説明

蒸気発生装置

【課題】蒸気発生装置が傾いた場合であっても、ボイラータンク内に貯留された水が噴出ノズル内部に流れ込むことを抑制することができる蒸気発生装置を提供する。
【解決手段】蒸気発生装置としての吸入器100Aは、上部側に連通口4Dを有し、水7を貯留するボイラータンク1Aと、ボイラータンク1Aの内部に連通し、水7を加熱するためボイラータンク1Aに隣接して配設されたヒータ9と、連通孔4Dに接続され、ボイラータンク1Aの内部に発生した蒸気を連通孔4Dを通してボイラータンク1Aの外部に排出する噴出ノズル10と、ボイラータンク1Aの内周面4A上における連通口4Dの下方を含む位置に、内周面4Aから遠ざかる方向に延設された遮蔽部材8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は蒸気発生装置に関し、特に、液体を気化して蒸気を発生させる蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平4−348758号公報報(特許文献1)、および特開平5−137787号公報(特許文献2)は、蒸気発生装置の一例として、吸入器に関する発明を開示している。各特許文献に開示されている吸入器は、ボイラータンクを内蔵している。ボイラータンクの上部側には、噴出ノズルが斜め上方向に向かって延在するように取り付けられている。
【0003】
各特許文献に開示されている吸入器においては、吸入器が傾くと、ボイラータンク内に貯留された水が噴出ノズル内部に流れ込む場合がある。噴出ノズルが水によって閉塞され、ボイラータンク内に発生した蒸気が噴出ノズルから良好に噴出されない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−348758号公報
【特許文献2】特開平5−137787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、蒸気発生装置が傾いた場合であっても、ボイラータンク内に貯留された水が噴出ノズル内部に流れ込むことを抑制することができる蒸気発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく蒸気発生装置は、上部側に連通孔を有し、内部に所定の液体を貯留するボイラータンクと、上記ボイラータンクの上記内部に連通し、上記液体を加熱するため上記ボイラータンクに隣接して配設されたヒータと、上記連通孔に接続され、上記ボイラータンクの上記内部に発生した蒸気を上記連通孔を通して上記ボイラータンクの外部に排出する噴出ノズルと、上記ボイラータンクの内周面上における上記連通孔の下方を含む位置に、上記内周面から遠ざかる方向に延設された遮蔽部材とを備える。
【0007】
本発明の他の形態に基づく蒸気発生装置は、上記遮蔽部材は、上記ボイラータンクの上記内周面上における上記連通孔の下方を含む位置から、上記連通孔が設けられている位置とは反対側の上記ボイラータンクの上記内周面に向かって延設されている。
【0008】
本発明のさらに他の形態に基づく蒸気発生装置は、上記ボイラータンクは、収容部と、内部に上記液体を貯留し上記収容部に着脱可能に収容されるケースとを含んで構成され、上記遮蔽部材は、上記ケースの内周面上において上記ケースの上記内周面から遠ざかる方向に延設され、上記遮蔽部材は、上記ケースが上記収容部に収容されることにより、上記連通孔の下方を含むように位置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蒸気発生装置が傾いた場合であっても、ボイラータンク内に貯留された水が噴出ノズル内部に流れ込むことを抑制することができる蒸気発生装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1における吸入器の構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1における吸入器の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態1におけるボイラータンクおよび遮蔽部材を示す斜視図であり、図2における矢印III方向からボイラータンクを見たときの概略図である。
【図4】実施の形態1における吸入器が傾いた様子を示す断面図である。
【図5】実施の形態1の変形例におけるボイラータンクおよび遮蔽部材の構成を示す斜視図である。
【図6】実施の形態2における吸入器の構成を示す断面図である。
【図7】実施の形態2におけるボイラータンクの構成を示す断面図である。
【図8】実施の形態2の第1変形例におけるボイラータンクの構成を示す斜視図である。
【図9】実施の形態2の第2変形例におけるボイラータンクの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に基づいた各実施の形態における蒸気発生装置について、以下、図面を参照しながら説明する。以下の各実施の形態においては、蒸気発生装置の一例として、蒸気圧を利用して吸入用の水を噴出する蒸気式の吸入器について説明する。
【0012】
以下の各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。以下に説明する各実施の形態において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0013】
[実施の形態1]
図1〜図4を参照して、本実施の形態について説明する。図1〜図3を参照して、本実施の形態における吸入器100Aの構成について説明する。吸入器100Aは、蒸気発生装置の一例である。
【0014】
主として図1を参照して、吸入器100Aは、吸入口15、カバー16、本体ケース17、操作部17A、電源コード18、給排水タンク13、噴出ノズル10(図2参照、以下同じ)、飛散部材11、吸入チューブ12、ボイラータンク1A、蓋部材3、加熱室6、遮蔽部材8、およびヒータ9を備えている。
【0015】
図2を参照して、吸入器100Aは、テーブル等の載置面20上に載置されて使用される。吸入口15は、カバー16に取り付けられている。吸入口15は開口しており、本体ケース17の内部に連通している。カバー16は、本体ケース17に着脱可能に取り付けられている。給排水タンク13は、本体ケース17の側面に着脱可能に取り付けられている。噴出ノズル10、飛散部材11、吸入チューブ12、ボイラータンク1A、蓋部材3、加熱室6、遮蔽部材8、およびヒータ9は、本体ケース17(およびカバー16)の内部に位置している。
【0016】
ボイラータンク1Aは有底筒状に形成され、ボイラータンク1Aの上部は開口している。ボイラータンク1Aの上部は、蓋部材3により封止される。ボイラータンク1Aの下部側の側面に隣接するように、加熱室6が配設されている。ボイラータンク1Aの下部側の側面に給水路4Bが設けられている。ボイラータンク1Aの略中央の側面に連通路4Cが設けられている。
【0017】
給水路4Bにより、ボイラータンク1Aと加熱室6の下部側とが連通している。連通路4Cにより、ボイラータンク1Aと加熱室6の上部側とが連通している。加熱室6を挟んでボイラータンク1Aの反対側には、ヒータ9が配設されている。ヒータ9には、電源コード18を通して電力が供給される。
【0018】
ボイラータンク1Aの上部側の側面には、連通孔4Dが設けられている。噴出ノズル10は、連通孔4Dに接続されている。噴出ノズル10は、連通孔4Dを通してボイラータンク1Aの内部に連通している。噴出ノズル10は、ボイラータンク1Aの斜め上方向に位置する吸入口15に向かって延在している。
【0019】
噴出ノズル10の先端側には、飛散部材11が取り付けられている。飛散部材11は、噴出ノズル10から噴出される蒸気に略交差するように配設されている。飛散部材11には、飛散部材11から垂れ下がるように吸入チューブ12が取り付けられている。吸入チューブ12は、給排水タンク13の底付近にまで延在している。
【0020】
図3は、図2における矢印III方向からボイラータンク1Aを見たときの概略図である。図3においては、説明の便宜上、ボイラータンク1Aの一部(一点鎖線部)を破断して示しているが、実際には当該一部は連続している。後述する図5のボイラータンク1AAの一部(一点鎖線部)においても同様である。
【0021】
図3を参照して、遮蔽部材8は、ボイラータンク1Aの内周面4A上における連通孔4Dの下方に設けられている。遮蔽部材8は、連通孔4Dの下方から、内周面4Aに対して遠ざかる方向に略水平に延在している。本実施の形態における遮蔽部材8は、略半円形の薄板状に構成されている。遮蔽部材8の円弧状に形成されている端面は、内周面4Aに接している。遮蔽部材8は、ボイラータンク1Aの中心付近まで延在している(図2参照)。
【0022】
(動作)
図2を参照して、吸入器100Aの動作について説明する。カバー16が本体ケース17から取り外され、蓋部材3がボイラータンク1Aから取り外される。ボイラータンク1Aの内部に、所定の液体としてたとえば水7が貯留される。蓋部材3がボイラータンク1Aに取り付けられ、カバー16が本体ケース17に取り付けられる。
【0023】
給水路4Bを通して、少量の水7が加熱室6に供給される(図示上の便宜のため、図2においては、加熱室6に供給された少量の水7を記載していない)。操作部(図1参照)を操作して吸入器100Aの電源を入れることにより、ヒータ9が駆動する。ヒータ9は加熱室6の内部に供給された水7を加熱する。ヒータ9により加熱室6の内部に蒸気が発生する。
【0024】
蒸気は、連通路4Cを通過する。蒸気は、遮蔽部材8(の端面)とボイラータンク1Aの内周面4Aとの間を通過し、ボイラータンク1Aの上部に到達する。蒸気は、遮蔽部材8の上方および連通孔4Dを順次通過した後、噴出ノズル10から飛散部材11に向かって噴出される。噴出ノズル10から飛散部材11に向かって蒸気が噴出されることにより、飛散部材11付近において蒸気圧(負圧)が発生する。
【0025】
一方で、給排水タンク13の内部に、所定の液体としてたとえば水14が貯留されている。吸入チューブ12は、飛散部材11付近において発生した蒸気圧を利用して、水14を給排水タンク13から吸い上げる(ベンチュリー効果)。水14は、噴出ノズル10から噴出された蒸気とともに、吸入口15から排出される。
【0026】
(効果)
図4を参照して、所定の外力が吸入器100Aに作用して、吸入器100Aが矢印ARF方向側(噴出ノズル10が延在している側)に傾いたとする。ボイラータンク1Aの内部に貯留されている水7は、噴出ノズル10が接続されている連通孔4Dに向かって流れようとする。水7は、遮蔽部材8によりその通流を遮られる。水7は、連通孔4Dにまでは到達せず、遮蔽部材8の下方において滞留(停留)する。
【0027】
吸入器100Aによれば、吸入器100Aが矢印ARF方向側に傾いたとしても、水7が噴出ノズル10に流れ込むことが抑制される。噴出ノズル10が水7によって閉塞されることも抑制され、ボイラータンク1A(加熱室6)内に発生した蒸気は、噴出ノズル10から良好に噴出される。
【0028】
[実施の形態1の変形例]
上述の実施の形態1における遮蔽部材8は、ボイラータンク1Aの内周面4A上において、連通孔4Dの下方に設けられているが、この構造には限定されない。遮蔽部材8は、ボイラータンク1Aの内周面4A上において、連通孔4Dの下方を含むように設けられていればよい。
【0029】
図5を参照して、たとえばボイラータンク1AAのように、遮蔽部材8は筒状に形成されていてもよい。遮蔽部材8は、ボイラータンク1AAの内周面4A上において、連通孔4Dの周囲を囲んでいる。遮蔽部材8は、内周面4Aに対して遠ざかる方向に略水平に延在している。遮蔽部材8は、上述の実施の形態1のボイラータンク1Aにおける遮蔽部材8(図2参照)と同様に、ボイラータンク1AAの中心軸付近まで延在しているとよい。
【0030】
遮蔽部材8の下方部分が、ボイラータンク1AAの内周面4A上において、連通孔4Dの下方を含んでいる。このような遮蔽部材8を備えた吸入器であっても、上記の実施の形態1における吸入器100Aと同様な効果を得ることができる。
【0031】
また、遮蔽部材8は、連通孔4Dの下方を含む位置から、連通孔4Dが設けられている位置とは反対側の内周面4Aに向かって延設されているとよい。図5に示すように、遮蔽部材8が筒状に形成されている場合には、遮蔽部材8は、連通孔4Dを囲んでいる位置から、ボイラータンク1AAの内周面4Aに対して法線方向に沿うように延設されているとよい。
【0032】
上記構成において、吸入器が矢印ARL側に傾斜したとする。この場合であっても、ボイラータンク1AAに貯留された水は、噴出ノズル10に流れ込むことが抑制される。同様に、吸入器が矢印ARR側に傾斜したとする。この場合であっても、ボイラータンク1AAに貯留された水は、噴出ノズル10に流れ込むことが抑制される。
【0033】
[実施の形態2]
図6および図7を参照して、本実施の形態における吸入器100Bの構成について説明する。吸入器100Bも、蒸気発生装置の一例である。
【0034】
図6を参照して、吸入器100Bは、吸入口15、カバー16、本体ケース17、操作部(図示せず)、電源コード18、給排水タンク13、噴出ノズル10、飛散部材11、吸入チューブ12、ボイラータンク1B、ケース2、キャップ5、収容部4、蓋部材3、加熱室6、遮蔽部材8、およびヒータ9を備えている。吸入器100Bは、テーブル等の載置面20上に載置されて使用される。なお、図6においては、ヒータ9と電源コード18からの配線とを接続する端子部などの詳細な構造については記載していない。図7においても同様である。
【0035】
吸入口15、カバー16、本体ケース17、操作部、電源コード18、給排水タンク13、噴出ノズル10、飛散部材11、吸入チューブ12および蓋部材3は、上述の実施の形態1における吸入器100A(図2参照)と略同様に構成される。
【0036】
図7を参照して、ボイラータンク1Bはカップ状に形成され、ボイラータンク1Bの上部は開口している。ボイラータンク1Bの上部は、蓋部材3(図6参照)により封止される。ボイラータンク1Bは、ケース2と収容部4とキャップ5とを含んで構成されている。
【0037】
ボイラータンク1Bにおいては、収容部4の下部側の側面が開口している。当該開口を含む収容部4の下部側側面は、鉛直方向に対して傾斜するように構成されている。
【0038】
ケース2の外周面の形状は、収容部4の内周面の形状に対応している。ケース2は、矢印ARに示すように、収容部4に着脱可能に収容される。ケース2が収容部4に収容されることにより、ケース2の外周面は、収容部4の下部側側面に設けられた開口の一方を塞ぐ。ケース2の外周面は、加熱室6の一部の表面6Aを規定する。加熱室6を形成するケース2の外周面(6A)は、収容部4の内周面の形状に対応して、鉛直方向に対して傾斜するように構成されている。
【0039】
ヒータ9は、ケース2が収容部4に収容された状態において、収容部4(加熱室6)を挟んでケース2の反対側に位置している。ヒータ9は、収容部4の下部側側面に設けられた開口の他方を塞ぐように取り付けられる。ヒータ9の表面は、加熱室6の一部の表面6Bを規定する。加熱室6を形成するヒータ9の表面(6B)も、加熱室6を形成するケース2の外周面(6A)と同様に、鉛直方向に対して傾斜するように配設されている。
【0040】
ケース2が収容部4に収容された状態において、加熱室6を形成するケース2の外周面(6A)と、加熱室6を形成するヒータ9の表面(6B)とは、略並行な位置関係となっている。ケース2が収容部4に収容されることにより、収容部4の下部側側面の開口と、ケース2の外周面(6A)と、ヒータ9の表面(6B)とにより、加熱室6が形成される。
【0041】
ケース2の下部側に、給水路2Bが開口して設けられている。図7左側を参照して、キャップ5は、たとえば断面視略H形状に構成される。キャップ5は、給水路2Bを貫通するように配設される。図7右側を参照して、キャップ5は、ケース2が収容部4に収容されることにより、収容部4の内周面に当接する。ケース2が収容部4に収容されることにより、キャップ5は、紙面上方向に押し上げられ、給水路2Bに対する閉塞状態を解除する。給水路2Bにより、ケース2の内部と加熱室6の下部側とが連通する。
【0042】
ケース2のやや上部側の側面に、連通路2Cが設けられている。ケース2が収容部4に収容された状態において、連通路2Cにより、ケース2の内部と加熱室6の上部側とが連通している。
【0043】
ケース2の上部側において、連通路2Cが設けられている側とは反対の側面に、連通孔2Dが設けられている。収容部4の上部側の側面には、連通孔2Dに対応するように、連通孔4Dが設けられている。ケース2が収容部4に収容された状態において、連通孔2Dおよび連通孔4Dにより、ケース2の内部と噴出ノズル10とが連通している。
【0044】
遮蔽部材8は、ケース2の内周面2A上に設けられている。遮蔽部材8は、連通孔2Dの下方に位置している。ケース2が収容部4に収容された状態において、遮蔽部材8は、収容部4の連通孔4Dの下方に位置する。遮蔽部材8は、ケース2の内周面2Aに対して遠ざかる方向に略水平に延在している。本実施の形態における遮蔽部材8は、略半円形の薄板状に構成されている。遮蔽部材8は、ケース2の中心付近まで延在しているとよい。
【0045】
(動作)
図6を参照して、吸入器100Bの動作について説明する。カバー16が本体ケース17から取り外され、蓋部材3がボイラータンク1Bから取り外される。ケース2が収容部4に収容された状態で、ケース2の内部に、所定の液体としてたとえば水7が貯留される。
【0046】
図7を参照して、ケース2が収容部4に収容されていない状態で、ケース2の内部に水7が貯留されてもよい。吸入器100Bにおけるケース2は、キャップ5を有している。ケース2が収容部4に収容されていない状態において、ケース2に水7が注がれる。キャップ5は、水圧により給水路2Bを塞ぐようにケース2の内周面2Aに押し当てられる。
【0047】
ケース2が収容部4に収容されていない状態であっても、ケース2は、水7を保持することができる。水7を貯留したケース2は、収容部4に収容される。上述のとおり、ケース2が収容部4に収容されることにより、キャップ5は、紙面上方向に押し上げられ、給水路2Bに対する閉塞状態を解除する。
【0048】
蓋部材3がボイラータンク1Bに取り付けられ、カバー16が本体ケース17に取り付けられる。
【0049】
給水路2Bを通して、少量の水7が加熱室6に供給される。操作部(図示せず)を操作して吸入器100Bの電源を入れることにより、ヒータ9が駆動する。ヒータ9は加熱室6の内部に供給された水7を加熱する。ヒータ9により加熱室6の内部に蒸気が発生する。
【0050】
蒸気は、連通路2Cを通過する。蒸気は、遮蔽部材8(の端面)とケース2の内周面2Aとの間を通過し、ケース2(ボイラータンク1B)の上部に到達する。蒸気は、遮蔽部材8の上方、連通孔2Dおよび連通孔4Dを順次通過した後、噴出ノズル10から飛散部材11に向かって噴出される。噴出ノズル10から飛散部材11に向かって蒸気が噴出されることにより、飛散部材11付近において蒸気圧(負圧)が発生する。
【0051】
一方で、給排水タンク13の内部に、所定の液体としてたとえば水14が貯留されている。吸入チューブ12は、飛散部材11付近において発生した蒸気圧を利用して、水14を給排水タンク13から吸い上げる(ベンチュリー効果)。水14は、噴出ノズル10から噴出された蒸気とともに、吸入口15から排出される。
【0052】
(効果)
図6を参照して、所定の外力が吸入器100Bに作用して、吸入器100Bが矢印ARF方向側(噴出ノズル10が延在している側)に傾いたとする。ボイラータンク1B(ケース2)の内部に貯留されている水7は、噴出ノズル10が接続されている連通孔4D(または連通孔2D)に向かって流れようとする。水7は、遮蔽部材8によりその通流を遮られる。水7は、連通孔2Dおよび連通孔4Dにまでは到達せず、遮蔽部材8の下方において滞留(停留)する。
【0053】
吸入器100Bによれば、吸入器100Bが矢印ARF方向側に傾いたとしても、水7が噴出ノズル10に流れ込むことが抑制される。噴出ノズル10が水7によって閉塞されることも抑制され、ボイラータンク1B(加熱室6)内に発生した蒸気は、噴出ノズル10から良好に噴出される。
【0054】
吸入器100Bによれば、ケース2を収容部4から取り外すことができる。ケース2が収容部4から取り外されることにより、ケース2の外周面(加熱室6の表面6A)および、ヒータ9の表面(加熱室6の表面6B)が露出する。加熱室6の表面6A,6Bを容易に露出させることが可能となる。加熱室6の表面6A,6Bにカルキ等の不純物が付着した場合であっても、不純物の付着を容易に視認することが可能となる。加熱室6の表面6A,6Bにカルキ等の不純物が付着した場合であっても、これらの不純物を容易に除去することが可能となる。
【0055】
吸入器100Bによれば、ケース2がキャップ5を有している。ケース2が収容部4に収容されていない状態であっても、ケース2は、水7を保持することができる。ケース2に水を注ぐために、ケース2は頻繁に収容部4から取り外されることが可能となる。加熱室6の表面6A,6Bの露出する機会が増えるため、加熱室6の表面6A,6Bの表面に不純物が付着したとしても、早期に発見し、早期にこれらの不純物を除去することが可能となる。
【0056】
遮蔽部材8は、ケース2の内周面2Aから略水平に延在している。吸入器100Bによれば、遮蔽部材8を利用することにより(たとえば指先を遮蔽部材8に引っ掛けてケース2を持ち上げることにより)、ケース2を収容部4から容易に取り外すことができる。
【0057】
なお、吸入器100Bにおいて、ケース2がキャップ5を有していなくてもよい。ケース2の下部側に設けられた給水路2Bは開口している。ケース2がキャップ5を有していない場合、ケース2は単独では水を保持することができない。ケース2が収容部4に収容された状態で、たとえばコップ(図示せず)などを使用して、ケース2に水7を注ぐようにすればよい。
【0058】
[実施の形態2の第1変形例]
上述の実施の形態2における遮蔽部材8は、略半円形の薄板状に構成され、ケース2の内周面2A上において、連通孔2Dの下方に設けられているが、この構造には限定されない。遮蔽部材8は、ケース2の内周面2A上において、収容部4の連通孔4D(ケース2の連通孔2D)の下方を含むように設けられていればよい。
【0059】
図8を参照して、たとえばボイラータンク1Cにおけるケース2のように、遮蔽部材8は上部側の一部が開口した筒状に形成されていてもよい。上部側の一部が開口した筒状の遮蔽部材8は、ケース2の内周面2A上において、連通孔2Dの周囲を囲んでいる。遮蔽部材8は、内周面2Aに対して遠ざかる方向に略水平に延在している。
【0060】
遮蔽部材8は、連通孔2Dが設けられている側とは反対側のケース2の内周面2Aまで延在している。遮蔽部材8は、連通路2C寄りの略半分の上方側において開口している。遮蔽部材8の下方部分は、ケース2の内周面2A上において連通孔2Dの下方を含んでおり、且つ収容部4における連通孔4Dの下方を含んでいる。
【0061】
このような遮蔽部材8が構成されたケース2を備えた吸入器であっても、上記の実施の形態2における吸入器100Bと同様な効果を得ることができる。
【0062】
図8に示すように、遮蔽部材8が筒状に形成されている場合には、遮蔽部材8は、連通孔2Dを囲んでいる位置から、ケース2の内周面2Aに対して法線方向に沿うように延設されていてもよい。
【0063】
図8に示すように、遮蔽部材8が、連通孔2Dが設けられている側から反対側のケース2の内周面2Aまで延在している場合、遮蔽部材8はケース2とは別部材として製造されてもよい。この場合、遮蔽部材8はケース2に対して嵌挿(圧入)されることによって取り付けられることが可能である。
【0064】
[実施の形態2の第2変形例]
上述の実施の形態2の第1変形例における遮蔽部材8は、上部側の一部が開口した筒状に形成されているが、この構造には限定されない。図9を参照して、たとえばボイラータンク1Dにおけるケース2のように、遮蔽部材8は、上部側が開口した角筒状に形成されていてもよい。遮蔽部材8はケース2とは別部材として製造されてもよい。
【0065】
このような遮蔽部材8が構成されたケース2を備えた吸入器であっても、上記の実施の形態2における吸入器100Bと同様な効果を得ることができる。
【0066】
[実施の形態2の第3変形例]
上述の実施の形態2のボイラータンク1B(、実施の形態2の第1変形例のボイラータンク1C、および実施の形態2の第2変形例のボイラータンク1D)においては、ケース2の加熱室6を形成する外周面(6A)、およびヒータ9の加熱室6を形成する表面(6B)が、鉛直方向に対して傾斜している態様に基づいて説明したが、この構造には限定されない。
【0067】
ケース2の加熱室6を形成する外周面(6A)、およびヒータ9の加熱室6を形成する表面(6B)は、すべて鉛直方向に沿うように(図6紙面上下方向に)延在していてもよい。
【0068】
以上、本発明の発明を実施するための形態について説明したが、今回開示された形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0069】
たとえば、上述の実施の形態1〜実施の形態3においては、蒸気発生装置の一例として、蒸気圧を利用して吸入用の水を噴出する蒸気式の吸入器に基づいて説明したが、本発明は特にこれに限定されるものではない。本発明は、たとえば、美理容(エステ)用として顔または頭皮に蒸気を当てるスチーム噴射装置、全身の血行促進のために用いられるミストサウナ装置、または足の血行促進のために用いられる足湯器など、広範囲にわたって適用されることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1A,1AA,1B,1C,1D ボイラータンク、2 ケース、2A,4A 内周面、2B,4B 給水路、2C,4C 連通路、2D,4D 連通孔、3 蓋部材、4 収容部、5 キャップ、6 加熱室、6A,6B 表面、7,14 水、8 遮蔽部材、9 ヒータ、10 噴出ノズル、11 飛散部材、12 吸入チューブ、13 給排水タンク、15 吸入口、16 カバー、17 本体ケース、17A 操作部、18 電源コード、20 載置面、100A,100B 吸入器、AR,ARF,ARL,ARR,III 矢印。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部側に連通孔を有し、内部に所定の液体を貯留するボイラータンクと、
前記ボイラータンクの前記内部に連通し、前記液体を加熱するため前記ボイラータンクに隣接して配設されたヒータと、
前記連通孔に接続され、前記ボイラータンクの前記内部に発生した蒸気を前記連通孔を通して前記ボイラータンクの外部に排出する噴出ノズルと、
前記ボイラータンクの内周面上における前記連通孔の下方を含む位置に、前記内周面から遠ざかる方向に延設された遮蔽部材と、を備える、
蒸気発生装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記ボイラータンクの前記内周面上における前記連通孔の下方を含む位置から、前記連通孔が設けられている位置とは反対側の前記ボイラータンクの前記内周面に向かって延設されている、
請求項1に記載の蒸気発生装置。
【請求項3】
前記ボイラータンクは、収容部と、内部に前記液体を貯留し前記収容部に着脱可能に収容されるケースとを含んで構成され、
前記遮蔽部材は、前記ケースの内周面上において前記ケースの前記内周面から遠ざかる方向に延設され、
前記遮蔽部材は、前記ケースが前記収容部に収容されることにより、前記連通孔の下方を含むように位置する、
請求項1または2に記載の蒸気発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−193893(P2011−193893A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60514(P2010−60514)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】