説明

荷重を持ち上げるための持ち上げ装置

持ち上げ装置(1)は荷重を持ち上げるために、特に事故を起こした航空機を持ち上げて救助するために用いられ、リフト(6)を備え、リフトは荷重、特に航空機の主翼(5)の下に位置決めされるようになっている。リフト(6)は、少なくとも3つのリフトシリンダー(8)若しくは同等のリフト要素、及び荷重側の支持部への連結のための連結ヘッド(9)を有している。連結ヘッド(9)の位置の検出のため測定のための測定装置を設けてある。測定装置は、リフト要素の駆動部の互いに独立したリフト距離制御式若しくは荷重制御式の作動ための制御装置に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を持ち上げるための持ち上げ装置(リフティング装置)であって、リフトを備えており、該リフトは荷重の下に位置決めされるようになっている形式のものに関する。
【0002】
持ち上げるべき荷重は航空機、特に例えば事故を起こして救助若しくは回収すべき航空機であってよい。離陸若しくは着陸に際して事故を起こした航空機、例えば滑走路をオーバーランした航空機は、車輪(着陸装置若しくは滑走装置)を損傷していることがあり、例えば1つ若しくは複数の車輪は折れ曲がり、若しくは引きちぎられ、その結果、航空機は傾き、1つの主翼で地面に接触することになる。航空機の救助のためには、航空機は降下している側、つまり地面に接触している側を持ち上げられねばならず、このために故障若しくは破損した車輪にアクセスし、つまり接近して航空機を搬送可能な状態に移さねばならない。航空機を持ち上げた状態で、破損している車輪を修理し、若しくは車輪のまだ出されていない場合には、該車輪を引き出す、つまり走出させることになる。破損若しくは損傷の度合いとは無関係に、航空機を持ち上げて、自走可能な状態若しくは牽引可能な状態に、若しくは救助車両を航空機の下側に入れることのできる状態に移す必要がある。
【0003】
航空機の持ち上げのために、膨らませ可能な空気クッションをリフトとして用いることは周知であり、この場合に空気クッションは、航空機の製造業者によって規定された箇所に装着されるようになっている。空気クッションの限られた側方安定性のために、比較的に小さいリフト高さ(持ち上げ高さ若しくは行程高さ)、例えば80cmしか可能ではない。実際には数メートル、例えば6mのリフト高さを必要としており、したがって空気クッションの使用は、著しく煩雑な間を伴うことになる。つまり、空気クッションの最大行程(80cm)を達成する毎に、航空機は空気クッションの最大行程によって達成された位置で支持され、空気クッションは空気を抜かれ、空気クッションの下側に支持部材(敷き部材)を入れて、再び空気クッションを膨らませることにより航空機をさらに80cmだけ持ち上げるようになっており、このような行程(過程)は、所定の高さを達成するまで繰り返されねばならず、著しい時間を必要としている。滑走路を航空機の救助のために必要な時間にわたって閉鎖することになるので、ほかの航空機にとって滑走路の閉鎖に伴う高いコストが生じることになる。したがって時間の問題は極めて重要なことである。
【0004】
本発明の課題は、リフト(昇降装置若しくはジャッキ)を備えた持ち上げ装置を改善して、該持ち上げ装置によって荷重、殊に事故を起こした航空機を迅速かつ確実に持ち上げて救助できるようにすることである。
【0005】
前記課題を解決するために本発明の構成では、リフトは、少なくとも3つのリフト要素、及び荷重側の支持部への連結のための1つの連結ヘッドを有しており、該連結ヘッドの位置の検出のため並びに該連結ヘッドに作用する荷重ベクトルの測定のための測定装置を設けてあり、かつかつ前記各リフト要素の互いに独立したリフト距離制御式(持ち上げ距離に依存した制御方式)若しくは荷重制御式(荷重に依存した制御方式)の作動(操作)ために前記測定装置に接続された制御装置を設けてある。
【0006】
前記構造のリフトを用いることによって、殊に傾いた航空機の持ち上げ過程(リフト行程)は、1つのリフトだけで行われ得るようになっている。付加的な空気クッション、並びに空気クッションによる段階的な持ち上げとリフトによる支持との時間若しくは手間のかかる交換作業は不要になっている。連結ヘッドの位置の検出のため並びに連結ヘッドに作用する荷重ベクトルの測定のための測定装置と互いに独立に操作可能なリフト要素から成るリフトは、持ち上げの際の荷重支持部(荷重・支持点)、若しくは航空機側の支持部(ウイング・ジャッキングポイント[Wing Jacking Point])の移動推移若しくは移動軌跡への自動的な適合を可能にしている。これによって、荷重若しくは航空機は側方の負荷若しくは応力を受けることなしに持ち上げられる。つまり、リフトの連結ヘッドは荷重(航空機)の荷重支持部に追随し、それというのは連結ヘッドは水平方向及び垂直方向で自動的に位置決めされるようになっているからである。航空機の持ち上げの際の支持部の移動軌跡は、支持部から離間した地面との接触点に依存し、つまり航空機の例えば損傷していない車輪に依存している。したがって支持部の移動軌跡は、一定ではなく、個々の事故状態に依存している。連結ヘッドにおける荷重測定によって、連結ヘッドに作用する横力は測定され、該横力に依存して、横力の補償のための側方運動を持ち上げ運動に重畳するようになっている。
【0007】
本発明の実施態様では、連結ヘッドにおける荷重測定のために力センサーを設けてある。連結ヘッドにおける荷重測定のために、軸線方向力センサー若しくは圧力センサーをリフト要素に設けることも可能である。両方の実施態様において、X,Y,Z座標の荷重、ひいては横荷重及び支持荷重を検出するようになっている。
【0008】
距離に依存した制御(距離制御)のために、連結ヘッドの位置検出装置若しくはリフト要素の伸長長さの測定のための長さ測定装置を設けてある。横力をも受け止めるようになっているリフトにとっては、3つのリフト要素に加えて伸縮式(テレスコープ式)の1つの中央支え(中央控え部材若しくは中央支柱部材)を設けてある。この場合には、連結ヘッドの位置の検出のために、中央支えのための1つの長さ測定装置及び2つの角度測定装置を設けてある。中央支えは連結ヘッドの案内のためにのみ用いられている。中央支え(中央案内部材)の内部の中空室は、長さ測定装置及び角度測定装置の受容のために用いられると有利であり、これらの測定装置は中央支えによって損傷に対して十分に保護した状態で収容されている。
【0009】
本発明に基づき3つのリフト要素を備える実施態様において、リフト要素の足部(足部支持点)を玉継手(ボールジョイント)に支承してある、具体的にはリフト要素の下方の端部をボールジョイントによって下部フレーム(底部フレーム)若しくは控え部材に結合してあるのに対して、リフト要素の上方の端部と連結ヘッドとの間の結合はピンを用いて行われている。各リフト要素のための足部受けと中央支えの中央支持部とを結合する控え部材は、必要に応じて長さ調節できるようになっている。3つのリフト要素及び1つの中央支えを備える実施態様において、4つの足部、つまり3つのリフト要素及び1つの中央支えの各足部を玉継手に支承してあり、2つのリフト要素の上方の各端部と連結ヘッドとの間の結合は玉継手(ボールジョイント)を用いて行われており、残りの1つのリフト要素の上方の端部(第3の端部)と連結ヘッドとの間の結合はピンを用いて行われおり、中央支えと連結ヘッドとは互いに相対運動不能に結合され、つまり互いに固定(固着)されている。
【0010】
さらに別の実施態様では、3つのリフト要素及び1つの中央支えを備えたリフトにおいて、3つのリフト要素の各足部を玉継手内に支承してあり、中央支えの足部は自在継手(カルダン継手)を介して支承されており、3つのリフト要素の上方の各端部と連結ヘッドとの結合は玉継手を介して行われ、かつ中央支えと連結ヘッドとの結合は互いの相対運動不能に行われ、中央支えと連結ヘッドとは互いに固定されている。
【0011】
本発明の実施態様では、各リフト要素はそれぞれ、液力式のリフトシリンダー(行程シリンダー又は往復動シリンダー)若しくは電気機械式のリフトシリンダーによって形成されている。この場合に有利には、各リフト要素は個別に作動(操作)させられるようになっており、つまり各リフト要素(リフトシリンダー)と制御ユニットとの接続は個別の制御通路によって行われている。有利な実施態様では、リフトの各リフト要素は、それぞれ互いに入れ子式(テレスコープ式)に配置された複数のシリンダーによって形成されている。リフトの各リフト要素は有利には、それぞれロック部材を備えている。
【0012】
本発明の有利な実施態様では、リフトに対応して、持ち上げ装置若しくは救助装置の構成部分としての制御ユニットを配置し、つまりリフトに前記制御ユニットを対応配置してあり、換言すれば、リフトは前記制御ユニットに接続されるようになっており、該制御ユニットは少なくとも1つの液体ポンプ(例えば油圧ポンプ)、複数の制御弁及び少なくとも1つの液体タンクを含んでいて、有利には1つの台車に取り付けられており、この場合にリフトと制御ユニットとの間の接続は、供給管路(供給通路)及び測定線路(測定通路)によって行われている。制御ユニットは、供給管路若しくは測定及び制御線路を介してリフト若しくはセンサーに接続可能な個別のユニットであり、供給管路若しくは測定及び制御線路は有利には迅速に着脱可能な接続部を備えている。制御ユニットのポンプは、1つの実施態様では、発電機によって作動可能な液体ポンプ、つまり電気駆動式の液体ポンプであり、別の実施態様では圧縮機(コンプレッサー)を介して作動可能な空気ポンプ、つまり空気力駆動式の空気ポンプである。圧縮機及び空気ポンプは、航空機救助の際に付加的に圧縮空気の必要な機器を用いる場合に有利であり、該機器は圧縮機によって圧縮空気の供給を受けるようになっている。
【0013】
制御ユニットの制御装置は、マイクロプロセッサー及び比例動作式弁若しくは適切な制御手段から成る電子式の制御部を含んでおり、該制御部は負荷並びに距離に依存して作動するようになっている。距離に依存した制御は、荷重支持部へのリフトの装着のために用いられるのに対して、荷重若しくは力に依存した制御はX方向の運動及びY方向の運動の際の荷重支持部の追随のために用いられる。
【0014】
本発明の実施態様では、伸縮可能なリフトの伸ばされた状態でのリフト高さ(行程高さ若しくは伸長距離)は約4m乃至約7mである、リフトの縮められた状態での構成高さ若しくはリフト高さは、約1m乃至約2mである。
【0015】
持ち上げるべき荷重は航空機、特に不時着して救援(救助若しくは回収)すべき航空機であり、この場合にリフトは、特に主翼の下側で航空機側の支持部(ウイング・ジャッキングポイント[Wing Jacking Point])に装着されるようになっている。
【0016】
次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。図面において、
図1は、事故を起こして走行脚(車輪、離着陸輪又は離着陸装置)が部分的にしか伸ばされていない航空機の正面図であり、
図2は、本発明に基づく持ち上げ装置の斜視図であり、この場合に持ち上げ装置のリフトは制御通路を介して制御ユニットに接続されており、
図3は、リフトの縮められた状態での側面図であり、
図4は、図3のリフトの平面図であり、
図5は、リフトの伸ばされた状態での側面図であり、
図6は、図5のリフトの平面図である。
【0017】
図2に示してある持ち上げ装置1は、図1に概略的に示してあるように、実施例では事故にあった航空機2の回収のために用いられるようになっている。図示の実施例では航空機2の3つの走行脚3のうちの2つのみしか走行可能ではなく、航空機2は、走行脚が引っ込んだままの側(航空機の左側)ではエンジンカバー4で接地している。航空機2を救助若しくは回収するためには、降下している左側の主翼5の下側にリフト6を装着して左側を持ち上げ、左側の走行脚を出す、つまり走出させる必要がある。リフト6は概略的に矢印で示してある。
【0018】
リフト6は、図2に示す持ち上げ装置1の構成部分であり、該持ち上げ装置は実施例では三脚式のリフト6並びに制御ユニット7を含んでいる。三脚式のリフト6は、それぞれ複数のシリンダーを互いに伸縮式(テレスコープ式若しくは入れ子式)に組み合わせて成る3つのリフトシリンダー8を備えており、該リフトシリンダー8はピラミッド状若しくは角錐状に配置されていて、上方の端部では1つの連結ヘッド9に係合し、つまり1つの連結ヘッド9に結合され、かつ下方の端部では、つまり下部側では1つの下部フレーム10に支えられている。実施例ではさらに伸縮式の中央支え11を設けてあり、該中央支えは、軸線方向力を受け止めるものではなく、もっぱら連結ヘッド9のための案内機能のみを生ぜしめるようになっている。下部フレーム10は、リフトシリンダー8のための3つの足部受け((受け皿若しくは支持ディスク)12、中央支え11のための1つの中央支持部13、及び3つの控え部材14を含んでおり、該控え部材は各足部受け12と中央支持部13とを結合している。控え部材14は剛性に形成され、若しくは長さを調節可能に形成されていてよい。控え部材の長さを調節可能に形成してある場合には、3つの足部受けによって規定(画定)される仮想の1つの円、つまり足部円を変化させ、ひいてはリフト6の側方安定性(横方向若しくは水平方向の力に対する安定性)を変化させることができるようになっている。リフトを場所的な各条件に適合させることも可能である。さらに、リフト6の高さを変えることもでき、このことは特に、伸縮式のリフトシリンダーを短くした状態(縮めた状態)で有利である。つまり前記足部円を大きくすることによって、リフトの最小高さを減少させることができ、リフトは、持ち上げるべき対象物の下側にも適合されるようになっている。
【0019】
連結ヘッド9は、上側に実施例では球状の突起部15を有しており、該突起部は航空機2の持ち上げのための航空機側の支持部18に当て付けられるようになっている。持ち上げ装置(救助装置)1は、連結ヘッド9の位置の検出のため、並びに連結ヘッド9に作用する荷重の測定のための測定装置を有しており、この場合に測定装置は制御ユニット7の制御部に接続されている。これによって、各リフトシリンダー8は互いに独立に荷重を制御され、若しくは長さを制御されるようになっている。荷重測定のために連結ヘッド9に力センサーを設けてあってよく、若しくは各リフトシリンダー8に、連結ヘッド9にかかる荷重の測定のための軸線方向力センサーを設けることも可能である。連結ヘッド9の位置検出は、リフトシリンダー8に設けられた長さ測定装置を用いて行われるようになっていてよい。しかしながら有利には図示の実施例では、連結ヘッド9の位置の検出のために、中央支え11の長さの測定のための1つの長さ測定装置並びに、中央支え11の角度の測定のための2つの角度測定装置を中央支え11に設けてあり、1つの長さ測定装置及び2つの角度測定装置から成る構成ユニットは、図2には、これらの測定装置の受容のためのケーシング16及び該ケーシング16から制御ユニット7へ延びる測定用導線17によって概略的に示してある。
【0020】
図1に示してある航空機2を片側で持ち上げる場合に、航空機に設けられた支持部(支持点)18は、出されている両方の走行脚3の各地面接地点によって画定(規定)される仮想の1つの軸線を中心として旋回することになる。
【0021】
図3及び図5には、持ち上げ行程19の円弧状の推移(軌跡)を二点鎖線で示してある。航空機の持ち上げ(リフティング)に際して、連結ヘッド9を持ち上げ行程19の推移に沿って移動させる必要がある。このことを実現するために、持ち上げ過程に際して連結ヘッド9に作用する横力を測定し、かつ測定値に応じて個別のリフトシリンダー8を制御して、持ち上げ運動に側方運動を重畳させるようになっている。この場合に電子式の制御装置によって、リフトシリンダー8の荷重に依存して制御された運動を生ぜしめ、その結果、図3及び図5に二次元的に示してある持ち上げ行程19の推移を画定するようになっている。このようにして航空機は、側方の荷重(負荷)を実質的に受けることなしに持ち上げられ、その際に三脚式のリフト若しくはその連結ヘッド9は、航空機側の支持部18の移動推移(移動軌跡)に追随するようになっている。
【0022】
三脚式のリフト6は、図示の実施例では図3及び図4に示す最小高さh1から、所定の高さh2へ力を制御しつつ作動される。前記最小高さより高い所定の高さ(行程高さ)h2は、図示の実施例では最大行程高さh3よりも低くなっている。航空機を行程高さh2まで持ち上げた状態では、主翼は地面に対して水平になっている。走行脚を伸ばす場合には、航空機をさらに全体的に持ち上げる必要がある。このために、他方の、つまり右側の主翼5aの下側に別のリフトを装着して、航空機2は両方のリフトによって垂直な方向に所定の高さ(行程高さ)まで、例えば最大行程高さh3まで持ち上げられるようになっている。垂直な方向の引き続く持ち上げに際しては、制御装置を距離制御に切り換えるようになっている。このことは、故障若しくは損傷していない両方の素行脚3によって規定されて存在していた支持点が、引き続く持ち上げに際しては失われ、若しくは無効になっていることに基づき必要である。つまり垂直方向の引き続く持ち上げに際して、リフトシリンダー8の制御は、発生する横力、例えば風による負荷(風力)の影響を受けないようになっている。
【0023】
三脚式のリフト6の作業領域25は、図3乃至図6にハッチングして示してある。図3及び図5から良好に見て取れるように、図示の実施例では、持ち上げ行程の行程軌跡(行程推移)は三脚式のリフト6の作業領域25内に位置している。航空機2に設けられている支持部18が主翼の持ち上げに際して、前記作業領域によって画定された領域から外側へ移動するような場合には、つまり、持ち上げ行程の行程軌跡(経過特性線)が強く湾曲している場合(特殊な例の場合)には、航空機を中間位置で支持して、三脚式のリフト6を位置決めし直す必要があり、つまり、前記中間位置で、三脚式のリフト6の中心位置を受容部18の真下に移すようになっている。
【0024】
三脚式のリフト6の行程高さh1は例えば220センチメートルであり、行程高さh2は例えば520センチメートルであり、最大行程高さh3は例えば620センチメートルである。
【0025】
横力をも伝達できる据え付け式のリフト装置にとって、リフトシリンダー8のヘッド側にも足部側にも種々の枢着部を設けてある。図2乃至図6に示す実施例では、3つのリフトシリンダー8に加えて付加的(追加的)に1つの中央支え11を設けてあり、この場合に3つのリフトシリンダー8の各足部20及び中央支え11の足部21は玉継手24に支承されており、2つのリフトシリンダーの上方の各シリンダー端部と連結ヘッドとの間の結合は、それぞれヒンジヘッド22を介して行われており、かつ第3の、つまり残りの1つのリフトシリンダーのシリンダー端部と連結ヘッドとの間の結合は、フランジ及び横ピンから成る旋回結合部23を介して行われている。中央支え11の上方の端部は連結ヘッド9に固く、つまり相対運動不能(剛性的)に結合されている。付言すると、各リフトシリンダー8に、例えば手動操作若しくは電動操作式のロックナットから成るロック装置を設けることも可能である。
【0026】
三脚式のリフト6は、それぞれ例えば2000キログラムの最大重量の複数の搬送ユニットに分解されるようになっていてよい。これによって使用現場への容易な搬送を可能にしている。使用現場への完全なリフトの搬送、若しくは分解式のリフトの搬送ユニットの搬送は、例えば一般的な構造の救助用レッカー車を用いて行われる。
【0027】
図2に示されていて三脚式のリフト6から分離可能な制御ユニット7は、少なくとも1つの液体ポンプ、制御弁、液体タンク及び装備品を含んでいる。測定線路(測定用導線)17並びに供給管路(供給ホース)26は、各巻き胴27に巻き取られるようになっており、この場合に巻き胴(リール)27は、制御ユニット7と一緒に1つの台車28上に取り付けられている。
【0028】
リフティング装置は、本発明に基づく3つのリフト6に連結された1つの航空機の種々の状態のシミュレーションのためにも用いられる。これによって、航空機の横軸及び縦軸(前後軸)を中心とした位置変化(状態変化若しくは姿勢変化)だけではなく、航空機の垂直軸を中心とした位置変化をも生ぜしめることができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】事故を起こした航空機の正面図
【図2】本発明に基づく持ち上げ装置の斜視図
【図3】持ち上げ装置のリフトの縮められた状態での側面図
【図4】図3のリフトの平面図
【図5】持ち上げ装置のリフトの伸ばされた状態での側面図
【図6】図5のリフトの平面図
【符号の説明】
【0030】
1 持ち上げ装置、 2 航空機、 3 走行脚、 4 エンジンカバー、 5 主翼、 6 リフト、 7 制御ユニット、 8 リフトシリンダー、 9 連結ヘッド、 10 下部フレーム、 11 中央支え、 12 足部受け、 13 中央支持部、 14 控え部材、 15 突起部、 16 ケーシング、 17 測定用導線、 18 支持部、 19 持ち上げ行程、 20,21 足部、 26 供給管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重(2)を持ち上げるための持ち上げ装置(1)であって、リフト(6)を備えており、該リフトは荷重の下に位置決めされるようになっている形式のものにおいて、リフト(6)は、少なくとも3つのリフト要素(8)、及び荷重側の支持部への連結のための1つの連結ヘッド(9)を有しており、該連結ヘッド(9)の位置の検出のため並びに該連結ヘッド(9)に作用する荷重ベクトルの測定のための測定装置を設けてあり、かつかつ前記各リフト要素の互いに独立したリフト距離制御式若しくは荷重制御式の作動ために前記測定装置に接続された制御装置を設けてあることを特徴とする、荷重を持ち上げるための持ち上げ装置。
【請求項2】
荷重の測定のために連結ヘッド(9)に、力センサーを設けてある請求項1に記載の持ち上げ装置。
【請求項3】
連結ヘッド(9)に作用する荷重の測定のために、リフト要素(8)に軸線方向力センサー若しくは圧力センサーを設けてある請求項1に記載の持ち上げ装置。
【請求項4】
連結ヘッド(9)の位置の検出のために、リフト要素(8)に長さ測定装置を設けてある請求項1から3のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。位置=姿勢、
【請求項5】
リフト(6)はリフト要素(8)に加えて伸縮式の1つの中央支え(11)を備えている請求項1から4のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項6】
3つのリフト要素(8)及び1つの中央支え(11)を備えたリフトにおいて、連結ヘッド(9)の位置の検出のために、前記中央支え(11)に1つの長さ測定装置及び2つの角度測定装置を設けてある請求項1から5のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項7】
リフト(6)の3つのリフト要素(8)の各足部(20)を玉継手(24)内に支承してあり、前記リフト要素の上方の各端部と連結ヘッド(9)とはピンを用いて結合されている請求項1から6のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項8】
3つのリフト要素(8)及び1つの中央支え(11)を備えたリフト(6)において、前記3つのリフト要素(8)及び前記1つの中央支え(11)の各足部(20)を玉継手(24)内に支承してあり、前記2つのリフト要素の上方の各端部と連結ヘッド(9)とは玉継手(22)を用いて結合されており、前記残りの1つのリフト要素の上方の端部と連結ヘッド(9)とはピン(23)を用いて結合されており、前記中央支え(11)と連結ヘッド(9)とは互いに固定されている請求項1から6のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項9】
3つのリフト要素(8)及び1つの中央支え(11)を備えたリフト(6)において、前記リフト要素(8)の各足部(20)を玉継手(24)内に支承してあり、前記中央支え(11)の足部(21)は自在継手を介して支承されており、前記リフト要素の上方の各端部と連結ヘッド(9)との結合は玉継手(22)を介して行われ、かつ前記中央支え(11)と連結ヘッド(9)との結合は互いの相対運動不能に行われている請求項1から6のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項10】
リフト(6)の各リフト要素(8)は、ロック部材を備えている請求項1から9のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項11】
リフト(6)の各リフト要素(8)は、互いに入れ子式に配置された複数のシリンダーによって形成されている請求項1から10のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項12】
リフト(6)は、複数の搬送ユニットに分解されるようになっている請求項1から11のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項13】
リフト(6)は下部フレーム(10)を含んでおり、該下部フレームは各リフト要素(8)のための足部受け(12)、中央支え(11)の中央支持部(13)、及び該中央支持部(13)と前記各足部受け(12)とを結合する控え部材(14)を備えている請求項1から12のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項14】
リフト(6)は、救助装置の構成部分としての制御ユニット(7)に接続されるようになっており、該制御ユニットは液体ポンプ、制御弁及び液体タンクを含んでいて、台車(28)に取り付けられており、前記リフト(6)と前記制御ユニット(7)との間の接続は、供給管路(16)及び測定線路(17)によって行われている請求項1から13のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項15】
制御ユニット(7)は、発電機によって作動可能な液体ポンプを有している請求項14に記載の持ち上げ装置。
【請求項16】
制御ユニット(7)は、圧縮機によって作動可能な空気ポンプを有している請求項14に記載の持ち上げ装置。
【請求項17】
リフト(6)の伸ばされた状態でのリフト高さは4m乃至7mである請求項1から16のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項18】
リフト(6)の縮められた状態での構成高さ若しくはリフト高さは、1m乃至2mである請求項1から17のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項19】
制御ユニット(7)の制御装置は、マイクロプロセッサー及び比例動作式弁を含む電子式の制御部によって形成されており、該制御部は負荷並びに距離に依存して作動するようになっている請求項1から18のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項20】
リフト要素(8)は、液力式のリフトシリンダー若しくは電気機械式のリフトシリンダーによって形成されている請求項1から19のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項21】
リフト要素(8)は、個別に作動させられるようになっている請求項1から20のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。
【請求項22】
持ち上げるべき荷重は航空機(2)であり、リフト(6)は、主翼(5)の下側で航空機側の支持部(18)に装着されるようになっている請求項1から21のいずれか1項に記載の持ち上げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−526722(P2009−526722A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554606(P2008−554606)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012371
【国際公開番号】WO2007/093212
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(592198633)ヒドロ−ゲレーテバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト ヘーベツォイゲ (1)
【住所又は居所原語表記】Ahfeldstrasse 10,D−77781 Biberach/Baden,Germany