説明

荷役装置

【課題】燃料消費を軽減でき、排気ガスを抑制できる荷役装置を提供することを目的とする。
【解決手段】エンジン66は、発電機68の定格回転数とこの定格回転数より低い所定回転数で回転可能な構成とされ、走行用操作レバー(昇降用操作レバー兼用)により走行本体が走行するように操作したとき、またはスプレッダ装置が上昇するように操作したときに、あるいは横行用操作レバーによりクラブが横行するように操作したとき、エンジン66の回転数は発電機68の定格回転数に制御され、それ以外の停止時と電力が不要なスプレッダ装置が下降するように操作したとき、エンジン66の回転数は前記所定回転数で制御される。このように、停止時とスプレッダ装置の下降時は低回転数とされることにより、エンジン66の無駄な燃料消費を抑えることができ、排気ガスを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナヤード等でコンテナの移動・移載に使用される荷役装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の荷役装置の一例が、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されている荷役装置は、コンテナを吊り上げ、自走し、前記コンテナを降ろす荷役作業を実行するクレーン装置であり、梁構造体の架台(移動架台)を備えている。
【0003】
この架台に、架台を支持する車輪と、前記車輪を駆動する自走用モータと、前記コンテナを把持するコンテナスプレッダと、このコンテナスプレッダの吊り上げ、吊り降ろしを行う昇降装置と、前記コンテナスプレッダを梁構造体の長手方向へ移動させるトロリー装置と、エンジンと、前記エンジンにより一定速で運転される発電機と、バッテリーと、前記昇降装置の巻き取りモータ、前記トロリー装置のトロリーモータ及び前記自走用モータへ電力を供給する電力コントローラとを設けている。
【0004】
前記電力コントローラによって、トロリー装置及び車輪の駆動時には、発電機によって発電した電力をトロリーモータ及び自走用モータへ供給し、トロリー装置によりコンテナスプレッダを梁構造体の長手方向へ移動させ、架台を移動させている。またコンテナスプレッダの吊り上げ駆動時には、発電機によって発電した電力とバッテリーから放電される電力を合わせて巻き取りモータへ供給し、コンテナスプレッダによりコンテナを吊り上げ、またコンテナスプレッダの吊り降ろし駆動時には、巻き取りモータにて生じる電力を回生してバッテリーに充電し、回生ブレーキをかけながらコンテナスプレッダによりコンテナを吊り降ろしている。
【0005】
上記構成により、発電機として最も負荷が大きい巻き取りモータの起動時の負荷(最大負荷)をバッテリーの電力によりカバーでき、よって巻き取りモータの最大負荷より小さな容量の発電機を用いることができ、コストを大幅に低減している。
【0006】
またバッテリーに代えて、キャパシタを用いることが、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−163574号公報
【特許文献2】特開2007−267504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の荷役装置では、エンジンの回転数を一定速(例えば、1800rpm)で運転しているが、軽い負荷や待機時間ではそれほどの発電量は必要でなく、無駄な燃料消費となっている。
【0009】
また二酸化炭素を極力、排出しないように、エンジンから排出される排気ガスを抑えることが望まれている。
そこで、本発明は、エンジンの燃料消費を軽減でき、エンジンの排気ガスを抑制できる荷役装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、吊り荷を吊り上げ、自走し、前記吊り荷を降ろす荷役作業を実行する荷役装置であって、
エンジンと、このエンジンの回転軸に連結され、エンジンの運転により発電する発電機と、前記吊り荷を吊り、昇降する昇降装置、この昇降装置を上昇・下降駆動する昇降駆動装置、およびこの昇降駆動装置を操作する昇降操作装置と、前記自走用の走行装置、この走行装置を前進・後進駆動する走行駆動装置、およびこの走行駆動装置を操作する走行操作装置とを備え、
前記エンジンを、前記発電機の定格回転数と、この定格回転数より低い所定回転数で回転可能な構成とし、前記走行操作装置により前記走行駆動装置が駆動されたとき、または前記昇降操作装置により前記昇降装置が上昇するよう前記昇降駆動装置が駆動されたときに、前記エンジンの回転数を前記発電機の定格回転数に制御し、それ以外のときは、前記エンジンの回転数を前記所定回転数に制御することを特徴とするものである。
【0011】
上記構成によれば、エンジンは発電機の定格回転数と、この定格回転数より低い所定回転数で回転可能な構成とされ、エンジンの回転数は走行操作装置により走行駆動装置が駆動されたとき、または昇降操作装置により昇降装置が上昇するよう昇降駆動装置が駆動されたときに、発電機の定格回転数に制御され、それ以外のときは、定格回転数より低い所定回転数で制御される。よって、電力を必要とする、走行時と昇降装置の上昇時には、高回転数とされるが、停止時と電力が不要な昇降装置の下降時は低回転数とされることによって、エンジンの無駄な燃料消費が抑えられ、エンジンの排気ガスが抑えられる。
【0012】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記昇降操作装置と前記走行操作装置による操作を有効とする始動入力スイッチと、前記エンジンの回転数が零から上昇することにより動作するエンジン回転数上昇スイッチを備え、前記エンジン回転数上昇スイッチが動作しても、一定時間、前記始動入力スイッチが操作されないとき、前記エンジンの回転数を前記所定回転数に制御することを特徴とするものである。
【0013】
上記構成によれば、エンジンの回転数が上昇しても一定時間、始動入力スイッチが操作されないと、すなわち荷役作業が開始されないと、エンジンの回転数は所定回転数に抑えられ、エンジンの無駄な燃料消費が抑えられ、エンジンの排気ガスが抑えられる。
【0014】
また請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明であって、前記発電機により発生する電力を蓄える蓄電装置を備え、前記エンジンの起動時には、前記蓄電装置に予め設定された充電量が充電されるまで、前記エンジンの回転数を前記発電機の定格回転数に制御し、予め設定された充電量となると前記エンジンの回転数を前記所定回転数に制御することを特徴とするものである。
【0015】
上記構成によれば、エンジンが起動されると、エンジンの回転数は発電機の定格回転数とされ、蓄電装置が予め設定された充電量に充電されるまで定格回転数に維持され、予め設定された充電量に達すると、エンジンの回転数は所定回転数に抑えられる。よって、エンジン起動時に蓄電装置に予め設定された充電量が充電されて、荷役作業を開始することが可能となる。
【0016】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記発電機により発電された電力の周波数を、商用電源周波数に変換するコンバータを備えることを特徴とするものである。
【0017】
発電機の回転数が低くなり、供給される電力の周波数が商用電源周波数より低くなると、駆動できなくなる、あるいは必要な動力を出力できなくなる補機がある。
上記構成によれば、コンバータが備えられることにより、発電された電力の周波数は、商用電源周波数に変換されて前記補機へ供給され、よって補機を駆動でき、必要な動力を出力できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の荷役装置は、電力を必要とする走行時と昇降装置の上昇時にはエンジンの回転数は高回転数の定格回転数とされ、必要な電力を給電できるとともに、停止時と電力が不要な昇降装置の下降時は低回転数の所定回転数とされることにより、エンジンの無駄な燃料消費を抑えることができ、エンジンの排気ガスを抑えることができる、という優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態におけるトランスファークレーンの斜視図である。
【図2】同トランスファークレーンの運転室の内部正面図である。
【図3】同トランスファークレーンの運転室の内部平面図である。
【図4】(a)は走行用操作レバーの左右位置および前後位置への切換状態図、(b)は横行用操作レバーの前後位置への切換状態図、(c)は軌道修正用操作レバーの前後位置への切換状態図である。
【図5】同トランスファークレーンの要部電気回路図である。
【図6】同トランスファークレーンの制御装置のブロック図である。
【図7】同トランスファークレーンの制御装置のブロック図である。
【図8】本発明の他の実施の形態におけるトランスファークレーンの要部電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるトランスファークレーンの斜視図である。トランスファークレーンは、コンテナ(吊り荷の一例)を吊り上げ、自走し、コンテナを降ろす荷役作業を実行する荷役装置の一例を構成している。
【0021】
このトランスファークレーン10の本体を構成する走行本体11は、並行して配置された一対のシルビーム12と、両シルビーム12の各端部から立設されたコラム13と、対向するシルビーム12上の各コラム13の上端間に設けられた一対のガーダ14により構成されている。
【0022】
両シルビーム12の各端部の下面側には、それぞれ2個のタイヤ(走行装置の一例)15を有するボギー台車16が設けられている。前記タイヤ15の内、矢印Cで示す横行右方向側で、かつ最も矢印Bで示す走行左方向のタイヤ15Aと、矢印Dで示す横行左方向側で、かつ最も矢印Aで示す走行右方向のタイヤ15Bのみが駆動輪であり、これら駆動輪15A,15Bは、それぞれボギー台車16に設けられた走行用モータ(走行駆動装置の一例)17A,17Bがそれぞれ独立して正逆駆動されることで、走行本体11は走行右方向A、走行左方向Bに走行可能に構成されている。またボギー台車16(タイヤ15)には、向きを90゜(固定値)変換するステアリング機構(図示せず)が備えられており、レーンチェンジ時にのみ、タイヤ15の向きが90゜(固定値)変換され、走行本体11は横行右方向Cまたは横行左方向Dへ走行される。
【0023】
また両シルビーム12にはそれぞれ、ボギー台車16(タイヤ15)のステアリング機構の油圧ユニット(油圧ポンプ等)18が設けられ、さらに両シルビーム12に振り分けた状態で、エンジン室19と電気制御室20とが設けられている。
【0024】
また両ガーダ14に支持案内されて、横行右方向Cならびに横行左方向Dに移動自在なクラブ21が設けられ、このクラブ21には運転室22が装備されている。クラブ21に設けられた横行用モータ23が正逆駆動されることで、クラブ21は、横行右方向Cならびに横行左方向Dに移動される。前記クラブ21の下方には、4箇所の吊り装置25を介して、コンテナ26に連結されるスプレッダ装置(昇降装置の一例)28が昇降自在に配設されている。
【0025】
上記各吊り装置25は、スプレッダ装置28の固定ビーム31側にブラケットを介して配設された輪体(滑車体;図示せず)や、この輪体に掛けられた吊りロープ29や、クラブ21側の吊り駆動装置である巻上用モータ(昇降駆動装置の一例)30(図5)などにより構成されている。
【0026】
またスプレッダ装置28は、水平状で並設された一対の前記固定ビーム31と、これら固定ビーム31に支持案内されて走行左右方向A,Bに伸縮自在な一対の伸縮ビーム33と、両伸縮ビーム33を互いに離間方向または接近方向に伸縮動させる油圧式の伸縮駆動装置(油圧ポンプ、油圧シリンダ等;図示せず)などにより構成される。なお、両固定ビーム31は、その上面間に配設された連結体32により一体化され、この連結体32上に前記ブラケットが設けられている。
【0027】
また両伸縮ビーム33は、走行左右方向A,Bに沿って位置される被運搬物支持部34と、これら被運搬物支持部34の走行左右方向A,Bの端部から内方へ連設されかつ前記固定ビーム31に支持案内される伸縮ガイド部35と、両被運搬物支持部34の中間から内方へ連設される伸縮受動部(図示せず)とにより櫛歯状に形成されている。そして被運搬物支持部34の端部下面側には、コンテナ26の上部吊り穴27に係止される連結具(図示せず)が設けられている。
【0028】
上記運転室22の内部には、図2,図3に示すように、垂直軸回りに180度水平回転して走行左方向Bと走行右方向Aとに方向変換可能な運転席37と操作盤38とが一体的に配設されており、操作盤38は左側操作盤38Lと右側操作盤38Rとを有し、運転席37の左右に分離して設けられている。
【0029】
前記運転席37は、背当部41とその上部のヘッドレスト42並びに、クッション部43から形成されるシート本体44と、そのシート本体44を支持する脚部材45などから構成されている。脚部材45は、弾性ゴム体に油圧ダンパー(図示せず)を内包した弾性支持体46と、その弾性支持体46に接続する回転部材47と、回転部材47の下端部に内包したベアリング(図示せず)を介して回転部材47を水平回転可能に支持する固定部材48などを主要部としている。回転部材47は、左右への張り出し部47cを幅広く設け、幅Wは左右の操作盤38L,38Rを支持可能な長さとし、回転部材47と左右の操作盤38L,38Rとは一体的に締結されている。
【0030】
左右の操作盤38L、38Rは、上面前端部にそれぞれ下向きの傾斜面38La、38Raと、その傾斜面に続いて水平面38Lb、38Rbを設け、ほぼ箱型状に形成されている。
【0031】
前記右側操作盤38Rには、傾斜面38Raに走行用操作レバー(昇降用操作レバー兼用;昇降操作装置および走行操作装置の一例)51、荷役装置非常停止用スイッチ52、コンテナのロック切替スイッチ53などが設けられ、水平面38Rbにステアリング切替スイッチ54、荷役装置の始動停止切替スイッチ55、荷役装置のスイッチ類と各種の表示灯56などが設けられている。前記始動停止切替スイッチ55は、運転者が運転席37に座って荷役作業を開始する準備ができたときに操作し、走行用操作レバー51と後述する横行用操作レバー57、および軌道修正用操作レバー58による操作を有効とする(レバーの操作により荷役作業を可能する)始動入力スイッチを構成しており、操作位置として荷役作業の始動位置と停止位置が設けられ、始動位置でオンとなり、停止位置でオフとなる始動スイッチ55a(図6)が設けられている。
【0032】
また左側操作盤38Lには、傾斜面38Laに横行用操作レバー57、軌道修正用操作レバー58、コンテナ小旋回スイッチ59、小旋回ゼロ位置スイッチ60などが設けられ、水平面38Lbに走行用モータ17A,17B、横行用モータ23並びに、巻上用モータ30などの電源スイッチ61、エンジンスタートスイッチ62a、エンジンストップスイッチ62b、エンジン運転用スイッチ類と各種の表示灯63などが設けられている。前記エンジンスタートスイッチ62aとエンジンストップスイッチ62bはともに、スイッチが押し操作されている間のみオンするスイッチとしている。
【0033】
右側操作盤38Rに設けられた、前記昇降用操作レバー兼用の走行用操作レバー51には、図4(a)に示すように、走行用操作レバー51を中立位置51Nから右側位置51Rに倒すことによりオンに切換わる走行用左行スイッチ51a(図7)と、左側位置51Lに倒すことによりオンに切換わる走行用右行スイッチ51b(図7)と、前側位置51Fに倒すことによりオンに切換わるスプレッダ装置28用の下降スイッチ51c(図7)と、後側位置51Bに倒すことによりオンに切換わるスプレッダ装置28用の上昇スイッチ51d(図7)が設けられている。また、中立位置51Nに戻すことによりスイッチ51a,51b,51c,51dはオフに切換わる。詳細は後述するが、走行用操作レバー51を、中立位置51Nから右側に倒すことにより走行用モータ17A,17Bが正転して走行本体11(トランスファークレーン10)が走行左方向B(前進方向)に走行する。また、左側に倒すことにより走行用モータ17A,17Bが逆転して走行本体11(トランスファークレーン10)が走行右方向A(後進方向)に走行する。更に、走行用操作レバー51を中立位置51Nから前側に倒すことにより巻上用モータ30が正転してスプレッダ装置28が下降し、後側に倒すことにより巻上用モータ30が逆転してスプレッダ装置28が上昇する。
【0034】
また左側操作盤38Lに設けられた横行用操作レバー57には、図4(b)に示すように、中立位置57Nから前側位置57Fに倒すことによりオンに切換わる横行用右行スイッチ57a(図7)と、後側位置57Bに倒すことによりオンに切換わる横行用左行スイッチ57b(図7)が設けられている。また、中立位置57Nに戻すことによりスイッチ57a、57bはオフに切換わる。詳細は後述するが、横行用操作レバー57を、ニュートル位置57Nから前側に倒すことにより、横行用モータ23が正転してクラブ21が横行右方向Cに移動し、後側に倒すことにより、横行用モータ23が逆転してクラブ21が横行左方向Dに移動する。
【0035】
また左側操作盤38Lに設けられた軌道修正用操作レバー58には、図4(c)に示すように、中立位置58Nから前側位置58Fに倒すことによりオンに切換わる右減速スイッチ58a(図7)と、後側位置58Bに倒すことによりオンに切換わる左減速スイッチ58b(図7)が設けられている。また、中立位置58Nに戻すことによりスイッチ58a、58bはオフに切換わる。詳細は後述するが、軌道修正用操作レバー58をニュートル位置58Nから前側に倒すことにより、右の走行用モータ17Aの回転速度が低下してトランスファークレーン10が右寄りに軌道を修正し、後側に倒すことにより、左走行用モータ17Bの回転速度が低下して左寄りに軌道を修正する。
【0036】
また上記エンジン室19には、図5に示す、エンジン66と、このエンジン66のエンジン制御装置67と、このエンジン66の回転軸に連結され、エンジン66の回転により運転される(発電する)発電機(交流発電機)68と、発電機68の出力電圧を一定電圧に調整する電圧調整装置(AVR)69が設けられている。前記発電機6は、例えば定格容量400kVA、定格電圧AC460V、定格回転数1800rpmの交流発電機が使用され、電圧調整装置69は、発電機68の電圧を、例えば前記AC460Vに調整している。また前記エンジン66は、発電機68の定格回転数(例えば、1800rpm)と、この定格回転数より低い所定回転数(例えば、1500rpm)で回転可能な構成とされている。またエンジン制御装置67には、エンジン66の回転数が零から上昇することを検出し、所定の回転数(例えば、100rpm)まで上昇するとオンするスイッチ(エンジン回転数上昇スイッチ)67a(図6)が設けられている。また発電機68により発電された電力は、前記荷役作業用の各モータ17A,17B,23,30の電源として使用される以外に、補機(上記油圧ユニット18の油圧ポンプ、両伸縮ビーム33の伸縮駆動装置の油圧ポンプ等)の電源として使用されている。
【0037】
また上記電気制御室20には、図5に示す、発電機68より出力された交流電流を直流に整流する3相全波整流器71と、電気2重層キャパシタ(蓄電装置の一例)72と、3相全波整流器71の出力端に接続されたダイオード73と、ダイオード73を介して3相全波整流器71に接続された直流電源ライン74と、直流電源ライン74に接続され、スプレッダ装置28の上昇時に直流電源ライン74より巻上用モータ30へ給電して巻上用モータ30を回転し、スプレッダ装置28の下降時に巻上用モータ30に発生する電力を直流電源ライン74へ回生する巻上用インバータ75と、直流電源ライン74より横行用モータ23へ給電して横行用モータ23を正転または逆転する横行用インバータ76と、直流電源ライン74より右の走行用モータ17Aへ給電して右の走行用モータ17Aを正転または逆転する第1走行用インバータ77Aと、直流電源ライン74より左の走行用モータ17Bへ給電して左の走行用モータ17Bを正転または逆転する第2走行用インバータ77Bと、直流電源ライン74と電気2重層キャパシタ72との間に接続され、電源ライン74ヘ供給される電力を電気2重層キャパシタ72へ充電し、電気2重層キャパシタ72に充電された電力を、直流電源ライン74の電圧より高い電圧に昇圧して電源ライン74へ供給する双方向DC/DCコンバータ78と、回生制動抵抗79と、回生制動抵抗79を直流電源ライン74に接続する電磁接触器(コンタクタ)80とが設けられている。
【0038】
また巻上用モータ30の回転軸にはスプレッダ装置28の高さ位置を検出するパルスジェネレータ(PG;高さ検出装置の一例)81が連結されている。
また運転室22には、操作盤38からの操作信号により、荷役作業を制御する制御装置83が設けられている。
【0039】
この制御装置83には、図6および図7に示すように、荷役作業に関する入力として、エンジンスタートスイッチ62aおよびエンジンストップスイッチ62bと、荷役装置の始動指令としての始動スイッチ55aと、エンジン制御装置67のエンジン回転数上昇スイッチ67aと、走行指令としての、走行用操作レバー51の走行左行スイッチ51aおよび走行右行スイッチ51b、軌道修正用操作レバー58の右減速スイッチ58aおよび左減速スイッチ58bと、横行指令としての横行用操作レバー57の横行右行スイッチ57aおよび横行左行57bと、荷役指令としての走行用操作レバー51の下降スイッチ51cおよび上昇スイッチ51dと、パルスジェネレータ81のパルス信号と、電気2重層キャパシタ72の両端電圧信号(キャパシタ電圧信号)とが入力されている。
また制御装置83から、図6および図7に示すように、荷役作業に関する出力として、回転数指令としてのエンジン制御装置67への1800rpm指令(定格回転数指令)および1500rpm指令(所定回転数指令)と、右の走行用モータ17Aの駆動指令としての第1走行用インバータ77Aへの左行指令、右行指令および右減速指令と、左の走行用モータ17Bの駆動指令としての第2走行用インバータ77Bへの左行指令、右行指令および左減速指令と、横行用モータ23の駆動指令としての横行用インバータ76への左行指令および右行指令と、巻上用モータ30の駆動指令としての巻上用インバータ75への上昇指令および下降指令と、電気2重槽キャパシタ72の充放電指令としての双方向DC/DCコンバータ78への放電指令および充電指令と、回生制動抵抗79の接続指令としての電磁接触器80へのスイッチオン指令とが出力されている。
【0040】
上記制御装置83による荷役作業のブロック図を図6および図7に示す。
図6に示すように、リレイ(RY)85が励磁されるとそのa接点で1500rpm指令が出力され、b接点で1800rpm指令が出力されるように形成されており、起動前には、1800rpm指令が出力されている。
【0041】
またエンジンスタートスイッチ62aがオンとなるとセットされてオンとなり、エンジンストップスイッチ62bがオンとなるとリセットされてオフとなる「エンジン運転中」信号が形成され、この「エンジン運転中」信号がオンで、且つ始動スイッチ55aがオンとなったことで、「荷役運転許可」信号が形成されている。
【0042】
また「エンジン運転中」信号でタイマー86がセットされ、このタイマー86が動作するまで、その否定信号がオンで、且つ「エンジン運転中」信号がオンとなっていることで、初期状態であることを示す「初期状態」信号が形成されている。
【0043】
また次の3つの条件のときリレイ85が励磁されるように形成されている。
(1)「荷役運転許可」信号がオンで、且つ「初期状態」信号がオンで、且つ後述する「充電完了」信号がオンのとき、すなわち、エンジン起動時に電気2重槽キャパシタ72の充電が終了するまでは1800rpm指令が維持され、電気2重槽キャパシタ72の充電が終了したとき、リレイ85が励磁される。
(2)エンジン回転数上昇スイッチ67aがオンで、始動スイッチ55aがオフのときにタイマー87がセットされ、タイマー87が動作したとき、すなわち、エンジン66が回転を開始しているにもかかわらず、荷役装置の始動停止切替スイッチ55が操作されずに、タイマー87が作動したとき、リレイ85が励磁される。
(3)「荷役運転許可」信号がオンで、且つ「走行左行スイッチ51aまたは走行右行スイッチ51bまたは横行右行スイッチ57aまたは横行左行57bまたは上昇スイッチ51d」がオンの状態が発生していないとき、タイマー88がセットされ、タイマー88が動作したとき、すなわち、荷役作業中に、スプレッダ装置28の下降操作を除いて(下降操作とは無関係に)操作レバー51,57が操作されずに、タイマー88が作動したとき、リレイ85が励磁される。
【0044】
リレイ85が励磁されると、エンジン制御装置67へ1500rpm指令が出力され、リレイ85が無励磁のときエンジン制御装置67へ1800rpm指令が出力される。
また「荷役運転許可」信号がオンで且つ走行左行スイッチ51aがオンのとき走行の左行指令が形成され、「荷役運転許可」信号がオンで且つ走行右行スイッチ51bがオンのとき走行の右行指令が形成され、また「荷役運転許可」信号がオンで且つ右減速スイッチ58aがオンのとき右減速指令が形成され、「荷役運転許可」信号がオンで且つ左減速スイッチ58bがオンのとき左減速指令が形成され、上述したように、走行用インバータ77A,77Bへ出力される。
【0045】
また「荷役運転許可」信号がオンで且つ横行右行スイッチ57aがオンのとき横行の右行指令が形成され、「荷役運転許可」信号がオンで且つ横行左行スイッチ57bがオンのとき横行の左行指令が形成され、上述したように、横行用インバータ76へ出力される。
【0046】
また「荷役運転許可」信号がオンで且つ下降スイッチ51cがオンのとき下降指令が形成され、「荷役運転許可」信号がオンで且つ上昇スイッチ51dがオンのとき上昇指令および放電指令が形成され、上述したように、下降指令と上昇指令が巻上用インバータ75へ出力される。
【0047】
またパルスジェネレータ81のパルス信号をカウントすることにより、スプレッダ装置28の巻上高さHを検出する高さ検出器89が設けられ、またスプレッダ装置28の巻上高さHにより、発電機68により発電された電力によって電気2重層キャパシタ72へ充電する充電上限電圧Vsが予め設定されたメモリ90が設けられ、高さ検出器89により検出された巻上高さHによりメモリ90を検索し、充電上限電圧Vsを出力する充電上限設定器91が設けられている。
【0048】
メモリ90には、高さ検出装置89により検出されたスプレッダ装置28の巻上高さ(高さ位置)Hが高いほど、発電機68により発電された電力により充電される充電上限電圧Vsは低く設定され、充電上限電圧Vsは、スプレッダ装置28が最も高い高さ位置から最も低い高さ位置に下降するときに発生する回生電力を電気2重層キャパシタ72に充電できる第1設定電圧と、スプレッダ装置28が最も低い高さ位置から最も高い高さ位置に上昇するときに必要な電力を放電できる第2設定電圧とに基づいて設定されている。実施の形態では、最大揚程(スプレッダ装置28下)が18.1mのとき、巻上高さHが10m以下のとき、第2設定電圧をDC580V、巻上高さHが10mより高く15m以下のときDC457V、巻上高さHが15mより高いとき、第1設定電圧をDC350Vに設定している。
【0049】
また入力した電気2重層キャパシタ72のキャパシタ電圧Vcと充電上限設定器91により設定された充電上限電圧Vsを比較し、キャパシタ電圧Vcが充電上限電圧Vs以上のとき、上述した発電機68により発電された電力による「充電完了」信号を出力する比較器92が設けられている。また入力した電気2重層キャパシタ72のキャパシタ電圧Vcと、電気2重層キャパシタ72が満充電となったときに相当するFULL充電電圧とを比較し、キャパシタ電圧VcがFULL充電電圧以上のとき、電気2重層キャパシタ72が満充電であり、これ以上は充電できないことを示す「FULL充電」信号を出力する比較器93が設けられている。
【0050】
前記放電指令(上昇指令)および下降指令が形成されてなく且つ「充電完了」信号がオンでないとき、または前記下降指令が形成され且つ「FULL充電」信号がオンでないとき、充電指令が形成され、この充電指令と前記放電指令が双方向DC/DCコンバータ78へ出力される。
【0051】
また「FULL充電」信号がオンのとき、スイッチオン指令が形成され、電磁接触器80へ出力され、電気2重層キャパシタ72に充電できなかった回生電力が、消費される。
上記構成による作用を説明する。
(A)エンジン66(回転数制御)
操作盤38からのエンジン66のスタート信号(エンジンスタートスイッチ62a)は、図5に示すように、直接、エンジン制御装置67に出力され、この信号を受けてエンジン制御装置67によりエンジン66が起動され、エンジン66の回転数が上昇する。
【0052】
またエンジン66の起動時には、制御装置83からエンジン制御装置67へ1800rpm指令が出力されており、エンジン66の回転数は発電機68の定格回転数に制御される。
【0053】
またエンジン66の回転数が上昇すると、エンジン回転数上昇スイッチ67aがオンとなる。またエンジン66の回転数が1500rpmとなると、AVR69により界磁されて発電機68により電力が発生される。
【0054】
また制御装置83では、エンジンスタートスイッチ62aがオンとなると、上記「エンジン運転中」信号がオンとなり、この「エンジン運転中」信号がオンになって所定の時間が経過するまで(タイマー86がオンとなるまで)、「初期状態」信号が形成される。
【0055】
また「エンジン運転中」信号がオンとなり、且つ始動停止切替スイッチ55が操作されて始動スイッチ55aがオンとなると、「荷役運転許可」信号が形成され、このとき「初期状態」信号がオンで「充電完了」信号がオンとなると、リレイ85が励磁されて、回転数指令は、1500rpmに切り換えられてエンジン制御装置67へ出力され、エンジン66の回転数は1500rpmに抑えられる。
【0056】
またエンジンスタートスイッチ62aがオンとなっているにもかかわらず、始動スイッチ55aがオフのままで所定の時間が経過されると(タイマー87がオンとなると)、リレイ85が励磁されて、回転数指令は、1500rpmと切り換えられて、エンジン66の回転数は1500rpmに抑えられる。
【0057】
また「荷役運転許可」信号が形成されており、スプレッダ装置28の下降操作を除いて(下降操作とは無関係に)各操作レバー51,57の操作がされずに、所定の時間が経過されると(タイマー89がオンとなると)、リレイ85が励磁されて、回転数指令は、1500rpmに切り換えられて、エンジン66の回転数は1500rpmに抑えられる。
【0058】
また初期状態ではなくなり、「荷役運転許可」信号が形成されているとき、スプレッダ装置28の下降操作を除いて各操作レバー51,57が操作されると、すなわち走行用インバータ77A,77Bに走行の左行指令または右行指令が出力され、または横行用インバータ76に横行の左行指令または右行指令が出力され、または巻上用インバータ75に上昇指令が出力されると、リレイ85が無励磁となり、回転数指令は、1800rpmに切り換えられて、エンジン66の回転数は定格回転数の1800rpmに上昇される。
【0059】
このように、初期状態では、電気2重層キャパシタ72が充電されるまで、1800rpmで回転され、充電完了となると1500rpmに抑えられ、また始動停止切替スイッチ55の操作がないと、1500rpmに抑えられる。
【0060】
そして、通常の荷役作業中は、スプレッダ装置28の下降操作を除いて各操作レバー51,57の操作がされると1800rpmで回転され、タイマー88の設定時間の間に次の操作がないと、1500rpmに抑えられる。
【0061】
また操作盤38からのエンジン66のストップ信号(エンジンストップスイッチ62b)は、直接、エンジン制御装置67に出力され、この信号を受けてエンジン制御装置67によりエンジン66が停止される。
【0062】
また制御装置83では、エンジンストップスイッチ62bがオンとなると、「エンジン運転中」信号がオフとなり、続いて「荷役運転許可」信号がオフになって荷役作業の各操作レバー51,57の操作信号を受け付けることがなくなり、停止状態とされる。
(B)荷役作業
「荷役運転許可」信号が形成され、この「荷役運転許可」信号と各レバー51,57,58の操作信号により、インバータ75,76,77A,77Bへ指令信号が出力され、荷役作業が実行される。このとき、電力は、発電機68により出力される電力が3相全波整流器71により直流に整流され直流電源ライン74へ供給された電力が使用され、スプレッダ装置28を上昇させるとき、電気2重槽キャパシタ72に充電された電力が放電されて加えられる。またスプレッダ装置28を下降させるときは、回生電力が電気2重槽キャパシタ72に充電される。
【0063】
「走行本体11の走行」
走行用操作レバー51の左右への操作に応じて、スイッチ51aまたはスイッチ51bがオンとなり、左行指令または右行指令が第1走行用インバータ77Aと第2走行用インバータ77Bへ出力され、走行用モータ17A,17Bが正転または逆転駆動されて走行本体11は走行右方向Aまたは走行左方向Bへ走行される。また同時に、軌道修正用操作レバー58が操作され、スイッチ58aとなると、右減速指令が第1走行用インバータ77Aへ出力され、右の走行用モータ17Aが減速され、走行本体11は走行用モータ17Aが配置されている側へ傾き軌道が修正され、またスイッチ58bがオンとなると、左減速指令が第2走行用インバータ77Bへ出力され、左の走行用モータ17Bが減速され、走行本体11は走行用モータ17Bが配置されている側へ傾き軌道が修正される。
【0064】
「クラブ21の横行」
横行用操作レバー57の前後への操作に応じて、スイッチ57aまたはスイッチ57bがオンとなり、左行指令または右行指令が横行用インバータ76へ出力され、横行用モータ23が正転または逆転駆動されてクラブ21は横行右方向Cまたは横行左方向Dへ移動される。
【0065】
「スプレッダ装置28の昇降」
走行用操作レバー51の前後への操作に応じて、スイッチ51cまたはスイッチ51dがオンとなり、下降指令または上昇指令が巻上用インバータ75へ出力され、巻上用モータ30が正転または逆転駆動されてスプレッダ装置28は下降または上昇される。スプレッダ装置28が下降されるとき巻上用モータ30に電力が発生し、巻上用インバータ75により回生され、回生ブレーキがかかる。
【0066】
上記走行本体11を走行右方向Aまたは走行左方向Bへ走行させること、およびクラブ21を横行右方向Cまたは横行左方向Dへ移動させることの組み合わせ動作により、コンテナ26の荷取り時や積付時におけるスプレッダ装置28の位置合わせが行われ、さらにスプレッダ装置28の昇降させる動作を組み合わせることにより、コンテナ26は搬送、移載される。
【0067】
なお、詳細な説明は省略するが、取り扱うコンテナ26の長さに合わせてスプレッダ装置28の伸縮ビーム33が伸縮させること、および連結具を駆動させることの組み合わせ動作により、スプレッダ装置28にコンテナ26が連結され、また解除される。またレーンチェンジ時にのみ、ステアリング機構によりタイヤ15の向きが90゜(固定値)変換され、走行本体11の横行右方向Cまたは横行左方向Dへの走行が行われる。
(C)電気2重層キャパシタの充放電
高さ検出器89により検出されたスプレッダ装置28の巻上げ高さHにより、発電機68により発電された電力による充電の充電上限設定電圧Vsが設定されており、キャパシタ電圧Vcが充電上限設定電圧Vsより高いときに、発電機68により発電された電力による「充電完了」信号がオンとなっている。
【0068】
「放電」
電気2重層キャパシタ72から放電する放電モードは、スプレッダ装置28を上昇させようと走行用操作レバー51を後側位置51Bに倒して、上昇スイッチ51dがオンとなると設定され、放電指令が双方向DC/DCコンバータ78へ出力され、双方向DC/DCコンバータ78の駆動によって電気2重層キャパシタ72から直流電源ライン74へ放電され、巻上用モータ30へ電力が供給される。
【0069】
これにより、発電機68から供給される電力が急に増加することが避けられ、エンジン66の負荷が急に増加することが防止され、よってエンジン66から排出される排気ガスが増えることが防止される。
【0070】
なお、この放電に伴い、電気2重層キャパシタ72の充電電圧(キャパシタ電圧Vc)は急速に低下し、スプレッダ装置28の上昇が停止されると、充電モードが選択されて充電が開始されるが、充電上限設定電圧Vsは低く設定されるので、発電機68から電気2重層キャパシタ72へ充電する電力は少なくて済み、エンジン66の負荷が急に増加することが防止され、よってエンジン66から排出される排気ガスが増えることが防止される。
【0071】
「充電」
電気2重層キャパシタ72を充電する充電モードは、巻上用モータ75へ上昇指令または下降指令が出力されていないときで、且つ「充電完了」信号がオフのとき(発電機68により発電された電力による通常の充電が完了していないとき)と、下降指令が出力され、且つ「FULL充電」信号がオフのとき(回生電力による充電をするとき)に設定され、充電指令が双方向DC/DCコンバータ78ヘ出力され、双方向DC/DCコンバータ78の駆動によって電気2重層キャパシタ72は直流電源ライン74から充電される。
【0072】
スプレッダ装置28が下降されるとき巻上用モータ30に電力が発生し、巻上用インバータ75により回生されるが、電気2重層キャパシタ72の電圧は下降直前は充電上限設定電圧Vsにより低く抑えられているため、多くの充電が可能であり、回生電力を十分に充電でき、巻上用モータ30に回生ブレーキをかけることができ、また効率を改善できる。
【0073】
また回生電力を、電気2重層キャパシタ72に充電できなくなると(「FULL充電」信号がオンとなると)、回生制動抵抗79が電磁接触器80により直流電源ライン74に接続されて回生電力が消費され、回生ブレーキが効かなくなることが回避される。
【0074】
また前記上昇指令および下降指令が出力されてなく、「充電完了」信号がオンのとき、いずれの充放電もしない状態となり、待機モードとなる。
このような充放電の作用により、走行用操作レバー51を後側位置51Bに操作してスプレッダ装置28を上昇させるよう巻上用インバータ75を介して巻上用モータ30が駆動されたとき、放電モードが選択され放電指令が双方向DC/DCコンバータ78へ出力されて電気2重槽キャパシタ72から放電され、またスプレッダ装置28を上昇または下降させるように操作されているとき以外で、電気2重層キャパシタ72のキャパシタ電圧Vcが、発電機68により発電された電力により充電する充電上限設定電圧Vs未満のとき、またはスプレッダ装置28を下降させるように操作され、「FULL充電」信号がオフのとき、充電モードが選択されて充電指令が双方向DC/DCコンバータ78へ出力されて充電され、またスプレッダ装置28を上昇または下降させるように操作されているとき以外で、キャパシタ電圧Vcが充電上限設定電圧Vs以上のとき待機モードが選択されて充放電とも実行されない。
【0075】
以上のように本実施の形態によれば、エンジン66は発電機68の定格回転数と、この定格回転数より低い所定回転数で回転可能な構成とされ、走行用操作レバー(昇降用操作レバー兼用)51により走行本体11の走行を操作したとき、またはスプレッダ装置28が上昇するよう操作したときに、または横行用操作レバー57によりクラブ21を横行を操作したとき、エンジン66の回転数は発電機68の定格回転数に制御され、それ以外のときは、定格回転数より低い所定回転数で制御される。よって、電力を必要とする、走行時と昇降装置の上昇時と横行時は高回転数とされるが、停止時と電力が不要な昇降装置の下降時は低回転数とされ、エンジン66の無駄な燃料消費を抑えることができ、排気ガスを抑えることができ、効率を向上できる。
【0076】
また本実施の形態によれば、エンジン66の回転数が上昇しても一定時間、始動停止切替スイッチ(操作有効スイッチの一例)55が操作されないと、すなわちエンジン66が起動されても荷役作業が一定時間、開始されないと、エンジン66の回転数は1500rpm(所定回転数)に制御されることにより、エンジン66の無駄な燃料消費を抑えることができ、排気ガスを抑えることができる。
【0077】
また本実施の形態によれば、エンジン66が起動されると、エンジン66の回転数は発電機68の定格回転数とされ、電気2重槽キャパシタ72のキャパシタ電圧Vcが充電上限設定電圧Vsとなるまで、すなわち充電量が上限となるまで維持され、上限の充電量に達するとエンジン66の回転数は所定回転数へ抑えられることにより、電気2重槽キャパシタ72には起動時に予め設定された充電量まで定格回転数の回転数で急速に充電されて、荷役作業を開始することができる。
【0078】
また本実施の形態によれば、スプレッダ装置28の高さ位置Hが高いと、発電機68により発電された電力により電気2重層キャパシタ72へ充電する上限の充電上限電圧Vsは低く設定されることにより、電気2重層キャパシタ72の電圧は低くされ、よってスプレッダ装置28が下降されるとき、回生電力を確実に充電でき、効率を改善できる。またスプレッダ装置28を上昇または下降するとき以外は、発電機68により発電された電力により充電上限電圧Vsまで充電され、このとき充電上限電圧Vsはスプレッダ装置28の高さ位置Hが低いと高く設定されることにより、スプレッダ装置28を上昇するときに必要な電力を十分に充電でき確保することができる。またスプレッダ装置28が下降するときに発生する回生電力を電気2重層キャパシタ72に十分に充電でき、スプレッダ装置28が上昇するときに必要な電力を放電できることにより、荷役装置としてのエネルギー効率を改善でき、発電機68の容量を小さくすることが可能となりコストを低減可能となる。
【0079】
また本実施の形態によれば、電気2重層キャパシタ72が満充電となり、回生電力が電気2重層キャパシタ72に充電できないとき、電磁接触器80により回生制動抵抗79が直流電源ライン74に接続され、回生制動抵抗79により回生電力を消費できることにより、回生ブレーキが効かずにスプレッダ装置28が落下する恐れを回避することができる。
【0080】
なお、本実施の形態では、エンジン66の回転数を、発電機68の定格回転数の1800rpm(60Hz)から低い所定回転数の1500rpm(50Hz)に切り変えることを可能としているが、もっと低い所定回転数、たとえば700rpm(23.3Hz)に切り換えるようにすることもできる。このとき、上記補機(油圧ユニット18の油圧ポンプ、両伸縮ビーム33の伸縮駆動装置の油圧ポンプ等)は、商用電源周波数である定格周波数(50/60Hz)より離れた低周波数(23.3Hz)では駆動できないので、周波数を商用電源周波数(50/60Hz)に変換する昇降コンバータ94が必要となる。図8に示すように、昇降コンバータ94を備えることにより、発電された電力の周波数は、商用電源周波数に変換されて補機へ供給される。また図8に示すように、エンジン66の幅広い回転数域に対応するために、ガバナを機械式から電子式の電子ガバナ95とする必要がある。このように、エンジン66の回転数を700rpm(23.3Hz)まで抑えることで、エンジン66の無駄な燃料消費をさらに抑えることができ、排気ガスをさらに抑えることができ、効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 トランスファークレーン
11 走行本体
12 シルビーム
13 コラム
14 ガーダ
16 ボギー台車
17A,17B 走行用モータ
18 油圧ユニット
19 エンジン室
20 電気制御室
21 クラブ
22 運転室
23 横行用モータ
28 スプレッダ装置
30 巻上用モータ
37 運転席
38 操作盤
51 走行用操作レバー
55 荷役装置の始動停止切替スイッチ
57 横行用操作レバー
62a エンジンスタートスイッチ
62b エンジンストップスイッチ
66 エンジン
67 エンジン制御装置
68 発電機
69 電圧調整装置
71 3相全波整流器
72 電気2重層キャパシタ
73 ダイオード
74 直流電源ライン
75 巻上用インバータ
76 横行用インバータ
77A 第1走行用インバータ
77B 第2走行用インバータ
78 双方向DC/DCコンバータ
79 回生制動抵抗
80 電磁接触器
81 パルスジェネレータ
83 制御装置
89 高さ検出器
90 メモリ
91 充電上限設定器
92,93 比較器
94 昇圧コンバータ
95 電子ガバナ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り荷を吊り上げ、自走し、前記吊り荷を降ろす荷役作業を実行する荷役装置であって、
エンジンと、
このエンジンの回転軸に連結され、エンジンの運転により発電する発電機と、
前記吊り荷を吊り、昇降する昇降装置、この昇降装置を上昇・下降駆動する昇降駆動装置、およびこの昇降駆動装置を操作する昇降操作装置と、
前記自走用の走行装置、この走行装置を前進・後進駆動する走行駆動装置、およびこの走行駆動装置を操作する走行操作装置と
を備え、
前記エンジンを、前記発電機の定格回転数と、この定格回転数より低い所定回転数で回転可能な構成とし、
前記走行操作装置により前記走行駆動装置が駆動されたとき、または前記昇降操作装置により前記昇降装置が上昇するよう前記昇降駆動装置が駆動されたときに、前記エンジンの回転数を前記発電機の定格回転数に制御し、それ以外のときは、前記エンジンの回転数を前記所定回転数に制御すること
を特徴とする荷役装置。
【請求項2】
前記昇降操作装置と前記走行操作装置による操作を有効とする始動入力スイッチと、
前記エンジンの回転数が零から上昇することにより動作するエンジン回転数上昇スイッチ
を備え、
前記エンジン回転数上昇スイッチが動作しても、一定時間、前記始動入力スイッチが操作されないとき、前記エンジンの回転数を前記所定回転数に制御すること
を特徴とする請求項1に記載の荷役装置。
【請求項3】
前記発電機により発生する電力を蓄える蓄電装置を備え、
前記エンジンの起動時には、前記蓄電装置に予め設定された充電量が充電されるまで、前記エンジンの回転数を前記発電機の定格回転数に制御し、予め設定された充電量となると前記エンジンの回転数を前記所定回転数に制御すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の荷役装置。
【請求項4】
前記発電機により発電された電力の周波数を、商用電源周波数に変換するコンバータを備えること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の荷役装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−241601(P2010−241601A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56849(P2010−56849)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)