蒸気配管系の腐食防止装置
【課題】 蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の腐食を防止できる蒸気配管系の腐食防止装置を提供する。
【解決手段】 ボイラ１で製造された蒸気は、蒸気主配管２、蒸気主配管２に接続された蒸気副配管３、蒸気副配管３に接続された蒸気分岐配管４ａ，４ｂ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂに介在されたアンモニア吸着部材５ａ，５ｂ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂが合流された蒸気合流配管６、蒸気合流配管６に接続された蒸気分配供給部材７、蒸気分配供給部材７に接続された蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄを通して各種蒸気使用装置に輸送される。蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄは銅系材料から形成され、蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの一次側の蒸気主配管２乃至蒸気分配供給部材７は鉄系材料やステンレス鋼等の非銅系材料から形成される。
【解決手段】 ボイラ１で製造された蒸気は、蒸気主配管２、蒸気主配管２に接続された蒸気副配管３、蒸気副配管３に接続された蒸気分岐配管４ａ，４ｂ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂに介在されたアンモニア吸着部材５ａ，５ｂ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂが合流された蒸気合流配管６、蒸気合流配管６に接続された蒸気分配供給部材７、蒸気分配供給部材７に接続された蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄを通して各種蒸気使用装置に輸送される。蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄは銅系材料から形成され、蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの一次側の蒸気主配管２乃至蒸気分配供給部材７は鉄系材料やステンレス鋼等の非銅系材料から形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の腐食を防止する蒸気配管系の腐食防止装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものとして、特開昭５６−１１３９００号公報に示されたものがある。これは、油輸送管等の保温方法に関するものであり、ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系で発生した復水を蒸気トラップや固定オリフィス又は絞り弁手段を通して銅系材料からなる排水配管に排出し、排水配管を油輸送管や計器類に配してそれらを加熱するものである。
【０００３】
ボイラで製造された蒸気には例えばボイラ給水に加えられたヒドラジンがボイラ内での熱分解することにより発生するアンモニア成分が含まれている。このアンモニア成分は銅に対する腐食性がおおきいために、蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいては、銅系部材が腐食する問題点があった。
【特許文献１】特開昭５６−１１３９００号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
従って、本発明の技術的課題は、蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の腐食を防止できる蒸気配管系の腐食防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の一次側に蒸気中に含まれるのアンモニア成分を吸着するアンモニア吸着部材を配置したことを特徴とする蒸気配管系の腐食防止装置にある。
【発明の効果】
【０００６】
本発明は、蒸気中のアンモニア成分がアンモニア吸着部材により銅系部材の一次側で吸着されて銅系部材に至らないので、銅系部材の腐食を防止できる蒸気配管系の腐食防止装置を提供することができるという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明の蒸気配管系の腐食防止装置は、ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の一次側に蒸気中に含まれるのアンモニア成分を吸着するアンモニア吸着部材を配置したものである。そのため、蒸気中のアンモニア成分がアンモニア吸着部材により銅系部材の一次側で吸着されて銅系部材に至らないので、銅系部材の腐食を防止できる。
【実施例１】
【０００８】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する（図１参照）。ボイラ１で製造された蒸気は、蒸気主配管２、蒸気主配管２に接続された蒸気副配管３、蒸気副配管３に接続された蒸気分岐配管４ａ，４ｂ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂに介在されたアンモニア吸着部材５ａ，５ｂ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂが合流された蒸気合流配管６、蒸気合流配管６に接続された蒸気分配供給部材７、蒸気分配供給部材７に接続された蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄを通して各種蒸気使用装置に輸送される。
【０００９】
蒸気分岐配管４ａ，４ｂのアンモニア吸着部材５ａ，５ｂの一次側に開閉弁９ａ，９ｂを介在させ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂのアンモニア吸着部材５ａ，５ｂの二次側に逆止弁１０ａ，１０ｂと開閉弁１１ａ，１１ｂを介在させる。開閉弁９ａ，９ｂ，１１ａ，１１ｂは管路を開閉する弁手段であり、逆止弁１０ａ，１０ｂはアンモニア吸着部材５ａ，５ｂから開閉弁１１ａ，１１ｂへの蒸気の流れを許容し、反対方向の通過を阻止するものである。
【００１０】
アンモニア吸着部材５ａ，５ｂとしては例えば活性炭やゼオライトからなる吸着材を充填させたものやケミカルフィルターや有機膜フィルターを使用することができる。本実施例ではリン酸添着活性炭を充填したものを使用している。蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄは銅系材料から形成され、蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの一次側の蒸気主配管２乃至蒸気分配供給部材７は鉄系材料やステンレス鋼等の非銅系材料から形成される。
【００１１】
通常は一方の蒸気分岐配管４ａの開閉弁９ａ，１１ａを開弁し、他方の蒸気分岐配管４ｂの開閉弁９ｂ，１１ｂを閉弁して使用する。ボイラ１で製造された蒸気が蒸気主配管２、蒸気副配管３、蒸気分岐配管４ａ、開閉弁９ａ、アンモニア吸着部材５ａ、逆止弁１０ａ、開閉弁１１ａ、蒸気合流配管６、蒸気分配供給部材７、蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄを通して各種蒸気使用装置に輸送される。蒸気中のアンモニア成分がアンモニア吸着部材５ａにより吸着されて蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄに至らないので、銅系材料から形成された蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの腐食を防止できる。
【００１２】
アンモニア吸着部材５ａを交換したり再生したりする場合は、蒸気分岐配管４ａの開閉弁９ａ，１１ａを閉弁し、蒸気分岐配管４ｂの開閉弁９ｂ，１１ｂを開弁する。この場合は、ボイラ１で製造された蒸気が蒸気分岐配管４ｂ側を通して蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄに供給されて各種蒸気使用装置に輸送される。蒸気中のアンモニア成分がアンモニア吸着部材５ｂにより吸着されて蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄに至らないので、銅系材料から形成された蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの腐食を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明による実施例の蒸気配管系の腐食防止装置の構成図である。
【符号の説明】
【００１４】
１ ボイラ
２ 蒸気主配管
３ 蒸気副配管
４ａ 蒸気分岐配管
４ｂ 蒸気分岐配管
５ａ アンモニア吸着部材
５ｂ アンモニア吸着部材
６ 蒸気合流配管
７ 蒸気分配供給部材
８ａ 蒸気供給配管
８ｂ 蒸気供給配管
８ｃ 蒸気供給配管
８ｄ 蒸気供給配管
９ａ 開閉弁
９ｂ 開閉弁
１０ａ 逆止弁
１０ｂ 逆止弁
１１ａ 開閉弁
１１ｂ 開閉弁
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の腐食を防止する蒸気配管系の腐食防止装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものとして、特開昭５６−１１３９００号公報に示されたものがある。これは、油輸送管等の保温方法に関するものであり、ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系で発生した復水を蒸気トラップや固定オリフィス又は絞り弁手段を通して銅系材料からなる排水配管に排出し、排水配管を油輸送管や計器類に配してそれらを加熱するものである。
【０００３】
ボイラで製造された蒸気には例えばボイラ給水に加えられたヒドラジンがボイラ内での熱分解することにより発生するアンモニア成分が含まれている。このアンモニア成分は銅に対する腐食性がおおきいために、蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいては、銅系部材が腐食する問題点があった。
【特許文献１】特開昭５６−１１３９００号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
従って、本発明の技術的課題は、蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の腐食を防止できる蒸気配管系の腐食防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の一次側に蒸気中に含まれるのアンモニア成分を吸着するアンモニア吸着部材を配置したことを特徴とする蒸気配管系の腐食防止装置にある。
【発明の効果】
【０００６】
本発明は、蒸気中のアンモニア成分がアンモニア吸着部材により銅系部材の一次側で吸着されて銅系部材に至らないので、銅系部材の腐食を防止できる蒸気配管系の腐食防止装置を提供することができるという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明の蒸気配管系の腐食防止装置は、ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の一次側に蒸気中に含まれるのアンモニア成分を吸着するアンモニア吸着部材を配置したものである。そのため、蒸気中のアンモニア成分がアンモニア吸着部材により銅系部材の一次側で吸着されて銅系部材に至らないので、銅系部材の腐食を防止できる。
【実施例１】
【０００８】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する（図１参照）。ボイラ１で製造された蒸気は、蒸気主配管２、蒸気主配管２に接続された蒸気副配管３、蒸気副配管３に接続された蒸気分岐配管４ａ，４ｂ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂに介在されたアンモニア吸着部材５ａ，５ｂ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂが合流された蒸気合流配管６、蒸気合流配管６に接続された蒸気分配供給部材７、蒸気分配供給部材７に接続された蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄを通して各種蒸気使用装置に輸送される。
【０００９】
蒸気分岐配管４ａ，４ｂのアンモニア吸着部材５ａ，５ｂの一次側に開閉弁９ａ，９ｂを介在させ、蒸気分岐配管４ａ，４ｂのアンモニア吸着部材５ａ，５ｂの二次側に逆止弁１０ａ，１０ｂと開閉弁１１ａ，１１ｂを介在させる。開閉弁９ａ，９ｂ，１１ａ，１１ｂは管路を開閉する弁手段であり、逆止弁１０ａ，１０ｂはアンモニア吸着部材５ａ，５ｂから開閉弁１１ａ，１１ｂへの蒸気の流れを許容し、反対方向の通過を阻止するものである。
【００１０】
アンモニア吸着部材５ａ，５ｂとしては例えば活性炭やゼオライトからなる吸着材を充填させたものやケミカルフィルターや有機膜フィルターを使用することができる。本実施例ではリン酸添着活性炭を充填したものを使用している。蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄは銅系材料から形成され、蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの一次側の蒸気主配管２乃至蒸気分配供給部材７は鉄系材料やステンレス鋼等の非銅系材料から形成される。
【００１１】
通常は一方の蒸気分岐配管４ａの開閉弁９ａ，１１ａを開弁し、他方の蒸気分岐配管４ｂの開閉弁９ｂ，１１ｂを閉弁して使用する。ボイラ１で製造された蒸気が蒸気主配管２、蒸気副配管３、蒸気分岐配管４ａ、開閉弁９ａ、アンモニア吸着部材５ａ、逆止弁１０ａ、開閉弁１１ａ、蒸気合流配管６、蒸気分配供給部材７、蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄを通して各種蒸気使用装置に輸送される。蒸気中のアンモニア成分がアンモニア吸着部材５ａにより吸着されて蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄに至らないので、銅系材料から形成された蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの腐食を防止できる。
【００１２】
アンモニア吸着部材５ａを交換したり再生したりする場合は、蒸気分岐配管４ａの開閉弁９ａ，１１ａを閉弁し、蒸気分岐配管４ｂの開閉弁９ｂ，１１ｂを開弁する。この場合は、ボイラ１で製造された蒸気が蒸気分岐配管４ｂ側を通して蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄに供給されて各種蒸気使用装置に輸送される。蒸気中のアンモニア成分がアンモニア吸着部材５ｂにより吸着されて蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄに至らないので、銅系材料から形成された蒸気供給配管８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの腐食を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明による実施例の蒸気配管系の腐食防止装置の構成図である。
【符号の説明】
【００１４】
１ ボイラ
２ 蒸気主配管
３ 蒸気副配管
４ａ 蒸気分岐配管
４ｂ 蒸気分岐配管
５ａ アンモニア吸着部材
５ｂ アンモニア吸着部材
６ 蒸気合流配管
７ 蒸気分配供給部材
８ａ 蒸気供給配管
８ｂ 蒸気供給配管
８ｃ 蒸気供給配管
８ｄ 蒸気供給配管
９ａ 開閉弁
９ｂ 開閉弁
１０ａ 逆止弁
１０ｂ 逆止弁
１１ａ 開閉弁
１１ｂ 開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の一次側に蒸気中に含まれるのアンモニア成分を吸着するアンモニア吸着部材を配置したことを特徴とする蒸気配管系の腐食防止装置。
【請求項１】
ボイラで製造された蒸気を輸送する蒸気配管系の少なくとも一部に銅系材料からなる部材が接続されたものにおいて、銅系部材の一次側に蒸気中に含まれるのアンモニア成分を吸着するアンモニア吸着部材を配置したことを特徴とする蒸気配管系の腐食防止装置。
【図１】
【公開番号】特開２０１０−６５８３４（Ｐ２０１０−６５８３４Ａ）
【公開日】平成２２年３月２５日（２０１０．３．２５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２３５５６４（Ｐ２００８−２３５５６４）
【出願日】平成２０年９月１２日（２００８．９．１２）
【出願人】（０００１３３７３３）株式会社テイエルブイ (913)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年３月２５日（２０１０．３．２５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年９月１２日（２００８．９．１２）
【出願人】（０００１３３７３３）株式会社テイエルブイ (913)
【Ｆターム（参考）】
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