説明

荷受台昇降装置

【目的】所望の面積の反射板を取り付け可能で、荷受台との干渉も回避する荷受台昇降装置を提供する。
【構成】荷受台基部と、当該荷受台基部に対してその幅方向に配された一対のヒンジを介して折り畳み及び展開可能な荷受台先部と、荷受台先部の底面で前後方向に延伸配置されて荷受台先部を支持する補強部と、荷受台基部に対して支持ピンを介して上下方向に回動自在に支持される取付ステーと、支持ピンと前記取付ステーとの間に介装されて取付ステーを上方向に付勢するばね部材とを有する。荷受台先部には、展開の際に取付ステーを押圧して下方向に回動させる押圧部が設けられ、取付ステーは押圧部の一部と支持ピンによって、展開された荷受台先部の下方で車両後方側に向かって上側に傾斜した倒伏姿勢で支持されるとともに、先端部が荷受台先部の側方から見て補強材との重畳位置に配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台下方で折り畳まれた状態の荷受台に対して、反射板を取り付けるための取り付けステーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に架装されて荷物の積み下ろしに利用される荷受台昇降装置に、荷受台が折り畳まれて荷台下方で格納状態(車両走行可能状態)となるものがある。この荷受台昇降装置では、折り畳まれた荷受台の後面部が後突防止部材(バンパ)としても用いられ、車両走行時における安全性を確保するために、その後面に反射板が取り付けられることが多い。
【0003】
反射板が取り付けられる後面部は、荷受台基部に対して荷受台先部が折り畳まれてなる部分であり、荷受台の展開時には荷受台基部及び荷受台先部の両端面が互いに近接対向する。そこで、特許文献1に係る荷受台昇降装置では、表面に反射板を取り付けた取付ステーを荷受台の折り畳み時に起立させ、反射板と荷受台先部の端面とが干渉しないように展開時に荷受台下方に倒伏する構成が記載されている。取付ステーは、荷受台基部の下端の支持ピンを中心に回動自在となっており、トーションバーによって起立方向に付勢されている。
【0004】
その他にも、特許文献2に係る荷受台昇降装置のように、荷受台先部が荷受台基部と干渉しない程度に隙間を有した状態で展開され、反射板が取り付けられて荷受台基部の端面には固定された取付ステーが記載されている。この取付ステーの上部は展開時の隙間を埋めるため厚肉加工されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−137271号公報
【特許文献2】特開2009−101725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
荷受台が折り畳まれた際、後方に反射板が露出することで後方からの視認が可能となるが、安全性を向上させるために反射板を拡大させる上で、上記のような取付ステーでは以下の点で改善の余地がある。
【0007】
特許文献1に係る取付ステーは、荷受台の折り畳みに伴って起立し、荷受台の展開に伴って水平に倒伏する点に特徴があるが、起立及び倒伏の作動に着目するだけでは荷受台に対して取付ステーの拡大を行うことはできない。例えば、荷受台には折り畳み及び展開に寄与する一対のヒンジが荷受台の幅方向に並んで配されているので、取付ステーの幅方向の長さの拡大が規制される。また、取付ステーの下端部を延出させると、起立時に荷受台よりも下側に突出し、ディパーチャアングルの点で好ましくない。さらに、取付ステーの上端部を延出させると、荷受台に対して荷物の積み下ろしを行う際に荷受台は先端側が下側に傾斜した姿勢となるので延出した部分が地面に接触する恐れがある。
【0008】
特許文献2に係る取付ステーに関しては、荷受台基部に固定されるために取付ステーの面積は荷受台基部の端部の面積によって制限される。具体的には、取付ステーの上端は荷受台基部の荷物載置面から突出しないようにしなければならず、下端が荷受台基部から延出すると、荷受台と地面との距離が小さくなり、ディパーチャアングルも小さくなる。また、荷受台は展開された状態で車両前方から後方に向けて厚みが小さくなる構成が多い。折り畳み位置が車両前方側であるほど、取付ステーの面積を大きくすることができるが、車両後方側であれば所定の面積とならない恐れがある。さらには、荷受台の構成で薄膜化が採択されると、所定の面積の取付ステーを用いることが困難となる。
【0009】
本発明は、これらの点を鑑みてなされており、所望の面積の反射板を取り付け可能で、荷受台との干渉も回避することができる荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では以下の手段を用いて上記課題を解決することができる。
【0011】
荷受台基部と、当該荷受台基部に対してその幅方向に配された一対のヒンジを介して折り畳み及び展開可能な荷受台先部と、前記荷受台先部の底面で前後方向に延伸配置されて荷受台先部を支持する補強部と、前記荷受台基部に対して支持ピンを介して上下方向に回動自在に支持される取付ステーと、前記支持ピンと前記取付ステーとの間に介装されて前記取付ステーを上方向に回動付勢するばね部材とを有しており、前記荷受台先部には、その展開の際に前記取付ステーを押圧して下方向に回動させる押圧部が設けられ、前記取付ステーは、前記押圧部の一部と前記支持ピンによって、展開された前記荷受台先部の下方で車両後方側に対して上側に傾斜した倒伏姿勢で支持されるとともに、先端部が前記荷受台先部の側方から見て前記補強材に重畳した位置に配される構成の荷受台昇降装置とする。
【0012】
この場合、さらに次の構成にすることが望ましい。前記荷受台先部が展開された際、前記補強部はその底面が後方に向かって上側に傾斜し、さらに前記押圧部の一部は前記支持ピンよりも上側に設けられており、前記押圧部の一部は、前記支持ピンに対して前記補強部の底面の傾斜角度と略一致する角度で傾斜した位置に設けられている構成とする。
【0013】
傾斜角度が略一致することで、例えば起立状態の取付ステーの上端を延出させても側方から見て補強部と重畳する状態は変わらない。したがって、取付ステーの面積を拡大しても荷受台先部の展開時に倒伏姿勢となるとともに地面との接触を回避することができる。
【0014】
また、前記荷受台基部には、その後端部のうち前記一対のヒンジより外側部分に前記取付ステーが取り付けられており、前記ばね部材は、前記支持ピンに巻き付けられてなる構成とすることがさらに望ましい。一対のヒンジより外側部分は中央部分よりも幅狭い領域となるため、トーションバー等では適切な回動付勢力を取付ステーに与えることができないためである。つまり、ばね部材を設けることで、取付ステーを車両幅方向に配置することができ、取付ステーに取り付けられる反射板の視認可能な領域を拡大することができる。
【0015】
さらに、前記支持ピンにおいて、前記ばね部材が巻き付けられた部分は、他の部分よりも細径化されてなる構成とすることが望ましい。当該「他の部分」には、一対のヒンジの外側部分に配される取付ステーを支持する支持ピンだけでなく、中央に配された取付ステーを支持する支持ピンも含まれる。巻き付けられてなる「ばね部材」の外形寸法が大きくなることを防ぎ、荷受台先部の展開状態における地面との接触を回避するためである。
【0016】
なお、前記荷受台先部には、前記一対のヒンジ側の端部において幅方向に延伸する筒状体が設けられており、前記押圧部は前記筒状体に設けられている構成としても良い。例えば、筒状体が配される領域には荷受台先部の回動を付勢するばね部材等が別に配されている場合などがあり、筒状体によってこのばね部材を被覆して雨水等の影響による経年劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のように、ばね部材で上方向に回動するように付勢された取付ステーを荷受台先部の展開とともにその下方で倒伏姿勢とした際に、取付ステーの姿勢が車両後方に向かって斜め上方に傾斜し、さらに先端が補強部と重畳した位置となっていれば、取付ステーが荷受台先部の側方から見て補強部から突出することがない。補強部は荷受台先部が接地するときに地面と当接して支持するため、取付ステーは地面と荷受台との間の隙間に入った状態となり地面に接触しない。特に、取付ステーは支持ピンと押圧部で支持される部位とで倒伏姿勢が支持されるので、先端部が補強部から突出しなければ、取付ステーの中で補強部から突出する部位はない。さらに、取付ステーに取り付けられる反射板を拡大するために、先端部を延出させても補強部と先端部が重畳するように設定されている限りは突出することはない。
【0018】
また、車両幅方向に反射板の面積を拡大するために、一対のヒンジの外側に取付ステーを新たに設ける際には、支持ピンに巻き付けられた巻きばねを介して取付ステーに起立方向への付勢力が生じる構成とすることで、幅狭い領域となる荷受台の端部に取付ステーをコンパクトに配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る折り畳まれた状態の荷受台の後面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る取付ステーの取り付け部分を示す荷受台の要部側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る荷受台の展開動作を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態の一例について図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、車両の後方で昇降する荷受台昇降装置100の側面図である。荷受台昇降装置100は、荷台1を支持するシャシフレーム2に対してスライド部材3が車両前後方向(図中では左右方向)にスライド可能に設けられ、リンク機構4の一端側がスライド部材3に設けられ、リンク機構4の他端側に荷受台5が支持されてなる。
【0022】
図1(a)のように、シャシフレーム2の後端位置にスライド部材3がスライドしている。このとき、荷受台5は上面が水平で、リンク機構4によって昇降可能な作業状態となっている。
【0023】
左右のスライド部材3はシャシフレーム2にそれぞれ取り付けられており、同調してスライドレール6をスライドするように連結メンバ(不図示)によって連結されている。スライド部材3をスライドさせる手段としてスライドシリンダ8が用いられている。
【0024】
リンク機構4は、第1支持ブラケット41に連結軸4aを介して軸支されたチルトアーム42を備えている。このチルトアーム42上側には、リフトアーム43の基端がチルトアーム42と第1支持ブラケット41を介して支持部材44に連結されている。なお、リフトアーム43の先端には荷受台5が回動自在に連結されている。
リフトアーム43の下方にはリフトシリンダ45が配置され、その一端がチルトアーム42に、他端がリフトアーム43に枢支されている。
【0025】
荷受台5は、荷受台基部51、荷受台先部52、荷物積込部53とを有し、荷受台基部51はリフトアーム43に支持され、荷受台先部52は荷受台基部51に対して折り畳み可能であり、荷物積込部53は荷受台先部52に対して折り畳み可能(3つ折り可能)に構成されている。荷受台昇降装置100を利用しないときは、荷受台5は上述のとおり折り畳まれ、スライド部材3を車両前方にスライドさせることで、荷台1下方で格納状態(車両走行可能状態)となる。
【0026】
荷受台5を地面から荷台1下方に格納する作動手順は、先ず図1(a)の状態から荷物積込部53を荷受台先部52に折り畳み、さらに荷受台先部52をガイドローラ(不図示)に立て掛ける。その後、リンク機構4に設けられた昇降用のリフトシリンダ45を用いて図1(b)の一点鎖線部で示す状態(スライド可能状態)とし、車両前方にスライドさせると実線で示す格納状態となる。このとき、荷受台基部51と荷受台先部52の後部が車両の後突防止部材(バンパ)となる。上記の後部には起立した取付ステー9が設けられており、取付ステー9の表面に反射板が取り付けられている。
次に、図2を用いて、荷受台5に取り付けられた取付ステー9の構成を説明する。
【0027】
図2(a)は、車両後方から見た格納状態の荷受台5の後面図である。取付ステー9は、車両幅方向(図面左右方向)に沿って荷受台5に取り付けられた左側取付ステー91と、中央取付ステー92と、右側取付ステー93とで構成されている。それぞれの取付ステー91、92、93の間には、左右一対のヒンジ54が設けられている。取付ステー91、92、93のそれぞれには車両後方から視認できる反射板91a、92a、93aが取り付けられている。なお、荷受台先部52は、このヒンジ54によって荷受台基部51に対して折り畳み及び展開可能となっている。
【0028】
一対のヒンジ54は、車両幅方向においてシャシフレーム2(図1(a)参照)の外側に位置している。このため、一対のヒンジ54で挟まれて中央取付ステー92が配される中央領域は幅広く形成されてなる。一方、一対のヒンジ54の外側で左側取付ステー91や右側取付ステー93が配される外側領域は中央領域と比較して幅狭く形成されてなる。したがって、3つの取付ステー91、92、93は高さ方向(図面上下方向)の長さは略同じ長さを有しているが、左側取付ステー91と右側取付ステー93とは中央取付ステー92と比較するとその長さは小さく、コンパクト化されている。
【0029】
荷受台基部51及び荷受台先部52のそれぞれの裏面(地面と対向する面)には、一対のヒンジ54が設けられている部分を覆うように車両前後方向に延びる補強部71、72が配されている。補強部71、72は、荷受台先部52が展開された状態において、側方からみて略三角形状を有する。つまり、荷物積込部53(図1(a)参照)が接地するように荷受台5の先端側が下側に傾斜すると、補強材71、72の底面が接地するように構成されている。この補強部71、72によって、車両前後方向に沿った荷受台5の撓み等を防止することができる。
【0030】
中央取付ステー92は、図2(a)の一点鎖線部分を拡大した図2(b)で示すように、荷受台基部51の下端部に配された支持ピン55bで上下方向に回動可能に支持されている。支持ピン55bはブラケット56bを介して荷受台先部51の後端部における下端縁に取り付けられている。さらに、支持ピン55bと取付ステー92との間には、トーションバー57bが介装されている。このトーションバー57bは車両幅方向に延伸しており、一端が支持ピン55bに連結され、他端は支持ブラケット92bに内挿されている。支持ブラケット92bは凹状に折り曲げ加工されて中央取付ステー92に固定されており、トーションバー57bの他端は、この凹部内に挿入されている。図示するように、折り畳まれた荷受台5の後面に対して起立状態の中央取付ステー92が、車両後方側(図面手前側)に倒れた状態に回動されるとトーションバー57bの途中部に捩れが生じるので、この捩れの反力によって中央取付ステー92に起立状態への付勢力を発生させる。
【0031】
左側取付ステー91と右側取付ステー93との構成は同じ構成を有するため、左側取付ステー91を代表例として説明する。左側取付ステー91は、荷受台基部51の下端部に配された支持ピン55aで車両後方側に回動可能に支持されている。左側取付ステー91は、上述のとおり、中央取付ステー92よりも幅狭く、左右両端に配されている支持ピン55aも互いに近接している。これらの支持ピン55aの外周には巻きばね57aが巻き付けられている。巻きばね57aが配されていることで、幅狭い領域に取り付けられた左側取付ステー91にも中央取付ステー92と同様に起立状態(図2(a)の状態)となる方向に回動付勢力を与えることができる。
【0032】
巻きばね57aは、1本の金属線で形成されており、支持ピン55aの要部拡大図となる図2(c)に示すとおり、左右一対の支持ピン55aのうちで互いに向き合う先端側に架設されている。巻きばね57aは、一端部571a及び他端部572aと、その一端部571a及び他端部572aから所定長さだけ離れて支持ピン55aに巻回された2つの巻回部573aと、金属線の中央部分で折り曲げられた折曲部574aとを有している。巻きばね57aの一端部571a及び他端部572aは、左側取付ステー91に配された取付ブラケット91cと左側取付ステー91との間に挿通されている。この取付ブラケット91cは、ボルト91bによって固定される左側取付ステー91と荷受台基部51との間に介装されており、車両後方側に巻きばね57aの一端部571a及び他端部572aが回転することを規制している。巻きばね57aのうちの折曲部574aは、左右一対の取付ブラケット91cの間の中間部分で左側取付ステー91に取り付けられた支持ブラケット91dに支持されている。この支持ブラケット91dは凹部形状に折り曲げ加工されてなり、巻きばね57aの折曲部574aはその凹部に内挿されている。巻回部573aは、支持ピン55aで細径化(外径d1)された先端側に配され、それ以外の部分が外径d2と拡径化されていることで巻きばね57aのスライドを規制している。なお、この巻きばね57aは図2(a)のように起立状態のときにも既に左側取付ステー91が車両前方に回動付勢されるように予め設定されており、端部571a、572aや折曲部574aは荷受台基部51側に当接した状態となっている。
【0033】
また、巻きばね57aは、2本の支持ピン55a同士の中間部における鉛直線(仮想線)Lcを中心に左右対称に配されている。左右対称に配された巻きばね57aとすることで、左側取付ステー91が起立状態から車両後方側に倒れる方向に回動することに伴って、巻きばね57aの一端部571a、他端部572a、折曲部574aが回転規制された状態で固定支持され、巻回部573aに左側取り付けステー91を起立状態に付勢する付勢力が生じる。本実施形態のように巻きばね57aが1本の金属線からなる構成とすることで、巻きばね57aを2つの支持ピン55aに配する向きを判断し易く、作業者が誤認することを防止でき、巻きばね57aの取り付け作業を簡易かつ迅速に行うことができる。なお、巻きばね57aは1本の金属線からなる構成としているが、起立状態への付勢力を発生する形態であれば、2本の金属線からなる2つの巻きばねを形成し、それぞれの巻きばねを2つの支持ピン55aに巻きつけるようにしても良い。
【0034】
起立状態の左側取付ステー91は、図3(a)の要部側面図に示すように、車両前方面に設けられた弾性材からなるパッドが荷受台基部51及び荷受台先部52の後端部に当接した状態で支持されている。本実施形態では、荷受台先部52が荷受台基部51に対して折り畳まれたときに両方の後端部が鉛直方向に揃っているので、パッドが両方の後端部に当接しているが、一方の後端部が他方の後端部に対して前後方向にずれている場合には、後方に位置する後端部のみに当接した状態でも良い。なお、巻きばね57aは左側取付ステー91が起立状態のときにも図中左側に回動するように付勢力が生じるように設定されているため、左取付ステー91が車両後方に倒れることがない。
【0035】
パッド910は、荷受台先部52との当接部位5201から所定距離だけ延出する大きさ、具体的にはパッド910の上端部910aが荷受台先部52の下端部から高さPhだけ延出する大きさに設定されている。荷受台基部51と荷受台先部52との間には、図示のとおり隙間部分(鉛直方向に沿って距離Dhだけ離れている)S1が形成されており、距離Dhが多少大きくなっても荷受台先部52との当接部位を確保するためである。
【0036】
また、荷受台先部52には基端部側(X方向側)の端部に作業者のステップ面として機能するカバー部材521が配されており、パッド910及び左側取付ステー910の高さは、カバー部材521の高さChを超える位置には達しないように構成されている。高さChを超えると、作業者がステップ面521aに足を掛けることが困難となるためである。ただし、カバー部材521をステップ面として利用しない場合には、左側取付ステー910の高さがカバー部材の高さChを超えるように設定しても構わない。
【0037】
荷受台先部52が展開されると、左側取付ステー91は図3(b)のように倒伏状態となる。このとき、巻きばね57aによる付勢力に抗して左側取付ステー91の倒伏状態を維持するためにパッド910を押圧している押圧部はステップ面521aにおける部位5202となる。この押圧部5202と、支持ピン55aによって左側取付ステー91は図示のとおり車両後方側に向かって上側となる斜め後方(図中の矢印R方向)に延びた姿勢に支持されている。当該姿勢は、支持ピン55aと当接部位5202との相対位置によって設定され、例えばカバー部材521の高さChを小さくすると、さらに斜め上方に傾斜した姿勢となる。
【0038】
本実施形態では、上述のとおり、左側取付ステー91を支持する支持ピン55aは、外形d1の細径化されてなる部分を有する(図2(c)参照)。巻きばね57aの巻回部573aは、この細径化されてなる部分に巻き付けられている。支持ピン55aに細径化部分が設けられていることで、支持ピン55aの中心軸と左側取付ステー91との距離D1(図3(a)参照)の拡大を防止することができる。当該距離D1が拡大されると、図3(b)のように左側取付ステー91が倒伏姿勢となった際、地面との距離が近くなってしまい、地面と接触する恐れがあるが、本実施形態のように支持ピン55aを細径化することで、巻きばね57aの巻回部573aの外形寸法の拡大を抑制することができる。その結果、巻きばね57aを被覆するように折り曲げ加工されてなる左側取付ステー91との距離D1の拡大も抑制することができる。なお、細径化されていない部分(例えば、外径d2部分)は、中央取付ステー92を支持する支持ピン55b(図2(b)参照)とる悪同一の外径に設定されている。同じ大きさに設定することで、中央取付ステー92と左側取付ステー91とが起立状態や倒伏状態でも側方から見て同じ位置で重なるように配される。
【0039】
また、本実施形態では、左側取付ステー91は起立方向に常時付勢されているので、支持ピン55aとパッド910を押圧する各押圧部とで安定して支持される。つまり、カバー部材521を跨ぐように、左側取付ステー91と荷受台先部52の裏面との間に連結支持部材を配することがないので、折り畳まれた荷受台5の上側のスペースを有効活用できる。
【0040】
次に、荷受台5の展開動作に伴う左側取付ステー91の回動動作について図4を用いて説明する。なお、図3では説明の便宜上荷受台5の裏面に配される左右一対の補強材58を省略していたが、図4では左側取付ステー91の配設位置を具体的に説明するために、
表示している。
【0041】
図4(a)のように折り畳まれた荷受台5に対して矢印A1の方向に付勢されて起立状態の左側取付ステー91を、手動で荷受台先部52を図4(b)のように展開させる。荷受台先部52が展開すると、カバー部材521が回動し、その後端面がパッド910を押圧して矢印の方向に回動させる。このとき、荷受台先部52はヒンジ54を介して荷受台基部51に対して展開される。ヒンジ54は、両端部に2つのヒンジピン54a、54bを備えており、ヒンジピン54aが荷受台基部51の基端に、ヒンジピン54bが荷受台先部52の基端に連結されている。
【0042】
図4(c)のように荷受台先部52の展開角度が大きくなると、カバー部材521の上側角部521bがパッド910の押圧部となる。さらに展開させると、荷受台先部52が図4(d)のように垂直に起立する。このとき、ヒンジピン54a、54bが水平に並び、カバー部材521の角部521bでパッド910が押圧された状態となる。
【0043】
荷受台先部52をさらに展開すると、図4(e)のようにカバー部材521の角部521bがパッド910を摺動するように支持ピン55a側に移動しながらパッド910を押圧する。さらに図4(f)のように荷受台先部52が水平状態となるまで展開させると、ステップ面521aのうちの別の角部521cがパッド910との当接部位となる。左側取付ステー91は荷受台先部52の下方で倒伏した状態となる。このとき、パッドの上端部910aが支持ピン55aより高い位置となるように支持される。さらに、図示のとおり荷受台先部52の側方から見ると、左側取付ステー91は車両後方側に向かって上側に傾斜して補強部7に重畳する姿勢となっている。具体的には、支持ピン55aと展開された状態においてパッド910を押圧する押圧部521cとを結ぶ直線の傾斜角度(矢印A3)が、補強部の底面7の傾斜角度(矢印A4)と略一致するように、支持ピン55aの位置と、カバー部材521の大きさが設定されている。互いの傾斜角度(矢印A3、A4)が略一致すれば、反射板を拡大すべく左側取付ステー91の上端を延ばしたとしても、補強部7から左側取付ステー91が車両後方側に突出する(例えば、図4(f)の一点鎖線部)ことがないので望ましい。このように、左側取付ステー91が側方から見て補強部7の領域内で重畳して配された状態であれば、左側取付ステー91は地面と接触することはなく損傷等が生じない。
【0044】
特にばね部材57a、57bで取付ステー91、92が付勢される構成では、荷受台先部52の折り畳み及び展開の操作だけで簡易に取付ステー91、92を起立姿勢及び倒伏姿勢にすることができる一方で、本実施形態のようにその倒伏姿勢の際の傾斜角度を設定する構成とすることで、荷受台5の構成や取付ステー91、92の取り付けの変更を行うことなく、取付ステー91、92、93の拡大等を実現し、コスト増加を抑制することができる。
【0045】
荷受台先部52が展開された状態における押圧部521cの位置に関しては、カバー部材521の高さChが、荷受台基部51の表面から支持ピン55aまでの距離Ldより小さくして押圧部521cまでの水平距離を長くするようにしても良い。また、カバー部材521の高さChと距離Ldとを略一致させてステップ面521aが水平方向に対して車両後方側が上側となるように傾斜面としても良い。巻きばね57aによって左側取付ステー91には上方向に回動するように安定した付勢力が生じているためである。
【0046】
左側取付ステー91に対する付勢力に関しては、幅狭い領域であるため、端部では一定の長さで幅方向に延伸するトーションバーを用いることはできないこと、また、幅狭い領域に合わせてトーションバーを短尺化すると強度が弱くなること、さらに、細径化すると所望の付勢力を得ることができないこと等から、上述した巻きばね57aが適している。これにより、中央取付ステー92に加えて左側取付ステー91と右側取付ステー93とを配することができ、車両後方への反射板の取り付け面積の拡大に貢献している。
【0047】
左側取付ステー91を用いてその回動動作を説明したが、支持ピンの構成やばね部材の違いを除いては中央取付ステー92、右側取付ステー93も同様の構成を有し、同様の動作が行われる。
【0048】
本実施形態に係る荷受台昇降装置100は上記のような構成としたが、折り畳まれた荷受台5の後端面に取り付けられる反射板を拡大することに寄与する構成であれば、これらの構成に限定されない。
【0049】
取付ステーを支持する支持ピン55a、55bに関しては、取付ステー91、92の下端部に限らず、ディパーチャアングルを小さくしない場合には途中部に設けられた構成としても良い。この場合、取付ステー91、92が起立状態の際に荷受台5の下端から下方に延出するが、荷受台5の展開時には荷受台5の下方で倒伏状態となるため地面との接触を回避することができる。
本実施形態では荷受台5が3つ折り構造としたが、その他の構造、例えば荷受台基部と荷受台先部からなる2つ折り構造としても良い。
【0050】
また、ステップ面が不要な場合や他の部材の被覆が不要な場合にはカバー部材521が配されていない構成としても構わない。このとき、荷受台先部52が展開された状態では取付ステー91、92、93の傾斜角度がさらに大きくなる。
その他、パッド910を設けずに、取付ステー91、92、93が直接的に押圧される構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、折り畳まれて荷台下方に格納される荷受台昇降装置の全ての種類に対して有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 荷台
2 シャシフレーム
3 スライド部材
5 荷受台
6 スライドレール
9 取付ステー
51 荷受台基部
52 荷受台先部
53 荷物積込部
54 ヒンジ
55a、55b 支持ピン
57a 巻きばね
57b トーションバー
521b、521c 押圧部
91 左側取付ステー
92 中央取付ステー
93 右側取付ステー
910 パッド
91a、92a、93a 反射板
100 荷受台昇降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷受台基部と、
当該荷受台基部に対してその幅方向に配された一対のヒンジを介して折り畳み及び展開可能な荷受台先部と、
前記荷受台先部の底面で前後方向に延伸配置されて荷受台先部を支持する補強部と、
前記荷受台基部に対して支持ピンを介して上下方向に回動自在に支持される取付ステーと、
前記支持ピンと前記取付ステーとの間に介装されて前記取付ステーを上方向に回動付勢するばね部材と、
を有しており、
前記荷受台先部には、その展開の際に前記取付ステーを押圧して下方向に回動させる押圧部が設けられ、
前記取付ステーは、前記押圧部の一部と前記支持ピンによって、展開された前記荷受台先部の下方で車両後方側に向かって上側に傾斜した倒伏姿勢で支持されるとともに、先端部が前記荷受台先部の側方から見て前記補強材に重畳した位置に配される
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記荷受台先部が展開された際、前記補強部はその底面が後方に向かって上側に傾斜し、さらに前記押圧部の一部は前記支持ピンよりも上側に設けられており、
前記押圧部の一部は、前記支持ピンに対して前記補強部の底面の傾斜角度と略一致する角度で傾斜した位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記荷受台基部には、その後端部のうち前記一対のヒンジより外側部分に前記取付ステーが取り付けられており、
前記ばね部材は、前記支持ピンに巻き付けられてなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記支持ピンにおいて、前記ばね部材が巻き付けられた部分は、他の部分よりも細径化されてなる
ことを特徴とする請求項3に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記荷受台先部には、前記一対のヒンジ側の端部において幅方向に延伸する筒状体が設けられており、
前記押圧部は前記筒状体に設けられている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の荷受台昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−67214(P2013−67214A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205522(P2011−205522)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)