載の茸菌駒の整列装置である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、正しい姿勢でない茸菌駒が自動回転して正しい姿勢に戻るので、何等の動力又はセンサーを用いることなく、茸菌駒を整列させることができる効果がある。
【0016】
また、茸菌駒の通路に設けた案内片により、所定の茸菌駒のみ回転させるので、動作が単純で正確に作用すると共に、故障を生じるおそれがない効果がある。
【0017】
さらに、茸菌駒の回転に対して何らの動力を使用していないので、ランニングコストは0であり、動作も正確で故障のおそれがない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)この発明の実施例の一部を断面した説明図、(b)同じく図1中A−A断面図、(c)同じく図1中B−B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明は、多数の茸菌駒を上下無作為に収容するホッパーの下部に、茸菌駒を横方向へ移動する移動装置を設け、該移動装置の先端側に、茸菌駒の垂直落下管を設け、該垂直落下管の下部に整列室を連設し、該連設室に、大径部を下にした茸菌駒を180度回転させる案内片を設けると共に、該案内片の先端側へ茸菌駒が180度回転するのに必要なスペース及び案内板を設けたものである。
【0020】
前記において、大径側を下にした茸菌駒は下降して、大径側が案内片に当接して回転する。ついで茸菌駒は、大径側周縁の一部が案内板に支持されているが、他部はフリーであるから、必然的に支持部を中心にして回転しつつ下降する。そこで、案内板の端部に達した場合に、茸菌駒は小径側が真下になったまま案内板に支えられ、そのまま押されて整列管内に大径側を上にした状態で整列される。
【0021】
前記の自動動作を円滑にするためには、案内片の角度と長さを定める。前記案内片は上部を固定した片持状であって、茸菌駒を案内板側へ移動させる。
【0022】
前記案内片の角度θは10度〜20度位であり、茸菌駒を受け止め、これを回転させる効果がある。
【0023】
前記において、茸菌駒の回転が不十分の際は、例えば茸菌駒が横向き(大径側と小径側が横向き)になるので、これを避けるべく案内片と案内板の間隔に留意しなければならない。
【実施例1】
【0024】
この発明の実施例を図1に基づいて説明する。この発明の装置は、ドリルによる自動穿孔装置に取り付けられている。そこで、茸菌駒1を収容するホッパー2の下部に茸菌駒1の移送シリンダー3を横設接続し、押出ピストン付の移送シリンダー3の先端下部に、茸菌駒1の案内筒4を縦に接続する。
【0025】
案内筒4の下部に整列室6の一側を連結し、案内筒4の下方であって、整列室6の一側に案内片5を斜設する。案内片5は案内筒4から落下する茸菌駒1を案内し、前記茸菌駒中、大径端面を下にして下降する茸菌駒1aを回転させる。
【0026】
茸菌駒1の大径端面の一側が案内片に当接すると、茸菌駒は矢示7のように回転しつつ矢示8の方向へ移動し、案内板9に案内されて正常姿勢(大径端面が上になる)になって下降する。そして、案内板9の下部に横設した案内路10に支持される。
【0027】
案内路10は、上端間隔を広くし、下端間隔を狭くしたテーパー案内板10a、10bを並列設置して構成し、前記テーパーは茸菌駒の側壁のテーパーに合わせてある。従って、案内路10に入った茸菌駒1は図1(c)のように支持され、矢示14の方向へ移動できる。
【0028】
前記において、案内板9a、9bは、自由端(案内片5と遠い側)の間隔を狭くしている。この間隔は、茸菌駒の大径端面の直径より小さく、小径端面の直径より大きく構成されている。
【0029】
そこで、案内片5に当たって落下する茸菌駒が、案内板9a、9b側へ移動すると、まず大径端面側が案内板9a、9bに挟着支持されるが、小径端面側は支持されてないので、自動的に回転し、小径端面側が下を向いた時に停止する(最も安定した姿勢)。この場合に、大径端面側は支持されているので、小径端面側が下になるまで自動的に回転し、前記のように安定して支持される。
【0030】
また、茸菌駒1の駒孔を設けるためにドリルにより穿孔するが、そのドリルの下降動作を利用してレバー11を矢示12のように下圧すると、レバー11と連動する杆体13が矢示28のように回動することにより、茸菌駒1を矢示14のように移動させ、茸菌駒1を整列筒27へ収容する。整列筒27内の茸菌駒は正しく整列されている。
【0031】
前記のように、この発明によれば、茸菌駒を自動整列し、自動駒植機の操作に対応するものである。
【0032】
次に、ドリル(非図示)の下降につれて、カムロール15が矢示17の方向へ下降し、カム板16が矢示18の方向へ回転すると、カム板16の自由端に取り付けたロッド19が矢示20の方向へ後退するので、ロッド19の先端側に固定した押し片21も後退し、ホッパー2の下部と移送シリンダー3とが連通し、茸菌駒が移送シリンダー3内へ入る。
【0033】
次に、カムロール15が矢示22の方向へ上昇すると、カム板16はスプリング23により矢示24の方向へ移動するので、押し片21が矢示25の方向へ移動して茸菌駒を案内筒4内へ落下させる。前記のようにして、ドリルの昇降毎に茸菌駒1を1個宛送り、この装置はドリルの昇降につれて正確に動作する。図中26は杆体13の復帰スプリングである。
【0034】
前記のように、この発明によれば、案内片及び案内板を茸菌駒の回転できるスペースに設けることにより、自動的に整列できるので、きわめて簡単な装置によって容易かつ確実に茸菌駒を整列させることができる。
【0035】
前記において、正常姿勢の茸菌駒は、下部が小径であるから、案内片の自由端に案内され、そのまま自由落下することができる。
【0036】
前記において、茸菌駒の寸法は、高さ(長さ)が大きく、上部大径部の直径は高さより小さいので、これを考慮して案内筒の直径を定めれば茸菌駒の回転過多によるトラブルを生じるおそれはない。
【0037】
前記案内路10に沿って移動した茸菌駒は案内路10から整列筒27に入り整列するので、整列筒27の下部から取り出される茸菌駒の上下面は正確に同一方向を保っており、駒打ちの自動機に耐えられる。
【符号の説明】
【0038】
1 茸菌駒
2 ホッパー
3 移送シリンダー
4 案内筒
5 案内片
6 整列室
9 案内板
10 案内路
11 レバー
13 杆体
15 カムロール
16 カム板
19 ロッド
21 押し片
27 整列筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端面と下端面の直径を異にする茸菌駒を収容した案内筒であって、自動穿孔ドリル装置に固定されており、前記案内筒の下部に整列室を連結し、該整列室に前記案内筒から落下する茸菌駒の回転用の案内片を取り付け、前記案内片に対向して茸菌駒を支持する案内板を小間隙で対向設置し、前記案内板の下部に、前記茸菌駒を支持する案内路を横設し、該案内路に茸菌駒の移動手段を組み合わせたことを特徴とする茸菌駒の整列装置。
【請求項2】
茸菌駒の移動手段は、茸菌駒を押す杆体とし、該杆体はドリルの昇降と連動させることを特徴とした請求項1記載の茸菌駒の整列装置。
【請求項3】
茸菌駒を案内筒へ送り込む移送シリンダの押し片は、駒孔の穿孔ドリルの昇降と連動させたことを特徴とする請求項1記載の茸菌駒の整列装置。
【請求項4】
案内杆と対向する二枚の案内板とは、共同して茸菌駒を回転させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の茸菌駒の整列装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−17460(P2013−17460A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155899(P2011−155899)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(508226148)
【Fターム(参考)】