説明

著作権管理支援システム、著作権管理支援方法及び著作権管理支援プログラム

【課題】著作権についてのライセンスの的確な管理を支援するための著作権管理支援システム、著作権管理支援方法及び著作権管理支援プログラムを提供する。
【解決手段】著作権管理支援サーバ20は、コンテンツ情報記憶部22、購入契約情報記憶部23、販売契約情報記憶部24、関連権利情報記憶部25を備える。そして、利用者端末10から検索条件を受信した著作権管理支援サーバ20の制御部21は、コンテンツ情報記憶部22、購入契約情報記憶部23、販売契約情報記憶部24を用いて、利用可能なコンテンツを表示したアベイラブルリストを出力する。更に、利用者端末10から詳細要求を受信した制御部21は、著作権展開リストを出力する。そして、利用者端末10において設定された販売希望の権利範囲と既購入契約、既販売契約における権利との照合を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、著作権についてのライセンスの的確な管理を支援するための著作権管理支援システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、テレビや映画等のように各種メディアを通して、多様なコンテンツが提供されている。このようなコンテンツには、いろいろな著作権が関係しており、このようなコンテンツを利用するためにはライセンスが必要になる。そこで、ライセンス等の著作権処理に関する簡易化を図り、コンテンツの著作権の権利処理を仲介・支援する情報処理システムが検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献記載の技術では、データ送受信装置は、コンテンツの著作権者からコンテンツを受信すると、発信回線番号認識機構により発信端末の発信回線番号を認識する。次に、電子透かし埋め込み装置により発信回線番号をコンテンツの中に電子透かしとして埋め込み、その透かし入りコンテンツを返信する。また、データ送受信装置は、著作権者の利用(購入)許諾が必要なコンテンツを受信すると、電子透かし検出装置により電子透かしで埋め込まれた発信回線番号を検出し、その発信回線番号の情報を要求元へ返信する。
【0003】
また、デジタルコンテンツの流通も活発化しており、各種コンテンツの管理システムが検討されている。例えば、データの種類に応じた著作権保護を施した一つまたは複数のデジタルコンテンツを簡便に販売または購入可能なコンテンツ販売システムが検討されている(例えば、特許文献2を参照。)。この文献記載のコンテンツ販売システムは、一つまたは複数のデジタルコンテンツから成る商品情報を設定し、商品として販売する商品管理手段と、商品に含まれる前記デジタルコンテンツを記録し、配信するコンテンツ管理手段とを備える。更に、デジタルコンテンツの各々にライセンス発行条件を設定し、ライセンスを配信することでデジタルコンテンツの利用を許諾するライセンス管理手段を備える。そして、商品管理手段、コンテンツ管理手段及びライセンス管理手段と通信しながら、情報端末においてデジタルコンテンツを再生する。
【特許文献1】特開2002−175380号公報(第1頁)
【特許文献2】特開2003−187017号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンテンツを提供する事業を行なう場合、その事業の対象となるコンテンツにかかわる著作権について所定のライセンスを取得する必要があり、このような著作権を仲介する流通サービスも活発化している。しかし、著作権の権利関係は複雑である。例えば、図14に示すように、著作権については対象国毎にライセンス契約を締結する必要がある。更に、このような著作権は、言語やメディアなど設定対象によっても異なる。また、ライセンス契約を行なう場合には、その権利期間も考慮しなければならない。
【0005】
更に、特定のコンテンツを提供する場合には、これに関連する他の権利を考慮しなければならないこともある。例えば、地上波テレビ放送により番組のコンテンツの提供を行なう場合には、衛星放送等における放映状況なども考慮する必要があり、地上波テレビ放送権と衛星放送権とが関連する。また、先に放送した番組と同じ番組を近い時期に再放送したのでは、そのコンテンツの魅力を低減してしまうことになる。このように、コンテンツに関わる権利を購入したり販売したりするための契約を締結する場合には、他の著作権の契約状況を考慮しなければならない場合もある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、著作権についてのライセンスの的確な管理を支援するための著作権管理支援システム、著作権管理支援方法及び著作権管理支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、保持する著作権ライセンスについて、著作権種別毎に権利期間に関するデータを記録したリソースデータ記憶手段と、販売した著作権ライセンスについて、著作権種別毎に独占期間に関する契約データを記録した販売契約データ記憶手段と、著作権ライセンスの販売管理を行なう制御手段を備えた著作権管理支援システムであって、前記制御手段が、前記リソースデータ記憶手段に記録された権利期間が残存する著作権ライセンスを、販売候補として特定し、この著作権ライセンスに対して、販売を希望する著作権ライセンスの著作権種別及び希望権利期間を含む販売希望対象範囲に関するデータを取得する手段と、販売希望対象範囲に対して、競合する著作権種別を特定し、この著作権種別について、前記販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する手段と、前記既販売権利範囲の独占期間と前記販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、両期間の重複範囲を出力する手段として機能することを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の著作権管理支援システムにおいて、前記リソースデータ記憶手段には、保持する著作権ライセンスについて、著作権種別毎に制限回数に関するデータが更に記録され、前記制御手段は、前記著作権ライセンスの実施履歴を取得し、前記実施履歴における回数が前記リソースデータ記憶手段に記録された制限回数に達していない著作権ライセンスを販売候補として特定することを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の著作権管理支援システムにおいて、前記販売契約データ記憶手段には、販売した著作権ライセンスについて、著作権種別毎に利用回数に関するデータが更に記録され、前記制御手段は、前記著作権ライセンスの実施履歴を取得し、前記実施履歴における回数が前記販売契約データ記憶手段に記録された制限回数に達している著作権ライセンスは、前記既販売権利範囲から除くことを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の著作権管理支援システムにおいて、前記ソースデータ記憶手段に記録された著作権ライセンスは、購入した著作権ライセンスであることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の著作権管理支援システムにおいて、相互に関連する著作権の著作権種別を関連付けて記録した関連著作権データ記憶手段を更に備え、前記制御手段が、更に、前記関連著作権データ記憶手段を用いて、前記販売希望対象範囲の著作権に対して関連する関連著作権の著作権種別を特定する手段と、前記関連著作権の著作権種別について、前記販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する手段と、前記既販売権利範囲の独占期間と前記販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、両期間の重複範囲を出力する手段として機能することを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の著作権管理支援システムにおいて、前記制御手段が、更に、前記販売希望対象範囲の著作権に対して、前記リソースデータ記憶手段に記録された著作権ライセンスの購入範囲に関するデータを取得する手段と、前記購入範囲と前記販売希望対象範囲とを照合し、両者の不足範囲を出力する手段として機能することを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、保持する著作権ライセンスについて、著作権種別毎に権利期間に関するデータを記録したリソースデータ記憶手段と、販売した著作権ライセンスについて、著作権種別毎に独占期間に関する契約データを記録した販売契約データ記憶手段と、著作権ライセンスの販売管理を行なう制御手段を備えた著作権管理支援システムを用いて著作権の管理支援を行なうための方法であって、前記制御手段が、前記リソースデータ記憶手段に記録された権利期間が残存する著作権ライセンスを、販売候補として特定し、この著作権ライセンスに対して、販売を希望する著作権ライセンスの著作権種別及び希望権利期間を含む販売希望対象範囲に関するデータを取得する段階と、販売希望対象範囲に対して、競合する著作権種別を特定し、この著作権種別について、前記販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する段階と、前記既販売権利範囲の独占期間と前記販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、重複範囲を出力する段階とを実行することを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、保持する著作権ライセンスについて、著作権種別毎に権利期間に関するデータを記録したリソースデータ記憶手段と、販売した著作権ライセンスについて、著作権種別毎に独占期間に関する契約データを記録した販売契約データ記憶手段と、著作権ライセンスの販売管理を行なう制御手段を備えた著作権管理支援システムを用いて著作権の管理支援を行なうためのプログラムであって、前記制御手段を、前記リソースデータ記憶手段に記録された権利期間が残存する著作権ライセンスを、販売候補として特定し、この著作権ライセンスに対して、販売を希望する著作権ライセンスの著作権種別及び希望権利期間を含む販売希望対象範囲に関するデータを取得する手段と、販売希望対象範囲に対して、競合する著作権種別を特定し、この著作権種別について、前記販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する手段と、前記既販売権利範囲の独占期間と前記販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、重複範囲を出力する手段として機能させることを要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1、7、8に記載の発明によれば、制御手段は、リソースデータ記憶手段に記録された著作権ライセンスを、販売候補として特定し、この著作権ライセンスに対して、販売を希望する著作権ライセンスの著作権種別及び希望権利期間を含む販売希望対象範囲に関するデータを取得する。次に、制御手段は、販売希望対象範囲に対して、競合する著作権種別を特定し、この著作権種別について、販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する。そして、制御手段は、既販売権利範囲の独占期間と販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、両期間の重複範囲を出力する。これにより、著作権ライセンスを的確かつ効率的に販売することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、著作権ライセンスの実施履歴を取得し、この実施履歴における回数がリソースデータ記憶手段に記録された制限回数に達していない著作権ライセンスを販売候補として特定する。これにより、制限回数が設定された著作権ライセンスを的確に販売することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、著作権ライセンスの実施履歴を取得し、実施履歴における回数が販売契約データ記憶手段に記録された制限回数に達している著作権ライセンスを除いて、競合する著作権ライセンスを特定する。これにより、制限回数に達した既販売の著作権ライセンスを抹消して、新たな販売を促進することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、購入した著作権ライセンスを販売することにより、著作権ライセンスの販売仲介を行なうことができる。
請求項5に記載の発明によれば、制御手段は、販売希望対象範囲の著作権に対して、関
連著作権データ記憶手段を用いて、関連する関連著作権の著作権種別を特定する。次に、制御手段は、関連著作権の著作権種別について、販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する。そして、既販売権利範囲の独占期間と販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、両期間の重複範囲を出力する。これにより、相互に関連した著作権について、競合した著作権ライセンスの販売を抑制し、的確な管理を行なうことができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、制御手段は、販売希望対象範囲の著作権に対して、リソースデータ記憶手段に記録された著作権ライセンスの購入範囲に関するデータを取得する。そして、制御手段は、購入範囲と販売希望対象範囲とを照合し、不足範囲を出力する。これにより、販売に必要な権利の購入の促進を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、著作権についてのライセンスの的確な管理を支援するための著作権管理支援システム、著作権管理支援方法及び著作権管理支援プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図13に従って説明する。本実施形態では、企業内の担当者が、購入した著作権のライセンスを、第三者に販売する場合に用いる著作権管理支援システム、著作権管理支援方法及び著作権管理支援プログラムとして説明する。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、著作権管理支援システムとしての著作権管理支援サーバ20が著作権管理支援処理を実行する。この著作権管理支援サーバ20には、ネットワークを介して利用者端末10が接続されている。
【0023】
利用者端末10は、著作権のライセンスの購入や販売を行なう担当者が使用するコンピュータ端末である。この利用者端末10は、利用者が著作権管理支援サーバ20にアクセスする場合に用いられる。利用者端末10は、ネットワークを介してデータを送信する機能や、受信したデータを表示する機能等を有する。このため、この利用者端末10は、図示しないCPU、RAM、ROMの他、キーボード、マウス等の入力手段、ディスプレイ等の出力手段、通信手段等を有する。
【0024】
著作権管理支援サーバ20は、利用者端末10から受信したデータに基づいて著作権契約を管理する各種データ処理を行なうコンピュータシステムである。この著作権管理支援サーバ20は、制御部21を備える。
【0025】
この制御部21は、著作権管理支援処理を行なうための各種データの管理処理等を行なう制御手段として機能する。この制御部21は、図示しないCPU、RAM、ROM等を有する。そして、後述する処理(販売希望対象範囲データ取得段階、既販売権利範囲検索段階、重複範囲出力段階、関連著作権の著作権種別特定段階、関連著作権の既販売権利範囲検索段階、購入範囲データ取得段階、不足範囲出力段階の各処理等)を実行する。そのための著作権管理支援プログラムを実行することにより、制御部21は、図2に示すように、実施状況確認処理手段210、利用者認証手段211、検索処理手段212、アベイラブルリスト作成手段213、著作権特定手段214、契約状況取得処理手段215、状況確認処理手段216として機能する。
【0026】
ここで、実施状況確認処理手段210は、実施状況情報を取得して、実施履歴を購入契約情報記憶部23や販売契約情報記憶部24に記録する。
利用者認証手段211は、マスタデータ記憶部(図示せず)に記憶された社員マスタデータを用いて、ログイン時の利用者の認証処理を実行する。
【0027】
検索処理手段212は、利用者端末10からの要求に応じて、コンテンツの検索処理を行なう。
アベイラブルリスト作成手段213は、抽出したコンテンツに基づいて、販売可能なコンテンツを列挙したアベイラブルリストを作成し、利用者端末10に提供する。
【0028】
著作権特定手段214は、アベイラブルリストの中から選択されたコンテンツに関する著作権を特定する。
契約状況取得処理手段215は、販売を希望する著作権のライセンスや、この著作権の関連する著作権(関連著作権)のライセンスの契約状況に関するデータを取得する。
【0029】
状況確認処理手段216は、販売を希望する著作権のライセンスの内容と、契約状況とを比較して、注意を要する差分(重複範囲や不足範囲)を検出して利用者端末10に通知する。
【0030】
更に、著作権管理支援サーバ20は、図1に示すように、コンテンツ情報記憶部22、リソースデータ記憶手段としての購入契約情報記憶部23、販売契約データ記憶手段としての販売契約情報記憶部24、関連著作権データ記憶手段としての関連権利情報記憶部25を備える。
【0031】
コンテンツ情報記憶部22には、この企業が取り扱う著作権の対象(例えば、番組等の作品)に関するコンテンツ情報レコード220が記録されている。このコンテンツ情報レコード220は、売買対象のコンテンツが登録された場合に記録される。コンテンツ情報レコード220には、図3に示すように、作品ID、エピソードID、作品タイトル、エピソードタイトル、ジャンルに関するデータが記録される。
【0032】
作品IDデータ領域には、各作品を特定するための識別子に関するデータが記録される。
エピソードIDデータ領域には、この作品(例えば、番組)が複数のエピソードから構成されている場合には、各エピソードを特定するための識別子に関するデータが記録される。この作品ID及びエピソードIDを用いることにより、後述する購入契約情報や販売契約情報を特定することができる。
【0033】
作品タイトルデータ領域には、各作品(例えば、番組)の名称(タイトル)に関するデータが記録される。
エピソードタイトルデータ領域には、作品を構成するエピソードの名称(タイトル)に関するデータが記録される。
ジャンルデータ領域には、作品やエピソードが属する分野(例えば「洋画」)に関するデータが記録される。
【0034】
購入契約情報記憶部23には、この企業が購入し、保持する著作権ライセンスについての契約データとして購入契約情報レコード230が記録される。この購入契約情報レコード230は、著作権のライセンスの購入契約が締結された場合に記録され、その後の状況に応じて更新される。購入契約情報レコード230は、図4に示すように、購入契約ID、作品ID、エピソードID、対象国、言語、権利種別ID、権利種別明細ID、権利期間、ブラックアウト期間、回数制限、実施履歴に関するデータを含んで構成される。
【0035】
購入契約IDデータ領域には、各購入契約を特定するための識別子に関するデータが記
録される。
作品IDデータ領域やエピソードIDデータ領域には、購入したライセンスについての作品やエピソードを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0036】
対象国データ領域や言語データ領域には、購入した著作権のライセンスの対象国、言語に関するデータが記録される。この対象国、言語において著作権のライセンスを第三者に販売することができる。
【0037】
権利種別IDデータ領域には、購入した著作権のライセンスの種別を特定するためのデータが記録される。この権利種別IDには、例えば放送権、ビデオグラム権、出版化権等の種別がある。
【0038】
権利種別明細IDデータ領域には、この権利種別を詳細に分類した明細に関するデータが記録される。この権利種別明細IDには、例えば、放送権に対しては、地上波放送権(無料)、地上波放送権(有料)、ケーブル放送権(無料)、ケーブル放送権(有料)、BS衛星放送(無料)、BS放送権(有料)、CS衛星放送権(無料)、CS衛星放送権(有料)、インフライト権、ブロードバンド権、ローカル放送権などがある。
【0039】
権利期間データ領域には、購入した著作権のライセンスの販売可能期間(開始日及び終了日)に関するデータが記録される。
ブラックアウト期間データ領域には、ブラックアウト期間(開始日及び終了日)に関するデータが記録される。ここで、ブラックアウトとは、この購入契約時に、販売のライセンスを有する期間の前又は後に販売を行わないことを約束することである。
【0040】
回数制限データ領域には、購入契約において、権利種別明細により特定されるコンテンツ利用の回数に制限が設定されている場合には、その回数に関するデータが記録される。
実施履歴データ領域には、このコンテンツの実施履歴に関するデータが記録される。具体的には、実施日に関するデータが記録され、この実施履歴を計数することにより、実施回数を特定することができる。
【0041】
一方、販売契約情報記憶部24には、この企業が販売した著作権のライセンスについての契約データとして販売契約情報レコード240及びホールドバックレコード241が記録される。この販売契約情報レコード240、ホールドバックレコード241は、著作権のライセンス販売契約が締結された場合に記録され、その後の状況に応じて更新される。ここで、ホールドバックとは、この販売契約時に、販売した権利には別の権利を一定期間、他者に販売しないことを約束することである。
【0042】
販売契約情報レコード240は、図5に示すように、販売契約ID、作品ID、エピソードID、対象国、言語、権利種別ID、権利種別明細ID、権利期間、独占期間、回数制限、実施履歴に関するデータを含んで構成される。
【0043】
販売契約IDデータ領域には、各販売契約を特定するための識別子に関するデータが記録される。
作品IDデータ領域やエピソードIDデータ領域には、販売したライセンスについての作品やエピソードを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0044】
対象国データ領域や言語データ領域には、販売した著作権のライセンスの対象国、言語に関するデータが記録される。
権利種別IDデータ領域には、販売した著作権のライセンスの種別を特定するためのデータが記録される。
【0045】
権利種別明細IDデータ領域には、この権利種別を詳細に分類した明細に関するデータが記録される。
権利期間データ領域には、販売した著作権の有効期間(開始日及び終了日)に関するデータが記録される。
【0046】
独占期間データ領域には、販売先が独占権を有する期間(開始日及び終了日)に関するデータが記録される。従って、販売契約において、独占期間が登録されている場合には、このライセンスを、販売先以外の他者に販売することができない。
【0047】
回数制限データ領域には、販売契約において、権利種別明細により特定されるコンテンツ利用の回数に回数制限が設定されている場合には、その回数に関するデータが記録される。
【0048】
実施履歴データ領域には、このコンテンツの実施履歴に関するデータが記録される。具体的には、実施日に関するデータが記録され、この実施履歴を計数することにより、実施回数を特定することができる。
【0049】
一方、ホールドバックレコード241は、販売契約ID、権利種別ID、権利種別明細ID、ホールドバック期間に関するデータを含んで構成される。販売契約ID、権利種別ID、権利種別明細IDにより、ホールドバックレコード241と販売契約情報レコード240とが関連付けられている。
【0050】
ホールドバック期間は、販売契約ID、権利種別ID、権利種別明細IDによって特定される契約において設定されたホールドバック期間(開始日及び終了日)に関するデータが記録される。
【0051】
さらに、関連権利情報記憶部25には、権利種別毎に、各権利に関連性がある他の権利に関する関連権利情報レコード250が記録される。この関連権利情報レコード250は、相互に関連する権利をグループとして登録された場合に記録される。この関連権利情報レコード250には、図6に示すように、相互に関連性を有する権利種別ID、権利種別明細IDが関連付けられて記録される。
【0052】
次に、本実施形態の著作権管理支援を行なう場合の処理について説明する。ここでは、全体の手順(図7)、実施状況の確認処理(図8)、新規販売の確認処理(図9〜図11)の順に説明する。
【0053】
著作権のライセンスの購入を行なった場合には、購入契約情報の登録を行なう(ステップS1−1)。具体的には、コンテンツ情報レコード220、購入契約情報レコード230を生成し、それぞれをコンテンツ情報記憶部22、購入契約情報記憶部23に登録する。
【0054】
一方、購入して販売された著作権のライセンスについては、実施状況の登録処理を行なう(ステップS1−2)。具体的には、後述するように、購入契約情報レコード230や販売契約情報レコード240において、実施履歴が逐次、追加登録される。
【0055】
そして、新たに著作権のライセンスを販売する場合には、新規販売の確認処理を行なう(ステップS1−3)。ここでは、新たに販売を希望する著作権のライセンスについて、購入契約や他の販売契約との関係において問題がないかどうかを確認する。
【0056】
次に、著作権のライセンスの販売を行なった場合には、販売契約情報の登録を行なう(ステップS1−4)。具体的には、販売契約情報レコード240やホールドバックレコード241を生成し、販売契約情報記憶部24に登録する。
【0057】
以上の手順において実行される各処理を、次に詳述する。
(実施状況の確認処理)
先ず、実施状況の確認処理について、図8を用いて説明する。
【0058】
著作権管理支援サーバ20の制御部21は、実施情報の取得処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の実施状況確認処理手段210が実施情報を取得する。例えば、利用者端末10において、作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細IDを特定して入力された実施情報を取得する。
【0059】
また、例えば、テレビ等における放送番組の場合には、インターネット等において公開される番組表を用いて、定期的に実施情報を取得することも可能である。この場合には、番組表において公開されるメディアに対応させて権利種別ID、権利種別明細IDを登録したメディア対応表を用いる。そして、実施状況確認処理手段210が、コンテンツ情報記憶部22に記録された作品タイトルやエピソードタイトルをキーワードとして番組表を検索する。そして、実施状況確認処理手段210は、番組表において、キーワードに合致するコンテンツを検出した場合には、このメディア対応表に基づいて、権利種別ID、権利種別明細IDを特定する。そして、実施状況確認処理手段210は、この番組の放送日を実施日として、実施履歴を購入契約情報記憶部23や販売契約情報記憶部24に記録する。
【0060】
次に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、制限回数の確認処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の実施状況確認処理手段210は、販売契約情報レコード240の実施履歴に記録された実施回数を計数する。そして、この実施回数と、販売契約情報レコード240の回数制限とを比較する。
【0061】
実施回数が回数制限に達した場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、権利期間満了処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の実施状況確認処理手段210は、システムタイマから現在日付を取得する。そして、実施状況確認処理手段210は、この現在日付を、販売契約情報レコード240の権利期間の終了日として更新記録する。これにより、この販売契約を終了させて、新たな販売契約を締結できるようにすることができる。
【0062】
次に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、ホールドバックの有無の確認処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、この販売契約情報レコード240に関連付けられたホールドバックレコード241の登録の有無を確認する。
【0063】
ホールドバックレコード241が登録されている場合(ステップS2−4において「YES」の場合)には、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、ホールドバックの終了処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の実施状況確認処理手段210は、現在日付をホールドバック期間の終了日として更新記録する。これにより、このホールドバックを終了させることができる。
【0064】
なお、実施回数が回数制限に達していない場合(ステップS2−2において「NO」の場合)や、ホールドバックレコード241が登録されていない場合(ステップS2−4において「NO」の場合)には、そのまま実施状況の確認処理を終了する。
【0065】
(新規販売時の契約状況確認処理)
次に、図9〜図11を用いて、新規販売時の契約状況確認処理を説明する。
新規販売を行なう場合、まず、利用者端末10のブラウザプログラムを起動し、著作権管理支援サーバ20にアクセスする。
【0066】
この場合、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、利用者認証処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、著作権管理支援サーバ20は、ネットワークを介して利用者端末10にログイン画面データを送信する。そして、このログイン画面データを受信した利用者端末10のディスプレイには、ログイン画面が表示される。このログイン画面は、社員コード及びログインパスワードの入力欄を備える。
【0067】
ログイン画面の各入力欄に対して社員コード及びログインパスワードの入力後、送信ボタンが選択された場合、利用者端末10は、ログイン要求を著作権管理支援サーバ20に送信する。このログイン要求には、入力された社員コード及びログインパスワードに関するデータを含める。
【0068】
ログイン要求を受信した制御部21の利用者認証手段211は、は、マスタデータ記憶部の社員マスタを用いて、ログイン要求に含まれる社員コード及びログインパスワードの登録の有無を確認する。そして、利用者認証ができた場合、利用者認証手段211は、この社員の権限に対応したメニュー画面データを利用者端末10に提供する。ここでは、著作権のライセンスの販売権限を有する社員に対して、販売提案を実行するための選択ボタンを含むメニュー画面データを提供する場合を想定する。具体的には、メニュー画面に表示されたコンテンツ検索ボタンを選択する。この場合、利用者端末10は、検索画面要求を著作権管理支援サーバ20に送信する。
【0069】
検索画面要求を受信した著作権管理支援サーバ20の制御部21は、検索条件設定処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、コンテンツ検索画面データを利用者端末10に提供する。そして、このコンテンツ検索画面データを受信した利用者端末10のディスプレイには、コンテンツ検索画面が表示される。このコンテンツ検索画面は、コンテンツを検索するためのキーワード入力欄を備える。コンテンツ検索画面のキーワード入力欄において、ジャンルやタイトル名を入力することができる。そして、キーワードの入力後、送信ボタンを選択した場合、利用者端末10は、検索要求を著作権管理支援サーバ20に送信する。この検索要求には、入力されたキーワードに関するデータを含める。
【0070】
検索要求を受信した著作権管理支援サーバ20の制御部21は、コンテンツ検索処理を実行する(ステップS3−3)。このコンテンツ検索処理を、図10を用いて説明する。
ここでは、著作権管理支援サーバ20の制御部21が、受信したキーワードを用いてレコード検索処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21の検索処理手段212が、コンテンツ情報記憶部22を利用して、受信したキーワードを含むコンテンツ情報レコード220を検索する。コンテンツ情報レコード220を抽出できた場合には、検索処理手段212は、抽出したコンテンツ情報レコード220の作品IDとエピソードIDとを特定する。
【0071】
次に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、購入契約レコードにおいて権利期間が残っているコンテンツの特定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、検索処理手段212は、特定した作品IDとエピソードIDとを含む購入契約情報レコード230を、購入契約情報記憶部23から抽出する。次に、検索処理手段212は、抽出した購入契約情報レコード230において、権利期間を特定する。そして、検索処理手段212は、現在日付をシステムタイマから取得し、権利期間の終了日が現在日付に達していな
い購入契約情報レコード230を特定し、メモリに一時記憶する。
【0072】
次に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、販売契約の独占期間の照合処理を実行する(ステップS4−3)。検索処理手段212は、ステップS4−2において特定された購入契約情報レコード230の作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細IDを含む販売契約情報レコード240を特定し、この販売契約情報レコード240に記録された独占期間の終了日を取得する。そして、この独占期間が購入契約情報レコード230の権利期間の終了日まで設定されている作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細IDを特定し、これに関する購入契約情報レコード230を一時記憶されたメモリから削除する。
【0073】
次に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、ホールドバック期間の照合処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、検索処理手段212は、ステップS4−2において特定された購入契約情報レコード230の作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細IDを含むホールドバックレコード241を特定し、ホールドバック期間の終了日を取得する。そして、このホールドバック期間が購入契約情報レコード230の権利期間の終了日まで設定されている作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細IDを特定し、これに関する購入契約情報レコード230を一時記憶されたメモリから削除する。
【0074】
そして、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、購入契約の権利期間が残っているコンテンツの特定処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、検索処理手段212は、メモリに残っている購入契約情報レコード230の作品ID、エピソードIDを特定する。このような購入契約情報レコード230については、購入した権利が残存していることになる。以上により、コンテンツ検索処理を終了する。
【0075】
そして、図9に示す契約状況確認処理に戻る。
ここでは、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、アベイラブルリストの出力処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21のアベイラブルリスト作成手段213が、特定した作品IDとエピソードIDを含むコンテンツ情報レコード220を抽出し、このコンテンツを一覧表示させたアベイラブルリスト300(図12)を作成する。このアベイラブルリスト300には、抽出されたコンテンツ毎に、コンテンツ情報レコード220の作品タイトルやエピソードタイトル、ジャンルに関する情報が含まれる。更に、このアベイラブルリスト300には、各コンテンツを選択するための選択可能アイコンが対応付けられている。
【0076】
この場合、利用者端末10のディスプレイには、図12に示すように、アベイラブルリスト300を含む表示画面500が出力される。表示画面500に出力される選択可能アイコンには、作品IDとエピソードIDが関連付けられて記憶されている。そして、各アイコンが選択された場合、この選択可能アイコンに関連付けられた作品IDとエピソードIDに関するデータを含めた詳細要求が、著作権管理支援サーバ20に送信される。
【0077】
詳細要求を受信した著作権管理支援サーバ20の制御部21は、著作権展開リスト出力処理を実行する(ステップS3−5)。ここでは、利用者端末10のディスプレイに出力されたアベイラブルリスト300においてコンテンツが選択された場合、利用者端末10は作品IDとエピソードIDに関するデータを含めた詳細要求を著作権管理支援サーバ20に送信する。
【0078】
詳細要求を受信した著作権管理支援サーバ20の制御部21は、受信した作品IDとエピソードIDを用いて、購入契約情報レコード230及び販売契約情報レコード240を
取得する。そして、第1軸(ここでは、横軸)に時間、第2軸(ここでは、縦軸)にコンテンツ、権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語を示した著作権展開リスト310(図12)を作成する。この著作権展開リスト310には、取得した購入契約情報レコード230及び販売契約情報レコード240を用いて各権利の権利期間やホールドバック期間が表示される。そして、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、この著作権展開リストを含めた詳細画面データを利用者端末10に送信する。この詳細表示画面データには、販売を希望する権利期間、独占の有無を設定することができる入力欄312が設けられている。
【0079】
このデータを受信した利用者端末10のディスプレイには、図12に示す詳細表示画面510が表示される。この詳細表示画面510を用いることにより、各権利の選択ボタン、権利期間、独占希望の有無を設定することができる。
【0080】
ライセンス販売を希望する著作権がある場合には、著作権展開リストにおいて、この著作権を選択し、必要に応じて入力欄312を用いて、販売を希望する権利期間(販売希望権利期間)、独占希望の有無を選択する。そして、詳細表示画面510上の送信ボタンが選択された場合、利用者端末10は、確認要求を著作権管理支援サーバ20に送信する。この確認要求には、選択された作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語、入力された販売希望権利期間に関するデータ(販売希望対象範囲データ)を含める。更に、独占希望が選択された場合には、利用者端末10は、確認要求に独占フラグに関するデータを含める。
【0081】
確認要求を受信した著作権管理支援サーバ20の制御部21は、確認処理を実行する(ステップS3−6)。この確認処理を、図11を用いて説明する。
ここでは、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、販売希望の権利範囲(販売希望対象範囲)を取得する(ステップS5−1)。具体的には、制御部21の契約状況取得処理手段215が、利用者端末10から、選択された作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語、入力された販売希望権利期間に関するデータを含む販売希望対象範囲データを取得する。
【0082】
そして、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、購入契約との照合処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、制御部21の契約状況取得処理手段215は、購入契約情報記憶部23において、確認要求に含まれる作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語を用いて、購入契約情報レコード230を検索する。
【0083】
そして、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、購入契約における不足の有無の確認処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、制御部21の状況確認処理手段216が、契約状況取得処理手段215から取得した購入契約情報レコード230の権利期間と、確認要求に含まれる販売希望権利期間とを比較する。
【0084】
例えば、図13に示すように、購入した権利期間が期間T1であって、確認要求に含まれる販売希望権利期間を期間T2とした場合、期間T11の権利が不足していることになる。このように確認要求に含まれる販売希望権利期間に対して購入契約情報レコード230の権利期間が短い場合(ステップS5−3において「YES」の場合)には、状況確認処理手段216は、不足範囲の出力処理を実行する(ステップS5−4)。この場合、状況確認処理手段216は、不足範囲があることを利用者端末10に通知し、利用者端末10のディスプレイには、その不足範囲を表示させたアラームが出力される。
【0085】
次に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、既に販売された同一権利の照合処理
を実行する(ステップS5−5)。具体的には、制御部21の契約状況取得処理手段215は、販売契約情報記憶部24において、確認要求に含まれる作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語を用いて、販売契約情報レコード240を検索する。
【0086】
そして、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、販売契約における重複の有無の確認処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、制御部21の状況確認処理手段216が、契約状況取得処理手段215から取得した販売契約情報レコード240の権利期間と、確認要求に含まれる販売希望権利期間とを比較する。ここでは、既販売の権利において独占期間が設定されている場合や、販売希望の権利において独占期間が設定されている場合、或いは両者において独占期間が設定されている場合に、この独占期間との重複の有無を確認する。更に、既販売の権利にホールドバックレコード241が設定されている場合にも、販売希望権利期間との重複の有無を確認する。
【0087】
例えば、図13に示すように、期間T3の独占期間が設定された同一権利を既に販売している場合には、期間T12において販売希望権利期間と重複することになる。このように、確認要求に含まれる権利期間に対して販売契約情報レコード240の権利期間やホールドバックレコード241のホールドバック期間に重複がある場合(ステップS5−6において「YES」の場合)には、状況確認処理手段216は、重複範囲の出力処理を実行する(ステップS5−7)。この場合、状況確認処理手段216は、重複範囲があることを利用者端末10に通知し、利用者端末10のディスプレイには、その重複範囲を表示させたアラームが出力される。
【0088】
次に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、既に販売された関連権利の照合処理を実行する(ステップS5−8)。具体的には、制御部21の契約状況取得処理手段215は、関連権利情報記憶部25を用いて、確認要求に含まれる権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語を含む関連権利情報レコード250を抽出する。そして、契約状況取得処理手段215は、この関連権利情報レコード250に記録されている他の権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語を特定する。次に、契約状況取得処理手段215は、販売契約情報記憶部24において、特定された権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語、及び確認要求に含まれる作品ID、エピソードIDを用いて、販売契約情報レコード240を検索する。
【0089】
そして、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、販売契約における重複の有無の確認処理を実行する(ステップS5−9)。具体的には、制御部21の状況確認処理手段216が、契約状況取得処理手段215から取得した販売契約情報レコード240の権利期間と、確認要求に含まれる権利期間とを比較する。この場合も、ここでは、既販売の権利において独占期間が設定されている場合や、販売希望の権利において独占期間が設定されている場合、或いは両者において独占期間が設定されている場合に、この独占期間との重複の有無を確認する。更に、既販売の権利にホールドバックレコード241が設定されている場合にも、販売希望権利期間との重複の有無を確認する。
【0090】
例えば、図13に示すように、期間T4の独占期間が設定された関連権利を既に販売している場合には、期間T13において販売希望権利期間と重複することになる。このように、確認要求に含まれる販売希望権利期間に対して販売契約情報レコード240の権利期間やホールドバックレコード241のホールドバック期間に重複がある場合(ステップS5−9において「YES」の場合)には、状況確認処理手段216は、重複範囲の出力処理を実行する(ステップS5−10)。この場合、状況確認処理手段216は、重複範囲があることを利用者端末10に通知し、利用者端末10のディスプレイには、その重複範囲を表示させたアラームが出力される。
【0091】
一方、購入契約において不足がない場合(ステップS5−3において「NO」の場合)や、既販売の同一権利において重複がない場合(ステップS5−6において「NO」の場合)、既販売の関連権利において重複がない場合(ステップS5−9において「NO」の場合)には、各照合処理におけるアラームを出力しない。そして、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、図11に示す確認処理を終了し、図9に示す契約状況確認処理を終了する。
【0092】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・ 上記実施形態では、検索要求を受信した著作権管理支援サーバ20の制御部21は、コンテンツ検索処理を実行する(ステップS3−3)。ここでは、制御部21が、受信したキーワードを用いてレコード検索処理を実行する(ステップS4−1)。そして、制御部21は、購入契約レコードにおいて権利期間が残っているコンテンツの特定処理を実行する(ステップS4−2)。次に、制御部21は、販売契約の独占期間の照合処理を実行する(ステップS4−3)。更に、制御部21は、ホールドバック期間の照合処理を実行する(ステップS4−4)。そして、制御部21は、購入契約の権利期間が残っているコンテンツの特定処理を実行する(ステップS4−5)。これにより、ライセンス販売を行なうことができる著作権を、効率的かつ的確に特定することができる。
【0093】
・ 上記実施形態では、確認要求を受信した著作権管理支援サーバ20の制御部21は、確認処理を実行する(ステップS3−6)。ここでは、制御部21は、販売希望の権利範囲を取得し(ステップS5−1)、購入契約との照合処理を実行する(ステップS5−2)。そして、制御部21は、購入契約における不足の有無の確認処理を実行する(ステップS5−3)。これにより、販売に必要な権利の取得を促すことができる。
【0094】
更に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、既に販売された同一権利の照合処理を実行し(ステップS5−5)、販売契約における重複の有無の確認処理を実行する(ステップS5−6)。これにより、誤った販売契約を抑制して、的確な販売契約を効率的に促進することができる。
【0095】
更に、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、既に販売された関連権利の照合処理を実行し(ステップS5−8)、販売契約における重複の有無の確認処理を実行する(ステップS5−9)。これにより、競合する販売契約を抑制して、的確な販売契約を効率的に促進することができる。
【0096】
・ 上記実施形態では、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、実施情報の取得処理を実行し(ステップS2−1)、制限回数の確認処理を実行する(ステップS2−2)。そして、実施回数が回数制限に達した場合、制御部21は、権利期間満了処理を実行する(ステップS2−3)。これにより、新たな契約の促進を図ることができる。
【0097】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
○ 上記実施形態では、購入した著作権のライセンスを、第三者に販売する場合に用いたが、これに限定されるものではなく、販売可能なライセンスを保持している場合に適用することができる。従って、購入した場合に限らず、所有している著作権に関わるライセンスを販売する場合に用いることができる。
【0098】
○ 上記実施形態では、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、販売希望の権利範囲を取得する(ステップS5−1)。具体的には、詳細表示画面上で、選択された作品ID、エピソードID、権利種別ID、権利種別明細ID、対象国、言語、入力された販売希望権利期間に関するデータ(販売希望対象範囲データ)を含めた確認要求を取得する。
ここでは、著作権の特定処理に代えて、或いはこの特定処理に加えて、事業形態を選択できるようにすることも可能である。
【0099】
この場合には、利用者端末10において、コンテンツを特定した上で、このコンテンツを用いての事業形態を特定する。
そして、著作権管理支援サーバ20には事業形態情報記憶部を設けておく。この事業形態情報記憶部には、事業形態毎に、その事業を行なうために必要な権利に関する事業形態情報レコードが記録される。この事業形態情報レコードは、各事業形態において、想定される必要な権利種別が登録された場合に記録される。この事業形態情報レコードは、事業形態識別子毎に、必要権利種別IDに関するデータが記録される。
【0100】
事業形態識別子には、各事業形態を特定するための識別子に関するデータが記録される。
必要権利種別IDデータ領域には、この事業形態において、必要な権利種別を特定するためのデータが記録される。例えば、映画に関わるコンテンツであれば、映画配給、ビデオディスク販売、テレビ放映、キャラクタ商品販売のように各イベントが順次展開される。この場合、各イベントに関わる著作権が関係するので、これらに関する権利種別IDに関するデータが記録される。
【0101】
そして、制御部21は、事業形態特定手段として機能する。事業形態特定手段は、利用者端末10において設定された事業形態に対応した著作権を検索し、確認処理を実行する。これにより、個々の著作権を確認するのではなく、事業形態において必要な権利をまとめて確認することができる。
【0102】
○ 上記実施形態では、著作権管理支援サーバ20の制御部21は、制限回数の確認処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の実施状況確認処理手段210は、販売契約情報レコード240の実施履歴に記録された実施回数を計数する。そして、この実施回数と、販売契約情報レコード240の回数制限とを比較する。この場合、更に、制御部21の実施状況確認処理手段210は、購入契約情報レコード230の実施履歴に記録された実施回数を計数する。そして、実施回数と、これに対応する購入契約情報レコード230の回数制限とを比較するように構成することも可能である。この場合も、制御部21の実施状況確認処理手段210は、システムタイマから現在日付を取得する。そして、実施状況確認処理手段210は、この現在日付を、購入契約情報レコード230の権利期間の終了日として更新記録する。これにより、購入契約の逸脱した販売契約を抑制することができる。
【0103】
○ 上記実施形態では、ライセンスの対象地域として「国」を単位にしているが、所定の地域毎にライセンスを購入したり、販売したりすることも可能である。この場合には、購入契約情報記憶部23や販売契約情報記憶部24において、購入や販売を行なった著作権のライセンスの対象地域に関するデータを記録する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】本発明の実施形態の制御部の機能ブロックの説明図。
【図3】コンテンツ情報記憶部に記録されたデータの説明図。
【図4】購入契約情報記憶部に記録されたデータの説明図。
【図5】販売契約情報記憶部に記録されたデータの説明図。
【図6】関連権利情報記憶部に記録されたデータの説明図。
【図7】本実施形態の処理手順の説明図。
【図8】本実施形態の処理手順の説明図。
【図9】本実施形態の処理手順の説明図。
【図10】本実施形態の処理手順の説明図。
【図11】本実施形態の処理手順の説明図。
【図12】利用者端末のディスプレイに出力される表示画面の説明図。
【図13】購入契約の権利期間や販売契約の権利期間の説明図。
【図14】権利の設定対象の説明図。
【符号の説明】
【0105】
10…利用者端末、20…著作権管理支援サーバ、21…制御部、210…実施状況確認処理手段、211…利用者認証手段、212…検索処理手段、213…アベイラブルリスト作成手段、214…著作権特定手段、215…契約状況取得処理手段、216…状況確認処理手段、22…コンテンツ情報記憶部、23…購入契約情報記憶部、24…販売契約情報記憶部、25…関連権利情報記憶部、300…アベイラブルリスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持する著作権ライセンスについて、著作権種別毎に権利期間に関するデータを記録したリソースデータ記憶手段と、
販売した著作権ライセンスについて、著作権種別毎に独占期間に関する契約データを記録した販売契約データ記憶手段と、
著作権ライセンスの販売管理を行なう制御手段を備えた著作権管理支援システムであって、
前記制御手段が、
前記リソースデータ記憶手段に記録された権利期間が残存する著作権ライセンスを、販売候補として特定し、この著作権ライセンスに対して、販売を希望する著作権ライセンスの著作権種別及び希望権利期間を含む販売希望対象範囲に関するデータを取得する手段と、
販売希望対象範囲に対して、競合する著作権種別を特定し、この著作権種別について、前記販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する手段と、
前記既販売権利範囲の独占期間と前記販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、両期間の重複範囲を出力する手段
として機能することを特徴とする著作権管理支援システム。
【請求項2】
前記リソースデータ記憶手段には、保持する著作権ライセンスについて、著作権種別毎に制限回数に関するデータが更に記録され、
前記制御手段は、前記著作権ライセンスの実施履歴を取得し、前記実施履歴における回数が前記リソースデータ記憶手段に記録された制限回数に達していない著作権ライセンスを販売候補として特定することを特徴とする請求項1に記載の著作権管理支援システム。
【請求項3】
前記販売契約データ記憶手段には、販売した著作権ライセンスについて、著作権種別毎に利用回数に関するデータが更に記録され、
前記制御手段は、前記著作権ライセンスの実施履歴を取得し、前記実施履歴における回数が前記販売契約データ記憶手段に記録された制限回数に達している著作権ライセンスは、前記既販売権利範囲から除くことを特徴とする請求項1又は2に記載の著作権管理支援システム。
【請求項4】
前記ソースデータ記憶手段に記録された著作権ライセンスは、購入した著作権ライセンスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の著作権管理支援システム。
【請求項5】
相互に関連する著作権の著作権種別を関連付けて記録した関連著作権データ記憶手段を更に備え、
前記制御手段が、更に、
前記関連著作権データ記憶手段を用いて、前記販売希望対象範囲の著作権に対して関連する関連著作権の著作権種別を特定する手段と、
前記関連著作権の著作権種別について、前記販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する手段と、
前記既販売権利範囲の独占期間と前記販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、両期間の重複範囲を出力する手段
として機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の著作権管理支援システム。
【請求項6】
前記制御手段が、更に、
前記販売希望対象範囲の著作権に対して、前記リソースデータ記憶手段に記録された著
作権ライセンスの購入範囲に関するデータを取得する手段と、
前記購入範囲と前記販売希望対象範囲とを照合し、両者の不足範囲を出力する手段
として機能することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の著作権管理支援システム。
【請求項7】
保持する著作権ライセンスについて、著作権種別毎に権利期間に関するデータを記録したリソースデータ記憶手段と、
販売した著作権ライセンスについて、著作権種別毎に独占期間に関する契約データを記録した販売契約データ記憶手段と、
著作権ライセンスの販売管理を行なう制御手段を備えた著作権管理支援システムを用いて著作権の管理支援を行なうための方法であって、
前記制御手段が、
前記リソースデータ記憶手段に記録された権利期間が残存する著作権ライセンスを、販売候補として特定し、この著作権ライセンスに対して、販売を希望する著作権ライセンスの著作権種別及び希望権利期間を含む販売希望対象範囲に関するデータを取得する段階と、
販売希望対象範囲に対して、競合する著作権種別を特定し、この著作権種別について、前記販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する段階と、
前記既販売権利範囲の独占期間と前記販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、重複範囲を出力する段階と
を実行することを特徴とする著作権管理支援方法。
【請求項8】
保持する著作権ライセンスについて、著作権種別毎に権利期間に関するデータを記録したリソースデータ記憶手段と、
販売した著作権ライセンスについて、著作権種別毎に独占期間に関する契約データを記録した販売契約データ記憶手段と、
著作権ライセンスの販売管理を行なう制御手段を備えた著作権管理支援システムを用いて著作権の管理支援を行なうためのプログラムであって、
前記制御手段を、
前記リソースデータ記憶手段に記録された権利期間が残存する著作権ライセンスを、販売候補として特定し、この著作権ライセンスに対して、販売を希望する著作権ライセンスの著作権種別及び希望権利期間を含む販売希望対象範囲に関するデータを取得する手段と、
販売希望対象範囲に対して、競合する著作権種別を特定し、この著作権種別について、前記販売契約データ記憶手段を用いて既販売権利範囲を検索する手段と、
前記既販売権利範囲の独占期間と前記販売希望対象範囲における希望権利期間とを照合し、重複範囲を出力する手段
として機能させることを特徴とする著作権管理支援プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−171338(P2008−171338A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6110(P2007−6110)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)